(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180013
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】口栓部の構造及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 41/47 20060101AFI20231213BHJP
B65D 41/34 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B65D41/47
B65D41/34 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093048
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(71)【出願人】
【識別番号】000234627
【氏名又は名称】シロウマサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】梅中 一博
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】高島 弘明
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB03
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB08
3E084GB14
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD04
3E084KA13
3E084KB01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 高い密封性を可能とする、口栓部の構造及び包装体を提供する。
【解決手段】 スパウト付き包装袋1は、先端に開口が形成された筒状の注出部2Aと、注出部2Aに着脱可能に嵌合し、注出部2Aへの装着時に開口を閉鎖するキャップ3と、を備える。注出部2Aは、外周面2aの周方向の一部に設けられ、径方向外側に突出したガイド突起5を有し、キャップ3は、キャップ本体3Aの内周面3aから径方向内側に突出され、注出部2Aへの装着時に、ガイド突起5の下面5aに係止可能なフラップ7を有し、キャップ本体3Aの内周面3aにおけるフラップ7と対向する位置に、フラップ7が内周面3a側に変位することを規制する変位規制部22を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に開口が形成された筒状の注出部と、前記注出部の外周及び前記先端に着脱可能に嵌合し、前記注出部への装着時に前記開口を閉鎖するキャップと、を備える口栓部の構造であって、
前記注出部は、軸方向において前記先端から離間した位置における、前記注出部の外周面の周方向の一部に設けられ、径方向外側に突出した第1外側突起を有し、
前記第1外側突起は、前記キャップを抜け止め可能に係止する係止面と、前記係止面と前記先端との間において、螺旋状に延びる第1ガイド面と、を有し、
前記キャップは、前記注出部において、前記第1外側突起と前記開口とを覆って装着可能なキャップ本体を有し、
前記キャップ本体は、その内周面から径方向内側に突出され、前記注出部への装着時に、前記係止面に係止可能な第1内側突起を有し、
前記第1内側突起が前記内周面側へ変位することを規制する規制部を有する、
口栓部の構造。
【請求項2】
前記規制部は、前記キャップ本体の内周面における前記第1内側突起と対向する位置、又は前記第1内側突起における前記キャップ本体の内周面との対向面に設けられる、請求項1に記載の口栓部の構造。
【請求項3】
前記第1内側突起は、前記キャップ本体の周方向における基端部の一部である第1基端部から上方に向かって延伸し、
前記キャップ本体の周方向における前記第1内側突起を有しない第2基端部は、前記第1基端部よりも下方に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造。
【請求項4】
前記キャップ本体は、前記キャップ本体の軸方向に直交する平面の形状が扁平形状であり、前記扁平形状の短径方向の外周面に水平部分を有する、請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造。
【請求項5】
前記注出部は、前記軸方向において前記第1外側突起よりも前記先端からさらに離間した位置に設けられ、前記注出部の外周面から径方向外側に突出した第2外側突起をさらに有し、
前記キャップは、前記キャップ本体の基端側に接続され、前記キャップ本体の前記注出部への装着時に前記第2外側突起を側方から覆う環状に形成されており、前記キャップ本体の回転時に前記第2外側突起から受ける外力によって破断可能な脆弱部が周方向の一部に設けられたタンパーバンドをさらに有し、
前記キャップ本体は、前記内周面から径方向内側に突出され、前記第1内側突起が前記係止面に係止していない状態で、前記第1ガイド面に沿って移動可能に設けられた第2内側突起をさらに有し、
前記注出部の前記外周面には、前記キャップの着脱時に前記第1内側突起及び前記第2内側突起が沿って前記軸方向に移動できる、第2ガイド面が形成される、
請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造。
【請求項6】
前記第1外側突起は、螺旋状に延びる前記第1ガイド面に隣接し、前記係止面に向かって傾斜する傾斜面が形成され、
前記規制部は、前記第1内側突起における前記キャップ本体の内周面との対向面の上端かつ前記第2内側突起側、又は、前記キャップ本体の内周面における前記第1内側突起の上端と対向する位置かつ前記第2内側突起側に設けられる、請求項5に記載の口栓部の構造。
【請求項7】
前記注出部は、
前記周方向における前記第1外側突起の端部のうち、前記第1ガイド面が前記先端に、より近い先端側端部との間に、前記キャップ本体における前記第2内側突起が着脱可能に嵌合できる嵌合隙間を形成する第3外側突起を、さらに備える、請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造。
【請求項8】
前記第1内側突起は、
前記キャップ本体の基端部から、径方向内側に斜めに延びる突片によって形成されている、請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造。
【請求項9】
前記第1外側突起は、
前記周方向における前記第1外側突起の端部のうち、前記第1ガイド面が前記先端から、より離れた基端側端部及びその近傍では、径方向外側の突出量が、前記周方向において前記基端側端部から前記基端側端部と反対側の端部に向かうにつれて漸増している、請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造。
【請求項10】
前記注出部における前記第1外側突起及び前記第2外側突起は、
前記周方向において180°回転対称となるように、前記第2ガイド面を間に挟んで、2組設けられており、
前記キャップ本体における前記第1内側突起及び前記第2内側突起は、
前記注出部の前記周方向における前記第2ガイド面の幅以下の範囲に形成され、前記キャップ本体の周方向において180°回転対称となるように、2組設けられている、請求項5に記載の口栓部の構造。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の口栓部の構造を備える、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口栓部の構造及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
流動体からなる内容物を液密に収容し、必要に応じて内容物を外部に容易に注出できるスパウト付きパウチが広く知られている。スパウト付きパウチは、スパウトの先端部に設けられた注出部に着脱可能に固定されたキャップによって、注出口が開閉可能になっている。
【0003】
注出部及びキャップからなるスパウトの口栓部は、タンパーエビデント(不正開封防止)構成とするため、キャップの開口側端部に開栓動作によって切断されるタンパーバンド等が設けられる場合がある。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の口栓部の構造では,注出部の外周面に形成された雄ねじにキャップの内周面に形成された雌ねじが螺合することによって、キャップが注出部に着脱可能に固定される。さらに、特許文献1におけるキャップには、開栓時に回転すると、注出部の外周の爪部に引っかかって切断されるバンドピースが設けられている。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、キャップと注出部とが螺合されているため、キャップを着脱する際に、少なくても1~2周程度の回転動作が必要とされる。このため、開閉に手間がかかる場合がある。例えば、子供、老人、病人などにとっては、開閉が難しい場合もある。さらに、特許文献1に記載の技術では、閉栓時にねじ込みが不十分であると、内容物が漏れてしまう可能性もある。
【0006】
一方、特許文献2に記載の包装体の口栓部は、タンパーエビデント構成を備え、90度程度の回転動作で開栓時及び開栓後の開閉動作が可能な構造である。特許文献2に記載の包装体は、容器本体に注出部の注出口から内容物を充填した後、キャップを位置決めして、注出部に向かってキャップを押し込んでキャッピングすることによって、未開栓状態を形成する。
【0007】
特許文献2の口栓部は、キャッピングによってキャップが注出部に押し込まれると、まずキャップのフラップが注出部のガイド突起の上面に当接する。その後フラップは、ガイド突起から径方向外側に押圧されることで、キャップ本体の内周面側にたわむので、ガイド突起からの抵抗が減少してガイド突起を乗り越える。フラップがガイド突起を乗り越えると、フラップは径方向外側に向かう押圧力が解除され、フラップの弾性復元力によって、フラップが径方向内側に突出する。これにより、フラップの端縁がガイド突起の下面に係止され、口栓部を密封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-331124号公報
【特許文献2】国際公開2019-172339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載のキャッピングでは、フラップがガイド突起を乗り越えた後、フラップの弾性復元力が十分に発揮されない場合がある。この場合、フラップが径方向内側に十分に突出せず、フラップの端縁がガイド突起の下面へ係止する力が弱くなる可能性がある。係止する力が弱いとは、すなわちキャップと注出部とを係止する力が弱く、口栓部の密封性が弱くなるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、高い密封性を可能とする、口栓部の構造及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様である口栓部の構造は、先端に開口が形成された筒状の注出部と、前記注出部の外周及び前記先端に着脱可能に嵌合し、前記注出部への装着時に前記開口を閉鎖するキャップと、を備える口栓部の構造であって、前記注出部は、軸方向において前記先端から離間した位置における、前記注出部の外周面の周方向の一部に設けられ、径方向外側に突出した第1外側突起を有し、前記第1外側突起は、前記キャップを抜け止め可能に係止する係止面と、前記係止面と前記先端との間において、螺旋状に延びる第1ガイド面と、を有し、前記キャップは、前記注出部において、前記第1外側突起と前記開口とを覆って装着可能なキャップ本体を有し、前記キャップ本体は、その内周面から径方向内側に突出され、前記注出部への装着時に、前記係止面に係止可能な第1内側突起を有し、前記第1内側突起が前記内周面側に変位することを規制する規制部を有する。
【0012】
本構成は、規制部が設けられることで、閉栓動作によって第1内側突起がキャップの内周面と第1外側突起に挟まれた際に径方向外側へ押圧されても、第1内側突起は規制部に当接するため、内周面に当接するまで変位することが防止される。このため、第1内側突起に十分な弾性復元力が働かなかった場合であっても、第1内側突起は径方向内側に突出した状態を保てる。従って、第1内側突起は第1内側突起の下面との係合力を十分に発揮することができ、閉全時における口栓構造の密封性も十分に保つことができる。また、キャッピングが弱くなることによる製造上のロスを減らすこともできる。
【0013】
第2態様の口栓部の構造は第1態様の口栓部の構造において、前記規制部は、前記キャップ本体の内周面における前記第1内側突起と対向する位置、又は前記第1内側突起における前記キャップ本体の内周面との対向面に設けられてもよい。
【0014】
第3態様の口栓部の構造は第1態様又は第2態様の口栓部の構造において、前記第1内側突起は、前記キャップ本体の周方向における基端部の一部である第1基端部から上方に向かって延伸し、前記キャップ本体の周方向における前記第1内側突起を有しない第2基端部は、前記第1基端部よりも下方に位置してもよい。本構成は、キャップ閉栓時におけるキャップのがたつきを抑制できる。
【0015】
第4態様の口栓部の構造は第1態様から第3態様の何れか1つの口栓部の構造において、前記キャップ本体は、前記キャップ本体の軸方向に直交する平面の形状が扁平形状であり、前記扁平形状の短径方向の外周面に水平部分を有してもよい。本構成は、キャップ本体の短径方向の外周面に水平部分を有するので、キャップを搬送する搬送経路において確実にキャップの向きを制御することができる。
【0016】
第5態様の口栓部の構造は第1態様から第4態様の何れか1つの口栓部の構造において、前記注出部は、前記軸方向において前記第1外側突起よりも前記先端からさらに離間した位置に設けられ、前記注出部の外周面から径方向外側に突出した第2外側突起をさらに有し、前記キャップは、前記キャップ本体の基端側に接続され、前記キャップ本体の前記注出部への装着時に前記第2外側突起を側方から覆う環状に形成されており、前記キャップ本体の回転時に前記第2外側突起から受ける外力によって破断可能な脆弱部が周方向の一部に設けられたタンパーバンドをさらに有し、前記キャップ本体は、前記内周面から径方向内側に突出され、前記第1内側突起が前記係止面に係止していない状態で、前記第1ガイド面に沿って移動可能に設けられた第2内側突起をさらに有し、前記注出部の前記外周面には、前記キャップの着脱時に前記第1内側突起及び前記第2内側突起が沿って前記軸方向に移動できる、第2ガイド面が形成されてもよい。
【0017】
第6態様の口栓部の構造は第5態様の口栓部の構造において、前記第1外側突起は、螺旋状に延びる前記第1ガイド面に隣接し、前記係止面に向かって傾斜する傾斜面が形成され、前記規制部は、前記第1内側突起における前記キャップ本体の内周面との対向面の上端かつ前記第2内側突起側、又は、前記キャップ本体の内周面における前記第1内側突起の上端と対向する位置かつ前記第2内側突起側に設けられてもよい。
【0018】
本構成によれば、第1内側突起が第1外側突起に重なり合うようにして閉栓される場合、第1内側突起は規制部によって第1外側突起を乗り越えられない。このため、キャップ本体は第1外側突起の傾斜面に沿って移動し、挿入限度位置まで挿入される。その後、キャップ本体が回転されることで、第1内側突起と第1外側突起とが係止することとなる。これにより、本構成は、確実な閉栓が可能となる。
【0019】
第7態様の口栓部の構造は第1態様から第6態様の何れか1つの口栓部の構造において、前記注出部は、前記周方向における前記第1外側突起の端部のうち、前記第1ガイド面が前記先端に、より近い先端側端部との間に、前記キャップ本体における前記第2内側突起が着脱可能に嵌合できる嵌合隙間を形成する第3外側突起を、さらに備えてもよい。
【0020】
第8態様の口栓部の構造は第1態様から第7態様の何れか1つの口栓部の構造において、前記第1内側突起は、前記キャップ本体の基端部から、径方向内側に斜めに延びる突片によって形成されてもよい。
【0021】
第9態様の口栓部の構造は第1態様から第8態様の何れか1つの口栓部の構造において、前記第1外側突起は、前記周方向における前記第1外側突起の端部のうち、前記第1ガイド面が前記先端から、より離れた基端側端部及びその近傍では、径方向外側の突出量が、前記周方向において前記基端側端部から前記基端側端部と反対側の端部に向かうにつれて漸増してもよい。
【0022】
第10態様の口栓部の構造は第5態様の口栓部の構造において、前記注出部における前記第1外側突起及び前記第2外側突起は、前記周方向において180°回転対称となるように、前記第2ガイド面を間に挟んで、2組設けられており、前記キャップ本体における前記第1内側突起及び前記第2内側突起は、前記注出部の前記周方向における前記第2ガイド面の幅以下の範囲に形成され、前記キャップ本体の周方向において180°回転対称となるように、2組設けられてもよい。
【0023】
第11態様の包装体は、第1態様から第10態様の何れか1つの口栓部の構造を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高い密封性を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の口栓部の構造を有する包装体の一例を示す模式的な分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態における口栓部の開栓前の模式的な正面図である。
【
図3】第1実施形態における口栓部のキャップ及び注出部の詳細構成を示す正面視の模式的な分解図である。
【
図4】第1実施形態における口栓部の注出部の模式的な側面図である。
【
図5】第1実施形態における口栓部の注出部の模式的な平面図である。
【
図6】第1実施形態における口栓部のキャップの模式的な斜視部分断面図である。
【
図7】第1実施形態におけるフラップ周辺の部分拡大図である。
【
図9】第1実施形態におけるキャップのX-Z平面の断面図である。
【
図10】第1実施形態の変形例におけるフラップの周辺の部分拡大図である。
【
図11】第2実施形態におけるフラップの周辺の部分拡大図である。
【
図12】従来のスパウト付き包装袋の閉栓時におけるフラップとガイド突起との位置関係を示す展開図である。
【
図13】従来のスパウト付き包装袋の閉栓時におけるフラップとガイド突起との位置関係を示す展開図である。
【
図14】従来のスパウト付き包装袋の閉栓時におけるフラップとガイド突起との位置関係を示す展開図である。
【
図15】従来のスパウト付き包装袋において、フラップがガイド突起に係合しない状態を示す部分拡大図である。
【
図16】第2実施形態のスパウト付き包装袋の閉栓時におけるフラップとガイド突起との位置関係を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の口栓部Sを有する包装体の一例を示す模式的な分解斜視図である。
図2は、本実施形態における口栓部Sの開栓前の模式的な正面図である。
図3は、本実施形態における口栓部Sのキャップ3及び注出部2Aの詳細構成を示す正面視の模式的な分解図である。
図4は、本実施形態における口栓部Sの注出部2Aの模式的な側面図である。
図5は、本発明における本実施形態の口栓部Sの注出部2Aの模式的な平面図である。
図6は、本実施形態における口栓部Sのキャップ3の模式的な斜視部分断面図である。
図7は、本実施形態におけるフラップ7の周辺の部分拡大図である。
図8は、
図2におけるA-A断面図である。
図9は、キャップ3のX-Z平面の断面図である。
【0028】
図1に示す本実施形態の包装体であるスパウト付きパウチ1は、流動体からなる内容物を注出口から注出可能に収容する容器である。スパウト付きパウチ1に収容する内容物は、流動体であれば、特に限定されない。スパウト付きパウチ1に収容する内容物の例としては、例えば、飲料、流動性食品、レトルト食品、食品原料、液状調味料、薬液等が挙げられる。
【0029】
スパウト付きパウチ1は、スパウト2、キャップ3、及び容器本体4を備える。本実施形態では、スパウト2の中心軸線Oに沿う軸方向において、スパウト付きパウチ1のキャップ3が設けられている側を上側、容器本体4が設けられている側を下側と称し、中心軸線Oに交差する方向を径方向と称し、中心軸線O回りの方向を周方向ともいう。
【0030】
容器本体4は、内容物を液密に収容することができ、スパウト2が固定できれば特に限定されない。例えば、容器本体4は、サイドガゼット袋、底ガゼット袋、側部及び底部にガゼットを有する袋、ピロー袋、平袋等が用いられてもよい。
図1では、容器本体4として、サイドガゼット袋が用いられている。すなわち、容器本体4は、前面フィルム4aと、前面フィルム4aと重なる後面フィルム4bとの間に、2つ折りに折りたたまれた側面フィルム4cが挟まれている。
【0031】
前面フィルム4a、後面フィルム4b、及び側面フィルム4cは、それぞれの周縁部でヒートシールされている。また、容器本体4の上端部には、中心部にスパウト2が挟まれた状態で、前面フィルム4a、後面フィルム4b、及び側面フィルム4cを互いに接着する上部シール4dが形成されている。
【0032】
スパウト2は、細長い管状部材である。スパウト2には、注出部2A、フランジ部2B、取り付け部2C、及び導管部2Dがこの順に配置されている。注出部2A、フランジ部2B、及び導管部2Dは、スパウト2の中心軸線Oに同軸に配置されている。なお、スパウト2に装着された際のキャップ3やキャップ本体3Aも、中心軸線Oと同軸に配置されている。
【0033】
以下では、スパウト付きパウチ1における各部の相対的な位置関係を説明する場合に、XYZ直交座標系を参照する。Z軸は、中心軸線Oと平行な軸線であり、Z軸方向は上記軸方向と同一である。Y軸は、Z軸と直交し、上部シール4dのシール面に平行な軸線である。X軸は、Z軸及びY軸に直交する軸線である。中心軸線O上において、導管部2Dから注出部2Aに向かう方向は、Z軸正方向である。X軸正方向は、X軸に沿って後面フィルム4bから前面フィルム4aに向かう方向である。Y軸正方向は、Z軸正方向を鉛直上方向に合わせて、X軸負方向にスパウト付きパウチ1を見たとき、左から右に向かう方向である。X軸負方向にスパウト付きパウチ1を見た図を正面図、Y軸方向にスパウト付きパウチ1を見た図を側面図と称する。以下では、特に断らない限り、例えば、キャップ3のように、スパウト2から着脱自在な部材であっても、未開栓状態における位置関係に基づいて、各部の位置関係が説明される。
【0034】
図1に示すように、注出部2Aは、筒状であり、容器本体4に収容された内容物を注出するための貫通孔を有している。貫通孔は、注出部2Aの先端T(図示上側)に開口している。このため、注出部2Aの先端には、注出口p1が開口している。注出口p1の開口形状は中心軸線Oを中心とする円形である。
【0035】
注出部2Aの外周面2aは、中心軸線Oを中心とする直径Dの円筒面からなる。本実施形態の注出部2Aの本体は、上述の外周面2aを有し、端部に注出口p1が形成された円筒管2Eによって形成されている。円筒管2Eは、フランジ部2B及び取り付け部2Cの中心部を通り、導管部2Dに接続している。円筒管2Eの管径は、一定でもよい。ただし、フランジ部2B及び取り付け部2Cにおける円筒管2Eの外周面2eの外径は、注出部2Aにおける外周面2aの外径から変化していてもよい。
【0036】
注出口p1と軸方向の反対側における注出部2Aの端部には、外周面2aから径方向外側に突出する板状部2bが形成されている。注出部2Aの、注出口p1と軸方向の反対側の端部を、基端部と称する場合がある。
【0037】
フランジ部2Bは、板状部2bのZ軸負方向側に隣接して設けられている。フランジ部2Bは、円筒管2Eの外周面2eから側方(径方向外側)に突出した第1フランジf1、第2フランジf2、及び第3フランジf3を備える。第1フランジf1、第2フランジf2、及び第3フランジf3の平面視(Z軸に沿って見る方向)の外形は、一例として、八角形状であり、いずれも同形である。また、第1フランジf1、第2フランジf2、及び第3フランジf3の外形は、平面視で、板状部2bの外形よりも外側に突出している。
図2に示すように、第1フランジf1と第2フランジf2との間、第2フランジf2と第3フランジf3との間には、少なくともX軸方向に貫通する隙間が形成されている。フランジ部2BのZ軸方向における幅は、スパウト付きパウチ1の使用者が、スパウト2をX軸方向から指で把持可能な大きさを有する。
【0038】
図1に示すように、取り付け部2Cは、スパウト2において、前面フィルム4aと後面フィルム4bとを図示上縁部において液密に接着するための部位である。また、取り付け部2Cは、第3フランジf3に隣り合ってフランジ部2BのZ軸負方向側に設けられている。取り付け部2Cは、円筒管2Eの外周面2eからY軸方向に延び、中心軸線Oを通りYZ平面に平行な平面を対称面とする板状に延びている。取り付け部2CにおけるX軸方向の幅は、外周面2eから離れるにつれて漸次減少している。取り付け部2CにおけるX軸方向の幅は、延在方向の先端部で、前面フィルム4aと後面フィルム4bとの接着に影響がでない程度で、0.1mm~0.5mm程度になっている。すなわち、取り付け部2Cを挟んで接着された前面フィルム4a及び後面フィルム4bは、取り付け部2Cの先端部において段差は生じない。このため、取り付け部2CのY軸方向の先端部と上部シール4dとは液密な接着が可能となっている。取り付け部2Cは、Z軸方向から見てフランジ部2Bの外形の内側に入る大きさで形成されている。
【0039】
導管部2Dは、容器本体4の内部に挿入され、容器本体4内の内容物を注出部2Aの注出口p1に導く管路を形成する部位である。導管部2Dは、円筒管2Eと連通していれば、管路の太さ、長さ、形状は特に限定されない。例えば、導管部2Dは、円筒管2Eと同形状の管状部でもよいし、円筒管2Eから拡径又は縮径してもよい。例えば、導管部2Dの管路断面は、扁平形状を有していてもよい。
【0040】
本実施形態の導管部2Dは、取り付け部2Cに延びる円筒管2Eから中心軸線Oに沿って延びる細長い円筒状に形成されている。導管部2Dは、延在方向の先端(下端)に向かうにつれて緩やかに縮径している。このため、導管部2Dの先端における開口部p2は、注出口p1よりも開口面積が小さい。
【0041】
本実施形態では、容器本体4の内容物が注出口p1に円滑に流れるように、導管部2Dの側面に複数の孔部2fが形成されている。これにより、開口部p2に加えて各孔部2fからも容器本体4の内容物が導管部2Dの管内に流入できる。
【0042】
このような構成のスパウト2は、少なくとも取り付け部2Cの表面が、容器本体4の前面フィルム4a及び後面フィルム4bと接着可能な樹脂材料からなる。取り付け部2Cに用いられる樹脂材料は、前面フィルム4a及び後面フィルム4bをヒートシールによって接着可能な材料であることがより好ましい。本実施形態では、取り付け部2Cを含むスパウト2の全体が、前面フィルム4a及び後面フィルム4bをヒートシールによって接着可能な材料で構成されている。このような樹脂材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられる。
【0043】
次に、注出部2Aの詳細構成について説明する。
図3~5に示すように、注出部2Aの外周面2aには、ガイド突起5(第1外側突起)と係合用突起6(第3外側突起)とが形成されている。ガイド突起5は、外周面2aの周方向に沿って延びる円弧状の突起である。ガイド突起5の個数は1以上であれば、特に限定されない。以下では、一例として、ガイド突起5が2個の場合で説明する。
【0044】
図5に示すように、各ガイド突起5は、互いに同形状を有している。各ガイド突起5は、中心軸線Oを対称軸として180°回転対称の位置関係に設けられている。
図5に示す例では、各ガイド突起5の周方向の長さは、外周面2aの円周の1/4よりもわずかに小さい。すなわち、各ガイド突起5の中心軸線Oに対する中心角が90°よりもわずかに小さい。本実施形態において中心角とは、中心軸線Oから、ガイド突起5といった対象物の周方向における両端をそれぞれ通過する2本の直線間の角度をいう。
【0045】
各ガイド突起5の中心軸線Oに対する中心角は、キャップ3との着脱が可能であれば必要に応じて、0°を超え180°未満の適宜の角度とされてもよい。例えば、ガイド突起5が2個の場合、各ガイド突起5の中心軸線Oに対する中心角は、45°以上90°以下であることがより好ましい。中心角が45°未満であると、開封に必要なキャップ3のZ軸方向の移動量及びキャップ3への付勢力が得られない可能性や、キャップ3の装着におけるガイド突起5の耐引き抜き強度が不足する可能性もある。一方で中心角が90°を超えると、開栓時及び挿脱時にキャップ3の回転量が増えるため、キャップ3が外しにくくなる可能性がある。また、キャップ3側の係合部の周方向の長さを短くする必要があるため、キャップ3の装着におけるキャップ3側の係合部の耐引き抜き強度が不足する可能性もある。
【0046】
図4に示すように、ガイド突起5は、軸方向において先端Tから離間した位置に配置される。ガイド突起5は、注出部2Aの外周面2aの周方向の一部に設けられ、径方向外側に突出している。本実施形態のガイド突起5は、板状部2bと先端Tとの間の外周面2aにおいて、周方向における第1端部e1(先端側端部)から第2端部e2(基端側端部)に向かって延びている。
【0047】
図5に示すように、第1端部e1は、注出部2AをZ軸正方向から負方向に見て、反時計回り方向の端部である。換言すると、第1端部e1は、注出部2AをZ軸正方向から負方向に見て、時計回り方向におけるガイド突起5のリーディング側の端部である。第2端部e2は、同様に見て時計回り方向の端部である。換言すると、第2端部e2は、注出部2AをZ軸負方向に見て、時計回り方向におけるガイド突起5のトレーリング側の端部である。なお、本実施形態において、時計回り方向は、注出部2Aを閉栓する際にキャップ3を回転させる方向であり、反時計回り方向は、注出部2Aを開栓する際にキャップ3を回転させる方向である。
【0048】
ガイド突起5の側面5cは、外周面2aと同軸の円筒面状であり、ガイド突起5の径方向外側の面である。ただし、第1端部e1側のガイド突起5の側面には、第2端部e2から第1端部e1に向かうにつれて側面5cから外周面2aに向かって傾斜する傾斜端面5dが形成されている。傾斜端面5dは、キャップ3のストッパ8を係止するために設けられている。一方、第2端部e2側のガイド突起5の側面には、第2端部e2から第1端部e1に向かうにつれて外周面2aから側面5cに向かって緩やかに傾斜する傾斜部5eが形成されている。傾斜部5eの平面視の平均的な傾斜角は、傾斜端面5dよりも浅い。すなわち、傾斜部5eの外周面2aに対する傾斜角は、傾斜端面5dの外周面2aに対する傾斜角よりも小さい。
【0049】
図4に示すように、ガイド突起5の下面5a(係止面)は、板状部2bに面している。板状部2bと下面5aとの間には、キャップ3のフラップ7(第1内側突起)が周方向に進退可能に嵌合できる隙間が形成されている。下面5aは、キャップ3のフラップ7が進入した際は、フラップ7を軸方向に係止することができる。板状部2bと下面5aとの間の隙間は、本実施形態では、第1端部e1から第2端部e2に向かってわずかに縮小しているが、これに限らず、板状部2bと下面5aとの間の隙間は一定でもよい。
【0050】
ガイド突起5において、下面5aと軸方向の反対側には、上面5b(第1ガイド面)が形成されている。上面5bは、第2端部e2から第1端部e1に向かって下面5aから漸次先端Tに向かって近づく螺旋状(図示右上がりの螺旋状)に延びている。ただし、板状部2bから上面5bまでの距離が滑らかに変化していれば、上面5bは、厳密な螺旋面には限定されない。上面5bは螺旋状に滑らかに変化する適宜の湾曲面で形成される。例えば、
図4に示す例では、上面5bは、周方向には螺旋状に旋回し、かつ径方向内側から径方向外側に向かうにつれて下面5a側に向かって傾斜する湾曲面からなる。上面5bは、反時計回り方向に進むに従い先端Tに向かうように傾斜している。
【0051】
上面5bの第1端部e1側には、第2端部e2から第1端部e1に向かうにつれて、上面5bから下面5aに向かう第1傾斜面5fが形成されている。一方、上面5bの第2端部e2側には、側面に傾斜部5eが形成されている範囲に、第2端部e2から第1端部e1に向かうにつれて、下面5aから上面5bに向かう第2傾斜面5gが形成されている。第2傾斜面5gの側面視の平均的な傾斜は、上面5bの周方向における傾斜よりも大きい。換言すると、第2傾斜面5gの、軸方向と直交する平面に対する傾斜角は、上面5bの上記平面に対する傾斜角よりも大きい。
【0052】
図5に示すように、係合用突起6は、各ガイド突起5の傾斜端面5dとの間に隙間を開けて隣り合う位置に形成され、XY平面に平行な断面形状は円弧状である。
図3、4に示すように、各係合用突起6は、周方向において、傾斜端面5d及び第1傾斜面5fに臨む範囲でZ軸方向に延びている。係合用突起6は、注出部2Aの外周面2aから径方向外側に突出して設けられている。係合用突起6の突出高さは、キャップ3によって注出口p1を閉栓する際に使用者にクリック感が感じられる適宜の高さとされる。例えば、係合用突起6の突出高さは、0.05mm以上1.0mm以下とされてもよい。係合用突起6の突出高さはZ方向において変化していてもよい。
【0053】
このような構成により、ガイド突起5の傾斜端面5dと係合用突起6との間には、周方向断面において、略V字状の浅い溝部(嵌合隙間)が形成されている。上記嵌合隙間の、軸方向に直交する方向での断面形状は、V字状に限定されず、U字状であってもよい。また、周方向に隣り合う各ガイド突起5の間の外周面2aは、キャップ3が着脱時にZ軸方向に移動できる第2ガイド面2dを構成している。
【0054】
図5に示すように、板状部2bは、Y軸方向に対向する平面視C字状の2つの部分から形成されている。板状部2bにおけるそれぞれのC字状の形状は、中心軸線Oを対称軸として、180°回転対称である。
【0055】
各板状部2bの外周部には、第1ラチェット6A(第2外側突起)及び第2ラチェット6B(第2外側突起)が径方向外側に突出している。このため、第1ラチェット6A及び第2ラチェット6Bは、軸方向においてガイド突起5からさらに離間した位置に設けられ、注出部2Aの外周から径方向外側に突出している。第1ラチェット6A及び第2ラチェット6Bは、キャップ3が開栓される際に、タンパーバンド3Bを破断させる外力をタンパーバンド3Bに与えるために設けられている。
【0056】
第1ラチェット6Aは、各ガイド突起5の周方向における中間部と径方向において重なり合う2つの位置にそれぞれ形成されている。第1ラチェット6Aの平面視形状は、注出部2AをZ軸正方向から負方向に見るとき、時計回り方向に傾斜して径方向外側に延びている。第1ラチェット6Aは、このような平面視形状がZ軸方向に延びている。また、第2ラチェット6Bは、各ガイド突起5の第2端部e2と径方向において重なり合う2つの位置にそれぞれ形成されている。第2ラチェット6Bの平面視形状は、注出部2AをZ軸正方向から負方向に見るとき、時計回り方向に傾斜して径方向外側に延びている。第2ラチェット6Bは、このような平面視形状がZ軸方向に延びている。
【0057】
次に、本実施形態のキャップ3の構成について詳細に説明する。キャップ3は、スパウト2の注出口p1を液密に封止するため、スパウト2に着脱可能に固定される栓部材である。
図3に示すように、キャップ3は、図示下方に開口する有頂筒状のキャップ本体3Aと、タンパーバンド3Bと、を備える。なお、キャップ3は、キャップ本体3A及びタンパーバンド3Bが一体成形によって製造可能な樹脂材料によって形成されている。例えば、キャップ3は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂によって製造されてもよい。
【0058】
キャップ本体3A及びタンパーバンド3Bの各内周面3a、3nは、それぞれ略円筒面状である。内周面3aの内径は、注出部2Aの各ガイド突起5の外径よりも大きい。内周面3nの内径は、各第1ラチェット6A及び第2ラチェット6Bの外径と略同径である。キャップ本体3Aは、注出部2Aにおいて、ガイド突起5と注出口p1とを覆って注出部2Aに装着可能である。
【0059】
図1に示すように、キャップ本体3Aの外周面3cには、X軸方向の一部を除いて、複数のリブ3dが突出している。リブ3dは、Z軸方向から見て、中心軸線Oを中心とする放射状に突出し、キャップ3を着脱する際の手指の滑り止めとなる凹凸部になっている。各リブ3dの突出方向の先端を連ねた包絡面は、キャップ本体3Aの最外の外形を規定している。以下では、このようなキャップ本体3Aの最外の外形を単にキャップ本体3Aの外形と称する。
【0060】
すなわち、キャップ本体3Aの外形は、平面視では、長径方向がX軸方向に一致する略扁平形状である。キャップ本体3Aの外形の長径はd1、短径はd2(ただし、d2<d1)である。このため、使用者は、キャップ本体3Aの短径方向の端部に指をかけてキャップ3を回転させることによって、キャップ本体3Aを長径方向に把持して回転する場合に比べてキャップ本体3Aをつかみ易い。
【0061】
また、従来は、キャップ本体3Aの長径方向がY軸方向に一致していた。このため、キャップ本体3Aの短径方向の端部に指をかけてキャップ3を回転させる場合、手首をひねりながらキャップ3を回転させることになる。一方、本実施形態では、キャップ本体3Aを長径方向がX軸方向に一致している。このため、キャップ本体3Aの短径方向の端部に指をかけてキャップ3を回転させる場合、手首をひねらずともキャップ3を回転させることができる。従って、スパウト付きパウチ1の使用者は、手首をひねらずにキャップ3を開封することができる。
【0062】
複数のリブ3dは、軸方向に延びると共に外周面3cからの径方向の突出量が異なることにより、キャップ本体3Aの外形はZ軸方向視で略扁平形状に形成されている。なお、「キャップ本体3Aの外形はZ軸方向視で略扁平形状に形成されている」とは、複数のリブ3dの径方向外側の端部を互いに接続する仮想線L(
図8参照)が略扁平形状であることをいう。また、本実施形態の「略扁平形状」には楕円や長円が含まれていてもよい。キャップ本体3Aの外周面3cは、複数のリブ3dを備えるリブ形成領域R1と、リブ3dを備えないリブ非形成領域R2と、を有する。換言すると、リブ非形成領域R2におけるリブ3dの径方向突出量は0である。リブ非形成領域R2は、外周面3cの、中心軸線Oを挟んだ2つの位置に各々配置されている。この非形成領域R2が水平部分である。
【0063】
より詳細には、本実施形態のキャップ本体3Aの外周面3cは、頂部側(先端側)に位置する第1外周面3sと、基端側に位置する第2外周面3tとを有し、第1外周面3sの外径は、第2外周面3tの外径よりも小さい。第2外周面3tの軸方向長さは、第1外周面3sの2倍程度であるが、この比率は適宜調整してよい。本実施形態のリブ非形成領域R2は、第2外周面3tのみに設けられている。すなわち、軸方向視で上記楕円状の短軸と交差する第2外周面3tの一部が、リブを備えていないリブ非形成領域R2である。第1外周面3sには、全周に亘って複数のリブ3dが設けられている。本実施形態において水平部分にはリブ3dは設けられていないが、水平部分にリブ3dが設けられてもよい。
【0064】
このように、本実施形態のキャップ本体3Aは、キャップ本体3Aの軸方向に直交する平面(XY平面)の形状が扁平形状であり、扁平形状の短径方向の外周面3cに水平部分を有する。キャップ本体3Aの短径方向の外周面3cに水平部分を有するので、キャップ3を搬送する搬送経路において確実にキャップ3の向きを制御することができる。なお、ここでいう搬送経路とは、例えば、内容物をスパウト付きパウチ1に充填する充填機までのキャップ3の搬送経路である。
【0065】
すなわち、キャップ本体3Aの外周面3cの全てが水平部分のない円弧状である場合には、キャップ3が搬送経路の壁に触れるとキャップ3がぐらついて安定しない。一方で、本実施形態のように、キャップ本体3Aが水平部分である非形成領域R2を有することで、水平部分が搬送経路の壁に沿ってキャップ3が搬送される。これにより、キャップ3は、ぐらつきを抑えて安定して搬送される。
【0066】
また、仮に水平部分がキャップ本体3Aの長径方向に形成されていると、搬送経路の幅はキャップ本体3Aの長径方向と同じ長さ以上にする必要がある。この場合、搬送経路の幅が広いため、キャップ3の短径方向が搬送経路の幅方向と同じ方向を向いてキャップ3が搬送され、その結果、キャップ3が回転しながら搬送される可能性がある。一方で、本実施形態のように、水平部分をキャップ本体3Aの短径方向に形成し、搬送経路の幅をキャップ本体3Aの短径以上長径未満とすると、常にキャップ3は長径方向が搬送方向となるので、キャップ3は回転することなく搬送される。
【0067】
なお、本実施形態は上記構成に限定されず、外周面3cの外径が軸方向において略一定であり、リブ非形成領域R2が外周面3cの軸方向全域に亘って設けられていてもよい。また、リブ非形成領域R2が外周面3cに設けられておらず、複数のリブ3dの径方向突出量が異なるのみで、キャップ本体3Aが軸方向視で楕円状に形成されていてもよい。
【0068】
図3に示すように、キャップ本体3AのZ軸正方向側の端部は、Z軸負方向側にへこんだ天面部3eで塞がれている。天面部3eの内面には、シール体3fがZ軸負方向に突出している。シール体3fは、キャップ3の装着時にスパウト2の注出口p1を塞ぐ筒状突起である。本実施形態のシール体3fは、注出口p1に着脱可能に嵌合する円筒状である。シール体3fの先端の外周部には、注出口p1への挿入を円滑するためのテーパが形成されている。
【0069】
キャップ本体3AのZ軸負方向側の端部には、外周面3cから径方向外側に突出するフランジ3gが形成されている。キャップ本体3Aの端部である第1基端部20A及び第2基端部20Bは、フランジ3gのZ軸負方向側の端面よりもわずかに下方または径方向内側に突出している。フランジ3gのZ軸負方向側の端面には、接続片3h(脆弱部)を介してタンパーバンド3Bが接続されている。接続片3hは、フランジ3gに沿って平面視半円状に延びる薄肉片である。接続片3hは、キャップ3を回転することによって受ける外力によって、破断可能な脆弱部である。
【0070】
キャップ本体3Aの内周面3aには、フラップ7(第1内側突起)と、フラップ7の周方向の近傍においてフラップ7と隣り合うように形成されたストッパ8(第2内側突起)とが、径方向内側に突出している。ストッパ8は、キャップ本体3Aの内周面3aの周方向においてフラップ7に近接して配置されている。フラップ7及びストッパ8の個数は1以上であれば、特に限定されない。以下では、一例として、フラップ7及びストッパ8がそれぞれ2個の場合で説明する。
【0071】
図8は、
図2におけるA-A断面図である。
図8に示すように、キャップ3が未開栓の状態では、キャップ3の長径方向は、X軸方向に一致している。2個のフラップ7は互いに同形状を有しており、2個のストッパ8も互いに同形状を有している。フラップ7及びストッパ8は、中心軸線Oを対称軸として180°回転対称の位置関係に設けられている。
【0072】
各フラップ7は、Y軸方向に互いに対向する位置に配置されている。このため、各フラップ7は、キャップ3が未開栓の状態では、Z軸正方向から負方向に見ると、それぞれガイド突起5と重なっている。各ストッパ8は、キャップ3が未開栓の状態では、いずれも、係合用突起6と傾斜端面5dとの間に形成された嵌合隙間に嵌合する位置に配置されている。
【0073】
互いに周方向に近接したフラップ7及びストッパ8は、各ガイド突起5の間の第2ガイド面2dに沿って軸方向に進退可能な周方向の範囲に形成されている。例えば、本実施形態では、互いに周方向に近接したフラップ7及びストッパ8は、各ガイド突起5の形成範囲が中心軸線Oに対する中心角が90°よりもわずかに小さいことに対応して、中心軸線Oに対する中心角が90°以下の範囲に形成されている。
【0074】
フラップ7は、第1基端部20Aの内縁部から径方向内側に向かうにつれて、Z軸正方向に向かう斜め方向に延びる突片である。フラップ7は片状に形成されることによって、可撓性を有している。さらに、フラップ7は、第1基端部20Aとの接続部が樹脂ヒンジの機能を有することによって、径方向への弾性変位が容易である。
【0075】
フラップ7の周方向の中央部には、スリット7aが形成されている。このため、フラップ7はスリット7aが形成されない場合に比べて可撓性が増大している。フラップ7のZ軸正方向側の端縁7bの第1基端部20Aからの高さは、注出部2Aにおける板状部2bと、ガイド突起5の下面5aとの間の隙間に略等しい。本実施形態では、下面5aがわずかに傾斜していることに対応して、端縁7bも、周方向において、下面5aと同様に傾斜している。例えば、
図9に示す例では、端縁7bは、第1端部F1(図示左側)から第2端部F2(図示右側)に向かってわずかに下降する傾斜を有している。
【0076】
キャップ3単品の形状としては、中心軸線Oから端縁7bまでの距離は、注出部2Aにキャップ本体3Aを装着したときに、ガイド突起5の下面5aにフラップ7が係止できる寸法であれば特に限定されない。例えば、中心軸線Oから端縁7bまでの距離は、外周面2aの半径以上、ガイド突起5の側面5cの半径以下であってもよい。この場合、中心軸線Oから端縁7bまでの距離は、外周面2aの半径に近いほどより好ましい。ただし、フラップ7の可撓性によっては、中心軸線Oから端縁7bまでの距離は、外周面2aの半径未満であってもよい。
【0077】
各フラップ7の周方向の長さは、第2ガイド面2d上を軸方向に移動できる長さであり、かつ、ガイド突起5の下面5aと係止したときに必要な耐引き抜き強度が得られる長さとされる。このため、フラップ7の周方向の長さは、第2ガイド面2dの周方向の長さに応じて、適宜の長さが選択される。例えば、本実施形態の場合、各フラップ7の中心軸線Oに対する中心角は、45°以上90°以下とされてもよい。
【0078】
図7は、フラップ7及びその周囲の部分拡大図である。
図7に示すように、キャップ本体3Aの内周面3aにおけるフラップ7と対向する位置に、フラップ7が内周面3a側に変位することを規制する変位規制部22が設けられる。変位規制部22は、キャップ本体3Aの内周面3aから突出する突起状の部分である。なお、
図7の例では、フラップ7に対向する内周面3aは、上方(天面部3e側)の領域に比べて厚みが薄くなっている。このため、本実施形態のキャップ本体3Aの内周面3aは、フラップ7に対向する近傍で厚みが異なる3段となっており、この2段目が変位規制部22となる。
【0079】
ここで、仮に変位規制部22が設けられない場合、閉栓動作によってフラップ7が内周面3aとガイド突起5に挟まれた際に径方向外側へ押圧されて、フラップ7がキャップ本体3Aの内周面3aに当接するまでたわんだ後、十分に弾性復元力が働かずに径方向内側へ突出しない可能性がある。この場合、閉栓時においてガイド突起5の下面5aとの係合力が弱くなり、口栓構造の密封性が劣る可能性がある。
【0080】
一方、変位規制部22が設けられることで、閉栓動作によってフラップ7が内周面3aとガイド突起5に挟まれた際に径方向外側へ押圧されても、フラップ7は変位規制部22に当接するため、内周面3aに当接するまでたわむことが防止される。このため、フラップ7に十分な弾性復元力が働かなかった場合であっても、フラップ7は径方向内側に突出した状態を保てる。従って、閉栓時においてフラップ7はガイド突起5の下面5aとの係合力を十分に発揮することができ、口栓構造の密封性も十分に保つことができる。また、キャッピングが弱くなることによる製造上のロスを減らすこともできる。
【0081】
なお、
図9に示すようにフラップ7は、端縁7bが第1端部F1から第2端部F2に向かってわずかに下降する傾斜を有している。このため、一例として、変位規制部22の上端もフラップ7の端縁7bに沿って下降する傾斜を有している。
【0082】
また、
図7に示すように、本実施形態のフラップ7は、キャップ本体3Aの周方向における基端部の一部である第1基端部20Aから上方に向かって延伸している。そして、キャップ本体3Aの周方向におけるフラップ7を有しない第2基端部20Bは、第1基端部20Aよりも下方に位置する。
【0083】
このような構成により、板状部2bとキャップ本体3Aの第2基端部20Bとの隙間を無くす、若しくは非常に小さくすることができるので、キャップ閉栓時のスパウト2に対するキャップ3のがたつきを抑制でき、口栓部の密封状態をより高く保つことができる。なお、板状部2bと第2基端部20Bとの間隔は、例えば0~0.1mm程度である。
【0084】
図9に示すように、ストッパ8は、内周面3aから径方向内側に突出し、Z軸方向に延びる突条である。ストッパ8のZ軸負方向側の端面である下端面8aのZ軸方向の位置は、第1端部F1におけるフラップ7の端縁7bのZ軸方向の位置と略同じである。ただし、Y軸方向から見ると、Z軸方向の高さの違いを除けば、ストッパ8は、フラップ7の第1端部F1と、周方向において近接して隣り合っている。
【0085】
図8に示すように、径方向におけるストッパ8の先端部は山形の断面を有する。径方向における各ストッパ8の先端8bは、キャップ3が中心軸線O回りに回転されたとき、第2ガイド面2dに沿って周方向に移動可能である。このため、各先端8bと中心軸線Oとの間の距離は、注出部2Aの外周面2aの半径以上である。さらに各先端8bと中心軸線Oとの間の距離は、各ガイド突起5の側面5cの半径未満、かつ中心軸線Oから各係合用突起6の頂部(径方向外側端部)までの距離未満である。本実施形態では、一例として、各先端8bと中心軸線Oとの間の距離は、外周面2aの半径に等しい。
【0086】
径方向におけるストッパ8の径方向内側の先端部は、第1斜面8c及び第2斜面8dによって形成されている。第1斜面8cは、フラップ7の第1端部F1に近い方に形成されている。第2斜面8dは、周方向において第1斜面8cと反対側に形成されている。
【0087】
ストッパ8の先端部は、係合用突起6と傾斜端面5dとの間に形成された溝部に、周方向から着脱可能に嵌合する形状に形成されている。ただし、本実施形態の第1斜面8cは、傾斜端面5dとほぼ同様の傾斜及び傾斜面の幅を有している。このため、キャップ3は、
図8の図示時計回りに回転された際、第1斜面8cと傾斜端面5dとが当接する位置を超えて回転することはできない。
【0088】
これに対して、径方向におけるストッパ8の先端部は、係合用突起6に図示時計回り方向及び図示反時計回り方向のいずれから当接しても、軽微な回転力で、係合用突起6を乗り越えることが可能である。径方向におけるストッパ8及び係合用突起6の突出量が適宜に設定されることによって、係合用突起6を乗り越える際の回転力が調整される。ストッパ8の先端8bが係合用突起6を乗り越える際の回転力は、ストッパ8の先端部が係合用突起6と傾斜端面5dとの間の溝に嵌合する際、及びストッパ8の先端部が溝から抜ける際に、使用者が適度のクリック感を感じる程度の大きさとされる。例えば、適度のクリック感が得られるようにするために、ストッパ8の先端8bが係合用突起6を乗り越える高低差は、0.05mm以上1.0mm以下とされてもよい。上記高低差は、中心軸線Oから係合用突起6の径方向外側端部までの距離D1と、中心軸線Oからストッパ8の径方向内側端部である先端8bまでの距離D2と、の差である。この高低差が0.05mm以上であれば、キャップ3を回転して注出部2Aを開栓する際及び閉栓する際にストッパ8が係合用突起6を乗り越えることによる適度なクリック感を使用者に伝えることができる。また、上記高低差が1.0mm以下であれば、キャップ3を回転して注出部2Aを開栓する際及び閉栓する際にストッパ8が係合用突起6を適切に乗り越えることができる。換言すると、D1/D2が1.01以上1.2以下であれば、上記2つの効果を得ることができる。
【0089】
また、
図5に示すように、タンパーバンド3Bは、フランジ3gと同様な外径を有する円環状に形成され、キャップ3及び注出部2Aからなる口栓部Sをタンパーエビデント構成にするために設けられている。
【0090】
タンパーバンド3Bは、第1バンドピース3Cと、第2バンドピース3Dと、を備える。第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dのバンド幅(Z軸方向の幅)は、キャップ3が注出部2Aに装着された状態で、注出部2Aの板状部2b、第1ラチェット6A、及び第2ラチェット6Bを側方から覆うことができる大きさである。
【0091】
図5に示すように、第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dは、平面視においてY軸方向から時計周りに所定角度θずつずれて互いに対向する半円状の形状を有する。第1バンドピース3Cは、キャップ3におけるY軸正方向側から時計周り方向に所定角度θずれて、第2バンドピース3Dは、Y軸負方向側から時計周り方向に所定角度θずれてそれぞれ配置されている。なお、本実施形態の所定角度θは、一例として10°であるが、所定角度θは5~15°の範囲であればよい。
【0092】
第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dの周方向における各両端部は、バンド幅よりも狭い幅を有する連結片3i(脆弱部)によって、周方向に互いに連結されている。連結片3iは、第1バンドピース3C及び第2バンドピース3DをそれぞれにおけるZ軸負方向側の端部において連結している。このため、
図9に示すように、連結片3iとフランジ3gとの間には、Z軸方向に延び、タンパーバンド3Bの径方向に貫通するスリットが形成されている。第1バンドピース3C及び第2バンドピース3DにおけるZ軸正方向側の端部は、上述の接続片3hによって、フランジ3gと連結されている。
【0093】
第1バンドピース3CにおけるY軸負方向側の端部から時計周り方向に10°ずれた位置は、フランジ3gと第1バンドピース3Cとを高強度に接続する固定接続部3kによって、フランジ3gと固定されている。固定接続部3kは、Y軸負方向側から時計周り方向に10°ずれた位置に設けられたスリット3mを間に挟んで、接続片3hと周方向に対向している。
【0094】
また、第2バンドピース3DにおけるY軸正方向側の端部から時計周り方向に10°ずれた位置には、同様の固定接続部3kが形成されている。さらに、第2バンドピース3Dにおいて固定接続部3kのX軸負方向側から時計周り方向に10°ずれた位置には、第1バンドピース3Cにおけると同様のスリット3mが形成されている。第2バンドピース3Dにおける固定接続部3k及びスリット3mは、第1バンドピース3Cにおける固定接続部3k及びスリット3mと、中心軸線Oに関して180°回転対称の形状及び配置を有する。
【0095】
第1バンドピース3CのY軸正方向側から時計周り方向に10°ずれた位置の端部及び第2バンドピース3DのY軸負方向側から時計周り方向に10°ずれた位置の端部には、それぞれ、第1爪部9Aが径方向内側に突出している。第1爪部9Aの平面視形状は、タンパーバンド3BをZ軸負方向に見るとき、時計回り方向に傾斜して径方向外側に延びている。第1爪部9Aは、このような平面視形状がZ軸方向に延びる突起である(
図3参照)。
【0096】
本実施形態の未開栓状態における第1爪部9Aは、周方向において第1ラチェット6Aと隙間を空けて対向している。第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dの周方向における各中央部よりも第1爪部9A寄りの部位には、それぞれ、第2爪部9Bが径方向内側に突出している。第2爪部9Bの平面視形状は、第1爪部9Aと略同様の形状である。第2爪部9Bは、このような平面視形状がZ軸方向に延びる突起である(
図3参照)。
【0097】
本実施形態の未開栓状態における第2爪部9Bは、周方向において第2ラチェット6Bと隙間を空けて対向している。ただし、本実施形態では、第2爪部9Bと第2ラチェット6Bとの隙間は、第1爪部9Aと第1ラチェット6Aとの隙間よりも広い。
【0098】
図5に示すように、板状部2bにおいて第1ラチェット6A及び第2ラチェット6Bの最外周部の外径は、タンパーバンド3Bの内周面3nの内径と等しい。また、第1爪部9A及び第2爪部9Bの内周面3nからの突出量は、互いに略等しく、第1爪部9A及び第2爪部9Bの径方向内側の端面は、板状部2bの外縁に摺動可能に当接している。
【0099】
以上説明した注出部2A及びキャップ3は、以下に説明するようにして開栓可能である。以下では、口栓部Sの構造の作用について、口栓部Sの初回開栓動作及び初回開栓後の開閉動作を中心として説明する。
【0100】
スパウト付きパウチ1の製造工程では、容器本体4にスパウト2が固定された後、容器本体4に注出部2Aの注出口p1から内容物が充填される。この後、注出部2Aにキャップ3が取り付けられる。
【0101】
このとき、
図1に示すように、キャップ3は、長径方向がX軸方向に一致するように取り付けられ、タンパーバンド3Bは、図示略の板状部2bを側方から覆うように配置される。タンパーバンド3BのZ軸負方向側の端部は、第1フランジf1と近接して隣り合っている。タンパーバンド3Bは、板状部2bに径方向外側から対向している。
【0102】
このような位置関係では、フラップ7は、Z軸方向において板状部2bとガイド突起5との間に位置している。さらに、フラップ7の端縁7bは、ガイド突起5の下面5aに係止している。このため、キャップ3が取り付けられた未開栓状態では、使用者はキャップ3を注出部2AからZ軸正方向に引き抜くことはできない。
【0103】
このような未開栓状態は、キャップ3の長径方向をX軸方向に合わせて、注出部2Aに向かってキャップ3を押し込み、キャップ3を反時計回り方向に90°回転させることによって形成される。
【0104】
まず、キャップ3が中心軸線Oと同軸の状態で、注出部2Aの上方に配置される。キャップ3の長径方向はY軸方向に合わせられる。このとき、平面視では、各フラップ7及びストッパ8は、平面視で2つのガイド突起5の間の第2ガイド面2dの範囲内に位置する。
【0105】
キャップ3が注出部2Aに押し込まれると、フラップ7及びストッパ8は、第2ガイド面2dに対してZ軸負方向へ移動する。キャップ3は、キャップ本体3Aの第2基端部20Bが板状部2bに当接するまでZ軸負方向へ移動する。
【0106】
このとき、
図5に示すように、第1爪部9A及び第2爪部9Bは、注出部2Aにおける第2ラチェット6B及び第1ラチェット6Aと、周方向に離間した位置関係にある。このため、第1爪部9A及び第2爪部9Bと、第2ラチェット6B及び第1ラチェット6Aとが干渉して、キャップ3の移動の障害になることはない。
【0107】
その後、キャップ3を反時計回りに90°回転させ、フラップ7をガイド突起5の下に移動させる。これにより、フラップ7の端縁7bがガイド突起5の下面5aに係止される。
【0108】
このようにして、キャップ3はZ軸負方向に押し込まれ、半時計回りに90°回転させることによって閉栓される。このような未開栓状態では、シール体3fは、注出口p1の内部に嵌合している。このため、注出口p1は、シール体3fによって閉鎖されている。
【0109】
このような未開栓状態から、キャップ3を開栓するには、使用者は、キャップ3を
図8における反時計回り(矢印CCW参照)に回転させる。使用者がキャップ3を図示時計回りに回転させようとしても、ストッパ8の第1斜面8cが傾斜端面5dに係止するため、周方向の抵抗力が増大する。このため、使用者は、図示時計回りに回転させても開栓できないことが容易に感知できる。
【0110】
使用者は、キャップ3の短径方向の端部に指をかけて回転させることによって、より小さい回転力でキャップ3を回転させることができる。特に本実施形態では、短径方向の端部に指をかける方がキャップ3に対する使用者の指の接触面積が大きくなるため、使用者がキャップ3をつかみやすい。
【0111】
キャップ3が反時計回りに回転されると、キャップ本体3Aに設けられたストッパ8及びフラップ7も反時計回りに回転する。例えば、ストッパ8は、係合用突起6を乗り越えて、第2ガイド面2dの領域に移動する。使用者は、ストッパ8が係合用突起6を乗り越えるときのクリック感によって、開栓が始まったことを感知できる。一方、フラップ7は、滑らかな下面5aに沿って移動するため、フラップ7に起因する抵抗はほとんど生じない。
【0112】
これに対して、キャップ3が反時計回りに回転されると、タンパーバンド3Bも
図5における反時計回り(矢印CCW参照)に回転する。このため、
図5に示す例では、第1爪部9Aが形成される第1バンドピース3Cが、Y軸正方向側から時計周り方向に10°ずれている。このため、キャップ3の回転開始からわずかに遅れて、各第1爪部9Aと各第1ラチェット6Aとが周方向において互いに当接する。同様に、第2爪部9Bが形成される第2バンドピース3Dが、Y軸正方向側から時計周り方向に10°ずれている。このため、キャップ3の回転開始からわずかに遅れて各第2爪部9Bと各第2ラチェット6Bとが周方向において互いに当接する。
図5に示す例では、両方の当接が略同時に起こるが、片方ずつ起こってもよい。
【0113】
第1爪部9Aと第1ラチェット6Aとは、それぞれ係合し合う傾斜を有しているため、第1爪部9Aと第1ラチェット6Aとの間には、互いを周方向に押圧する力が作用する。使用者がさらに反時計回りに回転を続けると、第1爪部9Aが第1ラチェット6Aを乗り越える。第1爪部9Aが第1ラチェット6Aを乗り越える際には、第1爪部9Aからタンパーバンド3Bに径方向外側への押圧力が作用する。同様に、第2爪部9Bと第2ラチェット6Bとは、それぞれ係合し合う傾斜を有しているため、第2爪部9Bが第2ラチェット6Bを乗り越える際には、第2爪部9Bからタンパーバンド3Bに径方向外側への押圧力が作用する。このため、脆弱部である連結片3iと、接続片3hとが、それぞれ破断する。
【0114】
このようにして、キャップ3が未開栓状態(またはストッパ8が第1端部e1と係合用突起6との間の嵌合隙間に位置する状態)から約45°回転される間に、連結片3iと、接続片3hと、が破断されるため、第1バンドピース3Cと第2バンドピース3Dとは、互いに分離した状態になる。これにより、キャップ3の回転の抵抗が減少する。また、これにより、目視によりキャップ3の回転がなされたことを確認することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上述のように、キャップ3の回転開始からわずかに遅れて各爪部9A,9Bと各ラチェット6A,6Bとが周方向において互いに当接する。このため、キャップ3の回転開始時に要する力(ストッパ8が係合用突起6を乗り越える力及びシール体3fと注出口p1との嵌合が外れるために生じる初期の摺動抵抗)と各爪部9A,9Bが各ラチェット6A、6Bを乗り越えて連結片3i及び接続片3hが破断する力とが同時に必要とされずに分散される。従って、使用者は、従来に比べて軽い力での開栓が可能となる。
【0116】
そして、キャップ3が約90°回転されると、各フラップ7が、ガイド突起5から抜けて、第2ガイド面2dに面する位置に移動する。この状態で使用者は、キャップ3をZ軸正方向に引き抜くことが可能である。使用者がキャップ3をZ軸正方向に移動させると、フラップ7は、第2ガイド面2dを案内される。キャップ3は、ほとんど抵抗を受けることなく注出部2Aから引き抜かれる。この状態では、ストッパ8も第2ガイド面2dを案内される。
【0117】
これにより口栓部Sが開栓される。本実施形態では、キャップ3が約90°程度の回転で開栓が可能になるため、キャップ3と注出部2Aとが螺合されている場合に比べて、迅速な開栓が行える。ただし、使用者によっては開栓されたことを認識せずに、キャップ3をさらに反時計回りに回転させることも考えられる。このような場合でも、本実施形態では、以下に説明するようにして、確実にキャップ3が引きぬかれる。
【0118】
使用者によってキャップ3がさらに反時計回りに回転されると、キャップ本体3Aに設けられたストッパ8及びフラップ7も反時計回りに回転する。
【0119】
例えば、ストッパ8’は、ガイド突起5が有する傾斜部5eの端部に到達し(
図4も参照)、さらにキャップ3が回転することでストッパ8’は第2傾斜面5gに乗り上げる。このとき、フラップ7の第1端部F1は、径方向において傾斜部5eに当接する。このため第1端部F1において、フラップ7の端縁7bは、下面5aよりもZ軸正方向側に位置する傾斜部5eに沿って、周方向及びZ軸正方向に移動可能である。キャップ3の回転が進むにつれて、フラップ7は、傾斜部5eに沿って移動し、径方向外側に押圧されていく。フラップ7は可撓性を有するため、内周面3aに向かってたわみ変形する。このため、フラップ7の端縁7bは、下面5aに係止することなく、ガイド突起5と内周面3aとの間に挟まれる。そして、フラップ7が内周面3a側に変位規制部22に当接して、変位規制部22とその上の内周面3aによって形成される段差に嵌る。
【0120】
このようにして、ストッパ8は、上面5bに乗り上げる(
図4も参照)。キャップ3がさらに反時計回りに回転すると、
図4の二点鎖線で示すように、第2傾斜面5g及び上面5bに沿ってストッパ8’’がZ軸正方向に移動する。この結果、キャップ3には、注出部2Aに対して相対的にZ軸正方向に押し出される外力が、ガイド突起5から作用する。
【0121】
このように、本実施形態では、使用者は、キャップ3を約90°以上、反時計回りに回転させることで、口栓部Sが開栓される。使用者がキャップ3を90°を超えて回転させる場合には、キャップ3が自動的にZ軸正方向に押し上げられるため、使用者はすでに開栓されていることを感知できる。このため、大部分の使用者は90°もしくは90°よりわずかに大きく回転させるだけで、口栓部Sを開栓することができる。このため、キャップが注出部に螺合している場合に比べると、使用者は、格段に容易に開栓が行える。
【0122】
さらに本実施形態では、第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dは、固定接続部3kによって、キャップ本体3Aと固定されている。固定接続部3kは、スリットを間に挟んで、接続片3hとは離間している。この結果、接続片3hがすべて切断されても、接続片3hの亀裂が固定接続部3kに到達しないため、固定接続部3kは開栓動作によって切断されない。このため、第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dは、開栓後も固定接続部3kを介してフランジ3gに接続されており、キャップ本体3Aと共に、注出部2Aから引き抜かれる。第1バンドピース3C及び第2バンドピース3Dを含む切断片は、注出部2Aに残らず、キャップ3に一体化されている。よって、開栓時に、キャップ本体3Aから切り離されてゴミとなるような切断片のゴミが発生することはない。
【0123】
さらに、例えば、使用者が注出部2Aに口を着けて内容物を飲むような使用方法であっても、注出部2Aに切断片が残存せず、切断片に使用者の口が触れることがないため、使用者の使用感が良好になる。
【0124】
次に、初回開栓後の開閉動作について説明する。
【0125】
初回開栓後、使用者が注出部2Aを閉栓するには、使用者は、上述の開栓動作を逆の順に行うことによって、閉栓する。すなわち、キャップ3の長径方向をX軸方向に(短径方向をY軸方向に)合わせた状態で、キャップ3をZ軸負方向に移動して、注出部2Aに装着する。このようなキャップ3の姿勢では、フラップ7及びストッパ8が注出部2Aの第2ガイド面2dの範囲に位置するため、フラップ7が第2ガイド面2dに案内されて、キャップ3が円滑に注出部2Aに装着される。初回開栓後にはタンパーバンド3Bは破断されているため、装着時にタンパーバンド3Bが挿入抵抗になることはない。
【0126】
キャップ本体3Aは、キャップ本体3Aの第2基端部20Bが板状部2bに近接する挿入限度位置まで挿入されると、シール体3fが注出口p1の内部に嵌合する。この後、使用者は、キャップ3を時計回り(矢印CW参照)に回転させる。フラップ7は、ガイド突起5の下面5aと板状部2bとの間に入り込む。フラップ7の端縁7bは下面5aと摺動しながら下面5aに沿って移動していく。このとき、シール体3fが注出部2Aの開口に密着嵌合して、Z軸負方向への移動が規制される結果、端縁7bが下面5aに押しつけられる。このため、フラップ7のZ軸負方向側の端部と板状部2bとの間には、隙間が形成されている。
【0127】
このようなキャップ3の回転時に、タンパーバンド3Bは破断されているため、第1爪部9A及び第2爪部9Bが、第1ラチェット6A及び第2ラチェット6Bと当接して回転抵抗が発生することはない。仮に、第1爪部9A及び第2爪部9Bが、第1ラチェット6A及び第2ラチェット6Bと当接したとしても、傾斜方向が同方向であるため容易に乗り越えることができる。
【0128】
また、
図8に示すように、キャップ3が約90°回転されると、各フラップ7は、Z軸正方向から負方向に見ると、それぞれガイド突起5と略重なる範囲に移動する。このため、フラップ7の端縁7bがガイド突起5にZ軸負方向側から係止している。これにより、キャップ3はZ軸方向において抜け止めされる。このようにして、注出部2Aは、キャップ3によって閉栓される。
【0129】
ここで、フラップ7は、閉栓動作によって内周面3aとガイド突起5に挟まれた際に径方向外側に押圧されて内周面3a側にたわむ。フラップ7は内周面3aに当接するまでたわみ、押圧力が解除された後に、フラップ7の弾性復元力によってフラップ7が径方向内側に突出し、ガイド突起5の下面5aと係合する。ここで、仮にキャップ3が変位規制部22を有しない形態において、フラップ7は内周面3aに当接するまでたわみ、十分に弾性復元力が働かなかった場合には、フラップ7は径方向内側へ十分に突出しなくなる。その結果、フラップ7はガイド突起5の下面5aとの係合力が弱くなり、口栓構造の密封性が劣ってしまう。
【0130】
一方で、本実施形態のようにキャップ3が変位規制部22を有することで、閉栓動作によってフラップ7が内周面3aとガイド突起5に挟まれた際の径方向外側へ押圧されても、フラップ7は変位規制部22に当接するので、内周面3aに当接するまでたわむことを防止することができる。これにより、フラップ7は十分に弾性復元力が働かなかった場合であっても、径方向内側へ十分突出した状態となる。このため、フラップ7はガイド突起5の下面5aとの係合力を十分に発揮することができ、口栓構造の密封性も十分に保つことができる。
【0131】
このような閉栓動作において、キャップ3の回転と共に、ストッパ8も外周面2aに沿って時計回りに移動する。ストッパ8が係合用突起6の位置に到達すると、ストッパ8が係合用突起6を乗り越える際に径方向外側に押圧されるため、軽微な抵抗が発生する。ストッパ8が係合用突起6を乗り越えると、ストッパ8は、係合用突起6と傾斜端面5dとの間のV字状の溝部に嵌合する。このとき、回転抵抗が急峻に減少するため、使用者はクリック感を得る。
【0132】
この状態から、さらに使用者が図示時計回りに回転しようとすると、第1斜面8cが傾斜端面5dに係止するため、周方向の抵抗力が増大する。このため、使用者は回転限度に達したことを感知できる。
【0133】
また、このような時計回りにキャップ3を回転することによる閉栓動作は、キャップ3の長径方向をY軸方向に合わせた状態からに限られたものではなく、キャップ3の長径方向がY軸方向に合わせた状態以外の状態から閉栓するときにも応用することができる。その場合は、フラップ7の一部分がガイド突起5を乗り越え、その他の部分及びストッパ8が注出部2Aの第2ガイド面2dに案内されて、キャップ3が注出部2Aに装着される。その後、キャップを時計回りにキャップ3の長径方向がX軸方向に一致するまで回転させることで、フラップ7の端縁7bがガイド突起5にZ軸負方向側から係止し、ストッパ8は係合用突起6と傾斜端面5dとの間のV字状の溝部に嵌合する。ここで、フラップ7がガイド突起5を乗り越える際にも、変位規制部22によって、フラップ7がたわみすぎるのを防止することができるため、フラップ7がガイド突起5を乗り越えた後にガイド突起5の下面5aとの係合力を十分に発揮することができる。
【0134】
このようにして、キャップ3の長径方向がX軸方向に向くと、閉栓動作が終了する。このため、閉栓状態かどうかが、見ただけで分かりやすいため、閉め忘れなどが防止できる。
【0135】
さらに、回転時のクリック感によって、使用者にキャップ3が閉栓時の所定位置に移動されたかどうかが容易に伝わる点でも、不完全な閉栓状態が防止されやすい。
このような閉栓状態から、使用者が開栓するには、初回開栓時と同様、キャップ3を反時計回りに回転させればよい。
【0136】
また、キャップ3の長径方向をX軸方向(短径方向をY軸方向)に合わせた状態で、キャップ3をZ軸負方向に移動して、注出部2Aに装着することも可能である。このようなキャップ3の姿勢では、フラップ7が注出部2Aのガイド突起5の範囲に位置するため、注出部2Aに向かってキャップ3を押し込み、フラップ7がガイド突起5を乗り越えることで、フラップ7がガイド突起5の下面5aに係合する。
【0137】
以上説明したように、本実施形態の口栓部Sは、タンパーバンド3Bを有するキャップ3と、キャップ3の開封時の回転によって、タンパーバンド3Bが切断されるため、目視によりキャップ3が回転されていることが確認できるタンパーエビデント構成である。
【0138】
本実施形態の口栓部Sの構造によれば、注出部2Aのガイド突起5と、キャップ3の係合用突起6及びフラップ7と、を有するため、初回開栓時及び開栓後の開閉動作が容易となる。
【0139】
(第1実施形態の変形例)
図10に示すように、本実施形態のキャップ本体3Aの内周面3aには段差がなく、フラップ7の対向する位置に突起形状の変位規制部22が設けられてもよい。
図10に示される変位規制部22は、一例として、フラップ7の上端において周方向全体に重なるように設けられる。
【0140】
(第2実施形態)
第1実施形態では、変位規制部22はキャップ本体3Aの内周面3aに設けられていたが、本実施形態の変位規制部22は、
図11に示されるように、フラップ7におけるキャップ本体3Aの内周面3aとの対向面23に設けられる。また、本実施形態のキャップ本体3Aは、第1実施形態と同様に、第1基端部20Aよりも下方に第2基端部20Bが設けられる。
【0141】
ここで、
図12~
図14は、従来のスパウト付きパウチ1の閉栓時におけるフラップ7とガイド突起5との位置関係を示す展開図(キャップ本体3Aの内周面3aと注出部2Aの外周面2aを平面状に展開した図)である。従来のスパウト付きパウチ1とは、変位規制部22が設けられていない包装体である。
【0142】
図12は、フラップ7の半分程度がガイド突起5よりも図示右側にずれた状態から閉栓される場合である。この場合、閉栓のために使用者がキャップ3を押し込むと(
図12(A))、フラップ7はガイド突起5を乗り越え、キャップ本体3Aは挿入限度位置である板状部2bの上面まで挿入される(
図12(B))。この状態で使用者がキャップ3を時計回り(矢印CW参照)に回転させる(
図12(C))。これにより、フラップ7は、ガイド突起5と板状部2bとの間に入り込み、端縁7bがガイド突起5の下面5aに係合して閉栓が完了する。
【0143】
図13は、フラップ7がガイド突起5の上面5bの傾斜方向にずれた状態から閉栓される場合であり、ガイド突起5の上面5bの上方にストッパ8が位置している。この場合、閉栓のために使用者がキャップ3を押し込むと(
図13(A))、ストッパ8がガイド突起5の上面5bに沿って移動しつつ、キャップ3が挿入される(
図13(B))。そして、フラップ7はガイド突起5と他方のガイド突起5との間隙(第2ガイド面2d)で、キャップ本体3Aが挿入限度位置に達する(
図13(C))。この状態で使用者がキャップ3を時計回り(矢印CW参照)に回転させる(
図13(D))。これにより、フラップ7は、他方のガイド突起5と板状部2bとの間に入り込み、端縁7bが他方のガイド突起5の下面5aに係合して閉栓が完了する。
【0144】
図14は、フラップ7がガイド突起5の略真上に位置した状態で閉栓される場合であり、ガイド突起5からずれてストッパ8が位置している。この位置関係で閉栓する場合を定位置での閉栓とする。この場合、閉栓のために使用者がキャップ3を押し込むと(
図14(A))、フラップ7はガイド突起5を乗り越え、キャップ本体3Aが挿入限度位置まで挿入される(
図14(B))。これにより、フラップ7の端縁7bがガイド突起5の下面5aに係合して閉栓が完了する。
【0145】
しかしながら、
図14のような定位置での閉栓では、フラップ7の端縁7bがガイド突起5の下面5aに係合しない場合がある。
図15は、フラップ7がガイド突起5に係合しない状態を示す部分拡大図である。
図15において、破線で示されるフラップ7は、ガイド突起5の下面5aに係合した状態である。一方、
図14のような閉栓では、
図15の実線で示すフラップ7ように、フラップ7がガイド突起5に係合せずに、フラップ7の側面がガイド突起5の側面5cに当接した状態となる場合がある。この場合、
図12や
図13で説明したように、キャップ3を回転させる余地がないため、使用者は
図15に示した状態でも閉栓が完了したと誤認する可能性がある。
【0146】
そこで、
図11に示すように、本実施形態のようにスパウト付きパウチ1は、フラップ7に変位規制部22が設けられる。
【0147】
図16を参照して、フラップ7に変位規制部22が設けられたスパウト付きパウチ1が定位置で閉栓される場合について説明する。なお、
図16に示されるように、変位規制部22は、フラップ7におけるキャップ本体3Aの内周面3aとの対向面23の上端、かつストッパ8側に設けられる。
【0148】
図16において、閉栓のために使用者がキャップ3を押し込む(
図16(A))。しかしながら、フラップ7は、変位規制部22によってキャップ本体3Aの内周面3a方向に変位しないため、ガイド突起5を乗り越えることができない。このため、フラップ7のストッパ8側がガイド突起5の第1傾斜面5fに沿いながら、キャップ本体3Aが斜め下方へ移動する(
図16(B))。なお、第1傾斜面5fは、螺旋状に延びる上面5bに隣接し、下面5aに向かって傾斜する傾斜面である。このため、キャップ本体3Aは、矢印CW方向とは逆方向に回転しながら、挿入されることとなる。
【0149】
さらにキャップ本体3Aを押し込むと、変位規制部22とガイド突起5との重なりがなくなり、キャップ本体3Aは下方へ移動する(
図16(C))。これにより、フラップ7の変位規制部22が設けられていない領域はガイド突起5を乗り越え、キャップ本体3Aが挿入限度位置まで挿入される(
図16(D)。この状態では、ストッパ8とガイド突起5の傾斜端面5dとの間に間隙、換言すると、キャップ本体3Aを閉栓方向に回転させるための空間が生じている。そこで、使用者は、キャップ3を時計回り(矢印CW参照)に回転させる(
図16(D))。
【0150】
これにより、フラップ7は、ガイド突起5と板状部2bとの間に入り込み、フラップ7の端縁7bがガイド突起5の下面5aに係合して閉栓が完了する(
図16(E)。このように、本実施形態のスパウト付きパウチ1は、フラップ7の変位を規制する変位規制部22が設けられることによって、より確実な閉栓が可能となる。
【0151】
本実施形態の閉栓が完了した状態(
図16(E))では、第1実施形態と同様に、第1基端部20Aよりも下方に位置する第2基端部20Bが板状部2bに近接することとなる。なお、
図16では第2基端部20Bの図示は省略している。
【0152】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変位規制部22は、キャップ本体3Aの内周面3aにおけるフラップ7の上端と対向する位置かつストッパ8側に設けられてもよい。すなわち、本実施形態の変位規制部22の位置は、
図10に示される位置と同じであるが、フラップ7の上端と対向し、かつストッパ8側の一部にのみ設けられる。
【0153】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0154】
上記実施形態では、キャップ本体3Aの外形は、短径がY軸方向に一致する略扁平形状であったが、これに限られるものではなく短径がX軸方向に一致する略扁平形状であってもよく、また真円形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0155】
1 スパウト付きパウチ(包装体)
2A 注出部
2d 第2ガイド面
3 キャップ
3A キャップ本体
3B タンパーバンド
5 ガイド突起(第1外側突起)
5a 下面(係止面)
5b 上面(第1ガイド面)
6 係合用突起(第2外側突起)
6A 第1ラチェット(第2外側突起)
6B 第2ラチェット(第2外側突起)
7 フラップ(第1内側突起)
8 ストッパ(第2内側突起)
22 変位規制部(規制部)
20A 第1基端部
20B 第2基端部
S 口栓部