IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-燃料電池スタック 図1
  • 特開-燃料電池スタック 図2
  • 特開-燃料電池スタック 図3
  • 特開-燃料電池スタック 図4
  • 特開-燃料電池スタック 図5
  • 特開-燃料電池スタック 図6
  • 特開-燃料電池スタック 図7
  • 特開-燃料電池スタック 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180058
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20231213BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20231213BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20231213BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20231213BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/2475
H01M8/02
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093136
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直行
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA15
5H126AA22
5H126AA28
5H126FF08
5H126FF09
5H127AC07
5H127DB55
5H127EE03
5H127EE27
(57)【要約】
【課題】積層体及びセルモニタコネクタの小型化を図ることができる燃料電池スタックを提供すること。
【解決手段】燃料電池スタック11は、積層体20と、セルモニタコネクタ40と、規制部材50とを備えている。積層体20は、積層方向に複数の燃料電池セル21を積層して形成されている。セルモニタコネクタ40は、燃料電池セル21の電圧の測定に用いられる。セルモニタコネクタ40は、燃料電池セル21が備える接続端部21fが差し込まれる差込部44を備える。規制部材50は、接続端部21fに対して差込部44を差し込む方向を差込方向とした場合、差込方向と反対方向へのセルモニタコネクタ40の移動を規制する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層した複数の燃料電池セルを備える積層体と、
前記燃料電池セルの電圧の測定に用いられるセルモニタコネクタであって、前記燃料電池セルが備える接続端部が差し込まれることで前記燃料電池セルと導通する差込部を備えるセルモニタコネクタと、
前記接続端部に対して前記差込部を差し込む方向を差込方向とすると、前記セルモニタコネクタにおいて、前記差込方向における前記差込部と反対側の端部に対向して配置され、前記セルモニタコネクタに接触することで前記差込方向と反対方向への前記セルモニタコネクタの移動を規制する規制部材と、を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
前記積層体を覆うスタックカバーを備え、前記規制部材は、前記スタックカバーに設けられている請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記規制部材は、前記スタックカバーに一体の取付部と、前記取付部に取り付けられた弾性材料製の弾性部と、を備え、前記取付部及び前記弾性部は、前記スタックカバーと前記セルモニタコネクタとの間に介在するとともに、前記弾性部が前記セルモニタコネクタに接触している請求項2に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
前記燃料電池セルには、前記セルモニタコネクタが差し込まれる差込凹部が設けられるとともに、
前記燃料電池セルは、前記差込凹部を画定し、かつ前記差込方向に延びるスタック側接触面を備え、
前記セルモニタコネクタは、前記スタック側接触面に対向するモニタ側接触面を備えている請求項1又は請求項2に記載の燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、複数の燃料電池セルを備えている。複数の燃料電池セルは積層されている。燃料電池スタックには、セルモニタと、セルモニタコネクタが接続されている。セルモニタは、各燃料電池セルの電圧を測定する。また、セルモニタコネクタは、燃料電池セルからの脱落を抑制した状態で燃料電池セルに取り付けられている。例えば、特許文献1には、燃料電池セルからの脱落を抑制するようにしたセルモニタコネクタが開示されている。
【0003】
特許文献1のセルモニタコネクタは、ハウジングを備えている。ハウジングは、本体部と、本体部の端部に設けられる固定部及び接続部とを備えている。固定部は、本体部の端部からL状に突出する。本体部の外側面のうち固定部寄りの面には、固定部に向けて突出するように固定用爪が設けられている。
【0004】
特許文献1に開示された燃料電池セルは、膜-電極アッセンブリと、当該膜-電極アッセンブリを挟み込む一対のセパレータとを備えている。セパレータは導電性材料で形成されている。セパレータの間にはガスケットが設けられている。セパレータの端部は接続部に挿入されるとともに、セルモニタコネクタが電気的に接続される。また、燃料電池セルの端部には、突出片が形成されている。
【0005】
そして、セルモニタコネクタは、本体部と固定部との間に、燃料電池セルの突出片を挟むように配置される。突出片の上部には、下方に向けて凹設された溝が形成されている。
特許文献1において、セルモニタコネクタに対し、回転する方向への力が作用すると、セルモニタコネクタの接続部が燃料電池セルの外方に向かって移動する。このとき、接続部に設けられたリブと、ガスケットの端部とが干渉する。これにより、セルモニタコネクタの回転が抑制される。その結果、固定部と突出片との係合を維持できるため、燃料電池セルからのセルモニタコネクタの脱落が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5928989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1は、燃料電池セルからのセルモニタコネクタの脱落を抑制するため、セルモニタコネクタの本体部と固定部との間に燃料電池セルの突出片を挟み込む必要がある。このため、セルモニタコネクタは、本体部からL状に突出する固定部を必要とするとともに、燃料電池セルは、突出片を必要とする。よって、燃料電池セルからのセルモニタコネクタの脱落を抑制するため、燃料電池セル及びセルモニタコネクタが大型化してしまっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための燃料電池スタックは、積層方向に積層した複数の燃料電池セルを備える積層体と、前記燃料電池セルの電圧の測定に用いられるセルモニタコネクタであって、前記燃料電池セルが備える接続端部が差し込まれることで前記燃料電池セルと導通する差込部を備えるセルモニタコネクタと、前記接続端部に対して前記差込部を差し込む方向を差込方向とすると、前記セルモニタコネクタにおいて、前記差込方向における前記差込部と反対側の端部に対向して配置され、前記セルモニタコネクタに接触することで前記差込方向と反対方向への前記セルモニタコネクタの移動を規制する規制部材と、を備えることを要旨とする。
【0009】
これによれば、差込方向と反対方向へのセルモニタコネクタの移動は、規制部材によって規制される。このため、接続端部と差込部の導通は維持されるとともに、セルモニタコネクタが、積層体から外れることを抑制できる。接続端部と差込部の導通を維持しつつ、セルモニタコネクタが、積層体から外れることを抑制するため、例えば、積層体及びセルモニタコネクタに、互いに係合する係合部を設ける場合と比べると、積層体及びセルモニタコネクタの簡素化及び小型化を図ることができる。
【0010】
燃料電池スタックについて、前記積層体を覆うスタックカバーを備え、前記規制部材は、前記スタックカバーに設けられていてもよい。
これによれば、スタックカバーは、積層体を収容する部品であって、燃料電池スタックが既に備える部品である。このため、既存の部品を利用して、接続端部と差込部の導通を維持しつつ、セルモニタコネクタが、積層体から外れることを抑制できる。
【0011】
燃料電池スタックについて、前記規制部材は、前記スタックカバーに一体の取付部と、前記取付部に取り付けられた弾性材料製の弾性部と、を備え、前記取付部及び前記弾性部は、前記スタックカバーと前記セルモニタコネクタとの間に介在するとともに、前記弾性部が前記セルモニタコネクタに接触していてもよい。
【0012】
これによれば、スタックカバーとセルモニタコネクタとの間の距離が、予め設定された値から異なっても、その距離の差異を、弾性部の弾性変形によって吸収できる。
燃料電池スタックについて、前記燃料電池セルには、前記セルモニタコネクタが差し込まれる差込凹部が設けられるとともに、前記燃料電池セルは、前記差込凹部を画定し、かつ前記差込方向に延びるスタック側接触面を備え、前記セルモニタコネクタは、前記スタック側接触面に対向するモニタ側接触面を備えていてもよい。
【0013】
これによれば、規制部材は、セルモニタコネクタに対して差込方向へ押し込む力を付与する。このとき、セルモニタコネクタに対し、スタック側接触面に向かう方向への力が付与されると、モニタ側接触面がスタック側接触面に接触する。この接触により、セルモニタコネクタが差込凹部内で回動することを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、積層体及びセルモニタコネクタの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
図2】燃料電池スタックを第2積層端面から示す斜視図である。
図3】燃料電池スタックの構成部品を分解して示す図である。
図4】セルモニタコネクタ及び規制部材を示す部分断面図である。
図5】セルモニタコネクタと規制部材を離して示す部分斜視図である。
図6】セルモニタコネクタを示す正面図である。
図7】セルモニタコネクタと規制部材を示す部分斜視図である。
図8】燃料電池スタックを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、燃料電池スタックを具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
<燃料電池スタック>
図1図2及び図4に示すように、燃料電池スタック11は、積層体20と、第1集電体22と、第2集電体23と、インシュレータ24と、スタックカバー30と、セルモニタコネクタ40と、規制部材50と、を備えている。
【0017】
<積層体>
積層体20は、複数の燃料電池セル21を備えている。燃料電池セル21は、矩形板状である。燃料電池セル21は、第1縁部21aと、第2縁部21bと、第3縁部21cと、第4縁部21dとを備えている。第1縁部21aと第2縁部21bは互いに平行に延びるとともに、第3縁部21cと第4縁部21dは互いに平行に延びる。また、燃料電池セル21には、第1縁部21aから凹む差込凹部13が設けられている。差込凹部13は、第1縁部21aから第2縁部21bに向けて斜めに延びている。差込凹部13は、第1縁部21aの中央よりも第4縁部21d寄りに設けられている。差込凹部13は、燃料電池セル21を板厚方向に貫通している。
【0018】
図4に示すように、差込凹部13は、第1スタック側接触面13aと、第2スタック側接触面13bと、スタック側底面13cとによって画定されている。第1スタック側接触面13aと第2スタック側接触面13bは、互いに平行であるとともに、離れている。第1スタック側接触面13a及び第2スタック側接触面13bの各々は、第1縁部21aに対して斜めに延びている。スタック側底面13cは、第1スタック側接触面13aと第2スタック側接触面13bを繋ぐ斜面である。
【0019】
燃料電池セル21は、接続端部21fを備えている。接続端部21fは、燃料電池セル21の電圧を測定するために設けられている。接続端部21fは、板状である。接続端部21fは、差込凹部13のスタック側底面13cから突出している。後述するセルモニタコネクタ40は、接続端部21fと電気的に接続される。
【0020】
図2に示すように、積層体20において、全ての燃料電池セル21は、燃料電池セル21の板厚方向に積層されている。積層体20は、矩形ブロック状である。全ての燃料電池セル21が積層される方向を積層方向Aとする。積層方向Aは、燃料電池セル21の板厚方向と一致する。したがって、積層体20は、積層方向Aに積層した複数の燃料電池セル21を備えている。
【0021】
積層体20は、第1積層端面S1と、第2積層端面S2と、第1側面20aと、第2側面20bと、第3側面20cと、第4側面20dと、を備えている。第1積層端面S1は、積層体20の積層方向Aの第1端面である。第1積層端面S1は、積層方向Aの第1端に位置する燃料電池セル21の板厚方向の外面によって形成されている。第2積層端面S2は、積層体20の積層方向Aの第2端面である。第2積層端面S2は、積層方向Aの第2端に位置する燃料電池セル21の板厚方向の外面によって形成されている。
【0022】
第1側面20aは、全ての第1縁部21aを積層方向Aに積層して形成されている。第2側面20bは、全ての第2縁部21bを積層方向Aに積層して形成されている。第3側面20cは、全ての第3縁部21cを積層方向Aに積層して形成されている。第4側面20dは、全ての第4縁部21dを積層方向Aに積層して形成されている。
【0023】
第1側面20aと第2側面20bは、積層体20における積層方向Aに直交する方向の面である。第1側面20aと第2側面20bは、積層体20において互いに反対側に位置している。積層体20において、第1側面20aと第2側面20bが配置される方向を第1方向Bとする。
【0024】
第3側面20cと第4側面20dは、積層体20における積層方向Aに直交する方向の面である。第3側面20cと第4側面20dは、積層体20において互いに反対側に位置している。積層体20において、第3側面20cと第4側面20dが配置される方向を第2方向Cとする。
【0025】
<第1集電体及び第2集電体>
図3に示すように、第1集電体22は、積層体20の第1積層端面S1に積層されている。第2集電体23は、積層体20の第2積層端面S2に積層されている。第1集電体22及び第2集電体23は、積層体20により発電された電力を集電する。
【0026】
<インシュレータ>
インシュレータ24は、第1集電体22をスタックカバー30と絶縁する。インシュレータ24は、積層方向Aに第1集電体22とスタックカバー30との間に挟まれている。インシュレータ24は、第1集電体22を介して積層体20の第1積層端面S1に設けられている。
【0027】
<スタックカバー>
図1及び図3に示すように、スタックカバー30は、エンドプレート31と、スタックマニホールド32と、カバープレート34と、一対のサイドプレート35とを備えている。
【0028】
エンドプレート31とスタックマニホールド32は、積層体20を積層方向Aに加圧する。エンドプレート31は、板厚方向に見て長四角形の板状である。エンドプレート31の板厚方向は、積層方向Aと一致する。エンドプレート31は、第1集電体22及びインシュレータ24を積層方向Aに挟んで積層体20の第1積層端面S1に設けられている。したがって、第1集電体22及びインシュレータ24は、エンドプレート31と積層体20との間に設けられている。
【0029】
スタックマニホールド32は、積層体20に水素、酸素及び冷却水を供給するための配管部品である。スタックマニホールド32は、第2集電体23を積層方向Aに挟んで積層体20の第2積層端面S2に設けられている。スタックマニホールド32の板厚方向は、積層方向Aと一致する。
【0030】
エンドプレート31とスタックマニホールド32とは、締結部材33によって締結されている。締結部材33は、ボルト33aと、ナット33bとを備えている。ボルト33aは、エンドプレート31及びスタックマニホールド32に挿通されている。ナット33bは、エンドプレート31及びスタックマニホールド32に対して積層体20を加圧するように、ボルト33aに取り付けられている。締結部材33は、エンドプレート31とスタックマニホールド32との間に設けられている積層体20等の部材を積層方向Aに加圧している。なお、締結部材33は、上記に限定されない。例えば、スタックマニホールド32に雌ねじが形成されていれば、ボルト33aをスタックマニホールド32の雌ねじに螺入してもよい。この場合、締結部材33は、ボルト33aと、スタックマニホールド32の雌ねじとを備えている。又は、エンドプレート31に雌ねじが形成されていれば、ボルト33aをエンドプレート31の雌ねじに螺入してもよい。この場合、締結部材33は、ボルト33aと、エンドプレート31の雌ねじとを備えている。
【0031】
カバープレート34は、第1方向Bにおいて、積層体20の第1側面20aを外側から覆っている。カバープレート34は、一対のサイドプレート35に取り付けられている。カバープレート34は、長四角形の板状である。カバープレート34の四隅には、貫通孔34aが形成されている。
【0032】
一対のサイドプレート35のうち、一方のサイドプレート35は、第2方向Cにおいて、積層体20の第3側面20cを外側から覆っているとともに、他方のサイドプレート35は、積層体20の第4側面20dを外側から覆っている。一対のサイドプレート35の各々は、エンドプレート31とスタックマニホールド32に締結されている。一対のサイドプレート35の各々は、長辺方向の両端に短側面35aを備えている。サイドプレート35の一方の短側面35aには、雌ねじ35bが形成されている。
【0033】
カバープレート34の貫通孔34aを貫通したボルト36は、サイドプレート35の雌ねじ35bにねじ込まれている。これにより、カバープレート34は、一対のサイドプレート35に取り付けられている。なお、カバープレート34の取り付け方法は上記に限定されない。例えば、カバープレート34は、エンドプレート31に設けた雌ねじ及びスタックマニホールド32に設けた雌ねじにボルト36をねじ込んで取り付けられていてもよい。又は、カバープレート34は、スタックマニホールド32及びエンドプレート31のいずれかに設けた雌ねじにボルト36をねじ込んで取り付けられていてもよい。
【0034】
そして、エンドプレート31と、スタックマニホールド32と、カバープレート34と、一対のサイドプレート35とによってスタックカバー30が形成されている。積層体20は、スタックカバー30に囲まれた空間に収容されている。したがって、積層体20は、積層方向Aの両側、第1方向Bの一方側、及び第2方向Cの両側からスタックカバー30によって覆われている。
【0035】
<セルモニタコネクタ>
セルモニタコネクタ40は、燃料電池セル21の電圧の測定に用いられる。セルモニタコネクタ40は、燃料電池セル21と接続される。
【0036】
図4図5及び図6に示すように、セルモニタコネクタ40は、樹脂製のハウジング41と、差込部44と、ケーブル46とを備えている。セルモニタコネクタ40は、ケーブル46を介して図示しないセルモニタと電気的に接続されている。セルモニタは、燃料電池セル21の電圧を測定する電圧計である。したがって、セルモニタコネクタ40は、セルモニタを燃料電池セル21と電気的に接続するために、燃料電池セル21とセルモニタとを電気的に接続している。
【0037】
ハウジング41は、本体部42と、操作部43とを備えている。本体部42は、ブロック状である。本体部42の長手が延びる方向をセルモニタコネクタ40の長手方向とする。なお、セルモニタコネクタ40において、長手方向Xに直交する一つの方向を板厚方向Wとするとともに、長手方向X及び板厚方向Wに直交する方向を幅方向Yとする。板厚方向Wは、積層方向Aと一致する。
【0038】
セルモニタコネクタ40は、長手方向Xが差込凹部13への差込方向Tと一致するように燃料電池セル21に接続されている。セルモニタコネクタ40は、板厚方向Wが積層方向Aと一致するように燃料電池セル21に接続されている。
【0039】
本体部42は、本体部42の長手方向Xの一端に第1端面42aを備えるとともに、長手方向Xの他端に第2端面42bを備えている。操作部43は、本体部42の第1端面42aから突出する。
【0040】
本体部42は、幅方向Yの第1端面に第1モニタ側接触面42cを備えるとともに、幅方向Yの第2端面に第2モニタ側接触面42dを備えている。第1モニタ側接触面42cと第2モニタ側接触面42dは、幅方向Yに反対側に位置する面である。第1モニタ側接触面42c及び第2モニタ側接触面42dの各々は、平坦面である。
【0041】
本体部42の板厚方向Wにセルモニタコネクタ40を見て、操作部43はL状である。操作部43は、第1端面42aにおける幅方向Yの縁から第2モニタ側接触面42d側へ突出している。操作部43は、第1端面42aから板状に突出する根元43aと、根元43aに対し直交する方向に延出する操作片43bとを備えている。板厚方向Wへの操作片43bの寸法は、板厚方向Wへの本体部42の寸法と同じである。操作片43bの端面には、操作面43cが設けられている。操作面43cは、本体部42の第1端面42aと平行な面である。作業者は、セルモニタコネクタ40を差込凹部13に差し込むとき、操作面43cを押すように操作する。このため、操作部43は、作業者による押し込み操作に耐え得る剛性を有している。
【0042】
差込部44は、本体部42の第2端面42bから突出する。差込部44には、スリット44aが形成されている。スリット44aによって差込部44は板厚方向Wに離間しているとともに、幅方向Yの両端側に開口している。差込部44の板厚方向Wの内面には、端子45が配置されている。端子45は、スリット44aに向けて露出している。差込部44のスリット44aには、接続端部21fが差し込まれている。詳細には、セルモニタコネクタ40は、差込部44側から差込凹部13に差し込まれている。差込部44の間のスリット44aには接続端部21fが差し込まれている。端子45と接続端部21fとは電気的に接続されている。つまり、差込部44は、燃料電池セル21が備える接続端部21fが差し込まれることで燃料電池セル21と導通する。
【0043】
ケーブル46は、差込部44の端子45に接続されている。ケーブル46は、本体部42の第1端面42aから本体部42の外へ引き出されている。ケーブル46は、図示しないセルモニタに電気的に接続されている。セルモニタは、燃料電池セル21の各々の状態を監視する。そして、燃料電池セル21の電圧は、セルモニタによって測定される。セルモニタによる測定結果は、図示しないケーブルによって図示しない主制御装置(FCECU)に出力される。
【0044】
各燃料電池セル21の差込凹部13には、セルモニタコネクタ40が差し込まれている。したがって、燃料電池セル21には、セルモニタコネクタ40が差し込まれる差込凹部13が設けられている。燃料電池スタック11は、複数の燃料電池セル21を備えるため、燃料電池スタック11は、セルモニタコネクタ40を複数備えている。各セルモニタコネクタ40は、板厚方向Wを積層方向Aに一致させて差込凹部13に差し込まれている。そして、接続端部21fに対して差込部44を差し込む方向を、セルモニタコネクタ40の差込方向Tとする。差込凹部13は、第1スタック側接触面13a及び第2スタック側接触面13bによって画定されているとともに、差込方向Tに延びている。このため、燃料電池セル21は、差込凹部13を画定し、かつ差込方向Tに延びる第1スタック側接触面13a及び第2スタック側接触面13bを備えている。
【0045】
セルモニタコネクタ40の本体部42のほとんどは、差込凹部13に挿入されている。第1モニタ側接触面42cは、第1スタック側接触面13aに支えられているとともに、第2モニタ側接触面42dは、詳細に図示しないが第2スタック側接触面13bに対し僅かに離れている。したがって、セルモニタコネクタ40は、第1スタック側接触面13aに対向する第1モニタ側接触面42cを備えている。本体部42の第1端面42aは、第1側面20aから積層体20の外部に露出している。第1端面42aから引き出されたケーブル46は、第1側面20aから積層体20の外へ引き出されている。セルモニタコネクタ40において、差込方向Tの最も奥に位置する部分を最奥部40aとする。最奥部40aは、差込部44の先端面と第1モニタ側接触面42cとが交わる箇所である。
【0046】
セルモニタコネクタ40において、操作部43は、差込方向Tにおける差込部44と反対側の端部となる。そして、操作部43は、燃料電池セル21の第1側面20aから突出している。操作面43c及び第1端面42aは、第1側面20aに対し傾斜している。第1端面42aは、操作部43側の端から、操作部43と反対側の端に向けて第1側面20aに向かうように下り傾斜している。操作面43cは、幅方向Yにおいて、第1端面42aから最も離れた位置から、その反対側に向けて第1側面20aに向かうように下り傾斜している。
【0047】
燃料電池スタック11が水平面上に載置されている場合、第1側面20aは水平面に平行な上端面となる。セルモニタコネクタ40の第1端面42aは、水平面に対し傾斜するとともに、操作面43cは、水平面に対し傾斜している。
【0048】
<規制部材>
図4図5図7及び図8に示すように、規制部材50は、スタックカバー30の一部であるカバープレート34に設けられている。規制部材50は、カバープレート34に一体の取付部51と、取付部51に取り付けられた弾性部55と、を備えている。取付部51は、溶接によってカバープレート34に接合されている。取付部51は、取付板52と、取付板52とカバープレート34との間で延びる複数の延出部53とを備えている。取付板52は、長四角板状である。取付板52の長手は、積層方向Aに延びている。取付板52は、カバープレート34と平行に配置されている。取付板52は、板厚方向の一方面に背面52aを備えているとともに、板厚方向の他方面に取付面52bを備えている。背面52aは、カバープレート34から離れている。
【0049】
複数の延出部53の各々は、背面52aからカバープレート34に向けて延出している。複数の延出部53の各々は、カバープレート34に溶接によって接合されている。
弾性部55は、弾性材料製である。弾性部55は、弾性材料としてのゴム製である。弾性部55は、直方体状である。弾性部55において、板厚方向の両面の大きさは、取付板52の取付面52bと同じ大きさである。このため、弾性部55の四側面は、取付板52の四側面と面一にある。したがって、弾性部55は、積層体20の積層方向Aの全体に亘って延びている。つまり、弾性部55は、積層体20の第1積層端面S1と第2積層端面S2との間に掛け渡されるように配置されている。なお、弾性部55において、板厚方向の両面の大きさは、取付板52の取付面52bより大きくてもよいし、小さくてもよい。弾性部55の板厚方向の片面は取付面52bに接合されている。
【0050】
規制部材50は、カバープレート34に取り付けられている。そして、カバープレート34は、エンドプレート31及びスタックマニホールド32に取り付けられている。このため、規制部材50は、セルモニタコネクタ40の上方において位置決めされている。よって、規制部材50が備える弾性部55は、セルモニタコネクタ40の上方において位置決めされている。また、取付部51及びカバープレート34は、弾性部55よりも剛性の高い材料である。このため、弾性部55に対し取付部51に向かう力が作用したとき、弾性部55は弾性変形するが、弾性部55の位置は変化しない。
【0051】
規制部材50は、カバープレート34とセルモニタコネクタ40との間に介在している。規制部材50の弾性部55は、セルモニタコネクタ40の操作部43に対向して配置されている。また、弾性部55は、操作部43に接触している。
【0052】
弾性部55の一部分は、セルモニタコネクタ40の操作面43cと、取付板52の取付面52bとの間に挟まれている。つまり、取付部51及び弾性部55は、カバープレート34とセルモニタコネクタ40との間に介在している。操作部43は、弾性部55に食い込んでいる。このため、弾性部55は、板厚方向に圧縮されるとともに、圧縮状態から原形状への復帰力によって取付板52及びセルモニタコネクタ40を押している。
【0053】
上記したように、取付板52及びカバープレート34は、弾性部55よりも剛性の高い材料である。このため、弾性部55の復帰力は、操作部43に作用する。この復帰力により、セルモニタコネクタ40は、鉛直方向の下に向けて押されている。
【0054】
また、セルモニタコネクタ40は、差込凹部13の第1スタック側接触面13a及び第2スタック側接触面13bによって第1側面20aに対し斜めに差し込まれている。このため、セルモニタコネクタ40が、規制部材50によって鉛直方向の下に向けて押されると、セルモニタコネクタ40には、差込方向Tへの付勢力が付与されるとともに、鉛直方向の下に向かう力と付勢力との分力が第1モニタ側接触面42cに向けて発生する。セルモニタコネクタ40は、分力によって第1スタック側接触面13aに向けて移動しようとするが、第1スタック側接触面13aは、第1モニタ側接触面42cに接触する。第1スタック側接触面13aに対する第1モニタ側接触面42cの接触により、セルモニタコネクタ40の傾きが規制されている。
【0055】
[実施形態の作用]
本実施形態の作用について説明する。
カバープレート34に一体の規制部材50は、セルモニタコネクタ40の操作部43に対向して配置されている。詳細には、規制部材50は、操作部43に接触している。規制部材50の弾性部55は、セルモニタコネクタ40を鉛直方向の下に向けて押している。これにより、セルモニタコネクタ40には、差込凹部13の差込方向Tへの付勢力が付与されている。そして、規制部材50は、セルモニタコネクタ40に接触することで差込方向Tと反対方向へのセルモニタコネクタ40の移動を規制している。
【0056】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)規制部材50によって、セルモニタコネクタ40が、差込方向Tと反対方向へ移動することを規制できる。このため、セルモニタコネクタ40の差込部44と、燃料電池セル21の接続端部21fとの導通を維持できるとともに、セルモニタコネクタ40が、積層体20から外れることを抑制できる。接続端部21fと差込部44との導通を維持しつつ、セルモニタコネクタ40が、積層体20から外れることを抑制するため、例えば、積層体20及びセルモニタコネクタ40に互いに係合する係合部を設ける場合と比べると、積層体20及びセルモニタコネクタ40の小型化を図ることができる。
【0057】
(2)カバープレート34に設けた規制部材50によって、差込方向Tと反対方向へのセルモニタコネクタ40の移動を規制している。このため、差込部44によって接続端部21fを挟み込むだけで端子45と接続端部21fとを導通させる構造であっても、その導通を維持できる。
【0058】
(3)カバープレート34は、積層体20を収容して保護するスタックカバー30の一部品である。このカバープレート34に規制部材50を設けている。このため、燃料電池スタック11が備える既存の部品を利用して、接続端部21fと差込部44の導通を維持しつつ、セルモニタコネクタ40が、積層体20から外れることを抑制できる。
【0059】
(4)セルモニタコネクタ40は、各燃料電池セル21に接続されるため、積層体20には複数のセルモニタコネクタ40が接続される。例えば、セルモニタコネクタ40を複数一体化した場合と比べると、一つ一つのセルモニタコネクタ40は、燃料電池セル21から浮き上がりやすい。しかし、規制部材50によって各セルモニタコネクタ40に対し、差込方向Tへの付勢力を付与できるため、全てのセルモニタコネクタ40の各々について、接続端部21fに対する差込部44の差込状態を維持しやすい。
【0060】
(5)規制部材50は、ゴム製の弾性部55を備える。この弾性部55は、セルモニタコネクタ40と取付板52との間で圧縮するように弾性変形する。このため、カバープレート34とセルモニタコネクタ40との間の距離が、予め設定された値から異なっても、弾性部55の弾性変形によって差異を吸収できる。
【0061】
(6)セルモニタコネクタ40は、第1スタック側接触面13aに対向する第1モニタ側接触面42cを備えている。規制部材50によって、セルモニタコネクタ40に対して差込方向Tへの付勢力が付与されると、セルモニタコネクタ40に対し、第1スタック側接触面13aに向かう方向への分力が付与される。このとき、第1モニタ側接触面42cが第1スタック側接触面13aに接触する。この接触により、最奥部40aを起点としてセルモニタコネクタ40が回動することを抑制できる。
【0062】
(7)セルモニタコネクタ40は、差込凹部13にセルモニタコネクタ40を差し込むときに操作される操作部43を備えている。操作部43は、操作に耐え得るように剛性がある。この操作部43を弾性部55で押すため、弾性部55の原形状への復帰力を操作部43に効果的に伝えることができる。その結果、セルモニタコネクタ40を差込方向Tへ効果的に付勢できる。
【0063】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○積層体20には、差込凹部13が設けられていなくてもよい。この場合、燃料電池セル21の接続端部21fは、第1縁部21a上に突出する。そして、セルモニタコネクタ40は、第1縁部21aに載置される。このとき、差込部44への接続端部21fの差込方向Tは鉛直方向の上から下となる。そして、規制部材50は、セルモニタコネクタ40に対し、差込方向Tにおける差込部44と反対側の端部に対向して配置される。この場合、規制部材50は、セルモニタコネクタ40の上方に配置される。そして、規制部材50は、セルモニタコネクタ40を上から下へ押している。これにより、セルモニタコネクタ40には、接続端部21fへの差込方向Tへの付勢力が付与されている。また、規制部材50は、セルモニタコネクタ40に接触することで差込方向Tと反対方向、つまり下から上へのセルモニタコネクタ40の移動を規制する。
【0064】
○規制部材50は、弾性部55だけであってもよい。この場合、弾性部55は、カバープレート34に直接取り付けられるとともに、取付部51は削除される。
○規制部材50において、弾性部55に変えて、接触部材を取付部51に取り付けてもよい。接触部材は、例えば、樹脂製や金属製のように、弾性部55のような弾性変形の無い材料製である。この場合、接触部材は、セルモニタコネクタ40の操作部43に対し、僅かに離れた位置に配置される。そして、セルモニタコネクタ40が差込方向Tと反対方向へ移動しても、セルモニタコネクタ40が接触部材に即座に接触するようになっている。接続端部21fと差込部44との導通は、差込方向Tと反対方向への僅かな移動があっても維持される。接触部材は、差込方向Tと反対方向へのセルモニタコネクタ40の僅かな移動だけを規制できるように、セルモニタコネクタ40から僅かに離れている。
【0065】
○規制部材50の弾性部55は、セルモニタコネクタ40の第1端面42aだけに接触してもよいし、操作面43cと第1端面42aの両方に接触していてもよい。
○燃料電池スタック11は、積層体20の積層方向Aを鉛直方向として配置されていてもよい。この場合、積層体20の第1側面20aは、鉛直方向に対し直交する方向の端面となる。このため、第1側面20aに開口する差込凹部13は、鉛直方向に対し直交する方向に開口する。
【0066】
また、燃料電池スタック11を収容するスタックカバーを下方に開口するとともに、天板を有する筒状とする。そして、このスタックカバーの内側面に規制部材50を設けて、セルモニタコネクタ40の移動を規制するようにする。
【0067】
○規制部材50は、スタックカバー30のカバープレート34以外に設けられていてもよい。例えば、規制部材50は、エンドプレート31に設けられていてもよい。この場合、弾性部55や接触部材は、エンドプレート31に取り付けた取付部51に取り付けられる。
【0068】
○規制部材50は、スタックカバー30以外に設けられていてもよい。例えば、規制部材50は、積層体20を収容する筐体に設けられていてもよい。
○燃料電池スタック11において、積層体20以外の第1集電体22、第2集電体23、インシュレータ24、エンドプレート31、及びスタックマニホールド32は、実施形態の構成に限定されず、必要に応じて割愛してもよい。
【符号の説明】
【0069】
13…差込凹部、13a…第1スタック側接触面、20…積層体、21…燃料電池セル、21f…接続端部、30…スタックカバー、40…セルモニタコネクタ、42c…第1モニタ側接触面、44…差込部、50…規制部材、52…取付板、55…弾性部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8