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特開2023-179991制御システム、推論装置および学習装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179991
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】制御システム、推論装置および学習装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20231213BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20231213BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231213BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231213BHJP
   F24F 11/64 20180101ALN20231213BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/17
H05B47/16
H05B47/165
F24F11/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093010
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箱家 貴之
【テーマコード(参考)】
3K273
3L260
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA08
3K273QA11
3K273QA30
3K273RA02
3K273RA05
3K273SA22
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA57
3K273TA62
3K273TA72
3K273TA77
3L260BA74
3L260BA75
3L260CA39
3L260EA04
3L260EA22
3L260FA03
(57)【要約】
【課題】ユーザに快適な空間を提供することができる制御システム、推論装置および学習装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る制御システムは、照明設備と、空調設備と、気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する管理設備と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明設備と、
空調設備と、
気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する管理設備と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記管理設備は、前記照明設備の所在地の前記気象情報を用いて前記設定値を推論することを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記管理設備は、前記学習済み制御モデルから前記気象情報に対応するモデルを抽出した後、前記抽出されたモデルを用いて、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記気象情報に対応する前記照明設備の状態は、前記照明設備が設置された空間に存在する人の数の情報を含み、
前記設定値は、前記照明設備の調光率または色温度を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記気象情報に対応する前記空調設備の状態は、室内温度の情報を含み、
前記設定値には、前記空調設備の動作モードまたは設定温度を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項6】
前記管理設備は、前記設定値をそのまま使用するモードと、予め定められた変更を加えて使用するモードを有することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項7】
前記管理設備は、前記照明設備が設置された空間に人が出入りする時間を学習して前記空間に人が来る時間を推論し、前記推論された時間より前に、前記照明設備と前記空調設備の制御を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項8】
前記管理設備は、前記照明設備が設置された空間に人が出入りする時間を学習して前記空間から人が出る時間を推論し、前記推論された時間より前に、前記照明設備と前記空調設備の制御を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項9】
気象情報と、前記気象情報に対応する照明設備の状態と、前記気象情報に対応する空調設備の状態を取得するデータ取得部と、
前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する推論部と、
を備えることを特徴とする推論装置。
【請求項10】
気象情報と、前記気象情報に対応する照明設備の状態と、前記気象情報に対応する空調設備の状態を取得するデータ取得部と、
前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを生成するモデル生成部と、
を備えることを特徴とする学習装置。
【請求項11】
前記モデル生成部は、前記気象情報に対応する日付または季節の制御モデルを、前記気象情報に基づき変更し、次に前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態に基づき前記制御モデルをさらに変更して、学習済み制御モデルとして蓄積することを特徴とする請求項10に記載の学習装置。
【請求項12】
前記モデル生成部は、前記気象情報に対応する時刻に基づき、前記制御モデルを変更することを特徴とする請求項10または11に記載の学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、推論装置および学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部から入手した気象情報に基づいて、空調機器を含む居室内の設備の運用計画を立てるとともに、運用計画に基づいて設備の運用を制御する設備情報管理サーバを備えた設備運用システムが開示されている。この設備運用システムにおいて、設備情報管理サーバは、利用者の快適性指標に関する個人データに基づいて、運用計画を補正する。設備情報管理サーバは、利用者による空調機器への操作入力に基づいて、個人データを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-249454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内快適に過ごすための条件として、適切な室温設定と照明による演出がある。例えば夏場であれば涼しさが感じられるように、28度の室温および昼白色の照明が推奨される。また、例えば冬場であれば暖かさが感じられるように、20度の室温および電球色の照明が推奨される。また、温度と湿度の関係から不快指数を算出することができるのと同様に、照度と色温度の関係にも不快指標が定められている。
【0005】
特許文献1では、利用者による空調機器への操作入力に基づいて、個人データを更新する。しかし、照明の操作に応じた個人データの更新については考慮されていない。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、快適な空間を提供することができる制御システム、推論装置および学習装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る制御システムは、照明設備と、空調設備と、気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する管理設備と、を備える。
【0008】
本開示に係る推論装置は、気象情報と、前記気象情報に対応する照明設備の状態と、前記気象情報に対応する空調設備の状態を取得するデータ取得部と、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する推論部と、を備える。
【0009】
本開示に係る学習装置は、気象情報と、前記気象情報に対応する照明設備の状態と、前記気象情報に対応する空調設備の状態を取得するデータ取得部と、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを生成するモデル生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る制御システムでは、気象情報と、気象情報に対応する照明設備の状態と、気象情報に対応する空調設備の状態とから、照明設備と空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、照明設備と空調設備の設定値が推論される。この設定値により照明設備と空調設備が制御されることで、快適な空間を提供することができる。
本開示に係る推論装置では、気象情報と、気象情報に対応する照明設備の状態と、気象情報に対応する空調設備の状態とから、照明設備と空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、照明設備と空調設備の設定値が推論される。この設定値により照明設備と空調設備が制御されることで、快適な空間を提供することができる。
本開示に係る学習装置は、気象情報と、気象情報に対応する照明設備の状態と、気象情報に対応する空調設備の状態とから、照明設備と空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを生成する。この学習済み制御モデルを用いて照明設備と空調設備の設定値を推論し、照明設備と空調設備を制御することで、快適な空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る制御システムのブロック図である。
図2】実施の形態1に係る学習装置を説明する図である。
図3】実施の形態1に係る推論装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態に係る制御システム、推論装置および学習装置について図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る制御システム100のブロック図である。制御システム100は、管理設備10、空調設備20、照明設備30および気象情報を提供するサーバ40を備える。管理設備10、空調設備20、照明設備30、サーバ40は、有線または無線のネットワークであるLAN(Local Area Network)を介して互いに接続されている。LANは例えばEthernet(登録商標)である。空調設備20と照明設備30は同じ空間に設置される。管理設備10は、空調設備20および照明設備30と連動する。
【0014】
管理設備10には、現在の日付および制御システム100の所在地が設定される。所在地は空調設備20または照明設備30の所在地であっても良い。所在地は、緯度、経度で設定されても良く、県庁所在地であっても良い。
【0015】
管理設備10の通信部11は、ネットワークを使用し、サーバ40から所在地の気象情報を入手する。気象情報は、天候、気温、湿度、風速、降雨量、体感気温などである。制御システム100の位置情報をサーバ40に送信することで、サーバ40から位置情報に応じた気象情報が送信されても良い。
【0016】
管理設備10の通信部11は、ネットワークを使用し、空調設備20の状態を入手する。空調設備20の状態は、動作モード、設定温度、室内温度、消費電力などである。動作モードには、冷房、暖房、送風、除湿などがある。空調設備20の通信部21は、管理設備10から空調設備20への要求信号を受信すると、空調設備20の状態を送信する。室内温度は温度取得部23により取得され、通信部21から送信される。
【0017】
管理設備10の通信部11は、ネットワークを使用し、照明設備30の状態を入手する。照明設備30の状態は、照明状態、空間への滞在人数、消費電力などである。照明状態には、調光率、色温度などがある。照明設備30の通信部31は、管理設備10から照明設備30への要求信号を受信すると、照明設備30の状態を送信する。空間への滞在人数は人感センサ34により取得され、通信部31から送信される。
【0018】
管理設備10が空調設備20、照明設備30、サーバ40から得た情報は、記憶部13に記憶される。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る学習装置50を説明する図である。学習装置50は例えば管理設備10に設けられる。学習装置50はデータ取得部51とモデル生成部52を備える。データ取得部51は、気象情報と、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態を取得する。データ取得部51は例えば通信部11に該当する。
【0020】
モデル生成部52は、データ取得部51が取得した気象情報と、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態とから、照明設備30と空調設備20の設定値を推論するための学習済み制御モデルを生成する。モデル生成部52は、例えば制御部12に該当する。制御部12は例えばマイコン、プロセッサ等から構成できる。
【0021】
学習済み制御モデルの生成方法について説明する。まず、モデル生成部52は、ベースとなる制御モデルを生成する。制御モデルは、例えば日付または季節毎に生成される。例えば現在の日付から季節が夏であった場合、モデル生成部52は、空調設備20の設定値が動作モード=冷房、設定温度=28度、照明設備30の設定値が調光率=70%、色温度=4200Kとなるように制御モデルを生成する。
【0022】
次に、モデル生成部52は、制御モデルに気象情報を加味する。モデル生成部52は、データ取得部51が取得した気象情報に対応する日付または季節の制御モデルを、気象情報に基づき変更する。例えば当該日付または季節において、天候=晴れ、気温=35度、湿度=70%、風速=1m/s、降雨量=0mm、体感気温=37度であった場合、モデル生成部52は、設定温度=27度、調光率=50%となるように制御モデルを変更する。モデル生成部52は、14:00等の気象情報に対応する時刻に基づき、制御モデルを変更しても良い。
【0023】
次に、モデル生成部52は、制御モデルに空調設備20および照明設備30から入手した情報を加味する。モデル生成部52は、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態に基づき、制御モデルをさらに変更して、学習済み制御モデルとして蓄積する。例えば、データ取得部51が空調設備20から動作モード=送風、設定温度=27度、室内温度=26度を入手した場合、モデル生成部52はこれらの情報を学習して制御モデルに反映させる。また、データ取得部51が照明設備30から調光率=50%、色温度=4500K、空間滞在人数=80人を入手した場合、モデル生成部52はこれらの情報を学習して制御モデルに反映させる。
【0024】
データ取得部51が空調設備20および照明設備30から取得した状態は、所在地の気象条件下において、ユーザにとって快適な空間を提供し得る空調および照明の状態を示す。モデル生成部52は、これらの状態に基づき生成した学習済み制御モデルを学習済モデル記憶部53に蓄積する。学習済モデル記憶部53は例えば記憶部13に該当する。
【0025】
学習済モデル記憶部53は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等であってもよい。RAMはRandom Access Memoryの略称である。ROMはRead Only Memoryの略称である。EPROMはErasable Programmable Read Only Memoryの略称である。EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略称である。
【0026】
図3は、実施の形態1に係る推論装置60を説明する図である。推論装置60は例えば管理設備10に設けられる。推論装置60は、データ取得部61と推論部62を備える。データ取得部61は、気象情報と、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態を取得する。データ取得部61は例えば通信部11に該当する。
【0027】
推論部62は、学習済モデル記憶部53から学習済み制御モデルを取得する。推論部62は、学習済み制御モデルと、データ取得部61が取得した気象情報と、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態とから、照明設備30と空調設備20の設定値を推論する。これにより推論部62は、設定値を用いて照明設備30と空調設備20を制御する。推論部62は、例えば制御部12に該当する。
【0028】
まず、推論部62は、学習済み制御モデルからデータ取得部61が取得した気象情報に対応するモデルを抽出する。その後、推論部62は、抽出されたモデルを用いて、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態とから、照明設備30と空調設備20の設定値を推論する。
【0029】
例えば、データ取得部61が空調設備20の状態として室内温度=26度を入手した場合、推論部62は学習済み制御モデルに基づいて、動作モード=送風、設定温度=27度という設定値を推論する。また、例えばデータ取得部61が照明設備30の状態として空間滞在人数=80人を入手した場合、推論部62は学習済み制御モデルに基づいて、調光率=50%、色温度=4500Kという設定値を推論する。
【0030】
このように、気象情報に対応する空調設備20の状態は、室内温度の情報を含み、空調設備20の設定値には、空調設備20の動作モードまたは設定温度を含んでも良い。また、気象情報に対応する照明設備30の状態は、照明設備30が設置された空間に存在する人の数の情報を含み、照明設備30の設定値は、照明設備30の調光率または色温度を含んでも良い。
【0031】
管理設備10の制御部12は、推論された設定値に基づき空調設備20と照明設備30を制御する。設定値は通信部11から空調設備20と照明設備30に送信される。空調設備20において、通信部21は設定値を受信し、制御部22は受信した設定値に基づき、空間の温度等を制御する。照明設備30において、通信部31は設定値を受信し、制御部32は受信した設定値に基づき光源部33の点灯状態を制御する。
【0032】
管理設備10は、例えば以下の表に示されるように、学習済み制御モデルを重視するレベルに応じた様々なモデルに基づき制御を行っても良い。つまり、管理設備10は、学習済み制御モデルに基づいて推論された設定値をそのまま使用するモードと、予め定められた変更を加えて使用するモードを有しても良い。
【0033】
【表1】
【0034】
学習済み制御モデルは、日の出時刻、日の入時刻、時間帯などを加味して生成されても良い。日の出時刻、日の入時刻は、サーバ40等から日付に基づき取得されても良い。学習装置50および推論装置60の学習間隔または推論間隔は、1時間、2時間など設定変更できても良い。
【0035】
学習装置50および推論装置60は、管理設備10に限らず、空調設備20または照明設備30に設けられても良い。つまり、空調設備20または照明設備30が管理設備10を兼ねても良い。また、気象情報と、照明設備30の状態と、空調設備20の状態とに基づく学習機能以外に、各設備内のみの学習機能が設けられても良い。学習装置50および推論装置60は、ネットワークを使用してクラウド化されも良い。
【0036】
管理設備10は、照明設備30が設置された空間に人が出入りする時間を学習して、空間に人が来る時間を推論し、推論された時間より前に、照明設備30と空調設備20の制御を開始しても良い。管理設備10は、照明設備30が設置された空間に人が出入りする時間を学習して、空間から人が出る時間を推論し、推論された時間より前に、照明設備30と空調設備20の制御を開始しても良い。この際、管理設備10は、室内の温度変化にかかる時間を学習して、空調設備20の制御を開始する時間を設定しても良い。
【0037】
管理設備10は、例えば空間に人が来る時間として推論された時間より前に、空間の温度および湿度を、その人が快適と感じる値と不快と感じる値の境目近傍に変化させても良い。管理設備10は人を検出すると、その人が快適と感じる最適な温度、湿度、照度、色温度で空調設備20および照明設備30を制御する。また、管理設備10は、例えば空間から人が出る時間として推論された時間より前に、空間の温度および湿度を、その人が快適と感じる値と不快と感じる値の境目近傍に変化させても良い。これにより、消費エネルギーを抑制しながら、快適な室内空間を迅速に提供することができる。
【0038】
以上で説明したように本実施の形態の制御システム100では、気象情報と、気象情報に対応する照明設備30の状態と、気象情報に対応する空調設備20の状態とから、照明設備30と空調設備20の設定値を推論するための学習済み制御モデルが生成される。この学習済み制御モデルを用いて、照明設備30と空調設備20の設定値が推論される。この設定値により照明設備30と空調設備20が制御されることで、快適な空間を提供することができる。
【0039】
例えば室内に制御システム100を適用することで、屋外と室内を往来する際などにユーザの身体への負担および不快感を抑制できる。特に、温度と湿度に基づく不快指数に加えて、照度と色温度に基づく不快指標を考慮して快適な空間を提供することができる。
【0040】
また、ユーザにとっての快適な空間は、空間の所在地、季節、気候、時間帯、空間の状態によって異なる。例えば、極端な寒冷地と温暖地、地下階と地上階、標高の高低により、快適な空間の条件が異なることが想定される。本実施の形態の管理設備10は、照明設備30または空調設備20の所在地の気象情報を用いて、学習済み制御モデルの生成および照明設備30と空調設備20の設定値の推論を行う。このため、空間の所在地に応じた快適な空間を提供できる。また、学習済み制御モデルは、時間帯、日付または季節に基づき生成される。このため、季節、気候、時間帯に応じた快適な空間を提供できる。また、学習済み制御モデルは、空間に存在する人の数の情報に基づき生成される。このため、空間の状態に応じた快適な空間を提供できる。
【0041】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0042】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
照明設備と、
空調設備と、
気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する管理設備と、
を備えることを特徴とする制御システム。
(付記2)
前記管理設備は、前記照明設備の所在地の前記気象情報を用いて前記設定値を推論することを特徴とする付記1に記載の制御システム。
(付記3)
前記管理設備は、前記学習済み制御モデルから前記気象情報に対応するモデルを抽出した後、前記抽出されたモデルを用いて、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論することを特徴とする付記1または2に記載の制御システム。
(付記4)
前記気象情報に対応する前記照明設備の状態は、前記照明設備が設置された空間に存在する人の数の情報を含み、
前記設定値は、前記照明設備の調光率または色温度を含むことを特徴とする付記1から3の何れか1項に記載の制御システム。
(付記5)
前記気象情報に対応する前記空調設備の状態は、室内温度の情報を含み、
前記設定値には、前記空調設備の動作モードまたは設定温度を含むことを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の制御システム。
(付記6)
前記管理設備は、前記設定値をそのまま使用するモードと、予め定められた変更を加えて使用するモードを有することを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の制御システム。
(付記7)
前記管理設備は、前記照明設備が設置された空間に人が出入りする時間を学習して前記空間に人が来る時間を推論し、前記推論された時間より前に、前記照明設備と前記空調設備の制御を開始することを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の制御システム。
(付記8)
前記管理設備は、前記照明設備が設置された空間に人が出入りする時間を学習して前記空間から人が出る時間を推論し、前記推論された時間より前に、前記照明設備と前記空調設備の制御を開始することを特徴とする付記1から7の何れか1項に記載の制御システム。
(付記9)
気象情報と、前記気象情報に対応する照明設備の状態と、前記気象情報に対応する空調設備の状態を取得するデータ取得部と、
前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを用いて、前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記設定値を推論し、前記設定値を用いて前記照明設備と前記空調設備を制御する推論部と、
を備えることを特徴とする推論装置。
(付記10)
気象情報と、前記気象情報に対応する照明設備の状態と、前記気象情報に対応する空調設備の状態を取得するデータ取得部と、
前記気象情報と、前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態とから、前記照明設備と前記空調設備の設定値を推論するための学習済み制御モデルを生成するモデル生成部と、
を備えることを特徴とする学習装置。
(付記11)
前記モデル生成部は、前記気象情報に対応する日付または季節の制御モデルを、前記気象情報に基づき変更し、次に前記気象情報に対応する前記照明設備の状態と、前記気象情報に対応する前記空調設備の状態に基づき前記制御モデルをさらに変更して、学習済み制御モデルとして蓄積することを特徴とする付記10に記載の学習装置。
(付記12)
前記モデル生成部は、前記気象情報に対応する時刻に基づき、前記制御モデルを変更することを特徴とする付記10または11に記載の学習装置。
【符号の説明】
【0043】
10 管理設備、11 通信部、12 制御部、13 記憶部、20 空調設備、21 通信部、22 制御部、23 温度取得部、30 照明設備、31 通信部、32 制御部、33 光源部、34 人感センサ、40 サーバ、50 学習装置、51 データ取得部、52 モデル生成部、53 学習済モデル記憶部、60 推論装置、61 データ取得部、62 推論部、100 制御システム
図1
図2
図3