(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179999
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】駆動回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/78 20060101AFI20231213BHJP
H03K 17/785 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H03K17/78 J
H03K17/785
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093025
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 和慶
(72)【発明者】
【氏名】仁野 新一
【テーマコード(参考)】
5J050
【Fターム(参考)】
5J050AA02
5J050AA03
5J050AA25
5J050BB21
5J050DD08
5J050EE17
5J050EE22
5J050FF04
5J050FF10
(57)【要約】
【課題】セルフターンオンを抑制することができる駆動回路を提供する。
【解決手段】ゲート電極を有するスイッチング素子3aを駆動する駆動回路であって、光を発生させる発光部6と、発光部6から光が照射されることによって起電力を発生させ、ゲート電極に電圧を印加する受光部7と、起電力を用いてゲート電極に負のバイアス電圧を印加する負バイアス生成回路72と、を備える。これによれば、ゲート電極に負のバイアス電圧が印加されるため、出力電圧の変化時にゲート電圧が閾値電圧を超えることを抑制し、セルフターンオンを抑制することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極を有するスイッチング素子(3a、3b)を駆動する駆動回路であって、
光を発生させる発光部(6)と、
前記発光部から光が照射されることによって起電力を発生させ、前記ゲート電極に電圧を印加する受光部(7)と、
前記起電力を用いて前記ゲート電極に負のバイアス電圧を印加する負バイアス生成回路(72)と、を備える駆動回路。
【請求項2】
前記受光部は、複数のフォトダイオードを備える請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記受光部は、複数のフォトダイオードを備え、
前記負バイアス生成回路は、前記複数のフォトダイオードの一部で構成されている請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記発光部を第1発光部として、
光を発生させる第2発光部(8)を備え、
前記第1発光部は、前記複数のフォトダイオードのうち、前記ゲート電極に正のバイアス電圧を印加する部分に光を照射し、
前記第2発光部は、前記複数のフォトダイオードのうち、前記負バイアス生成回路を構成する部分に光を照射し、
前記第1発光部および前記第2発光部は、個別に駆動可能とされている請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記第2発光部は、前記第1発光部とは逆相で駆動される請求項4に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第2発光部は間欠駆動される請求項4に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記負バイアス生成回路は、抵抗(721)と、前記抵抗に直列接続されたツェナーダイオード(722)またはダイオード(724)とで構成されている請求項1または2に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記発光部は、
発光ダイオード(63)と、
前記発光ダイオードの駆動を高速化する高速化回路(64)と、を備える請求項1ないし6のいずれか1つに記載の駆動回路。
【請求項9】
前記受光部は、前記スイッチング素子のゲート容量の放電を高速化する放電回路(75)を備える請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記受光部は、前記スイッチング素子のゲート容量の充電および放電を高速化する充放電回路(73)を備える請求項1ないし6のいずれか1つに記載の駆動回路。
【請求項11】
前記受光部は、フォトトランジスタ(751)によって前記スイッチング素子のゲート容量を放電する放電回路(75)を備える請求項10に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート電極を有するスイッチング素子を駆動する駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータ等の駆動に用いられるパワースイッチング素子は、通常、素子を駆動する制御回路と基準電位が異なる。そのため、素子を駆動する際には、電源と素子の絶縁が重要になる。これについて、LED(発光ダイオード)等を有する発光部と、太陽電池等を有する受光部とで駆動回路を構成し、太陽電池等の起電力で素子を駆動する方法が提案されている。この方法では、簡素な構成で電源と素子とを絶縁させることができ、絶縁設計が容易になる。一方、素子駆動信号のオンとオフの切り替え速度が遅いため、素子のスイッチング損失が増加し、素子が発熱するおそれがある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1では、素子を高速に駆動するための構成を駆動回路に追加することが提案されている。これにより、スイッチング損失を低減し、素子の発熱を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スイッチング素子をインバータやコンバータのような高電圧のハーフブリッジ回路で用いる場合には、素子の高速駆動によって出力電圧が急峻に変化すると、セルフターンオンによる損失および発熱が増加し、素子が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、セルフターンオンを抑制することができる駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ゲート電極を有するスイッチング素子(3a、3b)を駆動する駆動回路であって、光を発生させる発光部(6)と、発光部から光が照射されることによって起電力を発生させ、ゲート電極に電圧を印加する受光部(7)と、起電力を用いてゲート電極に負のバイアス電圧を印加する負バイアス生成回路(72)と、を備える。
【0008】
これによれば、ゲート電極に負のバイアス電圧が印加されるため、出力電圧の変化時にゲート電圧が閾値電圧を超えることを抑制し、セルフターンオンを抑制することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における負荷駆動装置の回路図である。
【
図5】セルフターンオンについて説明するための回路図である。
【
図7】第1実施形態における駆動回路のタイムチャートである。
【
図8】第2実施形態における駆動回路の回路図である。
【
図9】第3実施形態における駆動回路の回路図である。
【
図10】第3実施形態における駆動回路のタイムチャートである。
【
図11】第4実施形態における駆動回路の回路図である。
【
図12】第4実施形態における駆動回路のタイムチャートである。
【
図13】第5実施形態における発光部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。
図1に示すように、負荷駆動装置は、制御回路1と、駆動回路2a、2bと、スイッチング素子3a、3bと、電源4とを備え、コンデンサで構成された負荷5を駆動するように設けられている。
【0013】
制御回路1は、駆動回路2a、2bを制御し、駆動回路2a、2bによって駆動されるスイッチング素子3a、3bのオンとオフとを切り替えて、電源4が出力する電力を負荷5に供給するものである。制御回路1は、駆動回路2a、2bに接続されており、後述する電源61は、制御回路1からの信号によって出力電圧が設定される。
【0014】
駆動回路2a、2bは、スイッチング素子3a、3bに接続されている。スイッチング素子3a、3bはMOSFETで構成されており、駆動回路2a、2bはそれぞれスイッチング素子3a、3bのゲート電圧を操作するように設けられている。スイッチング素子3aのドレイン電極は電源4に接続されており、ソース電極はスイッチング素子3bのドレイン電極に接続されている。スイッチング素子3bのソース電極は接地されている。負荷5の一方の電極はスイッチング素子3aのソース電極およびスイッチング素子3bのドレイン電極に接続されており、他方の電極は接地されている。
【0015】
制御回路1は、スイッチング素子3aとスイッチング素子3bとが交互にオンされるように駆動回路2a、2bを制御する。すなわち、スイッチング素子3aがオンされている間はスイッチング素子3bがオフされ、スイッチング素子3bがオンされている間はスイッチング素子3aがオフされる。スイッチング素子3aがオンされてスイッチング素子3bがオフされているときには、電源4からの電流がスイッチング素子3aのドレイン-ソース間を流れて負荷5に供給される。一方、スイッチング素子3aがオフされてスイッチング素子3bがオンされているときには、スイッチング素子3bのドレイン-ソース間に電流が流れて負荷5が放電される。
【0016】
駆動回路2a、2bの詳細な構成について説明する。
図2はスイッチング素子3aに接続された駆動回路2aの詳細な構成を示しているが、駆動回路2bも駆動回路2aと同様の構成とされている。
図2に示すように、駆動回路2aは、発光部6と、受光部7とを備えている。
【0017】
発光部6は、制御回路1からの信号に応じて光を発生させるものである。発光部6は、第1発光部に相当する。発光部6は、電源61と、抵抗62と、LED63とを備えている。抵抗62およびLED63は直列に接続されており、電源61からの電流が抵抗62を介してLED63に流れることにより、LED63から光が発生する。LED63が発生させた光は、受光部7に照射される。
【0018】
受光部7は、発光部6から光が照射されることによって起電力を発生させ、スイッチング素子3aのゲート電極に電圧を印加するものであり、フォトダイオードアレイ71と、負バイアス生成回路72と、充放電回路73とを備えている。
【0019】
フォトダイオードアレイ71は、直列に接続された複数のフォトダイオードによって太陽電池を構成しており、LED63が発生させた光がフォトダイオードアレイ71に照射されることにより、フォトダイオードアレイ71の両端に起電力が発生する。フォトダイオードアレイ71の一端は充放電回路73を介してスイッチング素子3aのゲート電極に接続されており、フォトダイオードアレイ71に光が照射されることにより、スイッチング素子3aのゲート電極に正のバイアス電圧が印加される。
【0020】
負バイアス生成回路72は、スイッチング素子3aのゲート電極に負のバイアス電圧を印加するものである。負バイアス生成回路72は、抵抗721と、抵抗721に直列接続されたツェナーダイオード722と、ツェナーダイオード722に並列接続されたコンデンサ723とを備えている。
【0021】
抵抗721はツェナーダイオード722等に流れる電流の大きさを調整するものである。抵抗721の一端はフォトダイオードアレイ71を構成するフォトダイオードのアノード電極に接続されており、他端はツェナーダイオード722のカソード電極に接続されている。
【0022】
ツェナーダイオード722は、スイッチング素子3aのゲート電極に印加する負のバイアス電圧の大きさを決めるものである。ツェナーダイオード722のアノード電極は、フォトダイオードアレイ71を構成するフォトダイオードのカソード電極に接続されている。コンデンサ723は、負のバイアス電圧を維持するためのものである。
【0023】
フォトダイオードアレイ71と、ツェナーダイオード722と、コンデンサ723との接続点は、充放電回路73を介してスイッチング素子3aのゲート電極に接続されている。抵抗721と、ツェナーダイオード722と、コンデンサ723との接続点は、スイッチング素子3aのソース電極に接続されている。このような構成により、負バイアス生成回路72は、フォトダイオードアレイ71の起電力を用いてスイッチング素子3aのソース電極の電位を上げ、ゲート電極の電位を相対的に下げることにより、ゲート電極に負のバイアス電圧を印加する。
【0024】
なお、
図3に示すように、負バイアス生成回路72がツェナーダイオード722の代わりにダイオード724を備えていてもよい。この場合、ダイオード724のアノード電極は抵抗721に接続され、カソード電極はフォトダイオードアレイ71に接続される。このような構成の負バイアス生成回路72においても、スイッチング素子3aのゲート電極に負のバイアス電圧を印加することができる。
【0025】
充放電回路73は、スイッチング素子3aのゲート容量の充電および放電を高速化するものである。
図2に示すように、充放電回路73は、ツェナーダイオード731と、サイリスタ732と、抵抗733と、スイッチング素子734と、コンデンサ735とを備えている。
【0026】
ツェナーダイオード731のカソード電極は、フォトダイオードアレイ71と抵抗721との接続点、および、サイリスタ732のアノード電極に接続されている。ツェナーダイオード731のアノード電極は、サイリスタ732のゲート電極に接続されている。サイリスタ732のカソード電極は、抵抗733の一端、および、スイッチング素子734のゲート電極に接続されている。抵抗733の他端は、スイッチング素子3aのゲート電極、および、スイッチング素子734のソース電極に接続されている。スイッチング素子734のドレイン電極は、フォトダイオードアレイ71と、ツェナーダイオード722と、コンデンサ723との接続点に接続されている。コンデンサ735の一方の電極は、ツェナーダイオード731のカソード電極に接続されており、他方の電極は、スイッチング素子734のドレイン電極に接続されている。
【0027】
充放電回路73では、フォトダイオードアレイ71で起電力が発生すると、コンデンサ735が充電された後、ツェナーダイオード731によってサイリスタ732に順バイアスがかけられ、サイリスタ732が導通する。これにより抵抗733に電流が流れ、スイッチング素子734のソース-ドレイン間に電流が流れて、スイッチング素子3aがオンされる。抵抗733には、フォトダイオードアレイ71から供給される電流と、コンデンサ735の放電電流の両方が流れるため、スイッチング素子734のソース-ドレイン間の電流が急峻に増加する。したがって、充放電回路73を介してスイッチング素子3aにゲート電極を印加することで、例えばフォトダイオードアレイ71を直接スイッチング素子3aに接続した場合に比べて、スイッチング素子3aのオンとオフとを高速で切り替えることができる。なお、充放電回路73が
図2に示す構成とは異なる構成とされていてもよい。
【0028】
電源61の出力電圧をVin1とし、フォトダイオードアレイ71の両端電圧をV1とし、コンデンサ723の両端電圧をV2とし、スイッチング素子3aのゲート-ソース間の電圧をVgsとすると、これらの電圧は
図4に示すように変化する。
【0029】
すなわち、Vin1がハイレベルになると、LED63からフォトダイオードアレイ71に光が照射されて起電力が発生し、V1がハイレベルになる。また、コンデンサ723が充電されてV2がハイレベルになり、ツェナーダイオード722のツェナー電圧によって一定値に保持される。V2がハイレベルになる分、VgsはV1よりも小さくなるが、閾値電圧を超えるように設計することで、Vgsがハイレベルになる。これにより、スイッチング素子3aがオンされてスイッチング素子3aのドレイン-ソース間に電流が流れる。
【0030】
Vin1がローレベルになると、フォトダイオードアレイ71への光の照射が止まり、V1がローレベルになる。一方、Vin1がハイレベルのときにコンデンサ723が充電されているため、V2は徐々に小さくなりながらも、ある程度の値を維持する。そのため、Vgsは負の値となり、スイッチング素子3aがオフされる。
【0031】
前述したように、駆動回路2bは、駆動回路2aと同様の構成とされている。すなわち、駆動回路2bは発光部6、および、スイッチング素子3bに接続された受光部7を備えている。そして、負バイアス生成回路72によってスイッチング素子3bのゲート電極に負のバイアス電圧が印加され、スイッチング素子3bがオフされているときには、スイッチング素子3bのゲート電圧が負の値に維持される。
【0032】
図5は、スイッチング素子3bの詳細な回路図である。
図5に示すように、ドレイン-ゲート間、ゲート-ソース間、ソース-ドレイン間にはそれぞれ寄生容量31、32、33が存在し、ゲート-ソース間には内部抵抗34が存在する。
【0033】
負荷駆動装置において、スイッチング素子3aのオン・オフが高速で切り替えられ、負荷5への出力電圧が急峻に変化すると、
図5に示すようにスイッチング素子3bのドレイン-ゲート間の寄生容量31に電流が流れる。これによりゲート-ソース間の寄生容量32および内部抵抗34に電流が流れて、ゲート-ソース間に電位差が発生する。
図6に示すように、この電位差が閾値を超えると、セルフターンオンが発生し、すなわち、スイッチング素子3bが意図せずオン状態になり、スイッチング素子3aとスイッチング素子3bに貫通電流が流れ、損失の増加や素子の損傷のおそれがある。なお、
図6において、VgsH、VgsLはそれぞれスイッチング素子3a、3bのゲート-ソース間の電位差であり、Vthはゲート閾値電圧である。
【0034】
これに対して、本実施形態では、駆動回路2bが備える負バイアス生成回路72によって、スイッチング素子3bのゲート電極に負のバイアス電圧が印加される。そして、スイッチング素子3bがオフされているときには、スイッチング素子3bのゲート電圧が負の値に維持される。そのため、
図7に示すように、出力電圧の急峻な変化によりゲート-ソース間に電位差が発生しても、VgsLがVthを超えることが抑制され、貫通電流が抑制される。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、スイッチング素子のゲート電極に負のバイアス電圧が印加されるため、出力電圧の変化時にゲート電圧が閾値電圧を超えることを抑制し、セルフターンオンを抑制することができる。
【0036】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
(1)受光部7は、スイッチング素子3aのゲート容量の充電および放電を高速化する充放電回路73を備える。このような構成では、スイッチング素子3aの駆動が高速化されるが、負のバイアス電圧の印加によって、セルフターンオンを抑制することができる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して負バイアス生成回路72の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0039】
本実施形態の負バイアス生成回路72は、フォトダイオードアレイ71から直接負のバイアス電圧を生成するように構成されている。具体的には、
図8に示すように、フォトダイオードアレイ71が備える複数のフォトダイオードは、スイッチング素子3aのゲート電極に正のバイアス電圧を印加するフォトダイオード71aと、負のバイアス電圧を印加するフォトダイオード71bとに分かれている。負バイアス生成回路72は、フォトダイオード71bと、フォトダイオード71bに並列に接続されたコンデンサ725とで構成されており、スイッチング素子3aのソース電極はフォトダイオード71bのアノード電極に接続されている。また、フォトダイオード71aに並列にコンデンサ74が接続されている。
【0040】
このような構成では、フォトダイオードアレイ71に光が照射されて起電力が発生すると、フォトダイオード71aの起電力によってコンデンサ74が充電され、充放電回路73を介してスイッチング素子3aのゲート電極に正のバイアス電圧が印加される。また、フォトダイオード71bの起電力によってコンデンサ725が充電され、スイッチング素子3aのオフ時にゲート電極に負のバイアス電圧が印加される。
【0041】
正のバイアス電圧と負のバイアス電圧の大きさは、フォトダイオード71aとフォトダイオード71bの直列数によって調整される。フォトダイオード71aの直列数を、バイアス電圧がスイッチング素子3aの閾値電圧を超えるように設計することで、スイッチング素子3aをオンする機能が保持される。フォトダイオード71bの直列数は、スイッチング素子3aの閾値電圧に対しセルフターンオンの抑制に有効な負のバイアス電圧を生成するために必要な数とされる。
【0042】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して発光部を追加したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
図9に示すように、駆動回路2aは、発光部8を備えている。発光部8は、電源81と、抵抗82と、LED83とを備えており、電源81~LED83は、発光部6の電源61~LED63と同様の構成とされている。発光部8は、第2発光部に相当する。
【0045】
発光部6および発光部8は、個別に駆動可能とされている。そして、発光部6は、フォトダイオードアレイ71を構成する複数のフォトダイオードのうちフォトダイオード71aのみに光を照射するようになっており、発光部8は、フォトダイオード71bのみに光を照射するようになっている。
【0046】
電源81の出力電圧をVin2とする。
図10に示すように、Vin2は、Vin1とは逆相で駆動される。すなわち、Vin1がハイレベルになると、フォトダイオード71aの起電力によってV1がハイレベルになる。一方、Vin2はローレベルになって、V2がローレベルになる。したがって、Vgsはハイレベルになり、スイッチング素子3aがオンされる。
【0047】
Vin1がローレベルになると、V1はローレベルになる。一方、Vin2はハイレベルになり、フォトダイオード71bの起電力によってV2がハイレベルになる。したがって、Vgsは負の値になる。このように、スイッチング素子3aがオフされているときにのみ、ゲート電極に負のバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0048】
なお、電源81の代わりに、Vin1の反転信号でLED83を駆動してもよい。これによれば、電源81が不要となり、回路を簡素化することができる。また、LED83を間欠駆動してもよい。
【0049】
本実施形態は、第1、第2実施形態と同様の構成および作動からは第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0051】
(1)フォトダイオード71bに光を照射する発光部8を備え、発光部6と発光部8とは、個別に駆動可能とされている。これによれば、負のバイアス電圧を安定して維持することができる。
【0052】
(2)発光部8は、発光部6とは逆相で駆動される。これによれば、発光部6が備える電源61の反転信号で発光部8のLED83を駆動し、回路を簡素化することが可能である。
【0053】
(3)LED83は、間欠駆動される。これによれば、LED83の駆動を、負のバイアス電圧を維持するために必要な最小限の駆動とすることにより、消費電力を低減することができる。
【0054】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対して受光部7の構成を変更したものであり、その他については第3実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
図11に示すように、受光部7は、充放電回路73を備えず、フォトダイオード71aのアノード電極とコンデンサ74の一方の電極は、スイッチング素子3aのゲート電極に直接接続されている。そして、受光部7は、放電回路75を備えている。放電回路75は、スイッチング素子3aのゲート容量を放電するものである。放電回路75は、フォトトランジスタ751を備えている。フォトトランジスタ751は、コレクタ電極がスイッチング素子3aのゲート電極に接続されており、エミッタ電極がフォトダイオード71bのカソード電極に接続されている。
【0056】
駆動回路2aは、発光部9を備えている。発光部9は、電源91と、抵抗92と、LED93とを備えており、電源91~LED93は、発光部6の電源61~LED63と同様の構成とされている。発光部9は、フォトトランジスタ751に光を照射するように設けられている。電源91の出力電圧をVin3とする。
【0057】
図12に示すように、Vin3はVin1と逆相で駆動される。これにより、Vin1がローレベルになったとき、すなわち、スイッチング素子3aがオフされているときにのみフォトトランジスタ751がオンされ、スイッチング素子3aのゲート容量が放電される。
【0058】
なお、
図12に示すように、Vin2とVin3とは同相で駆動される。したがって、発光部9を設けず、発光部8によってフォトダイオード71bとフォトトランジスタ751の両方に光を照射するようにしてもよい。これによれば、発光部9が不要であるため、部品を削減することができる。
【0059】
本実施形態は、第1~第3実施形態と同様の構成および作動からは第1~第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して発光部6の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
図13に示すように、発光部6は高速化回路64を備えている。高速化回路64は、LED63の駆動を高速化するものである。高速化回路64は、コンデンサ641と、コンデンサ641に対して並列に接続された抵抗642とを備えている。これによれば、定常時のLED63の駆動電流は抵抗642によって制限されるが、Vin1がローレベルからハイレベルになるときの急峻に変化する電流はコンデンサ641を介してLED63に流れる。したがって、LED63を高速にオンすることができる。
【0062】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
(1)発光部6は、LED63の駆動を高速化する高速化回路64を備える。このような構成では、スイッチング素子3aの駆動が高速化されるが、負のバイアス電圧の印加によって、セルフターンオンを抑制することができる。
【0065】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0066】
例えば、第1~第3、第5実施形態において、駆動回路2a、2bが充放電回路73を備えていなくてもよい。また、第2~第4実施形態において、発光部6が高速化回路64を備えていてもよい。また、第5実施形態において、負バイアス生成回路72がツェナーダイオード722の代わりにダイオード724を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
6 発光部
7 受光部
72 負バイアス生成回路