IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図1
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図2
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図3
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図4
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図5
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図6
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図7
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図8
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図9
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図10
  • 特開-遠隔対応システムおよび処理装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180051
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】遠隔対応システムおよび処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20231213BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20231213BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093113
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】才木 天斗
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 正朋
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】処理装置のユーザに対して遠隔にて対応するオペレータの負担を軽減する。
【解決手段】処理装置300は、ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置300の情報を出力する。現場端末100は、処理装置300の情報を遠隔対応端末200へ送信する。遠隔対応端末200は、遠隔にて複数の処理装置300に関する画像を即時的に表示すると共に、処理装置300から出力された情報を取得し、取得した情報に基づき、表示された処理装置300の表示態様を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置の情報を出力する出力手段と、
遠隔にて複数の前記処理装置に関する画像を即時的に表示する表示手段と、
前記複数の処理装置に対応する複数の前記出力手段により出力された前記情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記複数の処理装置の情報に基づき、前記表示手段に表示された当該複数の処理装置の表示態様を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする、遠隔対応システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得される前記処理装置の情報に応じて、少なくとも通常表示およびオペレータの注意を促す注意喚起表示を含む何れかの表示態様で、前記複数の処理装置の各々を前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔対応システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記注意喚起表示において、前記取得手段により取得される前記処理装置の情報に応じて、前記オペレータの注意を促す第1注意喚起表示および前記オペレータの注意を促し当該オペレータに前記ユーザへの対応を要請する第2注意喚起表示の何れかで、当該処理装置を前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項2に記載の遠隔対応システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示手段により表示された前記複数の処理装置のうち、オペレータによる前記ユーザへの対応の対象外である処理装置に関して、当該処理装置が対象外であることを示す表示態様で、当該処理装置を前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の遠隔対応システム。
【請求項5】
前記処理装置に設けられた、または当該処理装置の近傍に配置された端末装置との間で、少なくとも音声を含む手段によるメッセージの送受信を行う通信手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔対応システム。
【請求項6】
前記通信手段による前記メッセージの送受信を用いてオペレータにより行われる前記ユーザへの対応で取得される対応情報を保持する保持手段と、
前記処理装置の近傍で前記ユーザに対面して対応する現場係員に当該ユーザへの対応を引き継ぐ場合に、前記通信手段により当該現場係員が操作する係員端末と接続し、前記保持手段に保持された前記対応情報を送信する送信制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の遠隔対応システム。
【請求項7】
ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置に設けられ、または当該処理装置の近傍に配置され、外部装置とメッセージ交換が可能な第1端末と、
複数の前記第1端末と接続してメッセージ交換が可能であり、複数の前記処理装置のユーザへの対応を行うオペレータが操作する第2端末と、を備え、
前記第2端末は、
前記複数の処理装置に関する画像を表示する表示手段と、
前記複数の処理装置の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記複数の処理装置の情報に基づき、前記表示手段に表示された当該複数の処理装置の表示態様を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする、遠隔対応システム。
【請求項8】
前記第2端末の前記表示制御手段は、前記取得手段により取得される前記処理装置の情報に応じて、少なくとも通常表示および前記オペレータの注意を促す注意喚起表示を含む何れかの表示態様で、前記複数の処理装置の各々を前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項7に記載の遠隔対応システム。
【請求項9】
前記第2端末の前記表示制御手段は、前記注意喚起表示において、前記取得手段により取得される前記処理装置の情報に応じて、前記オペレータの注意を促す第1注意喚起表示および前記オペレータの注意を促し当該オペレータに前記ユーザへの対応を要請する第2注意喚起表示の何れかで、当該処理装置を前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項8に記載の遠隔対応システム。
【請求項10】
前記第2端末の前記表示制御手段は、前記表示手段により表示された前記複数の処理装置のうち、前記オペレータによる前記ユーザへの対応の対象外である処理装置に関して、当該処理装置が対象外であることを示す表示態様で、当該処理装置を前記表示手段に表示させることを特徴とする、請求項7乃至請求項9の何れかに記載の遠隔対応システム。
【請求項11】
前記第2端末は、
前記オペレータにより行われる前記メッセージ交換による前記ユーザへの対応で取得される対応情報を保持する保持手段と、
前記処理装置の近傍で前記ユーザに対面して対応する現場係員に当該ユーザへの対応を引き継ぐ場合に、当該現場係員が操作する係員端末と接続し、前記保持手段に保持された前記対応情報を送信する送信制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の遠隔対応システム。
【請求項12】
ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置に設けられ、または当該処理装置の近傍に配置され、外部装置とメッセージ交換が可能な第1端末と、
複数の前記第1端末と接続してメッセージ交換が可能であり、遠隔にて複数の前記処理装置の前記ユーザへの対応を行うオペレータが操作する第2端末と、
前記第2端末と接続してデータの送受信が可能であり、前記処理装置の近傍で前記ユーザに対面して対応する現場係員が操作する第3端末と、を備え、
前記第2端末は、
前記ユーザへの対応において取得される対応情報を保持する保持手段と、
前記ユーザへの対応を前記現場係員に引き継ぐ場合に、前記保持手段に保持された前記対応情報を前記第3端末へ送信する送信制御手段と、
を備えることを特徴とする、遠隔対応システム。
【請求項13】
ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置に設けられ、または当該処理装置の近傍に配置され、外部装置とメッセージ交換が可能な第1端末と、
複数の前記第1端末と接続してメッセージ交換が可能であり、遠隔にて複数の前記処理装置の前記ユーザへの対応を行うオペレータが操作する第2端末と、
前記第2端末と接続してデータの送受信が可能であり、前記処理装置の近傍で前記ユーザに対面して対応する現場係員が操作する第3端末と、を備え、
前記第3端末は、
前記ユーザへの対応において取得される対応情報を保持する保持手段と、
前記ユーザへの対応を前記オペレータに引き継ぐ場合に、前記保持手段に保持された前記対応情報を前記第2端末へ送信する送信制御手段と、
を備えることを特徴とする、遠隔対応システム。
【請求項14】
ユーザによる操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた操作に応じて特定の媒体に関する処理を実行する処理手段と、
外部装置と接続する接続手段と、
自装置の状態に関する情報を前記外部装置へ送信する送信制御手段と、
少なくとも音声を含む手段によるメッセージの入出力を行う入出力手段と、を備え、
前記接続手段により接続された外部装置と前記メッセージの送受信が可能であることを特徴とする、処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔対応システムおよび処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の店舗を複数のオペレータで接客する接客システムがある。特許文献1には、複数の店舗端末と、複数のオペレータ端末と、店舗端末およびオペレータ端末と通信可能な管理装置とを備え、管理装置は、店舗端末を介しての接客を選択可能状態で複数のオペレータ端末を待機させる仮想的な仮想的待機ルームを構成する仮想的待機ルーム構成部と、接客を選択したオペレータのオペレータ端末と選択された店舗端末との間で接客可能にする仮想的な仮想的接客ルームを構成する仮想的接客ルーム構成部と、を備える接客システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-153294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の処理装置の状態を監視する作業は負担が大きいため、オペレータの作業負担の軽減が要請される。
【0005】
本発明は、処理装置のユーザに対して遠隔にて対応するオペレータの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明は、ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置の情報を出力する出力手段と、遠隔にて複数の処理装置に関する画像を即時的に表示する表示手段と、複数の処理装置に対応する複数の出力手段により出力された情報を取得する取得手段と、取得手段により取得した複数の処理装置の情報に基づき、表示手段に表示された複数の処理装置の表示態様を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする、遠隔対応システムである。
ここで、表示制御手段は、取得手段により取得される処理装置の情報に応じて、少なくとも通常表示およびオペレータの注意を促す注意喚起表示を含む何れかの表示態様で、複数の処理装置の各々を表示手段に表示させることとしても良い。
また、表示制御手段は、注意喚起表示において、取得手段により取得される処理装置の情報に応じて、オペレータの注意を促す第1注意喚起表示およびオペレータの注意を促しオペレータにユーザへの対応を要請する第2注意喚起表示の何れかで、処理装置を表示手段に表示させることとしても良い。
さらに、表示制御手段は、表示手段により表示された複数の処理装置のうち、オペレータによるユーザへの対応の対象外である処理装置に関して、処理装置が対象外であることを示す表示態様で、処理装置を表示手段に表示させることとしても良い。
また、上記の遠隔対応システムにおいて、処理装置に設けられた、または処理装置の近傍に配置された端末装置との間で、少なくとも音声を含む手段によるメッセージの送受信を行う通信手段をさらに備える構成としても良い。
また、上記の遠隔対応システムにおいて、通信手段によるメッセージの送受信を用いてオペレータにより行われるユーザへの対応で取得される対応情報を保持する保持手段と、処理装置の近傍でユーザに対面して対応する現場係員にユーザへの対応を引き継ぐ場合に、通信手段により現場係員が操作する係員端末と接続し、保持手段に保持された対応情報を送信する送信制御手段と、をさらに備える構成としても良い。
上記の目的を達成する他の本発明は、ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置に設けられ、または処理装置の近傍に配置され、外部装置とメッセージ交換が可能な第1端末と、複数の第1端末と接続してメッセージ交換が可能であり、複数の前記処理装置のユーザへの対応を行うオペレータが操作する第2端末と、を備え、第2端末は、複数の処理装置に関する画像を表示する表示手段と、複数の処理装置の情報を取得する取得手段と、取得手段により取得した複数の処理装置の情報に基づき、表示手段に表示された複数の処理装置の表示態様を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする、遠隔対応システムである。
ここで、第2端末の表示制御手段は、取得手段により取得される処理装置の情報に応じて、少なくとも通常表示およびオペレータの注意を促す注意喚起表示を含む何れかの表示態様で、複数の処理装置の各々を表示手段に表示させることとしても良い。
また、第2端末の表示制御手段は、注意喚起表示において、取得手段により取得される処理装置の情報に応じて、オペレータの注意を促す第1注意喚起表示およびオペレータの注意を促しオペレータにユーザへの対応を要請する第2注意喚起表示の何れかで、処理装置を表示手段に表示させることとしても良い。
また、第2端末の表示制御手段は、表示手段により表示された複数の処理装置のうち、オペレータによるユーザへの対応の対象外である処理装置に関して、処理装置が対象外であることを示す表示態様で、処理装置を表示手段に表示させることとしても良い。
さらに、第2端末は、オペレータにより行われるメッセージ交換によるユーザへの対応で取得される対応情報を保持する保持手段と、処理装置の近傍でユーザに対面して対応する現場係員にユーザへの対応を引き継ぐ場合に、現場係員が操作する係員端末と接続し、保持手段に保持された対応情報を送信する送信制御手段と、をさらに備える構成としても良い。
さらに、他の本発明は、ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置に設けられ、または処理装置の近傍に配置され、外部装置とメッセージ交換が可能な第1端末と、複数の第1端末と接続してメッセージ交換が可能であり、遠隔にて複数の処理装置のユーザへの対応を行うオペレータが操作する第2端末と、第2端末と接続してデータの送受信が可能であり、処理装置の近傍でユーザに対面して対応する現場係員が操作する第3端末と、を備え、第2端末は、ユーザへの対応において取得される対応情報を保持する保持手段と、ユーザへの対応を現場係員に引き継ぐ場合に、保持手段に保持された対応情報を第3端末へ送信する送信制御手段と、を備えることを特徴とする、遠隔対応システムである。
さらに、他の本発明は、ユーザによる操作を受け付けて処理を実行する処理装置に設けられ、または処理装置の近傍に配置され、外部装置とメッセージ交換が可能な第1端末と、複数の第1端末と接続してメッセージ交換が可能であり、遠隔にて複数の処理装置のユーザへの対応を行うオペレータが操作する第2端末と、第2端末と接続してデータの送受信が可能であり、処理装置の近傍でユーザに対面して対応する現場係員が操作する第3端末と、を備え、第3端末は、ユーザへの対応において取得される対応情報を保持する保持手段と、ユーザへの対応をオペレータに引き継ぐ場合に、保持手段に保持された対応情報を第2端末へ送信する送信制御手段と、を備えることを特徴とする、遠隔対応システムである。
さらに、他の本発明は、ユーザによる操作を受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けた操作に応じて特定の媒体に関する処理を実行する処理手段と、外部装置と接続する接続手段と、自装置の状態に関する情報を外部装置へ送信する送信制御手段と、少なくとも音声を含む手段によるメッセージの入出力を行う入出力手段と、を備え、接続手段により接続された外部装置とメッセージの送受信が可能であることを特徴とする、処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処理装置のユーザに対して遠隔にて対応するオペレータの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態による遠隔対応システムの構成を示す図である。
図2】処理装置の構成を示す図である。
図3】現場端末の構成を示す図である。
図4】遠隔対応端末の構成を示す図である。
図5】監視画面の例を示す図である。
図6図5に示した監視画面において、各店舗の状況を反映させた状態の表示例を示す図である。
図7】対応画面の例を示す図である。
図8】報知情報と注意喚起表示との対応関係の例を示す図である。
図9】本実施形態による遠隔対応システムにおける他の構成例である。
図10】本実施形態による遠隔対応システムにおけるさらに他の構成例を示す図である。
図11】現場係員用端末の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態による遠隔対応システムの構成を示す図である。本実施形態の遠隔対応システムは、店舗等の現場において、ユーザが操作する処理装置300の状態や操作状況等に応じて接客等の対応を遠隔操作にて行うシステムである。本実施形態の遠隔対応システムは、現場端末100と、遠隔対応端末200とを備えて構成される。
【0010】
現場端末100は、処理装置300が設置されている現場に配置される。ここでは、処理装置300が店舗10に設置されているものとする。図1に示す例では、現場端末100は、処理装置300が設置されている各店舗10に配置されている。現場端末100は、第1端末の一例である。
【0011】
遠隔対応端末200は、例えばセンターに配置され、オペレータにより操作される。図1に示す例では、店舗10ごとに配置された現場端末100と遠隔対応端末200とが、ネットワーク20を介して接続されている。遠隔対応端末200は、第2端末の一例である。
【0012】
ネットワーク20は、現場端末100と遠隔対応端末200とを接続してデータ交換可能とするものであれば良く、回線の種類や接続方法等は特に限定しない。例えば、専用回線を介して接続しても良いし、インターネット上にVPN(Virtual Private Network)を設定して接続しても良い。なお、図1では、複数の店舗10(店舗A、店舗B、店舗C、……)に添え字を付し、店舗10A、10B、10C、……と記載している。各店舗10に設置される処理装置300および現場端末100についてもそれらが設置される店舗10に対応する添え字を付している。以下の説明において、各店舗10や各店舗10の処理装置300および現場端末100を区別する必要がある場合は、これらの添え字を付して記載する。一方、各店舗10や各店舗10の処理装置300および現場端末100を区別する必要がない場合は、添え字を記載せず、単に店舗10、処理装置300、現場端末100と記載するか、または処理装置300(300A、300B、300C、……)、現場端末100(100A、100B、100C、……)等と記載する。
【0013】
<処理装置300の構成>
処理装置300は、図1を参照して説明したように、各店舗10に設置される装置である。本実施形態では、処理装置300の種類や処理の内容は特定しない。例えば、金銭の出納処理等に用いられる貨幣処理装置、帳票処理に用いられる帳票処理装置、物品の保管等に用いられる物品管理装置、ユーザによる取引データ等の入力に用いられる電子記帳台などの、ユーザによって操作される種々の装置を処理装置300として、本実施形態のシステムを適用し得る。
【0014】
図2は、処理装置300の構成を示す図である。処理装置300は、処理部310と、情報取得部320と、判断部330と、情報出力部340とを備える。また、処理装置300は、図示の機能部の他、具体的な処理装置300の種類に応じて固有の機能部やユーザインターフェイスを有する。例えば、処理装置300として貨幣処理装置が用いられる場合、処理装置300は、貨幣の投入口や排出口、貨幣処理のための情報や命令を入力したり処理結果を出力したりするための入出力装置や表示装置などを有するが、ここでは説明を省略する。
【0015】
処理部310、情報取得部320、判断部330および情報出力部340は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリ、磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により実現される。処理部310において、プロセッサが、記憶装置やメモリに保持されているプログラムを実行することにより、処理部310、情報取得部320および判断部330の各機能が実現される。また、情報出力部340の機能は、プロセッサがプログラムを実行し、処理装置300の通信インターフェイスを制御することにより実現される。
【0016】
処理部310は、処理装置300の種類に応じて設定されたデータ処理を実行する機能部である。例えば、処理装置300が貨幣処理装置である場合、入金処理や入金された貨幣の集計処理等が行われる。処理装置300が帳票処理装置である場合、帳票を読み取り、電子データに変換する処理等が行われる。処理装置300が物品管理装置である場合、収納物品の管理や収納物品の出し入れの記録等の処理が行われる。処理装置300が電子記帳台である場合、伝票等の記帳対象に対する入力を受け付け、電子データに変換する処理等が行われる。
【0017】
情報取得部320は、処理部310自身の監視機能や処理装置300の可動部等に設けられたセンサの出力等に基づき、処理装置300の状態や動作に関する情報を取得する。具体的には、処理装置300が行った処理の内容や処理の実行に伴う処理装置300の状態遷移の情報、ユーザが処理装置300に対して行った操作の情報などが取得される。これらの情報は、例えば、動作ログ等として取得される。
【0018】
判断部330は、情報取得部320により取得された処理装置300の情報に基づき、処理装置300の状態やユーザによる処理装置300の操作状況を判断する。本実施形態の遠隔操作システムは、遠隔対応端末200を操作するオペレータに対し、特に注意すべき処理装置300や店舗10を報知する。判断部330は、自装置を報知の対象とすべきか否かを判断する。
【0019】
より詳細には、本実施形態の遠隔操作システムは、処理装置300の状態やユーザによる処理装置300の操作状況に応じて、複数の異なる種類の報知を行う。例えば、単にオペレータの注意を促す報知、オペレータの注意を促すと共にオペレータによる遠隔対応の実施を要請する報知等が行われる。
【0020】
情報出力部340は、判断部330の判断結果に基づき、遠隔対応端末200へ送信される報知情報を現場端末100へ出力する。上記のように、複数の異なる種類の報知を行う場合、報知情報には、報知の種類の情報が含まれる。情報の出力は、例えば、判断部330による判断が行われるたびに行われる。また、情報出力部340は、必要に応じて、情報取得部320により取得された処理装置300の情報を現場端末100へ出力しても良い。この場合、情報出力部340は、情報の種類に応じて予め定められた出力条件を満足した際に出力しても良い。例えば、動作ログ等の情報を出力する場合は、予め定められた時間ごとに定期的に出力しても良い。
【0021】
<現場端末100の構成>
現場端末100は、本実施形態の遠隔対応システムにより遠隔対応を実施する際に、現場である店舗10において処理装置300のユーザと遠隔対応端末200のオペレータとのやり取りを中継する装置である。処理装置300のユーザと遠隔対応端末200のオペレータとのやり取りは、少なくとも音声を用いて行われ、より好ましくは動画を用いて行われる。
【0022】
図3は、現場端末100の構成を示す図である。現場端末100は、情報取得部110と、表示部120と、画像取得部130と、音声出力部140と、音声入力部150と、送受信部160と、制御部170とを備える。現場端末100は、例えば、コンピュータ等の情報機器により実現される。
【0023】
情報取得部110は、処理装置300に接続するための通信インターフェイスを備え、処理装置300から情報出力部340により出力された情報を取得する。具体的には、情報取得部110は、処理装置300の判断部330による判断結果に基づく報知情報を取得する。
【0024】
表示部120は、遠隔対応端末200のオペレータによる遠隔対応が行われる場合に、オペレータの画像を表示する表示装置である。表示部120は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置により実現される。表示部120には、オペレータの動画の他、オペレータが説明のために用いる資料画像を表示しても良い。
【0025】
画像取得部130は、遠隔対応を受ける処理装置300のユーザの画像を取得するカメラである。画像取得部130は、例えば、現場端末100の表示部120を見ている状態のユーザを正面から写す位置に設けられる。音声出力部140は、遠隔対応端末200から送られた音声を出力するスピーカ等の音声デバイスである。音声入力部150は、遠隔対応を受ける処理装置300のユーザの音声を入力するマイクロフォンである。表示部120、画像取得部130、音声出力部140および音声入力部150を用いることにより、処理装置300のユーザと遠隔対応端末200のオペレータとの間で、動画および音声を用いたメッセージのやり取りが行われる。
【0026】
送受信部160は、遠隔対応端末200との間でデータの送受信を行う。具体的には、送受信部160は、情報取得部110により取得された処理装置300に関する報知情報を遠隔対応端末200へ送信する。また、遠隔対応端末200のオペレータによる遠隔対応が行われる場合に、送受信部160は、遠隔対応端末200との間で動画データおよび音声データの送受信を行う。送受信部160は、ネットワーク20を介して遠隔対応端末200に接続するための通信インターフェイスを備える。
【0027】
制御部170は、現場端末100の各機能を制御する機能部である。制御部170は、例えば、CPU、RAMやROM等のメモリ、磁気ディスク装置やSSD等の記憶装置により実現される。制御部170において、CPUが、記憶装置やメモリに保持されているプログラムを実行することにより、現場端末100における各処理やデバイスの制御が行われる。
【0028】
また、図3に示す構成の他、現場端末100は、処理装置300のユーザが操作して命令やデータを入力するための操作手段を設けても良い。操作手段としては、例えば、キーボードやタッチパネル等の操作デバイスを用い得る。このような操作手段は、例えば、遠隔対応を受ける際に、処理装置300のユーザから遠隔対応端末200のオペレータへ、情報を提供するのに用いることができる。
【0029】
<遠隔対応端末200の構成>
遠隔対応端末200は、本実施形態の遠隔対応システムにおいて店舗10で処理装置300を使用するユーザに対し遠隔対応を行うために用いられる装置である。また、遠隔対応端末200は、店舗10におけるユーザによる処理装置300の使用に関し、処理装置300の状態や操作状況を監視するのに用いられる装置である。詳しくは後述するが、遠隔対応端末200は、複数の店舗10の状況を監視可能に構成される。
【0030】
図4は、遠隔対応端末200の構成を示す図である。遠隔対応端末200は、送受信部210と、表示部220と、画像取得部230と、音声出力部240と、音声入力部250と、操作部260と、制御部270と、記憶部280とを備える。遠隔対応端末200は、例えば、コンピュータにより実現される。
【0031】
送受信部210は、現場端末100との間でデータの送受信を行う。具体的には、送受信部210は、現場端末100において取得された処理装置300に関する報知情報を受信する。また、遠隔対応端末200のオペレータによる遠隔対応が行われる場合に、送受信部210は、現場端末100との間で動画データおよび音声データの送受信を行う。送受信部210は、ネットワーク20を介して現場端末100に接続するための通信インターフェイスを備える。
【0032】
表示部220は、各店舗10の処理装置300を監視するための画面(以下、「監視画面」と呼ぶ)や、遠隔対応を行うための画面(以下、「対応画面」と呼ぶ)を表示する表示装置である。監視画面は、遠隔対応端末200による監視対象である複数の店舗10の様子を表示する画面である。対応画面は、遠隔対応の対象である処理装置300のユーザや店舗10の様子を表示する画面である。監視画面および対応画面の詳細については後述する。表示部220は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置により実現される。
【0033】
画像取得部230は、遠隔対応端末200を操作するオペレータの画像を取得するカメラである。画像取得部230は、例えば、遠隔対応端末200の表示部220を見ている状態のオペレータを正面から写す位置に設けられる。音声出力部240は、現場端末100から送られた音声を出力するスピーカ等の音声デバイスである。音声入力部250は、遠隔対応端末200のオペレータの音声を入力するマイクロフォンである。表示部220、画像取得部230、音声出力部240および音声入力部250を用いることにより、遠隔対応端末200のオペレータと処理装置300のユーザとの間で、動画および音声を用いたメッセージのやり取りが行われる。
【0034】
操作部260は、遠隔対応端末200のオペレータが、命令やデータを入力するために操作するデバイスである。操作部260としては、例えば、キーボードやタッチパネル等の操作デバイスを用い得る。遠隔対応端末200のオペレータは、操作部260を操作することにより、動作モードの切り替えによる遠隔対応の開始や終了の操作を行ったり、表示部220の表示を監視画面から対応画面や他の操作画面に切り替えたりすることができる。また、オペレータは、操作部260を用い、遠隔対応において現場端末100の表示部120と画面を共有させ、処理装置300のユーザに閲覧してもらう資料のファイルを開いて表示させるといった操作を行うことができる。
【0035】
制御部270は、遠隔対応端末200の各機能を制御する機能部である。制御部270は、例えば、CPU、RAMやROM等のメモリ、磁気ディスク装置やSSD等の記憶装置により実現される。制御部270において、CPUが、記憶装置やメモリに保持されているプログラムを実行することにより、遠隔対応端末200における各処理やデバイスの制御が行われる。
【0036】
記憶部280は、遠隔対応において遠隔対応端末200のオペレータにより行われる処理装置300のユーザへの対応で取得される対応情報を記憶する。対応情報には、遠隔対応の対象となっている処理装置300の識別情報、ユーザの識別情報、処理装置300の状態や処理装置300に対して行われた操作の情報などが含まれる。記憶部280は、磁気ディスク装置やSSD等の記憶装置により実現される。記憶部280として、制御部270を構成する記憶装置の記憶領域等を用いても良い。
【0037】
<遠隔対応端末200の画面>
遠隔対応端末200における動作モードは、監視モードと対応モードとを含む。監視モードは、遠隔対応端末200に関連付けられた複数の店舗10における処理装置300の状態や操作状況を監視する動作モードである。対応モードは、監視対象の店舗10の中から選択された1つの店舗10に対して、遠隔対応端末200のオペレータが処理装置300のユーザに遠隔で対応する動作モードである。以下、各モードで表示される画面について、具体的に説明する。
【0038】
図5は、監視画面の例を示す図である。監視画面は、監視モードで表示部220に表示される画面である。図5に示す監視画面は、通常状態における表示例である。通常状態における各店舗10の画像の表示を、通常表示と呼ぶことにする。図5に示す例において、監視画面には、3列3行の9個の領域に分割され、各領域に1つの店舗10の画像が表示される。図5に示す例では、店舗A~店舗Iの9つの店舗10の画像が1つの監視画面に表示されている。監視画面に表示される各店舗10の画像は、例えば、現場端末100の画像取得部130により取得された画像である。また、各店舗10に監視カメラを設置しておき、この監視カメラが撮影した画像を専用回線やインターネット上に設定されたVPN回線を介して取得し、表示しても良い。遠隔対応端末200のオペレータは、監視モードにおいて、図5に示されるような監視画面を見て、表示されている店舗A~Iを監視する。
【0039】
図6は、図5に示した監視画面において、各店舗10の状況を反映させた状態の表示例を示す図である。図6に示す例では、店舗Aおよび店舗Fの表示領域に対し、注意喚起表示が行われている。注意喚起表示とは、監視対象の店舗10(図示の例では、店舗A~店舗I)のうち、オペレータが特に注意して監視することを促す表示である。具体的には、注意喚起表示の対象である店舗10の画像を、他の店舗10の画像の通常表示とは異なる表示態様で表示することにより、オペレータの注意を促す。注意喚起表示として用いられる表示態様は、特に限定しない。一例として、注意喚起表示の対象である店舗10の画像に特定の色の枠や特定の印を表示しても良い。また、注意喚起表示の対象である店舗10の画像の表示色や輝度を他の店舗10の画像とは異ならせても良い。図6に示す例では、注意喚起表示として該当する店舗10の画像に太枠(実線の枠および破線の枠)を表示している。
【0040】
注意喚起表示は、遠隔対応端末200が現場端末100から処理装置300の報知情報を受け取った場合に、受け取った報知情報に応じて、その報知情報を送った現場端末100が配置されている店舗10の画像に対して適用される。したがって、図6に示す例では、店舗Aおよび店舗Fの現場端末100から報知情報が送られ、この報知情報を受け取った遠隔対応端末200において該当する店舗A、Fの画像に注意喚起表示が行われた。
【0041】
本実施形態では、遠隔対応端末200が受け取った報知情報の種類に応じて2種類の注意喚起表示を行うものとする。第1注意喚起表示は、単にオペレータの注意を促す報知情報を受け取った場合に適用される表示である。図6において、第1注意喚起表示を破線の枠で示すものとする。第2注意喚起表示は、オペレータの注意を促すと共にオペレータによる遠隔対応の実施を要請する報知情報を受け取った場合に適用される表示である。図6において、第2注意喚起表示を実線の枠で示すものとする。図6に示す例では、店舗Aの現場端末100から受け取った報知情報に応じて第2注意喚起表示が行われ、店舗Fの現場端末100から受け取った報知情報に応じて第1注意喚起表示が行われている。第1、第2注意喚起表示と具体的な報知情報との関係については後述する。
【0042】
また、監視画面において、監視対象の店舗10のうち、遠隔対応の対象外となった店舗10に関して、遠隔対応の対象外であることを示す表示が行われる。本実施形態では、店舗10において予め定められた条件が満たされると、その店舗10を遠隔対応の対象外とする。監視画面では、遠隔対応の対象外となった店舗10(図6に示す例では、店舗Cおよび店舗H)の画像を、他の店舗10の画像とは異なる表示態様で表示することにより、その店舗10が遠隔対応の対象外となったことを示す。遠隔対応の対象外となった店舗10の表示における表示態様は、特に限定しない。一例として、遠隔対応の対象外となった店舗10の画像をグレーアウト表示としたり、輝度を下げて表示したりしても良い。図6に示す例では、遠隔対応の対象外となった店舗C、Hを、店舗C、Hの画像に斜線を付して示している。
【0043】
遠隔対応端末200に関連付けられた店舗10が遠隔対応の対象外となる条件は、システムの運用等に応じて様々に設定し得る。例えば、店舗10にいる現場係員が処理装置300を操作している場合、遠隔対応を行う必要がないため、遠隔対応の対象外としても良い。また、現場係員が処理装置300のユーザに対して直接対応している場合も、遠隔対応を行う必要がないため、遠隔対応の対象外としても良い。また、店舗10や処理装置300の障害等により一時的に処理装置300を使用できなくなった場合、該当する店舗10を遠隔対応の対象外としても良い。
【0044】
図7は、対応画面の例を示す図である。対応画面は、対応モードで表示部220に表示される画面である。図7では、図5、6に表示された監視画面において店舗10が遠隔対応の対象として選択され、遠隔対応端末200の動作モードが監視モードから対応モードに移行して、表示部220の表示が監視画面から対応画面に切り替わった例が示されている。対応画面には、遠隔対応の対象となった店舗10(図示の例では、店舗A)の画像が表示される。対応画面に表示される店舗10の画像は、現場端末100の画像取得部130により取得された画像である。遠隔対応端末200のオペレータは、対応モードにおいて、遠隔対応端末200の表示部220の画面と現場端末100の表示部120の画面とを介して動画と音声により処理装置300のユーザと疑似的に対面し、処理装置300の使用に関する支援等の対応を行う。また、対応画面に表示された店舗Aが図1に示した店舗10Aであり、この店舗10Aに設置された処理装置300Aには処理の実行に際して情報の入出力に用いられるユーザインターフェイスとしての表示装置が設けられている場合を考える。この場合、店舗10A(店舗A)に設置される処理装置300Aの表示装置に表示される入力画面や出力画面などの表示内容を、遠隔対応端末200の表示部220に、追加表示あるいは切替表示することにより、オペレータがより適切な支援を行えるようにしても良い。
【0045】
上記の遠隔対応端末200における動作モードの切り替え、動作モードの切り替えに基づく表示部220の画面の切り替え、監視画面における注意喚起表示や遠隔対応の対象外を示す表示の実行などの制御は、制御部270により行われる。監視モードから対応モードへの切り替えは、例えば、オペレータが操作部260を用いて、監視画面に表示された複数の店舗10の一つを画面上で選択する操作を行ったことを切り替え条件として行われる。対応モードから監視モードへの切り替えは、例えば、処理装置300のユーザに対する遠隔対応が完了した後、オペレータが操作部260を用いて、対応画面に表示されたモード移行用のボタンオブジェクトを操作することにより行われる。また、操作部260にモード移行用のボタンを設けておき、オペレータがこのボタンを操作することによりモードを移行しても良い。
【0046】
処理装置300の情報出力部340および現場端末100の送受信部160は、出力手段の一例である。遠隔対応端末200の表示部220は、表示手段の一例である。遠隔対応端末200の送受信部210は、取得手段の一例であり、通信手段の一例である。遠隔対応端末200の制御部270は、表示制御手段の一例である。
【0047】
<報知情報と注意喚起表示との対応付けの例>
図8は、報知情報と注意喚起表示との対応関係の例を示す図である。ここでは、処理装置300として貨幣処理装置を想定し、検知対象の事象と、報知情報の種類と、遠隔対応端末200において実行される表示制御との対応関係の具体例を示す。図8には、「事象」、「報知情報」、「表示」の各項目の対応関係が示されている。「事象」は、処理装置300で検知される事象である。「報知情報」は、処理装置300でその事象が検知された場合に出力される報知情報の種類である。「表示」は、その報知情報を取得した遠隔対応端末200の監視画面において行われる表示制御の内容である。
【0048】
図8に示す例では、報知対象としての12の事象が示されている。これらの事象は、例えば、処理装置300自身による操作を受け付けたか否かの検知、店舗10に設けられた人感センサによるユーザの検知、店舗10に設けられた監視カメラの画像解析等を用いることで検出される。
【0049】
図8に示す例において、報知情報の種類は、「警告報知」、「注意報知」、「対象外報知」の3種類である。「警告報知」は、オペレータによる速やかな遠隔対応が要請される事象が検知された場合に出力される報知情報である。「警告報知」が行われた場合、遠隔対応端末200では、監視画面において該当する店舗10に対して第2注意喚起表示が行われる。「注意報知」は、直ちにオペレータによる遠隔対応は必要ではないが、遠隔対応が必要となる可能性の高い事象が検知された場合に出力される報知情報である。「注意報知」が行われた場合、遠隔対応端末200では、監視画面において該当する店舗10に対して第1注意喚起表示が行われる。「対象外報知」は、遠隔対応の対象外とする条件となる事象が検知された場合に出力される報知情報である。「対象外報知」が行われた場合、遠隔対応端末200では、監視画面において該当する店舗10に対して遠隔対応の対象外を示す表示が行われる。図8に示す事象のうち、No.1~3の報知情報の種類は「警告報知」となっている。No.4~9の報知情報の種類は「注意報知」となっている。No.10~12の報知情報の種類は「対象外報知」となっている。
【0050】
図8に示す例のうち、いくつかの事象に関しては、発生順が限定されるものがある。例えば、No.6の事象が発生した後、処理装置300が操作されないままさらに10秒経過すると、No.1の事象となる。また、No.7の事象が発生した後、貨幣が取り出されないままさらに5秒経過すると、No.2の事象となる。したがって、この場合は、まずNo.6やNo.7の事象の発生に基づく「注意報知」が行われた後、時間経過の条件を満たすとNo.1やNo.2の事象の発生に基づく「警告報知」が行われる。そして、遠隔対応端末200では、監視画面において該当する店舗10に対し、まず第2注意喚起表示が行われ、時間経過に応じて第1注意喚起表示が行われる。
【0051】
図8に示される情報のうち、検知対象の事象と報知情報の種類との対応関係については、例えば、処理装置300の記憶装置に記憶されている。そして、処理装置300において該当する事象が発生すると、判断部330が発生した事象に対応する報知情報を特定し出力する。出力された報知情報は、現場端末100を介して遠隔対応端末200へ送信される。また、図8に示される情報のうち、報知情報の種類と遠隔対応端末200における表示制御との対応関係については、例えば、遠隔対応端末200の記憶部280に記憶されている。そして、遠隔対応端末200が処理装置300から出力された報知情報を取得すると、取得した報知情報の種類に応じて監視画面の表示制御を行う。
【0052】
<他のシステム構成例>
図9は、本実施形態による遠隔対応システムにおける他の構成例を示す図である。図1に示した構成例では、1台の遠隔対応端末200に複数の店舗10の現場端末100が関連付けられることについて説明したが、本実施形態のシステムは、図9に示すように、複数台の遠隔対応端末200と複数の店舗10の現場端末100とを関連付けて構成しても良い。図9に示す例において、現場端末100、遠隔対応端末200および処理装置300は、図1に示した各機器と同様である。
【0053】
図9に示す構成例では、3台の遠隔対応端末200と複数の店舗10の現場端末100とが関連付けられている。ここで、3台の遠隔対応端末200の各々が、各店舗10の各現場端末100に関連付けられている。したがって、一の店舗10において遠隔対応が必要となった場合、3台の遠隔対応端末200の何れかにおいて遠隔対応が行われる。なお、図9では、図1と同様に、複数の店舗10(店舗A、店舗B、店舗C、……)に添え字を付し、店舗10A、10B、10C、……と記載している。各店舗10に設置される処理装置300および現場端末100についてもそれらが設置される店舗10に対応する添え字を付している。また、図9では、各遠隔対応端末200に添え字を付し、遠隔対応端末200X、200Y、200Zと記載している。以下の説明において、各店舗10、各店舗10の処理装置300および現場端末100、3台の遠隔対応端末200を区別する必要がある場合は、これらの添え字を付して記載する。一方、各店舗10、各店舗10の処理装置300および現場端末100、3台の遠隔対応端末200を区別する必要がない場合は、添え字を記載せず、単に店舗10、処理装置300、現場端末100、遠隔対応端末200と記載するか、または処理装置300(300A、300B、300C、……)、現場端末100(100A、100B、100C、……)、遠隔対応端末200(200X、200Y、200Z)等と記載する。
【0054】
一の店舗10(例えば、店舗10A)に対して3台の遠隔対応端末200X、200Y、200Zの何れかにおいて遠隔対応が開始されると、他の遠隔対応端末200のオペレータは、同じ店舗10に対する遠隔対応を行う必要がなくなる。そこで、図9に示す構成においては、このような場合、遠隔対応を開始した遠隔対応端末200(例えば、遠隔対応端末200X)以外の遠隔対応端末200(例えば、遠隔対応端末200Y、200Z)では、同じ店舗10(店舗10A)に対して遠隔対応を行う必要がないため、遠隔対応の対象外とすることができる。そして、各遠隔対応端末200(遠隔対応端末200Y、200Z)は、表示部220に表示される監視画面において、遠隔対応の対象外となった店舗10(店舗10A)に対し、図6を参照して説明したように表示態様を制御する。
【0055】
図10は、本実施形態による遠隔対応システムにおけるさらに他の構成例を示す図である。店舗10Aには、処理装置300Aの調整を行ったり、対面にてユーザへの対応を行ったりするための現場係員がいる場合がある。そして、処理装置300Aの状態やユーザによる処理装置300Aの使用において発生した事象によっては、遠隔対応から現場での直接対応に引き継いだり、反対に現場での対応から遠隔対応に引き継いだりすることが必要となる場合がある。図10に示す構成例では、このような場合、遠隔対応端末200と現場係員が使用する現場係員用端末400Aとの間で情報の交換が行われる。
【0056】
例えば、遠隔対応端末200のオペレータによる遠隔対応から現場係員による直接対応に引き継がれる場合を考える。この場合、遠隔対応が行われたことにより、遠隔対応端末200の記憶部280は、遠隔対応の対象である処理装置300Aのユーザへの対応で取得される対応情報を記憶する。対応情報には、処理装置300Aの識別情報、ユーザの識別情報、処理装置300の状態や操作の情報などが含まれる。そして、遠隔対応から直接対応への引き継ぎに際し、遠隔対応端末200は、記憶部280に保持されている対応情報を、引き継ぎ先の現場係員の現場係員用端末400Aへ送信する。これにより、現場係員は、予め自身の現場係員用端末400Aに送られた対応情報を参酌した状態でユーザへの直接対応に臨むことができる。
【0057】
図11は、現場係員用端末400Aの構成を示す図である。現場係員用端末400Aは、送受信部410と、表示部420と、操作部430と、制御部440と、記憶部450とを備える。現場係員用端末400Aは、例えば、コンピュータ等の情報機器により実現される。現場係員用端末400Aは、第3端末の一例である。
【0058】
送受信部410は、遠隔対応端末200との間でデータの送受信を行う。具体的には、送受信部410は、遠隔対応から現場係員による対応へ移行する場合に、遠隔対応を行っていた遠隔対応端末200から対応情報を受信する。また、後述するように、送受信部410は、現場係員による対応から遠隔対応へ移行する場合に、現場係員用端末400Aにおいて取得した対応情報を、遠隔対応を担当する遠隔対応端末200へ送信する。送受信部410は、ネットワーク20を介して遠隔対応端末200に接続するための通信インターフェイスを備える。
【0059】
表示部420は、送受信部410により遠隔対応端末200から受信した対応情報を表示したり、処理装置300のユーザへの対応において必要な資料を表示したりする表示装置である。表示部420は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置により実現される。
【0060】
操作部430は、現場係員用端末400Aに対して命令やデータを入力するために操作するデバイスである。操作部430としては、例えば、キーボードやタッチパネル等の操作デバイスを用い得る。現場係員は、操作部430を操作することにより、遠隔対応端末200に接続して対応情報を送信または受信するための操作や、現場係員自身が参照したり処理装置300のユーザに閲覧してもらったりする資料のファイルを開いて表示させるといった操作を行うことができる。
【0061】
制御部440は、現場係員用端末400Aの各機能を制御する機能部である。制御部440は、例えば、CPU、RAMやROM等のメモリ、磁気ディスク装置やSSD等の記憶装置により実現される。制御部440において、CPUが、記憶装置やメモリに保持されているプログラムを実行することにより、現場係員用端末400Aにおける各処理やデバイスの制御が行われる。
【0062】
記憶部450は、現場係員による処理装置300のユーザへの対応で取得される対応情報を記憶する。対応情報には、対応の対象となっている処理装置300の識別情報、ユーザの識別情報、処理装置300の状態や処理装置300に対して行われた操作の情報などが含まれる。なお、対応情報は、現場係員が処理装置300のユーザに対応する際に、現場係員自身によって入力される場合と、送受信部410により遠隔対応端末200から受信して取得する場合とがある。記憶部450は、磁気ディスク装置やSSD等の記憶装置により実現される。記憶部450として、制御部440を構成する記憶装置の記憶領域等を用いても良い。
【0063】
上記において遠隔対応端末200のオペレータによる遠隔対応から現場係員による直接対応に引き継がれる場合について説明したのとは反対に、現場係員による直接対応から遠隔対応端末200のオペレータによる遠隔対応に引き継がれる場合を考える。この場合、現場係員による対応が行われたことにより、現場係員用端末400Aの記憶部450は、処理装置300のユーザへの対応で取得される対応情報を記憶する。対応情報には、処理装置300の識別情報、ユーザの識別情報、処理装置300の状態や操作の情報などが含まれる。そして、直接対応から遠隔対応への引き継ぎに際し、現場係員用端末400Aの制御部440は、送受信部410を制御して、記憶部450に保持されている対応情報を、引き継ぎ先の遠隔対応端末200へ送信する。これにより、遠隔対応端末200のオペレータは、予め自身の遠隔対応端末200に送られた対応情報を参酌した状態でユーザへの対応に臨むことができる。
【0064】
遠隔対応端末200の記憶部280は、第2端末における保持手段の一例である。遠隔対応端末200の制御部270および送受信部210は、第2端末における送信制御手段の一例である。現場係員用端末400Aの記憶部450は、第3端末における保持手段の一例である。現場係員用端末400Aの制御部440および送受信部410は、第3端末における送信制御手段の一例である。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、処理装置300が判断部330を備え、自装置を報知の対象とすべきか否かを判断し、判断結果を含む報知情報を出力する構成とした。そして、現場端末100が処理装置300から取得した報知情報を遠隔対応端末200へ送信した。これに対し、報知情報を遠隔対応端末200へ送信するか否かの判断を現場端末100が行う構成としても良い。
【0066】
この場合、処理装置300は、情報取得部320が取得した処理装置300の状態や動作に関する情報を動作ログとして出力する。現場端末100は、情報取得部110により処理装置300から取得した動作ログを、例えば、CPUがプログラムを実行することで実現される処理手段により解析し、報知情報を出力するべき事象が発生したか否かを判断する。そして、現場端末100は、そのような事象が処理装置300において発生したことが検知されれば、検知した事象に応じた報知情報を生成し、送受信部160により遠隔対応端末200へ送信する。なお、この構成においては、図8に示した検知対象の事象と、報知情報の種類と、遠隔対応端末200において実行される表示制御との対応関係に関する情報のうち、検知対象の事象と報知情報の種類との対応関係は、例えば、現場端末100の制御部170の記憶装置に記憶される。そして、処理装置300から取得した動作ログに基づき、処理装置300において該当する事象が発生したことが検知されると、現場端末100の制御部170が検知した事象に対応する報知情報を特定し出力する。また、この実施形態においても、図8に示される情報のうち、報知情報の種類と遠隔対応端末200における表示制御との対応関係は、上記の実施形態で述べたように、例えば、遠隔対応端末200の記憶部280に記憶される。そして、遠隔対応端末200が処理装置300から出力された報知情報を取得すると、取得した報知情報の種類に応じて監視画面の表示制御を行う。
【0067】
また、上記の実施形態では、処理装置300とは別に現場端末100を用意し、店舗10に設置する構成とした。これに対し、処理装置300に現場端末100の機能を持たせても良い。この場合、処理装置300は、図3に示した現場端末100の表示部120、画像取得部130、音声出力部140、音声入力部150に相当する機能を備え、遠隔対応端末200との間で動画および音声を用いたメッセージのやり取りを可能とする。
【0068】
上記の実施形態では、遠隔対応において、現場端末100の表示部120、画像取得部130、音声出力部140、音声入力部150および遠隔対応端末200の表示部220、画像取得部230、音声出力部240、音声入力部250を用い、動画および音声を用いたメッセージのやり取りを行うこととした。これに対し、音声のみを用いてメッセージのやり取りを行う場合、現場端末100は表示部120および画像取得部130を有していなくても良く、遠隔対応端末200は表示部220および画像取得部230を有していなくても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10…店舗、20…ネットワーク、100…現場端末、110…情報取得部、120…表示部、130…画像取得部、140…音声出力部、150…音声入力部、160…送受信部、170…制御部、200…遠隔対応端末、210…送受信部、220…表示部、230…画像取得部、240…音声出力部、250…音声入力部、260…操作部、270…制御部、280…記憶部、300…処理装置、310…処理部、320…情報取得部、330…判断部、340…情報出力部、400…現場係員用端末、410…送受信部、420…表示部、430…操作部、440…制御部、450…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11