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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179996
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/027 20190101AFI20231213BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B32B7/027
H01L23/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093020
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】西尾 健
(72)【発明者】
【氏名】長島 稔
(72)【発明者】
【氏名】岩田 侑記
(72)【発明者】
【氏名】趙 奕靖
【テーマコード(参考)】
4F100
5F136
【Fターム(参考)】
4F100AB00D
4F100AB01A
4F100AB01E
4F100AB02E
4F100AB04A
4F100AB09E
4F100AB10A
4F100AB11A
4F100AB16E
4F100AB17B
4F100AB17C
4F100AB17E
4F100AB18E
4F100AB20A
4F100AB21B
4F100AB21C
4F100AB21E
4F100AB24B
4F100AB24C
4F100AB24E
4F100AB25E
4F100AB31E
4F100AG00A
4F100AK01A
4F100AK53B
4F100AK53C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100GB41
4F100JA04D
4F100JJ01B
4F100JJ01C
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
5F136BC07
5F136FA51
5F136FA52
5F136FA61
5F136FA65
5F136FA67
5F136FA75
5F136FA82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高熱伝導性を実現でき、信頼性が向上した積層体及び積層体の製造方法の提供。
【解決手段】基材と、前記基材上に、第1の熱伝導粒子を含有し、前記第1の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層と、前記第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を含有し、前記第2の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層と、を有し、前記第1の粒子整列層に含まれる第1の熱伝導粒子の一部と前記第2の粒子整列層に含まれる第2の熱伝導粒子の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さく、前記基材が、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含む積層体である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に、第1の熱伝導粒子を含有し、前記第1の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層と、
前記第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を含有し、前記第2の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層と、
を有し、
前記第1の粒子整列層に含まれる第1の熱伝導粒子の一部と前記第2の粒子整列層に含まれる第2の熱伝導粒子の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さく、
前記基材が、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径Aと前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径Bとの比(A:B)が1:2~1:50である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が0.3μm以上30μm以下である、請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
【請求項4】
前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径が1μm以上100μm以下である、請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
前記基材と前記第1の粒子整列層との間に、第1の低融点金属粒子を含有し、前記第1の低融点金属粒子が所定間隔離間して整列している第3の粒子整列層を有する、請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
前記第1の粒子整列層と前記第2の粒子整列層の間に、第2の低融点金属粒子を含有し、前記第2の低融点金属粒子が所定間隔離間して整列している第4の粒子整列層を有する、請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記第1の熱伝導粒子及び前記第2の熱伝導粒子が、銅粒子、銀被覆粒子、及び銀粒子の少なくともいずれかである、請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記第1の低融点金属粒子がSnと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種とを含む、請求項5に記載の積層体。
【請求項9】
前記第2の低融点金属粒子がSnと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種とを含む、請求項6に記載の積層体。
【請求項10】
前記第2の粒子整列層上に、前記基材と対向する対向基材を有し、
前記対向基材が、銅、金、白金、パラジウム、銀、亜鉛、鉄、錫、ニッケル、マグネシウム、インジウム、及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
【請求項11】
基材上に、第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第1の粒子整列層を形成する第1の粒子整列層形成工程と、
第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第2の粒子整列層を形成する第2の粒子整列層形成工程と、
を含み、
前記基材が、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器におけるLSI(Large Scale Integration)等では、用いられている素子の発熱によりLSI自身が長時間高温に晒されると動作不良又は故障につながる恐れがある。このため、LSI等の昇温を防ぐために熱伝導性材料が広く用いられている。前記熱伝導性材料は素子の発熱を拡散させるか、あるいは大気等の系外に放出させるための放熱部材に伝えることによって機器の昇温を防ぐことができる。
【0003】
このような熱伝導性材料として金属又はセラミックスを用いると、軽量化しにくい、加工性が悪い、又は柔軟性が低くなるという問題がある。そこで、樹脂又はゴム等からなる高分子材料を母材とする熱伝導性材料が種々提案されている。例えば、硬化成分及び該硬化成分用の硬化剤を含有する熱硬化性接着剤と、該熱硬化性接着剤中に分散した金属フィラーとを有し、金属フィラーは、銀粉及びハンダ粉を有し、前記ハンダ粉は、熱伝導性接着剤の熱硬化処理温度よりも低い溶融温度を示し、かつ該熱硬化性接着剤の熱硬化処理条件下で銀粉と反応して、前記ハンダ粉の溶融温度より高い融点を示す高融点ハンダ合金を生成するものであり、前記硬化剤は、金属フィラーに対してフラックス活性を有する硬化剤であり、前記硬化成分が、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂であり、前記硬化剤がトリカルボン酸のモノ酸無水物である熱伝導性接着剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5796242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、放熱構造体におけるヒートスプレッダは金属接合によって高熱伝導性を達成できるが、放熱構造体における発熱体(電子部品)はシリコン等が材質となっている場合が多く、金属接合による高熱伝導性を実現することが困難であるという課題がある。
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高熱伝導性を実現でき、信頼性が向上した積層体及び積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、
前記基材上に、第1の熱伝導粒子を含有し、前記第1の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層と、
前記第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を含有し、前記第2の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層と、
を有し、
前記第1の粒子整列層に含まれる第1の熱伝導粒子の一部と前記第2の粒子整列層に含まれる第2の熱伝導粒子の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さく、
前記基材が、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする積層体である。
<2> 前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径Aと前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径Bとの比(A:B)が1:2~1:50である、前記<1>に記載の積層体である。
<3> 前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が0.3μm以上30μm以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の積層体である。
<4> 前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径が1μm以上100μm以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の積層体である。
<5> 前記基材と前記第1の粒子整列層との間に、第1の低融点金属粒子を含有し、前記第1の低融点金属粒子が所定間隔離間して整列している第3の粒子整列層を有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の積層体である。
<6> 前記第1の粒子整列層と前記第2の粒子整列層の間に、第2の低融点金属粒子を含有し、前記第2の低融点金属粒子が所定間隔離間して整列している第4の粒子整列層を有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の積層体である。
<7> 前記第1の熱伝導粒子及び前記第2の熱伝導粒子が、銅粒子、銀被覆粒子、及び銀粒子の少なくともいずれかである、前記<1>から<6>のいずれかに記載の積層体である。
<8> 前記低融点金属粒子がSnと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種とを含む、前記<5>から<7>のいずれかに記載の積層体である。
<9> 前記第2の粒子整列層上に、前記基材と対向する対向基材を有し、
前記対向基材が、銅、金、白金、パラジウム、銀、亜鉛、鉄、錫、ニッケル、マグネシウム、インジウム、及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含む、前記<1>から<8>のいずれかに記載の積層体である。
<10> 基材上に、第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第1の粒子整列層を形成する第1の粒子整列層形成工程と、
第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第2の粒子整列層を形成する第2の粒子整列層形成工程と、
を含み、
前記基材が、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高熱伝導性を実現でき、信頼性が向上した積層体及び積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る積層体の一例を示す概略図である。
図2図2は、第2の実施形態に係る積層体の一例を示す概略図である。
図3図3は、第3の実施形態に係る積層体の一例を示す概略図である。
図4図4は、本発明で用いられる放熱構造体の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(積層体)
本発明の積層体は、基材と、第1の粒子整列層と、第2の粒子整列層とを有し、第3の粒子整列層及び第4の粒子整列層を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の層を有する。
【0011】
本発明においては、基材と、前記基材上に、第1の熱伝導粒子を含有し、前記第1の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層と、前記第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を含有し、前記第2の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層とを有することにより、垂直方向の熱伝導パスを効率よく形成でき、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種からなるはんだ濡れ性の悪い基材であっても、低熱抵抗でかつ応力緩和に優れ、高熱伝導性を実現でき、信頼性を大幅に向上させることができる。
【0012】
<基材>
前記基材の形状、構造、大きさ、材質などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材の形状としては、例えば、板状、シート状などが挙げられる。前記基材の構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記基材の大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記基材の材質は、はんだが濡れにくい材質であり、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含む。前記セラミックスとしては、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ガリウムなどが挙げられる。前記モールド樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
前記基材の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材は、放熱構造体における発熱体(電子部品)そのものであってもよい。
【0013】
<第1の粒子整列層>
前記第1の粒子整列層は、第1の熱伝導粒子を含有し、バインダー樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記第1の熱伝導層は、前記基材上に形成され、前記基材と接して形成されることが好ましく、前記第1の熱伝導粒子が基材と接していることがより好ましい。
【0014】
-第1の熱伝導粒子-
前記第1の熱伝導粒子としては、銅粒子、銀被覆粒子、及び銀粒子の少なくともいずれかが好ましい。
前記銀被覆粒子としては、例えば、銀被覆銅粒子、銀被覆ニッケル粒子、銀被覆アルミニウム粒子などが挙げられる。
前記第1の熱伝導粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、扁平状、粒状、針状などが挙げられる。
前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径は、0.3μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下がより好ましい。熱伝導粒子の体積平均粒径が0.3μm以上30μm以下であると、高熱伝導性及び低熱抵抗を実現できる。
前記体積平均粒径は、例えば、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(製品名:Microtrac MT3300EXII)により、測定することができる。
【0015】
-バインダー樹脂-
バインダー樹脂としては、膜形成樹脂と、硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する。
【0016】
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0018】
-エポキシ樹脂-
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール-キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール-キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール-ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
-オキセタン化合物-
前記オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であり、脂肪族化合物、脂環式化合物、又は芳香族化合物であってもよい。
前記オキセタン化合物は、オキセタニル基を1つのみ有する1官能のオキセタン化合物であってもよいし、オキセタニル基を2つ以上有する多官能のオキセタン化合物であってもよい。
前記オキセタン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3-エチル-3-(フェノキシ)メチルオキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、4,4′-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(OXBP)、イソフタル酸ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エステル(OXIPA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
-(メタ)アクリレート-
前記(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、リン酸アクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。また、これらのアクリレートをメタクリレートにしたものも挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
-硬化剤-
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾール類、有機過酸化物、アニオン系硬化剤、カチオン系硬化剤、有機酸などが挙げられる。
前記イミダゾール類としては、例えば、2-エチル4-メチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記有機過酸化物としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
前記アニオン系硬化剤としては、例えば、有機アミン類などが挙げられる。
前記カチオン系硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩、アルミニウムキレート剤などが挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、グルタル酸、コハク酸などが挙げられる。また、前記硬化剤はグルタル酸無水物又はコハク酸無水物から変性された化合物又はグルタル酸銀等の有機酸の金属塩などであっても構わない。
【0022】
-その他の成分-
前記第1の粒子整列層は、本発明の効果を損なわない限りにおいてその他の成分を含有してもよい。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、レベリング剤、難燃剤などが挙げられる。
【0023】
-第1の熱伝導粒子の整列状態-
本発明においては、第1の粒子整列層は、第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む。第1の熱伝導粒子は基材と接していることが高熱伝導性を実現する点から好ましい。
第1の粒子整列層が第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含むことは、例えば、硬化物を切断し、得られた切断面を研磨し、研磨面を半導体検査顕微鏡などにより確認することができる。
【0024】
前記第1の熱伝導粒子は、第1の粒子整列層の平面視にて所定配列を繰り返す規則的な配置をしていることが好ましい。第1の熱伝導粒子の配列は、例えば、第1の粒子整列層の平面視にて正方格子配列とすることができる。この他、第1の熱伝導粒子の規則的な配列の態様としては、長方格子、斜方格子、六方格子、三角格子等の格子配列などが挙げられる。第1の熱伝導粒子の配列は、異なる形状の格子が、複数組み合わさったものでもよい。第1の熱伝導粒子の配列の態様としては、第1の熱伝導粒子が所定間隔で直線状に並んだ粒子列を所定の間隔で並列させてもよい。第1の熱伝導粒子が密に配置されている領域と疎に配置されている領域が規則的に繰り返されていてもよい。第1の熱伝導粒子は個々に独立して離間していることが熱伝導性を向上させる点から好ましい。また、第1の熱伝導粒子が複数個連結もしくは近接してユニットとなり、このユニットが規則配列している態様も含まれる。
前記第1の熱伝導粒子を規則的に配列させる場合に、その配列の格子軸又は配列軸は、第1の粒子整列層の長手方向及び長手方向と直行する方向の少なくとも一方に対して平行でもよく、交叉していてもよい。
【0025】
第1の熱伝導粒子の粒子間距離は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、最近接粒子間距離は第1の熱伝導粒子の体積平均粒径の0.5倍以上であることが好ましく、0.7倍以上がより好ましい。一方、最近接粒子間距離は第1の熱伝導粒子の体積平均粒径の100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。
【0026】
第1の熱伝導粒子の個数密度は100個/mm以上が好ましく、300個/mm以上70,000個/mm以下がより好ましく、6,000個/mm以上45,000個/mm以下が更に好ましい。
【0027】
前記第1の熱伝導層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましい。
【0028】
<第2の粒子整列層>
前記第2の粒子整列層は、前記第1の粒子整列層上に形成される。
前記第2の粒子整列層は、第2の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含み、バインダー樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0029】
-第2の熱伝導粒子-
前記第2の熱伝導粒子としては、銅粒子、銀被覆粒子、及び銀粒子の少なくともいずれかが好ましい。
前記銀被覆粒子としては、例えば、銀被覆銅粒子、銀被覆ニッケル粒子、銀被覆アルミニウム粒子などが挙げられる。
前記第2の熱伝導粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、扁平状、粒状、針状などが挙げられる。
前記第1の粒子整列層に含まれる第1の熱伝導粒子の一部と前記第2の粒子整列層に含まれる第2の熱伝導粒子の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さいことが必要である。前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも大きいと、熱伝導性が低下することがある。
前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径Aと前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径Bとの比(A:B)は1:2~1:50であることが好ましく、1:10~1:40であることがより好ましい。
前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径は、1μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上70μm以下がより好ましく、10μm以上50μm以下が更に好ましい。前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径が1μm以上100μm以下であると、高熱伝導性及び低熱抵抗を実現できる。
前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径は、上記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径と同様にして、測定することができる。
【0030】
-バインダー樹脂-
第2の粒子整列層におけるバインダー樹脂は、上記第1の粒子整列層におけるバインダー樹脂と同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
-その他の成分-
第2の粒子整列層におけるその他の成分は、上記第1の粒子整列層におけるその他の成分と同様であるため、その説明を省略する。
【0032】
-第2の熱伝導粒子の整列状態-
第2の熱伝導粒子の整列状態は、上記第1の粒子整列層における第1の熱伝導粒子の整列状態と同様であるため、その説明を省略する。
【0033】
前記第2の熱伝導層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上300μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましい。
【0034】
<第3の粒子整列層>
前記第3の粒子整列層は、前記基材と第1の粒子整列層との間に形成されることが好ましい。
前記第3の粒子整列層は、第1の低融点金属粒子を所定間隔離間して整列した状態で含み、バインダー樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0035】
-第1の低融点金属粒子-
前記第1の低融点金属粒子としては、JIS Z3282-1999に規定されているはんだ粒子が好適に用いられる。
前記はんだ粒子としては、例えば、Sn-Pb系はんだ粒子、Pb-Sn-Sb系はんだ粒子、Sn-Sb系はんだ粒子、Sn-Pb-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi-Ag系はんだ粒子、Sn-Cu系はんだ粒子、Sn-Pb-Cu系はんだ粒子、Sn-In系はんだ粒子、Sn-Ag系はんだ粒子、Sn-Pb-Ag系はんだ粒子、Pb-Ag系はんだ粒子、Sn-Ag-Cu系はんだ粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、Snと、Bi、Ag、Cu、及びInから選択される少なくとも1種と、を含むはんだ粒子が好ましく、Sn-Bi系はんだ粒子、Sn-Bi-Ag系はんだ粒子、Sn-Ag-Cu系はんだ粒子、Sn-In系はんだ粒子がより好ましい。
【0036】
前記第1の低融点金属粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、扁平状、粒状、針状などが挙げられる。
前記第1の低融点金属粒子の融点は、100℃以上250℃以下が好ましく、120℃以上200℃以下がより好ましい。
【0037】
前記低融点金属粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。
前記低融点金属粒子の体積平均粒径は、上記熱伝導粒子の体積平均粒径と同様にして測定することができる。
【0038】
-バインダー樹脂-
第3の粒子整列層におけるバインダー樹脂は、上記第1の粒子整列層におけるバインダー樹脂と同様であるため、その説明を省略する。
【0039】
-その他の成分-
第3の粒子整列層におけるその他の成分は、上記第1の粒子整列層におけるその他の成分と同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
-第1の低融点金属粒子の整列状態-
第1の低融点金属粒子の整列状態は、上記第1の粒子整列層における第1の熱伝導粒子の整列状態と同様であるため、その説明を省略する。
【0041】
前記第3の粒子整列層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましい。
【0042】
<第4の粒子整列層>
前記第4の粒子整列層は、前記第1の粒子整列層と前記第2の粒子整列層の間に形成されることが好ましい。
前記第4の粒子整列層は、第12低融点金属粒子を所定間隔離間して整列した状態で含み、バインダー樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0043】
-第2の低融点金属粒子-
第2の低融点金属粒子は、上記第3の粒子整列層における第1の低融点金属粒子と同様であるため、その説明を省略する。
【0044】
-バインダー樹脂-
第4の粒子整列層におけるバインダー樹脂は、上記第1の粒子整列層におけるバインダー樹脂と同様であるため、その説明を省略する。
【0045】
-その他の成分-
第4の粒子整列層におけるその他の成分は、上記第1の粒子整列層におけるその他の成分と同様であるため、その説明を省略する。
【0046】
-第2の低融点金属粒子の整列状態-
第2の低融点金属粒子の整列状態は、上記第1の粒子整列層における第1の熱伝導粒子の整列状態と同様であるため、その説明を省略する。
【0047】
前記第4の粒子整列層の平均厚みは、上記第3の粒子整列層の平均厚みと同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
<対向基材>
前記対向基材は、前記基材と対向して配置され、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記対向基材の形状としては、例えば、板状、シート状などが挙げられる。前記対向基材の構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記対向基材の大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記対向基材の材質は、はんだが濡れやすい材質であり、銅、金、白金、パラジウム、銀、亜鉛、鉄、錫、ニッケル、マグネシウム、インジウム、及びこれらの合金から選択される少なくとも1種を含む。
前記対向基材の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記対向基材は、放熱構造体におけるヒートスプレッダそのものであってもよい。
【0049】
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間層、保護層などが挙げられる。
【0050】
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、第1の粒子整列層形成工程と、第2の粒子整列層形成工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0051】
<第1の粒子整列層形成工程>
第1の粒子整列層形成工程は、基材上に、第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第1の粒子整列層を形成する工程である。
前記基材が、シリコン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ガラス、モールド樹脂、ステンレス鋼、及びセラミックスから選択される少なくとも1種を含む。
前記第1の熱伝導粒子は、上記第1の粒子整列層に含まれる第1の熱伝導粒子と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
前記第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第1の粒子整列層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1の熱伝導粒子の配列パターンに応じた凹部が形成された型を用意し、当該型の凹部に第1の熱伝導粒子を充填し、その上に、剥離フィルム上に形成したバインダー樹脂を含む樹脂層を貼り合わせて第1の熱伝導粒子を押し込む。これにより、樹脂層に第1の熱伝導粒子を所定のパターンで転着させることにより第1の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列した状態で設けられた第1の粒子整列層シートを形成することができる。
次に、第1の粒子整列層シートを基材上に第1の熱伝導粒子が接するように配置し、圧着することにより、第1の熱伝導粒子が所定間隔離間して整列した状態で含む第1の粒子整列層を形成することができる。
【0053】
<第2の粒子整列層形成工程>
第2の粒子整列層形成工程は、第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第2の粒子整列層を形成する工程である。
前記第2の熱伝導粒子は、上記第2の粒子整列層に含まれる第2の熱伝導粒子と同様であるため、その説明を省略する。
前記第2の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第2の粒子整列層を形成する方法は、前記第1の熱伝導粒子を所定間隔離間して整列した状態で含む第1の粒子整列層を形成する方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第3の粒子整列層形成工程、第4の粒子整列層形成工程などが挙げられる。
【0055】
ここで、本発明の積層体の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状などは本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状などにすることができる。
【0056】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る積層体の一例を示す概略図である。この図1の積層体10は、基材11上に、第1の熱伝導粒子17が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層12と、前記第1の粒子整列層上に、第1の低融点金属粒子19が所定間隔離間して整列している第3の粒子整列層14と、第3の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子18が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層13と、第2の粒子整列層上に、第2の低融点金属粒子20が所定間隔離間して整列している第4の粒子整列層15と、第4の粒子整列層上に、対向基材16を有する。
第1の粒子整列層12に含まれる第1の熱伝導粒子17の一部と第2の粒子整列層13に含まれる第2の熱伝導粒子18の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さい。
【0057】
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態に係る積層体の一例を示す概略図である。この図2の積層体10Aは、基材11上に、第1の熱伝導粒子17が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層12と、前記第1の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子18が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層13と、第2の粒子整列層上に、第2の低融点金属粒子20が所定間隔離間して整列している第4の粒子整列層15と、第4の粒子整列層上に、対向基材16を有する。
第1の粒子整列層12に含まれる第1の熱伝導粒子17の一部と第2の粒子整列層13に含まれる第2の熱伝導粒子18の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さい。
【0058】
<第3の実施形態>
図3は、第3の実施形態に係る積層体の一例を示す概略図である。この図3の積層体10Bは、基材11上に、第1の熱伝導粒子17が所定間隔離間して整列している第1の粒子整列層12と、前記第1の粒子整列層上に、第1の低融点金属粒子19が所定間隔離間して整列している第3の粒子整列層14と、第3の粒子整列層上に、第2の熱伝導粒子18が所定間隔離間して整列している第2の粒子整列層13と、第2の粒子整列層上に、対向基材16を有する。
第1の粒子整列層12に含まれる第1の熱伝導粒子17の一部と第2の粒子整列層13に含まれる第2の熱伝導粒子18の一部とが接触しており、前記第1の熱伝導粒子の体積平均粒径が前記第2の熱伝導粒子の体積平均粒径よりも小さい。
【0059】
本発明の積層体は、例えば、LSI等の熱源とヒートシンクとの間の微小な間隙を埋めることで、両者の間に熱がスムーズに流れるようにするサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)、LEDチップ又はICチップを実装した放熱基板を、ヒートシンクに接着してパワーLEDモジュール又はパワーICモジュールを構成する際に好適に使用することができる。
ここで、パワーLEDモジュールとしては、ワイヤーボンディング実装タイプのものとフリップチップ実装タイプのものがあり、パワーICモジュールとしてはワイヤーボンディング実装タイプのものがある。
【0060】
本発明に用いられる放熱構造体は、発熱体と、本発明の積層体と、放熱部材とから構成される。
【0061】
前記発熱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の電子部品などが挙げられる。
【0062】
前記放熱部材としては、電子部品(発熱体)の発する熱を放熱する構造体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒートスプレッダ、ヒートシンク、ベーパーチャンバー、ヒートパイプなどが挙げられる。
前記ヒートスプレッダは、前記電子部品の熱を他の部品に効率的に伝えるための部材である。前記ヒートスプレッダの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。前記ヒートスプレッダは、通常、平板形状である。
前記ヒートシンクは、前記電子部品の熱を空気中に放出するための部材である。前記ヒートシンクの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。前記ヒートシンクは、例えば、複数のフィンを有する。前記ヒートシンクは、例えば、ベース部と、前記ベース部の一方の面に対して非平行方向(例えば、直交する方向)に向かって延びるように設けられた複数のフィンを有する。
前記ヒートスプレッダ、及び前記ヒートシンクは、一般的に、内部に空間を持たない中実構造である。
前記ベーパーチャンバーは、中空構造体である。前記中空構造体の内部空間には、揮発性の液体が封入されている。前記ベーパーチャンバーとしては、例えば、前記ヒートスプレッダを中空構造にしたもの、前記ヒートシンクを中空構造にしたような板状の中空構造体などが挙げられる。
前記ヒートパイプは、円筒状、略円筒状、又は扁平筒状の中空構造体である。前記中空構造体の内部空間には、揮発性の液体が封入されている。
【0063】
ここで、図4は、放熱構造体としての半導体装置の一例を示す概略断面図である。本発明の積層体7は、半導体素子等の電子部品3の発する熱を放熱するものであり、図4に示すように、ヒートスプレッダ2の電子部品3と対峙する主面2aに固定され、電子部品3と、ヒートスプレッダ2との間に挟持されるものである。また、熱伝導シート1は、ヒートスプレッダ2とヒートシンク5との間に挟持される。
【0064】
ヒートスプレッダ2は、例えば、方形板状に形成され、電子部品3と対峙する主面2aと、主面2aの外周に沿って立設された側壁2bとを有する。ヒートスプレッダ2は、側壁2bに囲まれた主面2aに熱伝導シート1が設けられ、また主面2aと反対側の他面2cに熱伝導シート1を介してヒートシンク5が設けられる。ヒートスプレッダ2は、高い熱伝導率を有するほど、熱抵抗が減少し、効率よく半導体素子等の電子部品3の熱を吸熱することから、例えば、熱伝導性の良好な銅やアルミニウムを用いて形成することができる。
【0065】
電子部品3は、例えば、BGA等の半導体素子であり、配線基板6へ実装される。またヒートスプレッダ2も、側壁2bの先端面が配線基板6に実装され、これにより側壁2bによって所定の距離を隔てて電子部品3を囲んでいる。
そして、ヒートスプレッダ2の主面2aに、本発明の積層体7が設けられることにより、電子部品3の発する熱を吸収し、ヒートシンク5より放熱する放熱部材が形成される。
【実施例0066】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
<第1の粒子整列層形成シートの作製>
-第1の粒子整列層用樹脂フィルムの作製-
剥離フィルム(PET38GS、リンテック株式会社製)上に、オキセタン化合物(UBE株式会社製、4,4′-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)56質量部、グルタル酸(東京化成株式会社製)22質量部、及びポリアミド化合物(M1276、アルケマ株式会社製)22質量部を含有する樹脂組成物を付与し、平均厚み15μmの樹脂層を有する第1の粒子整列層用樹脂フィルムを作製した。
【0068】
-第1の熱伝導粒子が整列したフィルム状原盤の作製-
まず、厚さ2mmのニッケルプレートを用意し、その50cm四方の領域に、六方格子パターンで円柱状の凸部(外径4μm、高さ4μm、中心間距離6μm)を形成し、凸部の面密度が32,000個/mmとなる転写体原盤とした。
次に、50cm幅で50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)基材フィルムを用意し、前記PET基材フィルムに、アクリレート樹脂(M208、東亞合成株式会社製)100質量部と光重合開始剤(IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製)2質量部とを含有する光硬化性樹脂組成物を、膜厚が30μmとなるように塗布した。
得られた光硬化性樹脂組成物膜に対し、ニッケル製の転写体原盤をその凸面から押圧し、高圧水銀灯(1,000mJ/cm)で、PET基材フィルム側から光照射を行うことにより、転写体原盤の凸部が凹部として転写された光硬化樹脂層が形成された。この操作をPET基材フィルムの長手方向に位置合わせしながら連続して繰り返すことにより、転写体原盤の凸部が凹部として転写された約10mのフィルム状原盤が得られた。得られたフィルム状原盤には、転写体原盤の凸部パターンに対応した凹部が六方格子状に配列されていた。
次に、第1の熱伝導粒子としてAg粒子(DOWAエレクトロニクス株式会社製、体積平均粒径Dv:1μm)を用意し、この第1の熱伝導粒子をフィルム状原盤の表面に複数回散布した。次いで、第1の熱伝導粒子を布でワイプすることで、長さ方向に30cmで裁断したフィルム状原盤の凹部に第1の熱伝導粒子を充填した。
【0069】
-第1の熱伝導粒子の第1の粒子整列層用樹脂フィルムへの転写-
次に、第1の熱伝導粒子が所定の条件で充填された裁断したフィルム状原盤の上に、上記第1の粒子整列層用樹脂フィルムを長手方向の長さを一致するようにし、幅方向はフィルム状原盤の中央部付近を含むように位置合わせして被せ、60℃、0.5MPaで押圧することにより第1の熱伝導粒子を転写させた。そして、フィルム状原盤から絶縁性樹脂層用フィルムを剥離し、熱伝導フィルム上の整列した状態の第1の熱伝導粒子を、加圧(押圧条件:60℃~70℃、0.5MPa)することにより第1の粒子整列層用樹脂フィルムに押し込み、これを裁断したフィルム状原盤5点で行うことにより、第1の熱伝導粒子が整列した状態で埋め込まれた第1の粒子整列層形成シートを作製した。
【0070】
<第2の粒子整列層形成シートの作製>
-第2の粒子整列層用樹脂フィルムの作製-
剥離フィルム(PET38GS、リンテック株式会社製)上に、オキセタン化合物(UBE株式会社製、4,4′-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)56質量部、グルタル酸(東京化成株式会社製)22質量部、及びポリアミド化合物(M1276、アルケマ株式会社製)22質量部を含有する樹脂組成物を付与し、平均厚み70μmの樹脂層を有する第2の粒子整列層用樹脂フィルムを作製した。
【0071】
実施例1において、上記第2の粒子整列層用樹脂フィルムを用い、第1の熱伝導粒子を第2の熱伝導粒子1(AgコートCu粒子、福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径Dv:40μm)とした以外は、実施例1と同様にして、第2の粒子整列層形成シートを作製した。
【0072】
<第3及び第4の粒子整列層形成シートの作製>
-第3及び第4の粒子整列層用樹脂フィルムの作製-
剥離フィルム(PET38GS、リンテック株式会社製)上に、オキセタン化合物(UBE株式会社製、4,4′-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)56質量部、グルタル酸(東京化成株式会社製)22質量部、及びポリアミド化合物(M1276、アルケマ株式会社製)22質量部を含有する樹脂組成物を付与し、平均厚み20μmの樹脂層を有する第3及び第4の粒子整列層用樹脂フィルムを作製した。
【0073】
実施例1において、上記第3及び第4の粒子整列層用樹脂フィルムを用い、第1の熱伝導粒子を第1及び第2の低融点金属粒子(Sn58Bi42粒子:三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径Dv:4μm、融点139℃)とした以外は、実施例1と同様にして、第3及び第4の粒子整列層形成シートを作製した。
【0074】
<積層体の作製>
30mm×30mm×2mmの基材(シリコン)と、30mm×30mm×2mmの対向基材(銅)との間に、基材(シリコン)側から第1の粒子整列層形成シート、第3の粒子整列層形成シート、第2の粒子整列層形成シート、及び第4の粒子整列層形成シートをこの順に積層し、所定の位置で熱ラミネートを80℃で実施後、熱プレスを80℃で15分間実施して、実施例1の積層体を作製した。
【0075】
(実施例2)
実施例1において、第2の熱伝導粒子1(AgコートCu粒子、福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径Dv:40μm)を、第2の熱伝導粒子2(Cu粒子、福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径Dv=40μm)とした以外は、実施例1と同様にして第2の粒子整列層形成シートを作製し、実施例1と同様にして、実施例2の積層体を作製した。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、第1の粒子整列層形成シートを設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層体を作製した。
【0077】
(比較例2)
実施例1において、第2の粒子整列層形成シートを設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の積層体を作製した。
【0078】
次に、得られた各積層体について、以下のようにして、熱伝導性及び信頼性を評価した。結果を表1~表2に示した。
【0079】
<熱伝導性>
得られた各積層体について、ASTM-D5470に準拠した方法で熱抵抗(℃・cm/W)を測定した。その結果から基材及び対向基材の熱抵抗を引いて硬化物の熱抵抗を算出し、前記熱抵抗と硬化物の厚みから、熱伝導率(W/m・K)を求め、下記の基準により熱伝導性を評価した。
[評価基準]
◎:熱伝導率が10W/m・K以上
〇:熱伝導率が7W/m・K以上10W/m・K未満
×:熱伝導率が7W/m・K未満
【0080】
<信頼性>
上記各積層体を150℃で500時間の環境試験機に入れ信頼性試験を行った後の熱伝導率を測定し、初期の熱伝導率からの減少率を求め、下記の基準で信頼性を評価した。
[評価基準]
◎:初期の熱伝導率に対し減少率が10%より小さい
〇:初期の熱伝導率に対し減少率が10%以上30%以下
×:初期の熱伝導率に対し減少率が30%より大きい
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の積層体は、サーマルインターフェイスマテリアル(TIM)として高熱伝導性を実現できるので、例えば、温度によって素子動作の効率や寿命等に悪影響が生じるCPU、MPU、パワートランジスタ、LED、レーザーダイオード等の各種の電気デバイス周りなどに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0084】
1 熱伝導シート
2 ヒートスプレッダ
2a 主面
3 発熱体(電子部品)
3a 上面
5 ヒートシンク
6 配線基板
7 積層体
10、10A、10B 積層体
11 基材
12 第1の粒子整列層
13 第2の粒子整列層
14 第3の粒子整列層
15 第4の粒子整列層
16 対向基材
17 第1の熱伝導粒子
18 第2の熱伝導粒子
19 第1の低融点金属粒子
20 第2の低融点金属粒子

図1
図2
図3
図4