(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180053
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】空中像インタラクティブ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0346 20130101AFI20231213BHJP
G02B 30/56 20200101ALI20231213BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20231213BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20231213BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G06F3/0346 422
G02B30/56
G06F3/04815
G06F3/01 570
G09F9/00 357
G09F9/00 366Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093116
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】安藤 将平
(72)【発明者】
【氏名】小泉 直也
【テーマコード(参考)】
2H199
5B087
5E555
5G435
【Fターム(参考)】
2H199BA49
2H199BA51
2H199BA61
2H199BB17
2H199BB20
5B087AA07
5B087AB02
5B087BC12
5B087CC33
5E555AA27
5E555AA64
5E555BA29
5E555BB29
5E555BC04
5E555BE16
5E555CA42
5E555CB45
5E555CB66
5E555CC01
5E555DA11
5E555DB53
5E555DC13
5E555EA11
5E555FA00
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC11
5G435DD04
5G435DD09
5G435GG09
(57)【要約】
【課題】ユーザの注意を逸らさずに空中像を連続的に観察させ、空中像に対するユーザの動きを高精度に検出可能な空中像インタラクティブ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る空中像インタラクティブ装置は、表示面を有し、表示面から可視波長域の第1光を出射する表示装置と、表示面から出射される第1光の進行方向の前方の領域に配置され、表示面に対して所定の角度をなす再帰透過面を有し、再帰透過面に入射する第1光を再帰透過する再帰透過素子と、再帰透過面に対して表示装置が配置されている側の領域とは反対側の領域に配置され、赤外波長域の第2光を受光する撮像装置と、前述の反対側の領域で第1再帰透過面と平行に配置された反射面を有し、反射面に入射する第2光を反射する反射素子と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有し、前記表示面から可視波長域の第1光を出射する表示装置と、
前記表示面から出射される前記第1光の進行方向の前方の領域に配置され、前記表示面に対して所定の角度をなす再帰透過面を有し、前記再帰透過面に入射する前記第1光を再帰透過する再帰透過素子と、
前記再帰透過面に対して前記表示装置が配置されている側の領域とは反対側の領域に配置され、赤外波長域の第2光を受光する撮像装置と、
前記第1光を透過し、前記反対側の領域で前記再帰透過面と平行に配置された反射面を有し、前記反射面に入射する第2光を反射する反射素子と、
を備える、
空中像インタラクティブ装置。
【請求項2】
前記表示装置及び前記撮像装置が前記再帰透過面によって再帰透過された前記第1光が結像する結像位置に形成される空中像を観察するユーザの視野外の領域に配置されている、
請求項1に記載の空中像インタラクティブ装置。
【請求項3】
前記再帰透過面によって再帰透過された前記第1光の進行方向において前記再帰透過面と前記第1光が結像する結像位置との間に配置された遮蔽板を備え、
前記遮蔽板は外光を遮蔽する板状部材で構成され、前記板状部材の板面は前記進行方向に直交し、
前記遮蔽板には、前記進行方向に直交する面内で前記再帰透過面によって再帰透過された前記第1光が照射される照射領域よりも大きい開口が形成され、
前記表示装置及び前記撮像装置は前記進行方向に沿って見たときに前記開口の縁よりも前記第1光から離れて配置されている、
請求項1に記載の空中像インタラクティブ装置。
【請求項4】
前記表示面は水平面と平行に配置され、
前記所定の角度は45°である、
請求項1又は3に記載の空中像インタラクティブ装置。
【請求項5】
前記表示面は水平面に対して45°傾斜して配置され、
前記所定の角度は45°である、
請求項1又は3に記載の空中像インタラクティブ装置。
【請求項6】
前記再帰透過面は前記水平面に平行に配置されている、
請求項5に記載の空中像インタラクティブ装置。
【請求項7】
前記再帰透過面は前記水平面に直交して配置されている、
請求項5に記載の空中像インタラクティブ装置。
【請求項8】
表示面を有し、前記表示面から可視波長域の第1光を出射する表示装置と、
前記表示面から出射される前記第1光の進行方向の前方の領域に配置され、前記表示面に対して所定の角度をなす第1反射面を有し、前記第1反射面に入射する前記第1光の少なくとも一部を反射する第1反射素子と、
前記第1反射面に対して前記表示装置が配置されている側の領域と同じ側の領域に配置され、前記第1反射面で反射された前記第1光の少なくとも一部を再帰反射する再帰反射面を有する再帰反射素子と、
前記第1反射面に対して前記表示装置が配置されている側の領域とは反対側の領域に配置され、赤外波長域の第2光を受光する撮像装置と、
前記第1光を透過し、前記反対側の領域で前記第1反射面と平行に配置された第2反射面を有し、前記第2反射面に入射する第2光を反射する第2反射素子と、
を備える、
空中像インタラクティブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中像インタラクティブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空中像は、光源から出射された光を光学素子等によって反射・屈折させ、空間の任意の位置に結像させた実像である。例えば、立体化していない任意の2次元画像を空中像として表示すると、ユーザは、特殊な装置を装着することなく、空中像を周囲から浮き上がっているように視認し、立体感を得ることができる。近年、衛生面の観点から、非接触インターフェースとして空中像を活用した表示装置(空中像インタラクティブ装置)や入力装置(空中像インタラクティブ装置)が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表示部に表示される映像をユーザの入力案内画面として空中に結像させる空中像投射ユニットを有する空中像表示入力装置(空中像インタラクティブ装置)が開示されている。特許文献1の空中像表示入力装置では、ユーザ側に開口する筐体の内部に表示部が配置され、筐体の開口を塞ぐように光分岐部材が配置されている。筐体の内部の表示部とは異なる位置には、表示部から出力された後に光分岐部材によって反射された映像を再帰反射する再帰反射部材が配置されている。特許文献1の空中像表示入力装置のユーザは、光分岐部材を挟んで筐体とは反対側に立ち、再帰反射部材から再帰反射されて光分岐部材を通ってユーザの視線上で光分岐部材とユーザの目との間の3次元空間投射面に結像する画像(空中像)を視認できる。
【0004】
また、特許文献1の空中像表示入力装置は、人力検出センサとして、ユーザの手の動きを検知する反射光距離センサを備える。特許文献1の空中像表示入力装置では、反射光距離センサの検出領域内の3次元空間投射面に対する手の動きや相対位置、距離が検知され、ユーザが3次元空間投射面に結像した画像に対して行う操作の内容が判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の空中像表示入力装置では、反射光距離センサが光分岐部材の下端部且つ筐体の外部に配置され、ユーザの視線の範囲外にはあるものの、ユーザの視野内で視認される。空中像の魅力を活かしてユーザが立体感や躍動感を味わうためには、ユーザが空中像に対して操作している間に空中像を連続的に観察することが重要である。特許文献1の空中像表示入力装置では、ユーザの視野内で空中像以外の機器や装置が視認され、ユーザの注意が3次元空間投射面の画像から逸れ、画像を介したユーザの操作意欲の低下や誤操作を招く虞があった。
【0007】
また、特許文献1の空中像表示入力装置では、反射光距離センサがユーザの足元と略同じ高さに配置され、反射光距離センサからユーザの手元までの検出時の距離が確保される。しかしながら、操作時のユーザの体勢や体格、空中像表示入力装置の設置環境での制約等によっては、反射光距離センサからユーザの手元までの検出時の距離を確保し難く、ユーザの操作に関する検知精度が低下する虞があった。一方で、ユーザの手の動きを高精度に検知し、反射光距離センサからユーザの手元までの検出時の距離を確保しようすると、特許文献1の空中像表示入力装置の表示部を含む構成要素の配置の自由度が低下する虞があった。
【0008】
さらに、特許文献1の空中像表示入力装置では、反射光距離センサの検知範囲の中心線と3次元空間投射面に交差してユーザの手に沿う軸線とが互いに角度をなしてずれている。そのため、ユーザの操作に関する検知精度が低下する虞があった。
【0009】
本発明は、ユーザの注意を逸らさずに空中像を連続的に観察させ、空中像に対するユーザの動きを高精度に検出可能な空中像インタラクティブ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空中像インタラクティブ装置は、表示面を有し、前記表示面から可視波長域の第1光を出射する表示装置と、前記表示面から出射される前記第1光の進行方向の前方の領域に配置され、前記表示面に対して所定の角度をなす再帰透過面を有し、前記再帰透過面に入射する前記第1光を再帰透過する再帰透過素子と、前記再帰透過面に対して前記表示装置が配置されている側の領域とは反対側の領域に配置され、赤外波長域の第2光を受光する撮像装置と、前記第1光を透過し、前記反対側の領域で前記再帰透過面と平行に配置された反射面を有し、前記反射面に入射する第2光を反射する反射素子と、を備える。
【0011】
本発明に係る空中像インタラクティブ装置では、前記表示装置及び前記撮像装置が前記再帰透過面によって再帰透過された前記第1光が結像する結像位置に形成される空中像を観察するユーザの視野外の領域に配置されていてもよい。
【0012】
本発明に係る空中像インタラクティブ装置は、前記再帰透過面によって再帰透過された前記第1光の進行方向において前記再帰透過面と前記第1光が結像する結像位置との間に配置された遮蔽板を備え、前記遮蔽板は外光を遮蔽する板状部材で構成され、前記板状部材の板面は前記進行方向に直交し、前記遮蔽板には、前記進行方向に直交する面内で前記再帰透過面によって再帰透過された前記第1光が照射される照射領域よりも大きい開口が形成され、前記表示装置及び前記撮像装置は前記進行方向に沿って見たときに前記開口の縁よりも前記第1光から離れて配置されていてもよい。
【0013】
本発明に係る空中像インタラクティブ装置では、前記表示面は水平面と平行に配置され、前記所定の角度は45°であってもよい。
【0014】
本発明に係る空中像インタラクティブ装置では、前記表示面は水平面に対して45°傾斜して配置され、前記所定の角度は45°であってもよい。このような構成を備える空中像インタラクティブ装置では、前記再帰透過面は前記水平面に平行に配置されていてもよく、前記水平面に直交して配置されていてもよい。
【0015】
本発明に係る空中像インタラクティブ装置は、表示面を有し、前記表示面から可視波長域の第1光を出射する表示装置と、前記表示面から出射される前記第1光の進行方向の前方の領域に配置され、前記表示面に対して所定の角度をなす第1反射面を有し、前記第1反射面に入射する前記第1光の少なくとも一部を反射する第1反射素子と、前記第1反射面に対して前記表示装置が配置されている側の領域と同じ側の領域に配置され、前記第1反射面で反射された前記第1光の少なくとも一部を再帰反射する再帰反射面を有する再帰反射素子と、前記第1反射面に対して前記表示装置が配置されている側の領域とは反対側の領域に配置され、赤外波長域の第2光を受光する撮像装置と、前記第1光を透過し、前記反対側の領域で前記第1反射面と平行に配置された第2反射面を有し、前記第2反射面に入射する第2光を反射する第2反射素子と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの注意を逸らさずに空中像を連続的に観察させ、空中像に対するユーザの動きを高精度に検出可能な空中像インタラクティブ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の空中像インタラクティブ装置の側面図である。
【
図2】本発明に係る第2実施形態の空中像インタラクティブ装置の側面図である。
【
図3】本発明に係る第3実施形態の空中像インタラクティブ装置の側面図である。
【
図4】本発明に係る第4実施形態の空中像インタラクティブ装置の側面図である。
【
図5】本発明に係る第5実施形態の空中像インタラクティブ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る空中像インタラクティブ装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101は、設置面Bに設置されている。設置面Bは、例えば屋内や室内の床面、屋外の地面、或いは任意の環境に設けられた机又は台の天板面(すなわち、上面)であるが、空間像インタラクティブ装置101の設置時の基準となる平坦面である。設置面Bは、水平面に平行である。
【0020】
空中像インタラクティブ装置101は、表示装置110と、再帰透過素子120と、撮像装置130と、反射素子140と、制御装置200と、筐体220と、を備える。筐体220は、箱体であり、板状部材230で構成されている。筐体220には、少なくとも表示装置110、再帰透過素子120、撮像装置130、及び反射素子140が収容され、本実施形態では制御装置200も収容されている。なお、制御装置200は、筐体220の外部に配置されてもよい。筐体220の構成については、後述する。
【0021】
表示装置110は、任意の画像IMや発光パターンを表示する表示面112を有する。表示面112は、設置面Bに平行である。表示装置110としては、表示面112を有する光学装置であれば限定されないが、例えばコンピュータやタブレット端末の液晶ディスプレイ等が挙げられる。このような表示装置110の表示面112には、複数の画素(図示略)が設けられている。表示面112には前述の画素や微小光源等が設けられており、各々の画素や微小光源から可視波長域の光(第1光)L1が出射される。光L1は、各々の画素や微小光源から放射状に拡がる。
【0022】
再帰透過素子120は、表示装置110の表示面112から発せられた光L1の進行方向と平行な方向Zの前方の領域E1に配置されている。ここで、光L1の進行方向は、表示面112から発せられた光L1の光軸A1に平行な方向を意味する。また、本実施形態における進行方向の前方の領域E1は、筐体220の内部空間において表示装置110の表示面112よりも光L1が出射され且つ伝搬する領域を意味する。
【0023】
再帰透過素子120は、再帰透過面122を有する。方向Zに直交する1つの方向Xからみたとき、再帰透過面122は、表示装置110の表示面112に対して所定の角度θをなしている。本実施形態では、θ=45°である。つまり、再帰透過素子120は、再帰透過面122が表示面112に対して45°をなすように配置されている。また、再帰透過面122は、少なくとも照射される光L1の照射領域よりも大きい。
【0024】
以下では、光L1の進行方向すなわち方向Z及び方向Xの各々に直交する方向を方向Yとする。再帰透過面122に入射した光L1は、再帰透過面122に再帰透過され、方向Yに沿って伝搬し、結像位置Pに結像する。結像位置Pは、表示面112における光L1の発光位置を再帰透過面122を基準として折り返した位置である。すなわち、表示装置110の表示面112の複数の発光点の各々から出射された光L1は、光L1の光路上の結像位置Pにおいて結像し、表示面112に表示された画像と同じ画像の空中像ARを形成する。
【0025】
再帰透過素子120としては、再帰透過面122を有し、再帰透過面122に入射する光L1を再帰透過させることができる素子であり、例えばMMAP(Micro-Mirror Array Plates)(再帰透過素子)が挙げられる。MMAPは、互いに直交する第1のミラーアレイ(図示略)と、第2のミラーアレイ(図示略)と、を備える。第1及び第2のミラーアレイの各々は、複数の帯状のミラーを有する。複数の帯状のミラーは、互いに平行な長辺を上端及び底端として立てられ、板面同士の間隔をあけて配置されている。MMAPすなわち再帰透過素子120の厚み方向に第1のミラーアレイと第2のミラーアレイが積層され、厚み方向から見たときに第1のミラーアレイの帯状のミラーと第2ミラーアレイの帯状のミラーが互いに直交している。したがって、MMAPに入射した光L1は、第1のミラーアレイで反射及びされた後に第2のミラーアレイに入射し、反射されるため、入射する際の光路を再帰透過面122に平行な面で折り返した光路上に出射され、MMAPを再帰透過する。なお、再帰透過面122で再帰透過された光1は、後述する反射素子140を透過する。
【0026】
撮像装置130は、筐体220の内部空間において、再帰透過素子120の再帰透過面122及びその延長面に対して表示装置110が配置されている側の領域E1とは反対側の領域E2に配置されている。本実施形態では、表示装置110は、設置面Bよりも上方且つ再帰透過素子120の再帰透過面122よりも下方の領域E1に配置されている。撮像装置130は、再帰透過面122及びその延長面よりも上方且つ筐体220の上壁221の内側の面221cよりも下方の領域E2に配置されている。撮像装置130の不図示の受光面は、設置面Bに平行である。
【0027】
撮像装置130は、赤外波長域の光(第2光)L2を受光可能な装置であり、例えばIR(Infrared)カメラである。撮像装置130としては、空中像ARに対して方向Yの前方から後方に向かって、すなわち再帰透過素子120で再帰透過した光L1が方向Yの後方から前方に進行する進行方向とは逆向きから動作するユーザUの動きやユーザUが操作する部材(図示略)の動きを光L2で検出可能な装置であればよく、例えばToF(Time of Flight)カメラが好適である。なお、本願の各図では、ユーザUの手が図示されている。
【0028】
反射素子140は、可視波長域の光L1を透過する素子であって、入射する赤外波長域の光L2を反射する反射面142を有する。反射面142は、再帰透過素子120の再帰透過面122及びその延長面に対して表示装置110が配置されている側の領域E1とは反対側の領域E2に配置され、再帰透過面122と平行である。
図1では詳細に図示されていないが、反射素子140は、基板と、波長選択性を有する反射層と、を備える。基板は、再帰透過素子120に当接している。反射層は、基板の互いに平行な板面のうち、再帰透過素子120に接している板面とは反対側の板面、すなわち領域E2に露出する板面に積層され、光L1を透過し、光L2を反射する。このような構成を備える反射素子140として、例えばホットミラーが挙げられる。
【0029】
上述の構成において、例えば表示装置110の表示面112に複数のボタンの画像IMが表示された場合、画像IMと同様に複数のボタンの空中像ARが結像位置Pに形成される。ユーザUは、空中像ARの複数のボタンのうちの所望のボタンを押すように、方向Yの前方から後方に向かって手を動かす。撮像装置130は、ToF方式に基づいて撮像範囲内、すなわち画角φの範囲内において、ユーザUの手の方向Yにおける移動距離、方向X及び方向Zを含むXZ平面における移動距離、及び空中像ARとの離間距離を検出できる。具体的には、撮像装置130は、少なくとも光軸A2に沿って赤外波長域の光L2を出射する不図示の光源と、赤外波長域の光L2を受光する受光面を有する受光器と、を備える。光源から出射された光L2は、方向Zと平行な光軸A2に沿って方向Zとは逆向きに進行し、反射素子140の反射面142によって反射され、方向Yに沿って進行し、インタラクティブ領域E3に照射される。インタラクティブ領域E3は、空中像インタラクティブ装置101においてユーザUと空中像ARとの交流がなされる領域である。インタラクティブ領域E3において、ユーザUの手や頭、顔のパーツ等に照射された光L2は、手や顔によって反射され、インタラクティブ領域E3から発せられる。インタラクティブ領域E3から発せられた光L2は、当該領域への照射時とは逆向きに進行する、すなわちインタラクティブ領域E3から方向Yとは略逆向きに進行し、反射素子140の反射面142によって反射され、反射面142から方向Zに沿って進行し、撮像装置130の受光面に照射され、受光器で検出される。ToF方式では、撮像装置130の光源から発せられた光L2がユーザUの手や頭、顔のパーツ等の各々ので反射して撮像装置130に戻り、撮像装置130の検出器で検出されるまでの時間を計測することによって、当該時間、光L2の波長に関する情報に基づき、ユーザUの手や頭、顔のパーツ等の各々の空中像ARに対する相対位置を算出する。撮像装置130には、前述のように算出したユーザUの手や頭、顔のパーツ等の空中像ARに対する相対位置が、例えば不図示の出力装置等に画像又は動画として出力される。
【0030】
制御装置200は、筐体220の内部空間において領域E1に配置され、表示装置110及び撮像装置130の各々と有線又は無線で接続されている。制御装置200は、所望の画像又は発光パターンの電気信号を表示装置110に出力し、表示面112に所望の画像又は発光パターンを表示させる。制御装置200には、撮像装置130からユーザUの動作に関する電気信号が入力される。制御装置200は、入力された電気信号から算出したユーザUの動作に関する情報と予め設定されている光L1の結像位置Pに関する情報、及び表示装置110で表示する画像又は発光パターンに関する情報との関係から、ユーザUの動きに応じた前述の移動距離や離間距離を取得し、ユーザUの空中像ARに対する相対動作を判別する。制御装置200は、例えばコンピュータである。制御装置200には、前述の各種情報の取得、算出を行うプログラムやソフトウェアが内蔵されている。なお、制御装置200が表示装置110及び撮像装置130と接続可能であれば、制御装置200の配置は特に限定されない。制御装置200は、筐体220の内部空間において領域E2に配置されてもよく、筐体220の外部に配置されてもよい。
【0031】
筐体220は、板状部材230で構成された上壁221、底壁222、側壁223~225、及び方向Xの後方の不図示の側壁を備える。上壁221及び底壁222の各々の板面は、設置面Bに平行である。側壁223~225及び不図示の側壁は、上壁221の周縁と当該周縁に対応する底壁222の周縁とを方向Zで連結する。側壁223~225及び不図示の側壁の各々の板面は、設置面Bに直交し、鉛直方向に平行である。
【0032】
板状部材230は、筐体220の外部から内部に向かう外光を遮蔽し、ユーザUに対して表示装置110及び撮像装置130を遮蔽する。板状部材230が太陽光、或いは例えば蛍光灯やLED等からの照明光を含む可視波長域の外光を遮蔽する特性を有していてもよい。板状部材230の素材が外光を透過する場合は、上壁221、底壁222、側壁223~225、及び不図示の側壁おいて筐体220の内部空間に向く面221c,222c,223c~225c及び不図示の面の各々に、光L1,L2を遮蔽する布、フィルム、塗料、外光を遮蔽する遮蔽層が設けられる。なお、上壁221、底壁222、側壁223~225の内側の面221c,222c,223c~225c、及び不図示の側壁の内側の面の各々に、暗幕や黒色塗料等が施される場合、赤外波長域の光L2がこれらの内側の面で反射し、撮像装置130で取得する画像に干渉する。その場合、暗幕や黒色塗料等の外光の遮蔽材や遮蔽層のさらに内側に光L2の吸光材が設けられる。
【0033】
側壁223~225のうち、側壁(遮蔽板)225は、方向Zから見たときに、再帰透過素子120から再帰透過して出射される光L1及びインタラクティブ領域E3から反射素子140に向かう光L2の各々の進路と交差する。すなわち、側壁225は、再帰透過素子120の再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向すなわち方向Yにおいて、再帰透過面122と光L1の結像位置Pとの間に配置されている。
【0034】
側壁225の板面は、設置面Bに平行な方向Yに直交している。側壁225には、光L1,L2が方向Yで通過するための開口OPが形成されている。開口OPのXZ平面での大きさS10は、少なくとも側壁225の方向Yでの位置Qにおける光L1の照射領域R1の大きさS1よりも大きい。ユーザUの視線領域EVの中心線VXが設置面B及び方向Yと平行である場合、或いは当該中心線が設置面B及び方向Yに対して極めて小さい角度(例えば、5°以下)をなす場合、開口OPの大きさS10は、位置Qにおける光L2の照射領域R2の大きさS2と同等であり、ユーザUの視線領域EVの角度、中心線VX、及びユーザUの視野を考慮し、大きさS2よりも適度に大きく設定されることが好ましい。位置Qにおける光L1の照射領域R1の大きさS1は、表示装置110の表示面112から出射する光L1の光軸A1に対する拡がりを表す角度ωと、表示面112での発光点から光軸A1に沿った方向での位置Qでの光軸A1までの距離によって、凡そ算出可能である。位置Qにおける光L2の照射領域R2の大きさS2は、撮像装置130の画角φと、撮像装置130の受光面から光L2の光軸A2に沿った方向での位置Qでの光軸A2までの距離によって、凡そ算出可能である。
【0035】
空中像インタラクティブ装置101では、表示装置110は、側壁225において開口OPの底縁F1にある端225eよりも下方すなわち方向Zの後方に配置されている。また、撮像装置130は、側壁225において開口OPの上縁F2にある端225eよりも上方すなわち方向Zの前方に配置されている。これらのことから、空中像インタラクティブ装置101では、方向Yに沿って見たときに、表示装置110及び撮像装置130は、再帰透過素子120の再帰透過面122から再帰透過された光L1の光軸A1を中心とする径方向において開口OPの縁F及び縁Fに接する側壁225の端225eよりも光L1から離れた位置に配置されている。
【0036】
ユーザUの位置Qにおける視線領域EV及び視野の各々の大きさは、ユーザUの不図示の目の位置、目から結像位置Pの空中像ARの方向Zの中心とを結ぶ仮想線と設置面Bとがなす角度、及びユーザUの視線領域EV、視野の角度等から凡そ算出可能である。例えば、ユーザUである人間の視野は、上方すなわち方向Zの前方に約60°であり、下方すなわち方向Zの後方に約70°であり、方向Xの前後両方に両目で約120°である。前述の視野に、目が動いた場合の角度の変化幅を追加して考慮されてもよい。なお、ユーザUの視線の中心線は、反射素子140を通って空中像ARを形成する光L1の光軸A1と略重なる、或いは反射素子140を通って空中像ARを形成する光軸A1に対して±10°以内の角度をなしている。ユーザUの視線と光軸A1とのなす角度と人間の視野を前述のように考慮することによって、後述するように側壁225で遮蔽する表示装置110及び撮像装置130、或いは床面や天井に配置する表示装置110及び撮像装置130の位置を好適に決められる。
【0037】
空中像インタラクティブ装置101では、図示されているようにユーザUの視線領域EVの中心線VXが方向Yに略平行であり、再帰透過面122された光L1の光軸A1と略平行である場合、表示装置110は、ユーザUの目の位置と開口OPの底縁F1及び側壁225において底縁F1に接する端225eとを結ぶ仮想線を筐体220の内部空間に延長した延長線よりも方向Zの後方且つ方向Yの前方の領域E1に配置されることがより好ましい。また、撮像装置130は、ユーザUの目の位置と開口OPの上縁F2及び側壁225において上縁F2に接する端225eとを結ぶ仮想線を筐体220の内部空間に延長した延長線よりも方向Zの前方且つ方向Yの前方の領域E2に配置されることがより好ましい。前述の延長線は図示されていないが、表示装置110及び撮像装置130は、前述のように配置されており、側壁225によって絞られたユーザUの視線領域EVから外れる。また、表示装置110及び撮像装置130が前述のように対応する延長線よりも方向Yの前方に大きくずれて、前述のように対応する延長線から方向Zで大きく離間して配置されることによって、ユーザUの視野からも外れ、ユーザUが多少目を動かしても視認されない。
【0038】
なお、ユーザUの視線領域EVの中心線VXが側面視で方向Yに対して傾斜し、例えば中心線VXが方向Yに対して比較的大きな角度をなし、方向Yの前方から後方に移動するに従って下降する場合には、表示装置110は、上述のように、ユーザUの目の位置と開口OPの底縁F1及び側壁225において底縁F1に接する端225eとを結ぶ仮想線を筐体220の内部空間に延長した延長線よりも方向Zの後方且つ領域E1に配置されることがより好ましい。但し、中心線VXが方向Yに対して比較的大きな角度をなし、方向Yの前方から後方に移動するに従って下降する場合には、撮像装置130は、ユーザUの視線領域EVよりも上方に配置されればよく、ユーザUの目の位置と開口OPの上縁F2及び側壁225において上縁F2に接する端225eとを結ぶ仮想線を筐体220の内部空間に延長した延長線よりも方向Zの前方であっても、ユーザUの視野領域から外れていれば方向Yの後方の領域E2に配置されてもよい。
【0039】
また、ユーザUの視線領域EVの中心線VXが例えば中心線VXが方向Yに対して比較的大きな角度をなし、方向Yの前方から後方に移動するに従って上昇する場合には、表示装置110は、ユーザUの視線領域EVよりも下方に配置されればよく、ユーザUの目の位置と開口OPの底縁F1及び側壁225において底縁F1に接する端225eとを結ぶ仮想線を筐体220の内部空間に延長した延長線よりも方向Zの後方ではあっても、ユーザUの視野領域から外れていれば方向Yの後方の領域E1に配置されてもよい。但し、方向Yの前方から後方に移動するに従って上昇する場合には、撮像装置130は、上述のように、ユーザUの目の位置と開口OPの上縁F2及び側壁225において上縁F2に接する端225eとを結ぶ仮想線を筐体220の内部空間に延長した延長線よりも方向Zの前方且つ方向Yの前方の領域E2に配置されることがより好ましい。
【0040】
すなわち、本実施形態の空中像インタラクティブ装置101及び以下に説明する実施形態の空中像インタラクティブ装置102~104では、表示装置110及び撮像装置130は、ユーザUの視野のうち、側壁225の縁Fによって絞られた視線領域EVよりも中心線VXを基準とする方向Zの外側の領域(領域E1又は領域E2)に配置されている。このことによって、表示装置110及び撮像装置130は、ユーザUの視線領域EVから外れ、視認されない。なお、以下に説明する実施形態の空中像インタラクティブ装置102~104及び空中像インタラクティブ装置105で参照する図面では、ユーザUの視線領域EVや中心線VXは省略されている場合がある。
【0041】
以上説明した第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101は、少なくとも表示装置110と、再帰透過素子120と、撮像装置130と、反射素子140と、を備える。表示装置110は、表示面112を有し、表示面112から可視波長域の光(第1光)L1を出射する。再帰透過素子120は、表示装置110の表示面112から出射される光L1の方向Zの前方(進行方向の前方)の領域E1に配置され、表示面112に対して角度(所定の角度)θをなす再帰透過面122を有する。再帰透過素子120は、再帰透過面122に入射する光L1を再帰透過する。撮像装置130は、再帰透過素子120の再帰透過面122に対して表示装置110が配置されている側の領域E1とは反対側の領域E2に配置され、赤外波長域の光(第2光)L2を受光する。反射素子140は、光L1を透過し、領域(反対側の領域)E2で再帰透過面122と平行に配置された反射面142を有し、反射面142に入射する光L2を反射する。
【0042】
第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、再帰透過素子120の再帰透過面122及び反射素子140の反射面142に対して表示装置110を下方の領域E1に配置し、撮像装置130を上方の領域E2に配置できる。その結果、表示装置110及び撮像装置130の各々の配置の自由度が拡がるので、表示装置110及び撮像装置130をユーザUの視線領域EVの外、さらには視野外に置くことができる。また、撮像装置130をユーザUの手を再帰透過素子120の再帰透過面122で再帰透過して再帰透過面122から結像位置Pに向かう光L1の光軸A1に沿って正面から撮影可能な位置に配置できる。そのため、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、インタラクティブ領域E3における空中像ARに対するユーザUの手の配置及び相対移動を高精度に検出できる。したがって、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させ、空中像ARに対するユーザUの動きを高精度に検出できる。
【0043】
第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101では、表示装置110及び撮像装置130が再帰透過面122によって再帰透過された光L1が結像する結像位置Pに形成される空中像ARを観察するユーザUの視野外の領域に配置されている。第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0044】
第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101は、側壁(遮蔽板)225をさらに備える。側壁225は、再帰透過素子120の再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向すなわち方向Yにおいて再帰透過面122と光L1が結像する結像位置Pとの間の位置Qに配置されている。側壁225は、外光を遮蔽する板状部材230で構成されている。側壁225の板状部材230の板面は、光L1の進行方向すなわち方向Yに直交している。側壁225には、方向Yに直交するXZ平面内(進行方向に直交する面内)で再帰透過素子120の再帰透過面122によって再帰透過された光L1が位置Qにて照射される照射領域R1よりも大きい開口OPが形成されている。表示装置110及び撮像装置130は、方向Yに沿って見たときに開口OPの縁Fよりも光L1から離れて配置されている。
【0045】
第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、また、表示装置110及び撮像装置130をユーザUから見て側壁225よりも奥側且つ開口OPよりも径方向の外側の領域E1,E2に配置し、ユーザUに対して表示装置110及び撮像装置130を遮蔽できる。これらのことによって、表示装置110及び撮像装置130がユーザUの視線領域EVや視野から外れる。第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0046】
第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101では、表示装置110の表示面112は水平面と平行に配置され、角度(所定の角度)θは45°である。第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、
図1に二点鎖線で示した反射素子140の反射面142で折り返した光L2の光路及び撮像装置130を参照するとわかるように、撮像装置130を、ユーザUの手や頭を再帰透過素子120の再帰透過面122で再帰透過して再帰透過面122から結像位置Pに向かう光L1の光軸A1、及びインタラクティブ領域E3から発せられるユーザUの手の動きや顔の表情を表す情報を含む光L2の光軸A2に沿って正面から撮影可能な位置に配置できる。そのため、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、インタラクティブ領域E3における空中像ARに対するユーザUの手の配置及び相対移動やユーザUの顔の表情を従来の装置よりも高精度に検出できる。したがって、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101によれば、空中像ARに対するユーザUの動きを高精度に検出できる。
【0047】
なお、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101では、再帰透過素子120と反射素子140とが互いに当接しているが、変形例として、再帰透過素子120と反射素子140との間に隙間があってもよく、再帰透過素子120と反射素子140との間に別の部材が介在してもよい。但し、再帰透過素子120と反射素子140との間に別の部材が介在する場合は、当該部材は少なくとも光L1を透過する素材で構成されている。
【0048】
また、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101では、インタラクティブ領域E3において空中像ARに対するユーザUの手の動きを撮像装置130で検出するが、撮像装置130は、手に限らず、ユーザUの頭や顔の動き、或いはユーザUが操作する指示部材等の動きを検出してもよい。表示装置110の表示面112に表示される画像は、撮像装置130の検出対象や空中像インタラクティブ装置101に応じて適宜変更される。
【0049】
また、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101では、筐体220が箱状に形成されているが、側壁225よりも方向Yの後方、すなわち側壁225に対してユーザUがいる空間とは方向Yの反対側の領域E1,E2において、方向Yの前方からの外光が入射し難く、空中像ARの光量及び光L2の検出精度が十分に得られる状況であれば、上壁221、底壁222及び側壁223,224及び不図示の側壁は、省略されてもよい。
【0050】
以下に、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101の変形例及び他の実施形態について説明する。下記の変形例及び他の実施形態において第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と共通する構成要素については該当する空中像インタラクティブ装置101の構成要素と同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0051】
(第2実施形態)
図2は、本発明に係る第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102の側面図である。
図2に示すように、空中像インタラクティブ装置102では、表示装置110の表示面112は、水平面に対して45°傾斜して配置され、角度(所定の角度)θは45°である。本実施形態では、例えば
図2で不図示の設置面Bは第1実施形態と同様に水平面に平行であり、再帰透過素子120の再帰透過面122及び反射素子140の反射面142は設置面B及び水平面に平行である。本実施形態の空中像インタラクティブ装置102では、上壁(遮蔽板)221及び側壁(遮蔽板)225によって、方向Yの前方からの外光が遮蔽される。表示装置110は、方向Zに沿って延在する側壁225によって、ユーザUの視線領域外及び視野外に配置される。撮像装置130は、上壁221によってユーザUの視線領域外及び視野外に配置される。上壁(遮蔽板)221は、側面視で鉛直面に対して略45°の角度をなしている。なお、
図2に示す上壁221は、開口OPよりも上方の側壁225として構成されていてもよい。
【0052】
第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102によれば、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と同様の構成を備えるので、上述した空中像インタラクティブ装置101と同様の作用効果が得られる。すなわち、空中像インタラクティブ装置102によれば、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0053】
第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102では、表示装置110の表示面112は、水平面に対して45°傾斜して配置され、角度(所定の角度)θは45°である。第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102によれば、二点鎖線で示した反射素子140の反射面142で折り返した光L2の光路及び撮像装置130を参照するとわかるように、撮像装置130をユーザUの手や顔、頭を再帰透過素子120の再帰透過面122から結像位置Pに向かう光L1の光軸A1、及びインタラクティブ領域E3から発せられる光L2の光軸A2に沿って正面から撮影可能な位置に配置できる。そのため、第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102によれば、インタラクティブ領域E3における空中像ARに対するユーザUの手の配置及び相対移動や顔の表情を従来の装置よりも高精度に検出できる。したがって、第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102によれば、空中像ARに対するユーザUの動きを高精度に検出できる。
【0054】
第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102では、上壁(遮蔽版、遮蔽板の少なくとも一部)221は、再帰透過素子120の再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向すなわち方向Y,Zの間にあって双方に45°をなす方向において再帰透過面122と光L1が結像する結像位置Pとの間の位置Qに配置されている。側壁(遮蔽板)225の端225eは、再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向において位置Qに配置されている。側壁225は、端225eから方向Zと平行に延在している。上壁221の板状部材230の板面は、光L1の進行方向に直交している。上壁221と側壁225との間には、光L1の進行方向に直交する面内で、再帰透過面122によって再帰透過された光L1が位置Qにて照射される照射領域R1よりも大きい開口OPが形成されている。表示装置110及び撮像装置130は、再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向に沿って見たときに開口OPの縁Fよりも光L1から離れて配置されている。
【0055】
第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102によれば、上壁221及び側壁225よりも方向Yの後方への外光を遮蔽できる。また、表示装置110及び撮像装置130をユーザUから見て側壁225よりも奥側且つ開口OPよりも径方向の外側の領域E1,E2に配置し、ユーザUに対して表示装置110及び撮像装置130を遮蔽できる。第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102によれば、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と同様に、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0056】
(第3実施形態)
図3は、本発明に係る第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103の側面図である。
図3に示すように、空中像インタラクティブ装置103では、表示装置110の表示面112は、水平面及び不図示の設置面Bに対して45°傾斜して配置され、角度(所定の角度)θは45°である。本実施形態では、例えば不図示の設置面Bは水平面に平行であり、再帰透過素子120の再帰透過面122及び反射素子140の反射面142は設置面B及び水平面に直交し、鉛直面に平行である。本実施形態の空中像インタラクティブ装置103では、側壁(遮蔽板)225及び接続壁(遮蔽板)226によって、方向Yの前方からの外光が遮蔽される。表示装置110は、方向Zに沿って延在する側壁225によって、ユーザUの視線領域外及び視野外に配置される。撮像装置130は、接続壁226によってユーザUの視線領域外及び視野外に配置される。
【0057】
第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103によれば、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と同様の構成を備えるので、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0058】
第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103では、表示装置110の表示面112は、水平面に対して45°傾斜して配置され、角度(所定の角度)θは45°である。第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103によれば、撮像装置130をユーザUの手や顔、頭をインタラクティブ領域E3から発せられる光L2の光軸A2に沿って正面から撮影可能な位置に配置できる。そのため、第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103によれば、インタラクティブ領域E3における空中像ARに対するユーザUの手の配置及び相対移動や顔の表情を従来の装置よりも高精度に検出できる。
【0059】
第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103では、側壁(遮蔽版、遮蔽板の少なくとも一部)225の端225e、及び接続壁(遮蔽版、遮蔽板の少なくとも一部)226の開口OPに面する端226eは、再帰透過素子120の再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向すなわち方向Y,Zの間にあって双方に45°をなす方向において再帰透過面122と光L1が結像する結像位置Pとの間の位置Qに配置されている。側壁225は、端225eから方向Zと平行に延在している。接続壁226は、端226eから方向Yと平行に延在している。側壁225と接続壁226との間には、光L1の進行方向に直交する面内で、再帰透過面122によって再帰透過された光L1が位置Qにて照射される照射領域R1よりも大きい開口OPが形成されている。表示装置110及び撮像装置130は、再帰透過面122によって再帰透過された光L1の進行方向に沿って見たときに開口OPの縁Fよりも光L1から離れて配置されている。なお、接続壁226の方向Yの前端部は、開口OPの底縁F1よりも下方の不図示の側壁225の上端に接続されてもよい。接続壁226の素材が外光を透過する場合は、接続壁226おいて筐体220の内部空間に向く面に、光L1,L2を遮蔽する布、フィルム、塗料、外光を遮蔽する遮蔽層等が設けられる。
【0060】
第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103によれば、側壁225よりも方向Yの後方への外光、及び接続壁226よりも方向Zの後方への外光を遮蔽できる。また、表示装置110及び撮像装置130をユーザUから見て側壁225及び接続壁226よりも奥側且つ開口OPよりも径方向の外側の領域E1,E2に配置し、ユーザUに対して表示装置110及び撮像装置130を遮蔽できる。第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103によれば、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0061】
(第4実施形態)
図4は、本発明に係る第4実施形態の空中像インタラクティブ装置104の側面図である。
図4に示すように、第4実施形態の空中像インタラクティブ装置104では、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101の再帰透過素子120に替えて、反射面152を有する反射素子150が配置されている。反射面152は、反射素子150において反射素子140と隣り合う板面とは反対側の板面に設けられている。反射面152は、方向Zの後方から光軸A1に沿って入射する光L1のうちの少なくとも一部の光L1を反射し、方向Yと平行且つ逆向きの光軸A1に沿って一部の光L1を出射する。反射素子150には、例えば光L1の波長帯に合わせて設計されたハーフミラーが用いられる。
【0062】
空中像インタラクティブ装置104では、反射素子150の反射面152で反射された光L1の進行方向の前方の領域E1に、再帰反射面162を有する再帰反射素子160が配置されている。再帰反射面162は、方向Zと平行に形成されている。反射素子150の反射面152で反射された光L1は、光軸A1に沿って方向Yと平行且つ逆向きに進行し、再帰反射素子160の再帰反射面162によって再帰反射され、光軸A1に沿って方向Yに進行する。方向Yの後方から反射素子150に入射した光L1の少なくとも一部の光L1は、反射素子150,140を順次透過し、第1実施形態の空中像空中像インタラクティブ装置101と同様に、集光して空中像ARを形成する。
【0063】
第4実施形態の空中像インタラクティブ装置104によれば、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と同様の原理及び構成によって空中像ARを形成し、側壁225によって外光を遮蔽し、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0064】
また、第4実施形態の空中像インタラクティブ装置104は、表示面112を有する表示装置110と、反射面(第1反射面)152を有する反射素子(第1反射素子)150と、再帰反射面162を有する再帰反射素子160と、撮像装置130と、反射面(第2反射面)142を有する反射素子(第2反射素子)140と、を備える。反射素子150は、表示面112から出射される光L1の進行方向の前方の領域E1に配置されている。反射面152は、表示面112に対して角度(所定の角度)θをなし、入射する光L1の少なくとも一部を鏡面反射(反射)する。再帰反射素子160は、反射面152に対して表示装置110が配置されている側の領域と同じ側の領域E1に配置されている。再帰反射面162は、反射面152で反射された光L1の少なくとも一部を再帰反射する。反射素子140は、再帰反射面162で再帰反射されて反射素子150を透過した光L1を透過する。すなわち、第4実施形態の空中像インタラクティブ装置104によれば、AIRR(Aerial Imaging by Retro-Refelection)にも適用可能である。
【0065】
また、上述では再帰反射面162が方向Zと平行に形成されている旨を説明したが、本実施形態の空中像インタラクティブ装置104の変形例として再帰反射面162は、反射素子150の反射面152によって反射された光L1の光軸A1に直交する平面に平行な方向(例えば、方向X,Z)に対して曲面をなしていてもよく、当該平面に対して傾斜して配置されていてもよい。すなわち、再帰反射素子160は、方向Zに対して湾曲又は傾斜していてもよく、湾曲且つ傾斜していてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101の構成に基づいてAIRRに適用した変形例を説明したが、第2実施形態の空中像インタラクティブ装置102又は第3実施形態の空中像インタラクティブ装置103に基づいて本実施形態の構成がAIRRに適用されてもよい。すなわち、空中像インタラクティブ装置102,103の各々において、再帰透過素子120に替えて、反射素子(第1反射素子)150及び再帰反射素子160が適宜配置されてもよい。
【0067】
(第5実施形態)
例えば、第5実施形態の空中像インタラクティブ装置105は、第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と同様に構成及び配置された表示装置110、再帰透過素子120、撮像装置130、反射素子140及び制御装置200を備える。但し、空中像インタラクティブ装置105は、筐体(遮蔽板)220を備えなくてもよい。この場合、設置面Bは、例えば屋内の床面である。表示装置110は、設置面B上に載置されている。制御装置200は、設置面B上に載置されていてもよく、設置面Bから遠隔に配置され、無線等で表示装置110及び撮像装置130に接続されてもよい。撮像装置130は、屋内の天井Tに設置されている。空中像インタラクティブ装置105では、表示面112以外の表示装置110の外側の面が床面と同系色になっていることが好ましい。同様に、受光面以外の撮像装置130の外側の面が天井Tと同系色になっていることが好ましい。
【0068】
第5実施形態の空中像インタラクティブ装置105によれば、少なくとも第1実施形態の空中像インタラクティブ装置101と同様の構成を備えるので、上述した空中像インタラクティブ装置101と同様の作用効果が得られる。すなわち、空中像インタラクティブ装置105によれば、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0069】
第5実施形態の空中像インタラクティブ装置105では、表示装置110及び撮像装置130が再帰透過面122によって再帰透過された光L1が結像する結像位置Pに形成される空中像ARを観察するユーザUの視野GVから外れた領域に配置されている。第5実施形態の空中像インタラクティブ装置105によれば、ユーザUに表示装置110及び撮像装置130を視認させることなく、ユーザUの注意を逸らさずに空中像ARを連続的に観察させることができる。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は特定の態様に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
101,102,103,104,105 空中像インタラクティブ装置
110 表示装置
112 表示面
120 再帰透過素子
122 再帰透過面
130 撮像装置
140 反射素子、反射素子(第2反射素子)
142 反射面、反射面(第2反射面)
150 反射素子(第1反射素子)
152 反射面(第1反射面)
Z 方向(第1光の進行方向)