(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179978
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】自動洗髪機用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20231213BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231213BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231213BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/31
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092973
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】平山 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】金澤 莉香
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC482
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB04
4C083BB06
4C083BB13
4C083CC38
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】自動洗髪機への使用に適した組成物を提供する。
【解決手段】25℃における粘度が4,000mPa・s以下である、自動洗髪機用組成物とする。自動洗髪機用組成物は、成分(A)~(C)を含んでいてもよく、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)が2.8以下であってもよい。ここで、成分(A)は、カチオン性界面活性剤である。成分(B)は、脂肪族アルコールである。成分(C)は、液状油である。自動洗髪機用組成物は、成分(D)として、シリコーン油をさらに含んでいてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃における粘度が4,000mPa・s以下である、自動洗髪機用組成物。
【請求項2】
下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)が2.8以下である、請求項1に記載の自動洗髪機用組成物。
(A)カチオン性界面活性剤
(B)脂肪族アルコール
(C)液状油
【請求項3】
下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)が2.8以下である、自動洗髪機用組成物。
(A)カチオン性界面活性剤
(B)脂肪族アルコール
(C)液状油
【請求項4】
前記成分(A)が、下記成分(A1)および成分(A2)を含む、請求項2または3に記載の自動洗髪機用組成物。
(A1)第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤
(A2)アミドアミン型カチオン性界面活性剤
【請求項5】
前記成分(A2)に対する前記成分(A1)のモル比A1/A2は、0.35以上6.5以下である、請求項4に記載の自動洗髪機用組成物。
【請求項6】
前記成分(C)は、炭化水素油を含む、請求項2または3に記載の自動洗髪機用組成物。
【請求項7】
前記成分(B)は、2種以上の脂肪族アルコールを含む、請求項2または3に記載の自動洗髪機用組成物。
【請求項8】
成分(D)として、シリコーン油をさらに含む、請求項2または3に記載の自動洗髪機用組成物。
【請求項9】
成分(E)として、ノニオン性界面活性剤をさらに含む、請求項2または3に記載の自動洗髪機用組成物。
【請求項10】
前記成分(E)は、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、スフィンゴ糖脂質、およびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項9に記載の自動洗髪機用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動洗髪機用組成物に関する。より詳細に本発明は、自動洗髪機での使用に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーおよびトリートメント等を使用した洗髪作業は、理美容室で行われる最も基本的で欠かすことのできない施術の1つである。しかし、この洗髪作業においては、施術者の全身の筋肉および関節に負荷がかかりやすい。加えて、洗髪作業には、シャンプー液およびトリートメント液等の薬剤が使用されるので、施術者の手指が乾燥等により荒れやすい。このように、洗髪作業における施術者の負担が大きい。
【0003】
そこで、洗髪作業における施術者の負担を低減するために、自動洗髪機の使用が提案されている。自動洗髪機は、一般的には、蓋で覆われた空間内に被施術者の頭部をセットし、ノズルから温水、シャンプー、トリートメント等の液を噴射する構造を有している(例えば、特許文献1)。自動洗髪機は、例えば、トリートメント等の薬剤をノズルから噴射するために、自動洗髪機内でポンプ等を用いてトリートメントおよび水を送液し、配管内部でこれらの液を混合して被施術者の頭部に噴射する構造を有している(例えば、特許文献2および3)。
【0004】
一方、市販のトリートメント剤等のコンディショニング剤は、基本的に、カチオン性界面活性剤、高級アルコール、および水が含まれた乳化物の形態を有している。例えば、特許文献4には、特定の構造を有するアミドアミンおよび特定の構造を有する脂肪族アルコールを含む毛髪化粧料が記載されている。特許文献5には、カチオン性界面活性剤、特定の構造を有する高級アルコール、特定の構造を有する高重合ジメチルポリシロキサン、水溶性高分子化合物、ポリリジンおよび/またはその塩、並びにモノカルボン酸およびジカルボン酸から選ばれる1種または2種以上の有機酸を含む毛髪化粧料が記載されている。
【0005】
非特許文献1には、特定の種類のカチオン性界面活性剤、特定の種類の高級アルコール、および水で形成されるゲルの構造が、カチオン性界面活性剤と高級アルコールとのモル比によって異なることが記載されている。
【0006】
非特許文献2には、一般的なトリートメント剤は、カチオン性界面活性剤と高級アルコールとからなるクリーム状の乳化ゲルを基材として、この基材の内部にシリコーン等の油剤を分散させた形態を有していることが記載されている。加えて、非特許文献2には、これらの化合物からなるゲル構造を形成するために、カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールとが、1:3~1:10のモル比で混合されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-236511号公報
【特許文献2】特開平6-22812号公報
【特許文献3】特許第5596455号
【特許文献4】特許第4184312号
【特許文献5】特開2007-169192号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Noda et al., J. Soc. Cosmet. Chem. Japan., Vol. 20, No. 2 1986, p.103-110.
【非特許文献2】鐵真希男、化学と教育、58巻、11号、2010年、p.536-537
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したとおり、一般的なトリートメント剤は、ゲル構造を有している。ゲル構造を有しているトリートメント剤は、自動洗髪機の配管内部において、水と混合しにくい。その結果、自動洗髪機のノズルから十分な量のトリートメント剤が噴射されなかったり、トリートメント剤が噴射されることなく塊状のままノズルから落下したりする。トリートメント剤を自動洗髪機で使用しても、毛髪に対して十分なコンディショニング効果を与えることができていたとは言い難い。本発明は、従来は注目されていなかったこの問題に着目し、自動洗髪機への使用に適した組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
25℃における粘度が4,000mPa・s以下である、自動洗髪機用組成物、を提供する。
【0011】
別の側面から、本発明は、
下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)が2.8以下である、自動洗髪機用組成物、を提供する。
(A)カチオン性界面活性剤
(B)脂肪族アルコール
(C)液状油
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動洗髪機への使用に適した組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施例1に係る自動洗髪機用組成物の溶解性を確認した結果を示す写真である。
【
図2】
図2は、実施例4に係る自動洗髪機用組成物の溶解性を確認した結果を示す写真である。
【
図3】
図3は、比較例1に係る自動洗髪機用組成物の溶解性を確認した結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明を特定の形態に限定するものではない。
【0015】
自動洗髪機用組成物の25℃における粘度は、4,000mPa・s以下である。これにより、自動洗髪機への使用に適した組成物が得られる。詳細には、自動洗髪機のポンプによって組成物を十分に送液できるので、所定量の組成物を毛髪へ塗布することが可能になる。これにより、毛髪に対して優れたコンディショニング効果を与えることができる。加えて、自動洗髪機用組成物が適切な粘度を有していることによって、組成物は水に溶解しやすくなる。
【0016】
自動洗髪機用組成物の25℃における粘度は、3,000mPa・s以下であってもよく、2,500mPa・s以下、2,000mPa・s以下、1,500mPa・s以下、1,000mPa・s以下、さらには850mPa・s以下であってもよく、50mPa・s以上、200mPa・s以上、300mPa・s以上、さらには500mPa・s以上であってもよい。自動洗髪機用組成物の粘度は、日本産業規格(JIS) Z 8803:2011に準拠して求めることができる。
【0017】
自動洗髪機用組成物は、好ましくは下記成分(A)~(C)を含む。加えて、自動洗髪機用組成物において、好ましくは成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)が2.8以下である。
(A)カチオン性界面活性剤
(B)脂肪族アルコール
(C)液状油
【0018】
・成分(A)
成分(A)は、カチオン性界面活性剤である。カチオン性界面活性剤が含まれていることによって、毛髪に柔らかさ、まとまり、および指通りの良さを与えることができる。
【0019】
カチオン性界面活性剤の例は、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤およびアミドアミン型カチオン性界面活性剤である。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、毛髪のコンディショニング性に寄与し得る。アミドアミン型カチオン性界面活性剤は、頭皮への刺激の低減に寄与し得る。
【0020】
第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の例は、アルキル四級アンモニウム塩、ジアルキル四級アンモニウム塩、およびエーテル型四級アンモニウム塩である。アミドアミン型カチオン性界面活性剤の例は、脂肪酸アミドアミンである。
【0021】
アルキル四級アンモニウム塩は、例えば、下記式(1)で表される。
【0022】
R1-N+(R2)3・X- (1)
【0023】
式(1)中、R1は、直鎖または分岐鎖を有する炭素数12~24のアルキル基を表す。R2は、炭素数1~3のアルキル基を表す。X-は、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルキル硫酸基を表す。X-は、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくはCl-である。
【0024】
アルキル四級アンモニウム塩の例は、ラウリルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、セテアルトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムブロミド、セトリモニウムブロミド、セテアルトリモニウムブロミド、ステアルトリモニウムブロミド、ベヘントリモニウムブロミド、ラウリルトリモニウムメトサルフェート、セトリモニウムメトサルフェート、セテアルトリモニウムメトサルフェート、ステアルトリモニウムメトサルフェート、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ラウリルトリモニウムエトサルフェート、セトリモニウムエトサルフェート、セテアルトリモニウムエトサルフェート、ステアルトリモニウムエトサルフェート、およびベヘントリモニウムエトサルフェートである。
【0025】
ジアルキル四級アンモニウム塩は、例えば、下記式(2)で表される。
【0026】
(R3)2-N+(R4)2・X- (2)
【0027】
式(2)中、R3は、直鎖または分岐鎖を有する炭素数12~24のアルキル基を表す。R4は、炭素数1~3のアルキル基を表す。X-は、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルキル硫酸基を表す。X-は、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくはCl-である。
【0028】
ジアルキル四級アンモニウム塩の例は、ジラウリルジモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、およびジココイルジモニウムクロリドである。
【0029】
エーテル型四級アンモニウム塩は、例えば、下記式(3)で表される。
【0030】
R5-O-A-N+(R6)2・X- (3)
【0031】
式(3)中、R5は、直鎖または分岐鎖を有する炭素数12~24のアルキル基を表す。R6は、炭素数1~3のアルキル基を表す。Aは、炭素数1~3のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基を表す。X-は、ハロゲン原子または炭素数1~3のアルキル硫酸基を表す。X-は、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくはCl-である。
【0032】
エーテル型四級アンモニウム塩の例は、ラウロキシプロピルトリモニウムクロリド、セトキシプロピルトリモニウムクロリド、セテアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ベヘノキシプロピルトリモニウムクロリド、オレオキシプロピルトリモニウムクロリド、ラウリルPGトリモニウムクロリド、セチルPGトリモニウムクロリド、セテアルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、オレイルPGトリモニウムクロリド、およびココイルPGトリモニウムクロリドである。
【0033】
脂肪酸アミドアミンは、例えば、下記式(4)で表される。
【0034】
R7-CONH-A-N-(R8)2 (4)
【0035】
式(4)中、R7は、直鎖または分岐鎖を有する炭素数11~23のアルキル基を表す。R8は、炭素数1~3のアルキル基を表す。Aは、炭素数1~3のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基を表す。
【0036】
脂肪酸アミドアミンの例は、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(ステアラミドプロピルジメチルアミン)、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、およびベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミドである。
【0037】
成分(A)として、これらの化合物から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(A)の含有量は、例えば、0.1質量%~10質量%である。含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上、さらには2.8質量%以上であってもよく、8.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、さらには3.5質量%以下であってもよい。
【0039】
自動洗髪機用組成物は、成分(A)として、(A1)第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤および(A2)アミドアミン型カチオン性界面活性剤を含むことが好ましい。この場合、自動洗髪機用組成物において、(A1)第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の含有量が(A2)アミドアミン型カチオン性界面活性剤の含有量より多くてもよい。
【0040】
自動洗髪機用組成物が、成分(A)として、(A1)第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤および(A2)アミドアミン型カチオン性界面活性剤を含む場合、成分(A2)に対する成分(A1)のモル比(A1/A2)は、例えば、0.35以上6.5以下である。モル比(A1/A2)は、1.0以上5.0以下であってもよく、1.5以上3.0以下であってもよく、1.8以上2.5以下であってもよい。頭皮への刺激を抑制する観点から、モル比(A1/A2)は、0.35以上1.5以下であってもよい。
【0041】
自動洗髪機用組成物が、成分(A)として、(A1)第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤および(A2)アミドアミン型カチオン性界面活性剤を含む場合、自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(A1)の含有量は、例えば、0.1質量%~5質量%である。成分(A1)の含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、さらには1.9質量%以上であってもよく、3.0質量%以下、2.5質量%以下、さらには2.2質量%以下であってもよい。自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(A2)の含有量は、例えば、0.1質量%~5質量%である。成分(A2)の含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、さらには1.9質量%以上であってもよく、3.0質量%以下、2.5質量%以下、さらには2.0質量%以下であってもよい。
【0042】
・成分(B)
成分(B)は、脂肪族アルコールである。脂肪族アルコールが含まれていることによって、頭皮毛髪化粧料は、適切な粘度を有することができる。これにより、自動洗髪機を使用して毛髪へ均一に組成物を塗布しやすくなるので、毛髪に優れたコンディショニング効果を付与できる。加えて、脂肪族アルコールが含まれることで、製造時の安定性と長期間の安定性とに優れる乳化物が得られやすい。
【0043】
脂肪族アルコールの炭素鎖は、好ましくは直鎖状である。これにより、自動洗髪機用組成物を調製する際の乳化安定性をより向上させることができる。加えて、脂肪族アルコールの炭素鎖が直鎖状であることによって、自動洗髪機用組成物が適切な粘度を有しやすい。脂肪族アルコールの炭素数は、特定の値に限定されず、8以上30以下であってもよく、14以上22以下であってもよい。脂肪族アルコールは、飽和アルコールであってもよく、不飽和アルコールであってもよい。
【0044】
脂肪族アルコールの例は、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール(セトステアリルアルコール)、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、および水添ナタネ油アルコールである。
【0045】
成分(B)として、これらの脂肪族アルコールから選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
自動洗髪機用組成物は、好ましくは、成分(B)として、これらの脂肪族アルコールから選ばれる2種以上の脂肪族アルコールを含む。この場合、自動洗髪機用組成物を調製する際の乳化安定性がより向上しうる。これは、後述する成分(C)が含まれているとより顕著になる。
【0047】
成分(B)として、これらの脂肪族アルコールから選ばれる2種以上の脂肪族アルコールを含む場合、8以上16以下の炭素数を有する脂肪族アルコール(脂肪族アルコールB1)と、17以上30以下の炭素数を有する脂肪族アルコール(脂肪族アルコールB2)と、を含んでいることが好ましい。また、このとき、自動洗髪機用組成物において、脂肪族アルコールB1の含有量が脂肪族アルコールB2の含有量より多くてもよい。
【0048】
自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(B)の含有量は、例えば、0.1質量%~20質量%である。含有量は、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、さらには2.0質量%以上であってもよく、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、さらには3.5質量%以下であってもよい。
【0049】
自動洗髪機用組成物において、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)は、例えば、2.8以下である。このような数値範囲によれば、自動洗髪機のポンプによって組成物を十分に送液できる。
【0050】
自動洗髪機用組成物において、成分(A)に対する成分(B)のモル比(B/A)は、2.5以下、2.0以下、1.8以下、さらには1.7以下であってもよい。モル比(B/A)が低すぎると、自動洗髪機用組成物を調製する際の乳化安定性が低下して、製剤化が困難となることがある。モル比(B/A)の下限は、特に限定されないが、0.1以上、0.5以上、1.0以上、1.5以上、さらには1.6以上であってもよい。
【0051】
・成分(C)
成分(C)は、液状油である。液状油は、例えば、25℃で流動性を有するものである。液状油は、乳化安定性の向上に寄与しうる。
【0052】
液状油の例は、炭化水素油、脂肪酸エステル、油脂、およびロウである。
【0053】
炭化水素油は、直鎖状炭化水素であってもよく、分岐鎖状炭化水素であってもよく、揮発性炭化水素であってもよい。炭化水素油は、脂肪族炭化水素であってもよい。
【0054】
炭化水素油の例は、イソエイコサン、ドデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、合成ワックス、水添ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワレン、セレシン、ポリエチレン、ポリエチレンワックス、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ミネラルオイル、およびワセリンである。
【0055】
脂肪酸エステルは、脂肪酸とアルコールとのエステルである。
【0056】
脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖脂肪酸であってもよく、分岐鎖脂肪酸であってもよい。脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のアルキル基は、2以上20以下であってもよく、4以上18以下であってもよい。
【0057】
脂肪酸エステルを構成するアルコールは、低級アルコールであってもよく、高級アルコールであってもよい。アルコールは、直鎖アルコールであってもよく、分岐鎖アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。脂肪酸エステルを構成するアルコールの炭素数は、8以上30以下であってもよく、12以上22以下であってもよく、14以上20以下であってもよい。
【0058】
脂肪酸エステルの例は、イソオクタン酸セチル、イソオクタン酸ステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸ペンタエリスリトール、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルへキシル、イソペラルゴン酸イソトリデシル、イソペラルゴン酸オクチル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、およびテトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリットである。
【0059】
油脂の例は、植物油脂または植物油脂誘導体である。油脂は、植物油または植物油誘導体であってもよい。
【0060】
植物油脂の例は、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、パーム油、シア脂、マンゴー種子油、マカデミア種子油、ヘーゼルナッツ種子油、ヒマシ油、ツバキ種子油、メドウフォーム油、チャ種子油、オリーブ果実油(オリブ油)、アーモンド油、サザンカ油、ユチャ種子油、ピーナッツ油、アボガド油、アンズ核油、綿実油、ゴマ油、ナタネ油、コメ胚芽油、コムギ胚芽油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ種子油、大豆油、ブドウ種子油、月見草油、カニナバラ果実油、およびアマニ油である。
【0061】
植物油脂誘導体の例は、植物油脂由来の脂肪酸のエステル化合物である。
【0062】
植物油脂誘導体の例は、ステロールエステル類である。ステロールエステル類は、好ましくはフィトステロールエステル類である。フィトステロールエステル類は、植物油または植物油脂由来の脂肪酸とフィトステロールとのエステルである。ステロールエステル類の例は、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、およびコメヌカ油脂肪酸フィトステリルである。マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、マカデミア種子油から得られる高級脂肪酸の混合物と、フィトステロールとのエステルである。ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリルは、ヒマワリ種子油から得られる脂肪酸と、フィトステロールとのエステルである。コメヌカ油脂肪酸フィトステリルは、コメヌカ油から得られる脂肪酸と、フィトステロールとのエステルである。
【0063】
ロウ類の例は、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ホホバ油、蜜ロウ、およびラノリンロウである。
【0064】
成分(C)として、これらの液状油から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。自動洗髪機用組成物は、成分(C)として、炭化水素油を含んでいてもよい。
【0065】
自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(C)の含有量は、特に限定されず、例えば、0.1質量%~20質量%である。含有量は、0.3質量%以上、0.5質量%以上、さらには1.0質量%以上であってもよく、18質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8.0質量%以下、5.0質量%以下、さらには2.0質量%以下であってもよい。
【0066】
・成分(D)
自動洗髪機用組成物は、成分(D)をさらに含んでいてもよい。成分(D)は、シリコーン油である。シリコーン油が含まれていることによって、毛髪の触感をより向上させることができる。また、成分(D)が含まれていることによって、毛髪に柔らかさ、まとまり、および指通りの良さを与えることができる。
【0067】
シリコーン油は、ケイ素と酸素とが化学結合により交互に連なったシロキサン結合を主骨格に持つ合成高分子である。シリコーン油は、官能基をさらに有していてもよい。シリコーン油は、鎖状シリコーン油であってもよく、環状シリコーン油であってもよく、変性シリコーン油であってもよい。鎖状シリコーンは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
【0068】
鎖状シリコーン油の例は、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、およびメチルハイドロジェンポリシロキサンである。
【0069】
環状シリコーン油の例は、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサンである。
【0070】
変性シリコーンとは、-Si-O-の繰り返し構造からなるポリシロキサン骨格を有し、ポリシロキサン骨格のケイ素原子に直接または置換基を介して変性基が結合している構造を有するシリコーンである。変性基は、有機基であってもよい。変性基が導入されている位置は、ポリシロキサン骨格の側鎖であってもよく、ポリシロキサン骨格の末端であってもよい。変性基の例は、アミノ基、カルボキシ基、アルキル基、およびエポキシ基である。アミノ基は、一級アミノ基であってもよく、二級アミノ基であってもよい。変性シリコーンの具体例は、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、およびエポキシ変性シリコーンである。
【0071】
変性シリコーンは、アミノ変性シリコーンを含むことが好ましい。アミノ変性シリコーンの例は、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、およびアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)である。
【0072】
成分(D)として、これらのシリコーン油から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(D)は、好ましくは鎖状シリコーン油を含む。成分(D)は、より好ましくは、鎖状シリコーン油および変性シリコーンを含み、特に好ましくは、直鎖状のシリコーン油およびアミノ変性シリコーンを含む。この場合、自動洗髪機用組成物において、直鎖状のシリコーン油の含有量は、アミノ変性シリコーンの含有量より多くてもよい。
【0073】
自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(D)の含有量は、特に限定されず、例えば、0.1質量%~20質量%である。含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、さらには2.5質量%以上であってもよく、18質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8.0質量%以下、さらには5.0質量%以下であってもよい。
【0074】
・成分(E)
自動洗髪機用組成物は、成分(E)をさらに含んでいてもよい。成分(E)は、ノニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤は、毛髪および頭皮の洗浄性に寄与しうる。
【0075】
ノニオン性界面活性剤の例は、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、スフィンゴ糖脂質、およびポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0076】
アルキルグルコシドとは、高級アルコールと糖とがグルコシド結合したものである。アルキルグルコシドに含まれるアルキル基の炭素数は、特定の値に限定されず、6以上30以下であってもよく、8以上20以下であってもよく、8以上18以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキルグルコシドの例は、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、セトステアリルグルコシド、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、およびヤシ油アルキルグルコシドである。
【0077】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテルと脂肪酸とのエステルである。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、モノエステルであってもよく、ジエステルであってもよく、トリエステルであってもよい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの原料の脂肪酸は、炭素数6以上22以下であってもよく、8以上18以下であってもよい。脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。また、脂肪酸は、直鎖脂肪酸であってもよく、分岐鎖脂肪酸であってもよい。脂肪酸の例は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸、2-エチルヘキサン酸、およびイソステアリン酸である。
【0078】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおけるエチレンオキシドの平均付加モル数は、例えば、2以上150以下である。エチレンオキシドの平均付加モル数は、3以上、5以上、6以上、8以上、さらには10以上であってもよく、100以下、さらには80以下であってもよい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例は、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(オレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)、およびトリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである。なお、括弧内の数字は、エチレンオキシド(E.O.)の平均付加モル数を示す。
【0079】
スフィンゴ糖脂質とは、セラミドに糖が結合したものである。糖は、グルコースであってもよく、ガラクトースであってもよい。スフィンゴ糖脂質の例は、グルコシルセラミドおよびガラクトシルセラミドである。
【0080】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、ポリグリセリンの水酸基と、脂肪酸とがエステル結合したものである。
【0081】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、例えば、3~20であり、好ましくは3~10である。
【0082】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの原料の脂肪酸は、炭素数8以上20以下であってもよく、8以上18以下であってもよい。脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。また、脂肪酸は、直鎖脂肪酸であってもよく、分岐鎖脂肪酸であってもよい。脂肪酸の具体例は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ブドウ種子油脂肪酸、およびアンズ核油脂肪酸である。
【0083】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、モノエステルであってもよく、ジエステルであってもよく、トリエステルであってもよい。
【0084】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの例は、ステアリン酸ポリグリセリル-3、ステアリン酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、およびイソステアリン酸ポリグリセリル-10である。
【0085】
成分(E)として、これらのノニオン性界面活性剤から選ばれる1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ノニオン性界面活性剤は、アルキルグルコシド、スフィンゴ糖脂質、およびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましく、アルキルグルコシドを含むことがより好ましい。
【0086】
自動洗髪機用組成物の総質量に対する成分(E)の含有量は、特に限定されず、例えば、0.1質量%~10質量%である。含有量は、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、さらには0.7質量%以上であってもよく、8質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、さらには2.5質量%以下であってもよい。成分(E)の含有量を適切に調節することで、自動洗髪機用組成物を調製する際の乳化安定性が低下しにくくなる。
【0087】
自動洗髪機用組成物は、その他、多価アルコール(ポリオール)、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性高分子、フッ素化合物、加水分解ペプチド、ビタミン類、糖類、キレート剤、酸化防止剤、増粘剤、ゲル化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、溶剤、防腐剤、pH調整剤、香料、および/または水を、目的に応じて適量で含有しうる。
【0088】
自動洗髪機用組成物は、糖類およびポリオール等の保湿剤を含んでいてもよい。
【0089】
糖類の例は、単糖類、二糖類、三糖類、およびムコ多糖である。単糖類の例は、グルコースおよびフルクトースである。二糖類の例は、スクロースおよびトレハロースである。三糖類の例は、ラフィノースである。ムコ多糖類の例は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、およびアセチル化ヒアルロン酸である。
【0090】
ポリオールの例は、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ペンチレングリコール、ペンタエリスリトール、およびソルビトールである。
【実施例0091】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0092】
(自動洗髪機用組成物の調製)
表1~6の組成に従って、実施例および比較例に係る自動洗髪機用組成物を調製した。表中の「成分」の欄におけるA~Eの表記は、それぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)に対応する。表中の単位は、全て質量%である。各表の「成分」の欄における「-」の表記は、当該成分を含有していないことを意味する。「評価」の欄における「-」の表記は、当該官能試験を実施していないことを意味する。なお、成分(B)において、水添ナタネ油アルコールを使用した場合、次のようにして、自動洗髪機用組成物に含まれる成分(B)のモル数を算出した。水添ナタネ油アルコールは、ステアリルアルコールを35質量%~45質量%、アラキルアルコールを5質量%~15質量%、ベヘニルアルコールを45質量%~55質量%含む混合物である。そこで、実施例では、水添ナタネ油アルコールは、ステアリルアルコールを30質量%、アラキルアルコールを10質量%、ベヘニルアルコールを50質量%含む混合物として取り扱った。
【0093】
(人の毛髪における触感等の評価)
専門評価者が、タカラベルモント社製の自動洗髪機(AQUA FORTE plus (アクアフォルテ プラス) HS-1001TSM)を使用して、自動洗髪機用組成物を専門評価者自身の毛髪に塗布した。その後、自動洗髪機を用いて、組成物を水洗し、ドライヤーで毛髪を乾燥させた。乾燥後の毛髪について、毛髪の柔らかさ、毛髪のまとまり感、毛髪の指通りのよさを、それぞれ、「柔らかさ」、「まとまり」、および「指通り」として官能評価した。これらの官能評価は、専門評価者10名によって行われた。各評価項目について、「大変良い」場合を5、「良い」場合を4、「ふつう」の場合を3、「あまりよくない」場合を2、「悪い」場合を1と評価した。各評価項目について、専門評価者10名の平均点が、4.0以上であった場合を「◎」、3.0以上4.0未満であった場合を「○」、2.0以上3.0未満であった場合を「△」、2.0未満であった場合を「×」と評価した。結果を表1~6に示す。
【0094】
(頭皮への刺激の評価)
上記(人の毛髪における触感等の評価)と同じ操作を実施し、ドライヤーで毛髪を乾燥させた後の頭皮について、刺激感(かゆみ、ひりつき等)の有無について専門評価者自身が評価した。この官能評価は、専門評価者10名によって行われた。刺激があると評価した人が0名であった場合を「◎」、1名であった場合を「○」、2~3名であった場合を「△」、4名以上であった場合を「×」と評価した。結果を表1~6に示す。
【0095】
(自動洗髪機用組成物の水への溶解性)
自動洗髪機用組成物1gをビーカーに入れた。ここへ、上方から40℃の水道水を300g注ぎ込み、得られた溶液を目視で確認した。このとき、撹拌を必要とせず、速やかに自動洗髪機用組成物が溶解した場合を「◎」と評価した。水道水を注ぎ込んだ時点では自動洗髪機用組成物が溶解していなかったものの、撹拌することによって速やかに溶解した場合を「○」と評価した。水道水を注ぎ込み、撹拌した後、微量の自動洗髪機用組成物が溶け残ったが概ね溶解した場合を「△」と評価した。水道水を注ぎ込み、撹拌した後も、自動洗髪機用組成物のほとんどが溶け残った場合を「×」と評価した。結果を表1~6に示す。
【0096】
(自動洗髪機用組成物の安定性)
実験室内の冷暗所(室内)に自動洗髪機用組成物を6ヶ月保存したときの組成物の経時安定性を目視にて評価した。これとは別に、1℃または40℃に設定した恒温器に自動洗髪機用組成物を6ヶ月保存したときの組成物の経時安定性を目視にて評価した。さらに別の試験として、自動洗髪機用組成物について、サイクル試験(5℃/45℃)を6ヶ月実施し、組成物の経時安定性を目視にて評価した。サイクル試験の条件は以下のとおりであった。まず、5℃に設定した恒温器に組成物を6時間保存した後、6時間かけて恒温器内の温度を45℃に上昇させた。その後、45℃に設定した恒温器に組成物を6時間保存した後、6時間かけて恒温器内の温度を5℃に下降させた。サイクル試験では、上記操作を繰り返した。上記各条件で自動洗髪機用組成物を保存後6ヶ月経過後も、油が浮いていたり、自動洗髪機用組成物が相分離していたりしなかった場合を「◎」と評価した。自動洗髪機用組成物を保存後6ヶ月以内に、油が浮いていたり、自動洗髪機用組成物が相分離したりした場合を「○」と評価した。自動洗髪機用組成物を保存後1ヶ月以内に、油が浮いていたり、自動洗髪機用組成物が相分離したりした場合を「△」と評価した。自動洗髪機用組成物を保存後3日以内に、油が浮いていたり、自動洗髪機用組成物が相分離したりした場合を「×」と評価した。結果を表1~6に示す。
【0097】
(自動洗髪機用組成物の粘度)
B型粘度計(東機産業社製、TVB-10M)を用いて、JIS Z 8803:2011に記載の手法に準じて、25℃における自動洗髪機用組成物の粘度を測定した。粘度の測定は、No.3ローターまたはNo.4ローターを使用して、回転数30rpmの条件で実施した。結果を表1~6に示す。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
各実施例では、自動洗髪機での使用に適した組成物を得ることができた。加えて、成分(E)を含む実施例では、洗浄性に優れていた。
【0105】
実施例1に係る自動洗髪機用組成物は、水道水を注ぎ込むと速やかに溶解した(
図1;◎)。実施例4では、水道水を注ぎ込んで撹拌した後に、微量の自動洗髪機用組成物が溶け残っていたが、概ね溶解していた(
図2;△)。一方、比較例1では、水道水を注ぎ込んで撹拌した後も、自動洗髪機用組成物のほとんどが溶け残っていた(
図3;×)。水への溶解性が◎~△となった各実施例に係る組成物によれば、自動洗髪機への使用に適していることがわかった。なお、自動洗髪機を用いた洗髪では、水流による洗浄性を期待できるため、組成物自体が洗浄性を有することは必須ではない。また、長期間の保管における安定性に優れていることも望ましい特性ではあるが、自動洗髪機用組成物に必須の特性ではない。