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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179990
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20231213BHJP
   D06F 37/26 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
D06F39/12 A
D06F37/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093009
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山田 滉大
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】松下 克則
(72)【発明者】
【氏名】黒田 恵
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴代美
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AA12
3B165AB24
3B165AE02
3B165BA50
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA05
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB31
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW01
3B165GA02
3B165GH02
(57)【要約】
【課題】蓋部材の厚みの外部への露出を抑え、蓋部材を保護するとともに洗練された外観を備えた衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、上部が開口した矩形の箱状に形成されて内部に水槽を収容する筐体と、筐体の上部に設けられて、前面部と、上面部と、左右の側面部と、上面部の中央部に形成されて水槽の内部と連通する投入口と、を有するトップカバーと、トップカバーに回動可能に支持されて投入口を開閉する蓋部材と、を備える。トップカバーは、上面部から上方に突出して前後方向に延びて、蓋部材を閉じた閉状態において蓋部材の少なくとも一部と左右方向外側に重なる突条部を有する。突条部は、トップカバーの側面部側に位置する外側面と、外側面と対向する内側面と、外側面と内側面との間に形成された上端面と、を有する。上端面は、トップカバーの前部において上面部と滑らかに接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した矩形の箱状に形成されて内部に水槽を収容する筐体と、
前記筐体の上部に設けられて、前面部と、上面部と、左右の側面部と、前記上面部の中央部に形成されて前記水槽の内部と連通する投入口と、を有するトップカバーと、
前記トップカバーに回動可能に支持されて前記投入口を開閉する蓋部材と、を備え、
前記トップカバーは、前記上面部から上方に突出して前後方向に延びて、前記蓋部材を閉じた閉状態において前記蓋部材の少なくとも一部と左右方向外側に重なる突条部を有し、
前記突条部は、前記トップカバーの前記側面部側に位置する外側面と、前記外側面と対向する内側面と、前記外側面と前記内側面との間に形成された上端面と、を有し、
前記上端面は、前記トップカバーの前部において前記上面部と滑らかに接続されている、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記トップカバーの前記側面部は前部に前記衣類処理装置の左右方向の中心に向けて湾曲して前記前面部と接続する湾曲部を有しており、
前記突条部の前部は、前記湾曲部に沿って湾曲して前記上面部に接続する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記トップカバーの前記上面部は、前に進むほど下方に傾斜した切欠き部を前端部に有し、
前記突条部の前記上端面の前端部は前記切欠き部に接続されている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記内側面は、前記上面部に向けて前記衣類処理装置の左右方向に関する中心に向かうほど下方に傾斜した傾斜面又は曲面を形成する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記突条部の前記内側面は、前記閉状態において前記蓋部材の左右方向への移動を規制する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記突条部の前記上端面は、前記閉状態において前記蓋部材の左右の側縁部と接する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記閉状態において、前記上面部は前記突条部の前記上端面とともに前記蓋部材を支持する、
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記蓋部材は、前記閉状態における後端部に下方に向けて突出して形成されて開閉の際の回動の軸となる回動部を有し、
前記トップカバーは、下方に向けて窪んで前記回動部を受け入れる受け部を後部に有し、
前記突条部の後端部は、前記受け部に接続している、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記突条部は、前記トップカバーの前部から少なくとも前記投入口の後端部まで延びて形成されており、
前記内側面は、前記衣類処理装置の左右方向に関する中心に向かうほど下方に傾斜した傾斜面又は曲面を形成し、
前記上面部は、前記投入口の前方及び後方に形成されており、少なくとも前部及び後部において前記内側面と接続している、
請求項7に記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記蓋部材は、前記閉状態での下部に、平面部と、前記平面部よりも左右方向の外側に形成されて前記平面部よりも上方に位置する面を形成する側縁部と、を有し、
前記閉状態において、前記上端面は前記側縁部と接し、前記上面部は前記平面部と接する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる縦軸型の洗濯機において、本体内部に上面が開口した洗濯槽を備え、本体の上部に設けられたトップカバーに洗濯槽の上方に位置する出入口を設け、出入口を開閉する蓋部材はトップカバーによって回動可能に支持されている。
【0003】
近年、蓋部材の上面にガラス板を取り付けたいわゆるガラストップデザインの洗濯機も開発されている。ガラス板は樹脂部材に比較して重量が増す。これに対して蓋部材を安定的に支持するために、トップカバーの出入り口の周囲に幅広の平面部を設けた構成が知られている。また近年、蓋部材の上面に表示装置を設け、表示装置の基板が蓋部材の内部に収容されている構成が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-107120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トップカバーの出入り口の周囲に設けた幅広の平面部によって蓋部材を指示する場合、側面から見た場合に蓋部材全体の厚みが外部に露出する。とりわけ、蓋部材に表示装置を設けた場合には、蓋部材の厚みの印象が顕著となる。
【0006】
そこで、蓋部材の厚みの外部への露出を抑え、蓋部材を保護するとともに洗練された外観を備えた衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類処理装置は、上部が開口した矩形の箱状に形成されて内部に水槽を収容する筐体と、前記筐体の上部に設けられて、前面部と、上面部と、左右の側面部と、前記上面部の中央部に形成されて前記水槽の内部と連通する投入口と、を有するトップカバーと、前記トップカバーに回動可能に支持されて前記投入口を開閉する蓋部材と、を備える。前記トップカバーは、前記上面部から上方に突出して前後方向に延びて、前記蓋部材を閉じた閉状態において前記蓋部材の少なくとも一部と左右方向外側に重なる突条部を有する。前記突条部は、前記トップカバーの前記側面部側に位置する外側面と、前記外側面と対向する内側面と、前記外側面と前記内側面との間に形成された上端面と、を有する。前記上端面は、前記トップカバーの前部において前記上面部と滑らかに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による衣類処理装置の一例としての洗濯機の外観を示すもので、蓋部材が閉じた閉状態を示す斜視図
図2】一実施形態による衣類処理装置の一例としての洗濯機の外観を示すもので、蓋部材が開いた開状態を示す斜視図
図3】一実施形態による衣類処理装置の一例としての洗濯機の全体の概略構成を示す縦断面図
図4】一実施形態によるトップカバーと蓋部材とを蓋部材が開いた開状態で示す図
図5】一実施形態によるトップカバーと蓋部材とを蓋部材が閉じた閉状態で示す右側面図
図6図5の円I内を拡大して示す図
図7】一実施形態によるトップカバーの平面図
図8】一実施形態による蓋部材の右側面図
図9】一実施形態によるトップカバーと蓋部材とを蓋部材が閉じた閉状態で示す正面図
図10】一実施形態によるトップカバーの右側面図
図11】一実施形態によるトップカバーの正面図
図12】一実施形態によるトップカバーと蓋部材とを図5のII-II線に沿って示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一の実施形態について図面を参照して説明する。図1図3に示す衣類処理装置の一例としての洗濯機10は、回転軸を縦方向としたいわゆる縦軸型洗濯機である。なお、図1の左手前側を洗濯機10の前側とし、図1の右奥側を洗濯機10の後側とする。洗濯機10の使用時に、ユーザは、洗濯機10の前側に位置するものとする。また、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機10の上側とする。そして、洗濯機10の前後方向及び上下方向に対して直角方向を、洗濯機10の幅方向すなわち左右方向とする。
【0010】
図3に示すように、洗濯機10は、筐体11、水槽12、回転槽13、モータ14、排水弁15、給水弁16、給水経路17、表示装置18、バックカバー19、トップカバー20及び蓋部材30を備えている。
【0011】
筐体11は、洗濯機10の外殻を構成している。筐体11は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上側が開口している。水槽12は、筐体11内に収容されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に収容されて、内部に衣類を受け入れる。水槽12と回転槽13とは、共に有底円筒状に形成されており、上側が開口している。水槽12と回転槽13とは、洗濯機10の運転時に内部に衣類を収容する洗濯槽を構成する。洗濯機10は、回転槽13の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。
【0012】
モータ14は、図3に示すように水槽12の底部の外側に設けられており、水槽12を貫いて回転槽13に接続されている。モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータで構成することができる。モータ14は、図示しない制御装置の制御を受けて駆動し、回転槽13を回転させる。
【0013】
排水弁15は、電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。排水弁15の入力側は、水槽12の下端部に設けられた排水口121に接続されており、排水弁15の出力側は、洗濯機10の外部に接続されている。排水弁15は、水槽12内に貯留されている水を機外の外部に排水するための排水経路を開閉する。排水弁15が閉じると、水槽12内は水を貯留可能な状態となる。また、排水弁15が開くと、水槽12内に貯留された水が機外へ排水可能となる。
【0014】
給水弁16は、バックカバー19の内部に設けられている。給水弁16は電磁駆動可能な液体用の開閉弁であり、給水経路17を開閉する。給水経路17は、外部の給水源と接続する接続口と水槽12とを繋ぐ経路である。給水経路17の一部はバックカバー19の内部を通り、一部はトップカバー20の内部を通って水槽12まで延びる。給水経路17の途中には、注水ケースが設けられている。注水ケースには、洗剤や柔軟剤などの洗濯処理剤を収容可能な処理剤ケースが設けられていても良い。
【0015】
表示装置18は、図1に示すように蓋部材30の外部この場合蓋部材30を閉じた閉状態において外部から視認及び操作可能に設けられている。表示装置18は、例えば静電容量式のタッチパネルであって、詳細は図示しないが、スタートキーや一時停止キー、及びユーザが洗濯運転の内容の設定等を行うための各種操作キーなどが設けられている。
【0016】
モータ14、排水弁15、給水弁16、及び表示装置18などは、図示しない制御装置によって駆動制御される。制御装置は、洗濯機10の洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程、及び乾燥工程のうち少なくとも一工程を含む洗濯運転を実行する。
【0017】
図1図3に示すように、トップカバー20は、筐体11の上部に設けられている。トップカバー20の外形は、概ね筐体11の外形に沿った形状に形成されている。図2及び図4等に示すように、トップカバー20の上面部21には、中央部に上下方向に貫通する投入口211が形成されている。投入口211は、円形または前方に弧を有する部分円形状を有する。本実施形態では、投入口211は前方に弧を有する概ね半円形状を有する。
【0018】
図1図3に示すように、バックカバー19は、トップカバー20の後方に設けられている。バックカバー19は、全体として洗濯機10の左右方向に長い矩形の箱状に構成されている。バックカバー19の内部には、例えば給水弁16と、給水経路17の一部とが収容される。また、洗濯機10が乾燥機能を備えたものである場合、例えばヒータ等で構成されて乾燥風を生成するための乾燥ユニットも、バックカバー19の内部に収容することができる。
【0019】
図4及び図5等に示すように、トップカバー20は、上面部21と、前面部22と、左右の側面部23と、受け部24と、左右の突条部25と、を有している。上面部21は、トップカバー20の上側の面つまり蓋部材30の開状態においてユーザと対抗する面を形成する。前面部22は、トップカバー20の前側の面を形成する。なお、本実施形態では、前面部22は前方に向かって凸の曲面を形成している。左右の側面部23は、トップカバー20の左右の面を形成する。受け部24は、トップカバー20の後部において、上面部21の後方に形成されている。左右の突条部25は、トップカバー20の左右の縁部に形成されている。左右の突条部25は、蓋部材30の閉状態において、蓋部材30の少なくとも一部と左右方向の外側に重なる。そのため、側面視において、突条部25は蓋部材30の厚みの少なくとも一部を覆い隠す。
【0020】
蓋部材30は、トップカバー20の後部において回動可能に支持されている。蓋部材30は、上方から投入口211を開閉する。図3及び図5に示すように、蓋部材30は、蓋部材30が投入口211を閉じた閉状態において、外面部31が前方に向けて下降するように傾斜した姿勢で支持される。なお、本実施形態では、蓋部材30は一枚の板状に形成され折り曲げ不可能な構成となっているが、前後方向の中心部で2つに折り曲げ可能に構成することもできる。
【0021】
図4及び図7図9等に示すように、蓋部材30は、概ね板状に形成されており、外面部31と、左右の上側部32と、平面部33と、下側部34と、側縁部35と、突出部36と、回動部37と、を有する。蓋部材30の閉状態において、外面部31は上側の面つまり洗濯機10の外部に露出する面となり、平面部33と、下側部34と、側縁部35と、突出部36とは、下側の部分つまり洗濯機10の外部に露出しない部分となる。左右の上側部32は、蓋部材30の左右の外側面を形成し、外面部31と側縁部35とを接続する。上側部32は、閉状態において、洗濯機10の外部に露出し、側面視でユーザから視認可能である。回動部37は、閉状態において蓋部材30の後部に位置し、平面部33よりも下方に突出している。回動部37は、トップカバー20に支持されて蓋部材30の回動の軸部となる。閉状態において、蓋部材30の前端部は、前面部22よりも後方に位置する。具体的には、蓋部材30の前端部は、投入口211よりも前方であって前面部22よりも後方に位置する。
【0022】
図5及び図8等に示すように、外面部31は、閉状態において前方ほど下降する傾斜面を形成する。閉状態において、外面部31と上下方向に対して垂直な面との間の内角は、例えば約15°~約25°の範囲内に設定することができる。本実施形態では、外面部31と水平面との間の内角は、約20°に設定されている。外面部31の全体又は一部は、強化ガラス又はアクリル樹脂等で形成された透明又は半透明の板部材で構成されていても良い。
【0023】
図4及び図8等に示すように、平面部33は、蓋部材30の下側部分の主体を構成し、外面部31と概ね平行な面を形成する。左右の下側部34は、平面部33の左右に形成されている。左右の下側部34は、回動部37から蓋部材30の前端部まで細長く延びる平面又は曲面に形成されて、平面部33と左右の側縁部35とを接続する。本実施形態では、左右の下側部34は、左右方向の外方かつ下方に向かって凸の曲面を形成している。
【0024】
図4に示すように、左右の側縁部35は、回動部37から蓋部材30の前端部まで細長く延びて、左右の下側部34と、左右の上側部32とを接続する面を形成する。左右の側縁部35は、概ね外面部31及び平面部33と概ね平行な面を形成する。左右の側縁部35の左右方向の幅寸法は、例えば5mm~15mmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、左右の側縁部35の左右方向の幅寸法は、約8mmに設定されている。
【0025】
図4及び図8等に示すように、突出部36は、平面部33の左右方向に関する中央部に設けられて、蓋部材30の閉状態において下方に向けてつまり洗濯機10の内部に向けて突出している。突出部36は、概して投入口211の内形に対応する形状に形成されて、閉状態において投入口211の内部に挿入される。本実施形態では、突出部36は閉状態における前方に弧を有する半円形に概して形成されている。なお、本実施形態で左右方向の中心部とは、必ずしも左右方向の幅寸法に対する中心であることを意味せず、左右方向の縁部ではないことを意味する。
【0026】
図5図8及び図9等に示すように、蓋部材30のうち、蓋部材30の閉状態においてトップカバー20よりも上方に突出する部分を上部301、トップカバー20によって覆われる部分を下部302と称する。換言すると、蓋部材30の閉状態において前後方向に垂直方向の断面を見た場合に、トップカバー20よりも上方に位置する部分を蓋部材30の上部301、トップカバー20の少なくとも一部と同等の高さ位置又はより下方に位置する部分を蓋部材30の下部302と称する。図5に示すように、蓋部材30の上部301は、外面部31と、上側部32と、側縁部35とを含んで構成される。蓋部材30の下部302は、平面部33と、下側部34と、突出部36とを含んで構成される。蓋部材30の上部301は、左右の側部において、下部302よりも左右方向に関する外側に突出している。
【0027】
続いて図4図7図9図12を参照して、トップカバー20の構成について更に詳細に説明する。上面部21は、トップカバー20の上側の面つまりユーザと対向する面を形成する。図5及び図10の破線で示すように、上面部21は、蓋部材30の外面部31と概ね平行な面を形成する。上面部21は、投入口211を全周に亘って囲んでいても良いし、投入口211を部分的に囲んでいても良い。本実施形態では、上面部21は、投入口211の前側の弧状部分と、後側の直線状部分とを左右方向から囲んでいる。また、上面部21は、投入口211を前後方向から囲んでいる。換言すると、投入口211は上面部21の後端部又は前端部ではなく、前後方向の中央部に形成されている。本実施形態では、投入口211は上面部21の後端部寄りの中央部に形成されている。前面部22は、前後方向に対して概ね垂直な面を形成し、トップカバー20の前側の面を構成する。左右の側面部23は、左右方向に対して概ね垂直な面を形成し、トップカバー20の左右側の面を形成する。
【0028】
上面部21は、切欠き部212を有している。切欠き部212は、上面部21の前端部すなわち前面部22との角部を斜めに切り欠いて形成されており、前に進むほど下降する傾斜面を形成している。切欠き部212の傾斜角すなわち水平面との内角は、上面部21の切欠き部212以外の部分の傾斜角よりも大きく設定されている。すなわち、切欠き部212は上面部21と前面部22との間に発生する角部の内角を緩やかにしている。
【0029】
受け部24は、上面部21の後方に左右方向に延びて形成されている。受け部24は、下方に向けて側面視略半円形に窪ませて形成されており、蓋部材30の回動部37を内部に受け入れる。受け部24は、トップカバー20の左右方向の全体に亘って、すなわち左の側面部23から右の側面部23までに亘って形成されている。
【0030】
図4図6図9及び図10等に示すように、突条部25は、トップカバー20の前部から後部までに亘って前後方向に延びて、上面部21から上方に突出して形成されている。本実施形態では、突条部25は、トップカバー20の前端部から受け部24までに亘って形成されている。なお、突条部25は、トップカバー20と同一部材として一体に構成されていても良いし、別体として構成されて組付けられていても良い。本実施形態では、突条部25はトップカバー20と一体に構成されている。
【0031】
突条部25は、上端面251と、外側面252と、内側面253とを有する。上端面251は、突条部25の上側の面を形成している。外側面252は、突条部25の左右方向に関する外側の面、換言すると側面部23側の面を形成している。なおこの場合側面部23側とは、それぞれの突条部25から近い側の側面部23を基準としている。すなわち右の突条部25の外側面252は、突条部25の右側の面を形成し、左の突条部25の外側面252は、突条部25の左側の面を形成する。内側面253は、外側面252に対向する面つまり突条部25の左右方向に関する内側の面を形成している。本実施形態では、突条部25は側面部23と同一面上に形成されている。
【0032】
また、図4図7等に示すように、突条部25は、第1部分25aと、第2部分25bとを含んで構成される。第1部分25aは、後端部が受け部24に接続している。第1部分25aは、突条部25の前後方向の長さの大部分を構成している。第2部分25bは、第1部分25aよりも前方に形成されており、後端部は第1部分25aの前端部と接続し、前端部はトップカバー20の前部具体的には前端部まで延びている。図6及び図7に示すように、第1部分25aと第2部分25bとの接続部Pは、概ね蓋部材30の前端部の付近である。接続部Pの前後方向の位置は、蓋部材30の前端部の前後方向の位置と一致していても良いし、蓋部材30の前端部よりも前方であっても良いし後方であっても良い。本実施形態では、接続部Pは、蓋部材30の前端部よりも後方に位置する。
【0033】
図6において、二点破線で示す直線Lは、側面視において、接続部Pと、上端面251と上端面251との接続部つまり上端面251の前端部とを結ぶ直線である。本実施形態では、第2部分25bの上端面251bは、側面視において、直線Lより上方に突出する上に凸の曲線を描く。他の実施形態では上端面251bは、側面視において、直線Lよりも下方に窪んだ下に凸の曲線を描いていても良い。
【0034】
図9に示すように、上端面251は、前後方向の概ね全体に亘って破線で示された上面部21と概ね平行な面を形成している。上端面251の前部は、上面部21の前部と滑らかに接続している。第1部分25aの上端面251aは、受け部24から蓋部材30の前部までに亘って上面部21と概ね平行な面を形成している。第2部分25bの上端面251bは、上端面251aよりも急傾斜面に形成されており、前端部において上面部21の前部と滑らかに接続している。具体的には、上端面251bの前端部は、上面部21の前端部この場合切欠き部212と滑らかに接続している。本明細書で滑らかとは、視覚的若しくは触覚的又はその双方について知覚可能な段差が実質的にないことを意味する。換言すると、突条部25の上面部21からの高さ寸法は第1部分25aにおいて一定に設定されており、第2部分25bにおいて前方に進むほど小さくなるように設定されている。すなわち、上端面251bの傾斜角つまり水平面との間の内角は、上端面251aの傾斜角よりも大きく設定されている。なお第2部分25bの上面部21からの高さ寸法は、後端部において第1部分25aにおける高さ寸法と同一であり、前端部において0mmとなる。
【0035】
第1部分25aの上面部21からの高さ寸法は、例えば約150mm~約300mmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第1部分25aの上面部21からの高さ寸法は、約230mmに設定されている。
【0036】
図12に断面図を示すように、蓋部材30の閉状態において、下部302の左右の側縁部35は、左右の突条部25の第1部分25aの上端面251aに接触して支持される。また、側縁部35は、第2部分25bの上端面251bには接触しない。
【0037】
図7に示すように、第1部分25aは、前後方向に概して直線的に形成されている。第2部分25bは、前方ほど左右方向の内側に位置するように湾曲又は傾斜して形成されている。本実施形態では、第2部分25bは、前方ほど左右方向の内側に位置するように湾曲している。この場合、トップカバー20の側面部23は、前部に湾曲部231を有する。湾曲部231は、前方ほど左右方向の中心に向かって湾曲して、前面部22に接続している。湾曲部231は、左右方向の外側に凸となる曲面を形成している。そして、突条部25の第2部分25bは、湾曲部231の湾曲に沿って湾曲して、切欠き部212に接続している。
【0038】
図4図8図10及び図11等に示すように、突条部25の内側面253は、上端面251と上面部21とをなだらかに接続している。内側面253は、上端面251から上面部21に向けて左右方向に関する中心部に向かうほど下方に傾斜した斜面又は下方に向けて湾曲した曲面を形成している。本実施形態では、内側面253は、上端面251から上面部21に向けて左右方向に関する中心部に向かうほど下方に向けて湾曲した曲面を形成している。なお、内側面253は、下端の少なくとも一部が上面部21に接続されていても良いし、下端の全体が上面部21に接続されていても良い。本実施形態では、内側面253の前部と中央部全部より部分と後部とは上面部21に接続されており、内側面253の中央部後部寄り部分は上面部21を介さずに直接投入口211に接続されている。
【0039】
図11に示すように、蓋部材30が回動部37を軸に回動して閉状態となる過程において、内側面253と側縁部35とが左右方向に重なり合う。この際、内側面253が側縁部35の左右方向の移動を規制するので、蓋部材30は閉状態における適切な位置に向かって確実に回動する。すなわち、ユーザが蓋部材30を閉じる動作を行う際、内側面253は蓋部材30の位置決めとして機能する。
【0040】
更に、蓋部材30の閉状態において、上端面251は側縁部35と接して蓋部材30を支持する。また、上面部21は平面部33と接していて蓋部材30を支持する。なお、適切な閉状態において、内側面253と蓋部材30とは接していても接していなくても良い。本実施形態では、内側面253と蓋部材30とは接していて蓋部材30を支持する。
【0041】
ここで、トップカバー20の上面が右の端部から左の端部まで続く平面を形成し、当該平面で蓋部材30を支持する構成の場合、ユーザに対して投入口211が狭い印象を与える。また、上面の面積が広いために、蓋部材30を開けた状態でユーザは圧迫感を感じる虞がある。一方で、トップカバー20の左右の端部に、蓋部材30を支える支持部が形成されている場合、とりわけユーザ側において当該支持部と平面との段差が明らかだと、ユーザの手がぶつかった時などに不快に感じられる虞がある。
【0042】
これに対して、以上説明した本実施形態の衣類処理装置としての洗濯機10は、筐体11と、トップカバー20と、蓋部材30と、を備える。筐体11は、上部が開口した矩形の箱状に形成されて内部に水槽12を収容する。トップカバー20は、筐体11の上部に設けられて、前面部22と、上面部21と、左右の側面部23と、上面部21の中央部に形成されて水槽12の内部と連通する投入口211と、を有する。蓋部材30は、トップカバー20に回動可能に支持されて投入口211を開閉する。トップカバー20は、上面部21から上方に突出して前後方向に延びて、蓋部材30を閉じた閉状態において蓋部材30の少なくとも一部と左右方向外側に重なる突条部25を有する。突条部25は、トップカバー20の側面部23側に位置する外側面252と、外側面252と対向する内側面253と、外側面252と内側面253との間に形成された上端面251と、を有する。上端面251は、トップカバー20の前部において上面部21と滑らかに接続されている。
【0043】
これにより、トップカバー20のユーザに対する圧迫感を解消しつつ、トップカバー20のユーザに近い部分に段差ができるだけ発生しないようにして、洗濯機10の使い心地を向上することができる。更に、蓋部材30の側面の少なくとも一部が突条部25によって覆われる。そのため、蓋部材30が表示装置18等を含むことによって嵩高くなっても、蓋部材30の厚みの外部への露出を抑え、蓋部材30を保護するとともに洗練された側面視における外観を備えた洗濯機10を提供することができる。
【0044】
トップカバー20の側面部23は前部に衣類処理装置としての洗濯機10の左右方向の中心に向けて湾曲して前面部22と接続する湾曲部231を有している。突条部25の前部この場合第2部分25bは、湾曲部231に沿って湾曲して上面部21に接続する。
【0045】
すなわち、突条部25は、洗濯機10の左右方向の中心に向けて湾曲して前面部22と接続する。これにより、ユーザに近い側に存在する直線的なつまり角張った構造を極力減らしている。このため、洗濯機10は、ユーザが受ける視覚的な印象や、ユーザの手指への当たりを柔らかくすることができる。
【0046】
トップカバー20の上面部21は、前に進むほど下方に傾斜した切欠き部212を前端部に有する。突条部25の上端面251の前端部は切欠き部212に接続されている。
【0047】
これにより、切欠き部212を設けて上面部21と前面部22との間の内角が90°程度となる角部を無くすことで、ユーザが視覚的に受ける印象や、ユーザの手指への当たりを柔らかくすることができる。更に、突条部25を切欠き部212に自然になじませることによって、洗濯機10の全体的な視覚的な印象を統一し、より洗練された外観を備えた洗濯機10を提供することができる。
【0048】
内側面253は、上面部21に向けて洗濯機10の左右方向に関する中心に向かうほど下方に傾斜した傾斜面又は曲面を形成する。
【0049】
突条部25の上端面251から投入口211までの間に、角度が90度程度以下の直線的な段差を形成せずになだらかにつなぐことで、角部に埃や汚れ等が溜まり難くすることができる。これにより、洗濯機10のお手入れが容易となる。また、ユーザにとって投入口211が広く衣類を投入し易い視覚的な印象を与えることができる。
【0050】
突条部25の内側面253は、閉状態において蓋部材30の左右方向への移動を規制する。
【0051】
これにより、蓋部材30をトップカバー20の適切な位置に収めることができる。いわば、内側面253は蓋部材30の開閉の際に位置決めとしての機能を有する。
【0052】
突条部25の上端面251は、閉状態において蓋部材30の左右の側縁部35と接する。
【0053】
これにより、蓋部材30を突条部25によって支持することができるため、トップカバー20の上面部21を広い平面状に限らず任意の形状にすることができる。また、上端面251の水平方向に対する傾斜角度を調整することで、上面部21の傾斜角度に関わらず、閉状態での蓋部材30の水平方向に対する傾斜角度を任意に設定することができる。例えば、上面部21よりも大きな傾斜角度を付けることで、蓋部材30に設けた表示装置18がユーザにより向かう方向となり、ユーザにとって操作しやすくなる。一方、上面部21はユーザが衣類を投入し易いように大きく傾斜している場合であっても、上端面251の傾斜角度を緩くすることで、蓋部材30の外面部31ができるだけ水平方向となるように設計することもできる。このように、トップカバー20と蓋部材30との設計の自由度が広がる。
【0054】
なお、閉状態において蓋部材30の上部301は下部302よりも左右方向に関する外側に突出している。すなわち、蓋部材30は、正面視でつぶれたT字形状を有している。左右方向の外側に突出した側縁部35は突条部25と接触し、下方に突出した下部302は左の突条部25と右の突条部25との間に収まることで、洗濯運転時における騒音が外に漏れることを抑制することができる。
【0055】
閉状態において、上面部21は突条部25の上端面251とともに蓋部材30を支持する。
【0056】
蓋部材30の支持面を増やすことで、トップカバー20への蓋部材30の重力による外的作用力を分散することができる。そのため、トップカバー20の変形や、圧痕の発生を抑制することで、洗濯機10の耐久性を高めることができる。
【0057】
蓋部材30は、閉状態における後端部に下方に向けて突出して形成されて開閉の際の回動の軸となる回動部37を有する。トップカバー20は、下方に向けて窪んで回動部37を受け入れる受け部24を後部に有する。突条部25の後端部は、受け部24に接続している。
【0058】
これによれば、突条部25は蓋部材30の後端部まで延びている。そのため、閉状態における側面視で、上端面251と蓋部材30の左右の側縁部35とが、蓋部材30の前後方向の奥行きの略全域に亘って接触することになる。したがって、突条部25によって広い範囲で安定的に蓋部材30を支持することができるとともに、とりわけ側面視での外観をすっきりとした印象を与えるものとすることができる。更に、受け部24は左右の端部において外部に露出している。そのため、受け部24内部に溜まったほこりなどを取り除きやすく清掃作業性が向上し、ユーザの手指が回動部37と受け部24との間に挟まることを抑制することができ、安全性が向上する。
【0059】
突条部25は、トップカバー20の前部から少なくとも投入口211の後端部まで延びて形成されている。内側面253は、洗濯機10の左右方向に関する中心に向かうほど下方に傾斜した傾斜面又は曲面を形成している。上面部21は、投入口211の前方及び後方に形成されており、少なくとも前部及び後部において内側面253と接続している。
【0060】
これにより、蓋部材30を、投入口211の前方及び後方の双方において支持できるため、蓋部材30が嵩高く重量もある場合であっても、トップカバー20によってより安定的に支持することができる。
【0061】
蓋部材30は、閉状態での下部302に、平面部33と、平面部33よりも左右方向の外側に形成されて平面部33よりも上方に位置する面を形成する側縁部35と、を有する。閉状態において、上端面251は側縁部35と接し、上面部21は平面部33と接する。
【0062】
側面視において、蓋部材30の側縁部35よりも下方に突出する部分すなわち下部302は突条部25によって覆われて露出しない。そのため、蓋部材30が嵩高くなっても、蓋部材30の厚み全体の外部への露出を抑え、蓋部材30を保護するとともに洗練された外観を備えた洗濯機10を提供することができる。さらに、突条部25のみならず、平面部33と接する上面部21によって蓋部材30を支持するので、蓋部材30をより安定的に支持することができる。
【0063】
なお、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10…洗濯機(衣類処理装置)、11…筐体、12…水槽、20…トップカバー、21…上面部、211…投入口、212…切欠き部、22…前面部、23…側面部、231…湾曲部、24…受け部、25…突条部、251…上端面、252…外側面、253…内側面、30…蓋部材、301…上部、302…下部、31…第1面部、32…上側部、33…平面部、34…下側部、35…側縁部、36…突出部、37…回動部
図1
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