(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180042
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】表示装置、および、表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231213BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 304A
G09F9/00 338
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093100
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昌聡
【テーマコード(参考)】
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
3D344AA11
3D344AB01
3D344AD01
5G435AA07
5G435AA12
5G435AA17
5G435EE03
5G435GG42
5G435GG43
5G435HH05
5G435KK03
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】ガラスと表示部との接着を容易にする表示装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る表示装置は、板状のガラスと、枠体と、表示部とを備える。枠体は、板状のガラスの周縁に接するように設けられる。枠体は、樹脂製である。表示部は、ガラス、および、枠体と接着される。表示部と接着する、ガラス、および、枠体の接着面は、同一面上に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のガラスと、
前記板状のガラスの周縁に接するように設けられる樹脂製の枠体と、
前記ガラス、および、前記枠体と接着される表示部と
を備え、
前記表示部と接着する、前記ガラス、および、前記枠体の接着面は、同一面上に設けられる、表示装置。
【請求項2】
前記ガラスには、前記周縁の少なくとも一部に傾斜面が形成され、
前記枠体は、前記ガラスを保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記傾斜面に当接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ガラスの側面の少なくとも一部は、曲面形状であり、
前記枠体は、前記ガラスを保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記曲面形状の側面に当接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記枠体には、前記保持部の周囲に溝部が形成される、請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記接着面とは反対側の前記ガラスの面側、および、前記接着面とは反対側の前記枠体の面側に設けられるフィルムを備え、
前記フィルムには、前記ガラスと前記枠体との境界部分に溝部が形成される、請求項1~3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
板状のガラスをフィルムに貼り付ける工程と、
前記ガラス、および、前記フィルムに樹脂製の枠体を形成する工程と、
前記ガラス、および、前記枠体に表示部を接着する工程と
を有し、
前記枠体は、前記ガラスの周縁に接するように設けられ、
前記表示部と接着する、前記ガラス、および、前記枠体の接着面は、同一面上に設けられる、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスを用いた表示装置の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスを枠体によって保持する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置にガラスが用いられ、ガラスが樹脂製の枠体によって保持される場合、ガラスが枠体に接合しないため、ガラスは裏面側から樹脂の枠体によって押さえられて保持される。この場合、
図6に示すように、表示装置100は、ガラス101を押さえる樹脂製の枠体102が表示部103側に突出するため、ガラス101の裏面と表示部103との間に隙間104が生じる。ガラス101と表示部103とをオプティカルボンディング剤105によって接着する場合、ガラス101の裏面と表示部103との間に生じる隙間104によって、ガラス101と表示部103との接着が困難となる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ガラスと表示部との接着を容易にする表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る表示装置は、板状のガラスと、枠体と、表示部とを備える。枠体は、板状のガラスの周縁に接するように設けられる。枠体は、樹脂製である。表示部は、ガラス、および、枠体と接着される。表示部と接着する、ガラス、および、枠体の接着面は、同一面上に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、ガラスと表示部との接着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置を示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、変形例に係る表示装置の断面を示す図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る表示装置の断面の一部を示す図である。
【
図6】
図6は、比較例に係る表示装置の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る表示装置、および、表示装置の製造方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施形態に係る表示装置1は、
図1、および、
図2を参照し説明される。
図1は、実施形態に係る表示装置1を示す正面図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。
【0011】
表示装置1は、たとえば、車両のディスプレイである。表示装置1は、シームレスパネルである。表示装置1は、加飾パネルである。表示装置1は、たとえば、車両のインストルメントパネルに設けられる。
【0012】
なお、以下では、表示装置1の正面側を表面とし、表示装置1の正面側と反対側を裏面として説明することがある。
【0013】
表示装置1は、表示部2と、ガラス3と、枠体4と、フィルム5とを備える。表示部2は、たとえば、カーナビゲーション装置、および、オーディオ装置などを含む。表示部2は、車両の情報を表示する装置を含む。表示部2は、略矩形状である。
【0014】
ガラス3は、板状である。ガラス3は、略矩形状である。ガラス3は、表示部2の正面側に設けられる。ガラス3は、表示部2の表面に接着される。ガラス3は、オプティカルボンディング剤11によって表示部2の表面に接着される。ガラス3には、傾斜面7が形成される。傾斜面7は、ガラス3の裏面3a側の周縁の少なくとも一部に形成される。すなわち、傾斜面7は、ガラス3の側面の少なくとも一部に形成される。傾斜面7は、ガラス3の裏面3a側の全周に形成される。傾斜面7は、たとえば、ガラス3の周縁が面取りされることで形成される。
【0015】
枠体4は、樹脂製である。枠体4は、ガラス3の周囲に設けられる。枠体4は、たとえば、インストルメントパネルの一部である。枠体4は、インストルメントパネルとは別の部材であってもよい。
【0016】
枠体4は、ガラス3を保持する。枠体4は、ガラス3の周縁に接するように設けられる。枠体4は、保持部8を備える。保持部8は、ガラス3の側面に沿って形成される。保持部8は、ガラス3の側面の全周にわたり形成される。保持部8は、ガラス3の周縁に接するように設けられる。保持部8は、ガラス3の側面に当接する。保持部8は、ガラス3の傾斜面7に当接する。保持部8は、傾斜面7を覆うように形成される。保持部8は、保持部8の裏面8aがガラス3の裏面3aと同一面上となるように設けられる。同一面上とは、保持部8の裏面8aと、ガラス3の裏面3aとの高さが等しい状態であり、保持部8の裏面8aと、ガラス3の裏面3aとの境界に段差が生じない状態である。枠体4の保持部8は、オプティカルボンディング剤11によって表示部2の表面に接着される。ガラス3の裏面3a、および、枠体4の保持部8の裏面8aは、表示部2と接着される接着面である。
【0017】
枠体4には、溝部9が形成される。溝部9は、保持部8の周囲に形成される。溝部9は、保持部8の外側に全周にわたり形成される。溝部9は、保持部8の厚さ、および、他の枠体4の厚さよりも薄い。すなわち、溝部9は、肉盗み部である。
【0018】
フィルム5は、ガラス3の表面側、および、枠体4の表面側に設けられる。すなわち、フィルム5は、ガラス3の接着面とは反対側のガラス3の面側、および、枠体4の保持部8の接着面とは反対側の枠体4の面側に設けられる。フィルム5は、ガラス3の表面、および、枠体4の表面を覆うように設けられる。フィルム5は、ガラス3、および、枠体4に接着される。フィルム5は、たとえば、賦形フィルムである。
【0019】
実施形態に係る表示装置1の製造方法について、
図3を参照し説明する。
図3は、実施形態に係る表示装置1の製造工程を説明するフローチャートである。
【0020】
フィルム5にガラス3が貼り付けられる(S100)。ガラス3の表面がフィルム5に貼り付けられる。なお、ガラス3には、傾斜面7が予め形成される。
【0021】
次に、ガラス3の周囲に枠体4が形成される(S101)。たとえば、インサート成形によって、ガラス3が貼り付けられたフィルム5に枠体4が形成される。枠体4は接着剤によってフィルム5に接着されてもよい。枠体4は、保持部8の裏面8aと、ガラス3の裏面3aとが同一面上となるように形成される。また、枠体4は、保持部8がガラス3の傾斜面7に当接するように形成される。
【0022】
次に、ガラス3の裏面3a、および、保持部8の裏面8aに表示部2が接着される(S102)。表示部2は、オプティカルボンディング剤11によってガラス3の裏面3a、および、保持部8の裏面8aに接着される。なお、表示部2は、オプティカルボンディング剤11以外の接着剤によってガラス3の裏面3a、および、保持部8の裏面8aに接着されてもよい。
【0023】
表示装置1では、ガラス3の裏面3aと、保持部8の裏面8aとは、同一面上に設けられるため、段差・隙間の無い平面となり、表示部2と、ガラス3、および、保持部8との接着が容易となる。また、少ないオプティカルボンディング剤11によって、表示部2と、ガラス3、および、保持部8とが接着される。また、ガラス3と表示部2との間のオプティカルボンディング剤11への気泡の混入が抑制される。
【0024】
表示装置1では、枠体4の保持部8の周囲に溝部9が形成されることで、枠体4の熱膨張、または、枠体4の熱収縮によるガラス3への影響を低減できる。表示装置1は、たとえば、低温時に枠体4の熱収縮によってガラス3にかかる負荷による割れを低減できる。また、表示装置1は、保持部8の変形を低減できる。
【0025】
表示装置1は、板状のガラス3と、枠体4と、表示部2とを備える。枠体4は、板状のガラス3の周縁に接するように設けられる。枠体4は、樹脂製である。表示部2は、ガラス3、および、枠体4と接着される。表示部2と接着する、ガラス3の裏面3a、および、枠体4の裏面8aは、同一面上に設けられる。
【0026】
これにより、表示装置1は、枠体4の裏面8aと、ガラス3の裏面3aとを同一面上にすることで、ガラス3の裏面3a側、および、枠体4の裏面8a側に表示部2を接着する場合に、表示部2の接着を容易にすることができる。表示装置1は、表示部2の接着に用いられるオプティカルボンディング剤11の量を少なくすることができる。表示装置1は、ガラス3と表示部2との間のオプティカルボンディング剤11に気泡が混入することを抑制することができる。
【0027】
ガラス3には、傾斜面7が形成される。傾斜面7は、ガラス3の周縁の少なくとも一部に形成される。枠体4は、保持部8を備える。保持部8は、ガラス3を保持する。保持部8は、傾斜面7に当接する。
【0028】
これにより、表示装置1は、傾斜面7に当接する保持部8によって、ガラス3を保持することができ、ガラス3が脱落を防止することができる。
【0029】
枠体4には、溝部9が形成される。溝部9は、保持部8の周囲に形成される。
【0030】
これにより、表示装置1は、枠体4の熱膨張、または、枠体4の熱収縮によるガラス3の影響を低減することができる。表示装置1は、枠体4の熱膨張、または、枠体4の熱収縮が生じた場合に、ガラス3にかかる負荷を低減することができ、ガラス3の劣化を抑制することができる。表示装置1は、枠体4の熱膨張、または、枠体4の熱収縮による保持部8の変形を抑制することができる。そのため、表示装置1は、表示部2と、保持部8、および、ガラス3との接着が剥がれることを抑制することができる。
【0031】
変形例に係る表示装置1は、
図4に示すようにフィルム5に溝部10が形成されてもよい。
図4は、変形例に係る表示装置1の断面を示す図である。溝部10は、フィルム5の表面側に設けられる。溝部10は、ガラス3と枠体4との境界部分に形成される。溝部10は、ガラス3の側面に合わせて、ガラス3の側面に対応する位置に全周にわたり形成される。
【0032】
これにより、表示装置1は、ガラス3と枠体4との境界部分が正面側から目立つことを抑制することができる。表示装置1は、たとえば、枠体4が成形される場合に、ガラス3がずれることを抑制することができる。表示装置1は、枠体4の熱膨張、または、枠体4の熱収縮による変形が目立つことを抑制することができる。そのため、表示装置1は、美観を向上させることができる。
【0033】
変形例に係る表示装置1は、
図5に示すように、ガラス3の側面12を曲面形状としてもよい。曲面形状の側面12は、ガラス3の側面の少なくとも一部に形成される。たとえば、曲面形状の側面12は、ガラス3の側面の全周に形成される。保持部8は、曲面形状の側面12に当接するように形成される。
図5は、変形例に係る表示装置1の断面の一部を示す図である。これによっても、表示装置1は、ガラス3の脱落を防止することができる。
【0034】
なお、保持部8が当接するガラス3の形状は、上記形状に限定されるものではない。保持部8が当接するガラス3の形状は、たとえば、段状であってもよい。
【0035】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 表示装置
2 表示部
3 ガラス
3a 裏面(接着面)
4 枠体
5 フィルム
7 傾斜面
8 保持部
8a 裏面(接着面)
9 溝部
10 溝部
11 オプティカルボンディング剤