(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179966
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】棚柱のカバーレール
(51)【国際特許分類】
A47B 96/14 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
A47B96/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092955
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】500016280
【氏名又は名称】中澤鋳造販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 正
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博樹
(57)【要約】
【課題】安定した姿勢で棚柱を取付可能にするとともに、棚柱の劣化を抑制可能にする棚柱のカバーレールを提供する。
【解決手段】棚用の背面ボード3に取り付ける棚柱2を収納するカバーレール1は、背面ボード3と棚柱2の間に位置する基台1Aと、基台1Aの長手方向の両側縁から立設して棚柱2を収納する凹溝4を形成する一対の壁部1Bと、一対の壁部1Bの各頂部から基台1Aの長手方向と直交する幅方向の外向きに延伸し、かつ、基台1Aの底面側に向かうように形成され、末端に自由端辺を有するスカート部1Cとを有する。また、カバーレール1は、突刺し固定具6を基台側から背面ボード3に向けて突き刺すことにより、背面ボード3に取り付けられ、一対のスカート部1Cは、自由端辺が背面ボード3に当接することによって基台1Aの幅方向の傾きを抑制するよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚用の背面ボードまたは壁に取り付ける棚柱を収納する棚柱のカバーレールであって、
前記背面ボードまたは壁と前記棚柱の間に位置する基台と、
前記基台の長手方向の両側縁から立設して前記棚柱を収納する凹溝を形成する一対の壁部と、
前記一対の壁部の各頂部から前記基台の長手方向と直交する幅方向の外向きに延伸し、かつ、前記基台の底面側に向かうように形成され、末端に自由端辺を有するスカート部と、を有し、
前記カバーレールは、突刺し固定具を前記基台側から前記背面ボードまたは壁に向けて突き刺すことにより、当該背面ボードまたは壁に取り付けられ、
一対の前記スカート部は、前記自由端辺が前記背面ボードまたは壁に当接することによって前記基台の幅方向の傾きを抑制するよう構成されている
ことを特徴とする棚柱のカバーレール。
【請求項2】
請求項1に記載の棚柱のカバーレールにおいて、
前記カバーレールは、前記背面ボードまたは記壁が石膏ボードである場合に用いられ、前記石膏ボードに固定される固定部材を介して前記石膏ボードに取り付けられるよう構成され、
前記基台は、前記固定部材が有する嵌合部に嵌合することにより、前記凹溝に前記棚柱を収納した状態で嵌合し、前記固定部材に固定されるように構成されており、
前記カバーレールは、前記突刺し固定具を前記基台側から前記固定部材に突き刺すことにより前記石膏ボードに取付られ、
一対の前記スカート部は、前記自由端辺が前記石膏ボードに当接することによって前記基台の幅方向の傾きを抑制するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の棚柱のカバーレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚柱のカバーレールに関する。
【背景技術】
【0002】
棚柱は、正面側に設けられた貫通孔から固定用ねじを螺入し、壁取付け棚用の背面ボート、受桟および石膏ボードに固定されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、棚柱は、棚板を取り付けるための棚ブラケットを係合孔に挿入して係合させるために壁面側から突き出るように所定の奥行を必要とし、さらに小幅かつ長尺であるが故に壁等に取り付け難いといった不都合が生じている。すなわち、棚柱の正面側に設けられた貫通孔からねじを螺入する際に棚柱が幅方向に傾いたり、或いは倒れこんだりする。また、金属製の棚柱は、湿度の高い環境等において表面に錆等が生じて劣化し易いといった問題が生じている。
【0005】
本発明は、安定した姿勢で棚柱を取付可能にするとともに、棚柱の劣化を抑制可能にする棚柱のカバーレールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
棚用の背面ボードまたは壁に取り付ける棚柱を収納する棚柱のカバーレールであって、
前記背面ボードまたは壁と前記棚柱の間に位置する基台と、
前記基台の長手方向の両側縁から立設して前記棚柱を収納する凹溝を形成する一対の壁部と、
前記一対の壁部の各頂部から前記基台の長手方向と直交する幅方向の外向きに延伸し、かつ、前記基台の底面側に向かうように形成され、末端に自由端辺を有するスカート部と、を有し、
前記カバーレールは、突刺し固定具を前記基台側から前記背面ボードまたは壁に向けて突き刺すことにより、当該背面ボードまたは壁に取り付けられ、
一対の前記スカート部は、前記自由端辺が前記背面ボードまたは壁に当接することによって前記基台の幅方向の傾きを抑制するよう構成されている
ことを特徴とする棚柱のカバーレール。
【0007】
この構成によれば、棚柱を凹溝に収納する基台の底面の幅が、棚柱の幅よりも広くなっている。それ故に、棚柱は、背面ボードまたは壁に直立した起立姿勢を基台によって安定保持される。また、凹溝を形成する一対の壁部の各頂部からスカート部が、基台の幅方向の外向きに延伸し、かつ、基台の底面側に向かっている。それ故に、背面ボードまたは壁に対して棚柱が直立した起立姿勢の状態、または、棚柱に対してその幅方向へ傾けるような力が加わったとき、一対のスカート部の自由端辺が、背面ボードまたは壁に当接するので、その幅方向への傾きや倒れ込みも抑制される。したがって、棚柱の取付作業の効率が向上する。さらに、カバーレールは、棚柱をカバーするレール状部材である。すなわち、カバーレールは、棚柱の底面および両側面を覆われて外気に曝され難いため、錆等の発生による劣化も抑制される。なお、基台底面は、背面ボードまたは壁と当接する面であり、棚柱およびカバーレールを背面ボード等に取付固定した状態で正面視したとき、この正面に対して背面となる。したがって、以下において、基台の底面を適宜に背面と称する。
【0008】
なお、棚柱は、(A)突刺し固定具(ねじ、ピン等)を基台側から背面ボードまたは壁に向けて突き刺す時に凹溝に収納されていて、突刺し固定具によってカバーレールに固定されるか、(B)突刺し固定具とは別の固定具若しくは接着剤によって、凹溝内に収納された状態でカバーレールに固定されるか、または、(C)カバーレールの形状によって凹溝内に収納された状態でカバーレールに固定される。
【0009】
上記の棚柱のカバーレールにおいて、
前記カバーレールは、前記背面ボードまたは記壁が石膏ボードである場合に用いられ、前記石膏ボードに固定される固定部材を介して前記石膏ボードに取り付けられるよう構成され、
前記基台は、前記固定部材が有する嵌合部に嵌合することにより、前記凹溝に前記棚柱を収納した状態で嵌合し、前記固定部材に固定されるように構成されており、
前記カバーレールは、前記突刺し固定具を前記基台側から前記固定部材に突き刺すことにより前記石膏ボードに取付られ、
一対の前記スカート部は、前記自由端辺が前記石膏ボードに当接することによって前記基台の幅方向の傾きを抑制するよう構成されていてもよい。
【0010】
石膏ボードに棚柱を取り付ける場合、固定部材を利用することが好まれている。すなわち、固定部材は、ねじよりも細い固定ピンをピン孔から打ち込んで予め石膏ボードに固定されるが、棚柱の取付位置の変更等の場合に固定ピンを抜いて固定部材を移動させても移動元のピンを突刺した痕跡である孔が非常に小さいので目立ち難い。また、複数の固定ピンを石膏ボードに打ち込む場合、固定ピンの先端を異なる方向となるように斜めに打ち込むことが容易であり、これにより、通常、ねじで固定するより固定部材を石膏ボードに確りと固定することができる。しかしながら、固定部材の存在が目立たないようにその幅が棚柱より僅かに大きく設定されているので、固定部材の高さが実質的に増したことになる。したがって、棚柱の高さが増した分、その取扱いがより困難になる。
【0011】
この構成によれば、棚柱は、棚柱の幅よりも広い基台および当該基台の幅よりも広い拡張部材によって、棚柱の取付時における石膏ボードとの当接面が幅方向に段階的に拡張される。また、スカート部によって固定部材が覆われて視認されない乃至視認され難い。それ故に、固定部材は、その幅を自由端辺側に拡張することができる。したがって、背面ボードまたは壁に対して棚柱が直立した起立姿勢の状態、または、棚柱とカバーレールに対してその幅方向へ傾けるような力が加わったとき、一対のスカート部の自由端辺が、背面ボードまたは壁に当接するので、その幅方向への傾きや倒れ込みも抑制される。上記構成の相乗効果により、棚柱の取付作業の効率が向上する。
【0012】
なお、棚柱は、(A)突刺し固定具(ねじ、ピン等)を基台側から石膏ボードに突き刺す時に凹溝に収納されていて、突刺し固定具によってカバーレールに固定されるか、(B)突刺し固定具とは別の固定具若しくは接着剤によって、凹溝内に収容された状態でカバーレールに固定されるか、または、(C)カバーレールの形状によって凹溝内に収容された状態でカバーレールに固定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の棚柱のカバーレールによれば、安定した姿勢で棚柱を取付可能にするとともに、棚柱の劣化を抑制にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】棚柱をカバーレールに収納して壁に固定する様子を示す分解斜視図である。
【
図2】Aは第一実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図3】Aは第二実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図4】Aは第三実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図5】Aは第四実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図6】Aは第五実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図7】Aは第六実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図8】Aは第七実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図9】Aは第八実施形態のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図10】棚柱をカバーレールに収納して壁に固定する様子を示す分解斜視図である。
【
図11】Aは変形例のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【
図12】Aは変形例のカバーレールの斜視図、Bは正面図、Cは両側面図(左側面図と右側面図は共通)、Dは背面図、Eは平面図(平面図および底面図は共通)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の棚柱のカバーレールの実施形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。説明に際し、棚柱とカバーレールを壁等に取り付けた状態で棚柱を正面視したときの面を正面、壁等に当接する面を背面、カバーレールの長手方向と直交する方向を幅方向とする。なお、本実施形態では、棚柱と棚柱のカバーレールを固定する対象は、コンクリート等の硬質壁においては壁取付け用の背面ボードや受桟であり、ねじまたは固定ピンによって直接に固定可能な石膏ボードであるが、これらに限定されない。
【0016】
<第一実施形態>
本実施形態では、背面ボードに棚柱を固定する場合を例にとって説明する。
図1および
図2に示すように、カバーレール1は、基台1A、壁部1Bおよびスカート部1Cを備える。本実施形態における基台1A、壁部1Bおよびスカート部1Cは、弾性を有する樹脂やプラスチック等によって一体成形されている。
【0017】
基台1Aは、棚柱2と背面ボード3の間に位置する部位であり、幅方向における縦断面が台形である。すなわち、基台1Aは、棚柱2と背面ボード3によって挟まれている。
【0018】
壁部1Bは、基台1Aの長手方向の両側縁から立設している。壁部1Bの高さは、棚柱2の高さ以下に設定されている。基台1Aおよび壁部1Bは、棚柱2を収納する凹溝4を形成する。すなわち、壁部1Bの頂部は、凹溝4に収納した棚柱2に係合する部位を有しない。本実施形態において、壁部1Bの頂部は、棚柱2の表面高さ(正面)以下になるように設定されており、壁部1Bの高さが棚柱2の表面高さよりも高くてもよい。
【0019】
スカート部1Cは、一対の壁部1Bの各頂部から基台1Aの長手方向と直交する幅方向の外向きに延伸し、かつ、基台1Aの背面側に向かうように形成され、その末端に自由端辺1Dを有する。また、スカート部1Cは、凹溝4に棚柱2を収納した状態で棚柱2の正面側に設けられた取付孔5から突刺し固定具に相当するねじ6を螺入して棚柱2と基台1Aを背面ボード3に固定するとき、背面ボード3の表面にスカート部1Cの自由端辺1Dを当接させる長さを有する。すなわち、スカート部1Cは、壁部1Bの頂部から背面ボード3に向けて傾斜する平板状のものである。自由端辺1Dは、その厚み方向に斜めカットされており背面ボード3の表面と面接触する当接面を有するように設定されている。本実施形態において、スカート部1Cの長さは、壁部1Bとスカート部1Cが成す角度α、材質等よって適宜に設定変更されるが、壁部1Bの頂部から基台1Aの背面までの長さL1と頂部から自由端辺1Dまでの長さL2の関係においてL1≦L2となるように設定されている。すなわち、スカート部1Cの自由端辺1Dが、基台1Aの背面から僅かに突き出て背面ボード表面に当接し、その間に適度の摩擦抵抗が生じるように設定されている。
【0020】
上記のカバーレール1と棚柱2を背面ボード3に取り付ける処理について説明する。
【0021】
棚柱2をカバーレール1の凹溝4に収納する。この状態で基台1Aの背面を背面ボード3に当接させる。このとき、幅方向に広がる一対のスカート部1Cの自由端辺1Dの当接面も背面ボード表面に当接する。この当接面は、基台背面から背面ボード側に突き出た長さを有するので、背面ボード表面を押圧した状態で当接する。このとき、棚柱2は、カバーレール1によって背面ボード3に対して直立の起立姿勢を保っている。次に、棚柱2の正面に設けられた複数の取付孔5からねじ6を螺入することにより、棚柱2とカバーレール1が一体となって背面ボード3にねじ固定される。
【0022】
上記構成の棚柱2のカバーレール1によれば、凹溝4に棚柱2を収納した状態において、基台背面の幅が棚柱2の幅よりも広く、かつ、基台1Aの幅方向の両側において一対のスカート部1Cの自由端辺1Dの当接面が背面ボード表面に当接している。すなわち、棚柱2は、基台1Aと一対のスカート部1Cによって保持され、間接的に背面ボード3に対して安定した直立の起立姿勢を保っているので、取付時に棚柱2に対して当該棚柱2を幅方向に傾ける力が加わったとき、棚柱2の傾きや倒れ込みが抑制される。したがって、棚柱2の取付作業の効率が向上する。また、棚柱2をカバーレール1に収納した状態で背面ボード3に取り付けた後においても、背面ボード3に対して直立の起立姿勢にある棚柱2に対して幅方向の力が加わったとき、同様にスカート部1Cによって傾き等が抑制される。さらに、棚柱2は、カバーレール1によって背面および両側面を覆われており外気に曝される面積を小さくされているので、錆等の発生による劣化も抑制される。
【0023】
以下の実施形態は、上記第一実施形態の構成においてスカート部1Cの構成が異なるので、同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成について詳述する。
【0024】
<第二実施形態>
スカート部1Cは、
図3に示すように、正面に向けて斜面を凸出湾曲させた形状である。この構成においてもスカート部1Cは、末端に自由端辺1Dを有し、自由端辺1Dは背面ボード表面と面接触する当接面を有するように設定されている。それ故に、上記の第一実施形態と同様にカバーレール1は、背面ボード3に対して棚柱2を起立姿勢で安定保持することができる。なお、当接面に加わる押圧は、スカート部1Cの突出湾曲の曲率等の変更に応じて適宜に設定変更される。
【0025】
<第三実施形態>
スカート部1Cは、
図4に示すように、斜面を屈折させた第1面1Caおよび第2面1Cbの2つの面から成る。第1面1Caは、壁部1Bの頂部から基台1Aの幅方向の外向き斜め下がりの傾斜面である。第2面1Cbは、第1面1Caから基台1Aの底面側に垂直に下る面である。すなわち、第2面1Cbは、背面ボード3に対して垂直であり、末端に自由端辺1Dを有し、当該自由端辺1Dが背面ボード表面に当接するように構成されている。なお、この構成において、第2面1Cbの自由端辺1Dが幅方向の外向きに広がるように第2面1Cbを傾斜姿勢で設けてもよい。
【0026】
<第四実施形態>
スカート部1Cは、
図5に示すように、基台底面に対して水平に延伸する第1面1Caおよび第1面1Caの先端側を基台1Aの底面側に直角に折り曲げた第2面1Cbの2つの面からなる。第2面1Cbの先端に自由端辺1Dを有し、自由端辺1Dが背面ボード3に垂直に当接するように構成されている。なお、この構成において、第2面1Cbの自由端辺1Dが幅方向の外向きに広がるように第2面1Cbを傾斜姿勢で設けてもよい。
【0027】
<第五実施形態>
スカート部1Cは、
図6に示すように、異なる3つの角度で折り曲げた3つの面からなる。すなわち、スカート部1Cは、壁部1Bの頂部から第1面1Ca、第2面1Cbおよび第3面1Ccの順に連なって延伸している。第1面1Caは、壁部1Bの頂部から基台背面に対して水平な面である。第2面1Cbは、基台1Aの背面に幅方向の外向き斜め下がりの傾斜面である。第3面1Ccは、背面ボード3に垂直に起立する面である。第3面1Ccは、末端に自由端辺1Dを有し、自由端辺1Dが背面ボード3に当接するように構成されている。なお、この構成において、第3面1Ccの自由端辺1Dが、幅方向の外向きに広がるように当該第3面1Ccを傾斜姿勢で設けてもよい。このときの傾斜角は、第2面1Cbとの関係によって適宜に設定変更される。
【0028】
<第六実施形態>
スカート部1Cは、
図7に示すように、2つの面からなる。すなわち、スカート部1Cは、壁部1Bの頂部から第1面1Ca、第2面1Cbの順に連なって延伸している。第1面1Caは、正面に向けて斜面を凸出湾曲させた形状である。第2面1Cbは、背面ボード3に垂直に起立する面である。第2面1Cbは、末端に自由端辺1Dを有し、自由端辺1Dが背面ボード3に当接するように構成されている。なお、この構成において、第2面1Cbの自由端辺1Dが、幅方向の外向きに広がるように当該第2面1Cbを傾斜姿勢で設けてもよい。
【0029】
<第七実施形態>
スカート部1Cは、
図8に示すように、階段状に2段階で垂直に屈折させた面からなる。すなわち、スカート部1Cは、基台背面に対して水平な二面1Ca、1Ccおよび背面ボード3に対して垂直な二面1Cb、1Cdを有する。水平な二面同士および垂直な二面同士の長さの比率は、適宜に設定変更される。なお、本実施形態においてもスカート部1Cの自由端辺1Dは、背面ボード3と面接触する当接面を有するように設定されている。
【0030】
<第八実施形態>
スカート部1Cは、
図9に示すように、底面に向けて斜面を凹入湾曲させた形状である。この構成において、スカート部1Cは、その自由端辺から基端側の内面を所定の範囲で背面ボード3に面接触させるように構成されている。なお、内面と背面ボード3の接触面積は、例えば、スカート部1Cを凹入湾曲させる曲率に応じて適宜に設定変更される。
【0031】
<第九実施形態>
上記各実施形態は、棚柱2を凹溝4に収納したカバーレール1を背面ボード3に直接にねじ固定する構成を例にとって説明したが、本実施形態は、カバーレール1と石膏ボードの間に固定部材を介して棚柱2とカバーレール1を固定する構成について説明する。したがって、上記第一実施形態の構成と異なる固定部材およびスカート部について詳述し、同一構成については同一符号を付すに留める。
【0032】
固定部材7は、
図10に示すように、幅方向の断面を凹形状とする。すなわち、固定部材7は、カバーレール1の基台1Aを背面側から嵌合させる凹形状の嵌合部8を有し、固定部材7の幅は、基台1Aの幅よりも大きい。嵌合部8は、表面中央に背面に向けてねじ6を挿通するねじ孔9を有する。ねじ孔9は、固定部材7の背面側において、その表面側から挿通したねじ6を固定するためのナットを収納する拡張部を有する。拡張部の深さは、ナットの厚み以上であり、固定部材7の背面からナットが突き出ないように設定されている。
【0033】
また、嵌合部8は、表面中央のねじ孔9を挟んだ両サイドにおいて、その長手方向に等間隔で形成された固定ピン挿入用の複数個のピン孔10が形成されている。なお、固定ピンは、本発明の突刺し固定具に相当する。
【0034】
さらに、固定部材7は、石膏ボード3に仮留めする複数の仮留めピンを裏面に有する。仮留めピンの基端部は、固定部材7の底面側に埋設固定されている。
【0035】
スカート部1Cは、固定部材7の嵌合部8に基台1Aを嵌合した状態において、その自由端辺1Dを石膏ボード3の表面に当接する長さに設定されている。
【0036】
次に、棚柱2を収納したカバーレール1を、固定部材7を介して石膏ボード3に取り付ける処理について説明する。
【0037】
カバーレール1に棚柱2を収納した状態で棚柱2の各取付孔5にねじ6を挿通し、基台1Aの背面から各ねじ6の先端を少し突き出させる。ねじ先端の位置に、各固定部材7のねじ孔9の位置を合わせし、基台1Aを嵌合部8に嵌合する。その後、各固定部材7の背面側の拡張部にナットを収納し、棚柱2、カバーレール1および固定部材7を一体化して石膏ボード3に押し付け、各固定部材7の仮留めピンを石膏ボード3に突き刺す。
【0038】
石膏ボード3への仮留めが完了後に、棚柱2とカバーレール1を固定部材7から取り外し、石膏ボード3に仮固定された各固定部材7のピン孔10に固定ピンを挿通し、石膏ボード3に打ち込む。石膏ボード3への固定部材7の本固定完了後に、カバーレール1の基台1Aを固定部材7の嵌合部8に再び嵌合し、各ねじ6を螺入して各ナットと結合する。
【0039】
以上で、石膏ボード3にねじ6を直接に螺入することなく、固定ピンによって固定された固定部材7を介して、棚柱2を収納したカバーレール1を石膏ボード3に取り付けることができる。
【0040】
上記構成によれば、カバーレール1を石膏ボード3に直接に固定する場合に比べ、固定部材7によって石膏ボード3との当接面の幅が拡張される。また、固定部材7が、スカート部1Cによって覆われて隠れるので、固定部材7の幅方向の長さは、スカート部1Cによって当該固定部材7を隠すことのできる範囲まで拡張することができる。この状態で、さらに一対のスカート部1Cの自由端辺1Dを石膏ボード3に当接させることにより、石膏ボード3に対して棚柱2をより安定した起立姿勢で保つことができるので、棚柱2は取付時に傾いたり、倒れ込んだりするのを抑制される。したがって、棚柱2の取付作業の効率が向上する。さらに、棚柱2は、基台1Aによって背面および両側面を覆われており外気に曝される面積を小さくされているので、錆等の発生による劣化も抑制される。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上記各実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて設計変更が可能である。例えば、以下のように構成してもよい。
【0042】
(1)上記各実施形態において、基台1Aの縦断面(正面および底面)が台形であったが、この形態に限定されず、例えば、
図11のように縦断面が長方形であってもよい。
【0043】
(2)上記の第一実施形態から第七実施形態および上記(1)の変形例のカバーレール1は、スカート部1Cの自由端辺1Dを壁等に当接させる構成であったが、各カバーレール1の自由端辺側を、
図12に示すように、基台背面に向けて内側に折り曲げて拡張当接部1eを形成してもよい。この構成によれば、スカート部1Cの外面の一部を利用して形成した拡張当接部1eは、自由端辺1Dに設けた当接面よりも壁等に対する接触面積が拡大されるので、カバーレール1の傾き等をより確実に抑制することができる。
【0044】
(3)上記の各実施形態のカバーレール1に棚柱2を収納して当該棚柱2を壁等に固定し、当該棚柱2に棚ブラケットを取り付け、棚板を載せて組み立てた棚に、電気製品等を載置した場合、電気製品等の電源コード、接続コード等のコード類をカバーレール1の壁部1Bおよびスカート部1Cによって形成される空間に通して所定の位置まで導くように構成してもよい。例えば、スカート部1Cの斜面に貫通孔、スリットまたはこれらを組み合わせてコード類の出入口を形成すればよい。なお、出入口は、カバーレール1の上端または下端の開口部を利用してもよい。
【0045】
この構成によれば、コード類をカバーレール1によって隠すことができるので、棚周りを整理しやすくなる。
【0046】
(5)上記各実施形態では、壁部1Bの頂部の高さが、凹溝4に収納した棚柱2の高さ以下であるが、棚柱2の高さ以上でもよい。例えば、凹溝4に収納した棚柱2の表面の一部を係合する係合部を両壁部1Bの各頂部に設ける。この構成によれば、カバーレール1は弾性を有するので、カバーレール1の凹溝4を幅方向に広げ、棚柱2を凹溝4に収納した後に凹溝4を元の状態に戻すことにより、両サイドの係合部が棚柱2の両側縁部に係合する。したがって、棚柱2をカバーレール1に確り保持することができる。
【0047】
(6)上記各実施形態では、スカート部1Cの自由端辺1Dまたは拡張当接部1eが、壁等に当接する構成であったが、自由端辺1D等が壁等に非接触であってもよい。例えば、カバーレール1の取付時に、自由端辺1Dが、壁等に近接する構成の場合、棚柱2を収納したカバーレール1が幅方向に傾いたとき、スカート部1Cの自由端辺1Dが壁等に当接して倒れ込みを抑制する。したがって、上記の各実施形態と同様の作用および効果が得られる。また、スカート部1Dは、壁部1Bと個別の部材であり、壁部1Bに結合させる構成でもよい。また、スカート部1Cは、取付環境等に応じて片側だけでもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 カバーレール
1A 基台
1B 壁部
1C スカート部
1Ca、1Cb、1Cc スカート部を成す面
2 棚柱
3 背面ボード
4 凹溝
5 取付孔
6 ねじ(突刺し固定具)
7 固定部材
8 嵌合部
9 ねじ孔
10 ピン孔