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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179987
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ドア開口の浸水抑止具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/21 20060101AFI20231213BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E06B7/21
E06B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093002
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】スウ ガイキ
(72)【発明者】
【氏名】市村 仁志
(72)【発明者】
【氏名】菅 将憲
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036DA08
2E036EA02
2E036EA03
2E036EB06
2E036EC05
2E036GA02
2E036HB14
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】ドア開口に対する止水効果を出すために扉体が閉められる必要が無く、パテ等で扉体とドア枠の隙間を塞ぐ必要もないドア開口の浸水抑止具を提供する。
【解決手段】ドア開口の浸水抑止具1は、ドア開口81を開閉する扉体82が回動可能にドア枠83に支持されるドア8に取り付けられる。この浸水抑止具1は、ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側および沓摺83bの各々の屋外側面に対向する縁部を有する止水板11と、この止水板11の上記縁部の屋内側面に位置するシール部材12と、左右の縦戸当たり83aの下部側の屋内側面に対向する縁部を有し、左右の縦戸当たり83aの下部側を挟んで上記止水板11に対向して配置される固定板13と、止水板11と固定板13とを互いに連結して引き合わせる連結部材14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口を開閉する扉体を支持するドア枠に取り付けられるドア開口の浸水抑止具であって、
上記ドア枠の左右の縦部材の下部側および上記ドア枠の下部の横部材の各々の屋外側面に対向する縁部を有し、上記ドア開口の下部側を封鎖するように配置される止水板と、
上記止水板の上記縁部の屋内側面に位置するシール部材と、
上記ドア枠の左右の縦部材の下部側の屋内側面に対向する縁部を有し、上記ドア枠の左右の縦部材の下部側を挟んで上記止水板に対向して配置される固定板と、
上記止水板と上記固定板とを互いに連結して引き合わせる連結部材と、
を備えることを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【請求項2】
請求項1に記載のドア開口の浸水抑止具において、上記止水板と上記固定板との間に、これら止水板と固定板との間隔を保持するスペーサーを備えることを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【請求項3】
請求項1に記載のドア開口の浸水抑止具において、上記連結部材は、上記止水板の屋内側面に固定された雄螺子部材と、上記固定板に形成された挿通孔に通された上記雄螺子部材に螺合される雌螺子部材と、からなることを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【請求項4】
請求項1に記載のドア開口の浸水抑止具において、少なくとも、上記止水板における上記縁部および上記連結部材が装着される領域が板材からなることを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【請求項5】
請求項1に記載のドア開口の浸水抑止具において、上記止水板の底部に底部シール部材を有することを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【請求項6】
請求項1に記載のドア開口の浸水抑止具において、上記固定板にリブ部を有することを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【請求項7】
請求項1に記載のドア開口の浸水抑止具において、上記固定板における上記ドア枠の左右の縦部材の下部側に対向する縁部および上記連結部材が装着される領域を除く部分の全部または一部が切り欠かれていることを特徴とするドア開口の浸水抑止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドア開口からの外水の浸入を抑止する浸水抑止具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドア枠に開き戸式の扉体が開閉可能に取り付けられ、下枠の内側に下部戸当りが凸設され、ドア枠、戸当りおよび扉体に対して着脱可能な板材が戸当りに立て掛けられ、板材の下端部に沿って下部シールが設けられ、板材の側端部に沿って側部シールが設けられ、扉体が閉じた状態において板材の下端部と下部シールとが戸当りと扉体との間に挟持され、板材の側端部と側部シールとが戸当りと扉体との間に挟持される防水ドア構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-218794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記防水ドア構造は、上記扉体が閉じた状態において、上記板材の下端部と上記下部シールとが上記戸当りと上記扉体との間に挟持され、上記板材の側端部と上記側部シールとが上記戸当りと上記扉体との間に挟持される構造であるため、上記ドア開口に対する止水効果を出すためには、扉体が閉められている必要がある。このため、屋内から屋外へ避難する必要が生じた場合に、この屋外への避難が困難になるおそれがある。
【0005】
また、パテ等でドアとドア枠の隙間を塞ぐ対策では、外水が引いた後にパテを撤去する必要があり、この撤去作業に手間がかかる等の欠点がある。
【0006】
この発明は、ドア開口に対する止水効果を出すために扉体が閉められる必要が無く、パテ等で扉体とドア枠の隙間を塞ぐ必要もないドア開口の浸水抑止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のドア開口の浸水抑止具は、ドア開口を開閉する扉体を支持するドア枠に取り付けられるドア開口の浸水抑止具であって、
上記ドア枠の左右の縦部材の下部側および上記ドア枠の下部の横部材の各々の屋外側面に対向する縁部を有し、上記ドア開口の下部側を封鎖するように配置される止水板と、
上記止水板の上記縁部の屋内側面に位置するシール部材と、
上記ドア枠の左右の縦部材の下部側の屋内側面に対向する縁部を有し、上記ドア枠の左右の縦部材の下部側を挟んで上記止水板に対向して配置される固定板と、
上記止水板と上記固定板とを互いに連結して引き合わせる連結部材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記連結部材によって、上記止水板と上記固定板とが互いに引き合い、上記止水板と上記固定板とが上記ドア枠の左右の縦部材の下部側を挟み込むので、ドア開口に対する止水効果を出すために扉体が閉められている必要は無く、屋内から屋外へ避難する必要が生じた場合には、上記ドア開口から避難することができる。また、上記シール部材が、上記ドア枠の左右の縦部材の下部側および上記ドア枠の下部の横部材の各々の屋外側面と上記止水板の上記縁部との間に介在するので、パテ等で扉体とドア枠の隙間を塞がなくても、外水が上記止水板をすり抜けて屋内に浸水するのを抑止することができる。
【0009】
上記止水板と上記固定板との間に、これら止水板と固定板との間隔を保持するスペーサーを備えてもよい。これによれば、上記連結部材による上記止水板と上記固定板との引き合わせで上記止水板や上記固定板が過剰に撓むのを抑制することができる。
【0010】
上記連結部材は、上記止水板の屋内側面に固定された雄螺子部材と、上記固定板に形成された挿通孔に通された上記雄螺子部材に螺合される雌螺子部材と、からなっていてもよい。これによれば、螺子の締め付け力で上記止水板と上記固定板とを互いに連結させて引き合わせることができる。また、上記雄螺子部材は上記止水板の屋内側面に固定されており、上記止水板の屋外側面に上記雄螺子部材が突出しないので、当該浸水抑止具の装着状態においても、上記扉体を閉めることができる態様とすることが容易になる。
【0011】
上記止水板における上記縁部および上記連結部材が装着される領域が板材からなっていてもよい。すなわち、上記止水板は、その全体が板材からなるものに限らず、上記縁部および上記連結部材が装着される領域のみが板材からなり、この板材に防水シート等が接着された構造のものとすることができる。
【0012】
上記止水板の底部に底部シール部材を有してもよい。これによれば、外水が上記止水板の底側から浸入して上記シール部材に至るのを、上記底部シール部材によって抑制することができる。
【0013】
上記固定板にリブ部を有してもよい。これによれば、当該固定板の肉厚を薄くしつつ、当該固定板の面外方向の荷重に対する剛性を高めることができる。
【0014】
上記固定板における上記ドア枠の左右の縦部材の下部側に対向する縁部および上記連結部材が装着される領域を除く部分の全部または一部が切り欠かれていてもよい。これによれば、当該固定板の軽量化が図れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、ドア開口に対する止水効果を出すために扉体が閉められている必要が無いので、屋内から屋外へ避難する必要が生じた場合には、上記ドアから避難することができ、また、パテ等で扉体とドア枠の隙間を塞ぐ必要もないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態のドア開口の浸水抑止具および当該浸水抑止具が取り付けられた玄関ドアを示した概略の斜視図である。
図2】同図(A)は扉体が開けられた状態の玄関ドアの水平断面図であり、同図(B)は扉体が閉じられた状態の玄関ドアの水平断面図である。
図3】実施形態のドア開口の浸水抑止具の止水板側の屋内面側の構成および固定板を示した概略の斜視図である。
図4】同図(A)は扉体が開けられた状態の玄関ドアおよび実施形態のドア開口の浸水抑止具を示した水平断面図であり、同図(B)は扉体が閉じられた状態の玄関ドアおよび実施形態のドア開口の浸水抑止具を示した水平断面図である。
図5】玄関ドアに取り付けられた実施形態の浸水抑止具の屋内側から見た正面図である。
図6図5のA-A矢視の概略の拡大縦断面図である。
図7】同図(A)は実施形態のドア開口の浸水抑止具の連結部材の他の例を示した概略の拡大斜視図であり、同図(B)は同縦断面による説明図である。
図8】玄関ドアに取り付けられた他の実施形態の浸水抑止具の概略の拡大縦断面図である。
図9】玄関ドアに取り付けられた他の実施形態の浸水抑止具の屋内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のドア開口の浸水抑止具1は、例えば、玄関ドア8に取り付けて用いられる。浸水抑止具1の玄関ドア8への取り付けは、例えば、豪雨により自宅への外水の接近が予想される場合に行われる。通常時においては、浸水抑止具1は、専用のバッグに収納されるか、或いは、玄関等に設けた収納ボックス等に収納することができる。
【0018】
玄関ドア8は、図2(A)および図2(B)にも示すように、ドア開口81を開閉する扉体82がヒンジ84によって回動可能にドア枠83に支持される構造を有する。上記ドア枠83は、上側戸当たり(図示せず)と、左右の縦部材としての縦戸当たり83aと、下部の横部材としての沓摺83bと、を有する。
【0019】
上記の上側戸当たり、縦戸当たり83a、および沓摺83bの各々の屋外側面には、風雨の屋内への浸入を阻止するゴムパッキン85が貼付されている。このゴムパッキン85は、例えば、内部が空洞で変形容易であり、上記扉体82が閉じられることで、この扉体82に押圧されて変形し、扉体82の縁部の屋内面側と、上記上側戸当たり、縦戸当たり83a、および沓摺83bの各々の屋外側面との間を封止する。なお、一般に、ゴムパッキン85によって、外水の屋内への浸入を阻止することは困難である。
【0020】
浸水抑止具1は、図3図4(A)および図4(B)にも示すように、止水板11と、シール部材12と、固定板13と、連結部材14と、スペーサー15と、を備える。なお、図3では、止水板11は床上に立てられており、固定板13は床上に寝かされている。また、図4(A)および図4(B)では、スペーサー15は省略されている。
【0021】
止水板11は、例えば、腐食しにくいステンレスやアルミニウム合金を素材として形成された板材であり、高さは、例えば20cm~50cm程度とされ、上記ドア開口81の下部側を封鎖するように配置される。また、止水板11は、その横幅が上記ドア開口81の横幅(左右の縦戸当たり83a・83aの内側面間)よりも広幅であり、上記ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側および沓摺83bの各々の屋外側面に対向する縁部を有する。なお、止水板11は、外水を受ける際の押圧力で変形を生じない程度の剛性を有するのが望ましい。
【0022】
シール部材12は、上記止水板11における上記縁部の屋内側面に予め貼付されている。なお、シール部材12を止水板11とは別体のものとし、浸水抑止具1をドア枠83に取り付ける際に、上記止水板11に取り付けるようにしてもよい。シール部材12は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエン)ゴムを材料としたテープ等からなる。また、シール部材12は、一例として、ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの突出量(横幅)よりも広い幅を有しており、また、厚さは1cm程度とされ、浸水抑止具1がドア枠83に取り付けられた際に、上記ゴムパッキン85に覆い被さるようになっている。なお、シール部材12は、EPDMゴムに限らないが、容易に変形してシール性を確保できる部材であるのが望ましい。
【0023】
固定板13は、例えば、止水板11と同様に、ステンレスやアルミニウム合金を素材として形成された板材であり、高さは、例えば20cm~50cm程度とされる。また、固定板13は、上記ドア開口81の横幅(左右の縦戸当たり83a・83aの内側面間)よりも広幅であり、上記ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側の屋内側面に対向する縁部を有する。固定板13は、上記沓摺83b上に置かれて、上記ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側を挟んで上記止水板11に対向するように配置される。
【0024】
さらに、固定板13の左右の上記縁部よりもドア開口81側の位置には、それぞれ縦方向に所定間隔で複数の挿通孔13aが形成されている。また、固定板13の下部側には横方向に所定間隔で複数の挿通孔13aが形成されている。なお、この実施形態では、固定板13の屋外側面には、ゴム板13bが貼付されており、このゴム板13bにも、上記挿通孔13aと同位置に挿通孔が形成されている。
【0025】
連結部材14は、上記止水板11と上記固定板13とを互いに連結して引き合わせる。この実施形態では、上記連結部材14は、上記挿通孔13aの並びと同じ配置で上記止水板11の屋内側面に固定された複数の雄螺子部材14aと、上記挿通孔13aに通された各雄螺子部材14aに螺合される雌螺子部材14bと、からなる。上記雄螺子部材14aは、例えば、頭部付きのボルトであり、その螺子部が固定板13の面に対して直交するように、上記頭部が上記止水板11の屋内側面に溶接されており、上記止水板11の設置時には、上記螺子部は水平に屋内方向を向く。なお、上記溶接に限らず固着力が強い接着剤で上記頭部を上記止水板11の屋内側面に接着固定してもよい。
【0026】
スペーサー15は、例えば、縦戸当たり83aの厚さと同じか幾分薄い厚さを有する板状体であり、止水板11と固定板13との間で、これら止水板11と固定板13との間隔を保持する。この実施形態では、スペーサー15は、軽量の発泡樹脂等からなり、止水板11の屋内側面に予め貼付されている。
【0027】
上記浸水抑止具1の玄関ドア8への取り付けは、上記扉体82を開けた状態で、図5および図6にも示すように、上記ドア枠83の左右の縦戸当たり83aを挟んで屋外側に止水板11を配置し、屋内側に固定板13を配置する。この固定板13の設置においては、上記挿通孔13aに上記雄螺子部材14aが通され、この雄螺子部材14aに雌螺子部材14bが螺合される。この螺合によって、シール部材12およびゴムパッキン85は押しつぶされ、シール部材12がゴムパッキン85に覆い被さる。
【0028】
上記の構成であれば、連結部材14によって、止水板11と固定板13とが互いに引き合い、止水板11と固定板13とでドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側を挟持するので、ドア開口81に対する止水効果を出すために扉体82が閉められている必要は無く、屋内から屋外へ避難する必要が生じた場合には、扉体82を開けて避難することができる。また、シール部材12が、ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側および沓摺83bの各々の屋外側面と、止水板11の上記縁部との間に介在するので、パテ等で扉体82とドア枠83の隙間を塞がなくても、外水が止水板11をすり抜けて屋内に浸水するのを抑止することができる。
【0029】
また、スペーサー15を備えていると、上記連結部材14による上記止水板11と上記固定板13との引き合わせで上記止水板11や上記固定板13が撓むのを抑制することができる。なお、スペーサー15は、板状体に限らない。例えば、スペーサー15は、上記縦戸当たり83aの厚さと同程度の長さを有し、雄螺子部材14aに外嵌めされるパイプ部材でもよい。
【0030】
連結部材14が、雄螺子部材14aと雌螺子部材14bとからなると、螺子の締め付け力で止水板11と固定板13とを互いに引き合わせて連結させることができる。また、雄螺子部材14aが止水板11の屋内側面に固定されると、止水板11の屋外側面には雄螺子部材14aが突出せず、当該浸水抑止具1の装着状態においても、上記扉体82を閉めることができる態様とすることが容易になる。なお、上記連結部材14は、このような螺子構造に限らない。例えば、上記連結部材14は、図7(A)および図7(B)に示すように、上記雄螺子部材14aに代わる棒状部14dを有し、この棒状部14dに形成されている横貫通角孔14eに楔14fを入れ込むことで、上記止水板11と上記固定板13とを互いに連結して引き合わせる構造であってもよい。
【0031】
また、少なくとも、止水板11における上記縁部(ドア枠83の左右の縦戸当たり83aの下部側および沓摺83bの各々の屋外側面に対向する縁部)および連結部材14が装着される領域が板材からなっていればよい。すなわち、止水板11は、その全体が板材からなるものに限らず、上記縁部および連結部材14が装着される領域が板材からなり、この板材に例えば防水シートが水密状態に接着された構造のものでもよい。
【0032】
また、図8に示すように、固定板13は、例えば、屋内方向に突出し当該固定板13の下辺に沿って横方向に延びて当該固定板13の左右の上記縁部に至るリブ部13cを有してもよい。これによれば、当該固定板13の肉厚を薄くしつつ、当該固定板13の面外方向の荷重に対する剛性を高めることができる。さらに、リブ部13cが固定板13の下辺に沿って形成されていると、当該固定板13の下部側の折り曲げ加工等で上記リブ部13cを得ることができる。なお、リブ部13cが固定板13の下辺に沿って形成される構造に限らない。リブ部13cは固定板13の下辺以外の箇所に形成されてもよい。
【0033】
また、止水板11の底部に底部シール部材12Aを有してもよい。底部シール部材12Aはシール部材12と同様の素材からなっていてもよい。これによれば、外水が止水板11の底側から浸入してシール部材12に至るのを、底部シール部材12Aによって抑制することができる。
【0034】
また、図9に示すように、固定板13における、縦戸当たり83aの下部側に対向する縁部および連結部材14が装着される領域(上記縁部の近傍領域および沓摺83bの上方に位置する下縁領域)を除く部分の全部または一部が、切り欠かれていてもよい。これによれば、当該固定板13の軽量化が図れる。図9に示した例では、固定板13は、縦戸当たり83aの下部側に対向する縁部および連結部材14が装着される領域のみを有した略凹字形をなしているが、このような略凹字形に限らず、中央に開口を切り抜いた形状としてもよい。このような開口を切り抜いた固定板13は、上記開口を利用して当該固定板13を持つことが容易であるという利点がある。
【0035】
なお、この実施形態の浸水抑止具1は、止水板11をドア開口81に取り付けた状態でも、扉体82を通常通り閉めことができるという利点があるが、このような形態の浸水抑止具1に限られない。ドア開口81に対する止水効果を出すために扉体82は閉められる必要は無いので、止水板11をドア開口81に取り付けた状態では扉体82が閉じられない態様としてもよい。このような扉体82が閉じられない態様では、上記雄螺子部材14aを用いる構造に代えて、止水板11にもボルト挿通孔を形成しておき、上記雄螺子部材14aに代わる頭部付きボルトを上記ボルト挿通孔に屋外側から通す構造とすることができる。上記頭部付きボルトの頭部下にはゴム等からなる止水ワッシャーが装着される。
【0036】
また、上述したように、上記ゴムパッキン85が変形性に優れたものである場合には、シール部材12は、上記変形に追従してシール性を確保できる素材から成るのが望ましいが、上記ゴムパッキン85としてあまり変形しないものが用いられる場合には、シール部材12は変形追従性が低いものでもよい。
【0037】
また、ゴム板13bを固定板13の下端にも有し、この部分のゴム板13bが沓摺83bの上面に接する構造としてもよく、このような構造であれば、仮に、止水板11で止水しきれなかった少量の水が屋内へ浸入してくるのを防ぐことが可能である。また、ゴム板13bが縦戸当たり83aの屋内面側の下部側にも位置していると、縦戸当たり83aの下部側の屋内面側の下部側でも止水機能が発揮され、止水板11で止水しきれなかった水が固定板13を越えて屋内へ浸入してくるのを抑制することが可能である。なお、この浸水抑制のためには、雄螺子部材14aの先端側にシールテープを巻いて雌螺子部材14bを螺合させるのが望ましい。
【0038】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 :ドア開口の浸水抑止具
8 :玄関ドア
11 :止水板
12 :シール部材
12A :底部シール部材
13 :固定板
13a :挿通孔
13b :ゴム板
13c :リブ部
14 :連結部材
14a :雄螺子部材
14b :雌螺子部材
14d :棒状部
14f :楔
15 :スペーサー
81 :ドア開口
82 :扉体
83 :ドア枠
83a :縦戸当たり(左右の縦部材)
83b :沓摺(下部の横部材)
84 :ヒンジ
85 :ゴムパッキン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9