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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180050
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】生体ガス検出装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20231213BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231213BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20231213BHJP
【FI】
B62D1/06
B60N2/90
B60W40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093111
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 理絵
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 弘志
【テーマコード(参考)】
3B087
3D030
3D241
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3D030DB13
3D030DB17
3D241BA49
3D241BC01
3D241CC02
3D241CE05
3D241DD04Z
(57)【要約】
【課題】運転者の皮膚から排出される生体ガスに含まれる特定成分を安定して検出できて、運転者の状態を、誤検知を抑制して的確に検知可能な生体ガス検出装置を提供すること。
【解決手段】運転者から排出される生体ガスに含まれる特定成分を検出可能な生体ガス検出装置S。運転時に把持するハンドル1に搭載される。運転者の皮膚から排出される生体ガス中の特定成分を皮膚と非接触の状態で検出可能なガス検知センサ10と、作動時に皮膚に赤色光を照射可能な発光部15と、を備える。ガス検知センサと発光部とが、ハンドルにおける運転者の把持する把持部4において、運転者の手によって同時に覆い可能な領域に、配設されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、運転者から排出される生体ガスに含まれる特定成分を検出可能な生体ガス検出装置であって、
運転時に把持するハンドルに搭載されるとともに、
前記運転者の皮膚から排出される前記生体ガス中の前記特定成分を、前記皮膚と非接触の状態で検出可能なガス検知センサと、
作動時に前記皮膚に赤色光を照射可能な発光部と、
を備える構成とされ、
前記ガス検知センサと前記発光部とが、前記ハンドルにおける前記運転者の把持する把持部において、前記運転者の手によって同時に覆い可能な領域に、配設されていることを特徴とする生体ガス検出装置。
【請求項2】
前記ガス検知センサが、前記把持部を表面から凹ませるように形成される凹部内に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の生体ガス検出装置。
【請求項3】
前記把持部が、環状とされており、
前記ガス検知センサが、前記把持部において、前記運転者側となる上面側であって、前記手における拇指球付近の領域に覆われる位置に、配置され、
前記発光部が、前記把持部において、前記運転者から離隔した離隔面側であって、前記手において親指を除いた指によって覆われる位置に、配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体ガス検出装置。
【請求項4】
前記発光部が、前記把持部の回転操作方向に略沿うようにして、3個若しくは4個並設される赤色LEDを備える構成とされていることを特徴とする請求項3に記載の生体ガス検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて、運転者から排出される生体ガスに含まれる特定成分(アルコール成分等)を検出可能なガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者から排出されるアルコール成分等を検出可能な装置としては、運転者の汗に含まれるアルコール成分を検出して、飲酒状態を検知する構成の飲酒状態検知装置があった(例えば、特許文献1参照)。この従来の飲酒状態検知装置では、ハンドルを把持した人(運転者)の汗に含まれるアルコール成分の濃度を検出して人の飲酒状態を検知する構成であり、運転者の発汗を促進させるために、発熱体を併設させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-73422公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、汗の排出量は、個人差が大きく、例えば、乾燥肌の人や体温の低い人等は、発熱体を並設させる構成としていても、十分な発汗量を確保できない場合もあった。人の皮膚から排出される生体ガスは、汗と比較して、排出量の個人差が少ないことから、発明者らはこのような点に鑑み、皮膚から排出される生体ガスに着目して、本発明に至った。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、運転者の皮膚から排出される生体ガスに含まれる特定成分を安定して検出できて、運転者の状態を、誤検知を抑制して的確に検知可能な生体ガス検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る生体ガス検出装置は、車両に搭載されて、運転者から排出される生体ガスに含まれる特定成分を検出可能な生体ガス検出装置であって、
運転時に把持するハンドルに搭載されるとともに、
運転者の皮膚から排出される生体ガス中の特定成分を、皮膚と非接触の状態で検出可能なガス検知センサと、
作動時に皮膚に赤色光を照射可能な発光部と、
を備える構成とされ、
ガス検知センサと発光部とが、ハンドルにおける運転者の把持する把持部において、運転者の手によって同時に覆い可能な領域に、配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の生体ガス検出装置では、ハンドルの把持部を把持している運転者の手(皮膚)から排出される生体ガスに含まれる特定成分を、ガス検知センサによって、皮膚と非接触の状態で検知する構成であり、また、作動時に皮膚に赤色光を照射可能な発光部が、把持部の把持時に、ガス検知センサと同時に覆い可能な領域に、配設されている。このような発光部による赤色光の照射は、皮膚における被照射領域の血行を促進させる効果があることから、本発明の生体ガス検出装置では、発光部による赤色光の照射により、被照射領域の近傍、すなわち、把持部を把持している手の血管を流れる血流量を増大させることができ、このような血流量の増大によって、手から排出される生体ガスの排出量も安定させることができる。その結果、運転者の手から排出される生体ガスに含まれる特定成分を、的確に検出することができる。
【0008】
したがって、本発明の生体ガス検出装置では、運転者の皮膚から排出される生体ガスに含まれる特定成分を安定して検出できて、運転者の状態を、誤検知を抑制して的確に検知することができる。
【0009】
また、本発明の生体ガス検出装置において、ガス検知センサを、把持部を表面から凹ませるように形成される凹部内に、配設させる構成とすれば、ガス検知センサを、安定して、運転者の手と非接触状態とすることができ、また、凹部内に運転者の皮膚から排出される生体ガスを貯留させることができることから、一層確実に、生体ガス内の特定成分を検出可能となって、好ましい。
【0010】
さらに、上記構成の生体ガス検出装置において、把持部を、環状として、
ガス検知センサを、把持部において、運転者側となる上面側であって、手における拇指球付近の領域に覆われる位置に、配置させ、
発光部を、把持部において、運転者から離隔した離隔面側であって、手において親指を除いた指によって覆われる位置に、配置させる構成とすることが、好ましい。
【0011】
生体ガス検出装置をこのような構成とすれば、発光部を、運転者から視認し難い位置に配置させることができることから、作動時の赤色光が運転者の目に入り難く、さらに、比較的皮膚が薄く、かつ、毛細血管も多い指の領域に赤色光を照射させることにより、手の血流量を一層増大させる効果も得ることができて、好ましい。また、把持部の把持時に、ガス検知センサの配置領域を、拇指球付近の領域によって安定して広く覆うことができることから、ガス検知センサによる生体ガス検知を安定して行うことができる。
【0012】
具体的には、発光部を、把持部の回転操作方向に略沿うようにして、3個若しくは4個並設される赤色LEDを備える構成とすれば、把持部を把持している指の当たる領域に、親指を除いた4本の指の並んでいる方向に略沿うようにして、赤色LEDが並設されることから、赤色LEDによって複数の指を広く照射することができて、十分な照射効果(血流量増大効果)を得ることが可能となって、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である生体ガス検出装置を搭載させるハンドルを示す概略平面図である。
図2図1のハンドルにおいて、生体ガス検出装置の搭載部位付近を示す部分拡大平面図である。
図3図1のハンドルにおいて、ガス検知センサの配置部位付近を示す部分拡大平面図と断面図である。
図4図1のハンドルにおいて、リング部における発光部の配置部位を示す断面図である。
図5図1のハンドルの概略側面図である。
図6】実施形態の生体ガス検出装置におけるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の生体ガス検出装置Sは、図1に示すように、車両において運転者MDが操舵するハンドル1に搭載されている。実施形態では、生体ガスに含まれる特定成分として、アルコール成分を検出可能な生体ガス検出装置Sについて、説明をする。すなわち、実施形態の生体ガス検出装置Sは、運転者MDの飲酒状態を検知するためのものである。
【0015】
ハンドル1は、図1に示すように、図示しない回転軸に連結されるボス部3と、ボス部3の周囲に配置されて操舵時に把持する把持部としての略円環状のリング部4と、ボス部3とリング部4を連結する複数(実施形態の場合、3本)のスポーク部8と、を備えている。
【0016】
生体ガス検出装置Sは、図1,2に示すように、ガス検知センサ10と、ガス検知センサ10を収納させるための凹部12と、発光部15と、ガス検知センサ10及び発光部15の作動を制御する制御装置20と、を備えている。生体ガス検出装置Sは、操舵時に運転者MDによって通常把持される領域に配設される構成であり、実施形態の場合、図1に示すように、把持部としてのリング部4における右側に配置されるスポーク部8Rと交差している領域(運転者MDの右手RHが接触する領域)において、運転者MD側となる上面5a側の一箇所に、ガス検知センサ10を配設させるように、構成されている。詳細には、この領域は、運転者MDによるリング部4の把持時に、右手RHの拇指球TBを接触させる領域である。
【0017】
ガス検知センサ10は、リング部4を把持している運転者MDの右手RHの掌(皮膚)から排出される生体ガスに含まれる特定成分としてのアルコール(エタノール)成分を、右手RH(皮膚)と非接触の状態で検出可能とされるもので、実施形態の場合、半導体式の市販品を使用している。具体的には、ガス検知センサ10は、外径寸法dを7mm程度とした略円板状とされている(図3参照)。実施形態では、ガス検知センサ10として、半導体式のものを使用しているが、燃料電池式や非拡散赤外線吸収式のもの等も使用可能である。しかしながら、大きさやコスト、応答性能等を考慮すれば、半導体式のものを使用することが好ましい。このガス検知センサ10は、図3に示すように、凹部12内に配設されることにより、右手RH(皮膚)と非接触の状態で配置されている。
【0018】
実施形態の場合、ガス検知センサ10を収納させるための凹部12は、リング部4の上面5a側において、リング部4(具体的には、リング部4の表面5側を構成している被覆層4a)を表面5側から部分的に凹ませるように形成されるもので、底面12a側(凹みの先端側)にガス検知センサ10を配置させる構成である。具体的には、凹部12は、内径寸法を、ガス検知センサ10の外径寸法と略同一に設定されるとともに、底面12a側に配置されるガス検知センサ10の表面10aとリング部4の表面5(上面5a)との離隔距離hを2mm程度に、設定されている(図3参照)。この凹部12内には、右手RH(掌)との接触開始から15s程度で、運転者MDの右手RHから排出される生体ガスが充満されることとなり、ガス検知センサ10は、凹部12内に充満した生体ガス内のアルコール(エタノール)成分の有無を検知することとなる。
【0019】
発光部15は、作動時に皮膚(運転者MDの右手RH)に赤色光を照射可能とされるもので、実施形態の場合、図2,5に示すように、4個の赤色LED16を備える構成とされている。この発光部15は、運転者MDによるリング部4の把持時に、運転者MDの右手RHによって、ガス検知センサ10と同時に覆い可能な領域であって、リング部4において、運転者MDから離隔した離隔面側である下面5b側に、配置されている。詳細には、発光部15は、リング部4において、拇指球TBによってガス検知センサ10を覆うようにリング部4を把持している右手RHの親指Tを除いた指Fによって覆われる位置に、配置されている(図5参照)。具体的には、発光部15は、リング部4における右側のスポーク部8Rとの交差部位付近において、交差部位の略中央(ハンドル1を上方から見た状態でのガス検知センサ10の配置位置、図2参照)よりも前方となる領域(交差部位から前方にかけての領域)の下面5b側に、配置されている。さらに詳細には、発光部15を構成する4個の赤色LED16は、運転者MDの右手RHにおける親指Tを除いた4本の各指Fに対応させるように、リング部4の回転操作方向(すなわち、リング部4の周方向)に略沿わせるようにして並設されるとともに(図2,5参照)、リング部4を把持している各指Fの第二関節付近の領域(具体的には、第二関節と掌との間となる各指Fの付け根付近)によって覆われるような位置に、配設されている(図4参照)。さらに詳細には、各赤色LED16は、リング部4のリング面4bに略沿って、並設されている(図5参照)。すなわち、発光部15は、ガス検知センサ10と上下方向(ハンドル1における図示しない回転軸に沿った方向)と対向するような位置(リング部4の最下面)ではなく、リング部4における外下面側に、配設されている(図4参照)。具体的には、発光部15を構成する各赤色LED16は、図4に示すように、被覆層4aを表面5(下面5b)側から凹ませるようにして形成される収納凹部(図符号省略)内に収納されるようにして、皮膚と非接触の状態で、配置されている。発光部15を構成する赤色LED16としては、ピーク波長が590~830nmの波長領域内の赤色光を発光可能なものを、使用している。この発光部15を構成している赤色LED16は、運転者MDによるリング部4の把持の有無を検知するタッチセンサとしても使用することができ、実施形態では、赤色LED16が、運転者MDによるリング部4の把持の有無を検知するタッチセンサ機能を兼用している。
【0020】
制御装置20は、図6に示すように、ガス検知センサ10及び発光部15と電気的に接続されている。また、制御装置20には、運転者MDにリング部4の把持動作を促すためのアナウンス機構22や、運転者MDの運転席への着座状態を検知する着座検知センサ23も、電気的に接続されている。実施形態の場合、ガス検知センサ10による生体ガス中のアルコール成分の検出は、運転者MDによるリング部4の把持状態が維持された状態で、所定時間(実施形態の場合、15s程度)の間に3回計測を行う設定とされており、制御装置20は、ガス検知センサ10による三回の計測値により、運転者MDの飲酒状態を判定するように、設定されている。
【0021】
そして、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、ハンドル1の把持部としてのリング部4を把持している運転者MDの右手RH(皮膚)から排出される生体ガスに含まれる特定成分であるアルコール成分を、ガス検知センサ10によって、皮膚と非接触の状態で検知する構成であり、また、作動時に皮膚に赤色光を照射可能な発光部15が、リング部4の把持時に、ガス検知センサ10と同時に覆い可能な領域に、配設されている。このような発光部15による赤色光の照射は、皮膚における被照射領域の血行を促進させる効果があることから、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、発光部15による赤色光の照射により、被照射領域の近傍、すなわち、リング部4を把持している右手RHの血管を流れる血流量を増大させることができ、このような血流量の増大によって、右手RHから排出される生体ガスの排出量も安定させることができる。その結果、運転者MDの右手RHから排出される生体ガスに含まれるアルコール成分を、的確に検出することができる。
【0022】
したがって、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、運転者MDの皮膚から排出される生体ガスに含まれる特定成分(アルコール成分)を安定して検出できて、運転者MDの状態(飲酒状態)を、誤検知を抑制して的確に検知することができる。
【0023】
また、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、ガス検知センサ10が、リング部4を表面5から凹ませるように形成される凹部12内に、配設される構成であることから、ガス検知センサ10を、安定して、運転者MDの右手RHと非接触状態とすることができ、また、凹部12内に運転者MDの皮膚から排出される生体ガスを貯留させることができることから、一層確実に、生体ガス内の特定成分(アルコール成分)を検出することができる。なお、このような点を考慮しなければ、ガス検知センサを、皮膚から排出される生体ガスを貯留させるような凹部内ではなく、単に、皮膚と接触しないような位置に、配置させる構成としてもよい。
【0024】
さらに、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、ガス検知センサ10が、円環状のリング部4において、運転者MD側となる上面5a側であって、右手RHにおける拇指球TB付近の領域に覆われる位置に、配置され、発光部15が、リング部4において、運転者MDから離隔した離隔面(下面5b)側であって、右手RHにおいて親指Tを除いた指Fによって覆われる位置に、配置されている。そのため、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、発光部15を、運転者MDから視認し難い位置に配置させることができることから、作動時の赤色光が運転者MDの目に入り難く、さらに、比較的皮膚が薄く、かつ、毛細血管も多い指Fの領域に赤色光を照射させることにより、右手RHの血流量を一層増大させる効果も得ることができる。また、右手RHによるリング部4の把持時に、ガス検知センサ10の配置領域を、拇指球TB付近の領域によって安定して広く覆うことができることから、ガス検知センサ10による生体ガス検知を安定して行うことができる。手(右手RH)における拇指球TB付近の領域は、なだらかに湾曲しつつ(凹凸が少なく)、かつ、面積も広いことから、リング部4の把持時に、凹部12の開口周縁に全域にわたって安定して接触させやすく、換言すれば、リング部4の把持時に、拇指球TBによって凹部12を安定して閉塞させることができて、皮膚から排出される生体ガスが漏れることを抑制して、アルコール成分を迅速に検出することができる。なお、このような点を考慮しなければ、ガス検知センサと発光部との配置位置は、把持時に手で同時に覆い可能な位置に配設させる構成であれば、実施形態に限定されるものではなく、例えば、逆に、発光部をリング部の上面側に配置させ、ガス検知センサをリング部の下面側に配置させる構成としてもよい。
【0025】
さらにまた、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、発光部15が、リング部4の回転操作方向に略沿うようにして4個並設される赤色LED16を備える構成とされている。すなわち、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、リング部4を把持している指Fの当たる領域に、親指Tを除いた4本の指Fの並んでいる方向に略沿うようにして、赤色LED16が4個並設されることから、赤色LED16によって複数の指Fを広く照射することができて、十分な照射効果(血流量増大効果)を得ることができる。特に、実施形態の生体ガス検出装置Sでは、4個の赤色LED16が、リング部4を握っている右手RHの複数の指F(親指Tを除いた残りの4本の指F)に対応するように配置される構成であることから、各指Fを的確に照射することができる。赤色LED16の配置数は3個としてもよく、3個配設させる構成としても、複数の指を広く照射することができて、十分な照射効果を得ることができる。なお、このような点を考慮しなければ、発光部として、4本の指のうちの少なくとも1本に照射できるように、1個乃至2個の赤色LEDを備える構成のものを使用してもよい。
【0026】
実施形態の生体ガス検出装置Sによる運転者MDの飲酒状態の検知の一例を示せば、例えば、運転開始前において運転者MDが図示しない運転席に着座した状態を検知した際に、運転者MDにリング部4を握るように指示するアナウンスを行い、運転者MDによるリング部4の把持状態を確認しつつ(発光部15を構成する赤色LED16の検知による)、所定時間中に、ガス検知センサ10によるアルコール成分の検出を3回行い、運転者MDの飲酒状態を判別することが例示できる。このようなアルコール成分検知のタイミングは一例であり、他にも、自動運転から手動運転への切り替え時に、作動させてアルコール成分を検知させるように設定してもよい。また、車両に、別途、運転者を撮像可能なカメラや運転者の体温を検知可能なサーモカメラ等を搭載し、車両走行中における運転者の状態変化を検出可能な構成とする場合には、車両走行中に作動させて、運転者の飲酒状態を検知するように設定することも可能である。
【0027】
運転者の飲酒状態の判定後には、車両の走行開始前の状態であったら、エンジンを停止させる措置を取ること等が例示でき、車両の走行中であったら、自動運転モードに切り替えて走行した後に車両停止等の措置を取ること等が例示できる。
【0028】
なお、実施形態では、生体ガス中に含まれる特定成分として、アルコール成分を検出可能な生体ガス検出装置Sを例に採り説明しているが、特定成分はアルコール成分に限定されるものではない。本発明は、例えば、特定成分としてアセトン(ケトン体)を検出可能な構成として、運転者の糖代謝量を検知させることにより、運転者の健康管理に役立てるような用途としてもよい。
【0029】
また、実施形態では、円環状のリング部4を有するハンドル1に、生体ガス検出装置Sを搭載させているが、このようなハンドルは一例にすぎず、例えば、四角環状のリング部(把持部)を備えるものや、環状とせず、ボス部から部分的に突出する棒状の把持部(グリップ部)を備えるタイプのハンドルにも、本発明の生体ガス検出装置は搭載可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…ハンドル、4…リング部(把持部)、5…表面、5a…上面、5b…下面、10…ガス検知センサ、12…凹部、15…発光部、16…赤色LED、MD…運転者、RH…右手(手)、TB…拇指球、F…指、S…生体ガス検出装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6