(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180002
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】内部構造材設置装置
(51)【国際特許分類】
E21D 11/40 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
E21D11/40 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093031
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391004791
【氏名又は名称】カジマメカトロエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】高柳 哲
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 勇
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充
(72)【発明者】
【氏名】松永 康孝
(72)【発明者】
【氏名】太田 賢司
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155GA01
2D155GA04
2D155GA06
2D155GA07
2D155GA08
(57)【要約】
【課題】シールドトンネル内に内部構造材を設置する作業の作業効率を向上させる。
【解決手段】内部構造材設置装置100は、シールドトンネルTの左右方向に互いに間隔をあけて配置される一対の移動機構15と、一対の移動機構15を連結する門型のフレーム22と、内部構造材を吊り下げ可能な吊り部40と、フレーム22に対して吊り部40を昇降させる揚重部60と、を備え、フレーム22には、内部構造材の吊り上げ及び吊り降ろしに伴って昇降する吊り部40を、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿ってガイド可能なガイド部30が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドトンネル内にプレキャスト内部構造材を設置する内部構造材設置装置であって、
前記シールドトンネルの左右方向に互いに間隔をあけて配置され、前記シールドトンネル内を軸方向に沿って移動可能な一対の移動機構と、
前記一対の移動機構を連結する門型のフレームと、
前記内部構造材を吊り下げ可能な吊り部と、
前記フレームに対して前記吊り部を昇降させる揚重部と、を備え、
前記フレームには、前記内部構造材の吊り上げ及び吊り降ろしに伴って昇降する前記吊り部を、前記シールドトンネルの軸方向に対して直交する平面に沿ってガイド可能なガイド部が設けられる、
内部構造材設置装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記フレームに対して前記シールドトンネルの軸方向に沿って移動可能に設けられる、
請求項1に記載の内部構造材設置装置。
【請求項3】
前記吊り部に対する前記内部構造材の相対移動を規制する拘束部をさらに備える、
請求項1または2に記載の内部構造材設置装置。
【請求項4】
前記拘束部は、前記吊り部に吊り下げられた前記内部構造材を、前記ガイド部のガイド方向下方に向けて押圧する押圧機構であり、
前記拘束部は、少なくとも一対設けられ、一方の前記拘束部の押圧によって前記内部構造材が傾く方向と、他方の前記拘束部の押圧によって前記内部構造材が傾く方向とが、反対方向となるようにそれぞれ配置される、
請求項3に記載の内部構造材設置装置。
【請求項5】
前記吊り部は、
前記ガイド部のガイド方向と平行な軸を中心に旋回する旋回部と、
前記旋回部を旋回可能に支持するベース部と、を有し、
前記拘束部は、前記旋回部に設けられる、
請求項3に記載の内部構造材設置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部構造材設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シールドトンネル内にプレキャスト内部構造材を設置する内部構造材設置装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される内部構造材設置装置によってシールドトンネル内に設置されるプレキャスト内部構造材である床版は、巻上装置により巻き上げられるワイヤを介して吊り下げられることから、ワイヤが重力方向に沿った状態で吊り下げられることになる。つまり、床版は、シールドトンネルの勾配に関わらず重力方向に沿って吊り下げられることから、例えば、勾配が比較的大きい箇所において、シールドトンネルの設置面へと床版を降ろす際には、吊り下げられた床版を、シールドトンネルの設置面の勾配に合わせて傾けつつ、既設の床版に対して押し付けるといった作業が必要となる。したがって、勾配が比較的大きい箇所では、シールドトンネルに床版を設置する作業の作業効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、シールドトンネル内に内部構造材を設置する作業の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シールドトンネル内にプレキャスト内部構造材を設置する内部構造材設置装置であって、シールドトンネルの左右方向に互いに間隔をあけて配置されシールドトンネル内を軸方向に沿って移動可能な一対の移動機構と、一対の移動機構を連結する門型のフレームと、内部構造材を吊り下げ可能な吊り部と、フレームに対して吊り部を昇降させる揚重部と、を備え、フレームには、内部構造材の吊り上げ及び吊り降ろしに伴って昇降する吊り部を、シールドトンネルの軸方向に対して直交する平面に沿ってガイド可能なガイド部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シールドトンネル内に内部構造材を設置する作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る内部構造材設置装置により内部構造材が設置されるシールドトンネルの軸方向に沿う断面図である。
【
図2】
図1の矢印Aで示される方向から見た内部構造材設置装置の概略図である。
【
図3】
図2のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
【
図4】
図3のC-C線に沿う断面を示す断面図である。
【
図5】
図3の矢印Dで示される方向から見た拘束部周辺を拡大して示した拡大図である。
【
図6】
図3の矢印Eで示される部分を拡大して示した拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る内部構造材設置装置により内部構造材がシールドトンネル内に設置された状態を示す図であり、
図2と同じ方向から見た図である。
【
図8】
図1の矢印Fで示される方向から見た内部構造材設置装置の概略図であり、内部構造材設置装置により内部構造材がシールドトンネル内に設置された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る内部構造材設置装置について説明する。
【0010】
本発明の実施形態に係る内部構造材設置装置100,200は、シールドトンネルT内にプレキャストコンクリート製の内部構造材を設置する際に用いられる装置である。以下では、内部構造材設置装置100,200が、シールドトンネルT内にボックスカルバート19の下部材16や上部材18といったプレキャスト内部構造材を設置する装置として用いられる場合について説明する。
【0011】
なお、内部構造材設置装置100,200によってシールドトンネルT内に設置されるプレキャスト内部構造材は、ボックスカルバート19を構成する部材に限定されず、シールドトンネルT内に設置される内部構造材であればよく、例えば、床版を構成するボックスカルバート19以外の部材やシールドトンネルTの底面に設置されるインバートブロックであってもよい。
【0012】
まず、
図1を参照して、内部構造材設置装置100,200により内部構造材が設置されるシールドトンネルT及びシールドトンネルTを構築するシステムについて説明する。シールドトンネルTは、シールド掘進機1によって地山(地盤)に掘削された掘削坑に、後述のセグメントピース7を組み立てることによって構築される。
図1は、シールドトンネルTの軸方向に沿う断面図である。なお、以下では、シールド掘進機1が掘進する方向である切羽側を「前方」とし、その反対の方向である坑口側を「後方」とし、シールド掘進機1の掘進方向に対して右側をシールドトンネルTの「右方」とし、シールド掘進機1の掘進方向に対して左側をシールドトンネルTの「左方」として説明する。
【0013】
図1に示されるシールド掘進機1は、泥土圧シールド工法に用いられる泥土圧式シールド掘進機であり、円筒状の外殻(スキンプレート)2と、外殻2の前方端部に配置され外殻2により回転自在に支持されるカッタヘッド3と、セグメントピース7を組み立てるエレクタ4と、外殻2の内側に周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるシールドジャッキ5と、を有する。
【0014】
エレクタ4は、円弧形状のセグメントピース7を把持可能であるとともに、外殻2の内周面に沿って外殻2の中心軸方向及び周方向に移動可能に構成される。エレクタ4によって複数のセグメントピース7が外殻2の内周面に沿って組み立てられることにより、円筒状のセグメントリング8が構築される。
【0015】
シールドジャッキ5は、シリンダとロッドとにより構成される油圧ジャッキであり、エレクタ4によって組み立てられたセグメントリング8の側面にロッドの先端部が当接可能に配置される。
【0016】
シールドジャッキ5のロッドの先端部がセグメントリング8の側面に当接した状態でシールドジャッキ5を伸長作動させると、セグメントリング8から得られる反力により、カッタヘッド3は地山に押し付けられることになる。このように、シールド掘進機1は、シールドジャッキ5が既設のセグメントリング8を押圧することで得られる反力を、前方へ掘進するための推進力としている。
【0017】
上記構成のシールド掘進機1は、カッタヘッド3を回転させて地山を掘削しながら土砂を取り込んで後方へと搬出し、シールドジャッキ5を伸長させて掘進する。地山には掘削坑が掘削されるとともに、掘削坑の内周面に沿ってセグメントリング8が順次組み立てられることによってシールドトンネルTが構築される。
【0018】
このようにしてシールドトンネルTを構築するシールド掘進機1の後方には、エレクタ4へセグメントピース7を供給するセグメント供給装置10と、複数の後続台車20(20A~20D)が配置される。セグメント供給装置10及び後続台車20は、シールド掘進機1の掘進に追従して移動するように、図示しない連結ビームを介してシールド掘進機1に連結されている。なお、セグメント供給装置10及び後続台車20は、シールドトンネルT内を自走可能な構成を有していてもよい。
【0019】
セグメント供給装置10は、運搬台車12よってシールドトンネルT内に運搬されたセグメントピース7をエレクタ4へ向けて搬送するコンベアを備えた装置である。シールド掘進機1の後方に配置される第1後続台車20Aには、運搬台車12の荷台に載せられたセグメントピース7をセグメント供給装置10の搬入部へと搬送可能な搬送クレーン14が設けられる。
【0020】
搬送クレーン14は、例えば、ホイスト式天井クレーンであり、第1後続台車20Aに軸方向に沿って設けられた走行レール14a、または、第1後続台車20Aとシールド掘進機1とに跨って軸方向に沿って設けられた走行レールに沿って移動可能である。
【0021】
後続台車20(20A~20D)は、シールド掘進機1の作動を制御する制御装置やシールド掘進機1に電力を供給する電源設備の架台として利用される。
【0022】
また、セグメントピース7を運搬する運搬台車12は、シールドトンネルT内に設置される内部構造材としてボックスカルバート19を構成する下部材16及び上部材18を、セグメントピース7と共にシールドトンネルT内へと運搬する。
【0023】
このように運搬台車12によって運搬された内部構造材をシールドトンネルT内に設置するために、第1後続台車20Aには、ボックスカルバート19の下部材16をシールドトンネルT内に設置する第1内部構造材設置装置100(内部構造材設置装置)が設けられ、第1後続台車20Aの後方に接続される第2後続台車20Bには、ボックスカルバート19の上部材18をシールドトンネルT内に設置する第2内部構造材設置装置200(内部構造材設置装置)が設けられる。
【0024】
ここで、シールドトンネルT内に設置される内部構造材を、例えば、巻上装置により巻き上げられるワイヤを介して吊り下げた場合、内部構造材は、重力方向に沿った状態で吊り下げられる。つまり、ワイヤを介して単に吊り下げられると、内部構造材は、シールドトンネルTの縦断勾配に関わらず重力方向に沿って吊り下げられることになる。
【0025】
上述のように構築されるシールドトンネルTは、水平に対してほぼ平行に構築されるものの、場所によっては縦断勾配が5%を超える箇所もあることから、ワイヤを介して吊り下げられた内部構造材を、縦断勾配が比較的大きい箇所において降ろす際には、シールドトンネルTの縦断勾配に合わせて傾けつつ、既に設置された内部構造材との間に隙間が生じないように、既設の内部構造材に対して押し付けながら降ろす必要がある。
【0026】
また、縦断勾配が比較的大きい箇所に停車した運搬台車12の荷台からワイヤを介して内部構造材を単に吊り上げると、内部構造材は、吊り上げられた瞬間に重力方向へとずれ動くことから、内部構造材を押さえ付けながら吊り上げる必要がある。
【0027】
このように内部構造材の吊り降ろし及び吊り上げに伴って必要となる作業は、作業員の負担になるとともに、円滑な作業の支障となることから、縦断勾配が比較的大きい箇所では、シールドトンネルTに内部構造材を設置する作業の作業効率が低下するおそれがある。
【0028】
このような課題を解決するために、本実施形態に係る内部構造材設置装置100,200は、シールドトンネルTの縦断勾配の大きさに関わらず、シールドトンネルT内へ内部構造材を容易に設置することを可能とする構成を備えている。
【0029】
次に、
図2~6を参照し、内部構造材設置装置100,200の具体的な構成について説明する。なお、第1内部構造材設置装置100の構成と第2内部構造材設置装置200の構成とは、ほぼ同じあることから、以下では第1内部構造材設置装置100の構成についてのみ説明する。
【0030】
図2は、
図1の矢印Aで示される方向から見た第1内部構造材設置装置100の概略図であり、第1内部構造材設置装置100によって、運搬台車12の荷台からボックスカルバート19の下部材16(内部構造材)が吊り上げられた状態が示されている。また、
図3は、
図2のB-B線に沿う断面を示す断面図であり、
図4は、
図3のC-C線に沿う断面を示す断面図であり、
図5は、
図3の矢印Dで示される方向から見た後述の拘束部65の周辺を拡大して示した拡大図であり、
図6は、
図3の矢印Eで示される部分を拡大して示した拡大図である。なお、
図2~6において、第1内部構造材設置装置100以外の装置等、例えば、運搬台車12等の図示は省略している。
【0031】
第1内部構造材設置装置100は、シールドトンネルTの左右方向に互いに間隔をあけて配置された一対の移動機構21と、一対の移動機構21を連結する門型のフレーム22と、ボックスカルバート19の下部材16(内部構造材)を吊り下げ可能な吊り部40と、フレーム22に対して吊り部40を昇降させる揚重部60(
図3参照)と、吊り部40に対する下部材16(内部構造材)の相対移動を規制する拘束部65と、を備える。
【0032】
移動機構21は、シールドトンネルTの底部にシールドトンネルTの軸方向に沿って敷設された一対のレール15上を移動可能な車輪21aを有する機構であり、装置100全体をシールドトンネルTの軸方向に沿って移動可能とするものである。なお、移動機構21は、第1後続台車20Aの移動機構を兼ねている。
【0033】
フレーム22は、鋼材を互いに接合することによって門型に構成された構造物であり、シールドトンネルTの左右方向に互いに間隔をあけて配置され下端に移動機構21がそれぞれ設けられた一対の架台23と、上方において一対の架台23を連結するために一対の架台23間に架け渡された複数の梁部材24と、有する。また、フレーム22には、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿って吊り部40をガイド可能なガイド部30が設けられる。
【0034】
梁部材24には、上述の搬送クレーン14の走行レール14aがシールドトンネルTの軸方向に沿って設けられており、架台23は、シールド掘進機1の作動を制御する制御装置やシールド掘進機1に電力を供給する電源設備の設置スペースとして利用される。
【0035】
また、各架台23には、ガイド部30をシールドトンネルTの軸方向に沿って移動可能とするための走行レール26及び補助レール27が設けられる。
【0036】
具体的には、走行レール26は、シールドトンネルTの軸方向に沿って設けられたH形鋼またはI形鋼であり、架台23からシールドトンネルTの左右方向に沿って延出した複数の支持部材25に固定される。補助レール27は、ガイド部30に設けられた後述のローラ33a,33bが接触する接触面が形成されたレール部材であり、架台23の下方側にシールドトンネルTの軸方向に沿って固定される。なお、走行レール26は、ガイド部30に作用する荷重の鉛直方向成分を支持する支持部としても機能し、補助レール27は、ガイド部30に作用する荷重の水平方向成分を支持する支持部としても機能する。
【0037】
ガイド部30は、
図3に示されるように、シールドトンネルTの軸方向に沿って設けられる連結部材32と、連結部材32により上端が連結される一対のガイドレール部材31と、を有する。
【0038】
ガイドレール部材31は、H形鋼であり、レール15に対して直交する方向、すなわち、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する方向に沿って設けられる。各ガイドレール部材31のフランジ部とウェブ部とに囲まれた溝は、吊り部40の移動をガイドするガイド溝として利用される。
【0039】
ガイドレール部材31の下端側の補助レール27に対向する箇所には、
図2に示されるように、第2ローラ機構33が設けられており、ガイドレール部材31は、第2ローラ機構33を介して補助レール27と接している。第2ローラ機構33は、回転軸の方向が互いに直交する第1ローラ33aと第2ローラ33bとにより構成され、補助レール27には、第1ローラ33aが接触可能な接触面と第2ローラ33bが接触可能な接触面とがそれぞれ形成されている。
【0040】
連結部材32は、第1ローラ機構32aを介して走行レール26に吊り下げられており、連結部材32の下面には、
図3に示すように、第1連結部61を介して揚重部60が垂下されている。第1ローラ機構32aは、走行レール26の下部フランジ上を回転しながら移動可能な複数のローラを有する機構であり、シールドトンネルTの軸方向に間隔をあけて複数配置される。
【0041】
また、ガイド部30には、走行レール26に沿ってガイド部30を走行させる走行部34が設けられる。走行部34は、連結部材32に固定されており、走行レール26の下面に沿って設けられた図示しないチェーン式レールに噛み合う図示しないスプロケットと、スプロケットを正逆回転させることが可能な走行モータ34aと、を有する。
【0042】
上記構成のガイド部30は、
図2に示されるように、左右に配置される各架台23にそれぞれ設けられている。
【0043】
吊り部40は、ガイド部30によりシールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿ってガイドされるベース部41と、ガイド部30によりベース部41がガイドされる方向と平行に延びる回動軸48を介してベース部41により旋回可能に支持される旋回部51と、を有する。
【0044】
ベース部41は、
図2~4に示されるように、シールドトンネルTの軸方向に沿って設けられる一対のフレーム部材42と、一対のフレーム部材42間に架け渡される一対の支持部材43と、各フレーム部材42の両端部からそれぞれ上方に向かって延びる延出部材44と、各フレーム部材42の側面に接合され、揚重部60の吊具が第2連結部62を介して連結される連結部材45と、一対の支持部材43間に配置され、回動中心C1を中心として回動軸48を回動させる回動部46と、回動軸48の回動中心C1の位置を調整可能なアクチュエータ47と、を有する。
【0045】
各フレーム部材42から上方に向かって延びる延出部材44には、
図2に示されるように、回転軸の方向が互いに直交する第1ローラ44aと第2ローラ44bとが複数設けられる。これらのローラ44a,44bは、第1ローラ44aがガイドレール部材31のフランジ部に接し、第2ローラ44bがガイドレール部材31のウェブ部に接するように、ガイドレール部材31のフランジ部とウェブ部とに囲まれた溝内に配置される。
【0046】
このように各延出部材44に設けられたローラ44a,44bを介して、吊り部40は、ガイドレール部材31によりシールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿ってガイドされる。
【0047】
一対の支持部材43は、H形鋼であり、フランジ部とウェブ部とに囲まれた溝が、回動部46の移動をガイドするガイド溝として利用される。
【0048】
回動部46は、回動軸48を回動させる図示しない回動モータを有し、回動部46の両側面には、
図4に示されるように、回転軸の方向が互いに直交する第1ローラ46aと第2ローラ46bとが複数設けられる。これらのローラ46a,46bは、第1ローラ46aが支持部材43のフランジ部に接し、第2ローラ46bが支持部材43のウェブ部に接するように、支持部材43のフランジ部とウェブ部とに囲まれた溝内に配置される。
【0049】
アクチュエータ47は、シリンダとロッドとにより構成される油圧シリンダまたは電動シリンダであり、
図4に示されるように、フレーム部材42にシリンダが固定され、回動部46にロッドの先端が固定される。このため、アクチュエータ47を伸縮させることによって、回動軸48の回動中心C1の位置をシールドトンネルTの左右方向において微調整することが可能である。
【0050】
旋回部51は、
図2~4に示されるように、回動軸48が接合されたアーム保持部52と、アーム保持部52によって回動中心C1に対して直交する方向に移動可能に保持される一対のアーム部53と、を有する。
【0051】
アーム部53は、アーム保持部52に挿入される挿入部54と、挿入部54の端部から下方に向かって延びる延出部55と、延出部55の先端に設けられた平板状の吊具56と、を有する。
【0052】
下部材16(内部構造材)には、
図5及び
図6に示されるように、大径部17aと小径部17bとを有するピン部材17が予め取り付けられており、吊具56には、ピン部材17の大径部17aよりも径が大きい挿通孔56aが形成されるとともに、挿通孔56aの下端から下方に向かって係止孔56bが形成される。係止孔56bの幅の大きさは、ピン部材17の大径部17aの径よりも小さく、且つ、ピン部材17の小径部17bの径よりも大きく設定されている。
【0053】
このため、
図6(a)に示されるように、ピン部材17の大径部17aと挿通孔56aとが対向するように吊具56の位置を下げた後、
図6(b)に示されるように、大径部17aが挿通孔56aを通過するように吊具56を下部材16へと接近させて、さらに、
図6(c)に示されるように、吊具56の位置を上昇させることによって、係止孔56b内にピン部材17の小径部17bが入り込んだ状態となる。
【0054】
これによりピン部材17を介して、下部材16を吊具56に吊り下げることが可能である。なお、ピン部材17は、下部材16がシールドトンネルT内の所定の位置へと設置された後、下部材16から取り外される。また、吊具56の上昇及び下降は、揚重部60によって行われ、下部材16に対する吊具56の接近は後述のアーム変位アクチュエータによって行われる。
【0055】
アーム保持部52は、アーム部53の挿入部54が挿入される一対の挿入穴52aを有する。アーム部53の挿入部54の両側面には、
図4に示されるように、回転軸の方向が互いに直交する第1ローラ54aと第2ローラ54bとが複数設けられる。これらのローラ54a,54bは、第1ローラ54aが挿入穴52aの上下面に接し、第2ローラ54bが挿入穴52aの側面に接するように、挿入穴52a内に配置される。
【0056】
また、旋回部51には、シリンダがアーム保持部52に固定され、ロッドの先端がアーム部53に固定された図示しないアーム変位アクチュエータが設けられる。このアーム変位アクチュエータを伸縮させることにより、一対のアーム部53の吊具56間の間隔の大きさを変えることができる。
【0057】
揚重部60は、巻上装置と、巻上装置により巻き上げられるワイヤロープと、ワイヤロープの先端に取り付けられる吊具と、を備えたいわゆる電動ホイストであり、上述のように、ガイド部30の連結部材32と、吊り部40の連結部材45と、の間に設けられる。なお、
図3及び
図4に示される実施例では、揚重部60は、シールドトンネルTの右方側と左方側とに2つずつ設けられているが、揚重部60の数は、これに限定されず、それぞれ3つ以上設けられていてもよいし、シールドトンネルTの右方側と左方側とにおいて設けられる数が異なっていてもよい。
【0058】
拘束部65は、吊り部40に吊り下げられた下部材16(内部構造材)を、ガイド部30のガイド方向下方に向けて押圧する押圧機構であり、旋回部51に設けられる。
【0059】
具体的には、拘束部65は、シリンダ65aとロッド65bとにより構成される油圧シリンダまたは電動シリンダであり、
図5に示されるように、アーム保持部52の下面にシリンダ65aが固定され、下部材16(内部構造材)の上面にロッド65bの先端が当接可能となっている。
【0060】
拘束部65は、一対の吊具56の係止孔56bを結んだ線を挟んで対称的に複数配置されており、例えば、
図4に示されるように、アーム保持部52の下面の四隅に設けられている。
【0061】
このように配置された各拘束部65をそれぞれ伸長し、各拘束部65の押圧力により下部材16を下方へ押し下げると、ピン部材17を介して下部材16を保持するアーム部53の延出部55における軸力が高まる。このように、複数の拘束部65を下部材16に当接させて延出部55の軸力を高めた状態とすることによって、下部材16(内部構造材)が吊り部40に対して相対移動することが規制される。
【0062】
また、
図5に示されるように、延出部55を挟んで配置される拘束部65のうちの一方を伸長させ、他方を収縮させると、吊り部40に吊り下げられた下部材16は、ピン部材17を中心として傾くことになる。
【0063】
つまり、複数の拘束部65のうちの1つの拘束部65の押圧によって下部材16が傾く方向と、これとは別の拘束部65の押圧によって下部材16が傾く方向とが、反対方向となるように拘束部65をそれぞれ配置しておくことによって、吊り部40に吊り下げられた下部材16の傾きの大きさや傾きの方向を、各拘束部65の伸長量を調整することにより微調整することが可能である。
【0064】
続いて、上記構成の第1内部構造材設置装置100及び第2内部構造材設置装置200を用いてシールドトンネルTの内部を構築する内部構築方法について説明する。なお、以下では、シールドトンネルTの内部にボックスカルバート19が内部構造材として構築される場合について説明する。
【0065】
まず、
図1に示されるように、ボックスカルバート19の下部材16及び上部材18がシールドトンネルTを構成するセグメントピース7と共に運搬台車12によってシールドトンネルT内に運搬される。運搬台車12は、既設のボックスカルバート19内を走行可能な車高を有しており、下部材16及び上部材18等の内部構造材とセグメントピース7は、既設のボックスカルバート19の内部空間を通じて搬入される(搬送工程)。
【0066】
このように既設のボックスカルバート19の内部空間を、セグメントピース7や内部構造材を運搬するための通路として利用することにより、既設のボックスカルバート19の上方に運搬台車12の走行空間を確保することが不要となる。つまり、ボックスカルバート19が設置された領域をシールド掘進機1に追従して移動する第3後続台車20Cや第4後続台車20Dに対して、運搬台車12の通行を許容するための空間である搬送通路を設けることが不要となる。
【0067】
したがって、第3後続台車20Cや第4後続台車20Dの積載容量を増大させることが可能となり、後続台車20C,20Dを短くすることや後続台車20C,20Dの数を減らすことができる。この結果、シールドトンネルTの構築コストを低減させることができる。
【0068】
運搬台車12によってシールドトンネルT内に運搬された下部材16は、第1後続台車20Aに設けられた第1内部構造材設置装置100の吊り部40によって吊り上げられる。
【0069】
具体的には、揚重部60によって吊具56を昇降させるとともに、アーム変位アクチュエータによって吊具56間の間隔の大きさを調整することにより、
図6の(a)、(b)及び(c)に示される手順で、吊具56の係止孔56b内にピン部材17の小径部17bを入り込ませる。
【0070】
また、これと同時に、各拘束部65を伸長させて各アーム部53の延出部55における軸力を高めることにより、下部材16が吊り部40に対して相対移動することを規制する。
【0071】
このように吊り部40に対して下部材16が相対移動することが規制された状態で、揚重部60の巻上装置によりワイヤロープを巻き上げて吊り部40をガイド部30に沿って上昇させる。
【0072】
上述のように、シールドトンネルTの縦断勾配が比較的大きい箇所に停車した運搬台車12の荷台からワイヤを介して下部材16(内部構造材)を単に吊り上げた場合、下部材16は、吊り上げられた瞬間に重力方向へとずれ動くことから、下部材16を押さえ付けながら吊り上げる必要がある。
【0073】
これに対して、上記構成の第1内部構造材設置装置100によって下部材16を吊り上げる場合、下部材16は、拘束部65によって拘束されるため吊り部40に対して相対移動することがなく、また、吊り部40はガイド部30によってシールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿って上昇するようにガイドされる。つまり、吊り部40に吊り下げられた下部材16は、シールドトンネルTの縦断勾配の大きさに関わらず、重力方向ではなく、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する方向に沿って吊り上げられる。
【0074】
したがって、下部材16が吊り上げられた瞬間に重力方向へとずれ動くことが抑制されるため、下部材16を押さえ付けることが不要となる。これにより作業員の負担を軽減することができるとともに、シールドトンネルTに下部材16を設置する作業の作業効率を向上させることができる。
【0075】
このように吊り部40を介して運搬台車12の荷台から吊り上げられた下部材16の向きは、
図2に示されるように、運搬台車12の荷台に載せられた状態と同じ向きのままであり、シールドトンネルT内に設置される向きとはなっていない。
【0076】
このため、下部材16の向きがシールドトンネルT内に設置される向きとなるまで、回動中心C1を中心として旋回部51を旋回させる。具体的には、回動部46の回動モータを駆動して回動軸48を回動させ、旋回部51を所定の角度(約90度)だけ旋回させる。
【0077】
続いて、吊り部40に吊り下げられた下部材16を設置位置の上方へと移動させる。具体的には、走行部34の走行モータ34aを駆動することによって、吊り部40をガイド部30とともに走行レール26に沿って移動させる。
【0078】
設置位置の上方に下部材16が到達すると、揚重部60の巻上装置からワイヤロープを繰り出すことにより、吊り部40をガイド部30に沿って下降させる。
【0079】
上述のように、シールドトンネルTの縦断勾配が比較的大きい箇所にワイヤを介して単に吊り下げられた下部材16(内部構造材)を降ろす場合、シールドトンネルTの縦断勾配に合わせて下部材16の下面を傾けつつ、既に設置された下部材16との間に隙間が生じないように、吊り下げられた下部材16を既設の下部材16に対して押し付けながら降ろす必要がある。
【0080】
これに対して、上記構成の第1内部構造材設置装置100によって吊り下げられた下部材16を降ろす場合、下部材16は、拘束部65によって拘束されるため吊り部40に対して相対移動することがなく、また、吊り部40はガイド部30によってシールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿って下降するようにガイドされる。つまり、吊り部40に吊り下げられた下部材16は、シールドトンネルTの縦断勾配の大きさに関わらず、重力方向ではなく、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する方向に沿って降ろされる。
【0081】
したがって、シールドトンネルTの縦断勾配に合わせて下部材16の下面を傾けることが不要であるとともに、吊り下げられた下部材16を既設の下部材16に対して押し付けることも不要となる。これにより作業員の負担を軽減することができるとともに、シールドトンネルTに下部材16を設置する作業の作業効率を向上させることができる。
【0082】
吊り部40がガイド部30に沿って下降し、
図7に示されるように、シールドトンネルTの底面に下部材16が載置されたことが確認されると、各拘束部65が収縮され、各拘束部65による下部材16の拘束が解除される。なお、
図7は、下部材16(内部構造材)がシールドトンネルT内に設置された状態を示す図であり、
図2と同じ方向から第1内部構造材設置装置100を見た図である。
【0083】
各拘束部65による拘束が解除されると、揚重部60によって吊具56を昇降させるとともに、アーム変位アクチュエータによって吊具56間の間隔の大きさを調整することにより、
図6の(a)、(b)及び(c)に示される手順とは反対の手順で、吊具56とピン部材17との係止が解除される。
【0084】
これにより第1内部構造材設置装置100によって下部材16(内部構造材)をシールドトンネルTの底面に設置する工程が完了する。
【0085】
なお、旋回部51の旋回は、下部材16を設置位置の上方へと移動させた後に行われてもよい。また、下部材16を吊り降ろす際に、下部材16の下面がシールドトンネルTの設置面と平行になっていない場合には、
図5に示されるように、各拘束部65の伸縮量を調整することにより、下部材16の傾きを調整してもよい。
【0086】
また、運搬台車12の荷台に載置された下部材16の中心位置が吊り部40の回動中心C1とずれている場合、アクチュエータ47の伸縮量を調整することによって、吊り部40の回動中心C1を下部材16の中心位置に合わせることが可能であり、運搬台車12の荷台に載置された下部材16のピン部材17の向きが吊り部40の吊具56の挿通孔56aの向きとずれている場合、旋回部51の旋回角度を調整することによって、挿通孔56aの向きをピン部材17の向きに合わせることが可能である。これにより作業員の負担を軽減することができるとともに、シールドトンネルTに下部材16を設置する作業の作業効率を向上させることができる。
【0087】
同様の手順で第2内部構造材設置装置200を作動させることにより、運搬台車12の荷台に載置された上部材18は、第2内部構造材設置装置200によって吊り上げられた後、
図8に示されるように、下部材16の上に設置される。これにより上部材18を下部材16の上に設置する工程が完了し、シールドトンネルTへのボックスカルバート19の設置が完了する。なお、
図8は、
図1の矢印Fで示される方向から見た第2内部構造材設置装置200の概略図であり、第2内部構造材設置装置200によって上部材18(内部構造材)が下部材16(内部構造材)の上に設置された状態を示している。
【0088】
第2内部構造材設置装置200による上部材18の設置作業においても、第1内部構造材設置装置100による下部材16の設置作業と同様に、作業員の負担が軽減されるため、結果としてシールドトンネルTに上部材18を設置する作業の作業効率を向上させることができる。
【0089】
また、上記内部構築方法では、第1内部構造材設置装置100による下部材16の設置は、運搬台車12よりも前方で行われるのに対して、第2内部構造材設置装置200による上部材18の設置は、運搬台車12の荷台よりも後方で行われる。
【0090】
換言すれば、シールド掘進機1の後方に配置される第1後続台車20Aには、運搬台車12によって運搬された下部材16の設置が運搬台車12よりも前方で行うことができるように上記構成の第1内部構造材設置装置100が配置されており、第1後続台車20Aの後方に配置される第2後続台車20Bには、運搬台車12によって運搬された上部材18の設置が運搬台車12の荷台よりも後方で行うことができるように第2内部構造材設置装置200が配置されている。
【0091】
これにより、既設のボックスカルバート19の内部空間を走行通路として利用する運搬台車12を、ボックスカルバート19の下部材16のみが設置されている領域、すなわち、まだ、ボックスカルバート19の上部材18が設置されておらず、上方が開放されている領域に停車させることによって、運搬台車12の荷台に載せられた内部構造材を、内部構造材設置装置100,200によって効率よく設置することができるとともに、運搬台車12の荷台からシールドトンネルTを構成するセグメントピース7を効率よくセグメント供給装置10へと移送することができる。
【0092】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0093】
本実施形態では、内部構造材設置装置100,200のフレーム22に、内部構造材の吊り上げ及び吊り降ろしに伴って昇降する吊り部40を、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する平面に沿ってガイド可能なガイド部30が設けられる。
【0094】
このため、吊り部40に吊り下げられた内部構造材は、シールドトンネルTの縦断勾配の大きさに関わらず、重力方向ではなく、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する方向に沿って吊り上げられ、また、吊り降ろされる。つまり、内部構造材は、吊り上げられてから吊り降ろされるまで、その下面がシールドトンネルTの設置面とほぼ平行となるように保持される。
【0095】
したがって、内部構造材を吊り上げる際に、内部構造材が重力方向にずれ動くことを抑制する必要がないとともに、内部構造材を吊り降ろす際に、シールドトンネルTの縦断勾配に合わせて内部構造材を傾かせる必要がない。これにより作業員の負担を軽減することができるとともに、シールドトンネルTに内部構造材を設置する作業の作業効率を向上させることができる。さらには、シールドトンネルTへの内部構造材の設置精度を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、内部構造材設置装置100,200に吊り部40に対する内部構造材の相対移動を規制する拘束部65が設けられる。
【0097】
このように拘束部65によって内部構造材が吊り部40に対して相対移動することが規制された状態で吊り部40を昇降させることにより、吊り部40に吊り下げられた内部構造材を、シールドトンネルTの軸方向に対して直交する方向に沿って確実に吊り上げ吊り降ろしすることができる。
【0098】
次に、本実施形態の変形例について説明する。なお、以下のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0099】
上記実施形態では、吊具56は、内部構造材を二方向から挟み込むように、対向して一対設けられている。これに代えて、吊具56は、3つ以上設けられていてもよく、例えば、内部構造材を四方から吊り上げ可能に配置されていてもよい。このように内部構造材を取り囲むように複数の吊具56が設けられている場合、吊具56によって吊り部40に対する内部構造材の相対移動がほぼ規制されることになることから、拘束部65を設けなくともよい。
【0100】
また、上記実施形態では、拘束部65は、吊り部40に吊り下げられた内部構造材を、ガイド部30のガイド方向下方に向けて押圧するシリンダ装置である。拘束部65は、このようなシリンダ装置に限定されず、吊り部40に対する内部構造材の相対移動を規制することが可能であればどのような構成であってもよく、例えば、アーム部53の延出部55を収縮し、内部構造材の上面をアーム保持部52に押し付けることによって、吊り部40に対する内部構造材の相対移動を規制するものであってもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、第1内部構造材設置装置100と第2内部構造材設置装置200とは、別々の後続台車に配置されている。これに代えて、第1内部構造材設置装置100と第2内部構造材設置装置200とは、同じ後続台車に配置されてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、ボックスカルバート19の下部材16の設置と上部材18の設置とが別々の内部構造材設置装置100,200により行われている。これに代えて、下部材16の設置と上部材18の設置とは、1台の内部構造材設置装置によって行われてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、シールド掘進機1は、いわゆる泥土圧式シールド掘進機である。これに代えて、シールド掘進機1は、チャンバ内に対して泥水を給排することによりチャンバ内に滞留した掘削土砂をシールド掘進機1の後方へと搬出する給排装置を備えた、いわゆる泥水圧式シールド掘進機であってもよい。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0105】
100・・・第1内部構造材設置装置(内部構造材設置装置)
200・・・第2内部構造材設置装置(内部構造材設置装置)
1・・・シールド掘進機
16・・・下部材(内部構造材)
18・・・上部材(内部構造材)
19・・・ボックスカルバート
20・・・後続台車
21・・・移動機構
22・・・フレーム
30・・・ガイド部
40・・・吊り部
41・・・ベース部
48・・・回動軸
51・・・旋回部
56・・・吊具
60・・・揚重部
65・・・拘束部
T・・・シールドトンネル