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特開2023-180017キャリアテープ、及びこれを用いた包装体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180017
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】キャリアテープ、及びこれを用いた包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/02 20060101AFI20231213BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B65D73/02 K
B65D85/86 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093053
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】田中 利明
【テーマコード(参考)】
3E067
3E096
【Fターム(参考)】
3E067AA24
3E067AB46
3E067AB47
3E067AC04
3E067AC11
3E067BA26A
3E067BB14A
3E067CA05
3E067CA17
3E067EA29
3E067EB27
3E067EC07
3E067EE59
3E067FC01
3E096AA06
3E096BA09
3E096BA14
3E096BB05
3E096CA14
3E096CB02
3E096CC01
3E096DA23
3E096DB06
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096FA27
3E096GA05
(57)【要約】
【課題】キャリアテープの凹部内の部品をより確実に取り出し可能な包装体を提供する。
【解決手段】包装体は、一軸と直交する主面と、上記主面から上記一軸に沿った一方に窪む凹部と、を有する樹脂製のキャリアテープと、上記凹部に収容された部品と、上記主面に貼り付けられ、上記凹部を覆うトップテープと、を具備する。上記凹部は、上記一軸と直交する底面と、上記底面から上記一軸に沿った他方に突出する突出部と、を有する。上記突出部は、上記底面の中央に位置する中央部と、上記中央部から放射状に延びる複数の延出部と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸と直交する主面と、前記主面から前記一軸に沿った一方に窪む凹部と、を有する樹脂製のキャリアテープと、前記凹部に収容された部品と、前記主面に貼り付けられ、前記凹部を覆うトップテープと、を具備し、
前記凹部は、前記一軸と直交する底面と、前記底面から前記一軸に沿った他方に突出する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記底面の中央に位置する中央部と、前記中央部から放射状に延びる複数の延出部と、を有する
包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記底面は、矩形の輪郭を有し、
前記複数の延出部は、前記中央部から前記底面の4隅に向けてそれぞれ延びる
包装体。
【請求項3】
請求項1に記載の包装体であって、
前記底面は、矩形の輪郭を有し、
前記複数の延出部は、前記中央部から前記底面の4辺の中央に向けてそれぞれ延びる
包装体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記複数の延出部のそれぞれでは、延出方向と直交する横断面が前記底面から離れるにつれて幅が狭くなる形状を有する
包装体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記部品は、積層セラミックコンデンサである
包装体。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記部品の外形サイズは、長さ0.25±0.02mm、幅0.125±0.02mm、高さ0.125±0.02mmである
包装体。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記部品の外形サイズは、長さ0.4±0.02mm、幅0.2±0.02mm、高さ0.2±0.02mmである
包装体。
【請求項8】
部品の包装体に用いられる樹脂製のキャリアテープであって、
一軸と直交する主面と、前記主面から窪み、前記部品を収容する凹部と、を有し、
前記凹部は、前記一軸と直交する底面と、前記底面から突出する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記底面の中央に位置する中央部と、前記中央部から放射状に延びる複数の延出部と、を有する
キャリアテープ。
【請求項9】
請求項8に記載のキャリアテープであって、
前記底面は、矩形の輪郭を有し、
前記複数の延出部は、前記中央部から前記底面の4隅に向けてそれぞれ延びる
キャリアテープ。
【請求項10】
請求項8に記載のキャリアテープであって、
前記底面は、矩形の輪郭を有し、
前記複数の延出部は、前記中央部から前記底面の4辺の中央に向けてそれぞれ延びる
キャリアテープ。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載のキャリアテープであって、
前記複数の延出部のそれぞれでは、延出方向と直交する横断面が前記底面から離れるにつれて幅が狭くなる形状を有する
キャリアテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収容するキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品などの各種部品を実装装置に搬送するために、複数の部品をそれぞれ収容するための複数の凹部が設けられたキャリアテープが用いられる。キャリアテープとしては、樹脂製のテープにエンボス加工を施すことによって複数の凹部が形成されたエンボスキャリアテープが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
キャリアテープでは、構成する樹脂の特性に起因し、輸送時の温度や湿度等の環境の変化に伴って凹部を含む全体にわたって変形が生じることがある。これにより、キャリアテープでは、凹部の位置にズレが生じることで、実装装置において凹部内に収容された部品を的確に吸着することができなくなる場合がある。
【0004】
このため、キャリアテープを構成する樹脂は、輸送時の環境に応じ、変形が生じにくくなるように選定することが好ましい。具体的に、キャリアテープを構成する樹脂としては、例えば、輸送時の温度変化が大きい場合には耐熱性の高い樹脂を選定し、輸送時の湿度変化が大きい場合には耐湿性の高い樹脂を選定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-225257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、キャリアテープを構成する樹脂の種類によっては、凹部の底面における粘着性や静電気などの影響で、部品が凹部内に拘束されて取り出しにくくなることがある。このような問題は、外形サイズが小さい部品ほど生じやすい。このため、キャリアテープは、構成する樹脂の種類に関わらずに、凹部内の部品をより確実に取り出し可能な構成であることが好ましい。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、凹部内の部品をより確実に取り出し可能なキャリアテープ及びこれを用いた包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る包装体は、一軸と直交する主面と、上記主面から上記一軸に沿った一方に窪む凹部と、を有する樹脂製のキャリアテープと、上記凹部に収容された部品と、上記主面に貼り付けられ、上記凹部を覆うトップテープと、を具備する。
上記凹部は、上記一軸と直交する底面と、上記底面から上記一軸に沿った他方に突出する突出部と、を有する。
上記突出部は、上記底面の中央に位置する中央部と、上記中央部から放射状に延びる複数の延出部と、を有する。
【0009】
このキャリアテープでは、凹部の底面から突出する突出部によって、凹部に収容される部品と底面との間に間隔が形成され、部品に対する接触面積が縮小される。これにより、キャリアテープを形成する樹脂の種類によらずに、部品が凹部内に拘束されにくくなる。
また、このキャリアテープでは、突出部に底面の中央に位置する中央部を設けることで、部品に対する接触面積を小さく留めながらも凹部内において部品を安定して保持することができる。更に、このキャリアテープでは、突出部に中央部から放射状に延びる複数の延出部を設けることで、凹部110内に傾いた姿勢で装入された部品も延出部に沿って引っ掛かり無くスムーズに正しい姿勢に誘導される。
【0010】
上記底面は、矩形の輪郭を有してもよい。この場合、上記複数の延出部は、上記中央部から上記底面の4隅に向けてそれぞれ延びてもよい。また、上記複数の延出部は、上記中央部から上記底面の4辺の中央に向けてそれぞれ延びてもよい。
上記複数の延出部のそれぞれでは、延出方向と直交する横断面が上記底面から離れるにつれて幅が狭くなる形状を有してもよい。
上記部品は、積層セラミックコンデンサであってもよい。
上記部品の外形サイズは、長さ0.25±0.02mm、幅0.125±0.02mm、高さ0.125±0.02mmであってもよい。
上記部品の外形サイズは、長さ0.4±0.02mm、幅0.2±0.02mm、高さ0.2±0.02mmであってもよい。
【0011】
本発明の一形態に係る樹脂製のキャリアテープは、部品の包装体に用いられる。
上記キャリアテープは、一軸と直交する主面と、上記主面から窪み、上記部品を収容する凹部と、を有する。
上記凹部は、上記一軸と直交する底面と、上記底面から突出する突出部と、を有する。
上記突出部は、上記底面の中央に位置する中央部と、上記中央部から放射状に延びる複数の延出部と、を有する。
【0012】
上記底面は、矩形の輪郭を有してもよい。この場合、上記複数の延出部は、上記中央部から上記底面の4隅に向けてそれぞれ延びてもよい。また、上記複数の延出部は、上記中央部から上記底面の4辺の中央に向けてそれぞれ延びてもよい。
上記複数の延出部のそれぞれでは、延出方向と直交する横断面が上記底面から離れるにつれて幅が狭くなる形状を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】キャリアテープに収容される部品の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るキャリアテープの部分平面図である。
図3】上記キャリアテープの図2のA-A'線に沿った部分断面図である。
図4】上記キャリアテープの図2のB-B'線に沿った部分断面図である。
図5】上記キャリアテープの凹部を拡大して示す平面図である。
図6】上記キャリアテープを用いた包装体の平面図である。
図7】上記包装体の図6のC-C'線に沿った断面図である。
図8A】上記キャリアテープに収容された部品を取り出す過程を示す図である。
図8B】上記キャリアテープに収容された部品を取り出す過程を示す図である。
図8C】上記キャリアテープに収容された部品を取り出す過程を示す図である。
図9A】比較例に係るキャリアテープに収容された部品を取り出す過程を示す図である。
図9B】比較例に係るキャリアテープに収容された部品を取り出す過程を示す図である。
図9C】比較例に係るキャリアテープに収容された部品を取り出す過程を示す図である。
図10】上記キャリアテープに部品を装入する過程を示す図である。
図11】比較例に係るキャリアテープに部品を装入する過程を示す図である。
図12A】上記キャリアテープの突出部の延出部の横断面の形状を例示する図である。
図12B】上記キャリアテープの突出部の延出部の横断面の形状を例示する図である。
図12C】上記キャリアテープの突出部の延出部の横断面の形状を例示する図である。
図13A】上記キャリアテープの突出部の他の実施形態を示す平面図である。
図13B】上記キャリアテープの突出部の他の実施形態を示す平面図である。
図13C】上記キャリアテープの突出部の他の実施形態を示す平面図である。
図13D】上記キャリアテープの突出部の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[キャリアテープ100の全体構成]
本発明の一実施形態に係るキャリアテープ100の全体構成について説明する。まず、キャリアテープ100に収容する対象となる部品10について簡単に説明する。図1は、部品10の一例を示す斜視図である。図1には、部品10に固定された固定座標系を規定する相互に直交するx軸、y軸、及びz軸が示されている。
【0015】
部品10は、図1に示すように、x軸、y軸、及びz軸とそれぞれ直交する6つの面を有する直方体状に構成されていることが好ましい。部品10の各面は、全体にわたって平坦でなくてもよく、例えば、微小な段差を有していてもよい。また、部品10の各面を接続する稜部は、面取りされることで丸みを帯びていてもよい。
【0016】
キャリアテープ100を好適に利用可能な部品10としては、特定の部品に限定されず、幅広い機能や用途の部品が挙げられる。典型的には、部品10として、例えば、積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップインダクタ、半導体素子などといった電子部品が挙げられる。
【0017】
図2は、本実施形態に係るキャリアテープ100の部分平面図である。図2には、キャリアテープ100に固定された固定座標系を規定する相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。なお、X軸、Y軸、及びZ軸は、図3以降の各図面においても適宜示され、全図において共通である。
【0018】
キャリアテープ100は、Y軸方向に延びる長尺状のテープとして構成されている。キャリアテープ100には、部品10を1個ずつ収容する複数の凹部110がY軸方向に間隔をあけて配列されている。キャリアテープ100では、例えば樹脂製のテープにエンボス加工を加えることで凹部110が形成される。
【0019】
キャリアテープ100は、Z軸と直交する上向きの面である主面Mを有し、複数の凹部110は主面MからZ軸方向下向きに窪んでいる。つまり、キャリアテープ100では、主面M側から複数の凹部110に部品10が装入され、また複数の凹部110に収容された部品10が主面M側から取り出される構成とされている。
【0020】
キャリアテープ100では、複数の凹部110の列とはX軸方向にずれた位置に、Y軸方向に間隔をあけて配列されたZ軸方向に貫通する複数の送り孔120が設けられている。送り孔120は、テープ搬送機構がキャリアテープ100をY軸方向に搬送するために用いられる係合孔として構成される。
【0021】
図3~5は、キャリアテープ100の凹部110を示す図である。図3は、図2のA-A'線に沿ったキャリアテープ100の部分断面図である。図4は、図2のB-B'線に沿ったキャリアテープ100の部分断面図である。図5は、凹部110を拡大して示すキャリアテープ100の部分平面図である。
【0022】
凹部110には、Z軸と直交する底面Tと、底面Tを主面Mに接続する側面と、に囲まれた直方体状の内部空間が形成されている。底面Tは、主面Mと同様にZ軸方向上方を向き、凹部110内における主面Mからの最深部を規定する平面である。底面Tは、X軸及びY軸に沿った4辺を有する矩形の輪郭を有する。
【0023】
なお、本実施形態では、直方体状や矩形などといった直線的な形状を表現する語句は、厳密に当該形状のみを指し示すものではなく、例えば、各辺が直線のみで構成されている形状に限定されず、各辺が曲線を含む形状や、外形サイズが小さい場合には全体として丸みを帯びている形状をも指し示すものとする。
【0024】
凹部110は、底面Tから主面M側に向けて突出する突出部111を有する。突出部111は、中央部111aと、複数の延出部111bと、を有する。突出部111では、中央部111a及び複数の延出部111bにわたって、底面Tからの高さが実質的に一定であり、かつ切れ目なく一連に延びる頂部Sが形成されている。
【0025】
突出部111では、中央部111aが底面TにおけるX軸及びY軸方向の中央に位置し、複数の延出部111bが中央部111aよりもX軸及びY軸方向の外側に位置する。複数の延出部111bは、中央部111aから放射状に延び、つまり中央部111aから特定の方向に偏ることなく分散した方向に延びている。
【0026】
より詳細に、突出部111では、複数の延出部111bが中央部111aから底面Tの4隅に向けてそれぞれ延びている。これにより、図5に示すように、突出部111が全体としてX字状となっている。つまり、突出部111は、底面Tの矩形の輪郭の2本の対角線に沿って延び、交差部分が中央部111aとなっている。
【0027】
[突出部111の作用効果]
本実施形態に係るキャリアテープ100では、凹部110の底面Tから突出する突出部111によって、凹部110に収容される部品10と底面Tとの間に間隔が形成され、部品10に対して接触し得る部分が突出部111の頂部Sに限定される。つまり、キャリアテープ100では、部品10に対する接触面積が縮小される。
【0028】
これにより、キャリアテープ100では、凹部110内の部品10が、キャリアテープ100を構成する樹脂の種類に起因する底面Tの粘着性や、底面Tにおいて発生する静電気などの影響による凹部110内に留まらせようとする拘束力を受けにくい。このため、キャリアテープ100では、凹部110内の部品10をスムーズに取り出すことができる。
【0029】
特に、外形サイズが小さい部品10ほど、凹部110内に拘束されやすくなるため、突出部111による上記の効果が有効に得られやすい。つまり、本発明は、x軸方向の長さ、y軸方向の幅、z軸方向の高さが小さい部品10に適用することが特に有効である。具体的に、本発明を有効に適用可能な部品10の外形サイズとしては、例えば、長さ0.25±0.02mm、幅0.125±0.02mm、高さ0.125±0.02mmや、長さ0.4±0.02mm、幅0.2±0.02mm、高さ0.2±0.02mmなどが挙げられる。
【0030】
また、キャリアテープ100では、突出部111の中央部111aが底面Tの中央に位置することで、部品10に対する接触面積を小さく留めながらも凹部110内において部品10を安定して保持することができる。これにより、キャリアテープ100では、凹部110内において部品10の正しい姿勢が維持されやすい。
【0031】
キャリアテープ100における突出部111の上記の作用効果を具体的に説明するために、キャリアテープ100を用いた包装体200について説明する。図6,7は、本実施形態に係る包装体200を示す図である。図6は、包装体200の部分平面図である。図7は、図6のC-C'線に沿った包装体200の断面図である。
【0032】
包装体200は、キャリアテープ100と部品10とトップテープ210とを備える。包装体200では、トップテープ210が複数の凹部110の列に沿ってキャリアテープ100の主面Mに貼り付けられ、複数の部品10を収容した複数の凹部110がトップテープ210によって一括して覆われている。
【0033】
包装体200は、保管時などに様々な姿勢とされ、また搬送時などに振動を受けることがある。しかし、包装体200自体がどのような姿勢とされても、また包装体200が振動を受けても、凹部110内において中央部111aを含む突出部111によって安定して保持された部品10の姿勢は良好に維持されやすい。
【0034】
包装体200内の部品10の実装の際には、キャリアテープ100からトップテープ210が剥離され、複数の部品10が収容された複数の凹部110がZ軸方向上方に開放される。図8A~8Cは、実装装置においてキャリアテープ100の開放された凹部110から部品10が取り出される過程を示す図である。
【0035】
まず、図8Aに示すように、実装装置のノズルNが凹部110のZ軸方向上方に配置される。次に、図8Bに示すように、凹部110内に挿入されたノズルNが部品10のZ軸方向上方を向いた面に押し当てられた状態で部品10がノズルNを介して吸引される。これにより、部品10がノズルNの先端に吸着される。
【0036】
そして、図8Cに示すように、ノズルNをZ軸方向上方に移動させることで、ノズルNの先端に吸着された部品10を凹部110から取り出すことができる。凹部110から取り出された部品10は、ノズルNの先端に吸着された状態で基板上の実装位置に位置合わせされた後に、ノズルNを介した吸引が解除される。
【0037】
キャリアテープ100では、上記のように部品10が凹部110内で拘束力を受けにくく、特に、部品10が図8Bに示すようにノズルNを押し当てられても接触面積の小さい突出部111の頂部Sからの粘着力を受けにくい。このため、キャリアテープ100では、一般的な吸着力のノズルNによって部品10をスムーズに取り出し可能である。
【0038】
これに対し、突出部111を設けない比較例に係るキャリアテープ100'では、一般的な吸着力のノズルNによって部品10をスムーズに取り出せない場合がある。図9A~9Cは、実装装置において比較例に係るキャリアテープ100'の開放された凹部110'から部品10が取り出される過程を示す図である。
【0039】
まず、図9Aに示すように、実装装置のノズルNが凹部110'のZ軸方向上方に配置される。次に、図9Bに示すように、凹部110'内に挿入されたノズルNが部品10のZ軸方向上方を向いた面に押し当てられた状態で部品10がノズルNを介して吸引される。これにより、部品10がノズルNの先端に吸着される。
【0040】
比較例に係るキャリアテープ100'では、凹部110'内の部品10が底面Tに直接接触しているため部品10に対する接触面積が大きい。このため、キャリアテープ100'では、凹部110'内の部品10が底面Tの粘着性や、底面Tにおいて発生する静電気などの影響による凹部110'内に留まらせようとする拘束力を受けやすい。
【0041】
凹部110'内の部品10が受ける拘束力がノズルNの吸着力よりも優勢な場合には、図9Cに示すように、ノズルNをZ軸方向上方に移動させても部品10がノズルNの先端から離脱して凹部110'内に留まる。このように、比較例に係るキャリアテープ100'では、部品10の取り出しが困難になる場合がある。
【0042】
また、本実施形態に係るキャリアテープ100では、突出部111に中央部111aから放射状に延びる複数の延出部111bを設けることで、包装体200を製造する際に凹部110への部品10の装入をスムーズに行うことが可能である。図10は、キャリアテープ100の凹部110に部品10を装入する過程を示す図である。
【0043】
キャリアテープ100では、図10に示すように、部品10が主面Mに対して傾いた状態で凹部110に装入されることがある。この場合、キャリアテープ100では、部品10における突出部111の頂部Sに先行して接触した稜部が延出部111bに沿って中央部111aから離れる方向に引っ掛かり無く摺動する。
【0044】
これにより、部品10は、凹部110内においてZ軸方向下側を向いた面が突出部111の中央部111a及び複数の延出部111bにわたって頂部Sに接触した状態で保持される正しい姿勢となる。このように、キャリアテープ100では、凹部110に装入される部品10がスムーズに正しい姿勢に誘導される。
【0045】
図11には、本実施形態とは異なる構成の凹部110''が設けられた比較例に係るキャリアテープ100''が示されている。比較例に係るキャリアテープ100''の凹部110''は、Y軸方向に沿って延び、X軸方向に配列された複数の延出部111b''からなる畝状の突出部111''を有する。
【0046】
比較例に係るキャリアテープ100''では、突出部111''を設けることで部品10に対する接触面積が縮小されている点で本実施形態に係るキャリアテープ100と共通する。この一方で、比較例に係るキャリアテープ100''では、突出部111''が放射状に延びる構成を有しない点で本実施形態に係るキャリアテープ100とは異なる。
【0047】
比較例に係るキャリアテープ100''では、図11に示すように、部品10が主面Mに対して傾いた状態で凹部110''に装入されると、突出部111''に接触した部品10の稜部が突出部111''に突き当たる。この場合、キャリアテープ100''では、部品10が傾いた状態で留まり、凹部110''内に正常に収容されない。
【0048】
[延出部111bの横断面の形状]
図12Aは、上記実施形態に係るキャリアテープ100の突出部111の各延出部111bにおける中央部111aからの延出方向と直交する横断面を示している。図12Aに示す延出部111bは、底面Tに対して垂直な側壁面を有し、底面Tからの高さ方向において均一な幅となる矩形の横断面を有する。
【0049】
各延出部111bの横断面は、図12Aに示す形状に限定されず、様々な形状とすることができる。例えば、図12Bに示すように、各延出部111bの横断面は、底面Tから離れるにつれて幅が狭くなる台形状とすることもできる。図12Bに示す延出部111bでは、図12Aに示す延出部111bよりも頂部Sの幅が狭い。
【0050】
このため、図12Bに示す延出部111bを有する突出部111では、部品10に対する接触面積を更に縮小化することができる。また、図12Bに示す延出部111bでは、図10に示すように傾いた状態の部品10の稜部に対する接触抵抗が小さくなるため、部品10を正しい姿勢に誘導する作用が促進される。
【0051】
更に、図12Cに示すように、各延出部111bの横断面は、底面Tから離れるにつれて幅が狭くなるような凸状の曲面とすることもできる。図12Cに示す延出部111bでは、部品10に対する接触が実質的に線接触となる。このため、図12Cに示す延出部111bでは、図12Bに示す延出部111bよりも上記の作用が更に促進される。
【0052】
[その他の実施形態]
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、突出部111の構成は、図5に示す構成に限定されず、中央部111aから複数の延出部111bが放射状に延びた構成であればよい。
【0053】
突出部111では、部品10を正しい姿勢にスムーズに誘導する観点から、中央部111aから複数の延出部111bが特定の方向に偏ることなく分散した少なくとも4つの方向に延びていることが好ましい。また、同様の観点から、突出部111の平面形状は、X軸方向にもY軸方向にも対称性を有する形状であることが好ましい。
【0054】
例えば、図13Aに示すように、突出部111では、中央部111aから底面Tの4辺の各中点に向けてそれぞれ延びていてもよい。つまり、突出部111は、全体として+字状となっていてもよい。また、図13Bに示すように、突出部111では、中央部111aから底面Tの4隅、及び4辺の各中点の両方に向けてそれぞれ延びていてもよい。
【0055】
更に、突出部111では、中央部111aから同じ方向に複数の延出部111bが延びていてもよい。例えば、図13Cに示すように、突出部111は、中央部111aからX軸方向の両側、及びY軸方向の両側に向けてそれぞれ2つずつ延びる合計8つの延出部111bを有していてもよい。
【0056】
加えて、図13Dに示すように、突出部111が底面Tの輪郭から間隔Cをあけて形成されていてもよい。この場合、部品10を正しい姿勢に誘導する作用を良好に得るために、X軸方向において各隙間Lcが底面Tの寸法Lの20%以下であり、Y軸方向において各隙間Wcが底面Tの寸法Wの5%以下であることが好ましい。
【0057】
また、本実施形態に係るキャリアテープ100では、突出部111以外の構成も上記に限定されない。例えば、キャリアテープ100は、必要に応じて、上記以外の構成を有していてもよく、また送り孔120を有していなくてもよい。更に、本実施形態に係る包装体200も、必要に応じて、上記以外の構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100…キャリアテープ
110…凹部
111…突出部
111a…中央部
111b…延出部
200…包装体
210…トップテープ
M…主面
T…底面
S…頂部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D