(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180022
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】車両用ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20231213BHJP
B60K 37/04 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60K37/04
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093064
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】今野 義己
(72)【発明者】
【氏名】荒井 和夫
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC07
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】車両用ヘッドアップディスプレイ装置のデザイン性を高める。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置1は、画像の表示器2と、表示器2の画像を、車室VR内のアイポイントEPに向けて反射する反射板3と、反射板3を車両Vに支持させる支持部4と、を有する。反射板3は、車両Vのインストルメントパネル7上に隙間Sを介して配置される。支持部4は、反射板3の背面部32に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示器と、
前記表示器の画像を、車両の運転者のアイポイントに向けて反射する反射板と、
前記反射板を前記車両に支持させる支持部と、を有し、
前記反射板は、前記車両のインストルメントパネル上に隙間を介して配置され、
前記支持部は、前記反射板の背面部に設けられることを特徴とする車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記インストルメントパネルに凹部が設けられ、
前記反射板は、前記凹部を形成する壁部に隙間を介して対向して配置される、請求項1記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記反射板は、前記凹部内に位置する第1領域と、前記凹部から上側に突出する第2領域と、有することを特徴とする請求項2記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第2領域は、前記第1領域よりも車幅方向の長さが長い部分を有することを特徴とする、請求項3記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
前記凹部は、底壁部と、前記底壁部に接続し、下側から上側に向かって互いに遠ざかる方向に傾斜する一対の側壁部と、を備え、
前記反射板は、前記一対の側壁部に沿って傾斜し、前記一対の側壁部に隙間を介して対向する一対の側面部を備えることを特徴とする、請求項3記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
前記凹部は、前記一対の側壁部の間隔が、車両前方側に向かうにつれて狭まるように設けられ、
前記支持部は、前記反射板の背面部から前記一対の側壁部に向かって延び、前記一対の側壁部に支持されるシャフトを有することを特徴とする、請求項5記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
前記シャフトは、前記凹部において、前記一対の側壁部の間隔が、前記反射板の車幅方向の長さよりも狭くなる位置に配置されることを特徴とする、請求項6記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項8】
前記シャフトを回転軸回りにさせる回転させることにより、前記反射板の角度を調節する角度調節機構を備えることを特徴とする請求項6または7記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項9】
前記支持部は、前記反射板の背面部に間隔を空けて配置され、フロントウインドシールドに固定される一対の固定部を有することを特徴とする、請求項1記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、画像を表示する表示器と、表示器の画像を反射する反射板と、を有する(例えば、特許文献1参照。)。
表示器は、例えば、車室のインストルメントパネルの内部に設けられる。車室内に配置された反射板が、表示器の画像を運転者に向かって反射させることで、運転者は虚像を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用ヘッドアップディスプレイ装置において、単純に画像を表示するだけでなく、デザイン性を高めて、運転者に目新しさや面白みを感じさせることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、
画像の表示器と、
前記表示器の画像を、車両の運転者のアイポイントに向けて反射する反射板と、
前記反射板を前記車両に支持させる支持部と、を有し、
前記反射板は、前記車両のインストルメントパネル上に隙間を介して配置され、
前記支持部は、前記反射板の背面部に設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両用ヘッドアップディスプレイ装置のデザイン性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す図である。
【
図7】変形例1に係るヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す図である。
【
図10】変形例2に係るヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置(車両用ヘッドアップディスプレイ装置)を、図面を参照して説明する。
図1は、ヘッドアップディスプレイ装置1の構成を示す図である。
図2は、運転者から見た反射板3を示す図である。
図3は、反射板3を上方から見た図である。
図3では、わかりやすいように、インストルメントパネル7の凹部にハッチングを付している。
図4は、
図3のA-A断面図である。
図4では、シャフト41は図示を省略している。
図5は、反射板3を車両後方側から見た図である。
図5では、反射板3の背面部32に設けられた支持部4を隠れ線で示し、側壁部75、76にはハッチングを付している。
図6は、
図5の領域Aの拡大図である。
なお、実施形態で説明する図はいずれも模式図であり、主要部分を誇張して図示しているため、実際の寸法を表すものではない。
【0009】
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、自動車等の車両Vの車室VR内に設置される。図面では、ヘッドアップディスプレイ装置1の車室VRへの設置状態を基準とした方向を示している。以降の説明において、「上」および「下」とは、鉛直線方向における「上」および「下」を意味する。「前」および「後」とは、車両前後方向における「車両前方側」と「車両後方側」を意味する。また、車両前後方向および鉛直線方向に直交する方向を、車幅方向(
図3参照)といい、「幅」とは車幅方向の長さを意味する。
【0010】
図1に示すように、車室VRにはインストルメントパネル7が設けられている。インストルメントパネル7は、車両前後方向において、車両Vのフロントウインドシールド9と運転席(不図示)の間に配置されるカバー部材である。インストルメントパネル7は、例えば、黒色等の落ち着いた色合いのものが用いられることが多い。フロントウインドシールド9の下端部には、黒色のセラミック塗料が帯状に塗布された帯状部91が形成されている。
帯状部91は、インストルメントパネル7の上面71よりも上側まで延在している。
図2に示すように、帯状部91の上端が運転者から視認可能である。
【0011】
図2に示すように、インストルメントパネル7には、車両Vの走行速度等の運転に必要な情報を表示するメータMが設置されている。運転者は、運転中は主に前方に視線を向けている。メータMは、運転者の運転中の視線よりも下側に設置されていることが一般的である。そのため、運転者がメータMに表示される情報を確認するためには視線を大きく下げる必要がある。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、運転者が大きく視線を下げることなく運転に必要な情報を視認できるようにするための運転支援装置である。
ヘッドアップディスプレイ装置1は、例えば、走行速度、ガソリン残量等の車両Vの状態に関する情報や、歩行者飛出し、車両割込み、車線逸脱等に対するアラーム等を含む画像IMを表示することができる。
【0013】
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、画像を表示する表示器2と、表示器2の画像を運転者のアイポイントEPに向けて反射させる反射板3と、反射板3を車両Vに支持させる支持部4と、を備えている。
ヘッドアップディスプレイ装置1として、フロントウインドシールド9に表示器2の画像を反射させるものもあるが、本実施形態では、フロントウインドシールド9とは別体の反射板3を設けている。
【0014】
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、車室VRのインストルメントパネル7に設けられている。
表示器2は、インストルメントパネル7の内部に設けられた収容部72に配置されている。表示器2は表示制御装置CUに接続され、表示制御装置CUから入力される画像を表示する。なお、表示器2の画像は反射板3で反射されることで、反転されて運転者のアイポイントEPに届く。そのため、表示制御装置CUは予め反転させた画像を表示器2に出力する。
【0015】
反射板3は、表示器2が表示する画像の光路OP上であり、かつ運転者が視認可能な位置に配置される。
図1および
図2に示すように、反射板3は、インストルメントパネル7上に隙間Sを介して配置されており、運転者からは、インストルメントパネル7から浮き上がっているように視認される。
具体的には、反射板3はインストルメントパネル7の上面71に形成された凹部73に、隙間Sを介して配置されている。
凹部73は、インストルメントパネル7の上面71を下方に切り欠いて形成される。
図3に示すように、凹部73は、車幅方向に沿って延在する底壁部74と、底壁部74から上側に延び、インストルメントパネル7の上面71に接続する側壁部75、76(一対の側壁部)および前壁部77を有する。
図3では、わかりやすくするために、底壁部74と側壁部75、76にハッチングを付している。
【0016】
図3に示すように、底壁部74は、上方から見て、車両前方側に向かうにつれて幅が狭くなる台形状である。側壁部75、76は、底壁部74の車幅方向における一端側と他端側、すなわち台形状の底壁部74の斜辺にそれぞれ接続する。側壁部75、76は車幅方向において間隔Dを空けて対向している。ここで、側壁部75、76は底壁部74の斜辺に接続しているため、間隔Dは、車両前方側に向かうにつれて狭くなっている。
【0017】
図4に示すように、側壁部75、76は、それぞれ鉛直線方向に対して傾いた傾斜壁である。側壁部75、76は、下側から上側に向かうにつれて、互いに遠ざかる方向に傾斜している。
図1に示すように、前壁部77は底壁部74の車両前方側に接続する。前壁部77は鉛直線方向に沿って延びる。
底壁部74の車両後方側には壁部は接続していない。凹部73は、車両後方側は、すなわち運転者側に向かって開口している。
【0018】
図3に示すように、反射板3は、凹部73の車両前方側において、前壁部77と間隔を空けて対向して配置されている。反射板3は、前壁部77によってフロントウインドシールド9と隔てられている。
底壁部74の、反射板3より車両後方側の位置に、開口部78が形成されている。
図1に示すように、開口部78は、表示器2の収容部72に接続している。開口部78は、車両前後方向において表示器2と反射板3の間に位置し、表示器2の画像の光路OP上に形成される。これによって、インストルメントパネル7の内部に配置された表示器2の画像の光が、開口部78を介して反射板3まで到達する。
【0019】
反射板3は、例えば、不透光性の薄板部材から構成することができる。反射板3は、例えば、インストルメントパネル7に馴染むように、インストルメントパネル7と同じ色、例えば黒色とすることができる。
図5に示すように、反射板3は車両後方側から見て、下側から上側に向かうにつれて幅広となる台形状である。すなわち、反射板3は、凹部73の側壁部75、76の傾斜に沿った形状を有している。
【0020】
図1に示すように、反射板3は、正面部31及び背面部32を有する。
正面部31は、車両後方側、すなわち運転者側に位置し、表示器2の画像を運転者のアイポイントEPに向けて反射する反射面である。
背面部32は、車両前後方向において正面部31の反対側の、フロントウインドシールド9側に位置する面である。背面部32には、反射板3を車両Vに支持させるための支持部4が設けられている。
【0021】
反射板3は、正面部31および背面部32を接続する面として、
図4に示すように、底面部33、側面部34、35(一対の側面部)および上面部36を有する。
底面部33は、車幅方向に沿って、すなわち凹部73の底壁部74に沿って延びる面であり、底壁部74と隙間S1を介して対向している。
【0022】
側面部34、35は、底面部33の幅方向における一端側と他端側に接続し、底面部33から上側に延びて上面部36に接続する。側面部34、35は、それぞれ鉛直線方向に対して傾いている。側面部34、35は、下側から上側に向かうにつれて、互いに遠ざかる方向に傾斜している。側面部34、35の底面部33に対する傾斜角度βは、側壁部75、76の底壁部74に対する傾斜角度αと略同じとすることができる。すなわち、側面部34、35は、それぞれ凹部73の側壁部75、76に沿って傾斜しており、側壁部75、76と隙間S2を介して対向している。隙間S2は下側において隙間S1と接続し、全体としてU字形状の一つの隙間S(
図2参照)を構成している。
【0023】
反射板3をインストルメントパネル7の平面上に配置した場合、反射板3とインストルメントパネル7の隙間は直線状となるが、実施形態では、反射板3を凹部73に配置することで、反射板3と凹部73の間にU字形状の隙間Sを形成している。これによって、隙間Sの存在感が際立ち、反射板3のインストルメントパネル7からの浮遊感が高められる。
【0024】
図4に示すように、上面部36は車幅方向に沿って延びる面であり、車幅方向の一端および他端において側面部34、35に接続している。側面部34、35と上面部36が接続する角部37には、面取りが施されている。上面部36と角部37の一部は、車両後方側から見て、インストルメントパネル7の上面71よりも上側に位置する。
すなわち、反射板3は大部分がインストルメントパネル7の上面71に形成された凹部73内に位置するが、一部分が凹部73から上側に突出している。
【0025】
具体的には、
図4において、インストルメントパネル7の上面71に沿った線分Lを示している。反射板3は、線分Lより下側に位置する第1領域3Aと、線分Lより上側に位置する第2領域3Bを有する。運転者から見ると、第1領域3Aは凹部73内に位置し、第2領域3Bが凹部73より上側に突出する。
前記したように反射板3は台形状である。そのため、凹部73から突出する第2領域3Bは、第1領域3Aよりも幅が広い部分を有する。このように、凹部73から突出する第2領域3Bが幅広の部分を有することで、運転者に第2領域3Bが目立ちやすくなり、反射板3全体の浮遊感が高められている。
【0026】
また、
図2に示すように、反射板3の凹部73から突出した第2領域3Bは、運転者から見ると、フロントウインドシールド9の帯状部91にオーバーラップしている。
前記したように、フロントウインドシールド9の帯状部91は黒色であるため、フロントウインドシールド9の中で存在感が際立つ部分である。この帯状部91にオーバーラップするように反射板3が凹部73から突出することで、反射板3の浮遊感が強調される。
【0027】
図1に示すように、支持部4は、シャフト41と、シャフト41を反射板3に連結するコネクタ42と、を有する。コネクタ42およびシャフト41は、例えばインストルメントパネル7および反射板3と合わせた黒色とすることができる。
コネクタ42は、反射板3の背面部32に固定され、背面部32から車両後方側に突出している。コネクタ42は、鉛直線方向において、インストルメントパネル7の上面よりも下側に位置する。すなわち、コネクタ42は、反射板3の凹部73内に位置する第1領域3A(
図4参照)に取り付けられている。
図5に示すように、コネクタ42の幅は反射板3の幅よりも短い。そのため、車両後方側から見ると、コネクタ42全体が反射板3にオーバーラップしている。
【0028】
シャフト41は、コネクタ42を車幅方向に挿通して取り付けられている。シャフト41、コネクタ42および反射板3は、相対回転不能に連結されている。すなわち、反射板3はコネクタ42を介してシャフト41に支持される。
【0029】
図3に示すように、シャフト41は、反射板3よりも車両前方側に位置する。
図5および
図6に示すように、シャフト41の大部分は車両後方側から見て反射板3とオーバーラップしているが、車幅方向における一方側および他方側の端部41aは、反射板3にオーバーラップせず、オフセットしている。
【0030】
凹部73の側壁部75、76には、シャフト41を支持する穴部80が形成されている。シャフト41の端部41aは穴部80に挿入される。穴部80内には、不図示のベアリングが設けられており、シャフト41はベアリングによって回転軸X(
図3参照)回りに回転可能に支持される。また、反射板3の回転は、不図示のクラッチ/ブレーキ機構により、運転者のアイポイントEPに合わせた適切な位置で規制することができる。
【0031】
反射板3を車両に支持する支持部4が運転者から目立つと、反射板3の浮遊感が阻害される可能性がある。
本実施形態では、コネクタ42は反射板3の背面部32側の、凹部73から突出しない位置に設けられており、車両後方側から見て、全体が反射板3にオーバーラップしている。コネクタに取り付けられたシャフト41も、車両後方側から見て、大部分が反射板3にオーバーラップしている。そのため、運転者から見た場合、コネクタ42とシャフト41は反射板3に遮られるため、目立たなくなる。さらに、コネクタ42とシャフト41を、反射板3およびインストルメントパネル7と同色とすることで、さらに目立ちにくくすることができる。
【0032】
ここで、
図5および
図6に示すように、シャフト41の端部41aは、車両後方側から見て反射板3からオフセットし、側壁部75、76と側面部34、35の隙間S2にオーバーラップしている。そのため、シャフト41の端部41aは運転者から視認される可能性がある。
しかしながら、本実施形態において、側壁部75、76の間隔Dは、車両前方側に向かって狭くなっている。そのため、車両後方側から見た場合、シャフト41の端部41aに対して、側壁部75、76の、シャフト41より車両前方側に位置する部分がオーバーラップする。すなわち、運転者から見た場合、シャフト41の端部41aは背後の側壁部75に重なっている。シャフト41を側壁部75、76と同色にした場合、端部41aは側壁部75、76に埋没して、運転者から目立ちにくくなる。
【0033】
さらに、本実施形態では、反射板3とフロントウインドシールド9の間が、前壁部77によって隔てられている。そのため、反射板3の背面部32に設けられた支持部4がフロントウインドシールド9に映り込んで運転者から見えることが低減される。
このように、本実施形態の構成により支持部4を目立ちにくくすることができ、反射板3の浮遊感が阻害されることを低減している。
【0034】
図3に示すように、シャフト41は、シャフト41を回転軸X回りに回転させる回転駆動機構RM(角度調節機構)に接続されている。回転駆動機構RMは、例えば、インストルメントパネル7の内部に設けられる。回転駆動機構RMは、例えば、モータ等から構成され、ユーザが車室VR内に設けられたスイッチまたはリモコンを操作することで駆動することができる。回転駆動機構RMを駆動することにより、シャフト41、コネクタ42および反射板3は回転軸X回りに回転する。これによって、反射板3の角度を調節することができる。
【0035】
前記したように、反射板3は、反射した画像が運転者のアイポイントEPに向かうように配置されているが、運転者のアイポイントEPは運転者の体格や姿勢等によって位置が変わる。反射板3によって反射された画像の光路OPと運転者のアイポイントEPが大きくずれると、反射された画像が視認しにくくなる可能性がある。本実施形態では、シャフト41に回転駆動機構RMを設けることで、反射板3の角度を運転者のアイポイントEPに合わせて調節することができる。
【0036】
以上の通り、実施形態のヘッドアップディスプレイ装置1(車両用ヘッドアップディスプレイ装置)は、以下の構成を有する。
(1)ヘッドアップディスプレイ装置1は、
画像の表示器2と、
表示器2の画像を、車室VR内のアイポイントEPに向けて反射する反射板3と、
反射板3を車両Vに支持させる支持部4と、を有する。
反射板3は、車両Vのインストルメントパネル7上に隙間S(S1、S2)を介して配置される。
支持部4は、反射板3の背面部32に設けられる。
【0037】
このように構成することで、ヘッドアップディスプレイ装置1のデザイン性を高めることができる。
具体的には、反射板3がインストルメントパネル7上に隙間Sを介して配置されることで、運転者には反射板3がインストルメントパネル7から浮いているように見える。このように、ヘッドアップディスプレイ装置1を、単純に画像を表示するだけのものではなく、浮遊感を感じられるデザインとすることで、運転者が目新しさや面白みを感じることができる。
【0038】
(2)車両Vのインストルメントパネル7に凹部73が設けられる。
反射板3は、凹部73を形成する壁部である底壁部74および側壁部75、76に隙間S1、S2を介して対向して配置される。
【0039】
凹部73という底壁部74および側壁部75、76に囲まれた空間に反射板3を配置することで、凹部73と反射板3の間の隙間S1、S2の存在感が際立つため、運転者に反射板3の浮遊感をより強く感じさせることができる。
【0040】
(3)反射板3は、凹部73内に位置する第1領域3Aと、凹部73から上側に突出する第2領域3Bと、有する。
【0041】
反射板3の上側の第2領域3Bが凹部73から突出することで、運転者に反射板3の浮遊感をより強く感じさせることができる。
【0042】
(4)反射板3の第2領域3Bは、第1領域3Aよりも幅が広い部分(車幅方向の長さが長い部分)を有する。
【0043】
反射板3を、例えば鉛直線方向の下側から上側に向かって幅広となる台形形状とした場合、第2領域3Bは第1領域3Aよりも幅広の部分を有する。これにより、凹部73から突出している第2領域3Bが運転者から目立つため、反射板3の浮遊感を高めることができる。
なお、実施形態では、反射板3を台形状とする例を説明したが、この例に限定されない。例えば、反射板3の第1領域3Aを等幅の長方形状として形成し、第2領域3Bを第1領域3Aより幅が広い長方形状として形成しても良い。
【0044】
(5)インストルメントパネル7の凹部73は、底壁部74と、底壁部74に接続し、下側から上側に向かって互いに遠ざかる方向に傾斜する側壁部75、76(一対の側壁部)と、を備える。
反射板3は、側壁部75、76に沿って傾斜し、側壁部75、76に隙間S2を介して対向する一対の側面部34、35を備える。
【0045】
このように、反射板3を、下側から上側に向かって滑らかに幅が広がる台形状とすることで、凹部73から突出する第2領域3Bを目立たせて浮遊感を高めつつ、全体として洗練されたデザインとすることができる。
【0046】
(6)凹部73は、側壁部75、76の間隔Dが、車両前方側に向かうにつれて狭まるように設けられている。
支持部4はシャフト41を有する。シャフト41は、反射板3の背面部32から凹部73の側壁部75、76に向かって延び、端部41aが側壁部75、76に支持される。
【0047】
シャフト41は反射板3の背面部32側に設けられているため、運転者から見ると、シャフト41の大部分は反射板3に遮られて、目立たたなくなる。また、側壁部75、76の間隔Dが車両前方側に向かって狭まっていることで、反射板3からオフセットしているシャフト41の端部41aは、車両後方側から見て、側壁部75、76にオーバーラップする。すなわち、運転者から見ると、シャフト41の端部41aの背後に側壁部75、76が位置している。例えばシャフト41をインストルメントパネル7と同色した場合、シャフト41の端部41aは側壁部75、76に埋没するため、運転者から目立ちにくくすることができる。これによって、シャフト41によって反射板3の浮遊感が阻害されることを低減することができる。
【0048】
(7)ヘッドアップディスプレイ装置1は、シャフト41を回転軸X回りにさせる回転させることにより、反射板3の角度を調節する回転駆動機構RM(角度調節機構)を備える。
【0049】
回転駆動機構RMを設けることで、運転者のアイポイントEPの位置に応じて画像が見えやくなるように反射板3の角度を調節することができ、ヘッドアップディスプレイ装置1の利便性を高めることができる。
なお、回転駆動機構RMは省いて、運転者が手動で反射板3の角度を調節できるようにしても良い。この場合は、運転者が指で反射板3を押したりつまんで動かしたりすることで、反射板3に固定されたシャフト41が回転し、反射板3の角度を調整できるようにしても良い。
【0050】
[変形例1]
図7は、変形例1に係るヘッドアップディスプレイ装置1Aの構成を示す図である。
図8は、反射板3を上方から見た図である。
図9は、反射板3を車両後方側から見た図である。
変形例1では、前記の実施形態と同じ部分については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
変形例1では、ヘッドアップディスプレイ装置1Aの支持部4Aの構成が、実施形態と変更されている。
図7に示すように、支持部4Aのコネクタ42Aは、反射板3の背面部32に固定され、背面部32から車両前方側に突出して設けられる。変形例1では、コネクタ42Aの車両後方側への突出長を、実施形態よりも長くしている。言い換えると、変形例1ではコネクタ42Aの厚み(車両前後方向の長さ)が、実施形態のコネクタ42よりも増している。このように、変形例1では、コネクタ42Aの厚みを増すことで、支持部4Aのシャフト41を実施形態よりも車両前方側に位置させている。
【0051】
図8に示すように、凹部73内において、反射板3は車両前後方向の位置P1に配置され、シャフト41は位置P2に配置されている。位置P2は、位置P1よりも車両前方側に位置する。
図9に示すように、位置P2は側壁部75、76の間隔Dが、反射板3の幅W1よりも狭くなる(W1<D)位置である。ここで、「反射板の幅W1」は、反射板3の、車両後方側から見てシャフト41にオーバーラップする部分の幅W1を意味する。
シャフト41が位置P2に配置されることによって、車両後方側から見た場合、シャフト41の全体が反射板3にオーバーラップする状態となる。
すなわち、変形例1では、シャフト41の端部41aが反射板3からオフセットせず、隙間S2にオーバーラップしないため、隙間S2から運転者に視認されにくい。すなわち、反射板3の浮遊感がシャフト41によって阻害されることを低減することができる。
【0052】
以上の通り、変形例1に係るヘッドアップディスプレイ装置1Aは以下の構成を備える。
(8)シャフト41は、凹部73において、側壁部75、76の間隔Dが、反射板3の幅W1(車幅方向の長さ)よりも狭くなる位置P2に配置される。
【0053】
このように構成することで、車両前後方向から見て、シャフト41の全体が反射板3にオーバーラップするため、運転者からシャフト41が視認されにくくなり、反射板3の浮遊感を高めることができる。
【0054】
[変形例2]
図10は、変形例2に係るヘッドアップディスプレイ装置1Bの構成を示す図である。
図11は、反射板3を上方から見た図である。
変形例2では、ヘッドアップディスプレイ装置1Bの支持部4Bの構成が、実施形態と変更されている。
図10および
図11に示すように、変形例2では、支持部4Bは、フロントウインドシールド9に固定される一対の固定部43、44を有する。なお、
図10は固定部44のみ図示しているが、固定部43は固定部44と同じ形状を有する。
さらに、変形例2では、インストルメントパネル7の凹部73の底壁部74の車両前方側に、前壁部77が接続していない。すなわち、凹部73は、車両前方側において、フロントウインドシールド9のガラス面に向かって開口している。
【0055】
図11に示すように、固定部43、44は、反射板3の背面部32に取り付けられている。固定部43、44は、車幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。
固定部43、44は、反射板3の背面部32から車両前方側に延び、凹部73の車両前方側の開口を通過して、フロントウインドシールド9に固定される。
【0056】
図10に示すように、固定部43、44の高さ(鉛直線方向の長さ)は、反射板3の高さよりも低くすることができる。これにより、車両後方側から見た場合、固定部43、44の全体が反射板3にオーバーラップする。
また、固定部43、44は、鉛直線方向において、反射板3の底面部33寄りに設けられており、上面部36から離間している。これにより、固定部43、44が運転者から見えにくくなる。
【0057】
なお、変形例2では凹部73がフロントウインドシールド9に向かって開口していることで、支持部4Bがフロントウィンドウシールへ映り込みんで、運転者から見える可能性もある。しかしながら、変形例2は、2つの固定部43、44を設け、互いに間隔を空けて配置しているため、個々の固定部を小さくすることができる。これによって、固定部43、44が目立ちにくくなるため、運転者から映り込みが視認されても、反射板3の浮遊感の阻害を低減することができる。なお、さらに個々の固定部を小さくするため、固定部を3つ以上設けても良い。
【0058】
なお、変形例2では、反射板3は固定部43、44によって固定されるため、実施形態のように、運転者のアイポイントEPに合わせて反射板3の角度を調節する回転駆動機構RM(角度調節機構)は設けられていない。
変形例2の場合、例えば、表示器2のサイズを実施形態よりも大きくして、表示器2における画像の表示位置をアイポイントEPに応じて変更できるようにしても良い。
【0059】
以上の通り、変形例2に係るヘッドアップディスプレイ装置1Bは、以下の構成を有する。
(9)支持部4Bは、一対の固定部43、44を有する。固定部43、44は、反射板3の背面部32に間隔を空けて配置され、フロントウインドシールド9に固定される。
固定部43、44は車両前後方向から見て反射板3にオーバーラップするため、運転者からは反射板3に隠れて見えにくくなり、反射板3の浮遊感が固定部43、44によって阻害されるのを低減することができる。また、固定部43、44のフロントウインドシールド9への映り込みが運転者に見える場合もあるが、固定部43、44を分散して設けることで、各固定部を小さくし、映り込みが視認されても目立ちにくくすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ヘッドアップディスプレイ装置(車両用ヘッドアップディスプレイ装置)
2 表示器
3 反射板
3A 第1領域
3B 第2領域
31 正面部
32 背面部
33 底面部
34、35 側面部(一対の側面部)
36 上面部
37 角部
4 支持部
41 シャフト
41a 端部
X 回転軸
42、42A コネクタ
43、44 固定部
7 インストルメントパネル
71 上面
72 収容部
73 凹部
74 底壁部
75、76 側壁部(一対の側壁部)
80 穴部
77 前壁部
78 開口部
9 フロントウインドシールド
91 帯状部
V 車両
VR 車室
M メータ
EP アイポイント
CU 表示制御装置
RM 回転駆動機構(角度調節機構)
OP 光路
IM 画像
S、S1、S2 隙間