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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179960
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】柔軟剤物品
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/152 20060101AFI20231213BHJP
   D06M 15/61 20060101ALI20231213BHJP
   D06M 13/165 20060101ALI20231213BHJP
   D06M 15/647 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
D06M13/152
D06M15/61
D06M13/165
D06M15/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092948
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亮
(72)【発明者】
【氏名】上田 彩人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA13
4L033BA14
4L033CA57
4L033CA60
(57)【要約】
【課題】フェノール系香料とシリコーン化合物を含む液体柔軟剤を容器に充填してなる柔軟剤物品において、液体柔軟剤の透明な外観は維持しつつ、容器の外観変色を抑制する。
【解決手段】容器に充填された、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物を含む柔軟剤物品であって、
液体柔軟剤組成物が(A)フェノール系香料を含む香料組成物、(B)ポリエーテル変性シリコーン、及び(C)SP値が8~13の溶剤を含み、
フェノール系香料の含量が、(A)成分の総質量に対して0.01~5質量%であり、
液体柔軟剤組成物の総質量に対して、(A)成分の含量が0.5~5質量%、(B)成分の含量が0.1~5質量%未満であり、
A/B比が0.1~10であり、
A/C比が0.01~0.5であり、
容器が積層材料から構成され、かつ、積層材料の少なくとも一部が透明又は半透明のナイロン含有層であることを特徴とする柔軟剤物品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に充填された、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物を含む柔軟剤物品であって、
液体柔軟剤組成物が、下記(A)~(C)成分:
(A)フェノール系香料を含む香料組成物、
(B)ポリエーテル変性シリコーン、及び
(C)SP値が8~13の溶剤
を含み、
フェノール系香料の含量が、(A)成分の総質量に対して0.01~5質量%であり、
(A)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.5~5質量%であり、
(B)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%未満であり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.1~10であり、
(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)が0.01~0.5であり、
容器が積層材料から構成され、かつ、積層材料の少なくとも一部が透明又は半透明のナイロン含有層である
ことを特徴とする柔軟剤物品。
【請求項2】
液体柔軟剤組成物が、(D)水溶性カチオンポリマーを更に含む、請求項1に記載の柔軟剤物品。
【請求項3】
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)が0.2~5.0である、請求項2に記載の柔軟剤物品。
【請求項4】
(B)成分と(C)成分との質量比(B/C)が0.01~1である、請求項1に記載の柔軟剤物品。
【請求項5】
フェノール系香料が、バニリン酸、バニリン、エチルバニリン、ラズベリーケトン、オイゲノール、イソオイゲノール、バニリルアルコール、p-クレゾール、グアヤコール、チモール、2,6-ジメトキシフェノール、p-エチルフェノール、クレオソール、及びカルバクロールからなる群より選ばれる一種以上である、請求項1に記載の柔軟剤物品。
【請求項6】
(C)成分が、エチレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる一種以上である、請求項1に記載の柔軟剤物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体柔軟剤組成物を容器に充填してなる柔軟剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
液体柔軟剤分野では、審美的な商品価値を向上させる観点から、液体柔軟剤とその容器を透明化した製品が知られている。
シリコーン化合物を柔軟基剤とする液体柔軟剤を透明化する技術として、ポリエーテル変性シリコーンと水溶性カチオンポリマーとの併用が知られている(特許文献1)。
カチオン界面活性剤を柔軟基剤とする液体柔軟剤に配合されたフェノール系香料に起因する容器の変色を抑制する技術として、ポリオール系水溶性溶剤の使用が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/025017号
【特許文献2】特開2018-104829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に従い調製した液体柔軟剤を容器に充填して保存したところ、容器の外観が変色すること、更に、フェノール系香料の液体柔軟剤への配合が変色を悪化させることを本発明者は見いだした。
特許文献2の技術を、シリコーン化合物を柔軟基剤とする液体柔軟剤へ適用したところ、容器の変色抑制効果が十分ではなく、むしろ液体柔軟剤に濁りが生ずることを本発明者は見いだした。
そこで、フェノール系香料とシリコーン化合物を含む液体柔軟剤を容器に充填してなる柔軟剤物品において、液体柔軟剤の透明な外観は維持しつつ、容器の外観変色を抑制することを課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を鋭意検討した結果、本発明者は、(A)フェノール系香料、(B)特定種類のシリコーン化合物、及び(C)SP値が8~13の溶剤を特定の割合で配合すると課題を解決できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔6〕に関するものである。
〔1〕容器に充填された、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物を含む柔軟剤物品であって、
液体柔軟剤組成物が、下記(A)~(C)成分:
(A)フェノール系香料を含む香料組成物、
(B)ポリエーテル変性シリコーン、及び
(C)SP値が8~13の溶剤
を含み、
フェノール系香料の含量が、(A)成分の総質量に対して0.01~5質量%であり、
(A)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.5~5質量%であり、
(B)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%未満であり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.1~10であり、
(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)が0.01~0.5であり、
容器が積層材料から構成され、かつ、積層材料の少なくとも一部が透明又は半透明のナイロン含有層である
ことを特徴とする柔軟剤物品。
〔2〕液体柔軟剤組成物が、(D)水溶性カチオンポリマーを更に含む、前記〔1〕に記載の柔軟剤物品。
〔3〕(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)が0.2~5.0である、前記〔2〕に記載の柔軟剤物品。
〔4〕(B)成分と(C)成分との質量比(B/C)が0.01~1である、前記〔1〕に記載の柔軟剤物品。
〔5〕フェノール系香料が、バニリン酸、バニリン、エチルバニリン、ラズベリーケトン、オイゲノール、イソオイゲノール、バニリルアルコール、p-クレゾール、グアヤコール、チモール、2,6-ジメトキシフェノール、p-エチルフェノール、クレオソール、及びカルバクロールからなる群より選ばれる一種以上である、前記〔1〕に記載の柔軟剤物品。
〔6〕(C)成分が、エチレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる一種以上である、前記〔1〕に記載の柔軟剤物品。
【発明の効果】
【0007】
後述の実施例に示すように、本発明の柔軟剤物品では、液体柔軟剤の透明な外観は維持しつつ、容器の外観変色を抑制することができる。したがって、本発明は、従来製品にはない付加価値を有する柔軟剤物品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔(A)成分:フェノール系香料を含む香料組成物〕
(A)成分は、液体柔軟剤組成物自体の香り付け、及び/又は、同組成物による処理後の繊維製品の香り付けのために配合する。
〔フェノール系香料〕
(A)成分はフェノール系香料を含む。フェノール系香料とは、一つ以上のフェノール骨格を有する香料成分をいう。
フェノール系香料としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。フェノール系香料の例としては、バニリン酸、バニリン、エチルバニリン、ラズベリーケトン、オイゲノール、イソオイゲノール、バニリルアルコール、p-クレゾール、グアヤコール、チモール、2,6-ジメトキシフェノール、p-エチルフェノール、クレオソールや、カルバクロール等が挙げられる。
容器の外観変色を抑制する(以下、「容器の変色抑制」ともいう)効果の観点で、フェノール系香料は、好ましくはバニリン、エチルバニリン、ラズベリーケトン、オイゲノール及びイソオイゲノールからなる群より選ばれる一種以上であり、より好ましくはバニリン、エチルバニリン及びラズベリーケトンからなる群より選ばれる一種以上である。
フェノール系香料は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
フェノール系香料は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
フェノール系香料の含量は、(A)成分(すなわち、香料組成物)の総質量に対して0.01~5質量%、好ましくは0.1~3質量%、さらに好ましくは0.2~2質量%、特に好ましくは0.5~2質量%である。フェノール系香料の含量が0.01質量%以上であると、香料としての機能を確保することができ、5質量%以下であると容器の外観変色を抑制できる。
【0009】
〔フェノール系香料以外の香料〕
(A)成分は、フェノール系香料以外の香料(以下、「追加香料」ともいう)を含んでいてもよい。
追加香料としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。
追加香料の例としては、アルデヒド類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、ニトリル類、天然香料や、動物性香料等が挙げられる。各香料の具体例は以下の通りである。
アルデヒド類の例としては、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラールや、ヘリオナール等が挙げられる。
エーテル類の例としては、ネロリンヤラヤラ、セドランバーや、グリサルバ等が挙げられる。
エステル類の例としては、メチルアンスラニレート、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルプロピオネート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、p-クレジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ-β-ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエート等が挙げられる。
ハイドロカーボン類の例としては、リモネン(特に、d-リモネン)、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類の例としては、α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、シス-ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ダイナスコンや、マルトール等が挙げられる。
ラクトン類の例としては、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサン等が挙げられる。
ムスク類の例としては、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類などが挙げられる。
テルペン骨格を有する香料の例としては、ジヒドロミルセノール、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール(例えばL-メントール)、ミント、シトロネラール、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ-ヨノン)、カンフェンや、ボルネオール等が挙げられる。
ニトリル類の例としては、ペオニールやゲラニルニトリル等が挙げられる。
天然香料の例としては、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油等の精油が挙げられる。
動物性香料の例としては、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香等が挙げられる。
【0010】
追加香料は、好ましくはアルデヒド類、ケトン類又はハイドロカーボン類の香料、更に好ましくは下記の香料を含有する。

〔アルデヒド類〕
ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、及びヘリオナールからなる群より選ばれる1種以上

〔ケトン類〕
α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、シス-ジャスモン、メチルヨノン(メチルイオノン)、アリルヨノン(アリルイオノン)、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ダイナスコン、及びマルトールからなる群より選ばれる1種以上

〔ハイドロカーボン類〕
リモネン、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、及びテルピノーレンからなる群より選ばれる1種以上
【0011】
追加香料は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
追加香料は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0012】
〔香料用溶剤〕
(A)成分は、液体柔軟剤に一般的に使用されている香料用溶剤を含んでいてもよい。香料用溶剤としては、ミリスチン酸イソプロピルやジプロピレングリコール等が挙げられる。
香料用溶剤の含量は、(A)成分の総質量に対して、例えば0.1~10質量%、好ましくは1~5質量%である。
【0013】
(A)成分の含量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.5~5質量%、好ましくは0.8~3質量%、さらに好ましくは0.8~1.5質量%である。前記の含量範囲であると、容器の変色を抑制しつつ、(A)成分の配合目的(特に、柔軟処理後から乾燥後に亘る繊維製品からの香りの持続性(残香性))を達成できる。
【0014】
〔(B)成分:ポリエーテル変性シリコーン〕
(B)成分は、繊維製品に柔軟性を与えるために配合する。
【0015】
(B)成分の例としては、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体等が挙げられる。アルキルシロキサンを構成するアルキル基の炭素数は1~3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するアルキレン基の炭素数は2~5が好ましい。
好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が挙げられる。具体例としては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
【化1】
(式中、M、N、a及びbは、それぞれ平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基である)
一般式(I)中、Mは、10~10000、好ましくは50~1000、より好ましくは100~300である。
Nは、1~1000、好ましくは5~300、より好ましくは5~100である。更に、M>Nであることが好ましい。
aは、2~100、好ましくは5~50、より好ましくは5~20である。
bは、0~50、好ましくは0~10である。
Rは、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基、より好ましくは水素である。
一般式(I)のポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることで製造できる。
【0017】
好ましいポリエーテル変性シリコーンとして、下記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体も挙げられる。
【化2】
(式中、A、B、h、及びiは、それぞれ平均重合度であり、Rはアルキレン基であり、R’は水素又はアルキル基である)
一般式(II)中、Aは5~10000であり、
Bは、2~10000であり、
hは、2~100であり、
iは、0~50である。
Rは、好ましくは炭素数1~5のアルキレン基である
R’は、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基である。
一般式(II)の共重合体の重量平均分子量は、好ましくは15,000~100,000,000である。
一般式(II)の共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることで製造できる。
【0018】
ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、
ダウ・東レ(株)製のCF1188N、BY22-029、SH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22-008、SF8421、SILWET L-7001、SILWET L-7002、SILWET L-7602、SILWET L-7604、SILWET FZ-2104、SILWET FZ-2120、SILWET FZ-2161、SILWET FZ-2162、SILWET FZ-2164、SILWET FZ-2171、SILWET FZ2222、ABN SILWET FZ-F1-009-01、ABN SILWET FZ-F1-009-02、ABN SILWET FZ-F1-009-03、ABN SILWET FZ-F1-009-05、ABN SILWET FZ-F1-009-09、ABN SILWET FZ-F1-009-11、ABN SILWET FZ-F1-009-13、ABN SILWET FZ-F1-009-54、ABN SILWET FZ-2222や、
信越化学工業(株)製のX-20-8010N、KF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017や、
GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられる。
【0019】
(B)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0020】
(B)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0021】
(B)成分の含量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%未満、好ましくは0.5~3質量%、さらに好ましくは1.0~3.0質量%である。前記の含量範囲であると、液体柔軟剤の透明な外観を維持し、かつ容器の変色は抑制しつつ、(B)成分の配合目的を達成できる。
【0022】
〔(C)成分:SP値が8~13の溶剤〕
(C)成分は、液体柔軟剤の透明な外観を維持し、かつ容器の変色を抑制するために配合する。
(C)成分として用いる溶剤のSP値(溶解度パラメーター)は8~13、好ましくは9.0~11.0、さらに好ましくは9.5~10.5である。前記の数値範囲であると、(C)成分の配合目的を達成できる。
本発明におけるSP値はハンセン溶解度パラメータのことをいう。SP値は、2成分系溶液の溶解度の目安となる指標である。
SP値δ((cal/cm31/2)は、下記式(2)に従い計算できる。
δ=((δd2+δp2+δh2)/4.2)1/2・・・(2)
式中、δdはLondon分散力項、δpは分子分極項、δhは水素結合項である。
【0023】
SP値は、ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウェア(HSPiP ver.4.1.x)を用いて、又は、“HANSEN SOLBILITY PARAMETERS” A User’s Handbook Second Editionに記載される値(δd、δp、δh:単位(J/cm31/2)からも算出できる。
【0024】
(C)成分としては、前述のSP値の範囲を満たす限り、液体柔軟剤分野で公知の溶剤を特に制限なく使用できる。
以下に、(C)成分の例を示す(括弧内の数値はSP値である)。
エタノール(12.7)、2-フェノキシエタノール(12.4)、イソプロピルアルコール(11.5)、エチレングリコールモノメチルエーテル(10.8)、エチレングリコールモノエチルエーテル(11.5)、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル(9.35)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(9.88)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(11.1)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(10.7)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(10.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(10.9)、エチレングリコールモノブチルエーテル(10.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(10.0)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(10.0)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(9.1)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(9.9)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(9.7)、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(9.3)、エチレングリコールモノアリルエーテル(10.8)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(10.8)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(10.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(10.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.7)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.4)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.6)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.8)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(9.0)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(9.6)、エチレングリコールジメチルエーテル(8.6)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(8.8)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(8.7)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(8.3)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(10.0)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.6)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(8.9)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.4)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(9.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(9.4)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(9.2)。
【0025】
好ましい(C)成分の例としては、以下の溶剤が挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル(10.8)、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル(9.35)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(9.88)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(10.7)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(10.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(10.9)、エチレングリコールモノブチルエーテル(10.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(10.0)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(10.0)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(9.1)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(9.9)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(9.7)、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエー テル(9.3)、エチレングリコールモノアリルエーテル(10.8)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(10.8)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(10.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(10.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.7)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.4)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.6)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.8)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(9.0)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(9.6)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(10.0)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.6)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.4)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(9.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(9.4)、プロピレングリコー ルモノエチルエーテルアセテート(9.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(9.2)
【0026】
さらに好ましい(C)成分の例としては、以下の溶剤が挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル(10.8)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(9.88)、エチレングリコールモノブチルエーテル(10.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(10.0)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(10.0)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(9.9)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(9.7)、プロピレングリコールモノメチルエーテル (10.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.7)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.6)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.8)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(9.6)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(10.0)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.6)
【0027】
(C)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0028】
(C)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0029】
(C)成分の含量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは3~10質量%、特に好ましくは5~10質量%である。(C)成分の含量が0.5質量%以上であると、優れた配合効果が得られる。(C)成分の含量が20質量%以下であると、溶剤由来のニオイによる(A)成分の香り立ちへの影響を抑制できる。
【0030】
本発明は特定の理論により限定されるものではないが、(A)~(C)成分と容器変色の抑制との関係は以下の通りであると考えられる。
容器の変色は、フェノール系香料((A)成分)が、容器を構成するナイロン含有層へ浸透及び/又は吸着し、ナイロンと反応することで起こる。ポリエーテル変性シリコーン((B)成分)は、前記の浸透及び/又は吸着を促進し、変色を悪化させる。
SP値が8~13の溶剤((C)成分)は、(A)及び(B)成分との相溶性(親和性)が高いので、両成分は(C)成分中に十分に溶解する。
この(C)成分と(A)及び(B)成分とを、本発明に従う所定の配合比で組み合わせることで、ナイロンと反応するフェノール系香料の量が抑制され、変色が抑制される。
【0031】
〔(A)成分と(B)成分との質量比〕
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)は0.1~10、好ましくは0.1~2.0、さらに好ましくは0.5~1.5である。前記の質量比範囲であると、(A)成分の配合目的を達成しつつ、液体柔軟剤の透明な外観を維持することができる。
【0032】
〔(A)成分と(C)成分との質量比〕
(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)は0.01~0.5、好ましくは0.02~0.3、さらに好ましくは0.05~0.2である。前記の質量比範囲であると、(A)成分の配合目的を達成しつつ、容器の変色を抑制することができる。
【0033】
〔(B)成分と(C)成分との質量比〕
(B)成分と(C)成分との質量比(B/C)は0.01~1、好ましくは0.05~0.8、さらに好ましくは0.05~0.5である。前記の質量比範囲であると、(B)成分の配合目的を達成しつつ、液体柔軟剤の透明な外観をより維持することができる。
【0034】
〔任意成分〕
本発明の効果を損なわない範囲で、(A)~(C)成分以外の液体柔軟剤に一般的に用いられている成分を任意に配合してもよい。任意成分の例を以下に説明する。
【0035】
〔(D)成分:水溶性カチオンポリマー〕
(D)成分は主に、繊維製品の柔軟性をより高めるために配合する。更に(D)成分は、(A)成分及び(B)成分の繊維製品への吸着性を高める効果も有する。
【0036】
(D)成分は水溶性である。「水溶性」とは、被験物質1gを25℃の水100gに加えて得られた溶液が無色透明であることをいう。
(D)成分は、水に溶解したときにカチオン性を有する。
(D)成分は、後述するカチオン化度が、好ましくは0.1%以上(例えば0.1~35%)であり、より好ましくは2.5%以上(例えば2.5~15%)である。カチオン化度が前記の範囲であると、共存する(B)成分の繊維製品への吸着性をより高めることができ、かつ多量配合によるコスト増加を防止できる。
【0037】
(D)成分が、(i)カチオン性モノマーの重合体、(ii)カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、又は(iii)ノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)である場合、カチオン化度は、下記式(1)により算出される値として定義される。
カチオン化度(%)=X×Y×100 式(1)
[X:ポリマーのカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:ポリマー1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
【0038】
(D)成分が(i)カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、又は(ii)カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体である場合、カチオン化度は、下記式(2)により算出される値として定義される。
カチオン化度(%)=X×(Y-Z)×100 式(2)
[X:ポリマーのカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:ポリマー1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:ポリマー1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基としては、ポリマー鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基や、スルホン酸基など(例えば、アクリル酸中のカルボン酸基)が挙げられる。但し、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0039】
例示として、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体である、下記式(III)で表されるMERQUAT280(塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20。式(III)では、m:n=65:35)(日本ルーブリゾール社製)のカチオン化度の計算手順を示す。
【0040】
【化3】
【0041】
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3-2.78×10-3)×100=3.0である。
【0042】
前記の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
【0043】
(D)成分の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定したとき、好ましくは1,000~5,000,000であり、より好ましくは3,000~1,000,000であり、さらに好ましくは5,000~500,000である。
前記の重量平均分子量範囲であると、(B)成分の繊維製品への吸着を高め、かつ液体柔軟剤組成物の粘度上昇が抑制され、優れた使用性が得られる。
【0044】
(D)成分としては、前述した水溶性及びカチオン性を有するポリマーを特に制限なく使用し得るが、好ましくは、アミノ基、アミン基及び第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性ポリマーである。
(D)成分の例としては、
MERQUAT100(日本ルーブリゾール社製)、アデカカチオエースPD-50((株)アデカ)、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、
MERQUAT550 JL5(日本ルーブリゾール社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、
MERQUAT280(日本ルーブリゾール社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、
レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、
LUVIQUAT-FC905(BASF社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、
LUGALVAN-G15000(BASF社製)等のポリエチレンイミン、
ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、
キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体や、
ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
特に好ましい(D)成分は、下記一般式(IV)で表されるジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーである。このポリマーの構造は、通常、下記の一般式(V)又は(VI)で表わされる。
なお、1つのポリマー鎖に、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位とが共に含まれていてもよい。
【0045】
【化4】
(式中、X-は、塩化物イオン、臭化物イオンなどの任意のマイナスイオンを示す。)
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
(各式中、c及びdは平均重合度を表し、各々、好ましくは6~30000、より好ましくは20~6000、さらに好ましくは30~3000である。)
【0048】
一般式(IV)のジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーの例としては、MERQUAT100(日本ルーブリゾール社製)、アデカカチオエースPD-50((株)アデカ社製)や、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0049】
(D)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0050】
(D)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0051】
(D)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.1~5.0質量%、より好ましくは0.5~3.0質量%、さらに好ましくは0.5~2.0質量%、特に好ましくは1.0~2.0質量%である。前記の含量範囲であると、より優れた配合効果が得られる。
【0052】
〔(A)成分と(D)成分との質量比〕
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)は、好ましくは0.2~5.0、より好ましくは0.3~3.0、さらに好ましくは0.3~1.5である。A/Dが5.0以下であると、より優れた柔軟性能や容器の外観変色抑制効果が得られる。また、A/Dが0.2以上であると、液体柔軟剤組成物のより優れた透明な外観や、繊維製品に対するより優れた残香性が得られる。
【0053】
〔液体柔軟剤組成物の透明性〕
液体柔軟剤組成物は、透明又は半透明である。透明とは、測定セル(光路長10mmのガラスセル)に液体柔軟剤組成物を入れ、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に、660nmの波長の光透過率が95%以上であることを意味し、半透明とは、前記透過率が30%以上95%未満であることを意味する。
【0054】
〔(E)成分:ノニオン界面活性剤〕
(E)成分は、液体柔軟剤組成物の透明な外観の保持性をさらに高めるために配合する。
(E)成分の例としては、炭素数8~20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、2~100、好ましくは2~75である。
好ましい(E)成分は、下記一般式(IV)で表される化合物である。
1-T-[(R2O)p-H]q (IV)
式(IV)中、
1は、炭素数10~18、好ましくは12~18の直鎖又は分岐したアルキル基又はアルケニル基である。
2は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。
pは、平均付加モル数であり、2~75、好ましくは5~30、特に好ましくは5~20である。
Tは、-O-、-N-、-NH-、-N(C24OH)-、-CON-、-CONH-又はCON(C24OH)-である。
Tが-O-、-NH-、-N(C24OH)-、-CONH-、又は-CON(C24OH)-の場合、qは1である。
Tが-N-又は-CON-の場合、qは2である。
【0055】
一般式(IV)の化合物の具体例として、下記一般式(V)又は(VI)で表される化合物が挙げられる。

1-O-(C24O)r-H (V)
式(V)中、R1は、式(IV)で定義したとおりである。
rは平均付加モル数であり、2~75、好ましくは5~30である。

1-O-(C24O)s(C36O)t-H (VI)
式(VI)中、R1は、式(IV)で定義したとおりである。
sは平均付加モル数であり、2~40、好ましくは5~30である。
tは平均付加モル数であり、1~20、好ましくは1~10である。
(C24O)と(C36O)の付加は、ランダム又はブロックのいずれでもよい。
【0056】
(E)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
(E)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
(E)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~7.0質量%、さらに好ましくは1.0~5.0質量%、特に好ましくは2.0~4.0質量%である。前記の含量範囲であると、液体柔軟剤組成物の粘度上昇によるハンドリング性の低下を抑制しつつ、より優れた配合効果が得られる。
【0057】
〔(F)成分:消泡剤〕
(F)成分は、泡立ちを抑制することで柔軟剤の計量性を向上させるために配合する。
(F)成分の例としては、シリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤及び合成油系消泡剤等が挙げられ、シリコーン系又はアルコール系の消泡剤が好ましい。
シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられる。なかでも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましく、エマルション型消泡剤がさらに好ましい。
【0058】
(F)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
市販品の例としては、
ダウ・東レ(株)製のFSアンチフォームシリーズのDKQ1-071、DKQ1-1208、DKQ1-1086、544、001、80、81、026A、545、013B、DK Q1-072、AFE、BE、DB-31、DB-110N、H-10、025、EPL、F-18、F-20、F-51、CE、90、91、92、1122、DK Q1-1089、DK Q1-1056、DK Q1-1014、DK Q1-1074や、
信越化学工業(株)製のKS496A、KS502,KS506、KS508、KS530、KS531、KS536、KS537、KS538、KM73、KM73A、KM73B、KM73E、KM72、KM72A、KM72F、KM70、KM71、KM75、KM80、KM83、KM83A、KM85、KM87A、KM89、KM90、KM93、KM68-1F、KM68-2Fや、
ダウ・東レ(株)製のQ2-3183A、BY28-503、SD5591、SH7PA、SH5503、SH5510、SM5513、SH5561、SH5507、BY22-517、SM5511、SM5512、SM5515、SM5517、SM5571、SM5572F、SM5573や、
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のYSA6406、TSA780、TSA7341、TSA7343、TSA739、TSA732、TSA732A、TSA772、TSA730、TSA770、TSA775、TSA776、YMA6509、TSA737、TSA737B、TSA737S、TSA737F、TSA737K等が挙げられる。
【0059】
(F)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0060】
(F)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.001~1質量%、より好ましくは0.003~0.1質量%である。
【0061】
〔(G)成分:防腐剤〕
(G)成分は、主に、液体柔軟剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合する。
(G)成分としては、液体柔軟剤分野で公知の成分を特に制限なく使用できる。具体例としては、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類や、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
(G)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
(G)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
(G)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対し、好ましくは0.0001~1質量%である。
【0062】
〔水〕
液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水や、イオン交換水を使用できる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の含量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは60~95質量%、更に好ましくは70~90質量%である。
【0063】
〔液体柔軟剤組成物の製造方法〕
液体柔軟剤組成物は、公知の方法、例えば、ポリエーテル変性シリコーンを主剤とする液体柔軟剤組成物と同様の工程にしたがい製造できる。
例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む油相と、水とを混合し、攪拌することで、液体柔軟剤組成物を製造できる。
【0064】
〔液体柔軟剤組成物の使用方法〕
液体柔軟剤組成物を用いた繊維製品の処理方法は特に制限されず、従来の液体柔軟剤と同様に使用できる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に液体柔軟剤組成物を溶解させて処理を行う、又はたらいのような容器中で液体柔軟剤組成物を水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。いずれも場合も適度な濃度に希釈して使用するが、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3~100倍、特に5~50倍であることが好ましい。
液体柔軟剤組成物で処理可能な繊維製品の種類は特に限定されず、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツや、マクラカバー等が挙げられる。その素材も、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。
【0065】
〔容器〕
液体柔軟剤組成物は容器に充填されて柔軟剤物品を構成する。容器の形状は特に制限されないが、袋状(詰め替え用)等が挙げられる。
袋状容器は、例えば、特開2001-098300号公報の〔0019〕~〔0022〕に記載されるものや、特開平8-26297号公報の図3に記載の構造を有するスタンディングパウチであってもよい。
【0066】
容器は積層材料から構成される。積層材料の例としては、ナイロンからなる最外層(外部からの光が最初に入射する層。基材層ともいう)と、ポリエチレンからなる内層(液体柔軟剤組成物と接触する層。接着層ともいう)から構成されるものが挙げられる。
ナイロンとしては、延伸ナイロン(ONy)等が挙げられる。容器外観の変色抑制の観点から、ナイロンは、末端アミド基や末端アミノ基がより少ないものが好ましい。
ポリエチレンとしては、直線状低密度ポリエチレン(L-LDPE)や、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。
【0067】
積層材料の少なくとも一部は、透明又は半透明なナイロン含有層である。透明又は半透明なナイロン含有層では、フェノール系香料による外観変色が顕在化しやすいが、本発明に従う液体柔軟剤組成物ではその外観変色を抑制できる。
ナイロン含有層は基材層を構成していることが好ましい。
ナイロン含有層は、その全体が透明又は半透明であってもよい。すなわち、基材層の全体が透明又は半透明のナイロン含有層であってもよい。
透明とは、可視光領域(660nm)における透過率が60%以上であることを意味し、半透明とは、可視光領域(660nm)における透過率が40%以上60%未満であることを意味する。透過率は、分光光度計で測定できる。
【0068】
以下、袋状容器を構成する積層材料を説明する。
基材層の厚みは、製袋加工性、コスト、強度や剛性を考慮して適宜決定できる。基材層の厚みは、必要最小限の剛性を保持できる限り特に制限されないが、外観変色抑制の観点から、好ましくは10~50μm、より好ましくは10~30μm、最も好ましくは10~20μmである。
積層材料全体の厚みも、製袋加工性、コスト、強度や剛性を考慮して適宜決定することができ、好ましくは100~300μmである。
【0069】
積層材料は、基材層及び接着層とは異なる層、例えば、アルミニウム蒸着プラスチック層、アルミニウム層や、PET(ポリエチレンテレフタレート)層を更に含んでいてもよい。
アルミニウム蒸着プラスチック層及びアルミニウム層の例としては、特開2010-222711号公報に記載されているものが挙げられる。
アルミニウム蒸着プラスチック層やアルミニウム層は、基材層及び接着層を覆うように配置されうるが、本発明では、コストの観点から、基材層及び/又は接着層の一部を覆うように配置される。ナイロン含有層の変色をもたらすフェノール系香料をアルミニウム蒸着プラスチック層及びアルミニウム層は透過させないが、これらの層で被覆されていない部分における変色を本発明に従う液体柔軟剤組成物では抑制できる。
【0070】
各層の積層化は、ポリウレタン系やエステル系等の接着剤や、カゼイン等の水溶性接着剤などの糊材を用いて実施できる。
袋状容器は、フィルム状の積層材料を、最内層となる層を内側にして重ね合わせ、その周縁部をヒートシール等で接着して袋状へ成形することで製造できる。
【実施例0071】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各成分の含量(%)はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0072】
〔(A)成分:フェノール系香料を含む香料組成物〕
表1に記載の香料組成物A-1~A-3を使用した。表1中、エチルバニリン、オイゲノール及びラズベリーケトンがフェノール系香料である。
【表1】
【0073】
〔(B)成分:ポリエーテル変性シリコーン〕
下記のB-1を使用した。

B-1:ポリエーテル変性シリコーン(ダウ・東レ(株)製。商品名「CF1188N」)
【0074】
〔(C)成分:溶剤〕
下記のC-1~C-6を使用した。C-6は比較例で使用した。

C-1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤(株)製。商品名「ブチルジグリコール(84)」(SP値:10.0)

C-2:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール((株)クラレ社製。商品名「ソルフィット」)(SP値:9.88)

C-3:イソプロピルアルコール(株式会社トクヤマ製。商品名「イソプロピルアルコール」)(SP値:11.5)

C-4:2-フェノキシエタノール(三洋化成工業(株)製。商品名「ニューポールEFP」)(SP値:12.4)

C-5:エタノール(日本合成アルコール(株)製。商品名「特定アルコール95度合成」)(SP値:12.7)

C-6:グリセリン(日油(株)製。商品名「化粧用グリセリン85-S(外原規)」(SP値:16.5)
【0075】
〔(D)成分:カチオン性を有する水溶性高分子〕
下記のD-1を使用した。

D-1:塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合物(日本ルーブリゾール社製。商品名「MERQUAT100」)。D-1は、一般式(IV)で表されるジメチルジアリルアンモニウム塩(X-は、塩化物イオン)を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーである(計算式(1)によるカチオン化度:10.5%。重量平均分子量:1.5×105)。また、1gのD-1を25℃の水100gに加えて得られた溶液は無色透明であった。
【0076】
〔(E)成分:ノニオン界面活性剤〕
下記のE-1を使用した。

E-1:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO7モル(Lutensol TO 3(イソトリデカノールEO3付加物(BASF(株))にEOを4モル付加し合計7モルにしたもの。ライオンケミカル(株)製。商品名「TAG-90」)。E-1は、一般式(V)(R1は、炭素数13のアルキル基であり、rは7である)で表される化合物である。
【0077】
〔(F)成分:消泡剤〕
下記のF-1を使用した。

F-1:シリコーンエマルション型消泡剤(信越化学工業(株)製。商品名「KM-90」)
【0078】
〔(G)成分:防腐剤〕
下記のG-1を使用した。

G-1:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(クラリアントジャパン株式会社製。商品名「NIPACIDE BIT 20」)
【0079】
〔液体柔軟剤組成物の調製〕
まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分を1000mlビーカーにとり、攪拌羽根を用いて充分に攪拌し、油相混合物を得た。
他方、(D)成分をイオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。
次に、油相混合物を攪拌しながら、水相混合物を添加し、さらに(F)成分及び(G)成分を添加し、均一になるまで充分に攪拌して、1000gの液体柔軟剤組成物を調製した。
各液体柔軟剤組成物の組成を後記の表2に示す。
表2中の含量の値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する含量(質量%)である。
表2中の「A/B」は、(A)成分の(B)成分に対する質量比を示す。
表2中の「A/C」は、(A)成分の(C)成分に対する質量比を示す。
表2中の「A/D」は、(A)成分の(D)成分に対する質量比を示す。
表2中の「B/C」は、(B)成分の(C)成分に対する質量比を示す。
【0080】
〔製造直後の液体柔軟剤組成物の外観(透明性)評価〕
実施例及び比較例の各液体柔軟剤組成物について、測定セル(光路長10mmのガラスセル)に当該液体柔軟剤組成物を入れ、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に、660nmの波長の光透過率は95%以上であった。したがって、実施例及び比較例の各液体柔軟剤組成物は透明であった。
【0081】
〔容器〕
特開平8-26297号公報の図3に記載の構造を有するスタンディングパウチを使用した。
スタンディングパウチは、袋状容器(高さ:260mm。上端部及び下端部の幅:130mm。底面部:紡錘形の軸平行の断面の形(長軸:100mm。短軸:60mm)から成形した。
袋状容器は、基材層(外層)の上に接着層(内層)を積層してなる積層材料から構成されていた。
基材層は、延伸ナイロン(ONy)製の可撓性フィルム(厚さ15μm)であった。
接着層は、直線状低密度ポリエチレン(L-LDPE)製の(厚さ150μm)の可撓性フィルムであった。
【0082】
〔容器の外観(透明性)評価〕
4mm×2.5mmにカットした袋状容器を、(株)島津製作所製の紫外線可視分光光度計(UV-2450)を用い、可視光領域660nmにおける透過率を測定した結果、70%以上であった。袋状容器には印刷を施していないので、実施例および比較例に使用したスタンディングパウチは全体にわたって透明であった。
前記と同様にして測定した基材層単体の透過率も70%以上であった。したがって、スタンディングパウチを構成する積層材料の少なくとも一部は透明のナイロン含有層であった。
【0083】
〔容器の外観評価〕
スタンディングパウチへ液体柔軟剤組成物を充填し、シーリングしてなる柔軟剤物品をサンプルとした。このサンプルを、50℃の恒温室内で30日間保存した。保存による容器の外観変化を、下記基準に従い目視評価した。パネラー(10名)平均点(小数点以下は四捨五入)を表2の「容器の外観評価」欄に示す。3点以上を合格であると判定した。

<評価基準>
4:保存前のサンプルと比較して変化(黄褐変)がない。
3:保存前のサンプルと比較してわずかに変化(黄褐変)した。
2:保存前のサンプルと比較して変化(黄褐変)した。
1:保存前のサンプルと比較して著しく変化(黄褐変)した。
【0084】
〔液体柔軟剤組成物の外観評価〕
液体柔軟剤組成物をガラス容器に入れて密栓し、40℃下で1ヶ月間保存した。保存による液体柔軟剤組成物の外観変化を、下記基準に従い目視評価した。パネラー(10名)平均点(小数点以下は四捨五入)を表2の「内容液の外観評価」欄に示す。3点以上を合格であると判定した。

<評価基準>
4:保存前のサンプルと比較して変化(濁り)がない。
3:保存前のサンプルと比較してわずかに変化(濁り)した。
2:保存前のサンプルと比較して変化(白濁)した。
1:保存前のサンプルと比較して著しく変化(白濁・分離)した。
【0085】
〔残香性評価〕
1.評価用布の柔軟処理
1-1.前処理
市販の綿タオル(東進社製)を評価用布とした。評価用布を、市販洗剤「トッププラチナクリア」(ライオン株式会社製)と二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)とを用いて、以下の前処理に3回供した。
前処理:洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水での洗浄(10分間)と、続く注水すすぎ(10分間)とのサイクルを2回。
1-2.柔軟処理
前処理後の評価用布(1.0kg)を、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)と市販洗剤「トッププラチナクリア」(ライオン株式会社製)とを用いて洗浄(10分間、標準使用量、標準コース、浴比30倍、25℃の水道水使用)した。続いて、1回目のすすぎ(3分間)、脱水及び2回目のすすぎ(3分間)を行った。2回目のすすぎの開始時に、各液体柔軟剤組成物を添加して柔軟処理(3分間、柔軟剤使用量6.67ml、浴比20倍、25℃の水道水使用)を行った。柔軟処理後に脱水(1分間)し、二槽式洗濯機から取り出した評価用布を、恒温恒湿条件(20℃、40%RH)下で乾燥(18時間)させた。

2.評価用布の香り強度評価
前述の柔軟処理後、さらに恒温恒湿条件(20℃、40%RH)下で保管(3日間)した後の評価用布の香り強度を、下記の評価基準に従い官能評価した。専門パネラー10人の平均点(小数点以下は四捨五入)を、表2の「残香性評価」欄に示す。2点以上を合格であると判定した。

<評価基準>
0:無臭
1:何かわからないが香りを感じる
2:弱いが何の香りであるか感じられる
3:楽に香りを感じられる
4:強く香りを感じられる
5:強烈に香りを感じられる
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、液体柔軟剤分野で利用可能である。
【0087】
【表2】