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特開2023-180055金属部品製造装置、金属部品の製造方法及びモータの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180055
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】金属部品製造装置、金属部品の製造方法及びモータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 19/08 20060101AFI20231213BHJP
   B23P 13/04 20060101ALI20231213BHJP
   B21D 39/00 20060101ALI20231213BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B21D19/08 A
B23P13/04
B21D39/00 C
H02K15/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093128
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舩津 晃平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 章文
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615PP01
5H615PP28
5H615SS03
5H615SS10
5H615SS19
5H615TT13
5H615TT14
5H615TT15
5H615TT16
(57)【要約】
【課題】金属ワークに発生する亀裂がパンチの先端よりも深く発生することを抑制し得るとともに、パンチを用いて金属ワークを割裂加工しながら金属ワークに形成される深溝の形状を制御し得る金属部品製造装置を提供する。
【解決手段】金属部品製造装置1は、第1先端13を含む第1パンチ10と、金属ワーク40に間隔を空けて対向して配置されるガイド部材20とを備える。第1パンチ10を用いて、金属ワーク40を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することによって、深溝48が形成される。ガイド部材20は、第1金属片47に接触して第1金属片47をガイドする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1先端を含む第1パンチと、
金属ワークの第1部分に間隔を空けて対向して配置されるガイド部材とを備え、
前記金属ワークは端面を含み、前記金属ワークの前記第1部分は前記端面を含み、
前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの内部に移動させながら、前記金属ワークの前記第1部分を第1金属部分と第1金属片とに割裂することによって、前記金属ワークの前記端面に深溝が形成され、前記深溝は前記第1金属部分と前記第1金属片との間に形成され、
前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの前記内部に移動させている間、前記ガイド部材は前記第1金属片に接触して前記第1金属片をガイドする、金属部品製造装置。
【請求項2】
前記第1先端は、丸みを帯びた先端である、請求項1に記載の金属部品製造装置。
【請求項3】
前記第1パンチは、前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1先端から遠ざかるにつれて前記金属ワークから遠ざかるように傾斜している第1傾斜面を含み、
前記第1傾斜面は、前記第1金属片を前記ガイド部材に向けてガイドする、請求項1または請求項2に記載の金属部品製造装置。
【請求項4】
前記第1パンチは、前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1傾斜面とは反対側に傾斜している第2傾斜面を含む、請求項3に記載の金属部品製造装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記ガイド部材の先端から、前記ガイド部材に対して前記第1パンチに近い側に突出する突起を含み、
前記ガイド部材を前記金属ワークに対して移動させることによって、前記第1金属片は前記ガイド部材の前記突起でしごき加工される、請求項1または請求項2に記載の金属部品製造装置。
【請求項6】
前記第1パンチの断面形状と前記ガイド部材の断面形状とは、各々、前記金属ワークの断面形状と同じである、または、部分的に同じである、請求項1または請求項2に記載の金属部品製造装置。
【請求項7】
前記金属ワークを固定する固定部材をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の金属部品製造装置。
【請求項8】
ガイド部材を、金属ワークの第1部分に間隔を空けて対向して配置することを備え、前記金属ワークは端面を含み、前記金属ワークの前記第1部分は前記端面を含み、
第1先端を含む第1パンチを用いて、前記金属ワークの前記端面に深溝を形成することを備え、前記深溝を形成することは、前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの内部に移動させながら、前記金属ワークの前記第1部分を第1金属部分と第1金属片とに割裂することを含み、前記深溝は前記第1金属部分と前記第1金属片との間に形成され、
前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの前記内部に移動させている間、前記第1金属片を前記ガイド部材に接触させて、前記ガイド部材によって前記第1金属片をガイドすることを備える、金属部品の製造方法。
【請求項9】
前記第1先端は、丸みを帯びた先端である、請求項8に記載の金属部品の製造方法。
【請求項10】
前記第1パンチの第1傾斜面によって前記第1金属片を前記ガイド部材に向けてガイドすることをさらに備え、
前記第1傾斜面は、前記第1パンチの前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1先端から遠ざかるにつれて前記金属ワークから遠ざかるように傾斜している、請求項8または請求項9に記載の金属部品の製造方法。
【請求項11】
前記第1パンチは、前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1傾斜面とは反対側に傾斜している第2傾斜面を含む、請求項10に記載の金属部品の製造方法。
【請求項12】
前記ガイド部材を前記金属ワークに対して移動させて、前記ガイド部材の突起で前記第1金属片をしごき加工することをさらに備え、
前記突起は、前記ガイド部材の先端から、前記ガイド部材に対して前記第1パンチに近い側に突出している、請求項8または請求項9に記載の金属部品の製造方法。
【請求項13】
前記第1パンチの断面形状と前記ガイド部材の断面形状とは、各々、前記金属ワークの断面形状と同じである、または、部分的に同じである、請求項8または請求項9に記載の金属部品の製造方法。
【請求項14】
前記深溝の開口を閉塞して、前記金属ワークに空洞を形成することをさらに備える、請求項8または請求項9に記載の金属部品の製造方法。
【請求項15】
前記深溝の前記開口を閉塞することは、封止部材を前記深溝の前記開口に嵌合することを含む、請求項14に記載の金属部品の製造方法。
【請求項16】
前記深溝の前記開口を閉塞することは、蓋を前記深溝の前記開口に嵌合することと、前記蓋を前記第1金属部分と前記第1金属片とに接合する、または、かしめることとを含む、請求項14に記載の金属部品の製造方法。
【請求項17】
前記深溝の前記開口を閉塞することは、
第2パンチの第2先端を前記端面から前記第1金属部分の内部に移動させながら、前記第1金属部分を第2金属部分と第2金属片とに割裂することと、
前記第2パンチの前記第2先端を前記端面から前記第1金属部分の前記内部に移動させている間、前記第2金属片を前記ガイド部材に接触している前記第1金属片に接触させて、前記第1金属片によって前記第2金属片をガイドすることと、
前記第1金属片を前記第2金属片に接合する、または、かしめることとを含む、請求項14に記載の金属部品の製造方法。
【請求項18】
前記第2先端は、丸みを帯びた先端である、請求項17に記載の金属部品の製造方法。
【請求項19】
前記深溝の前記開口を閉塞することは、前記第1金属片を金属加工することによって前記第1金属片を前記第1金属部分に接触させることと、前記第1金属片を前記第1金属部分に接合することとを含む、請求項14に記載の金属部品の製造方法。
【請求項20】
前記第1金属片に、前記空洞に連通する貫通孔を形成することと、
前記第1金属片に、前記貫通孔に連通するパイプを接続することとをさらに備え、
前記金属ワークは、中空金属ワークであり、
前記深溝及び前記空洞は、前記中空金属ワークの外側面に形成されている、請求項14に記載の金属部品の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載された前記金属部品の製造方法によってステータフレームを形成することと、
前記ステータフレーム内にステータコアを配置することと、
前記ステータフレーム内において前記ステータコアに対向するロータコアを含むロータを組み付けることとを備える、モータの製造方法。
【請求項22】
前記金属ワークは、金属管、金属棒、金属板から絞り加工された絞り加工品、伸びフランジ加工により形成されたバーリング品である、請求項8または請求項9に記載の金属部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属部品製造装置、金属部品の製造方法及びモータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-124084号公報(特許文献1)は、金属管の端部の加工方法を開示している。特許文献1に開示された加工方法は、金属管を固定する押さえ型を金属管の長手方向に移動させる第1工程と、割裂パンチを押さえ型の先端に対応する深さまで金属管の長手方向に移動させることによって、割裂パンチを用いて金属管の端部を割裂する第2工程とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-124084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された加工方法では、第2工程において金属管から割裂される金属片が大きく反るため、深溝の形状を制御することができない。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、本開示の第一の局面の目的は、金属ワークに発生する亀裂がパンチの先端よりも深く発生することを抑制し得るとともに、パンチを用いて金属ワークを割裂加工しながら金属ワークに形成される深溝の形状を制御し得る金属部品製造装置及び金属部品の製造方法を提供することである。本開示の第二の局面の目的は、本開示の金属部品の製造方法を用いて製造された金属部品を用いたモータの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の金属部品製造装置は、第1先端を含む第1パンチと、金属ワークの第1部分に間隔を空けて対向して配置されるガイド部材とを備える。金属ワークは端面を含み、金属ワークの第1部分は端面を含む。第1パンチの第1先端を金属ワークの端面から金属ワークの内部に移動させながら、金属ワークの第1部分を第1金属部分と第1金属片とに割裂することによって、金属ワークの端面に深溝が形成され、深溝は第1金属部分と第1金属片との間に形成される。第1パンチの第1先端を金属ワークの端面から金属ワークの内部に移動させている間、ガイド部材は第1金属片に接触して第1金属片をガイドする。
【0006】
本開示の金属部品の製造方法は、ガイド部材を、金属ワークの第1部分に間隔を空けて対向して配置することを備える。金属ワークは、端面を含む。金属ワークの第1部分は、端面を含む。本開示の金属部品の製造方法は、第1先端を含む第1パンチを用いて、金属ワークの端面に深溝を形成することを備える。深溝を形成することは、第1パンチの第1先端を金属ワークの端面から金属ワークの内部に移動させながら、金属ワークの第1部分を第1金属部分と第1金属片とに割裂することを含む。深溝は、第1金属部分と第1金属片との間に形成される。本開示の金属部品の製造方法は、第1パンチの第1先端を金属ワークの端面から金属ワークの内部に移動させている間、第1金属片をガイド部材に接触させて、ガイド部材によって第1金属片をガイドすることを備える。
【0007】
本開示のモータの製造方法は、本開示の金属部品の製造方法によってステータフレームを形成することと、ステータフレーム内にステータコアを配置することと、ステータフレーム内においてステータコアに対向するロータコアを含むロータを組み付けることとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の金属部品製造装置及び本開示の金属部品の製造方法では、第1金属片は、ガイド部材によって変形される。そのため、第1パンチを用いて金属ワークを割裂加工しながら、金属ワークに形成される深溝の形状を制御することができる。また、本開示の金属部品製造装置及び本開示の金属部品の製造方法では、第1金属片がガイド部材によって変形される際に、第1金属片はガイド部材から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワークを構成する金属材料の一部は、金属ワークのうち第1パンチの第1先端に対向する部分に溜まる。そのため、金属ワークに発生する亀裂が第1パンチの第1先端よりも深く発生することを抑制することができる。
【0009】
本開示のモータの製造方法によれば、形状が制御された深溝が形成されたステータフレームを備えるモータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の金属部品製造装置のブロック図である。
図2】実施の形態1の金属部品製造装置に含まれる第1パンチの軸方向に垂直な断面における、第1パンチの概略断面図である。
図3】実施の形態1の金属部品製造装置に含まれる第1パンチの軸方向に沿う断面における、第1パンチの概略断面図である。
図4】実施の形態1の金属部品製造装置に含まれる第1パンチの、図3に示される領域IVの概略部分拡大断面図である。
図5】実施の形態1の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図6】実施の形態1の金属部品の製造方法における、図5に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図7】実施の形態1の金属部品の製造方法における図6に示される工程の概略部分拡大断面図である。
図8】実施の形態1の金属部品の製造方法における、図7に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図9】実施の形態2の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図10】実施の形態2の金属部品の製造方法における、図9に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図11】実施の形態3の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図12】実施の形態3の金属部品の製造方法における、図11に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図13】実施の形態4の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図14】実施の形態4の金属部品の製造方法における、図13に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図15】実施の形態5の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図16】実施の形態5の金属部品の製造方法における、図15に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図17】実施の形態6の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図18】実施の形態6の金属部品の製造方法における、図17に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図19】実施の形態7の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図20】実施の形態7の金属部品の製造方法における、図19に示される工程の概略部分拡大断面図である。
図21】実施の形態7の金属部品の製造方法における、図19に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図22】実施の形態8の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図23】実施の形態8の金属部品の製造方法における、図22に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図24】実施の形態8の金属部品の製造方法における、図23に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図25】実施の形態8の金属部品の製造方法における、図24に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図26】実施の形態9の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図27】実施の形態9の金属部品の製造方法における、図26に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図28】実施の形態9の金属部品の製造方法における、図27に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図29】実施の形態9の金属部品の製造方法における図28に示される工程の概略部分拡大断面図である。
図30】実施の形態9の金属部品の製造方法における、図28に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図31】実施の形態9の金属部品の製造方法における、図30に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図32】実施の形態10の金属部品製造装置に含まれる第1パンチの軸方向に沿う断面における、第1パンチの概略断面図である。
図33】実施の形態10の金属部品製造装置に含まれる第1パンチの、図32に示される領域XXXIIの概略部分拡大断面図である。
図34】実施の形態10の金属部品の製造方法の一工程を示す概略部分拡大断面図である。
図35】実施の形態11の金属部品の概略断面図である。
図36】実施の形態11の変形例の金属部品の概略断面図である。
図37】実施の形態12の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図38】実施の形態12の金属部品の製造方法における、図37に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図39】実施の形態12の金属部品の概略断面図である。
図40】実施の形態13の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図41】実施の形態13の金属部品の製造方法における、図40に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図42】実施の形態13の金属部品の製造方法における、図41に示される工程の次工程を示す概略断面図であるとともに、実施の形態13の金属部品の概略断面図である。
図43】実施の形態14の金属部品の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図44】実施の形態14の金属部品の製造方法における、図43に示される工程の次工程を示す概略断面図である。
図45】実施の形態14の金属部品の製造方法における、図44に示される工程の次工程を示す概略断面図であるとともに、実施の形態14の金属部品の概略断面図である。
図46】実施の形態15の金属部品の概略断面図である。
図47】実施の形態15の変形例の金属部品の概略断面図である。
図48】実施の形態16のモータの概略断面図である。
図49】実施の形態16のモータの製造方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
【0013】
図1から図8を参照して、実施の形態1の金属部品製造装置1を説明する。金属部品製造装置1は、金属ワーク40(図5から図8を参照)を加工して、金属ワーク40から金属部品2(図8を参照)を製造する装置である。
【0014】
図5から図8に示されるように、本実施の形態では、金属ワーク40は中空金属ワークであり、中空金属ワークは、例えば、金属管40aである。本実施の形態では、金属管40aの長手方向(軸方向)に垂直な断面における金属管40aの断面形状は、円形である。金属ワーク40は、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銅合金、アルミニウム合金または鉄合金で形成されている。金属管40aは、外側面41と、内側面42と、端面43とを含む。端面43は、外側面41と内側面42とに接続されている。金属管40aの長手方向は、z方向である。端面43は、z方向に垂直なx方向と、z方向及びx方向に垂直なy方向とに沿って延在している。
【0015】
図1から図8を参照して、金属部品製造装置1は、第1パンチ10と、ガイド部材20と、固定部材30とを備える。金属部品製造装置1は、コントローラ29をさらに備えてもよい。
【0016】
図5から図8に示されるように、固定部材30は、金属ワーク40を固定する。固定部材30は、例えば、中実固定部材である。例えば、固定部材30は、内側面42によって規定される金属管40aの孔に嵌合される。固定部材30は、内側面42に接触している。
【0017】
図2から図4に示されるように、第1パンチ10は、中空パンチである。第1パンチ10の軸方向(長手方向)は、z方向である。図5から図8に示されるように、第1パンチ10を金属ワーク40に対して第1パンチ10の軸方向(z方向)に移動させることにより、第1パンチ10を用いて金属ワーク40を加工(例えば、プレス成形)する。図2に示される第1パンチ10の断面形状は、金属ワーク40の断面形状と同じであり、例えば、円形である。第1パンチ10の断面形状は、第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な断面(xy面)におけるパンチの形状である。金属ワーク40の断面形状は、第1パンチ10の移動方向に垂直な断面における金属ワーク40の形状である。
【0018】
第1パンチ10は、外側面11と、内側面12と、丸みを帯びた第1先端13と、第1傾斜面14とを含む。外側面11と内側面12とは、各々、第1パンチ10の軸方向(z方向)に延在している。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、外側面11と内側面12とは、各々、第1パンチ10の軸方向に延在する直線である。
【0019】
丸みを帯びた第1先端13は、内側面12と第1傾斜面14とに接続されている。第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13と外側面11とに接続されている。第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13から遠ざかるにつれて内側面12から遠ざかるように傾斜している。図5から図8に示されるように、第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。
【0020】
図5から図7に示されるように、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂する。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、内側面12は第1パンチ10の軸方向に延在する直線であるのに対し、第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。そのため、第1金属片47は金属管40aの外側面41だけに形成される。第1金属部分46の外側面は、第1パンチ10の軸方向に延在している。第1パンチ10の軸方向に沿う断面において、第1金属部分46の外側面は、第1パンチ10の軸方向に延在する直線である。第1傾斜面14は、第1金属片47をガイド部材20に向けてガイドする。
【0021】
図5から図7に示されるように、ガイド部材20は、金属ワーク40の第1部分に間隔Gを空けて対向して配置される。間隔Gは、第1パンチ10の厚さTよりも大きい。間隔Gは、例えば、第1パンチ10の厚さTよりも、第1金属片47の厚さtの10%以上大きい。
【0022】
本実施の形態では、ガイド部材20は、中空ガイド部材である。ガイド部材20の内側面は、第1金属片47に対するガイド面として機能する。本実施の形態では、間隔Gは、金属管40aの外側面41とガイド部材20の内側面との間の間隔である。ガイド部材20の内側面は、第1パンチ10の軸方向(z方向)に延在している。第1パンチ10の軸方向に沿う断面において、ガイド部材20の内側面は、第1パンチ10の軸方向に延在する直線である。ガイド部材20の断面形状は、金属ワーク40の断面形状と同じであり、例えば、円形である。ガイド部材20の断面形状は、第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な断面(xy面)におけるガイド部材20の形状である。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。
【0023】
図6及び図7に示されるように、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、ガイド部材20は、第1金属片47に接触して第1金属片47をガイドする。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。ガイド部材20によって変形された第1金属片47は、例えば、第1金属部分46の外側面に平行に延在している。こうして、図8に示されるように、金属ワーク40の端面43に深溝48が形成される。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。深溝48の深さ方向は、金属ワーク40の軸方向(z方向)または金属ワーク40の長手方向(z方向)である。深溝48の幅方向は、金属ワーク40の径方向である。本明細書において、深溝48は、1mm以上の深さを有する溝を意味する。本実施の形態では、深溝48は、金属ワーク40の径方向における端面43の外周領域に形成されている。
【0024】
コントローラ29は、第1パンチ10を制御する。コントローラ29は、例えば、第1パンチ10を第1パンチ10の軸方向(z方向)に移動させて、第1パンチ10を用いて金属ワーク40を加工する(図5から図7を参照)、または、金属ワーク40から第1パンチ10を離す(図8を参照)。コントローラ29は、固定部材30、ガイド部材20、または、固定部材30とガイド部材20の両方をさらに制御してもよい。コントローラ29は、例えば、固定部材30を第1パンチ10の軸方向に移動させて、金属管40aの孔に嵌合させる。コントローラ29は、例えば、ガイド部材20を第1パンチ10の軸方向に移動させて、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分に間隔Gを空けて対向して配置する。
【0025】
図1を参照して、コントローラ29は、例えば、プロセッサと、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような記憶装置とを含むマイクロコンピュータである。プロセッサとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)が採用され得る。RAMは、プロセッサによって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置には、例えば、プロセッサで実行されるプログラムなどが記憶されている。本実施の形態では、記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、コントローラ29は、第1パンチ10などを制御する。マイクロコンピュータに代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が、コントローラ29として採用されてもよい。コントローラ29における各種処理は、ソフトウェアによって実行されることに限られず、専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
【0026】
図5から図8を参照して、金属部品製造装置1を用いた本実施の形態の金属部品2の製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2は、金属管40aの径方向における端面43の外周領域に深溝48が形成された金属管40aである。
【0027】
図5に示されるように、固定部材30を用いて金属ワーク40を固定する。例えば、固定部材30を、内側面42によって規定される金属管40aの孔に嵌合する。固定部材30は、内側面42に接触して、金属ワーク40の第1部分を固定する。金属ワーク40の第1部分は、端面43を含む。
【0028】
図5に示されるように、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分に間隔Gを空けて対向して配置する。ガイド部材20は、金属管40aの外側面41に間隔を空けて対向して配置される。
【0029】
図5から図7に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。深溝48を形成することは、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することを含む。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、第1パンチ10の内側面12は第1パンチ10の軸方向に延在する直線であるのに対し、第1パンチ10の第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。そのため、第1金属片47は金属管40aの外側面41だけに形成される。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。
【0030】
図6及び図7に示されるように、第1パンチ10の第1傾斜面14によって、第1金属片47をガイド部材20に向けてガイドする。第1傾斜面14は、第1パンチ10の第1先端13に接続されており、かつ、第1先端13から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している。
【0031】
図6及び図7に示されるように、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47をガイド部材20に接触させて、ガイド部材20によって第1金属片47をガイドする。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。ガイド部材20によって変形された第1金属片47は、例えば、第1金属部分46の外側面に平行に延在している。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。
【0032】
図8に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2が得られる。
【0033】
(作用)
【0034】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47は、ガイド部材20に接触して、ガイド部材20によってガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。そのため、第1パンチ10を用いて金属ワーク40を割裂加工しながら、金属ワーク40に形成される深溝48の形状を制御することができる。
【0035】
第1金属片47がガイド部材20によって変形される際に、第1金属片47はガイド部材20から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40のうち第1先端13に対向する部分40f(図7を参照)に溜まる。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。また、第1パンチ10の第1先端13は、丸みを帯びている。そのため、第1パンチ10を用いて金属ワーク40を加工する際に、第1パンチ10の第1先端13において金属ワーク40に印加される荷重の集中が緩和される。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制し得る。
【0036】
間隔Gが小さいほど、第1金属片47がガイド部材20から受ける変形抵抗は増加し、より多くの金属材料が金属ワーク40のうち第1先端13に対向する部分40f(図7を参照)に溜まる。そのため、間隔Gが小さいほど、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することをさらに抑制することができる。しかし、第1金属片47がガイド部材20から受ける変形抵抗が増加すると、金属ワーク40の加工時に第1パンチ10が受ける荷重が増加する。そのため、金属ワーク40を加工する際に、第1パンチ10が破損または摩耗することがある。金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の破損または摩耗を低減するために、間隔Gは、第1パンチ10の厚さTよりも、第1金属片47の厚さtの10%以上大きいことが好ましい。
【0037】
金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持されている。そのため、深溝48の深さは、複雑な形状を有する金型を用いることなく、第1パンチ10の移動量を管理するだけで制御され得る。そのため、金属ワーク40の形状の自由度、及び、金属ワーク40の加工方向の自由度が大きくなる。
【0038】
(変形例)
【0039】
第1パンチ10の第1先端13は、丸みを帯びていなくてもよい。金属管40aの長手方向(軸方向、z方向)に垂直な断面における金属管40aの断面形状は、円形に限られず、例えば、楕円形または多角形であってもよい。
【0040】
第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な断面(xy面)における第1パンチ10の断面形状は、図2に示されるような円形に限られず、楕円形または多角形であってもよい。第1パンチ10の断面形状は、金属管40aの断面形状と同じであってもよいし、金属管40aの断面形状と部分的に同じであってもよい。
【0041】
金属管40aの端面43の外周領域の一部を、第1パンチ10を用いて割裂してもよい。金属管40aの端面43の外周領域のうちの複数箇所を、第1パンチ10を用いて割裂してもよい。金属管40aの端面43の外周領域のうちの複数箇所を割裂する場合、複数箇所に対応する複数の深溝48の深さは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
【0042】
第1パンチ10の丸みを帯びた第1先端13の破損及び摩耗を抑制するために、第1パンチ10を用いて金属ワーク40を割裂する際に、金属ワーク40と第1パンチ10とに潤滑油を供給してもよい。
【0043】
本実施の形態の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法の効果を説明する。
【0044】
本実施の形態の金属部品製造装置1は、第1先端13を含む第1パンチ10と、金属ワーク40の第1部分に間隔Gを空けて対向して配置されるガイド部材20とを備える。金属ワーク40は端面43を含み、金属ワーク40の第1部分は端面43を含む。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することによって、金属ワーク40の端面43に深溝48が形成される。深溝48は第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、ガイド部材20は第1金属片47に接触して第1金属片47をガイドする。
【0045】
そのため、第1金属片47は、ガイド部材20によって変形される。第1パンチ10を用いて金属ワーク40を割裂加工しながら、金属ワーク40に形成される深溝48の形状を制御することができる。また、第1金属片47がガイド部材20によって変形される際に、第1金属片47はガイド部材20から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40のうち第1先端13に対向する部分40f(図7を参照)に溜まる。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。
【0046】
本実施の形態の金属部品製造装置1では、第1パンチ10の第1先端13は、丸みを帯びた先端である。
【0047】
そのため、第1パンチ10の第1先端13において金属ワーク40に印加される荷重の集中が緩和される。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。
【0048】
本実施の形態の金属部品製造装置1では、第1パンチ10は、第1先端13に接続されており、かつ、第1先端13から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している第1傾斜面14を含む。第1傾斜面14は、第1金属片47をガイド部材20に向けてガイドする。
【0049】
そのため、第1金属片47は、より円滑にかつより確実に、ガイド部材20に向けてガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形される。金属ワーク40に形成される深溝48の形状を制御することができる。また、第1金属片47はガイド部材20から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40のうち第1先端13に対向する部分40f(図7を参照)に溜まる。金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。
【0050】
本実施の形態の金属部品製造装置1では、第1パンチ10の断面形状とガイド部材20の断面形状とは、各々、金属ワーク40の断面形状と同じである、または、部分的に同じである。
【0051】
そのため、様々な形状またはパターンを有する深溝48が、金属ワーク40に形成され得る。
【0052】
本実施の形態の金属部品製造装置1は、金属ワーク40を固定する固定部材30をさらに備える。
【0053】
そのため、金属ワーク40に対してより高い精度で深溝48が形成され得る。
【0054】
本実施の形態の金属部品2の製造方法は、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分に間隔Gを空けて対向して配置することを備える。金属ワーク40は、端面43を含む。金属ワーク40の第1部分は、端面43を含む。本実施の形態の金属部品2の製造方法は、第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成することを備える。深溝48を形成することは、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することを含む。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。本実施の形態の金属部品2の製造方法は、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47をガイド部材20に接触させて、ガイド部材20によって第1金属片47をガイドすることを備える。
【0055】
そのため、第1金属片47は、ガイド部材20によって変形される。第1パンチ10を用いて金属ワーク40を割裂加工しながら、金属ワーク40に形成される深溝48の形状を制御することができる。また、第1金属片47がガイド部材20によって変形される際に、第1金属片47はガイド部材20から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40のうち第1先端13に対向する部分40f(図7を参照)に溜まる。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。
【0056】
本実施の形態の金属部品2の製造方法では、第1パンチ10の第1先端13は、丸みを帯びた先端である。
【0057】
そのため、第1パンチ10の第1先端13において金属ワーク40に印加される荷重の集中が緩和される。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。
【0058】
本実施の形態の金属部品2の製造方法は、第1パンチ10の第1傾斜面14によって第1金属片47をガイド部材20に向けてガイドすることをさらに備える。第1傾斜面14は、第1パンチ10の第1先端13に接続されており、かつ、第1先端13から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している。
【0059】
そのため、第1金属片47は、より円滑にかつより確実に、ガイド部材20に向けてガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形される。金属ワーク40に形成される深溝48の形状を制御することができる。また、第1金属片47はガイド部材20から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40のうち第1先端13に対向する部分40f(図7を参照)に溜まる。金属ワーク40に発生する亀裂が第1パンチ10の第1先端13よりも深く発生することを抑制することができる。
【0060】
本実施の形態の金属部品2の製造方法では、第1パンチ10の断面形状とガイド部材20の断面形状とは、各々、金属ワーク40の断面形状と同じである、または、部分的に同じである。
【0061】
そのため、様々な形状またはパターンを有する深溝48が、金属ワーク40に形成され得る。
【0062】
実施の形態2.
【0063】
図9及び図10を参照して、金属部品製造装置1を用いた実施の形態2の金属部品2bの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2bの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備え、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の効果を奏するが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0064】
本実施の形態では、金属ワーク40は中空金属ワークであり、中空金属ワークは、例えば、金属板から絞り加工された絞り加工品40bである。絞り加工品40bは、底板51と、底板51に接続されている側壁52とを含む。側壁52は、外側面41と内側面42と端面43とを含む。端面43は、外側面41と内側面42とに接続されている。金属部品2bは、絞り加工品40bの径方向における端面43の外周領域に深溝48が形成された絞り加工品40bである。
【0065】
本実施の形態の金属部品2bの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様である。具体的には、図9に示されるように、固定部材30を用いて金属ワーク40を固定する。例えば、固定部材30を、内側面42によって規定される絞り加工品40bの内部空間に嵌合する。固定部材30は、内側面42に接触して、絞り加工品40bを固定する。図9に示されるように、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分(例えば、側壁52)に間隔を空けて対向して配置する。金属ワーク40の第1部分は、端面43を含む。ガイド部材20は、側壁52の外側面41に間隔を空けて対向して配置される。
【0066】
図9に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することによって、深溝48を形成する。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。第1金属片47は、第1パンチ10の第1傾斜面14によって、ガイド部材20に向けてガイドされる。
【0067】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47は、ガイド部材20に接触して、ガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。図10に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2bが得られる。
【0068】
実施の形態3.
【0069】
図11及び図12を参照して、金属部品製造装置1を用いた実施の形態3の金属部品2cの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2cの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備え、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の効果を奏するが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0070】
本実施の形態では、金属ワーク40は中空金属ワークであり、中空金属ワークは、例えば、伸びフランジ加工により形成されたバーリング品40cである。バーリング品40cは、管部54と、フランジ部55とを含む。管部54は、外側面41と内側面42と端面43とを含む。端面43は、外側面41と内側面42とに接続されている。フランジ部55は、端面43とは反対側の管部54の端部に接続されている。金属部品2cは、バーリング品40cまたは管部54の径方向における端面43の外周領域に深溝48が形成されたバーリング品40cである。
【0071】
本実施の形態の金属部品2cの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様である。具体的には、図11に示されるように、固定部材30を用いて金属ワーク40を固定する。例えば、固定部材30を、内側面42によって規定されるバーリング品40cの管部54の孔に嵌合する。固定部材30は、内側面42に接触して、バーリング品40cを固定する。図11に示されるように、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分(例えば、管部54)に間隔を空けて対向して配置する。金属ワーク40の第1部分は、端面43を含む。ガイド部材20は、管部54の外側面41に間隔を空けて対向して配置される。
【0072】
図11に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することによって、深溝48を形成する。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。第1金属片47は、第1パンチ10の第1傾斜面14によって、ガイド部材20に向けてガイドされる。
【0073】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47は、ガイド部材20に接触して、ガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。図12に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2cが得られる。
【0074】
実施の形態4.
【0075】
図13及び図14を参照して、金属部品製造装置1を用いた実施の形態4の金属部品2dの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2dの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備え、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の効果を奏するが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0076】
本実施の形態では、金属ワーク40は金属棒40dである。本実施の形態では、金属棒40dの長手方向(軸方向、z方向)に垂直な断面における金属棒40dの断面形状は、円形である。金属棒40dは、外側面41と端面43とを含む。端面43は、外側面41に接続されている。端面43は、例えば、x方向とy方向とに沿って延在している。金属棒40dの径方向における端面43の外周領域に深溝48が形成された金属棒40dである。
【0077】
本実施の形態の金属部品2dの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様である。具体的には、図13に示されるように、固定部材30を用いて金属ワーク40を固定する。例えば、固定部材30を外側面41に接触させて、金属棒40dを固定する。図13に示されるように、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分に間隔を空けて対向して配置する。金属ワーク40の第1部分は、端面43を含む。ガイド部材20は、金属棒40dの外側面41に間隔を空けて対向して配置される。ガイド部材20は、固定部材30に接続されてもよいし(図13及び図14を参照)、固定部材30から離れて配置されてもよい。
【0078】
図13に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することによって、深溝48を形成する。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。第1金属片47は、第1パンチ10の第1傾斜面14によって、ガイド部材20に向けてガイドされる。
【0079】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47は、ガイド部材20に接触して、ガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。図14に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2dが得られる。
【0080】
実施の形態5.
【0081】
図15及び図16を参照して、実施の形態5に係る金属部品製造装置1eを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1eは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0082】
金属部品製造装置1eでは、第1パンチ10は、外側面11と、内側面12と、丸みを帯びた第1先端13と、第1傾斜面14とを含む。丸みを帯びた第1先端13は、外側面11と第1傾斜面14とに接続されている。第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13と内側面12とに接続されている。第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13から遠ざかるにつれて外側面11から遠ざかるように傾斜している。第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。
【0083】
金属部品製造装置1eでは、ガイド部材20は、例えば、中実ガイド部材である。ガイド部材20は、金属管40aの内側面42に対向している。固定部材30は、例えば、中空固定部材である。固定部材30は、金属管40aの外側面41に対向しており、かつ、接触している。
【0084】
図15及び図16を参照して、金属部品製造装置1eを用いた実施の形態5の金属部品2eの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2eの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0085】
金属部品2eは、金属管40aの径方向における端面43の内周領域に深溝48が形成された金属管40aである。
【0086】
本実施の形態の金属部品2eの製造方法では、図15に示されるように、固定部材30を用いて金属ワーク40を固定する。例えば、固定部材30を金属管40aの外側面41に接触させて、金属管40aを固定する。図15に示されるように、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分に間隔を空けて対向して配置する。金属ワーク40の第1部分は、端面43を含む。ガイド部材20は、金属管40aの内側面42に間隔を空けて対向して配置される。
【0087】
図15に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂することによって、深溝48を形成する。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、外側面11は第1パンチ10の軸方向に延在する直線であるのに対し、第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。そのため、第1金属片47は金属管40aの内側面42だけに形成される。深溝48は、第1金属部分46と第1金属片47との間に形成される。第1金属片47は、第1パンチ10の第1傾斜面14によって、ガイド部材20に向けてガイドされる。
【0088】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47は、ガイド部材20に接触して、ガイドされる。第1金属片47は、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。図16に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2eが得られる。
【0089】
本実施の形態の金属部品製造装置1e及び金属部品2eの製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法と同様の効果を奏するが、以下の点において実施の形態1の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法と異なっている。本実施の形態では、金属部品2eの外径を金属管40aの外径と等しくする必要がある場合であっても、金属管40aの径方向における端面43の内周領域に深溝48を形成することができる。
【0090】
実施の形態6.
【0091】
図17及び図18を参照して、実施の形態6に係る金属部品製造装置1fを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1fは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0092】
金属部品製造装置1fは、第2パンチ60をさらに備える。第2パンチ60の外径は第1パンチ10の外径より小さく、かつ、第2パンチ60の内径は第1パンチ10の内径より小さい。第2パンチ60は、第1パンチ10の内側に配置される。
【0093】
第2パンチ60は、外側面61と、内側面62と、丸みを帯びた第2先端63と、第2傾斜面64とを含む。丸みを帯びた第2先端63は、外側面61と第2傾斜面64とに接続されている。第2傾斜面64は、丸みを帯びた第2先端63と内側面62とに接続されている。第2傾斜面64は、外側面61または内側面62に対して、第1傾斜面14とは反対側に傾斜している。第2傾斜面64は、丸みを帯びた第2先端63から遠ざかるにつれて外側面61から遠ざかるように傾斜している。第2傾斜面64は、丸みを帯びた第2先端63から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している。第2パンチ60の軸方向(z方向)に沿う断面において、第2傾斜面64は、第2パンチ60の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。
【0094】
ガイド部材20は、第1ガイド部材21と第2ガイド部材22とを含む。第1ガイド部材21は、例えば、中空ガイド部材である。第2ガイド部材22は、例えば、中実ガイド部材である。第1ガイド部材21及び第2ガイド部材22は、金属ワーク40の第1部分に間隔を空けて対向して配置される。第1ガイド部材21は、実施の形態1のガイド部材20と同様に、金属管40aの外側面41に対向して配置されている。金属管40aの外側面41と第1ガイド部材21との間の間隔は、第1パンチ10の厚さTよりも大きい。第2ガイド部材22は、実施の形態5のガイド部材20と同様に、金属管40aの内側面42に対向して配置されている。金属管40aの内側面42と第2ガイド部材22との間の間隔は、第2パンチ60の厚さTよりも大きい。
【0095】
第1ガイド部材21の内側面は、第1金属片47に対するガイド面として機能する。第1ガイド部材21の内側面は、第1パンチ10の軸方向(z方向)に延在している。第1パンチ10の軸方向に沿う断面において、第1ガイド部材21の内側面は、第1パンチ10の軸方向に延在する直線である。第2ガイド部材22の外側面は、第2金属片57に対するガイド面として機能する。第2ガイド部材22の外側面は、第2パンチ60の軸方向(z方向)に延在している。第2パンチ60の軸方向に沿う断面において、第2ガイド部材22の外側面は、第2パンチ60の軸方向に延在する直線である。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、第1ガイド部材21及び第2ガイド部材22は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対する第1ガイド部材21の位置及び第2ガイド部材22の位置は維持される。
【0096】
図17に示されるように、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1ガイド部材21は、第1金属片47に接触して第1金属片47をガイドする。第1金属片47は、第1ガイド部材21によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。第1ガイド部材21によって変形された第1金属片47は、例えば、第1金属部分46の外側面に平行に延在している。こうして、図18に示されるように、金属ワーク40の端面43に深溝48が形成される。
【0097】
第2パンチ60の第2先端63を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第2ガイド部材22は、第2金属片57に接触して第2金属片57をガイドする。第2金属片57は、第2ガイド部材22によって変形されて、第2パンチ60の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。第2ガイド部材22によって変形された第2金属片57は、例えば、第1金属部分46の内側面に平行に延在している。こうして、図18に示されるように、金属ワーク40の端面43に深溝58が形成される。深溝58の深さ方向は、金属ワーク40の軸方向(z方向)または金属ワーク40の長手方向(z方向)である。深溝58の幅方向は、金属ワーク40の径方向である。
【0098】
図17及び図18を参照して、金属部品製造装置1fを用いた実施の形態6の金属部品2fの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2fの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0099】
本実施の形態の金属部品2fは、金属管40aの径方向における端面43の外周領域と内周領域とに深溝48と深溝58とがそれぞれ形成された金属管40aである。
【0100】
本実施の形態の金属部品2fの製造方法では、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程によって深溝48を形成する。ただし、本実施の形態では、深溝48を形成するために、実施の形態1のガイド部材20に代えて、第1ガイド部材21が用いられている。さらに、本実施の形態の金属部品2fの製造方法では、実施の形態5の金属部品2eの製造方法と同様の工程によって、第2パンチ60を用いて深溝58を形成する。深溝58を形成する方法を、より詳しく説明する。
【0101】
図17に示されるように、丸みを帯びた第2先端63を含む第2パンチ60を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝58を形成する。第2パンチ60の第2先端63を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第2金属片57とに割裂することによって、深溝58を形成する。第2パンチ60の軸方向(z方向)に沿う断面において、外側面61は第2パンチ60の軸方向に延在する直線であるのに対し、第2傾斜面64は、第2パンチ60の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。そのため、第2金属片57は金属管40aの内側面42だけに形成される。深溝58は、第1金属部分46と第2金属片57との間に形成される。第2金属片57は、第2パンチ60の第2傾斜面64によって、第2ガイド部材22に向けてガイドされる。
【0102】
第2パンチ60の第2先端63を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第2金属片57は、第2ガイド部材22に接触して、第2ガイド部材22によってガイドされる。第2金属片57は、第2ガイド部材22によって変形されて、第2パンチ60の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。金属ワーク40を加工するために第2パンチ60を金属ワーク40に対して移動させている間、第2ガイド部材22は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対する第2ガイド部材22の位置は維持される。
【0103】
図18に示されるように、第2パンチ60を移動させて、第2パンチ60を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2fが得られる。本実施の形態では、深溝48と深溝58とは同時に形成されている。深溝48が深溝58よりも前に形成されてもよいし、深溝48が深溝58の後に形成されてもよい。
【0104】
(変形例)
【0105】
第2パンチ60の第2先端63は、丸みを帯びていなくてもよい。
【0106】
本実施の形態の金属部品製造装置1f及び金属部品2fの製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0107】
本実施の形態では、金属管40aの径方向における端面43の外周領域と内周領域とに、深溝48と深溝58とをそれぞれ形成することができる。
【0108】
また、第2金属片57は、第2ガイド部材22によって変形される。第2パンチ60を用いて金属ワーク40を割裂加工しながら、金属ワーク40に形成される深溝58の形状を制御することができる。また、第2金属片57が第2ガイド部材22によって変形される際に、第2金属片57は第2ガイド部材22から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40のうち第2先端63に対向する部分に溜まる。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第2パンチ60の第2先端63よりも深く発生することを抑制することができる。
【0109】
本実施の形態では、第2パンチ70の第2先端73は、丸みを帯びた先端である。
【0110】
そのため、第2パンチ60の第2先端63において金属ワーク40に印加される荷重の集中が緩和される。金属ワーク40に発生する亀裂が第2パンチ60の第2先端63よりも深く発生することを抑制することができる。
【0111】
実施の形態7.
【0112】
図19から図21を参照して、実施の形態7に係る金属部品製造装置1gを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1gは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0113】
第1パンチ10は、外側面11と、内側面12と、丸みを帯びた第1先端13と、第1傾斜面14と、第2傾斜面15とを含む。外側面11と内側面12とは、各々、第1パンチ10の軸方向(z方向)に延在している。第1パンチ10の軸方向に沿う断面において、外側面11と内側面12とは、各々、第1パンチ10の軸方向に延在する直線である。丸みを帯びた第1先端13は、第1傾斜面14と第2傾斜面15とに接続されている。
【0114】
第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13と外側面11とに接続されている。第1傾斜面14は、丸みを帯びた第1先端13から遠ざかるにつれて内側面12から遠ざかるように傾斜している。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。
【0115】
第2傾斜面15は、丸みを帯びた第1先端13と内側面12とに接続されている。第2傾斜面15は、外側面11または内側面12に対して、第1傾斜面14とは反対側に傾斜している。第2傾斜面15は、丸みを帯びた第1先端13から遠ざかるにつれて外側面11から遠ざかるように傾斜している。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、第2傾斜面15は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。
【0116】
図19及び図20に示されるように、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属部分46と第1金属片47とに割裂する。第1パンチ10は、丸みを帯びた第1先端13に接続されている第1傾斜面14と第2傾斜面15とを含む。そのため、第1金属片47は金属管40aの外側面に形成される。第1金属部分46は、金属管40aの内側面に形成される第2金属片である。第1傾斜面14は、第1金属片47を第1ガイド部材21に向けてガイドする。第2傾斜面15は、第2金属片である第1金属部分46を第2ガイド部材22に向けてガイドする。
【0117】
本実施の形態のガイド部材20は、実施の形態6のガイド部材20と同様に、第1ガイド部材21と第2ガイド部材22とを含む。第1ガイド部材21の内側面は、第1金属片47に対するガイド面として機能する。第2ガイド部材22の内側面は、第2金属片である第1金属部分46に対するガイド面として機能する。
【0118】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1ガイド部材21は、第1金属片47に接触して第1金属片47をガイドする。第1金属片47は、第1ガイド部材21によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第2ガイド部材22は、第2金属片である第1金属部分46に接触して第1金属部分46をガイドする。第1金属部分46は、第1ガイド部材21によって変形されて、第1パンチ10の軸方向に沿って延在する金属片となる。第1ガイド部材21によって変形された第1金属部分46は、例えば、第1金属片47に平行に延在している。こうして、図21に示されるように、金属ワーク40の端面43に深溝48が形成される。
【0119】
図19から図21を参照して、金属部品製造装置1gを用いた実施の形態7の金属部品2gの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2gの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0120】
金属部品2gは、金属管40aの径方向における端面43の中央領域に深溝48が形成された金属管40aである。本実施の形態の金属部品2gの深溝48の幅は、実施の形態1の金属部品2の深溝48の幅よりも大きい。
【0121】
本実施の形態の金属部品2gの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様である。具体的には、固定部材30(図示せず)を用いて金属ワーク40を固定する。図19に示されるように、実施の形態6のガイド部材20と同様に、ガイド部材20を、金属ワーク40の第1部分(例えば、側壁52)に間隔を空けて対向して配置する。第1ガイド部材21は、金属管40aの外側面41に対向して配置されている。金属管40aの外側面41と第1ガイド部材21との間の間隔は、第1金属片47の厚さよりも大きい。第2ガイド部材22は、金属管40aの内側面42に対向して配置されている。金属管40aの内側面42と第2ガイド部材22との間の間隔は、第2金属片である第1金属部分46の厚さよりも大きい。
【0122】
図19及び図20に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第1部分を第1金属片47と第2金属片である第1金属部分46とに割裂することによって、深溝48を形成する。深溝48は、第1金属片47と第2金属片である第1金属部分46との間に形成される。第1金属片47は、第1パンチ10の第1傾斜面14によって、第1ガイド部材21に向けてガイドされる。第2金属片である第1金属部分46は、第1パンチ10の第2傾斜面15によって、第2ガイド部材22に向けてガイドされる。
【0123】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第1金属片47は、第1ガイド部材21に接触して、ガイドされる。第1金属片47は、第1ガイド部材21によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面43から金属ワーク40の内部に移動させている間、第2金属片である第1金属部分46は、第2ガイド部材22に接触して、ガイドされる。第1金属部分46は、第2ガイド部材22によって変形されて、第1パンチ10の軸方向に沿って延在する金属片となる。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、第1ガイド部材21及び第2ガイド部材22は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対する第1ガイド部材21の位置と金属ワーク40に対する第2ガイド部材22の位置とは維持される。
【0124】
第1パンチ10を用いて金属ワーク40を加工する際、第1パンチ10の第1傾斜面14は、金属ワーク40の塑性変形に必要な力の反作用Fを受ける。第1パンチ10の第2傾斜面15は、金属ワーク40の塑性変形に必要な力の反作用Fを受ける。第2傾斜面15は第1傾斜面14とは反対側に傾斜しているため、第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な方向において、反作用Fの向きは、反作用Fの向きとは正反対になる。反作用Fのうち第1パンチ10の移動方向に垂直な方向に沿う成分の一部または全部は、反作用Fのうち第1パンチ10の移動方向に垂直な方向に沿う成分によって相殺される。金属ワーク40の加工時に第1パンチ10が受ける、第1パンチ10の移動方向に垂直な方向に沿う荷重が、減少する。そのため、金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の破損または摩耗を低減することができる。
【0125】
図21に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2gが得られる。
【0126】
本実施の形態の金属部品製造装置1g及び金属部品2gの製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0127】
本実施の形態の金属部品製造装置1g及び本実施の形態の金属部品2gの製造方法では、第1パンチ10は、第1先端13に接続されており、かつ、第1傾斜面14とは反対側に傾斜している第2傾斜面15を含む。
【0128】
そのため、より広い幅を有する深溝48を、金属ワーク40の端面43に形成することができる。
【0129】
また、金属ワーク40の加工時に第1パンチ10が受ける、第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な方向に沿う荷重が、減少する。金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の破損または摩耗を低減することができる。金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の耐久性を向上させることができる。
【0130】
実施の形態8.
【0131】
図22から図25を参照して、金属部品製造装置1を用いた実施の形態8の金属部品2hの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2hの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0132】
本実施の形態の金属管40aは、端面43とは反対側の端面44をさらに含む。端面44は、外側面41と内側面42とに接続されている。金属管40aは、端面43を含む第1部分に加えて、端面44を含む第2部分を含む。本実施の形態の金属部品2hは、金属管40aの径方向における端面43の外周領域と端面44の外周領域とに深溝48と深溝48bとがそれぞれ形成された金属管40aである。深溝48bの深さ方向は、金属ワーク40の軸方向(z方向)または金属ワーク40の長手方向(z方向)である。深溝48bの幅方向は、金属ワーク40の径方向である。
【0133】
本実施の形態の金属部品2hの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様である。図22及び図23に示されるように、実施の形態1の金属部品2の製造方法(図5から図8を参照)と同じ工程によって、金属管40aの端面43に深溝48を形成する。それから、図24及び図25に示されるように、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程によって、金属管40aの端面44に深溝48bを形成する。
【0134】
具体的には、図23に示されるように、第1パンチ10を金属ワーク40から離した後に、固定部材30を金属ワーク40の第1部分から取り外す。それから、固定部材30を、内側面42によって規定される金属管40aの孔に嵌合する。固定部材30は、内側面42に接触して、図24に示されるように、金属ワーク40の第2部分を固定する。金属ワーク40の第2部分は、端面44を含む。ガイド部材20を、金属ワーク40の第2部分に間隔を空けて対向して配置する。ガイド部材20は、金属管40aの外側面41に間隔を空けて対向して配置される。
【0135】
図24に示されるように、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面44に深溝48bを形成する。深溝48bを形成することは、第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面44から金属ワーク40の内部に移動させながら、金属ワーク40の第2部分を第2金属部分46bと第2金属片47bとに割裂することを含む。第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿う断面において、内側面12は第1パンチ10の軸方向に延在する直線であるのに対し、第1傾斜面14は、第1パンチ10の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。そのため、第2金属片47bは金属管40aの外側面41だけに形成される。深溝48bは、第2金属部分46bと第2金属片47bとの間に形成される。図24に示されるように、第1パンチ10の第1傾斜面14によって第2金属片47bをガイド部材20に向けてガイドする。
【0136】
第1パンチ10の第1先端13を金属ワーク40の端面44から金属ワーク40の内部に移動させている間、第2金属片47bをガイド部材20に接触させて、ガイド部材20によって第2金属片47bをガイドする。第2金属片47bは、ガイド部材20によって変形されて、第1パンチ10の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。ガイド部材20によって変形された第2金属片47bは、例えば、第2金属部分46bの外側面に平行に延在している。金属ワーク40を加工するために第1パンチ10を金属ワーク40に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。
【0137】
図25に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2hが得られる。
【0138】
本実施の形態の金属部品2hの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の効果を奏するが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。本実施の形態では、金属ワーク40の端面43及び端面44の両方に深溝48,48bを形成することができる。
【0139】
実施の形態9.
【0140】
図26から図31を参照して、実施の形態9に係る金属部品製造装置1iを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1iは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0141】
金属部品製造装置1iでは、ガイド部材20は、ガイド部材20の先端から突出する突起23を含む。突起23は、ガイド部材20に対して第1パンチ10に近い側に突出している。突起23は、ガイド部材20に対して金属ワーク40に近い側に突出している。図28から図30に示されるように、ガイド部材20を金属ワーク40に対して移動させることによって、第1金属片47はガイド部材20の突起23でしごき加工される。
【0142】
図26から図31を参照して、金属部品製造装置1iを用いた実施の形態9の金属部品2iの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2iの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0143】
図31に示されるように、本実施の形態の金属部品2iでは、実施の形態1の金属部品2よりも、第1金属片47の厚さがより薄く、かつ、第1金属片47が長さがより長い。
【0144】
図26及び図27に示されるように、本実施の形態の金属部品2iの製造方法では、実施の形態1の金属部品2の製造方法(図5から図7を参照)と同様の工程によって、丸みを帯びた第1先端13を含む第1パンチ10を用いて、金属ワーク40の端面43に深溝48を形成する。本実施の形態では、ガイド部材20は、ガイド部材20の先端から突出する突起23を含んでいる。
【0145】
図28及び図29に示されるように、ガイド部材20を金属ワーク40に対して移動させて、ガイド部材20の突起23で第1金属片47をしごき加工する。具体的には、ガイド部材20を金属ワーク40に対して移動させると、第1金属片47は、突起23と第1パンチ10の外側面11とによって挟まれる。そのため、第1金属片47は、ガイド部材20の突起23でしごき加工されて、第1金属片47の厚さが薄くなるとともに、第1金属片47が長さが長くなる。第1金属片47をしごき加工し終えると、図30に示されるように、ガイド部材20を金属ワーク40から離す。
【0146】
図31に示されるように、第1パンチ10を移動させて、第1パンチ10を金属ワーク40から離す。こうして、金属部品2iが得られる。
【0147】
本実施の形態の金属部品製造装置1i及び金属部品2iの製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0148】
本実施の形態の金属部品製造装置1iでは、ガイド部材20は、ガイド部材20の先端から、ガイド部材20に対して第1パンチ10に近い側に突出する突起23を含む。ガイド部材20を金属ワーク40に対して移動させることによって、第1金属片47はガイド部材20の突起23でしごき加工される。
【0149】
本実施の形態の金属部品2iの製造方法は、ガイド部材20を金属ワーク40に対して移動させて、ガイド部材20の突起23で第1金属片47をしごき加工することをさらに備える。突起23は、ガイド部材20の先端から、ガイド部材20に対して第1パンチ10に近い側に突出している。
【0150】
本実施の形態の金属部品製造装置1i及び本実施の形態の金属部品2iの製造方法では、第1金属片47はガイド部材20の突起23でしごき加工されるため、第1金属片47の厚さを精度良く制御することができる。
【0151】
実施の形態10.
【0152】
図32から図34を参照して、実施の形態10に係る金属部品製造装置1jを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1jは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0153】
金属部品製造装置1jでは、第1パンチ10は、第2傾斜面15を含む。第2傾斜面15は、第1先端13と内側面12とに接続されている。第2傾斜面15は、外側面11または内側面12に対して、第1傾斜面14とは反対側に傾斜している。第2傾斜面15は、第1先端13から遠ざかるにつれて金属ワーク40に近づくように傾斜している。第2傾斜面15は、第1傾斜面14と同じ大きさであってもよいし、第1傾斜面14より小さくてもよい。
【0154】
図34を参照して、金属部品製造装置1jを用いた実施の形態10の金属部品2の製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2の製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法(図5から図8を参照)と同様の工程を備えているが、以下の点で異なっている。
【0155】
図34に示されるように、第1パンチ10を用いて金属ワーク40を加工する際、第1パンチ10の第1傾斜面14は、金属ワーク40の塑性変形に必要な力の反作用Fを受ける。第1パンチ10の第2傾斜面15は、金属ワーク40の塑性変形に必要な力の反作用Fを受ける。第2傾斜面15は第1傾斜面14とは反対側に傾斜しているため、第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な方向において、反作用Fの向きは、反作用Fの向きとは正反対になる。反作用Fのうち第1パンチ10の移動方向に垂直な方向に沿う成分の一部または全部は、反作用Fのうち第1パンチ10の移動方向に垂直な方向に沿う成分によって相殺される。金属ワーク40の加工時に第1パンチ10が受ける、第1パンチ10の移動方向に垂直な方向に沿う荷重が、減少する。そのため、金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の破損または摩耗を低減することができる。
【0156】
本実施の形態の金属部品製造装置1j及び金属部品2の製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び金属部品2の製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0157】
本実施の形態の金属部品製造装置1j及び本実施の形態の金属部品2の製造方法では、第1パンチ10は、第1先端13に接続されており、かつ、第1傾斜面14とは反対側に傾斜している第2傾斜面15を含む。
【0158】
そのため、金属ワーク40の加工時に第1パンチ10が受ける、第1パンチ10の移動方向(z方向)に垂直な方向に沿う荷重が、減少する。金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の破損または摩耗を低減することができる。金属ワーク40を加工する際の第1パンチ10の耐久性を向上させることができる。
【0159】
実施の形態11.
【0160】
図35を参照して、実施の形態11に係る金属部品2kを説明する。本実施の形態の金属部品2kは、実施の形態1の金属部品2と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態1の金属部品2と異なっている。
【0161】
金属部品2kは、外側面41に空洞68が形成された金属管40aである。空洞68は、例えば、密閉空間である。具体的には、金属部品2kは、金属管40aに加えて、封止部材66と、蓋67とをさらに含む。空洞68は、第1金属部分46と第1金属片47と封止部材66とによって規定されている。
【0162】
封止部材66は、例えば、Oリングのような弾性変形可能な部材である。封止部材66は、第1金属部分46と第1金属片47とに接触しており、深溝48の開口を閉塞する。こうして、深溝48は、空洞68になる。
【0163】
蓋67は、例えば、金属で形成されている。蓋67は、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銅合金、アルミニウム合金または鉄合金で形成されている。蓋67は、ベース部67aと、ベース部67aから突出する突起67bとを含む。ベース部67aは、例えば、金属管40aの端面43における金属管40aの開口を閉塞する。突起67bは、封止部材66を押圧する。突起67bは、深溝48の開口に嵌合されている。突起67bは、深溝48の開口を閉塞してもよい。
【0164】
空洞68に、液体または気体のような流体が充填されてもよい。空洞68を排気して空洞68を真空状態にしてもよい。そのため、金属ワーク40から金属ワーク40に隣り合う別の部材(図示せず)への熱伝導が減少して、金属ワーク40の加熱、冷却または保温が容易になる。空洞68に、断熱材、制震材または防音材のような固体が充填されてもよい。空洞68に断熱材を充填することによって、金属ワーク40から金属ワーク40に隣り合う別の部材(図示せず)への熱伝導が減少する。空洞68に制震材を充填することによって、金属ワーク40を伝播する振動が低減される。空洞68に防音材を充填することによって、金属ワーク40を伝播する音が低減される。
【0165】
実施の形態11の金属部品2kの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2kの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法に引き続いて、深溝48の開口を閉塞して、金属ワーク40に空洞68を形成することをさらに備える。深溝48の開口を閉塞することは、封止部材66を深溝48の開口に嵌合することを含む。例えば、蓋67の突起67bを用いて封止部材66を押圧することによって、封止部材66を深溝48の開口に嵌合される。本実施の形態の金属部品2kの製造方法は、空洞68に流体または固体を充填することをさらに備えてもよいし、空洞68を排気して空洞68を真空状態にすることをさらに備えてもよい。
【0166】
(変形例)
【0167】
図36を参照して、本実施の形態の変形例の金属部品2lを説明する。本実施の形態の変形例の金属部品2lは、本実施の形態の金属部品2kと同様に構成されているが、封止部材66を含んでいない。本実施の形態の変形例の金属部品2lでは、空洞68は、第1金属部分46と第1金属片47と蓋67とによって規定されている。具体的には、蓋67の突起67bは、深溝48の開口に嵌合されて、深溝48の開口を閉塞している。こうして、深溝48は、空洞68となる。蓋67は、第1金属部分46と第1金属片47とに接合されている。蓋67は、例えば、第1金属部分46と第1金属片47とに溶接されている。蓋67の突起67bは、溶接部69aによって、第1金属部分46に溶接されている。蓋67の突起67bは、溶接部69bによって、第1金属片47に溶接されている。蓋67は、第1金属部分46と第1金属片47とに接着されてもよいし、第1金属部分46と第1金属片47とにかしめられてもよい。
【0168】
本実施の形態の変形例の金属部品2lの製造方法を説明する。本実施の形態の変形例の金属部品2lの製造方法は、本実施の形態の金属部品2kの製造方法と同様であるが、以下の点で本実施の形態の金属部品2kの製造方法と異なっている。本実施の形態の変形例の金属部品2lの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、蓋67を深溝48の開口に嵌合することと、蓋67を第1金属部分46と第1金属片47とに接合する、または、かしめることとを含む。具体的には、蓋67の突起67bを、深溝48の開口に嵌合する。それから、蓋67の突起67bを、溶接によって、第1金属部分46と第1金属片47とに接合する。蓋67の突起67bと第1金属部分46との間に、溶接部69aが形成される。蓋67の突起67bと第1金属片47との間に、溶接部69bが形成される。蓋67は、第1金属部分46と第1金属片47とに接着されてもよいし、第1金属部分46と第1金属片47とにかしめられてもよい。
【0169】
本実施の形態の金属部品2k,2lの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0170】
本実施の形態の金属部品2k,2lの製造方法は、深溝48の開口を閉塞して、金属ワーク40に空洞68を形成することをさらに備える。
【0171】
そのため、空洞68に、液体または気体のような流体が充填され得る。金属ワーク40の加熱、冷却または保温が容易になる、金属ワーク40を伝播する振動が低減される、または、金属ワーク40を伝播する音が低減される。
【0172】
本実施の形態の金属部品2k,2lの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、封止部材66を深溝48の開口に嵌合することを含む。
【0173】
そのため、空洞68に、液体または気体のような流体が充填され得る。金属ワーク40の加熱、冷却または保温が容易になる、金属ワーク40を伝播する振動が低減される、または、金属ワーク40を伝播する音が低減される。
【0174】
本実施の形態の金属部品2k,2lの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、蓋67を深溝48の開口に嵌合することと、蓋67を第1金属部分46と第1金属片47とに接合する、または、かしめることとを含む。
【0175】
そのため、空洞68に、液体または気体のような流体が充填され得る。金属ワーク40の加熱、冷却または保温が容易になる、金属ワーク40を伝播する振動が低減される、または、金属ワーク40を伝播する音が低減される。
【0176】
実施の形態12.
【0177】
図37及び図38を参照して、実施の形態12に係る金属部品製造装置1mを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1mは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0178】
金属部品製造装置1mは、第2パンチ70をさらに備える。第2パンチ70は、実施の形態5の第1パンチ10と同様に構成されているが、第2パンチ70の外径は第1パンチ10の外径より小さく、かつ、第2パンチ70の内径は第1パンチ10の内径より小さい。
【0179】
第2パンチ70は、外側面71と、内側面72と、丸みを帯びた第2先端73と、第2傾斜面74とを含む。丸みを帯びた第2先端73は、内側面72と第2傾斜面74とに接続されている。第2傾斜面74は、丸みを帯びた第2先端73と外側面71とに接続されている。第2傾斜面74は、外側面71または内側面72に対して、第1傾斜面14(図3から図8を参照)と同じ側に傾斜している。第2傾斜面74は、丸みを帯びた第2先端73から遠ざかるにつれて外側面71に近づくように傾斜している。第2傾斜面74は、丸みを帯びた第2先端73から遠ざかるにつれて金属ワーク40から遠ざかるように傾斜している。第2パンチ70の軸方向(z方向)に沿う断面において、第2傾斜面74は、第2パンチ70の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。
【0180】
図37から図39を参照して、金属部品製造装置1mを用いた実施の形態12の金属部品2mの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2mの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態1の金属部品2の製造方法と異なっている。
【0181】
図39に示されるように、金属部品2mは、実施の形態11の金属部品2kと同様に、外側面41に空洞68が形成された金属管40aである。金属部品2mでは、金属管40aの外側面41に第2金属片77が形成されている。空洞68は、第1金属部分46と第1金属片47と第2金属片77とによって規定されている。第1金属片47は、第2金属片77に接合されて、深溝48の開口を閉塞している。こうして、深溝48は、空洞68となる。第1金属片47は、例えば、溶接部69によって、第2金属片77に溶接されている。
【0182】
図37から図39に示されるように、本実施の形態の金属部品2mの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法(図5から図8を参照)に引き続いて、深溝48の開口を閉塞して、金属ワーク40に空洞を形成することをさらに備える。深溝48の開口を閉塞することは、以下の工程を含む。
【0183】
図37に示されるように、第2パンチ70の丸みを帯びた第2先端73を端面43から第1金属部分46の内部に移動させながら、第1金属部分46を第2金属部分76と第2金属片77とに割裂する。第2パンチ70の軸方向(z方向)に沿う断面において、内側面72は第2パンチ70の軸方向に延在する直線であるのに対し、第2傾斜面74は、第2パンチ70の軸方向に対して傾斜する傾斜直線である。そのため、第2金属片77は第1金属部分46の外側面だけに形成される。第2金属片77は、第2パンチ70の第2傾斜面74によって、第1金属片47に向けてガイドされる。
【0184】
第2パンチ70の第2先端73を端面43から第1金属部分46の内部に移動させている間、第2金属片77は、ガイド部材20に接触している第1金属片47に接触して、第1金属片47によってガイドされる。第2金属片77は、第1金属片47によって変形されて、第2パンチ70の軸方向(z方向)に沿って延在する金属片となる。第1金属部分46を加工するために第2パンチ70を第1金属部分46に対して移動させている間、ガイド部材20は金属ワーク40に対して移動せず、金属ワーク40に対するガイド部材20の位置は維持される。図38に示されるように、第2パンチ70を移動させて、第2パンチ70を金属ワーク40から離す。
【0185】
図39に示されるように、第1金属片47を第2金属片77に接合する。例えば、第1金属片47を第2金属片77に溶接して、第1金属片47は溶接部69によって第2金属片77に溶接される。こうして、金属部品2mが得られる。
【0186】
(変形例)
【0187】
第2パンチ70の第2先端73は、丸みを帯びていなくてもよい。
【0188】
本実施の形態の金属部品製造装置1m及び金属部品2mの製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び実施の形態11の金属部品2kの製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0189】
本実施の形態の金属部品製造装置1mは、第2パンチ70をさらに備える。第2パンチ70は、第2先端73と、第2傾斜面74とを含む。第2傾斜面74は、第2先端73に接続されている。第2傾斜面74は、外側面71または内側面72に対して、第1傾斜面14(図3から図8を参照)と同じ側に傾斜している。第2パンチ70の外径は第1パンチ10の外径より小さく、かつ、第2パンチ70の内径は第1パンチ10の内径より小さい。
【0190】
本実施の形態の金属部品2mの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、第2パンチ70の第2先端73を端面43から第1金属部分46の内部に移動させながら、第1金属部分46を第2金属部分76と第2金属片77とに割裂することと、第2パンチ70の第2先端73を端面43から第1金属部分46の内部に移動させている間、第2金属片77をガイド部材20に接触している第1金属片47に接触させて、第1金属片47によって第2金属片77をガイドすることと、第1金属片47を第2金属片77に接合することとを含む。
【0191】
そのため、実施の形態11の封止部材66及び蓋67を用いることなく、第2パンチ70を用いて、深溝48の開口を閉塞して、金属ワーク40に空洞68を形成することができる。金属部品2mのコストを低減することができる。
【0192】
また、第2金属片77が第1金属片47によって変形される際に、第2金属片77は第1金属片47から変形抵抗を受ける。この変形抵抗により、金属ワーク40を構成する金属材料の一部は、金属ワーク40の第1金属部分46のうち第2先端73に対向する部分に溜まる。そのため、金属ワーク40に発生する亀裂が第2パンチ70の第2先端73よりも深く発生することを抑制することができる。
【0193】
本実施の形態の金属部品製造装置1mでは、第2パンチ70の第2先端73は、丸みを帯びた先端である。
【0194】
そのため、第2パンチ70の第2先端73において金属ワーク40に印加される荷重の集中が緩和される。金属ワーク40に発生する亀裂が第2パンチ70の第2先端73よりも深く発生することを抑制することができる。
【0195】
実施の形態13.
【0196】
図40から図42を参照して、実施の形態13に係る金属部品製造装置1nを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1nは、実施の形態9の金属部品製造装置1iと同様の構成を備えるが、実施の形態12の第2パンチ70をさらに備えている点で実施の形態9の金属部品製造装置1iと異なっている。
【0197】
図40から図42を参照して、金属部品製造装置1nを用いた実施の形態13の金属部品2nの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2nの製造方法は、実施の形態9の金属部品2iの製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点において実施の形態9の金属部品2iの製造方法と異なっている。
【0198】
図42に示されるように、金属部品2nは、実施の形態12の金属部品2mと同様に構成されているが、第1金属片47が第2金属片77にかしめられている点で実施の形態12の金属部品2mと異なっている。すなわち、第1金属片47を第2金属片77にかしめることによって、深溝48の開口が閉塞されて、深溝48は空洞68になる。
【0199】
図40及び図41に示されるように、本実施の形態の金属部品2nの製造方法は、実施の形態9の金属部品2iの製造方法(図26から図31を参照)に引き続いて、実施の形態12の金属部品2mの製造方法と同様に、深溝48の開口を閉塞して、金属ワーク40に空洞68を形成することをさらに備える。図42に示されるように、本実施の形態の金属部品2nの製造方法は、第1金属片47を第2金属片77にかしめることをさらに備える。こうして、金属部品2nが得られる。
【0200】
本実施の形態の金属部品製造装置1n及び金属部品2nの製造方法は、実施の形態9の金属部品製造装置1i及び実施の形態12の金属部品2mの製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0201】
本実施の形態の金属部品製造装置1nでは、第2パンチ70をさらに備える。第2パンチ70は、第2先端73と、第2傾斜面74とを含む。第2傾斜面74は、第2先端73に接続されている。第2傾斜面74は、外側面71または内側面72に対して、第1傾斜面14(図3から図8を参照)と同じ側に傾斜している。第2パンチ70の外径は第1パンチ10の外径より小さく、かつ、第2パンチ70の内径は第1パンチ10の内径より小さい。
【0202】
本実施の形態の金属部品2nの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、第2パンチ70の第2先端73を端面43から第1金属部分46の内部に移動させながら、第1金属部分46を第2金属部分76と第2金属片77とに割裂することと、第2パンチ70の第2先端73を端面43から第1金属部分46の内部に移動させている間、第2金属片77をガイド部材20に接触している第1金属片47に接触させて、第1金属片47によって第2金属片77をガイドすることと、第1金属片47を第2金属片77にかしめることとを含む。
【0203】
そのため、第1金属片47を第2金属片77に溶接または接着することなく、第1金属片47を第2金属片77にかしめることによって、金属ワーク40に空洞68を形成することができる。金属部品2nのコストをさらに低減することができる。
【0204】
実施の形態14.
【0205】
図43から図45を参照して、実施の形態14に係る金属部品製造装置1pを説明する。本実施の形態の金属部品製造装置1pは、実施の形態1の金属部品製造装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態1の金属部品製造装置1と異なっている。
【0206】
金属部品製造装置1pは、支持工具32と、口絞りダイ35とをさらに備える。口絞りダイ35は、第1金属片47の先端部を変形させるプレス工具である。支持工具32は、第1金属片47のうち金属ワーク40に接続されている根元部分を支持する。そのため、口絞りダイ35を用いて金属片の先端部を変形加工している間に、第1金属片47の根元部分が大きく変形することが防止される。
【0207】
図45に示されるように、金属部品2pは、実施の形態11の金属部品2kと同様に、外側面41に空洞68が形成された金属管40aである。空洞68は、第1金属部分46と第1金属片47とによって規定されている。金属部品2pでは、第1金属片47の先端部が、第1金属部分46に接合されて、深溝48の開口を閉塞している。こうして、深溝48は、空洞68になる。第1金属片47の先端部は、例えば、溶接部69によって、第1金属部分46に溶接されている。第1金属片47の先端部は、接着剤によって、第1金属部分46に接着されてもよい。
【0208】
図43から図45に示されるように、本実施の形態の金属部品2pの製造方法は、実施の形態1の金属部品2の製造方法(図5から図8を参照)に引き続いて、深溝48の開口を閉塞して、金属ワーク40に空洞68を形成することをさらに備える。本実施の形態の金属部品2pの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、以下の工程を含む。
【0209】
図43及び図44に示されるように、第1金属片47を金属加工する。具体的には、第1金属片47の根元部分を支持工具32によって支持する。口絞りダイ35を用いて、第1金属片47の先端部を変形させる。第1金属片47の先端部を第1金属部分46に接触させる。口絞りダイ35を用いて金属片の先端部を変形加工している間、支持工具32は、第1金属片47の根元部分が大きく変形することを防止する。口絞りダイ35を金属ワーク40から離す。支持工具32を金属ワーク40から離す。
【0210】
図39に示されるように、第1金属片47を第1金属部分46に接合する。例えば、第1金属片47を第1金属部分46に溶接して、第1金属片47は溶接部69によって第1金属部分46に溶接される。第1金属片47は、接着剤によって、第1金属部分46に接着されてもよい。こうして、金属部品2pが得られる。
【0211】
本実施の形態の金属部品製造装置1p及び金属部品2pの製造方法は、実施の形態1の金属部品製造装置1及び実施の形態12の金属部品2mの製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0212】
金属部品製造装置1pは、口絞りダイ35と、支持工具32とをさらに備える。
【0213】
本実施の形態の金属部品2pの製造方法では、深溝48の開口を閉塞することは、第1金属片47を金属加工することによって第1金属片47を第1金属部分46に接触させることと、第1金属片47を第1金属部分46に接合することとを含む。
【0214】
そのため、第1金属部分46の厚さをより厚くすることができて、第1金属部分46の機械的強度を向上させることができる。また、パンチ(例えば、第2パンチ70(図37及び図38を参照))を用いることなく深溝48の開口を閉塞することができるため、パンチの破損及び摩耗を低減するこができる。
【0215】
実施の形態15.
【0216】
図46を参照して、実施の形態15に係る金属部品2qを説明する。本実施の形態の金属部品2qは、実施の形態11の金属部品2k(図35を参照)と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態11の金属部品2kと異なっている。
【0217】
金属部品2qは、パイプ79a,79bをさらに備える。金属部品2qでは、第1金属片47に、空洞68に連通する貫通孔47e,47fが設けられている。パイプ79aは、第1金属片47に接続されており、かつ、貫通孔47eに連通している。パイプ79bは、第1金属片47に接続されており、かつ、貫通孔47fに連通している。そのため、パイプ79aを通して、液体または気体のような流体を空洞68に供給するとともに、パイプ79bを通して、空洞68から流体を排出することができる。流体によって、金属部品2qを、効率的に、加熱、冷却または保温することができる。
【0218】
実施の形態15の金属部品2qの製造方法を説明する。本実施の形態の金属部品2qの製造方法は、実施の形態11の金属部品2kの製造方法に引き続いて、以下の工程を備える。
【0219】
第1金属片47に、貫通孔47e,47fを形成する。貫通孔47e,47fは、空洞68に連通している。それから、第1金属片47にパイプ79a,79bを接続する。パイプ79a,79bは、例えば、第1金属片47に、溶接または接着される。パイプ79aは、貫通孔47eに連通している。パイプ79bは、貫通孔47fに連通している。こうして、金属部品2qが得られる。
【0220】
(変形例)
【0221】
図47を参照して、本実施の形態の変形例の金属部品2rを説明する。本実施の形態の変形例の金属部品2rは、実施の形態14の金属部品2p(図45を参照)と同様の構成を備えるが、以下の点で実施の形態14の金属部品2pと異なっている。金属部品2rは、本実施の形態の金属部品2q(図46を参照)と同様に、パイプ79a,79bをさらに備える。金属部品2rでは、本実施の形態の金属部品2qと同様に、第1金属片47に貫通孔47e,47fが設けられている。パイプ79a,79bは、第1金属片47に接続されている。パイプ79aは、貫通孔47eに連通している。パイプ79bは、貫通孔47fに連通している。
【0222】
本実施の形態の変形例の金属部品2rの製造方法は、実施の形態14の金属部品2pの製造方法に引き続いて、本実施の形態の金属部品2qの製造方法と同様に、第1金属片47に貫通孔47e,47fを形成することと、第1金属片47にパイプ79a,79bを接続することとをさらに備える。
【0223】
本実施の形態の金属部品2q,2rの製造方法は、実施の形態11及び実施の形態14の金属部品2の製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0224】
本実施の形態の金属部品2q,2rの製造方法は、第1金属片47に、空洞68に連通する貫通孔47e,47fを形成することと、第1金属片47に、貫通孔47e,47fに連通するパイプ79a,79bを接続することとをさらに備える。金属ワーク40は、中空金属ワークである。深溝48及び空洞は、中空金属ワークの外側面41に形成されている。
【0225】
そのため、パイプ79a,79bを通して、液体または気体のような流体を空洞68に供給するまたは空洞68から排出することができる。流体によって、効率的に、加熱、冷却または保温され得る金属部品2qを製造することができる。
【0226】
実施の形態16.
【0227】
図48を参照して、実施の形態16に係るモータ80を説明する。モータ80は、ステータフレーム81と、パイプ88a,88bと、ベアリング90,97と、ステータコア91と、ロータ92と、ブラケット96とを備える。
【0228】
ステータフレーム81は、金属で形成されている。ステータフレーム81は、底板82と、底板82に接続されている側壁83とを含む。底板82と側壁83とは、収容空間86を規定する。ステータフレーム81は、例えば、側壁83の外側面に空洞87が形成された絞り加工品である。側壁83は、金属部分84と、金属片85とを含む。空洞87は、金属部分84と金属片85とによって規定されている。実施の形態15の変形例(図47を参照)と同様に、金属片85の先端部は、金属部分84に接合されている。金属片85に、空洞87に連通する貫通孔85a,85bが設けられている。
【0229】
パイプ88aは、金属片85に接続されており、かつ、金属片85の貫通孔85aに連通している。パイプ88bは、金属片85に接続されており、かつ、金属片85の貫通孔85bに連通している。そのため、パイプ88aを通して、水のような液体を空洞87に供給するとともに、パイプ88bを通して、空洞87から液体を排出することができる。液体によって、ステータフレーム81を冷却することができる。
【0230】
ブラケット96は、ステータフレーム81に固定されている。ブラケット96は、ステータフレーム81の上部開口を閉塞している。
【0231】
ステータコア91は、収容空間86内に配置されている。ステータコア91は、例えば、円筒形状を有している。
【0232】
ロータ92は、ロータシャフト93と、ロータコア94とを含む。ロータシャフト93は、底板82に設けられている孔と、ブラケット96に設けられている孔とに挿入されている。ロータコア94は、ロータシャフト93に固定されている。ロータコア94は、収容空間86内に配置されている。ロータコア94は、ステータコア91に対向している。
【0233】
ベアリング90は、収容空間86内に配置されている。ベアリング90は、例えば、底板82上に配置されている。ベアリング97は、ブラケット96に固定されている。ベアリング90,97は、ロータを回転可能に支持する。具体的には、ベアリング90,97は、ロータシャフト93を回転可能に支持する。
【0234】
図48及び図49を参照して、実施の形態16のモータ80の製造方法を説明する。
【0235】
ステータフレーム81を形成する(S1)。例えば、実施の形態2の絞り加工品40bの外側面に、実施の形態14の金属部品2pの製造方法と同様の方法によって、空洞87を形成する。それから、実施の形態15の変形例の金属部品2rの製造方法と同様の方法によって、金属片85に貫通孔85a,85bを形成する。実施の形態15の変形例の金属部品2rの製造方法と同様の方法によって、金属片85に、パイプ88a,88bを接続する。こうして、ステータフレーム81が得られる。
【0236】
ステータフレーム81にベアリング90を設置する(S2)。例えば、ベアリング90を、ステータフレーム81の底板82上に配置する。ステータフレーム81内にステータコア91を配置する(S3)。ブラケット96内にベアリング97を設置する(S4)。
【0237】
ロータ92を組み付ける(S5)。具体的には、ロータシャフト93は、ベアリング90の内輪とベアリング97の内輪とに嵌合される。ロータコア94は、ステータフレーム81内においてステータコア91に対向する。ブラケット96をステータフレーム81に取り付ける(S6)。ブラケット96は、ステータフレーム81の上部開口を閉塞する。こうして、モータ80が得られる。
【0238】
本実施の形態のモータ80の製造方法は、実施の形態15の変形例の金属部品2rの製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0239】
本実施の形態のモータ80の製造方法は、実施の形態15の変形例の金属部品2rの製造方法によってステータフレーム81を形成することと、ステータフレーム81内にステータコア91を配置することと、ステータフレーム81内においてステータコア91に対向するロータコア94を含むロータ92を組み付けることとを備える。
【0240】
そのため、形状が制御された深溝が形成されたステータフレーム81を備えるモータ80を得ることができる。また、ステータフレーム81の製造コストを低減することができる。パイプ88a,88bを通して、液体を空洞87に供給するまたは空洞87から排出することができる。液体によって、モータ80を効率的に冷却することができる。
【0241】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0242】
(付記1)
第1先端を含む第1パンチと、
金属ワークの第1部分に間隔を空けて対向して配置されるガイド部材とを備え、
前記金属ワークは端面を含み、前記金属ワークの前記第1部分は前記端面を含み、
前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの内部に移動させながら、前記金属ワークの前記第1部分を第1金属部分と第1金属片とに割裂することによって、前記金属ワークの前記端面に深溝が形成され、前記深溝は前記第1金属部分と前記第1金属片との間に形成され、
前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの前記内部に移動させている間、前記ガイド部材は前記第1金属片に接触して前記第1金属片をガイドする、金属部品製造装置。
(付記2)
第1先端は、丸みを帯びた先端である、付記1に記載の金属部品製造装置。
(付記3)
前記第1パンチは、前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1先端から遠ざかるにつれて前記金属ワークから遠ざかるように傾斜している第1傾斜面を含み、
前記第1傾斜面は、前記第1金属片を前記ガイド部材に向けてガイドする、付記1または付記2に記載の金属部品製造装置。
(付記4)
前記第1パンチは、前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1傾斜面とは反対側に傾斜している第2傾斜面を含む、付記3に記載の金属部品製造装置。
(付記5)
前記ガイド部材は、前記ガイド部材の先端から、前記ガイド部材に対して前記第1パンチに近い側に突出する突起を含み、
前記ガイド部材を前記金属ワークに対して移動させることによって、前記第1金属片は前記ガイド部材の前記突起でしごき加工される、付記1から付記4のいずれか一項に記載の金属部品製造装置。
(付記6)
前記第1パンチの断面形状と前記ガイド部材の断面形状とは、各々、前記金属ワークの断面形状と同じである、または、部分的に同じである、付記1から付記5のいずれか一項に記載の金属部品製造装置。
(付記7)
前記金属ワークを固定する固定部材をさらに備える、付記1から付記6のいずれか一項に記載の金属部品製造装置。
(付記8)
ガイド部材を、金属ワークの第1部分に間隔を空けて対向して配置することを備え、前記金属ワークは端面を含み、前記金属ワークの前記第1部分は前記端面を含み、
第1先端を含む第1パンチを用いて、前記金属ワークの前記端面に深溝を形成することを備え、前記深溝を形成することは、前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの内部に移動させながら、前記金属ワークの前記第1部分を第1金属部分と第1金属片とに割裂することを含み、前記深溝は前記第1金属部分と前記第1金属片との間に形成され、
前記第1パンチの前記第1先端を前記金属ワークの前記端面から前記金属ワークの前記内部に移動させている間、前記第1金属片を前記ガイド部材に接触させて、前記ガイド部材によって前記第1金属片をガイドすることを備える、金属部品の製造方法。
(付記9)
第1先端は、丸みを帯びた先端である、付記8に記載の金属部品の製造方法。
(付記10)
前記第1パンチの第1傾斜面によって前記第1金属片を前記ガイド部材に向けてガイドすることをさらに備え、
前記第1傾斜面は、前記第1パンチの前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1先端から遠ざかるにつれて前記金属ワークから遠ざかるように傾斜している、付記8または付記9に記載の金属部品の製造方法。
(付記11)
前記第1パンチは、前記第1先端に接続されており、かつ、前記第1傾斜面とは反対側に傾斜している第2傾斜面を含む、付記10に記載の金属部品の製造方法。
(付記12)
前記ガイド部材を前記金属ワークに対して移動させて、前記ガイド部材の突起で前記第1金属片をしごき加工することをさらに備え、
前記突起は、前記ガイド部材の先端から、前記ガイド部材に対して前記第1パンチに近い側に突出している、付記8から付記11のいずれか一項に記載の金属部品の製造方法。
(付記13)
前記第1パンチの断面形状と前記ガイド部材の断面形状とは、各々、前記金属ワークの断面形状と同じである、または、部分的に同じである、付記8から付記12のいずれか一項に記載の金属部品の製造方法。
(付記14)
前記深溝の開口を閉塞して、前記金属ワークに空洞を形成することをさらに備える、付記8から付記13のいずれかに記載の金属部品の製造方法。
(付記15)
前記深溝の前記開口を閉塞することは、封止部材を前記深溝の前記開口に嵌合することを含む、付記14に記載の金属部品の製造方法。
(付記16)
前記深溝の前記開口を閉塞することは、蓋を前記深溝の前記開口に嵌合することと、前記蓋を前記第1金属部分と前記第1金属片とに接合する、または、かしめることとを含む、付記14に記載の金属部品の製造方法。
(付記17)
前記深溝の前記開口を閉塞することは、
第2パンチの第2先端を前記端面から前記第1金属部分の内部に移動させながら、前記第1金属部分を第2金属部分と第2金属片とに割裂することと、
前記第2パンチの前記第2先端を前記端面から前記第1金属部分の前記内部に移動させている間、前記第2金属片を前記ガイド部材に接触している前記第1金属片に接触させて、前記第1金属片によって前記第2金属片をガイドすることと、
前記第1金属片を前記第2金属片に接合する、または、かしめることとを含む、付記12に記載の金属部品の製造方法。
(付記18)
第2先端は、丸みを帯びた先端である、付記17に記載の金属部品の製造方法。
(付記19)
前記深溝の前記開口を閉塞することは、前記第1金属片を金属加工することによって前記第1金属片を前記第1金属部分に接触させることと、前記第1金属片を前記第1金属部分に接合することとを含む、付記14に記載の金属部品の製造方法。
(付記20)
前記第1金属片に、前記空洞に連通する貫通孔を形成することと、
前記第1金属片に、前記貫通孔に連通するパイプを接続することとをさらに備え、
前記金属ワークは、中空金属ワークであり、
前記深溝及び前記空洞は、前記中空金属ワークの外側面に形成されている、付記14から付記19のいずれか一項に記載の金属部品の製造方法。
(付記21)
付記20に記載された前記金属部品の製造方法によってステータフレームを形成することと、
前記ステータフレーム内にステータコアを配置することと、
前記ステータフレーム内において前記ステータコアに対向するロータコアを含むロータを組み付けることとを備える、モータの製造方法。
(付記22)
前記金属ワークは、金属管、金属棒、金属板から絞り加工された絞り加工品、伸びフランジ加工により形成されたバーリング品である、付記8から付記21のいずれか一項に記載の金属部品の製造方法。
【0243】
今回開示された実施の形態1-16及びそれらの変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1-16及びそれらの変形例の少なくとも二つを組み合わせてもよい。本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0244】
1,1e,1f,1g,1i,1j,1m,1n,1p 金属部品製造装置、2,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i,2k,2l,2m,2n,2p,2q,2r 金属部品、10 第1パンチ、11,41 外側面、12,42 内側面、13 第1先端、14 第1傾斜面、15 第2傾斜面、20 ガイド部材、21 第1ガイド部材、22 第2ガイド部材、23 突起、29 コントローラ、30 固定部材、32 支持工具、35 口絞りダイ、40 金属ワーク、40a 金属管、40b 絞り加工品、40c バーリング品、40d 金属棒、40f 部分、43,44 端面、46 第1金属部分、46b,76 第2金属部分、47 第1金属片、47b,57,77 第2金属片、47e,47f 貫通孔、48,48b,58 深溝、51 底板、52 側壁、54 管部、55 フランジ部、60,70 第2パンチ、61,71 外側面、62,72 内側面、63,73 第2先端、64,74 第2傾斜面、66 封止部材、67 蓋、67a ベース部、67b 突起、68 空洞、69,69a,69b 溶接部、79a,79b パイプ、80 モータ、81 ステータフレーム、82 底板、83 側壁、84 金属部分、85 金属片、85a,85b 貫通孔、86 収容空間、87 空洞、88a,88b パイプ、90,97 ベアリング、91 ステータコア、92 ロータ、93 ロータシャフト、94 ロータコア、96 ブラケット。
図1
図2
図3
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