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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180014
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】超音波診断装置の押しボタン構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/52 20060101AFI20231213BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H01H13/52 F
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093049
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江田 雅斗
【テーマコード(参考)】
4C601
5G206
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601KK43
5G206AS33F
5G206AS33J
5G206AS33M
5G206CS01J
5G206FS32J
5G206FS32M
5G206FU04
5G206GS16
5G206HW14
5G206HW36
5G206KS37
5G206KS42
5G206NS02
5G206PS02
(57)【要約】
【課題】超音波診断装置に設けられた押しボタンにおいて、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときの押し感の差異を低減する。
【解決手段】押しボタン構造10は、基板12、可動接点部材14、ガイド部材18、及び、上側キャップ部材34及び下側キャップ部材36から成るキャップ部材20を備える。可動接点部材14は、基部24、下面に可動接点30が形成された凸部26、及び、基部24と凸部26を接続する弾性部材28を有する。ガイド部材18は筒状であり、凸部26の側方を取り囲むように設けられる。下側キャップ部材36は、凸部26の側方を覆い、凸部26の側壁とガイド部材18との間に位置している。具体的には、下側キャップ部材36は、ガイド部材18の内側面18aに沿って上下方向に摺動可能に内側面18aに近接対向して配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点が設けられた基板と、
前記基板よりも上方に設けられた可動接点部材であって、基部と、上方に突出した凸形状を有し、その下面に前記固定接点と接触する可動接点が形成された凸部と、前記基部と前記凸部を接続する弾性部材であって、自然状態において前記凸部を上方に付勢して前記可動接点と前記固定接点とが離間するように前記凸部を保持し、前記凸部が下方に押し込まれた場合に押し込み量に応じて上方への反力の大きさが変化する弾性部材と、を有する可動接点部材と、
前記凸部の側方を取り囲むように設けられる筒状のガイド部材と、
前記凸部の上面を覆う天板、及び、前記凸部の側面を覆う側壁を有し、前記凸部に取り付けられるキャップ部材と、
を備え、
前記側壁は、前記ガイド部材の内側面に沿って上下方向に摺動可能に前記内側面に近接対向して配置される、
ことを特徴とする超音波診断装置の押しボタン構造。
【請求項2】
前記キャップ部材の前記側壁は、前記ガイド部材の上側端よりも上側において外側方に突出し、前記キャップ部材の前記側壁と、前記ガイド部材の前記内側面との間の隙間の上方を覆うフランジを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置の押しボタン構造。
【請求項3】
前記フランジは、前記ガイド部材の外側端の上方まで延伸している、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置の押しボタン構造。
【請求項4】
前記可動接点部材よりも上側に設けられ、前記キャップ部材が挿通されるボタン孔を有する筐体と、
をさらに備え、
前記キャップ部材は、
前記天板を含み前記ボタン孔に挿通される上側キャップ部材と、前記筐体よりも下側に配置され、前記フランジを有する下側キャップ部材とキャップ部材とを含んで構成され、
前記上側キャップ部材と前記下側キャップ部材は着脱可能である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の超音波診断装置の押しボタン構造。
【請求項5】
前記凸部は、平面視において一方向に伸長した細長形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置の押しボタン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、超音波診断装置の押しボタン構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体へ超音波を送受波して超音波診断を行う超音波診断装置が広く知られている。例えば特許文献1に記載されているように、超音波診断装置には、医師などのユーザが超音波診断装置に指示を入力するための操作パネルが設けられている。超音波診断装置の操作パネルには、押しボタンを含む複数の操作子が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-296487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波診断装置の押しボタンにおいて、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときに、その押し感(フィーリング)が互いに異なってしまうという問題があった。図5~9を参照しながら、従来の押しボタン構造と共に当該問題を説明する。
【0005】
図5は、従来例に係る超音波診断装置の押しボタン構造110の分解図であり、図6は、押しボタン構造110の垂直断面図である。図5及び図6において、X軸は水平方向であって超音波診断装置の幅方向を示し、Y軸はX軸に垂直な水平方向であって超音波診断装置の奥行方向を示し、Z軸は高さ方向(Z軸正方向が上側)を示している。
【0006】
押しボタン構造110は、基板112、基板112の上方(外側)に設けられる可動接点部材114、可動接点部材114のさらに上側に設けられる筐体116、及び、キャップ部材118を含んで構成される。
【0007】
基板112は、導線パターンが設けられた電子基板であり、その上側表面には固定接点120が設けられている。
【0008】
可動接点部材114は、基部122、上方に突出した凸形状を有する凸部124、及び、基部122と凸部124を接続する弾性部材126を含んで構成される。凸部124の下面に可動接点(不図示)が形成されている。弾性部材126は、凸部124を上方に付勢し、自然状態において凸部124の可動接点と基板112の固定接点120とが離間するように凸部124を保持する部材である。押しボタン構造110の例では、弾性部材126は円輪形状を有し、図6に示す自然状態においては、外側方へ向かって下方に傾斜したスカート形状を呈している。円輪形状である弾性部材126の内側端(自然状態においては上端となる)が凸部124の側壁(押しボタン構造110の例では側壁の下端)に接続され、弾性部材126の外側端(自然状態においては下端となる)が基部122に接続されている。
【0009】
筐体116は、超音波診断装置(詳しくは操作パネル)の外表面を構成する部材である。筐体116は、キャップ部材118が挿通されるボタン孔128が設けられている。
【0010】
キャップ部材118は、水平方向に延伸する天板118a及び天板118aの端部から下方に突出する側壁118bを含んで構成される。キャップ部材118は、凸部124の上面及び側面の一部を覆うように凸部124に取り付けられる。
【0011】
キャップ部材118の天板118aがユーザにより下方に押し込まれると、それに応じて弾性部材126が弾性変形することで、凸部124も下方に押し込まれる。そして、凸部124の下面に設けられた可動接点と固定接点120とが接触することで当該押しボタンの操作が検出される。
【0012】
ここで、押しボタンの押し感(フィーリング)について説明する。図7は、フィーリングカーブを示す図である。図7に示されたグラフは、横軸が凸部124のストローク(凸部124の上下方向における位置)を表し、縦軸が凸部124に係る荷重を表す。荷重は、凸部124への押し込み力に対する弾性部材126の反力の大きさと見ることもできる。このように、押しボタンのストロークと荷重の関係を表すグラフはフィーリングカーブと呼ばれる。
【0013】
自然状態においては、弾性部材126が上述のスカート形状を呈しているがゆえに、ストロークが0~S1までの間において、凸部124の押し込み量に応じて荷重が大きくなっていく。ストロークS1において、スカート形状であった弾性部材126が、水平方向に延伸する姿勢(水平方向に平行な円輪形状)となる。それ以降、弾性部材126の反力が低下するため、ストロークS1~S2の間において、凸部124の押し込み量に応じて荷重が小さくなっていく。ストロークS2において、可動接点が固定接点120に当接し、それ以降(ストロークS2~S3)は、凸部124は、弾性部材126の弾性変形により移動するため、荷重が増加する。ユーザが凸部124への押し込みを止めると、弾性部材126の上方への付勢力によって凸部124のストロークは0に戻る。
【0014】
ここで、ストロークS1における荷重(押しボタンをオンするまでに必要な最大荷重)を荷重Aとし、ストロークS2における荷重(押しボタンがオンしたときの荷重)を荷重Cとした場合、従来、以下の式によりクリック率という指標が演算される。
{(A-C)/A}×100[%]
【0015】
クリック率は、ユーザが感じる押しボタンの押し感を表現する指標となる。したがって、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときのクリック率が互いに異なる場合、それは、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときに押し感が互いに異なるということになる。例えば、図8は、キャップ部材118の天板118aの平面視における中央をユーザが押下したときのフィーリングカーブであり、図9は、天板118aの平面視における端部をユーザが押下したときのフィーリングカーブである。図8に示されるフィーリングカーブは、正常な押し感(押しボタンの設計者が意図した押し感)を表すものであるが、図9に示すフィーリングカーブは正常な押し感を表すものではない。両フィーリングカーブから得られるクリック率は、明らかに互いに異なるため、このような場合、ユーザは、押しボタンの押し感が互いに異なると感じる。
【0016】
フィーリングカーブが図9に示すようなものとなってしまう要因の1つは、押しボタンの可動部(押しボタン構造110では凸部124)が、真っすぐ上下方向に移動しないことである。例えば、図6において、ユーザが天板118aの右側を押下すると、まず、右側の弾性部材126のみが変形して凸部124が右肩下がりに傾くことになる。その後、ユーザがさらに凸部124を押し込むと、右側の弾性部材126に遅れて、左側の弾性部材126が変形して、再度凸部124の姿勢(傾き)が変わることになる。このような凸部124の傾きにより、図9に示すような、いびつなフィーリングカーブが得られ得る。
【0017】
なお、キャップ部材118の側壁118bと、ボタン孔128の内側壁との間に隙間130が空いていることが、凸部124の傾きを許容することになる。ここで、隙間130を狭くすることで凸部124の傾きを抑制することも考えられる。しかしながら、超音波診断装置においては、粉塵やエコーゼリーなどの異物が隙間130に入りこみ、それが固着してキャップ部材118すなわち凸部124の上下の移動が妨げられるという問題が生じる可能性がある。当該問題の発生を抑制するため、隙間130を一定以上の幅に維持する必要があり、簡単に隙間130を狭くすることができないという事情がある。
【0018】
また、超音波診断装置のユーザは、一方の手に超音波プローブを持ちつつ、ディスプレイに表示された超音波画像を見ながら、他方の手で押しボタンを操作する場合がある。そのような場合においては、押しボタンの真ん中を的確に押下できないことが多く生じ得るため、超音波診断装置においては、特に上記問題が顕在化し得る。
【0019】
さらに、図5及び図6に示すように、凸部124が平面視において一方向に伸長する細長形状である場合、特に、押下位置に応じた押し感のばらつきが生じやすい。
【0020】
本明細書で開示される超音波診断装置の押しボタン構造の目的は、超音波診断装置に設けられた押しボタンにおいて、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときの押し感の差異を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本明細書で開示される超音波診断装置の押しボタン構造は、固定接点が設けられた基板と、前記基板よりも上方に設けられた可動接点部材であって、基部と、上方に突出した凸形状を有し、その下面に前記固定接点と接触する可動接点が形成された凸部と、前記基部と前記凸部を接続する弾性部材であって、自然状態において前記凸部を上方に付勢して前記可動接点と前記固定接点とが離間するように前記凸部を保持し、前記凸部が下方に押し込まれた場合に押し込み量に応じて上方への反力の大きさが変化する弾性部材と、を有する可動接点部材と、前記凸部の側方を取り囲むように設けられる筒状のガイド部材と、前記凸部の上面を覆う天板、及び、前記凸部の側面を覆う側壁を有し、前記凸部に取り付けられるキャップ部材と、を備え、前記側壁は、前記ガイド部材の内側面に沿って上下方向に摺動可能に前記内側面に近接対向して配置される、ことを特徴とする。
【0022】
当該構成によれば、キャップ部材の側壁がガイド部材に当接することで、凸部の傾きが抑制される。すなわち、凸部傾きを抑制されつつ上下方向に移動することができる。これにより、ユーザがキャップ部材の天板のどの位置を押下したとしても、概ね正常なフィーリングカーブを得ることができ、つまり、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときの押し感の差異が低減される。
【0023】
前記キャップ部材の前記側壁は、前記ガイド部材の上側端よりも上側において外側方に突出し、前記キャップ部材の前記側壁と、前記ガイド部材の前記内側面との間の隙間の上方を覆うフランジを有するとよい。
【0024】
当該構成によれば、粉塵やエコーゼリーなどの異物が、キャップ部材の側壁とガイド部材の内側面との間の隙間に入り込んでしまうことが抑制される。
【0025】
前記フランジは、前記ガイド部材の外側端の上方まで延伸しているとよい。
【0026】
当該構成によれば、キャップ部材の側壁とガイド部材の内側面との間の隙間に異物が入り込んでしまうことがより抑制される。
【0027】
前記可動接点部材よりも上側に設けられ、前記キャップ部材が挿通されるボタン孔を有する筐体と、をさらに備え、前記キャップ部材は、前記天板を含み前記ボタン孔に挿通される上側キャップ部材と、前記筐体よりも下側に配置され、前記フランジを有する下側キャップ部材とキャップ部材とを含んで構成され、前記上側キャップ部材と前記下側キャップ部材は着脱可能であるとよい。
【0028】
当該構成によれば、キャップ部材の天板と凸部との間に文字などが印字されたシートを挟み込む場合に、容易に当該シートの交換を行うことができる。
【0029】
前記凸部は、平面視において一方向に伸長した細長形状であるとよい。
【0030】
当該構成によれば、凸部の形状が、押下位置に応じた押し感のばらつきが生じやすい細長形状である場合において、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときの押し感の差異を低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
本明細書で開示される超音波時系列データ処理装置によれば、超音波診断装置に設けられた押しボタンにおいて、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときの押し感の差異を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態に係る押しボタン構造の分解図である。
図2】本実施形態に係る押しボタン構造の斜視断面図である。
図3】本実施形態に係る押しボタン構造の垂直断面図である。
図4】可動接点部材の底面図である。
図5】従来例に係る押しボタン構造の分解図である。
図6】従来例に係る押しボタン構造の垂直断面図である。
図7】フィーリングカーブを示す図である。
図8】従来例に係る押しボタン構造において、キャップ部材の天板の平面視における中央をユーザが押下したときのフィーリングカーブである。
図9】従来例に係る押しボタン構造において、キャップ部材の天板の平面視における端部をユーザが押下したときのフィーリングカーブである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は本実施形態に係る押しボタン構造10の分解図であり、図2は押しボタン構造10の斜視断面図であり、図3は押しボタン構造10の垂直断面図であり、図4は可動接点部材14の底面図である。図1~4において、X軸は水平方向であって超音波診断装置の幅方向を示し、Y軸はX軸に垂直な水平方向であって超音波診断装置の奥行方向を示し、Z軸は高さ方向(Z軸正方向が上側)を示している。
【0034】
押しボタン構造10は、基板12、可動接点部材14、筐体16、及び、ガイド部材18、及び、キャップ部材20を含んで構成される。
【0035】
基板12は、導線パターンが設けられた電子基板であり、その上側表面には固定接点22が設けられている。
【0036】
可動接点部材14は、基板12の上方(外側)に設けられる。可動接点部材14は、基部24、上方に突出した凸形状を有する凸部26、及び、基部24と凸部26を接続する弾性部材28を含んで構成される。
【0037】
本実施形態では、基部24は、基板12と平行に延伸するシート形状を呈しているが、基部24の形状はこれに限られるものではない。
【0038】
凸部26は、上方に突出した凸形状を有する。本実施形態では、凸部26は、シート形状の基部24から上方に突出している。また、本実施形態では、凸部26は、平面視においてX軸方向に伸長した細長形状となっている。具体的には、凸部26は、平面視においてX軸方向に伸長した楕円形状となっている。図2及び図3に示す通り、凸部26は下方に開放した中空となっている。凸部26の側壁の略下半分において、側方に突出した膨出部26aが形成されている。また、図4に示す通り、凸部26の下面には可動接点30が形成されている。本実施形態では、複数の(4つの)可動接点30が形成されている。
【0039】
弾性部材28は、弾性を有し、その弾性力によって凸部26を上方に付勢し、自然状態において凸部26の可動接点30と基板12の固定接点22とが離間するように凸部26を保持する部材である。なお、本実施形態では、可動接点部材14全体がラバーなどの樹脂で形成されており、可動接点部材14全体として弾性を有している。しかしながら、少なくとも弾性部材28が弾性を有していればよい。本実施形態では、弾性部材28は円輪形状を有し、図2及び図3に示す自然状態においては、外側方へ向かって下方に傾斜したスカート形状を呈している。円輪形状である弾性部材28の内側端(自然状態においては上端となる)が凸部26の側壁(本実施形態では膨出部26aの下端)に接続され、弾性部材28の外側端(自然状態においては下端となる)が基部24に接続されている。
【0040】
筐体16は、可動接点部材14の上側に設けられ、超音波診断装置(詳しくは操作パネル)の外表面を構成する部材である。筐体16は樹脂などで形成される。筐体16は、凸部26及びキャップ部材20(特に後述の上側キャップ部材34)が挿通されるボタン孔32を有している。
【0041】
ガイド部材18は、筒状であり、凸部26の側方を取り囲むように設けられる。ガイド部材18は樹脂などで形成される。本実施形態では、ガイド部材18は、POM(PolyOxyMethylene;ポリオキシメチレン樹脂)で形成される。POMは、摩擦係数が小さく(滑りやすく)、耐摩擦性が優れており、耐疲労性も高いという特徴を有する。上述の通り、本実施形態では、凸部26は、平面視においてX軸方向に伸長する楕円形状であるから、ガイド部材18も、それに応じて平面視において外形及び内孔が楕円形状となっている。
【0042】
ガイド部材18は、筐体16を外した状態において上方から凸部26の周りに配置される。その状態で筐体16が取り付けられることで、ガイド部材18は、筐体16によって、可動接点部材14の基部24と筐体16との間に挟み込まれる形で保持される。具体的には、ガイド部材18に設けられた爪受け18b(図1参照)に、筐体16の下面に設けられた爪(不図示)が係合することで、ガイド部材18が保持される。このように、ガイド部材18は、凸部26に対して着脱可能となっている。
【0043】
キャップ部材20は、凸部26の上面及び側面の少なくとも一部を覆うように凸部26に取り付けられる部材である。キャップ部材20は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で形成される。本実施形態では、キャップ部材20は、上側キャップ部材34及び下側キャップ部材36から構成されている。上側キャップ部材34と下側キャップ部材36は脱着可能に接続されている。なお、キャップ部材20としては、上側キャップ部材34及び下側キャップ部材36に分かれていなくてもよい。
【0044】
上側キャップ部材34は、水平方向に延伸して凸部26の上面を覆う天板34a、及び、天板34aの端部から下方に突出する側壁34bを有する。天板34aの上側面がユーザが押下する押下面となる。上側キャップ部材34は凸部26と共にボタン孔32に挿通される。
【0045】
下側キャップ部材36は、概ね筒形状を有している。下側キャップ部材36は、平面視において、ガイド部材18の内孔の形状に応じた形状となっている。上述のように、本実施形態では、ガイド部材18の内孔は平面視において楕円形状となっているため、下側キャップ部材36の外形は、それに応じて平面視において楕円形状となっている。
【0046】
下側キャップ部材36は、上側キャップ部材34の側壁34bの下端に脱着可能に接続される。本実施形態では、下側キャップ部材36は、筐体16(の下端)よりも下側に配置される。すなわち、下側キャップ部材36は、ボタン孔32に挿通されない。
【0047】
下側キャップ部材36は、その内側面の上側において、内側に突出する内側突出部36aを有している。内側突出部36aは、周方向全体又は周方向の一部に設けられている。内側突出部36aの下面が凸部26の膨出部26aの上側面に当接している。このように、下側キャップ部材36は、凸部26の側壁に当接して設けられる。図2及び図3に示される通り、本実施形態では、凸部26の側面のほぼ全体が上側キャップ部材34の側壁34b及び下側キャップ部材36により覆われている。このように、上側キャップ部材34の側壁34bと、下側キャップ部材36の全体とが、キャップ部材20全体としての側壁を形成している。
【0048】
キャップ部材20が凸部26に取り付けられた取付状態において、下側キャップ部材36は、凸部26の側壁とガイド部材18との間に位置している。具体的には、下側キャップ部材36は、ガイド部材18の内側面18aに沿って上下方向に摺動可能に内側面18aに近接対向して配置される。
【0049】
下側キャップ部材36は、ガイド部材18の上側端よりも上側において外側方に突出するフランジ36bを有する。フランジ36bは、下側キャップ部材36と、ガイド部材18の内側面18aとの間の隙間40の上方を覆っている。フランジ36bの上面は、筐体16の下面、特に、ボタン孔32の縁に当接している。これにより、下側キャップ部材36は、ボタン孔32に挿通することがなく、筐体16の下端よりも上方に移動することがない。
【0050】
特に、図3に示すように、フランジ36bは、ガイド部材18の外側端の上方まで、あるいはそれ以上に外側方に延伸しているとよい。
【0051】
本実施形態に係る押しボタン構造10は以上の通りである。以下、押しボタン構造10の動作及び各部の作用について説明する。
【0052】
従来例に係る押しボタン構造110同様、上側キャップ部材34の天板34aがユーザにより下方に押し込まれると、それに応じて弾性部材28が弾性変形することで、凸部26も下方に押し込まれる。そして、凸部26の下面に設けられた可動接点30と、基板12に設けられた固定接点22とが接触することで当該押しボタンの操作が検出される。
【0053】
押しボタン構造10についてのフィーリングカーブも、図7に示したものと同様である。すなわち、自然状態においては、弾性部材28がスカート形状を呈しているがゆえに、ストロークが0~S1までの間において、凸部26の押し込み量に応じて荷重が大きくなっていく。ストロークS1において、スカート形状であった弾性部材28が、水平方向に延伸する姿勢(水平方向に平行な円輪形状)となる。それ以降、弾性部材28の反力が低下するため、ストロークS1~S2の間において、凸部26の押し込み量に応じて荷重が小さくなっていく。このように、弾性部材28は、凸部26が下方に押し込まれた場合に押し込み量に応じて上方への反力の大きさが変化している。具体的には、ストロークが0~S1までの間と、S1~S2までの間で、反力の大きさが異なる。これにより、ユーザにクリック感を与える。ストロークS2において、可動接点30が固定接点22に当接し、それ以降(ストロークS2~S3)は、凸部26は、弾性部材28の弾性変形により移動するため、荷重が増加する。ユーザが凸部26への押し込みを止めると、弾性部材28の上方への付勢力によって凸部26のストロークは0に戻る。
【0054】
押しボタン構造10においては、下側キャップ部材36の外側面のすぐ側方にガイド部材18が設けられている。したがって、仮に、ユーザが天板34aの平面視における端部を押下したとしても、下側キャップ部材36がガイド部材18に当接して、凸部26の傾きが抑制される。すなわち、凸部26は傾きを抑制されつつ上下方向に移動することができる。これにより、ユーザが天板34aのどの位置を押下したとしても、概ね正常なフィーリングカーブ(図7又は図8参照)を得ることができる。すなわち、押しボタン表面の互いに異なる位置を押下したときの押し感の差異が低減される。
【0055】
特に、本実施形態では、ガイド部材18がPOMで形成されているため、その摩擦係数が小さい。したがって、ガイド部材18に下側キャップ部材36が当接しても、凸部26は、上下方向にスムースに移動することができる。
【0056】
下側キャップ部材36と、ガイド部材18の内側面18aとの間の隙間40は、凸部26の傾きを抑制する観点から、かなり狭く設定される。少なくとも、従来の押しボタン構造110における、キャップ部材118の側壁118bと、ボタン孔128の内側壁との間の隙間130(図6参照)よりも狭く設定される。したがって、粉塵やエコーゼリーなどの異物が隙間40に入りこんでしまうと、それが固着するなどして、下側キャップ部材36すなわち凸部26の上下の移動が妨げられてしまう可能性がある。
【0057】
このことに鑑み、本実施形態では、隙間40の上方を覆うフランジ36bが設けられている。したがって、仮に、上側キャップ部材34の側壁34bと、ボタン孔32の内側壁との間の隙間42に異物が入り込んだとしても、フランジ36bによって、当該異物が隙間40にまで入り込んでしまうことが抑制される。フランジ36bがガイド部材18の外側端の上方まで延伸しているならば、当該異物が隙間40に入り込んでしまうことがより抑制される。これにより、異物によって凸部26の上下の移動が妨げられてしまうことを抑制する。なお、隙間42は、従来の押しボタン構造110の隙間130と同等の広さであってよい。
【0058】
また、上側キャップ部材34の天板34aを透明とした上で、天板34aと凸部26との間に、文字(当該押しボタンの機能などを示した文字)などが印字されたシート(不図示)を挟み込むことができる。例えば、当該押しボタンの機能が変更されたことなどに応じて、このシートを交換することを考える。仮に、キャップ部材20が1つの部材(上側キャップ部材34と下側キャップ部材36とに分かれない)で、キャップ部材20がフランジ36bを有していたとすると、シートを交換すべくキャップ部材20を取り外すには、筐体16も取り外さなければならない。
【0059】
本実施形態では、キャップ部材20は、上側キャップ部材34と、フランジ36bを有する下側キャップ部材36から構成され、且つ、上側キャップ部材34と下側キャップ部材36は着脱可能となっている。したがって、シートを交換する場合は、筐体16を取り外す必要なく、上側キャップ部材34を下側キャップ部材36から取り外せばよい。すなわち、本実施形態では、シートの交換を容易に行うことができる。
【0060】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 押しボタン構造、12 基板、14 可動接点部材、16 筐体、18 ガイド部材、18a 内側面、18b 爪受け、20 キャップ部材、22 固定接点、24 基部、26 凸部、26a 膨出部、28 弾性部材、30 可動接点、32 ボタン孔、34 上側キャップ部材、34a 天板、34b 側壁、36 下側キャップ部材、36a 内側突出部、36b フランジ、40,42 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9