(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180059
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】非接触給電システム、サーバ、情報提供装置、移動体及び移動体の制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231213BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231213BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20231213BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20231213BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20231213BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231213BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20231213BHJP
B60L 53/64 20190101ALI20231213BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20231213BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231213BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20231213BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231213BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20231213BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231213BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231213BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231213BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20231213BHJP
【FI】
G06Q50/06
G08G1/09 F
G01C21/26 C
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L15/20 J
B60L53/12
B60L53/64
B60L53/67
B60L53/68
B60L55/00
H02J50/10
H02J50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093137
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 眞
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優一
【テーマコード(参考)】
2F129
5G503
5H105
5H125
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129DD48
2F129DD49
2F129EE92
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF47
2F129FF57
2F129FF60
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC04
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC21
5H125BC24
5H125CC04
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE55
5H181AA01
5H181BB04
5H181EE10
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF33
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】非接触給電を希望する車両が一部の地上給電装置に集中してしまうのを抑制する。
【解決手段】非接触給電システム100は、地上給電装置2から非接触給電を受けることが可能な移動体3に関連付けられると共に移動体3の利用者に情報を提供する情報提供装置4と、情報提供装置4と通信するサーバ1と、を備える。サーバ1は、電力需要に基づいて各地上給電装置2の利用料金を設定するように構成され、情報提供装置4は、サーバ1と通信することにより取得した各地上給電装置2の利用料金に関する情報を利用者に提供するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に関連付けられると共に前記移動体の利用者に情報を提供する情報提供装置と、
前記情報提供装置と通信するサーバと、
を備える非接触給電システムであって、
前記サーバは、
電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するように構成され、
前記情報提供装置は、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記利用者に提供するように構成される、
非接触給電システム。
【請求項2】
前記電力需要は、各地上給電装置に対する前記移動体からの電力需要である、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記移動体からの電力需要が高い前記地上給電装置の利用料金を、前記移動体からの電力需要が低い前記地上給電装置の利用料金よりも低くする、
請求項1又は請求項2に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記地上給電装置は、
複数の前記移動体に対して非接触給電を実施可能に構成され、
前記サーバは、
給電を実施している前記移動体の台数が多い前記地上給電装置の利用料金を、給電を実施している前記移動体の台数が少ない前記地上給電装置の利用料金よりも高くするように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記地上給電装置は、
複数の前記移動体に対して非接触給電を実施可能に構成され、
前記サーバは、
各地上給電装置の推定給電台数を時間帯毎に算出し、
各地上給電装置の利用料金を、同時間帯における各地上給電装置の推定給電台数に基づいて設定するように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記サーバは、
同時間帯において前記推定給電台数の多い前記地上給電装置の利用料金を、同時間帯において前記推定給電台数の少ない前記地上給電装置の利用料金よりも高くするように構成される、
請求項5に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記サーバは、
電力使用率の高い前記地上給電装置の利用料金を、電力使用率の低い前記地上給電装置の利用料金よりも高くするように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記電力需要は、各地上給電装置が設置されている地域の電力需要である、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項9】
前記サーバは、
電力使用率が高い地域に設置されている前記地上給電装置の利用料金を、電力使用率の低い地域に設定されている前記地上給電装置の利用料金よりも高くするように構成される、
請求項1又は請求項8に記載の非接触給電システム。
【請求項10】
前記情報提供装置は、
前記利用者に提供した前記地上給電装置の利用料金が所定値以上変化していた場合に、変化後の利用料金に関する情報を前記サーバから取得して前記利用者に再提供するように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項11】
前記情報提供装置は、
当該情報提供装置に関連付けられた前記移動体の進行方向前方又は進行方向後方の少なくとも一方に設置されている前記地上給電装置の利用料金に関する情報を前記利用者に提供するように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項12】
前記情報提供装置は、
前記地上給電装置の利用料金に関する情報として、当該地上給電装置の絶対価格を前記利用者に提供するように構成される、
請求項11に記載の非接触給電システム。
【請求項13】
前記情報提供装置は、
前記地上給電装置の利用料金に関する情報として、基準となる地上給電装置の利用料金との相対価格を前記利用者に提供するように構成される、
請求項11に記載の非接触給電システム。
【請求項14】
前記基準となる地上給電装置は、
前記情報提供装置に関連付けられた前記移動体に対して給電を実施可能な地上給電装置である、
請求項13に記載の非接触給電システム。
【請求項15】
前記情報提供装置は、
自装置に関連付けられた前記移動体の進行方向前方又は進行方向後方の少なくとも一方に設置されている前記地上給電装置において、給電中の別の移動体が存在するときは、前記別の移動体に関する情報を前記利用者にさらに提供するように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項16】
前記情報提供装置は、
当該情報提供装置に関連付けられた前記移動体の走行予定ルートと、前記走行予定ルート上の各地上給電装置の利用料金とに基づいて、前記走行予定ルートを走行した場合の総利用料金の予想額を算出し、
各地上給電装置の利用料金に関する情報として、前記予想額を前記利用者に提供するように構成される、
請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項17】
地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に関連付けられると共に前記移動体の利用者に情報を提供する情報提供装置と通信可能な構成された通信部と、
制御部と、
を備えるサーバであって、
前記制御部は、
電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定し、
設定した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記情報提供装置に送信するように構成される、
サーバ。
【請求項18】
地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に関連付けられると共に前記移動体の利用者に情報を提供する情報提供装置であって、
電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記利用者に提供するように構成される、
情報提供装置。
【請求項19】
地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体であって、
電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提示する情報提示部と、
を備え、
前記情報提示部は、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記利用者に提示するように構成される、
移動体。
【請求項20】
地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に搭載される制御装置であって、
電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提示する情報提示部と、
を備え、
前記情報提示部は、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記利用者に提示するように構成される、
移動体の制御装置。
【請求項21】
地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体の運転操作を自動で行う自動運転制御部と、
電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、
を備え、
前記自動運転制御部は、
前記サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を用いて前記移動体を自動的に制御するように構成される、
移動体の制御装置。
【請求項22】
前記情報は、前記移動体の進行方向前方又は進行方向後方の少なくとも一方に設置されている前記地上給電装置の利用料金に関する情報である、
請求項21に記載の移動体の制御装置。
【請求項23】
前記自動運転制御部は、
前記地上給電装置の利用料金に基づいて、他車両との相対位置を自動的に変更するように構成される、
請求項21又は請求項22に記載の移動体の制御装置。
【請求項24】
前記自動運転制御部は、
前記地上給電装置の利用料金が安くなるように、他車両との相対位置を自動的に変更するように構成される、
請求項21又は請求項22に記載の移動体の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システム、サーバ、情報提供装置、移動体及び移動体の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地上給電装置が設置された道路上の車両に対して、地上給電装置から電力を非接触で伝送することが可能な非接触給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電を希望する車両が一部の地上給電装置に集中してしまうと、電力需要に対して電力供給が不足するおそれがある。また、そのような事態に対応するべく電力供給能力を拡大しようとすると、大きな設備投資が必要になるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、非接触給電を希望する車両が一部の地上給電装置に集中してしまうのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様による非接触給電システムは、地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に関連付けられると共に前記移動体の利用者に情報を提供する情報提供装置と、情報提供装置と通信するサーバと、を備える。サーバは、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するように構成される。情報提供装置は、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提供するように構成される。
【0007】
また本発明のある態様によるサーバは、地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に関連付けられると共に移動体の利用者に情報を提供する情報提供装置と通信可能に構成された通信部と、制御部と、を備える。制御部は、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定し、設定した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記情報提供装置に送信するように構成される。
【0008】
また本発明のある態様による情報提供装置は、地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に関連付けられると共に移動体の利用者に情報を提供する装置であって、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、制御部と、を備える。制御部は、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を前記利用者に提供するように構成される。
【0009】
また本発明のある態様による移動体は、地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体であって、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提示する情報提示部と、を備える。情報提示部は、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提示するように構成される。
【0010】
また本発明のある態様による制御装置は、地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に搭載される制御装置であって、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提示する情報提示部と、を備える。情報提示部は、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を利用者に提示するように構成される。
【0011】
また本発明のある態様による制御装置は、地上給電装置から非接触給電を受けることが可能な移動体に搭載される制御装置であって、移動体の運転操作を自動で行う自動運転制御部と、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金を設定するサーバと通信可能に構成された通信部と、を備える。自動運転制御部は、サーバと通信することにより取得した各地上給電装置の利用料金に関する情報を用いて移動体を自動的に制御するように構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のこれらの態様によれば、電力需要に基づいて各地上給電装置の利用料金が設定されると共に、設定された各地上給電装置の利用料金に関する情報が地上給電装置の利用者に提供され、又は当該情報に基づいて移動体の自動運転が行われる。そのため、地上給電装置の利用者又は自動運転可能な移動体は、例えば給電の緊急性の高低といったその時々の状況と、各地上給電装置の利用料金とを照らし合わせて、利用する地上給電装置を適宜選択できるようになり、その結果として、車両を分散させることができるので、非接触給電を希望する車両が一部の地上給電装置に集中してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、非接触給電システムの概略構成図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態による利用料金設定処理の内容について説明するための動作シーケンス図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態による情報提供処理の内容について説明するための動作シーケンス図である。
【
図7】
図7は、地上給電装置の利用料金情報を情報提供装置によって提供する際の提供方法の一例について説明する図である。
【
図8】
図8は、地上給電装置の利用料金情報を情報提供装置によって提供する際の提供方法の別の一例について説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態による利用料金設定処理の内容について説明するための動作シーケンス図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態による利用料金設定処理の内容について説明するための動作シーケンス図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4実施形態による利用料金設定処理の内容について説明するための動作シーケンス図である。
【
図12】
図12は、送配電事業者が複数の配電地域に電力を供給している様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による非接触給電システム100の概略構成図である。
【0016】
本実施形態による非接触給電システム100は、サーバ1と、地上給電装置2と、移動体の一例である車両3と、車両3に関連付けられると共に車両3の利用者、すなわち非接触給電システム100の利用者(以下「システム利用者」という。)に各種の情報を提供するための情報提供装置4と、を備え、車両3に対して、地上給電装置2から非接触電力伝送(非接触給電)を実施することができるように構成される。非接触電力伝送の方式は特に限られるものではなく、磁界結合(電磁誘導)や電界結合、磁界共振結合(磁界共鳴)、電界共振結合(電界共鳴)などの伝送方式の中から適宜選択することができる。
【0017】
また非接触給電システム100は、電力需要に応じて各地上給電装置2の利用料金を設定し、かつ設定した各地上給電装置2の利用料金に関する情報を、情報提供装置4を介してシステム利用者に提供することができるように構成される。本実施形態では、地上給電装置2の利用料金を、電力供給量1[kWh]あたりの値段(円/kWh)としているが、これに限られるものではない。
【0018】
なお
図1では、地上給電装置2の設置例の一例として、複数の地上給電装置2が道路に沿って所定間隔で連続的に設定されている例を示している。以下の説明では、地上給電装置2が設置されている道路のことを、必要に応じて「電化道路」という。
【0019】
図1に示すように、サーバ1は、サーバ通信部11と、サーバ記憶部12と、サーバ処理部13と、を備える。
【0020】
サーバ通信部11は、サーバ1をネットワーク6と接続するための通信インターフェース回路を有し、ネットワーク6を介して地上給電装置2、車両3及び情報提供装置4のそれぞれと通信することができるように構成される。
【0021】
サーバ記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State DRIVE)、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、サーバ処理部13での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0022】
サーバ処理部13は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。サーバ処理部13は、サーバ記憶部12に格納された各種のコンピュータプログラムを実行してサーバ1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。
【0023】
サーバ処理部13、ひいてはサーバ1は、非接触給電システム100の利用要求信号を車両3から受信すると、車両3がシステムを利用する権限を有しているか否かの確認を行い、その確認が取れた場合には、車両3が地上給電装置2から給電を受けることができるように、地上給電装置2及び車両3のそれぞれと各種の情報のやり取りを行う。そのやり取りの詳細については本発明の主要部分ではないので、ここでは説明を省略する。
【0024】
またサーバ処理部13は、各地上給電装置2に対する車両3からの電力需要に基づいて、各地上給電装置2の利用料金を設定すると共に、設定した利用料金に関する情報を情報提供装置4に送信する。このサーバ処理部13において実施される、これらの処理の内容については、
図5及び
図6を参照して後述する。
【0025】
続いて、
図2及び
図3を参照し、本実施形態による地上給電装置2の構成及び車両3の非接触給電に関わる部分の構成について説明する。
【0026】
図2は、本実施形態による地上給電装置2の構成の一例を示す図である。
【0027】
図2に示すように、地上給電装置2は、電源21と、送電装置22と、地上側通信装置23と、送電制御装置20と、を備える。送電装置22及び地上側通信装置23は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した地上給電装置2の内部ネットワーク24を介して送電制御装置20と接続される。なお
図2には、地上給電装置2が複数の送電装置22を備える例を示しているが、送電装置22は1つでも構わない。
【0028】
電源21は、送電装置22に電力を供給する。電源21は、例えば、単相交流電力を供給する商用交流電源である。電源21は、三相交流電力を供給する他の交流電源であってもよいし、燃料電池のような直流電源であってもよい。また
図2には、各送電装置22への電力の供給が共通の電源21によって行われる例を示しているが、送電装置毎に専用の電源を用意して電力を供給するようにしてもよい。
【0029】
送電装置22は、電源21から供給された電力を車両3へ伝送するための装置であって、送電側共振器221と、送電回路222と、を備える。
【0030】
送電側共振器221は、送電コイルを含む共振回路であって、所定の共振周波数f0で共振するように構成される。本実施形態では共振周波数f0は、非接触電力伝送用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85[kHz]に設定されているが、これに限られるものではない。
【0031】
なお、
図3を参照して後述するが、車両3には、この送電側共振器221に対応する受電側共振器311(
図3参照)が設けられている。受電側共振器311は、受電コイルを含む共振回路であって、送電側共振器221と同じ共振周波数f
0で共振するように構成される。送電側共振器221を共振させることで、空間を隔てて配置された送電側共振器221の送電コイルと受電側共振器311の受電コイルとが磁気的に結合し、送電装置22から受電装置31への非接触電力伝送が行われる。
【0032】
送電回路222は、整流器及びインバータを備える電気回路であって、送電制御装置20によって制御されて、電源21から供給される交流電力を整流器によって直流電力に変換すると共に、当該直流電力をインバータによって送電側共振器221を共振させることが可能な所望の交流電力に変換した上で送電側共振器221に供給することができるように構成される。なお送電回路222の構成は、このような構成に限られるものではなく、電源21の種類等に応じて適宜変更すればよいものである。
【0033】
また送電回路222には、送電を実施しているか(換言すれば非接触給電が行われているか)を検出するための送電センサ223が設けられる。送電センサ223は、例えば、送電側共振器221に流れる電流(以下「送電側電流」という。)I1を検出する送電側電流センサ、及び送電側共振器221に印加される電圧(以下「送電側電圧」という。)V1を検出する送電側電圧センサを含む。送電センサ223の検出信号は、送電制御装置20に入力される。
【0034】
地上側通信装置23は、少なくともサーバ1及び車両3と通信を行うことができるように構成される。
【0035】
具体的には地上側通信装置23は、ネットワーク6(
図1参照)とゲートウェイ等を介して接続される無線基地局にアクセスすることで、無線基地局を介してネットワーク6と接続することができるように構成される。これにより、地上側通信装置23とサーバ1との間で広域無線通信が行われ、車両3に対して非接触給電を行うために必要な各種の情報のやり取りがサーバ1との間で行われる。広域無線通信は、後述する狭域無線通信に比べて通信距離が長い通信であり、例えば通信距離が10メートルから10キロメートルの通信である。広域無線通信としては、通信距離が長い種々の無線通信を用いることができ、例えば、3GPP(登録商標)、IEEEによって策定された4G、LTE、5G、WiMAX等の任意の通信規格に準拠した通信を用いることができる。
【0036】
また地上側通信装置23は、車両3に搭載された車両側通信装置32と直接的に狭域無線通信を行うことができるように構成される。狭域無線通信は、広域無線通信に比べて通信距離が短い通信であり、例えば通信距離が10メートル未満の通信である。狭域無線通信としては、通信距離が短い種々の近距離無線通信を用いることができ、例えば、IEEE、ISO、IEC等によって策定された任意の通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標))に準拠した通信を用いることができる。狭域無線通信を行うための技術としては、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)、DSRC(dedicated Short Range Communication)等が用いられる。
【0037】
送電制御装置20は、通信インターフェース201、記憶部202、及び送電処理部203を備える。
【0038】
通信インターフェース201は、地上給電装置2の内部ネットワーク24に送電制御装置20を接続するための通信インターフェース回路である。
【0039】
記憶部202は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、送電処理部203での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0040】
送電処理部203は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。送電処理部203は、記憶部202に格納された各種のコンピュータプログラムを実行し、地上給電装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。送電処理部203、ひいては送電制御装置20において実施される処理の内容については、
図5を参照して後述する。
【0041】
図3は、本実施形態による車両3の主に非接触給電に関わる部分の構成の一例を示す図である。
【0042】
図3に示すように、車両3は、受電装置31と、車両側通信装置32と、車両制御装置30と、を備える。受電装置31及び車両側通信装置32は、CAN等の規格に準拠した車内ネットワーク38を介して車両制御装置30と接続される。
【0043】
受電装置31は、受電側共振器311と、受電回路312と、を備える。
【0044】
受電側共振器311は、前述した通り、受電コイルを含む共振回路であって、送電側共振器221と同じ共振周波数f0で共振するように構成される。
【0045】
受電回路312は、整流器及びDC/DCコンバータを備える電気回路であって、車両制御装置30によって制御されて、受電側共振器311から出力される交流電力を整流器によって直流電力に変換し、DC/DCコンバータを介して電気負荷39に供給できるように構成される。電気負荷39としては、例えばバッテリや電動機などが挙げられるが、特に限られるものではない。本実施形態では受電回路312は、電気負荷39としてのバッテリに接続されている。
【0046】
車両側通信装置32は、少なくともサーバ1及び地上給電装置2と通信を行うことができるように構成される。
【0047】
具体的には車両側通信装置32は、ネットワーク6(
図1参照)とゲートウェイ等を介して接続される無線基地局にアクセスすることで、無線基地局を介してネットワーク6と接続することができるように構成される。これにより、車両側通信装置32とサーバ1との間で広域無線通信が行われ、地上給電装置2から非接触給電を受けるために必要な各種の情報のやり取りがサーバ1との間で行われる。
【0048】
また車両側通信装置32は、地上給電装置2の地上側通信装置23と直接的に狭域無線通信を行うことができるように構成される。
【0049】
車両制御装置30は、通信インターフェース301、記憶部302、及び車両処理部303を備える。
【0050】
通信インターフェース301は、車内ネットワーク38に車両制御装置30を接続するための通信インターフェース回路である。
【0051】
記憶部302は、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、車両処理部303での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0052】
車両処理部303は、一又は複数個のCPU及びその周辺回路を有する。車両処理部303は、記憶部302に格納された各種のコンピュータプログラムを実行して車両3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。
【0053】
【0054】
情報提供装置4は、例えば、ナビゲーション装置などの車両3に予め搭載されている車載端末、又は携帯電話機やタブレットコンピュータなどのシステム利用者が所持する携帯端末であって、情報の入出力が可能なユーザインターフェース41と、無線通信装置42と、位置測定装置43と、情報提供制御装置40と、を備える。ユーザインターフェース41、無線通信装置42及び位置測定装置43は、CAN等の規格に準拠したネットワーク44を介して情報提供制御装置40と接続される。
【0055】
ユーザインターフェース41は、システム利用者に各種の情報を提供するためのディスプレイ及びスピーカと、システム利用者がディスプレイ上で情報の入力操作を行うことができるようにするためのタッチパネルと、を備える。そしてユーザインターフェース41は、システム利用者による各種の入力操作に応じた信号を生成し、その信号を情報提供制御装置40に送信する。またユーザインターフェース41は、情報提供制御装置40から受け取った各種の表示用の情報をディスプレイに表示してシステム利用者に提供する。
【0056】
無線通信装置42は、例えば、アンテナと、無線信号の変調及び復調といった無線通信に関連する各種の処理を実行する信号処理回路と、を備える。無線通信装置42は、ネットワーク6(
図1参照)とゲートウェイ等を介して接続される無線基地局にアクセスすることで、無線基地局を介してネットワーク6に接続される。これにより、無線通信装置42、ひいては情報提供装置4とサーバ1との間で無線通信が行われる。
【0057】
位置測定装置43は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信機と、GNSS信号から情報提供装置4の位置を算出する演算回路と、を備える。位置測定装置43は、GNSS信号に基づいて情報提供装置4の位置を測定し、情報提供装置4の位置を測定する度にその位置情報を情報提供制御装置40に送信する。
【0058】
情報提供制御装置40は、通信インターフェース401と、記憶部402と、情報提供処理部403と、を備える。
【0059】
通信インターフェース401は、情報提供制御装置40をネットワーク44に接続するためのインターフェース回路を備える。
【0060】
記憶部402は、例えば、HDDやSSD、光記録媒体、半導体メモリ等の記憶媒体を有する。記憶部402は、情報提供処理部403上で実行される各種のコンピュータプログラム及び各種のデータを記憶する。
【0061】
情報提供処理部403は、例えば、一又は複数のCPUと、その周辺回路と、を有するプロセッサである。情報提供処理部403は、論理演算ユニットや数値演算ユニットといった他の演算回路をさらに備えていてもよい。情報提供処理部403は、記憶部402に記憶された各種のコンピュータプラグラムを実行する。情報提供処理部403、ひいては情報提供制御装置40において実施される処理の内容については、
図6を参照して後述する。
【0062】
図5は、各地上給電装置2の利用料金を設定するために、サーバ1及び地上給電装置2(より詳細にはサーバ処理部13及び送電制御装置20)において実施される処理(コンピュータプログラム)の内容の一例について説明するための動作シーケンス図である。
【0063】
ステップS101において、地上給電装置2は、自装置が非接触給電を実施している車両3の台数(以下「給電台数」という。)を算出し、給電台数に関する情報(以下「給電台数情報」という。)をサーバ1に送信する。給電台数の算出は、例えば、送電センサ223の検出信号に基づいて、送電を略同時に実施している送電装置22の台数を把握することで算出することができる。
【0064】
給電台数情報には、自装置の給電台数のほか、例えば自装置の設置位置(緯度・経度)などの自装置を他の地上給電装置と識別するための識別情報などが含まれる。なお、給電台数の算出は、地上給電装置2によって周期的に実施されており、地上給電装置2は、給電台数を算出する度に、算出した給電台数に関する給電台数情報をサーバ1に送信している。
【0065】
ステップS102において、サーバ1は、給電台数情報を受信すると、給電台数情報の中に含まれる識別情報に基づいて給電台数情報の送信元となる地上給電装置2を特定すると共に、同じく給電台数情報の中に含まれる給電台数に基づいて特定した地上給電装置2の利用料金を設定(更新)する。地上給電装置2の利用料金は、給電台数が多いほど当該地上給電装置2に対する車両3からの電力需要(すなわち地上給電装置2の負荷)が高いと判断できるため、高くされる。
【0066】
図6は、各地上給電装置2の利用料金をシステム利用者に提供するために、サーバ1及び情報提供装置4(より詳細にはサーバ処理部13及び情報提供制御装置40)において実施される処理(コンピュータプログラム)の内容の一例について説明するための動作シーケンス図である。
【0067】
ステップS111において、情報提供装置4は、地上給電装置2の利用料金に関する利用料金情報を要求するタイミングになると、利用料金情報要求信号をサーバ1に送信する。本実施形態では情報提供装置4は、ユーザインターフェース41を介してシステム利用者による地上給電装置2の利用料金情報の送信要求が行われると、サーバ1への利用料金情報要求信号の周期的な送信を開始する。
【0068】
利用料金情報要求信号には、例えば、当該信号の送信元となる情報提供装置4の識別情報(例えば、MACアドレスなど)と、情報提供装置4の位置情報(換言すれば、情報提供装置4と関連付けられた車両3の位置情報)と、が含まれる。これ以外にも、例えば、情報提供装置4と関連付けられた車両3の走行予定ルートに関するルート情報を取得できる場合には、利用料金情報要求信号にルート情報を含ませるようにしてもよい。
【0069】
ステップS112において、サーバ1は、利用料金情報要求信号を受信すると、当該信号に含まれる位置情報を参照し、当該信号の送信元となる情報提供装置4に対して当該情報提供装置4の周辺の各地上給電装置2の利用料金情報を送信する。この際、前回処理において利用料金情報を送信済みの地上給電装置2が含まれている場合は、その中で利用料金に変更があった地上給電装置2に限り、利用料金情報を送信するようにしてもよい。これにより通信負荷を下げることができる。
【0070】
ステップS113において、情報提供装置4は、周辺の各地上給電装置2の利用料金情報を受信すると、ユーザインターフェース41を介して、その情報をシステム利用者に提供する。
【0071】
例えば、情報提供装置4は、
図7に示すように、自装置に関連付けられた車両3の現在位置における地上給電装置2の利用料金情報と、自装置に関連付けられた車両3の進行方向前方及び進行方向後方に位置する地上給電装置2の利用料金情報とを、自装置に関連付けられた車両3のアイコン3Aと共にディスプレイに表示して、システム利用者に提供することができる。
【0072】
システム利用者に提供する利用料金情報は、絶対価格であってもよいし、情報提供装置4に関連付けられた車両3の現在位置における地上給電装置2の利用料金を基準とする相対価格であってもよい。この際、利用料金の把握を容易にするために、利用料金情報に応じて料金表示あるいは場所に適宜色付けをして表示してもよい。例えば高い料金、場所を赤で示し、安い料金、場所を青で示すなどの方法がある。
【0073】
また
図8に示すように、例えば車車間通信などによって、自装置に関連付けられた車両3の進行方向前方及び進行方向後方に位置する他車両が非接触給電を受けているか否かの情報を他車両から取得できる場合には、自装置に関連付けられた車両3の進行方向前方及び進行方向後方に位置する受電中の他車両のアイコン3Bを、自装置に関連付けられた車両3のアイコン3Aと共にディスプレイに表示して、システム利用者に提供してもよい。なお
図8では、自装置に関連付けられた車両3と他車両との区別を容易にするため、他車両のアイコン3Bは楕円となっている。この様に表示することで、自装置に関連付けられた車両3の近傍に給電を受けている他車両が多いから料金が高くなっている、ということを運転者が把握でき、受電車群(給電を受けている他車両が多い地上給電装置2が設置された区画)から離脱することにより料金を下げることができる。
【0074】
なお、
図7及び
図8に示す例では、利用料金を運転者に伝える方法を示したが、例えば、自装置に関連付けられた車両3が、車両制御装置30によって加速、操舵、及び制動に関する運転操作が自動的に行われる自動運転車両である場、は、車両制御装置30に利用料金情報等を提供し、受電料金が安くなるように、自動的に受電車群から離脱して走行させることも可能である。すなわち、車両制御装置30が、車両3の加速、操舵、及び制動に関する運転操作を自動で行う自動運転制御部を備える場合は、サーバ1と通信することにより取得した各地上給電装置2の利用料金に関する情報(例えば、車両3の進行方向前方又は進行方向後方の少なくとも一方に設置されている地上給電装置2の利用料金に関する情報)を用いて車両3を自動的に制御するように自動運転制御部を構成してもよい。具体的には自動運転制御部は、地上給電装置の利用料金に基づいて、他車両との相対位置を自動的に変更するように構成することができる。また自動運転制御部は、地上給電装置2の利用料金が安くなるように、他車両との相対位置を自動的に変更するように構成することができる。
【0075】
また例えば、情報提供装置4は、自装置に関連付けられた車両3の目的地までの走行予定ルートを、算出したり又はサーバ1や車両3と通信するなどの方法で取得したりすることができる場合には、走行予定ルート上の各地上給電装置2の利用料金に基づいて走行予定ルートを走行したときの総利用料金の予想額を算出し、算出した総利用料金の予想額をシステム利用者に提供するようにしてもよい。この際、走行予定ルートの他、別の走行ルートと当該別の走行ルートを走行した場合の総利用料金の予想額とを併せて表示するようにしてもよい。
【0076】
以上説明した本実施形態による非接触給電システム100は、各地上給電装置2から非接触給電を受けることが可能な車両3(移動体)に関連付けられると共に車両3の利用者であるシステム利用者に情報を提供する情報提供装置4と、情報提供装置4と通信するサーバ1と、を備える。そしてサーバ1は、電力需要に基づいて、各地上給電装置2の利用料金を設定するように構成される。情報提供装置4は、サーバ1と通信することにより取得した各地上給電装置2の利用料金に関する情報をシステム利用者に提供するように構成される。
【0077】
本実施形態では、電力需要は各地上給電装置2に対する車両3からの電力需要であり、サーバ1は、車両3からの電力需要が高い地上給電装置2の利用料金を、車両3からの電力需要が低い地上給電装置2の利用料金よりも低く設定するように構成される。具体的には本実施形態では、地上給電装置2は、複数の車両3に対して非接触給電を実施可能に構成され、サーバ1は、給電を実施している車両3の台数が多い地上給電装置2の利用料金を、給電を実施している車両3の台数が少ない地上給電装置2の利用料金よりも高く設定するように構成される。
【0078】
このように本実施形態によれば、電力需要に基づいて設定された各地上給電装置2の利用料金に関する情報がシステム利用者に提供され、地上給電装置2の利用料金は、当該地上給電装置2に対する車両3からの電力需要が高くなるほど高く設定されることになる。そのため、例えば非接触給電の緊急性の低いシステム利用者に対して、利用料金の低い別の地上給電装置2の利用を促したり、又は非接触給電の中止を促したりすることができるので、非接触給電を希望する車両3が、一部の地上給電装置2、ひいては一部の電化道路区間に集中してしまうのを抑制することができる。
【0079】
また本実施形態による情報提供装置4は、システム利用者に提供した地上給電装置2の利用料金が所定値以上変化していた場合に、変化後の利用料金に関する情報をサーバ1から取得してシステム利用者に再提供するように構成される。
【0080】
これにより、サーバ1と情報提供装置4との間の通信負荷を抑えることができる。
【0081】
また本実施形態による情報提供装置4は、情報提供装置4に関連付けられた車両3(移動体)の進行方向前方又は進行方向後方の少なくとも一方に設置されている地上給電装置2の利用料金に関する情報をシステム利用者に提供するように構成される。地上給電装置2の利用料金に関する情報としては、地上給電装置2の絶対価格を提供することもできるし、基準となる地上給電装置2の利用料金との相対価格を提供することもできる。基準となる地上給電装置2は、情報提供装置4に関連付けられた車両3(移動体)に対して給電を実施している地上給電装置とすることができる。
【0082】
これにより、システム利用者は、周囲の地上給電装置2の利用料金を容易に把握することができるようになる。
【0083】
また本実施形態による情報提供装置4は、自装置に関連付けられた車両3の進行方向前方又は進行方向後方の少なくとも一方に設置されている地上給電装置2において、給電中の別の車両3が存在するときは、別の車両3に関する情報をシステム利用者にさらに提供するように構成される。
【0084】
これにより、システム利用者は、周囲の地上給電装置2の混雑具合を視覚的に容易に把握することができるようになる。
【0085】
また本実施形態による情報提供装置4は、自装置に関連付けられた車両3(移動体)の走行予定ルートと、走行予定ルート上の各地上給電装置2の利用料金とに基づいて、走行予定ルートを走行した場合の総利用料金の予想額を算出し、各地上給電装置2の利用料金に関する情報として、前記予想額をシステム利用者に提供するように構成される。
【0086】
これにより、システム利用者にとって、利用料金に応じた走行ルートの変更が容易となるので、車両3の分散化を促して、非接触給電を希望する車両3が、一部の地上給電装置2、ひいては一部の電化道路区間に集中してしまうのを抑制することができる。
【0087】
なお、情報提供装置4がナビゲーション装置などの車両3に予め搭載されている車載端末である場合は、車両3(移動体)が、電力需要に基づいて各地上給電装置2の利用料金を設定するサーバ1と通信可能に構成された通信部と、サーバ1と通信することにより取得した各地上給電装置2の利用料金に関する情報を利用者に提示する情報提示部と、を備えていると解することもできる。また、その場合は、車両制御装置30に、情報提供制御装置40の機能を持たせてもよい。すなわち、車両制御装置30が、電力需要に基づいて各地上給電装置2の利用料金を設定するサーバ1と通信可能に構成された通信部と、サーバ1と通信することにより取得した各地上給電装置2の利用料金に関する情報を利用者に提示する情報提示部と、を備えていてもよい。
【0088】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、各地上給電装置2の利用料金の設定方法が第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0089】
前述した第1実施形態では、電力需要に基づいて各地上給電装置2の利用料金を設定するにあたり、各地上給電装置2の現在の給電台数から電力需要を把握していた。これに対して本実施形態では、各地上給電装置2の電力使用率[%]から電力需要を把握する。地上給電装置2の電力使用率とは、地上給電装置2の供給可能電力量に対する当該地上給電装置2の現在の使用電力量の割合である。
【0090】
図9は、各地上給電装置2の利用料金を設定するために、サーバ1及び地上給電装置2(より詳細にはサーバ処理部13及び送電制御装置20)において実施される、本実施形態による処理(コンピュータプログラム)の内容の一例について説明するための動作シーケンス図である。
【0091】
ステップS201において、地上給電装置2は、自装置の電力使用率を算出し、電力使用率に関する情報(以下「電力使用率情報」という。)をサーバ1に送信する。電力使用率情報には、自装置の電力使用率のほか、自装置を他の地上給電装置と識別するための識別情報などの利用料金の設定に必要な各種の情報が含まれる。なお、電力使用率の算出は、地上給電装置2によって周期的に実施されており、地上給電装置2は、電力使用率を算出する度にそれをサーバ1に送信している。
【0092】
ステップS202において、サーバ1は、電力使用率情報を受信すると、電力使用率情報の中に含まれる識別情報に基づいて電力使用率情報の送信元となる地上給電装置2を特定すると共に、同じく電力使用率情報の中に含まれる電力使用率に基づいて、特定した地上給電装置2の利用料金を設定(更新)する。地上給電装置2の利用料金は、電力使用率が高いほど当該地上給電装置2に対する車両3からの電力需要が高いと判断できるため、高くされる。
【0093】
以上説明した本実施形態によるサーバ1は、電力使用率の高い地上給電装置2の利用料金を、電力使用率の低い地上給電装置2の利用料金よりも高く設定するように構成される。
【0094】
このようにしても、第1実施形態と同様、例えば非接触給電の緊急性の低いシステム利用者に対して、利用料金の低い別の地上給電装置2の利用を促したり、又は非接触給電の中止を促したりすることができるので、非接触給電を希望する車両3が、一部の地上給電装置2、ひいては一部の電化道路区間に集中してしまうのを抑制することができる。
【0095】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、各地上給電装置2の利用料金の設定方法が上記の各実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0096】
前述した上記の各実施形態では、各地上給電装置2と通信することによって各地上給電装置2に対する車両3からの電力需要を把握していた。これに対して本実施形態では、各車両3と通信することによって各地上給電装置2に対する車両3からの電力需要を把握する。
【0097】
図10は、各地上給電装置2の利用料金を設定するために、サーバ1及び車両3(より詳細にはサーバ処理部13及び車両制御装置30)において実施される、本実施形態による処理(コンピュータプログラム)の内容の一例について説明するための動作シーケンス図である。
【0098】
ステップS301において、車両3は、自車両の走行予定ルート及び現在位置を含む車両情報をサーバ1に送信する。車両情報の送信は周期的に実施される。走行予定ルートや現在位置の取得方法は特に限られるものではないが、走行予定ルートは、例えば、車両3に搭載されたナビゲーション装置(図示せず)から取得することができる。また現在位置は、例えば、車両3に搭載された位置測定装置(図示せず)から取得することができる。
【0099】
ステップS302において、サーバ1は、各車両3から受信した各車両3の走行予定ルート及び現在位置を含む車両情報に基づいて、各車両3が各地上給電装置2を通過する時間帯を予測し、各地上給電装置2を通過する車両3の台数を時間帯毎に算出する。すなわちサーバ1は、各地上給電装置2の時間帯毎の推定給電台数を算出する。そしてサーバ1は、各地上給電装置2の時間帯毎の推定給電台数に基づいて、各地上給電装置2の利用料金を時間帯毎に設定する。具体的にはサーバ1は、同時間帯で比較したときに、推定給電台数が多い地上給電装置2の方が、推定給電台数が少ない地上給電装置2よりも利用料金が高くなるように、各地上給電装置2の利用料金を時間帯毎に設定する。
【0100】
以上説明した本実施形態による地上給電装置2は、複数の車両3(移動体)に対して非接触給電を実施可能に構成される。そしてサーバ1は、各地上給電装置2の推定給電台数を時間帯毎に算出し、各地上給電装置2の利用料金を、同時間帯における各地上給電装置2の推定給電台数に基づいて設定するように構成される。具体的にはサーバ1は、同時間帯において推定給電台数の多い地上給電装置2の利用料金を、同時間帯において推定給電台数の少ない地上給電装置2の利用料金よりも高く設定するように構成される。
【0101】
このように、各地上給電装置2を通過する車両3の台数を時間帯毎に予測し、推定給電台数(すなちち推定通過台数)を時間帯毎に予測することで、各地上給電装置2に対する車両3からの電力需要を時間帯毎に予測して適切な利用料金を設定することができる。そのため、例えば地上給電装置2の利用料金を節約したい利用者などに対して、現在の走行予定ルートよりも利用料金の低い地上給電装置2が設置された電化道路を走行するように、走行ルートの変更を促すことができるので、非接触給電を希望する車両3が、一部の地上給電装置2、ひいては一部の電化道路区間に集中してしまうのを抑制することができる。
【0102】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、各地上給電装置2の利用料金の設定方法が上記の各実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0103】
前述した上記の角実施形態では、各地上給電装置2に対する電力需要に基づいて各地上給電装置2の利用料金を設定していた。これに対して本実施形態では、各地上給電装置2が設置されている地域全体の電力需要に基づいて、各地上給電装置2の利用料金を設定する。
【0104】
図11は、各地上給電装置2の利用料金を設定するために、サーバ1(より詳細にはサーバ処理部13)において実施される、本実施形態による利用料金設定処理(コンピュータプログラム)の内容の一例について説明するための動作シーケンス図である。
【0105】
ステップS401において、サーバ1は、例えば
図12に示す送配電事業者(例えば電力会社)に対して、当該送配電事業者の各配電地域の電力使用率に関する情報を要求する。当該要求は、周期的に実施される。なお
図12には、送配電事業者の配電地域として2つの配電地域A、Bが例示してある。また配電地域の電力使用率[%]とは、当該配電地域の供給可能電力量に対する当該配電地域の現在の使用電力量の割合である。
【0106】
ステップS402において、サーバ1は、送配電事業者から各配電地域の電力使用率に関する情報を受信すると、各配電地域の電力使用率に基づいて、各配電地域内に設置されている各地上給電装置2の利用料金を設定する。例えばサーバ1は、
図12において、配電地域Aの電力使用率が、配電地域Bの電力使用率よりも高いときは、配電地域Aに設置されている各地上給電装置2の利用料金を、配電地域Bに設置されている各地上給電装置2の利用料金よりも高くする。
【0107】
以上説明した本実施形態において、電力需要は、各地上給電装置2が設置されている地域の電力需要であり、サーバ1は、電力使用率が高い地域に設置されている地上給電装置2の利用料金を、電力使用率の低い地域に設定されている地上給電装置2の利用料金よりも高く設定するように構成される。
【0108】
これにより、例えば地上給電装置2の利用料金を節約したい利用者などに対して、地上給電装置2の利用料金の安い配電地域の走行を促すことができるので、非接触給電を希望する車両3が、一部の配電地域に集中してしまうのを抑制することができる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0110】
1 サーバ
2 地上給電装置
3 車両(移動体)
4 情報提供装置
100 非接触給電システム