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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180041
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】布類搬送装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 67/04 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
D06F67/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093098
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信治
(72)【発明者】
【氏名】林田 誉生
(57)【要約】
【課題】作業員の待ち時間を短縮できる布類搬送装置を提供する。
【解決手段】布類搬送装置は、布類を把持する複数の走行体と、布類が供給される供給部40と布類を排出する排出部50とを経由して、複数の走行体が循環する搬送ライン30と、制御装置とを備える。搬送ライン30は、供給部40から排出部50までの往路に、供給部40を含む供給区間S1を有する。制御装置は、モード変更指示を受け付けた場合、供給部40における布類の受付を停止し、先行走行体が供給区間に存在しなくなったときに、供給区間S1のモードを変更し、供給部40における布類の受付を再開する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類を把持する複数の走行体と、
前記布類が供給される供給部と前記布類を排出する排出部とを経由して、前記複数の走行体が循環する搬送ラインと、
制御装置と、を備え、
前記搬送ラインは、前記供給部から前記排出部までの往路に、前記供給部を含む供給区間を有し、
前記制御装置は、
モード変更指示を受け付けた場合、
前記供給部における前記布類の受付を停止し、
受付停止前に前記布類を把持した前記走行体である先行走行体が前記供給区間に存在しなくなったときに、前記供給区間のモードを変更し、前記供給部における前記布類の受付を再開する
ことを特徴とする布類搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ラインは、前記供給部から前記排出部までの往路に、連続する上流区間と下流区間とを有し、
前記制御装置は、
前記先行走行体が前記下流区間に存在する間は、受付再開後に前記布類を把持した前記走行体である後行走行体を前記上流区間で待機させ、
前記先行走行体が前記下流区間に存在しなくなったときに、前記後行走行体の待機を解除する
ことを特徴とする請求項1記載の布類搬送装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記先行走行体が前記下流区間に存在しなくなったときに、前記下流区間のモードを変更する
ことを特徴とする請求項2記載の布類搬送装置。
【請求項4】
複数の前記供給部を有し、
前記搬送ラインは、前記複数の供給部のそれぞれを経由する複数の分岐ラインと、前記複数の分岐ラインが合流した統合ラインとを有し、
前記供給区間の下流端は前記統合ラインに設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の布類搬送装置。
【請求項5】
複数の前記供給部を有し、
前記搬送ラインは、前記複数の供給部のそれぞれを経由する複数の分岐ラインと、前記複数の分岐ラインが合流した統合ラインとを有し、
前記供給区間は前記複数の分岐ラインごとに複数設定されており、
前記制御装置は、
前記供給区間ごとに前記モード変更指示を受け付け、
前記モード変更指示を受け付けた前記供給区間である対象供給区間に含まれる前記供給部における前記布類の受付を停止し、
前記先行走行体が前記対象供給区間に存在しなくなったときに、前記対象供給区間のモードを変更し、前記対象供給区間に含まれる前記供給部における前記布類の受付を再開する
ことを特徴とする請求項1記載の布類搬送装置。
【請求項6】
前記搬送ラインは、前記供給部を構成する並列に配置された2つの供給ラインを有し、
前記2つの供給ラインのそれぞれの供給待機位置で待機する2つの前記走行体のうち、前記布類の角部が先に取り付けられた方が先行待機位置まで先行して走行し、
前記供給区間のモードを変更すると、前記先行待機位置が変更される
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の布類搬送装置。
【請求項7】
前記下流区間は、前記排出部を含む排出区間であり、
前記搬送ラインは、前記排出部を構成する並列に配置された3つ以上の排出ラインを有し、
前記排出区間のモードを変更すると、前記布類の2つの角部を把持する2つの前記走行体のそれぞれが走行する前記排出ラインが変更される
ことを特徴とする請求項3に記載の布類搬送装置。
【請求項8】
前記下流区間は、前記排出部を含む排出区間であり、
前記排出区間のモードを変更すると、前記排出部における前記走行体の排出待機位置の間隔が変更される
ことを特徴とする請求項3に記載の布類搬送装置。
【請求項9】
布類を把持する複数の走行体と、
前記布類が供給される供給部と前記布類を排出する排出部とを経由して、前記複数の走行体が循環する複数の搬送ラインと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記搬送ラインごとに種類変更信号を受け付け、
全ての前記搬送ラインにおいて前記種類変更信号を受け付ける前に前記布類を把持した前記走行体の全てから前記布類が排出されるまで、前記種類変更信号を受け付けた後に前記布類を把持した前記走行体を前記排出部の手前で待機させる
ことを特徴とする布類搬送装置。
【請求項10】
前記制御装置に前記種類変更信号を出力する入力装置を備える
ことを特徴とする請求項9記載の布類搬送装置。
【請求項11】
前記搬送ラインを搬送される前記布類の種類を検知し、前記布類の種類が変更されたときに前記種類変更信号を前記制御装置に出力する種類検知器を備える
ことを特徴とする請求項9記載の布類搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類搬送装置に関する。さらに詳しくは、リネン設備において布類を搬送するための布類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、布類を布類投入機まで搬送する布類搬送装置が開示されている。この布類搬送装置は、複数個の独立した走行クランプと、個々の走行クランプが供給部および排出部を経由して循環する搬送レールとを有する。布類は、供給部において走行クランプに取り付けられ、排出部において布類投入機に排出される。
【0003】
搬送レールは、供給部において、高い本線位置から作業者の上半身の高さ位置まで下方に延びた後、再び本線へ向けて上方へ延びる略U字形を有する。また、供給部において、搬送レールは左右のレールに分岐した後、再び合流する。作業員が布類の右角部を右側のレール上の第1走行クランプに取り付けると、第1走行クランプは先行して上昇し、待機位置で待機する。この上昇に伴い作業員の目の前に布類の左角部が出現する。作業員は出現した左角部を左側のレール上の第2走行クランプに取り付ける。これにより、布類の左角部を探す手間と時間が大幅に減少する。
【0004】
特許文献2には、布類を布類展開装置まで搬送する布類バッファー装置が開示されている。この布類バッファー装置は、布類を把持する複数のチャックと、チャックが走行するガイドレールとを有する。ガイドレールは受取り位置、ストック位置、取外し位置および待機位置の順にチャックが循環するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-7083号公報
【特許文献2】特開平11-114296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の布類搬送装置において、第1走行クランプを先行して上昇させる距離は、布類の一辺の長さと同程度に設定される。そのため、現在処理している布類とは異なる種類の布類の処理を開始する前に、上昇距離の設定を変更する必要がある。
【0007】
従来の布類搬送装置は、複数種類の布類が混在することを避けるため、搬送レール上の布類が全て布類投入機に排出された後に、上昇距離などのモード変更を行なっていた。そのため、作業員は、現在処理している布類が全て布類投入機に到達するまで、次の種類の布類を走行クランプに取り付けることができず、待ち時間が発生していた。
【0008】
特許文献2には一台の布類展開装置に対して一つのガイドレールを設けることしか開示されていない。しかし、一台の布類展開装置に対して複数のガイドレールを設けることも考えられる。このようにすれば、布類バッファー装置により多くの布類をストックでき、布類展開装置を高効率で稼働できる。
【0009】
ガイドレールを複数設ける場合、複数種類の布類が混在した状態で布類展開装置に排出されることを避けるため、全てのガイドレール上の布類が布類展開装置に排出されるまで、次の種類の布類を供給できなかった。すわなち、一部のガイドレールで前の種類の布類の供給が完了したとしても、すぐさま次の種類の布類を供給することができず、待ち時間が発生していた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、作業員の待ち時間を短縮できる布類搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の布類搬送装置は、布類を把持する複数の走行体と、前記布類が供給される供給部と前記布類を排出する排出部とを経由して、前記複数の走行体が循環する搬送ラインと、制御装置と、を備え、前記搬送ラインは、前記供給部から前記排出部までの往路に、前記供給部を含む供給区間を有し、前記制御装置は、モード変更指示を受け付けた場合、前記供給部における前記布類の受付を停止し、受付停止前に前記布類を把持した前記走行体である先行走行体が前記供給区間に存在しなくなったときに、前記供給区間のモードを変更し、前記供給部における前記布類の受付を再開することを特徴とする。
第2発明の布類搬送装置は、第1発明において、前記搬送ラインは、前記供給部から前記排出部までの往路に、連続する上流区間と下流区間とを有し、前記制御装置は、前記先行走行体が前記下流区間に存在する間は、受付再開後に前記布類を把持した前記走行体である後行走行体を前記上流区間で待機させ、前記先行走行体が前記下流区間に存在しなくなったときに、前記後行走行体の待機を解除することを特徴とする。
第3発明の布類搬送装置は、第2発明において、前記制御装置は、前記先行走行体が前記下流区間に存在しなくなったときに、前記下流区間のモードを変更することを特徴とする。
第4発明の布類搬送装置は、第1~第3発明のいずれかにおいて、複数の前記供給部を有し、前記搬送ラインは、前記複数の供給部のそれぞれを経由する複数の分岐ラインと、前記複数の分岐ラインが合流した統合ラインとを有し、前記供給区間の下流端は前記統合ラインに設定されていることを特徴とする。
第5発明の布類搬送装置は、第1~第3発明のいずれかにおいて、複数の前記供給部を有し、前記搬送ラインは、前記複数の供給部のそれぞれを経由する複数の分岐ラインと、前記複数の分岐ラインが合流した統合ラインとを有し、前記供給区間は前記複数の分岐ラインごとに複数設定されており、前記制御装置は、前記供給区間ごとに前記モード変更指示を受け付け、前記モード変更指示を受け付けた前記供給区間である対象供給区間に含まれる前記供給部における前記布類の受付を停止し、前記先行走行体が前記対象供給区間に存在しなくなったときに、前記対象供給区間のモードを変更し、前記対象供給区間に含まれる前記供給部における前記布類の受付を再開することを特徴とする。
第6発明の布類搬送装置は、第1~第5発明のいずれかにおいて、前記搬送ラインは、前記供給部を構成する並列に配置された2つの供給ラインを有し、前記2つの供給ラインのそれぞれの供給待機位置で待機する2つの前記走行体のうち、前記布類の角部が先に取り付けられた方が先行待機位置まで先行して走行し、前記供給区間のモードを変更すると、前記先行待機位置が変更されることを特徴とする。
第7発明の布類搬送装置は、第3に発明において、前記下流区間は、前記排出部を含む排出区間であり、前記搬送ラインは、前記排出部を構成する並列に配置された3つ以上の排出ラインを有し、前記排出区間のモードを変更すると、前記布類の2つの角部を把持する2つの前記走行体のそれぞれが走行する前記排出ラインが変更されることを特徴とする。
第8発明の布類搬送装置は、第3に発明において、前記下流区間は、前記排出部を含む排出区間であり、前記排出区間のモードを変更すると、前記排出部における前記走行体の排出待機位置の間隔が変更されることを特徴とする。
第9発明の布類搬送装置は、布類を把持する複数の走行体と、前記布類が供給される供給部と前記布類を排出する排出部とを経由して、前記複数の走行体が循環する複数の搬送ラインと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記搬送ラインごとに種類変更信号を受け付け、全ての前記搬送ラインにおいて前記種類変更信号を受け付ける前に前記布類を把持した前記走行体の全てから前記布類が排出されるまで、前記種類変更信号を受け付けた後に前記布類を把持した前記走行体を前記排出部の手前で待機させることを特徴とする。
第10発明の布類搬送装置は、第9発明において、前記制御装置に前記種類変更信号を出力する入力装置を備えることを特徴とする。
第11発明の布類搬送装置は、第9発明において、前記搬送ラインを搬送される前記布類の種類を検知し、前記布類の種類が変更されたときに前記種類変更信号を前記制御装置に出力する種類検知器を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、先行走行体が供給区間から無くなり次第、新規の布類の受付が再開するので、作業員の待ち時間を短縮できる。
第2発明によれば、先行走行体が下流区間から無くなるまで、後行走行体を上流区間で待機させるので、搬送ライン上で布類が種類ごとに並んだ状態を維持できる。
第3発明によれば、先行走行体の進行に合わせて各区間のモードを変更していくので、下流区間のモード変更が必要な場合でも、先行走行体が下流区間から無くなる前に供給部における布類の受付を再開できる。そのため、作業員の待ち時間を短縮できる。
第4発明によれば、供給区間の下流端は統合ラインに設定されているので、供給部が複数存在する場合でも、搬送ライン上で布類が種類ごとに並んだ状態を維持できる。
第5発明によれば、供給区間ごとにモード変更を行なうので、作業が速い作業員は他の作業員の作業完了を待つことなく、次の種類の布類を供給できる。そのため、作業員の待ち時間をより短縮できる。
第6発明によれば、布類の幅寸法にあわせて走行体の先行距離を変更することで、布類の他方の角部を作業に適した位置に出現させることができる。
第7発明によれば、布類の幅寸法にあわせて走行体が走行する排出ラインを変更することで、布類を適した幅に広げた状態で次工程装置に排出できる。
第8発明によれば、布類の重量にあわせて排出待機位置の間隔を変更することで、布類の重なりに起因する受け渡しの失敗を低減できる。
第9発明によれば、全ての搬送ラインから前の種類の布類が排出されるまで後行走行体を待機させるので、搬送ライン上に複数種類の布類が存在しても、種類順に排出される。そのため、前の種類の布類の供給が完了した後、すぐに次の種類の布類を供給でき、作業員の待ち時間を短縮できる。
第10発明によれば、作業員の入力操作により、布類の種類の変更を指示できる。
第11発明によれば、布類の種類が自動的に検知されるので、作業員が入力操作を行なう必要がなく、作業負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る布類搬送装置の斜視図である。
図2】搬送ラインの往路の平面図である。
図3】図(A)は走行体の側面図である。図(B)は走行体の正面図である。
図4】図(A)は供給部の側面図である。図(B)は供給部の正面図である。
図5】図(A)は排出部の側面図である。図(B)は排出部の側面図である。
図6】工程(1)および(2)の説明図である。
図7】工程(3)および(4)の説明図である。
図8】工程(5)および(6)の説明図である。
図9】工程(7)の説明図である。
図10】本発明の第2実施形態における搬送ラインの往路の平面図である。
図11】工程(1)および(2)の説明図である。
図12】工程(3)および(4)の説明図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る布類搬送装置の斜視図である。
図14】図(A)は走行体の側面図である。図(B)は走行体の正面図である。
図15】本発明の第4実施形態に係る布類搬送装置の斜視図である。
図16】図(A)は供給部の側面図である。図(B)は供給部の正面図である。
図17】図(A)は排出部の側面図である。図(B)は排出部の側面図である。
図18】工程(1)および(2)の説明図である。
図19】工程(3)および(4)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る布類搬送装置AAは、リネン設備において、シーツ、デュベなど、洗濯済みの布類Cを次工程装置NXまで搬送する装置である。次工程装置NXは、例えば布類投入機である。布類投入機NXの下流にはロールアイロナー、布類折畳機などが接続されており、これらで処理ラインが構成されている。布類投入機NXに受け渡された布類Cは、処理ラインを搬送されつつ、展開、アイロンがけ、折り畳みなどの処理が施される。
【0015】
布類搬送装置AAはそれを構成する各種の機器を制御する制御装置10を有する。制御装置10として、CPU、メモリなどで構成されたコンピュータを用いることができる。制御装置10には入力装置が接続されてもよい。入力装置として、スイッチ、タッチパネルなど手指による操作を受け付ける装置のほか、マイクなどの音声入力装置が挙げられる。また、制御装置10には液晶パネルなどの表示装置が接続されてもよい。
【0016】
布類搬送装置AAは、布類Cを把持する複数の走行体20と、走行体20が循環する搬送ライン30とを有する。図3(A)および図3(B)に示すように、走行体20は台車21を有する。台車21の前後左右には4つの走行輪が設けられており、前後には2つのガイド輪が設けられている。台車21の下部にはステー22を介して左右に2つのチャック23が固定されている。チャック23は固定部に対して爪が回動する公知のものでよい。一の走行体20が有する2つのチャック23は、協働して、布類Cの1つの角部を把持する。なお、走行体20が有するチャック23の数は1つでもよい。
【0017】
搬送ライン30はレール31を有する。レール31は、断面が略C字形のチャンネル材2つを、その開口部を互いに向かい合わせて左右に配置し、内部に空洞部を形成した構造である。走行体20の台車21はレール31の空洞部に嵌め込まれている。台車21の走行輪およびガイド輪が転動することにより、走行体20がレール31に沿って走行する。
【0018】
搬送ライン30には、必要に応じて、走行体20を駆動する駆動機構(不図示)が設けられる。駆動機構は、例えば、一対のプーリの間に掛け回された歯付ベルトと、プーリを回転させるモータとからなる。歯付ベルトを走行体20に噛み合わせることで、走行体20を走行させることができる。また、レール31に傾斜を設け、駆動機構によらず、走行体20を自重により走行させてもよい。
【0019】
図1に示すように、搬送ライン30は、複数のラインに分かれる分岐点、および複数のラインが合流する合流点を有する。分岐点には、走行体20の進行方向を切り換える分岐器(不図示)が設けられる。また、搬送ライン30には、必要箇所に、走行体20の走行を一時停止させる停止機(不図示)、および一時停止した走行体20を押し出し走行させる押出機(不図示)が設けられる。
【0020】
布類搬送装置AAは、布類Cが供給される供給部40と、布類Cを排出する排出部50とを有する。搬送ライン30は、走行体20が供給部40から排出部50に向かって走行する往路と、排出部50から供給部40に向かって走行する復路とを有する。したがって、走行体20は供給部40と排出部50とを経由しつつ搬送ライン30を循環する。
【0021】
本実施形態の布類搬送装置AAは、複数(図示の例では4つ)の供給部40を有する。図2に搬送ライン30の往路を示す。搬送ライン30は、複数の供給部40のそれぞれを経由する複数(供給部40と同数)の分岐ライン32を有する。また、搬送ライン30は、複数の分岐ライン32が合流した統合ライン33を有する。統合ライン33の下流に排出部50が設けられている。
【0022】
なお、供給部40の数は特に限定されず、1つでもよい。また、図示の例では排出部50が1つであるが、これを複数としてもよい。この場合、次工程装置NXは布類Cを受け付ける部分を複数有する。各部分に対応して複数の排出部50が配置される。
【0023】
分岐ライン32は、それぞれ、さらに2つの供給ライン34A、34Bに分岐している。2つの供給ライン34A、34Bが対となって一の供給部40を構成している。図4(A)に示すように、供給ライン34A、34Bは、それぞれ、側面視略U字形であり、床面から離れた高所から下方に延びた後、再び高所に向けて上方に延びている。供給ライン34A、34Bの最下部は、人間の腕の高さ程度に設定されている。図4(B)に示すように、2つの供給ライン34A、34Bは左右に並列に配置されている。左右の供給ライン34A、34Bの間隔は人間の肩幅程度である。また、2つの供給ライン34A、34Bには、それぞれ、最下部の供給待機位置P1と、供給待機位置P1から所定距離上昇した先行待機位置P2とが設定されている。
【0024】
以下、説明の便宜のため、左側の供給ライン34Aを第1供給ライン34Aと称し、右側の供給ライン34Bを第2供給ライン34Bと称する。また、第1供給ライン34Aに供給された走行体20を第1走行体20Aと称し、第2供給ライン34Bに供給された走行体20を第2走行体20Bと称する。
【0025】
搬送ライン30の復路を走行する走行体20は、復路に設けられた分岐点において、第1供給ライン34Aと第2供給ライン34Bとに交互に分配される。第1、第2走行体20A、20Bは第1、第2供給ライン34A、34Bのそれぞれの供給待機位置P1で待機する。作業員は、布類Cの一辺の両端角部を見つけ出し、それぞれを第1、第2走行体20A、20Bに取り付ける。ここで、第1、第2走行体20A、20Bのうち、布類Cの角部が先に取り付けられた方が先行待機位置P2まで先行して走行する。
【0026】
例えば、作業員が布類Cの左角部を先に見つけたとする。この場合、作業員は布類Cの左角部を第1走行体20Aに取り付ける。そうすると、第1走行体20Aは先行待機位置P2まで先行して上昇して、待機する。第1走行体20Aの上昇に伴い、作業員の目の前に布類Cの右角部が出現する。作業員は出現した右角部を供給待機位置P1で待機する第2走行体20Bに取り付ける。これにより、第1、第2走行体20A、20Bは、対となって、一の布類Cを把持した状態となる。その後、第1、第2走行体20A、20Bは布類Cを把持したまま、搬送ライン30の往路に沿って走行する。
【0027】
逆に、作業員が布類Cの右角部を先に見つけたとする。この場合、作業員は布類Cの右角部を第2走行体20Bに取り付ける。そうすると、第2走行体20Bは先行待機位置P2まで先行して上昇して、待機する。第2走行体20Bの上昇に伴い、作業員の目の前に布類Cの左角部が出現する。作業員は出現した左角部を供給待機位置P1で待機する第1走行体20Aに取り付ける。これにより、第1、第2走行体20A、20Bは、対となって、一の布類Cを把持した状態となる。その後、第1、第2走行体20A、20Bは布類Cを把持したまま、搬送ライン30の往路に沿って走行する。
【0028】
先行待機位置P2は供給待機位置P1からの距離が布類Cの一辺の長さと同程度となるように設定される。そのため、布類Cの角部が先に取り付けられた走行体20が先行待機位置P2まで先行して走行すると、他方の角部が自ずと作業員の目の前に出現する。その結果、作業員が他方の角部を探す手間と時間が大幅に減少する。
【0029】
なお、搬送ライン30の往路において、第1、第2走行体20A、20Bは、布類Cの角部が取り付けられた順番に走行すればよい。これに代えて、布類Cの角部が取り付けられた順番に依らず、第1、第2走行体20A、20Bのうち特定の一方が常に先行して走行してもよい。
【0030】
布類Cを把持した第1、第2走行体20A、20Bは、搬送ライン30を排出部50に向かって走行する。図5(B)に示すように、排出部50において、搬送ライン30は4つの排出ライン35に分岐している。4つの排出ライン35は左右に並列に配置されている。これらが組となって一の排出部50を構成している。
【0031】
第1、第2走行体20A、20Bが分配される排出ライン35は、布類Cの幅寸法にあわせて選択される。具体的には、幅狭の布類Cを把持している場合、第1、第2走行体20A、20Bは中央寄りの2つの排出ライン35、35のそれぞれに分配される。一方、幅広の布類Cを把持している場合、第1、第2走行体20A、20Bは外側の2つの排出ライン35、35のそれぞれに分配される。幅寸法が中程度の布類Cを把持している場合には、第1、第2走行体20A、20Bを中央寄りの排出ライン35と外側の排出ライン35とに分配してもよい。このように、排出ライン35を選択することで、布類Cの幅寸法にあわせて第1、第2走行体20A、20Bの間隔を調整することができる。そのため、布類Cを適した幅に広げた状態で次工程装置NXに排出できる。
【0032】
なお、布類Cの幅寸法にあわせて第1、第2走行体20A、20Bの間隔を調整するという観点からすると、排出部50は3つ以上の排出ライン35を有していればよい。また、第1、第2走行体20A、20Bの間隔を調整する必要がない場合には、排出ライン35の数を2つとしてもよい。
【0033】
図5(A)に示すように、各排出ライン35は側面視略U字形であり、高所から下方に延びた後、再び高所に向けて上方に延びている。排出ライン35の下降部では、排出部50に到達した複数の走行体20が待ち行列を作り、処理されるまで一時的に待機している。ここで、排出ライン35の下降部には所定間隔で複数の排出待機位置P3が設定されている。走行体20は排出部50に到達した順に排出待機位置P3で待機する。
【0034】
処理される順番が到来した走行体20は、排出ライン35の上昇部を上昇する。排出ライン35の上昇部にはプレート51が設けられている。走行体20がプレート51を通過する際、チャック23の爪がプレート51に押され、チャック23が開放状態となる。これにより、チャック23に把持されていた布類Cが次工程装置NXに受け渡される。布類Cを受け渡した空の走行体20は、搬送ライン30の復路を走行し、再び供給部40に供給される。
【0035】
なお、走行体20は布類Cをぶら下げた状態で搬送するため、搬送中に布類Cが地面に引き摺られないように、搬送ライン30の大部分(供給部40および排出部50を除く部分)は高所に設置されることが好ましい。
【0036】
図2に示すように、本実施形態の搬送ライン30は、各供給部40から排出部50までの往路が3つの区間、すなわち供給区間S1、中間区間S2および排出区間S3に分けられている。供給区間S1は各供給部40を含む区間であり、往路の最上流に位置する。供給区間S1は分岐ライン32に対応する。排出区間S3は排出部50を含む区間であり、往路の最下流に位置する。排出区間S3は排出ライン35に対応する。中間区間S2は供給区間S1と排出区間S3との間の区間である。中間区間S2は統合ライン33に対応する。
【0037】
なお、搬送ライン30に設定された複数の区間のうち、連続する2つの区間の上流側を上流区間、下流側を下流区間という。上流区間および下流区間との用語は、相対的な位置関係を示すものであり、特定の区間を示すものではない。本実施形態では、供給区間S1を上流区間とすれば、中間区間S2が下流区間である。また、中間区間S2を上流区間とすれば、排出区間S3が下流区間である。
【0038】
搬送ライン30には各区間S1~S3における走行体20の数を計数する装置を有する。例えば、供給区間S1と中間区間S2との境および中間区間S2と排出区間S3との境に、走行体20の通過を検知するセンサを設ける。これらのセンサにより中間区間S2に入った走行体20の数と中間区間S2から出た走行体20の数とを計数することで、中間区間S2における走行体20の数を計数できる。また、供給区間S1に入った走行体20の数は供給部40における走行体20の布類Cの把持動作から計数できる。排出区間S3から出た走行体20の数は排出部50における走行体20の布類Cの開放動作から計数できる。これらの情報と上記センサの情報と合わせれば、供給区間S1および排出区間S3における走行体20の数を計数できる。
【0039】
これに代えて、またはこれと合わせて、個々の走行体20を識別する装置の情報を利用してもよい。走行体20にはそれぞれ個別のIDを示すバーコードが貼り付けられている。識別装置にはバーコードリーダが設けられており、走行体20のバーコードを読み取ることで、個々の走行体20の位置を特定できる。なお、バーコードに代えて二次元バーコードを用いても良いし、RFIDなどの無線通信によりIDを読み取る構成としてもよい。供給部40で受け付けている布類Cの種類の情報と、個々の走行体20の識別情報とを組み合わせることで、各走行体20の位置と、把持している布類Cの種類とを特定できる。
【0040】
布類搬送装置AAを構成する各種の機器はモード変更が可能である。作業員が入力装置などを介して制御装置10にモード変更を指示すると、制御装置10は機器のモードを変更する。モード変更指示は、作業員がスイッチ、タッチパネルなどを操作して行なってもよいし、作業員が声を発することによる音声入力で行なってもよい。
【0041】
モード変更により機器の設定値などが変更される。機器のモードは、主に、布類Cの種類に応じて変更される。ここで、布類Cの種類とは、布類Cの形状、寸法、重量などの別をいい、具体的には、シーツ、デュベなどの別をいう。モード変更指示は、制御装置10に対する布類Cの種類の変更の入力であってもよい。
【0042】
本実施形態の布類搬送装置AAは、区間S1~S3ごとに、機器のモードを変更する。以下、図6図9を参照しつつ、布類搬送装置AAに供給する布類Cを第1種類の布類C1から第2種類の布類C2に変更し、それにあわせて供給区間S1および排出区間S3のモードを変更する場合を説明する。なお、中間区間S2はモード変更の必要がないものとする。
【0043】
図6図9における(1)~(7)は、それぞれ以下の説明の(1)~(7)に対応する。図6図9において、第1種類の布類C1を把持した走行体20を白抜きの四角で示し、第2種類の布類C2を把持した走行体20を黒塗りの四角で示す。また、第1種類の布類C1を把持した走行体20を先行走行体20Lと称し、第2種類の布類C2を把持した走行体20を後行走行体20Tと称する。
【0044】
(1)受付停止
作業員は第1種類の布類C1の投入作業を行なう。搬送ライン30には第1種類の布類C1を把持した走行体20(先行走行体20L)が走行している。供給区間S1および排出区間S3は、いずれも、第1種類の布類C1に対応するモードとなっている。
【0045】
この状態で、作業員は制御装置10に設けられた入力装置に、布類Cの種類の変更を入力する。すなわち、制御装置10がモード変更指示を受け付ける。そうすると、制御装置10は、各供給部40における新規の布類Cの受付を停止する。ここで、受付停止は、供給待機位置P1で待機している走行体20のチャック23の爪を回動不能にして、布類Cを把持できないようにすればよい。また、走行体20への布類Cの把持を可能にしつつ、布類Cの把持が完了しても走行体20を供給待機位置P1で待機させたままにしておいてもよい。さらに、走行体20を供給待機位置P1に供給しない態様でもよい。この受付停止前に布類C1を把持した走行体20、すなわち第1種類の布類C1を把持した走行体20が先行走行体20Lである。
【0046】
(2)供給区間S1のモード変更
先行走行体20Lは、搬送ライン30を走行し、排出部50に到達した順に布類C1を次工程装置NXに受け渡す。先行走行体20Lの全てが供給区間S1の下流端(供給区間S1と中間区間S2との境)を通過したとき、すなわち、先行走行体20Lが供給区間S1に存在しなくなったときに、制御装置10は供給区間S1のモードを第2種類の布類C2に対応するモードに変更する。
【0047】
供給区間S1のモード変更の具体例として、供給部40における先行待機位置P2の変更が挙げられる。先行待機位置P2は供給待機位置P1との距離が布類Cの一辺の長さと同程度となるように設定される。例えば、シーツなど幅広の布類Cを処理する場合には、先行待機位置P2は供給待機位置P1から離れた位置に設定される。一方、デュベなど幅狭の布類Cを処理する場合には、先行待機位置P2は供給待機位置P1に近い位置に設定される。このように、布類Cの幅寸法にあわせて走行体20の先行距離を変更することで、布類Cの他方の角部を作業に適した位置に出現させることができる。
【0048】
(3)受付再開
供給区間S1のモード変更が完了すると、供給部40における布類Cの受付を再開する。すなわち、作業員は第2種類の布類C2を走行体20に取り付けることができる。受付再開後に布類C2を把持した走行体20、すなわち第2種類の布類C2を把持した走行体20が後行走行体20Tである。このように、先行走行体20Lが供給区間S1から無くなり次第、新規の布類C2の受付が再開する。先行走行体20Lの全ての処理が終わるまで待つ必要がないため、作業員の待ち時間を短縮できる。
【0049】
(4)待機1
後行走行体20Tは搬送ライン30を走行する。ここで、制御装置10は、先行走行体20Lが中間区間S2(下流区間)に存在する間は後行走行体20Tを供給区間S1(上流区間)の下流端で待機させる。例えば、供給区間S1の下流端に設けられた停止機により後行走行体20Tの走行を停止させる。
【0050】
そして、制御装置10は、先行走行体20Lの全てが中間区間S2(下流区間)の下流端を通過したとき、すなわち、先行走行体20Lが中間区間S2(下流区間)に存在しなくなったときに、後行走行体20Tの待機を解除する。
【0051】
このように、先行走行体20Lが中間区間S2(下流区間)から無くなるまで、後行走行体20Tを供給区間S1(上流区間)で待機させるので、搬送ライン30上で布類Cが種類ごとに並んだ状態を維持できる。ここで、本実施形態では、供給区間S1の下流端は統合ライン33に設定されている。そのため、供給部40が複数存在する場合でも、搬送ライン30上で布類Cが種類ごとに並んだ状態を維持できる。
【0052】
(5)待機2
つぎに、制御装置10は、先行走行体20Lが排出区間S3(下流区間)に存在する間は後行走行体20Tを中間区間S2(上流区間)の下流端で待機させる。例えば、中間区間S2の下流端に設けられた停止機により後行走行体20Tの走行を停止させる。
【0053】
(6)排出区間S3のモード変更
つぎに、制御装置10は、先行走行体20Lの全てが排出区間S3(下流区間)の下流端を通過したとき、すなわち、先行走行体20Lが排出区間S3(下流区間)に存在しなくなったときに、排出区間S3(下流区間)のモードを変更する。このように、先行走行体20Lの進行に合わせて各区間のモードを変更していく。そのため、下流区間(本実施形態では排出区間S3)のモード変更が必要な場合でも、先行走行体20Lが下流区間(排出区間S3)から無くなる前に供給部40における布類Cの受付を再開できる。そのため、作業員の待ち時間を短縮できる。
【0054】
排出区間S3のモード変更の具体例として、排出部50において走行体20が走行する排出ライン35の変更が挙げられる。本実施形態の排出部50は、並列に配置された4つの排出ライン35を有する。布類Cの幅寸法にあわせて、一の布類Cの2つの角部を把持する2つの走行体20、20のそれぞれが走行する排出ライン35が変更される。例えば、シーツなど幅広の布類Cを処理する場合には、2つの走行体20、20を外側の2つの排出ライン35、35のそれぞれに分配する。一方、デュベなど幅狭の布類Cを処理する場合には、2つの走行体20、20を中央寄りの2つの排出ライン35、35のそれぞれに分配する。このように、布類Cの幅寸法にあわせて走行体20が走行する排出ライン35を変更することで、布類Cを適した幅に広げた状態で次工程装置NXに排出できる。
【0055】
また、排出区間S3のモード変更の他の具体例として、排出部50における走行体20の排出待機位置P3の間隔の変更が挙げられる。例えば、シーツなど軽い布類Cを処理する場合には、布類Cが重なっても走行体20から脱落する可能性が低い。そのため、排出待機位置P3の間隔を狭くして、より多くの布類Cを待機できるようにする。一方、デュベなど重い布類Cを処理する場合には、布類Cが重なると走行体20から脱落する可能性が高くなる。そのため、排出待機位置P3の間隔を広くして、布類Cが重なりにくくする。このように、布類Cの重量にあわせて排出待機位置P3の間隔を変更することで、布類Cの重なりに起因する受け渡しの失敗を低減できる。
【0056】
(7)待機解除
排出区間S3のモード変更が完了すると、後行走行体20Tの待機を解除する。これにより、第2種類の布類C2の次工程装置NXへの排出が開始される。
【0057】
なお、搬送ライン30に設定する区間の数は3つに限定されない、搬送ライン30の往路を2つの区間(供給区間S1および排出区間S3)に分けてもよいし、4つ以上の区間(中間区間S2をさらに分割)に分けてもよい。
【0058】
各区間の機器のモードは、第1種類の布類C1に対応するモード、第2種類の布類C2に対応するモードの2つに限定されない。布類Cの種類の数に応じて、複数のモードを取りうる。
【0059】
モード変更の態様は前記の3つの具体例に限定されない。必要に応じて他の態様のモード変更を行なってもよい。
【0060】
〔第2実施形態〕
図10に示すように、供給区間S1を分岐ライン32ごとに複数設定してもよい。この場合、各供給区間S1は一の供給部40を含む。また、各供給区間S1の下流端は分岐ライン32が統合ライン33に合流する合流点の手前に設定される。各供給区間S1の下流には中間区間S2が続く。
【0061】
本実施形態では、供給区間S1ごとにモード変更指示を受け付けることができる。例えば、複数の供給部40に対応して複数の入力装置が設けられる。作業員が一の入力装置を操作すると、その入力装置に対応する供給部40が含まれる供給区間S1に対するモード変更指示が制御装置10に入力される。
【0062】
本実施形態では、供給区間S1ごとに、準備ができ次第、機器のモード変更と新規の布類の受付を行なう。以下、図11図12を参照しつつ、その詳細を説明する。なお、図11図12における(1)~(4)は、それぞれ以下の説明の(1)~(4)に対応する。
【0063】
(1)受付停止
全ての作業員は第1種類の布類C1の投入作業を行なう。搬送ライン30には第1種類の布類C1を把持した走行体20(先行走行体20L)が走行している。全ての供給区間S1および排出区間S3は、いずれも、第1種類の布類C1に対応するモードとなっている。
【0064】
一番右側の作業員Wが第1種類の布類C1の投入作業を完了したとする。この際、作業員Wは担当する供給部40に設けられた入力装置に布類Cの種類の変更を入力する。そうすると、一番右側の供給区間S1に対するモード変更指示が制御装置10に入力される。以下、モード変更指示を受け付けた供給区間S1を対象供給区間S1tと称する。
【0065】
制御装置10は、対象供給区間S1tに含まれる供給部40における新規の布類Cの受付を停止する。ここで、モード変更指示を受け付けていない他の供給区間S1においては、布類Cの受付を停止しない。すなわち、他の供給区間S1の供給部40においては、第1種類の布類C1の受付を継続する。
【0066】
(2)対象供給区間S1tのモード変更
対象供給区間S1tを走行する先行走行体20Lの全てが対象供給区間S1tの下流端を通過したとき、すなわち、先行走行体20Lが対象供給区間S1tに存在しなくなったときに、制御装置10は対象供給区間S1tのモードを第2種類の布類C2に対応するモードに変更する。
【0067】
(3)受付再開
対象供給区間S1tのモード変更が完了すると、対象供給区間S1tに含まれる供給部40における布類Cの受付を再開する。すなわち、作業員Wは第2種類の布類C2を走行体20に取り付けることができる。
【0068】
(4)待機1
受付再開後に布類C2を把持した走行体20(後行走行体20T)は対象供給区間S1tを走行する。ここで、制御装置10は、先行走行体20Lが中間区間S2(下流区間)に存在する間は後行走行体20Tを対象供給区間S1t(上流区間)の下流端で待機させる。
【0069】
以上の(1)受付停止~(4)待機1の動作は、供給区間S1ごとに並列に行われる。すなわち、第1種類の布類C1の投入作業が完了した順に、布類C1の受付停止、モード変更、布類C2の受付再開および後行走行体20Tの待機が行われる。最終的には全ての供給区間S1において第2種類の布類C2を走行体20に取り付けられる状態となる。
【0070】
その後、制御装置10は、先行走行体20Lの全てが中間区間S2(下流区間)の下流端を通過したとき、すなわち、先行走行体20Lが中間区間S2(下流区間)に存在しなくなったときに、全ての供給区間S1における後行走行体20Tの待機を解除する。
【0071】
その後の(5)中間区間S2における後行走行体20Tの待機、(6)排出区間S3のモード変更、および(7)後行走行体20Tの待機解除は、第1実施形態と同様である。
【0072】
本実施形態では、供給区間S1ごとにモード変更を行なうので、投入作業が速い作業員Wは他の作業員の投入作業完了を待つことなく、次の種類の布類C2を供給部40に供給できる。そのため、作業員の待ち時間をより短縮できる。
【0073】
〔第3実施形態〕
走行体20は一つで一枚の布類Cを把持する構成でもよい。図14(A)および図14(B)に示すように、走行体20は台車21を有する。台車21の下部にはステー22を介して水平な梁24が設けられている。梁24は人間の肩幅程度の長さを有する。梁24の両端部にはそれぞれ一対のチャック23が固定されている。すなわち、走行体20は合計4つのチャック23を有する。一方の端部に設けられた一対のチャック23は、協働して、布類Cの一方の角部を把持する。他方の端部に設けられた一対のチャック23は、協働して、布類Cの他方の角部を把持する。なお、梁24の両端部にそれぞれ1つのチャック23を設けてもよい。
【0074】
図13に示すように、本実施形態の布類搬送装置CCは、前記構成の走行体20を用いるため、各供給部40は2つの供給ライン34A、34Bではなく、1本のラインで構成される。また、排出部50も複数の排出ライン35ではなく、1本のラインで構成される。
【0075】
〔第4実施形態〕
つぎに、第4実施形態に係る布類搬送装置DDを説明する。
図15に示すように、本実施形態の布類搬送装置DDは、複数(図示の例では2つ)の搬送ライン30を有する。各搬送ライン30は供給部40と排出部50とを有する。走行体20は供給部40と排出部50とを経由しつつ搬送ライン30を循環する。各搬送ライン30は一台の次工程装置NXに対して並列に配置されている。搬送ライン30の数は特に限定されない。次工程装置NXは布類Cを受け付ける部分を複数有する。各部分に対応するよう搬送ライン30を設ければよい。
【0076】
図16(A)および図16(B)に示すように、供給部40において搬送ライン30は、側面視略U字形であり、床面から離れた高所から下方に延びた後、再び高所に向けて上方に延びている。搬送ライン30の最下部は、人間の腕の高さ程度に設定されている。
【0077】
走行体20として、図14(A)および図14(B)に示す構成のものを用いることができる。走行体20は搬送ライン30の復路から供給部40に供給され、供給待機位置P1で待機する。作業員は、布類Cの一辺の両端角部を見つけ出し走行体20に取り付ける。その後、走行体20は布類Cを把持したまま、搬送ライン30の往路に沿って走行する。
【0078】
布類Cを把持した走行体20は、搬送ライン30を排出部50に向かって走行する。供給部40と排出部50との間の区間において、複数の走行体20が待ち行列を作り、処理されるまで一時的に待機する。
【0079】
図17(A)および図17(B)に示すように、排出部50において搬送ライン30は、側面視略U字形であり、高所から下方に延びた後、再び高所に向けて上方に延びている。搬送ライン30の最下部に到達した走行体20は、チャック23を開放して、布類Cを次工程装置NXに受け渡す。布類Cを受け渡した空の走行体20は、搬送ライン30の復路を走行し、再び供給部40に供給される。
【0080】
図15に示すように、布類搬送装置DDは制御装置10に種類変更信号を出力する入力装置11を有する。ここで、種類変更信号とは、供給部40に供給する布類Cの種類が変更されることを意味する信号である。作業員の入力操作により入力装置11から制御装置10に種類変更信号が出力される。すなわち、作業員が布類Cの種類の変更を指示できる。
【0081】
また、制御装置10は、搬送ライン30ごとに種類変更信号を受け付ける。例えば、各供給部40に入力装置11が設けられる。作業員が一の入力装置11を操作すると、その入力装置11に対応する搬送ライン30に対する種類変更信号が制御装置10に入力される。
【0082】
つぎに、図18図19を参照しつつ、布類搬送装置DDに供給する布類Cを第1種類の布類C1から第2種類の布類C2に変更する場合の布類搬送装置DDの動作を説明する。なお、図18図19における(1)~(4)は、それぞれ以下の説明の(1)~(4)に対応する。
【0083】
(1)初期状態
全ての作業員は第1種類の布類C1の投入作業を行なう。全ての搬送ライン30には第1種類の布類C1を把持した走行体20(先行走行体20L)のみが走行している。
【0084】
(2)種類変更
右側の作業員Wが第1種類の布類C1の投入作業を完了したとする。この際、作業員Wは担当する供給部40に設けられた入力装置11に布類Cの種類の変更を入力する。そうすると、右側の搬送ライン30に対する種類変更信号が制御装置10に入力される。以下、種類変更信号を受け付けた搬送ライン30を対象搬送ライン30tと称する。
【0085】
その後、作業員Wは第2種類の布類C2を走行体20に取り付ける。なお、本実施形態では、作業員Wが入力装置11を操作した後、すぐに第2種類の布類C2の投入作業を行なうことができる。また、種類変更信号を受け付けていない他の搬送ライン30においては、第1種類の布類C1の受付を継続する。
【0086】
(3)待機
種類変更信号を受け付けた後に布類C2を把持した走行体を後行走行体20Tと称する。後行走行体20Tは対象搬送ライン30tを走行する。対象搬送ライン30tでは排出部50において先行走行体20Lから布類C1を排出する動作が継続される。
【0087】
制御装置10は、全ての搬送ライン30において先行走行体20Lの全てから布類C1が排出されるまで、後行走行体20Tを対象搬送ライン30tの排出部50の手前で待機させる。すなわち、対象搬送ライン30tにおいて先行走行体20Lから布類C1を排出する処理が完了したとしても、他の搬送ライン30に先行走行体20Lが存在する場合は、後行走行体20Tを待機させる。
【0088】
なお、制御装置10は、走行体20が布類Cを把持したタイミングが種類変更信号を受け付ける前か後かによって、先行走行体20Lと後行走行体20Tとを区別できる。また、供給部40における走行体20の布類Cの把持動作と、排出部50における走行体20の布類Cの開放動作とから、各走行体20の順番を把握できる。すなわち、制御装置10は後行走行体20Tが排出部50の手前に達したこと、および搬送ライン30に先行走行体20Lが存在するか否かを把握できる。
【0089】
以上の(2)種類変更および(3)待機の動作は、搬送ライン30ごとに並列に行われる。すなわち、第1種類の布類C1の投入作業が完了した順に、種類変更および後行走行体20Tの待機が行われる。最終的には全ての搬送ライン30において先行走行体20Lの全てから布類C1が排出された状態となる。
【0090】
(4)待機解除
その後、制御装置10は、全ての搬送ライン30における後行走行体20Tの待機を解除する。これにより、次工程装置NXへの第2種類の布類C2の供給が開始される。
【0091】
本実施形態では、全ての搬送ライン30から第1種類の布類C1が排出されるまで後行走行体20Tを待機させるので、搬送ライン30上に複数種類の布類が存在しても、種類順に排出される。そのため、作業員は第1種類の布類C1の供給が完了した後、すぐに第2種類の布類C2を供給でき、待ち時間を短縮できる。
【0092】
以上では作業員が入力装置11を操作して種類変更信号を出力する例を説明したが、これに代えて、布類Cの種類を検知する種類検知器を用いてもよい。布類Cの種類は、布類Cの重さ、長さ、形状、柄などの相違に基づいて判断できる。例えば、供給部40を構成する搬送ライン30において走行体20を上昇させるサーボモータの負荷率から布類Cの重さを判断できる。また、光電センサによる布類Cの検知時間から布類Cの長さを判断できる。カメラで布類Cを撮影した画像を解析して、布類の形状および柄を判断できる。
【0093】
種類検知器は搬送ライン30を搬送される布類Cの種類を自動的に検知する。そして、布類Cの種類が変更されたときに種類変更信号を制御装置10に出力する。このような構成とすれば、布類Cの種類が自動的に検知されるので、作業員が入力操作を行なう必要がなく、作業負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0094】
AA、CC、DD 布類搬送装置
10 制御装置
20 走行体
30 搬送ライン
32 分岐ライン
33 統合ライン
34A 供給ライン
34B 供給ライン
35 排出ライン
40 供給部
50 排出部
S1 供給区間
S2 中間区間
S3 排出区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19