IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-送風機 図1
  • 特開-送風機 図2
  • 特開-送風機 図3
  • 特開-送風機 図4
  • 特開-送風機 図5
  • 特開-送風機 図6
  • 特開-送風機 図7
  • 特開-送風機 図8
  • 特開-送風機 図9
  • 特開-送風機 図10
  • 特開-送風機 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179980
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0033 20190101AFI20231213BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F24F1/0033
F04D29/64 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092980
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三宮 敬樹
(72)【発明者】
【氏名】有吉 直人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊二
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB03
3H130AB04
3H130AB26
3H130AB60
3H130AC11
3H130BA35A
3H130BA66A
3H130CA21
3H130CA23
3H130DJ01X
3H130DJ06X
3L049BB07
3L049BC01
3L049BD03
(57)【要約】
【課題】吸込口から吸い込まれる空気よりも温度が低い空気を吹出口から吹き出すことができる送風機を得ること。
【解決手段】送風機100は、吸込口2と吹出口とを結ぶ風路が形成された本体箱体1と、各々が吸込口2から吹出口へ向かう気流を風路に形成する羽根車5と、羽根車5を回転させる電動機とを有し、本体箱体1内に並んで配置された複数の送風ユニット20と、本体箱体1の外部に設置されて、送風ユニット20によって吸込口から本体箱体1内に吸い込まれる空気と熱交換する熱交換器50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口とを結ぶ風路が形成された本体箱体と、
各々が前記吸込口から前記吹出口へ向かう気流を前記風路に形成する羽根車と、前記羽根車を回転させる電動機とを有し、前記本体箱体内に並んで配置された複数の送風ユニットと、
前記本体箱体の外部に設置されて、前記送風ユニットによって前記吸込口から前記本体箱体内に吸い込まれる空気と熱交換する熱交換器とを備えることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記送風ユニットごとに設けられることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記本体箱体の上方に設置されることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項4】
前記吸込口の上方に張り出す天面を備えた熱交換器取付板を有し、
前記熱交換器は、前記熱交換器取付板に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記熱交換器は、ペルチェ素子を備えることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項6】
前記ペルチェ素子の電源極性を切り替える極性スイッチを備えることを特徴とする請求項5に記載の送風機。
【請求項7】
前記熱交換器は、前記送風ユニットの送風方向と直交する方向かつ前記送風ユニットから遠ざかる方向に排気する排気ファンを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和された空気を送風する送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風機は、背面側に吸込口を有し、正面側に吹出口を有する本体箱体と、本体箱体の内部に設けられたモータと、モータの回転軸に取り付けられた軸流ファンと、吸込口に取り付けられたフィルター又は保護ガードと、本体箱体の側面に取り付けられた本体箱体の角度の調整可能な天吊脚とを備えている。このような構造の送風機は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-313603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大空間の建物は空調効率が低いため、大規模な空調設備が必要となり、空調設備の導入コスト及びランニングコストが非常に大きな負担となる。このため、特許文献1に開示されるように建物内に送風機を設置して、建物内部の空気を攪拌することによって空調効率を高めることが試みられることがある。しかし、送風機による送風のみ行うと、建物上部に滞留する熱気がユーザに当たってしまい、ユーザの体感温度を上昇させてしまう場合がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、吸込口から吸い込まれる空気よりも温度が低い空気を吹出口から吹き出すことができる送風機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る送風機は、吸込口と吹出口とを結ぶ風路が形成された本体箱体と、各々が吸込口から吹出口へ向かう気流を風路に形成する羽根車と、羽根車を回転させる電動機とを有し、本体箱体内に並んで配置された複数の送風ユニットを備える。送風機は、本体箱体の外部に設置されて、送風ユニットによって吸込口から本体箱体内に吸い込まれる空気と熱交換する熱交換器を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、吸込口から吸い込まれる空気よりも温度が低い空気を吹出口から吹き出すことができる送風機を得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る送風機の背面図
図2】実施の形態1に係る送風機の吸込口から吹出口に向かう方向と平行な方向における断面図
図3】実施の形態1に係る送風機の正面側の斜視図
図4】実施の形態1に係る送風機の背面側の斜視図
図5】実施の形態1に係る送風機の側面図
図6】実施の形態1に係る送風機の熱交換器の斜視図
図7】実施の形態1に係る送風機の熱交換器の断面図
図8】実施の形態1に係る送風機を設置した空間内の温度分布の一例を示す図
図9】実施の形態2に係る送風機のペルチェ素子と電源との間に配置される極性スイッチの状態を示す図
図10】実施の形態2に係る送風機のペルチェ素子と電源との間に配置される極性スイッチの状態を示す図
図11】実施の形態2に係る送風機のペルチェ素子と電源との間に配置される極性スイッチの状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態に係る送風機を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る送風機の背面図である。図2は、実施の形態1に係る送風機の吸込口から吹出口に向かう方向と平行な方向における断面図である。図3は、実施の形態1に係る送風機の正面側の斜視図である。図4は、実施の形態1に係る送風機の背面側の斜視図である。図5は、実施の形態1に係る送風機の側面図である。以下の説明において、吸込口2と吹出口3とを結ぶ方向を第1の方向とする。また、後述する複数の送風ユニット20の配列方向を第2の方向とする。第1の方向と第2の方向とは垂直である。また、第1の方向及び第2の方向のそれぞれに垂直な方向を第3の方向とする。各図において、矢印Xは第1の方向を示し、矢印Yは第2の方向を示し、矢印Zは第3の方向を示す。
【0011】
送風機100は、外郭を形成する箱状の本体箱体1と、本体箱体1内に設けられた複数の送風ユニット20とを備える。本体箱体1は、第2の方向を長手方向とする直方体の箱状である。本体箱体1の背面には吸込口2が設けられており、本体箱体1の正面には吹出口3が設けられている。本体箱体1の両側面には天吊脚21が設置されている。本体箱体1の内部には、吸込口2と吹出口3とを繋ぐ風路4が複数形成されている。風路4は、第1の方向に沿って延びている。複数の風路4は、第2の方向に等間隔に並んで形成されている。風路4の形状は、円筒形状である。実施の形態1では、風路4が五つ形成された構造を例示しているが、風路4の数は四つ以下でも六つ以上でもよい。吸込口2から本体箱体1に取り込まれた空気は、各風路4を通過して吹出口3から吹き出される。
【0012】
各風路4内には、送風ユニット20が設置されている。送風ユニット20は、背面側から正面側に向かう気流を発生させ、正面側へ吹き出す電気機器である。送風ユニット20は、羽根車5と、羽根車5が取り付けられた電動機6とを備えている。羽根車5は、第1の方向と平行な回転軸51を中心に回転することで、風路4内に吸込口2から吹出口3へ向かう気流を発生させる。送風ユニット20は、空気が本体箱体1の正面の吹出口3から吹き出されるように本体箱体1内に並べて収納されている。電動機6は、回転軸51を中心に羽根車5を回転させる。すなわち、回転軸51は、羽根車5の回転の中心軸であるとともに、電動機6のシャフトの回転の中心軸でもある。送風ユニット20は、各風路4に設けられた保持部15によって風路4上に係止されている。
【0013】
羽根車5は、回転の軸方向に気流を発生させる軸流羽根車である。羽根車5は、電動機6のシャフトに接続されるボス部52と、ボス部52から放射状に延びる複数の羽根部53とを有する。
【0014】
吸込口2は、第2の方向に沿って延びており、複数の風路4に跨がっている。風路4の壁面のうち、吸込口2側の端部から下流に向かう一定の区間には、上流側から下流側に向かうに従って径が縮小する縮径部21Aが形成されている。縮径部21Aは、ベルマウスの働きをする。なお、「上流」及び「下流」は、風路4における気流の流れを基準とした上流及び下流を意味する。
【0015】
吸込口2には、格子状に構成された保護ガード8が設けられている。保護ガード8は、各風路4内への異物侵入防止、指などが羽根に接触することの防止、及び万が一羽根などの部品が外れた場合の部品の飛散防止を図るために設けられている。なお、実施の形態1では、保護ガード8がワイヤを格子状に並べて構成されたものであるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、網で構成されてもよいし、金属板材に複数の穴を形成して得られるパンチングメタルで構成されてもよい。網又はパンチングメタルを用いて保護ガード8を構成しても、気流を通すことができ、異物侵入防止、けがの防止、及び部品の飛散防止といった上記の効果を得ることができる。
【0016】
吹出口3は、本体箱体1において、送風ユニット20を挟んで第1の方向における吸込口2の形成面とは反対側の面に形成されている。吹出口3は、第2の方向に沿って延びるスリット状に形成されており、複数の風路4に跨っている。すなわち、複数の風路4を通過した各々の気流は、吹出口3においてまとまり、帯状の気流となって吹き出される。本体箱体1には複数の吹出口3が形成され、吹出口3同士は互いに間隔を空けて第3の方向に沿って並べて形成される。すなわち、吹出口3は、第3の方向において間隔を空けて複数が並列して形成されている。なお、実施の形態1では、吹出口3Aと吹出口3Bとの二つの吹出口3が本体箱体1に形成されている。吹出口3Aと吹出口3Bとは、複数の回転軸51を含む平面を挟んで対称に形成されている。すなわち、吹出口3Aと吹出口3Bとは、複数の回転軸51を含む平面を挟んで互いに反対側に配置されている。
【0017】
風路4には、電動機6よりも下流側で吸込口2側から吹出口3側に向かうにしたがって流路面積が漸減するノズル部9が形成されている。ノズル部9は、ノズル傾斜部9Aとノズル平坦部9Bとを有している。ノズル傾斜部9Aは、第3の方向において回転軸51を中心にして風路4を均等に絞り、風路4の流路面積を漸減させるように傾斜状に形成されているものである。一方、ノズル平坦部9Bは、回転軸51と平行に形成され、本体箱体1の吹出口3に接続されている。すなわち、ノズル平坦部9Bは、吹出口3側の端部から羽根車5に向かう一定の区間を回転軸51に平行とした平行部である。
【0018】
第3の方向に並べて形成された吹出口3同士の間には、第2の方向に延びるガイド部7が設けられている。ガイド部7が設けられていることにより、吹出口3は、吹出口3A及び吹出口3Bの二手に分割されている。吹出口3A及び吹出口3Bは、第2の方向に延びている。ガイド部7は、第1の方向及び第3の方向とがなす平面に平行な断面において、ガイド部7の第3の方向における中心位置を頂点とする円弧状に形成されたガイド凸部7Aと、ガイド凸部7Aの下流側に形成されたガイド平坦部7Bとを有している。
【0019】
ガイド凸部7Aは、第1の方向と第3の方向とがなす平面に平行かつ回転軸51を含む断面において、吹出口3から電動機6側に離れるほど第3の方向における寸法が小さくなる。風路4のノズル平坦部9Bと対向するガイド平坦部7Bは、ノズル平坦部9Bと平行になっている。ガイド部7は、全体として、複数の回転軸51を含む平面を挟んで対称な形状で形成されている。
【0020】
送風機100は、天井面に取り付けた吊ボルトに天吊脚21を固定することにより、建物の天井から吊り下げて設置できる。羽根車5が回転することにより、図2に矢印Fにて示すように、保護ガード8のスリットの隙間から空気が送風機100内に流入する。送風機100内に流入する空気の気流は、各吸込口2から各風路4内に流入する。各風路4に流入した気流には、羽根車5によって静圧及び動圧が付加される。羽根車5を通過した気流は、ガイド部7及びノズル部9の作用により二手に分割される。ガイド部7及びノズル部9の作用により二手に分割された気流は、第2の方向に延びる帯状気流となって吹出口3から空調対象空間に放出される。吹出口3から空調対象空間に放出される帯状気流は、エアカーテン及びサーキュレーションといった用途に用いられる。
【0021】
図4に示すように、送風ユニット20の吸込口2の第3の方向の一端部には、熱交換器取付板60が設けられ、各送風ユニット20に対応して複数の熱交換器50が第2の方向に等間隔で並んで設置される。熱交換器50は、吸込口2から風路4に吸い込まれる空気の温度を低下させる。
【0022】
熱交換器50は、ペルチェ素子30を備えている。熱交換器50は、本体箱体1の外部に設置されている。より詳細には、熱交換器50は、熱交換器取付板60に設置されており、本体箱体1の天面に対し垂直に固定されている。熱交換器取付板60は、吸込口2の上方に張り出す天面61と、吸込口2を側方に張り出す側面62とを備える。熱交換器取付板60は、送風ユニット20同士の間の位置で、補強板70により保護ガード8に固定される。
【0023】
なお、熱交換器50は、必ずしも送風ユニット20ごとに設けられていなくてもよい。
【0024】
図6は、実施の形態1に係る送風機の熱交換器の斜視図である。図7は、実施の形態1に係る送風機の熱交換器の断面図である。熱交換器50は、熱交換素子であるペルチェ素子30と、排熱ファン10と、放熱フィン90とを備える。排熱ファン10及び放熱フィン90は、ケース80に収容されている。ケース80は、直方体状であり、第1の方向の両側面及び第2の方向の両側面の4面に吸気口81が形成されている。また、ケース80は、上面に排気口82が形成されている。
【0025】
ペルチェ素子30は、電流を流すことにより一面から他面へ熱が異動するペルチェ効果を利用した素子である。ペルチェ素子30は、第1面31が熱交換器取付板60に熱的に接触するように取付けられる。第2面32には放熱フィン90が熱的に接続される。熱交換器50は、排熱ファン10により吸気口81から吸い込まれた空気が放熱フィン90を通過し、排気口82から排気される構造である。ペルチェ素子30は、第1面31が吸熱面となって冷却され、第2面32が放熱面となって加熱される。排気が放熱フィン90を通過する際に熱交換が行われ、放熱フィン90から排気に熱が移動し、排熱される。
【0026】
ペルチェ素子30は、第2面32が本体箱体1の吸込口2と直角をなすように設置されている。
【0027】
図5に黒塗りの矢印で示すように、送風ユニット20により吸込口2から風路4に吸い込まれて吹出口3から吹き出される気流が発生する。また、熱交換器50は、図5に白抜きの矢印で示すように、排熱ファン10が吸気口81からケース80に吸い込まれて排気口82から吹き出される気流を発生させる。
【0028】
送風ユニット20が吸込口2から吸い込む空気は、熱交換器取付板60の天面61と熱交換が行われ、熱交換器50により冷却された空気が吹出口3から吹き出される。送風ユニット20の吸込空気→熱交換器取付板60→ペルチェ素子30→放熱フィン90→排熱ファン10の排気の順に熱が伝わることにより排熱される。したがって、送風機100は、送風ユニット20により吸込口2から吸い込んだ空気を冷却して吹出口3から吹き出すことができる。
【0029】
ペルチェ素子30によって冷却された空気は、吸込口2から吸い込まれる空気よりも温度が低く比重が大きいため、吹出口3から吹き出された後に進行方向が徐々に下方向に変化していく。これにより、水平方向よりも下向きに吹き出された気流が直接当たることによる冷風感を緩和しつつ、室内を冷却することができる。
【0030】
熱交換器50の排熱ファン10による排気は、送風ユニット20による送風とは独立して行われる。
【0031】
排熱ファン10の排気方向は、送風ユニット20による送風方向と直交しており、送風ユニット20から遠ざかる方向となっている。このように排熱ファン10を配置することにより、送風ユニット20の送風とは異なる方向に熱交換器50の排熱を排気することができ、送風機100の送風による冷却効果を妨げることがない。すなわち、熱交換器50は、本体箱体1の外部に設置されているため、熱交換器50の排熱が本体箱体1の内部に溜まることはなく、吹出口3から吹き出される空気の温度が上昇することを抑制できる。
【0032】
送風機100は、熱交換器50にペルチェ素子30を用いているため、工場又は倉庫といった大規模空間に設置するにあたって、室外機及びダクト配管などに制約を受けることがない。
【0033】
図8は、実施の形態1に係る送風機を設置した空間内の温度分布の一例を示す図である。建物200の壁201に換気口202を設けるとともに、天井203付近に送風機100を設置することにより、天井203付近に熱気が滞留することを防止できる。外気温が34℃のとき、送風機100を設置しておらず、かつ壁201に換気口202を設けていない建物200の床面204付近の温度は41℃であるとする。同じく外気温34℃の環境において、実施の形態1に係る送風機100を設置し、吸込み温度を約2℃低下させた冷風を吹出口3から吹出した場合、建物200の床面204付近の温度は38℃となった。したがって、実施の形態1に係る送風機100により、建物200の床面204付近の温度を3℃低くして作業環境の改善が可能であることが示される。
【0034】
なお、上記の説明においては、熱交換素子であるペルチェ素子30を備えた熱交換器50を用いた送風機100について説明したが、熱交換器50は、送風ユニット20によって吸込口2から本体箱体1内に吸い込まれる空気と熱交換を行えるのであれば、ペルチェ素子30を備えていなくてもよい。すなわち、熱交換器50は、送風ユニット20によって吸込口2から本体箱体1内に吸い込まれる空気と熱交換可能であれば、特定の構成に限定されない。
【0035】
実施の形態2.
ペルチェ素子30は、電源の極性を入れ替えることにより吸熱面と放熱面とを切り替えることが可能である。実施の形態2では、ペルチェ素子30の吸熱面と放熱面とを切り替える機能を有する送風機100について説明する。
【0036】
図9図10及び図11は、実施の形態2に係る送風機のペルチェ素子と電源との間に配置される極性スイッチの状態を示す図である。実施の形態2に係る送風機100は、ペルチェ素子30に直流電流を供給する直流電源41と、ペルチェ素子30に流れる電流の極性を逆転させる極性スイッチ42とを有する。
【0037】
図9は、実施の形態2に係る送風機100の極性スイッチ42の第1状態を示している。第1状態では、直流電源41の正極側Vpがペルチェ素子30の第2面32側の第2端子P2に接続され、直流電源41の負極側Vmがペルチェ素子30の第1面31側の第1端子P1に接続されている状態を示している。このとき、第1面31側が吸熱面、第2面32側が放熱面となる。図9に示す第1状態は、実施の形態1に係る送風機100と同じ状態である。
【0038】
図10は、実施の形態2に係る送風機100の極性スイッチ42の第2状態を示している。第2状態では、直流電源41の正極側Vpがペルチェ素子30の第1面31側の第1端子P1に接続され、直流電源41の負極側Vmがペルチェ素子30の第2面32側の第2端子P2に接続される。このとき、第2面32側が吸熱面、第1面31側が放熱面となる。
【0039】
図11は、実施の形態2に係る送風機100の極性スイッチ42の第3状態を示している。第3状態では、直流電源41とペルチェ素子30とが分離され、ペルチェ素子30には電流が流れず、ペルチェ素子30は放熱も吸熱も行わない。
【0040】
このように、実施の形態2に係る送風機100は、極性スイッチ42の極性を切り替えることで、ペルチェ素子30に流す電流の極性を切り替えることができるので、ペルチェ素子30の吸熱面と放熱面とを切り替えることができる。これにより、吹出口3から吹き出す気流を冷却するか加熱するかを切り替えることができる。また、極性スイッチ42を第3状態とすることで、ペルチェ素子30を直流電源41から切り離し、冷却、加熱のいずれも起こさない状態とすることもできる。
【0041】
以上の実施の形態に示した構成は、内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0042】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0043】
(付記1)
吸込口と吹出口とを結ぶ風路が形成された本体箱体と、
各々が前記吸込口から前記吹出口へ向かう気流を前記風路に形成する羽根車と、前記羽根車を回転させる電動機とを有し、前記本体箱体内に並んで配置された複数の送風ユニットと、
前記本体箱体の外部に設置されて、前記送風ユニットによって前記吸込口から前記本体箱体内に吸い込まれる空気と熱交換する熱交換器とを備えることを特徴とする送風機。
(付記2)
前記熱交換器は、前記送風ユニットごとに設けられることを特徴とする付記1に記載の送風機。
(付記3)
前記熱交換器は、前記本体箱体の上方に設置されることを特徴とする付記1又は2に記載の送風機。
(付記4)
前記吸込口の上方に張り出す天面を備えた熱交換器取付板を有し、
前記熱交換器は、前記熱交換器取付板に取り付けられることを特徴とする付記3に記載の送風機。
(付記5)
前記熱交換器は、ペルチェ素子を備えることを特徴とする付記1から4のいずれか一つに記載の送風機。
(付記6)
前記ペルチェ素子の電源極性を切り替える極性スイッチを備えることを特徴とする付記5に記載の送風機。
(付記7)
前記熱交換器は、前記送風ユニットの送風方向と直交する方向かつ前記送風ユニットから遠ざかる方向に排気する排気ファンを有することを特徴とする付記1から6のいずれか一つに記載の送風機。
【符号の説明】
【0044】
1 本体箱体、2 吸込口、3,3A,3B 吹出口、4 風路、5 羽根車、6 電動機、7 ガイド部、7A ガイド凸部、7B ガイド平坦部、8 保護ガード、9 ノズル部、9A ノズル傾斜部、9B ノズル平坦部、10 排熱ファン、15 保持部、20 送風ユニット、21 天吊脚、21A 縮径部、30 ペルチェ素子、31 第1面、32 第2面、41 直流電源、42 極性スイッチ、50 熱交換器、51 回転軸、52 ボス部、53 羽根部、60 熱交換器取付板、61 天面、62 側面、70 補強板、80 ケース、81 吸気口、82 排気口、90 放熱フィン、100 送風機、200 建物、201 壁、202 換気口、203 天井、204 床面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11