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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180061
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】発熱ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20231213BHJP
   G01K 7/01 20060101ALI20231213BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20231213BHJP
   H01C 7/04 20060101ALI20231213BHJP
   H01G 2/14 20060101ALI20231213BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20231213BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K7/01 S
G01K7/22 J
G01K1/14 L
H01C7/04
H01G2/14 106
H01G4/40 301A
H01G4/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093142
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 眞
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】竹村 優一
【テーマコード(参考)】
2F056
5E034
5E082
【Fターム(参考)】
2F056CE01
2F056CL07
2F056QF08
5E034BA09
5E034BB01
5E034DD04
5E082BC10
5E082DD03
(57)【要約】
【課題】複数の発熱部品を有する発熱ユニットの局所的な発熱を検知できるようにする。
【解決手段】発熱ユニット1は、複数の発熱部品11が同一面上に配置される第1部材10と、同一面上に配置された発熱部品11と直接的に又は第1部材10を介して間接的に接する第2部材20と、第2部材20の電気的特性の変化を利用して発熱部品11の異常発熱を検出する異常発熱検出部30と、を備える。第2部材20は、局所的に周囲の温度よりも高温になっている高温部位が生じた場合に、電気的特性の変化によって、所定電流を流したときの端子間電圧が高温部位の温度に応じて変化する部材である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱部品が同一面上に配置される第1部材と、
同一面上に配置された前記発熱部品と直接的に又は前記第1部材を介して間接的に接する第2部材と、
前記第2部材の電気的特性の変化を利用して前記発熱部品の異常発熱を検出する異常発熱検出部と、
を備える発熱ユニットであって、
前記第2部材は、
局所的に周囲の温度よりも高温になっている高温部位が生じた場合に、電気的特性の変化によって、所定電流を流したときの端子間電圧が前記高温部位の温度に応じて変化する部材である、
発熱ユニット。
【請求項2】
前記第2部材は、
P型半導体から形成される平板状のP型層と、前記P型層に接合されると共にN型半導体から形成される平板状のN型層と、を備える部材である、
請求項1に記載の発熱ユニット。
【請求項3】
前記異常発熱検出部は、
前記第2部材に所定電流を流してそのときの前記第2部材の前記端子間電圧を検出することができるように構成された電気回路であり、前記端子間電圧が所定閾値以下のときに、前記発熱部品が異常発熱していると判断する、
請求項2に記載の発熱ユニット。
【請求項4】
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度を検出できるように構成された温度検出部を備え、
前記異常発熱検出部は、
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度が所定温度よりも低いときは、前記所定閾値を、前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度が前記所定温度のときに設定される値よりも大きくする、
請求項3に記載の発熱ユニット。
【請求項5】
前記第2部材は、
温度に応じて抵抗値が変化する平板状のサーミスタ層と、前記サーミスタ層の表裏両面にそれぞれ配置される一対の平板状の電極層と、を備える部材である、
請求項1に記載の発熱ユニット。
【請求項6】
前記サーミスタ層は、
温度上昇に応じて抵抗値が増加する電気的特性を有し、
前記異常発熱検出部は、
前記第2部材に所定電流を流してそのときの前記第2部材の前記端子間電圧を検出することができるように構成された電気回路であり、前記端子間電圧が所定閾値以上のときに、前記発熱部品が異常発熱していると判断する、
請求項5に記載の発熱ユニット。
【請求項7】
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度を検出できるように構成された温度検出部を備え、
前記異常発熱検出部は、
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度が所定温度よりも低いときは、前記所定閾値を、前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度が前記所定温度のときに設定される値よりも小さくする、
請求項3に記載の発熱ユニット。
【請求項8】
前記サーミスタ層は、
温度上昇に応じて抵抗値が低下する電気的特性を有し、
前記異常発熱検出部は、
前記第2部材に所定電流を流してそのときの前記第2部材の前記端子間電圧を検出することができるように構成された電気回路であり、前記端子間電圧が所定閾値以下のときに、前記発熱部品が異常発熱していると判断する、
請求項5に記載の発熱ユニット。
【請求項9】
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度を検出できるように構成された温度検出部を備え、
前記異常発熱検出部は、
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度が所定温度よりも低いときは、前記所定閾値を、前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度が前記所定温度のときに設定される値よりも大きくする、
請求項8に記載の発熱ユニット。
【請求項10】
前記異常発熱検出部は、
前記端子間電圧を所定閾値と比較して、前記発熱部品の異常発熱を検出するように構成される、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の発熱ユニット。
【請求項11】
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度を検出する温度検出部を備え、
前記異常発熱検出部は、
前記第1部材全体の温度又は前記第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度に基づいて、前記所定閾値の大きさを変更する、
請求項10に記載の発熱ユニット。
【請求項12】
前記複数の発熱部品は、それぞれ熱的に略同一性能である、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の発熱ユニット。
発熱ユニット。
【請求項13】
前記複数の発熱部品は、コンデンサである、
請求項12に記載の発熱ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の非接触給電システムとして、送電装置から受電装置に送電される電力の力率に基づいて、送電装置又は受電装置を構成する部品の一つであるコンデンサアレイの異常を検知するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-10248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンデンサアレイを構成する複数のコンデンサのうちの一部のコンデンサが故障などによって異常発熱し、コンデンサアレイが局所的に発熱することがある。しかしながら、前述した特許文献1に記載のコンデンサアレイの異常検知方法では、複数のコンデンサのうちの一部のコンデンサが異常発熱した程度では、その影響が力率に感度よく表れるとは限らず、したがって、コンデンサアレイのような複数の発熱部品を有する発熱ユニットの局所的な発熱を検知できないおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、複数の発熱部品を有する発熱ユニットの局所的な発熱を検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様による発熱ユニットは、複数の発熱部品が同一面上に配置される第1部材と、同一面上に配置された発熱部品と直接的に又は第1部材を介して間接的に接する第2部材と、第2部材の電気的特性の変化を利用して発熱部品の異常発熱を検出する異常発熱検出部と、を備える。第2部材は、局所的に周囲の温度よりも高温になっている高温部位が生じた場合に、電気的特性の変化によって、所定電流を流したときの端子間電圧が高温部位の温度に応じて変化する部材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のこの態様によれば、局所的に周囲の温度よりも高温になっている高温部位が生じた場合に、所定電流を流したときの端子間電圧がその高温部位の温度に応じて変化するという第2部材の電気的特性を利用して、発熱ユニットの局所的な発熱を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態による発熱ユニットの概略斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態による発熱ユニットの概略正面図である。
図3図3は、発熱部品の1つが故障等によって異常発熱した場合に、その発熱部品の熱によって、第2部材の一部の領域が局所的に周囲の温度よりも高温になる様子を示した概略図である。
図4図4は、第2部材の温度がT1及びT2のときの順方向電圧の温度特性をそれぞれ示した概略図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態による発熱ユニットの概略正面図である。
図6図6は、一対の電極層の両極間に電圧を印加したときの様子を示した概略図である
図7図7は、本発明の第3実施形態による発熱ユニットの概略斜視図である。
図8図8は、本発明の第3実施形態の変形例による発熱ユニットの概略斜視図である。
図9図9は、全ての発熱部品に異常が無い場合における、発熱ユニットが駆動されてからの第1部材全体の温度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による発熱ユニット1の概略斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による発熱ユニット1の概略正面図である。なお、図1及び図2はあくまで概略図であり、各部品の大きさや厚さ、位置関係などは正確なものではなく、発明の理解を容易にするために適宜変更して示してある。
【0011】
発熱ユニット1は、第1部材10と、第2部材20と、異常発熱検知回路30と、を備える。
【0012】
第1部材10は、同一面上に複数の発熱部品11が配置された平板状の部材である。図1には、第1部材10として、発熱部品11であるコンデンサが基板の一面側に複数配置されたコンデンサアレイを例示しており、例えば、非接触給電システムの送電装置や受電装置に用いることができる。なお、第1部材10はこのような構成のものに限られるわけではない。例えば第1部材10に配置される発熱部品11は、全て同一種類の部品であってもよいし、異なる種類の部品であってもよい。また、例えば発熱部品11は、第1部材10の表面側だけなく、表裏両面側に配置されていてもよい。
【0013】
第2部材20は、その部材の中で局所的に高温になっている高温部分がある場合に、高温部分の電気的特性が第2部材20を代表する電気的特性として表れるように構成されると共に、異常発熱を検知したい検知対象物(発熱部品11)の熱が直接的に又は間接的に伝わるように配置される。
【0014】
具体的には図2に示すように、本実施形態では第2部材20は、P型半導体から形成された平板状のP型層21と、N型半導体から形成された平板状のN型層22とが接合されると共に、異常発熱検知回路30と電気的に接続されて、両層間に電圧(順方向電圧)を印加してP型層21からN型層22に電流(順方向電流)を流すことができるように構成される。そして図1及び図2に示すように、本実施形態では第2部材20は、第1部材10の裏面と当接するように配置されており、これにより、検知対象物である発熱部品11の熱が第1部材10を介して間接的に伝わるようになっている。なお図2では、第1部材10の裏面と第2部材20のP型層21側とが当接しているが、第1部材10の裏面と当接するのは、第2部材20のN型層22側でもよい。また図示はしないが、第2部材20は、発熱部品11と当接するように第1部材10の表面側に配置されてもよい。
【0015】
第2部材20をこのような構成及び配置とすることで、例えば図3に示すように、発熱部品11の1つが故障等によって異常発熱した場合、その発熱部品11の熱によって、その発熱部品11と直接的又は間接的に接する第2部材20の一部の領域が局所的に周囲の温度よりも高温になる。ここで、P型層21とN型層22とが接合された第2部材20は、その温度が上昇すると順方向電圧が低下するという電気的特性を有している。図4は、第2部材20の温度がT1及びT1よりも高いT2のときの順方向電圧の温度特性をそれぞれ示した概略図であり、第2部材20の温度が高いとき(T2のとき)の方が、所定値の電流を流したときの順方向電圧が低くなっていることが分かる。
【0016】
発熱部品11に異常発熱がない場合、すなわち各発熱部品11の温度が概ね均等である場合は、第2部材20に局所的な高温部分は発生せず、第2部材20の温度も概ね均等となる。この発熱部品11に異常発熱がない場合の第2部材20の温度をT1とすると、図4に示す通り、第2部材20に所定の検知電流Idを流したときの第2部材20の端子間電圧(両層間の電圧)は、Vd1となる。
【0017】
一方で、発熱部品11の1つが異常発熱すると、第2部材20は、それぞれ平板状のP型層21とN型層22とが接合された構造をしており、面状に拡がる構造となっているため、その発熱部品11と直接的又は間接的に接する第2部材20の一部の領域が局所的に周囲の温度よりも高温になる。すなわち第2部材20において、図3に示すように、異常発熱した発熱部品11と直接的又は間接的に接する「高温領域」と、正常な発熱部品11と直接的又は間接的に接する「正常領域(低温領域)」とが発生する。
【0018】
その結果、高温領域の温度をT2、正常領域の温度をT1とすると、第2部材20は、温度がT1の順方向電圧の高いPN接合ダイオードと、温度がT2の順方向電圧の低いPN接合ダイオードとが並列接続されたような状態となる。そのため、図4に示す通り、第2部材20に流れる電流値がI0を超えるまでは、電流は正常領域(順方向電圧の高いPN接合ダイオード)には流れずに高温領域(順方向電圧の低いPN接合ダイオード)に流れることになる。電流値I0は、図4に示す通り、第2部材20が温度T1のときに第2部材20に電流が流れるようになる順方向電圧V0を、第2部材20の温度がT2のときに印加した場合に流れる電流値である。
【0019】
したがって図4に示すように、電流値I0よりも低い検知電流Idを第2部材20に流した場合には、電流は正常領域には流れずに高温領域に流れ、第2部材20の端子間電圧は、Vd1よりも低いVd2となる。すなわち、発熱部品の1つが異常発熱して第2部材20に局所的な高温領域が発生した場合には、所定の検知電流Idを流したときの第2部材の端子間電圧が、発熱部品に異常がない正常時と比較して低下することになる。
【0020】
異常発熱検知回路30は、このように第2部材20に局所的な高温領域が発生した場合の第2部材の端子間電圧の変化を捉えるための電気回路であって、P型層21からN型層22に所定値の検知電流Idを流し、そのときの第2部材20の端子間電圧(両層間の電圧)を検出することができるように構成される。異常発熱検知回路30によって、第2部材20に検知電流Idを流して第2部材20の端子間電圧を監視することで、第2部材20の端子間電圧が所定の異常判定閾値Vth以下となったときに、第2部材20と直接的に又は間接的に接している発熱部品11の1つが異常発熱していると判断することができる。なお、異常判定閾値Vthは、第2部材20の温度がT1及びT2のときの第2部材20の順方向電圧の温度特性に基づいて設定すればよいものである。
【0021】
以上説明した本実施形態による発熱ユニット1は、複数の発熱部品11が同一面上に配置される第1部材10と、同一面上に配置された発熱部品11と直接的に又は第1部材10を介して間接的に接する第2部材20と、第2部材20の電気的特性の変化を利用して発熱部品11の異常発熱を検出する異常発熱検知回路30(異常発熱検出部)と、を備える。
【0022】
そして第2部材20は、局所的に周囲の温度よりも高温になっている高温部位が生じた場合に、電気的特性の変化によって、所定電流を流したときの端子間電圧が高温部位の温度に応じて変化する部材とされる。そのため、本実施形態によれば、局所的に周囲の温度よりも高温になっている高温部位が生じた場合に、所定電流を流したときの端子間電圧がその高温部位の温度に応じて変化するという第2部材の電気的特性を利用して、発熱ユニット1の局所的な発熱を検知することができる。
【0023】
なお本実施形態では、第2部材20は、P型半導体から形成される平板状のP型層21と、P型層21に接合されると共にN型半導体から形成される平板状のN型層22と、を備える部材とされる。また異常発熱検知回路30は、第2部材20に所定電流を流してそのときの第2部材20の端子間電圧を検出することができるように構成された電気回路とされ、本実施形態では、端子間電圧が異常判定閾値Vth以下のときに、発熱部品11が異常発熱していると判断するように構成される。そのため、本実施形態によれば、第2部材20及び異常発熱検知回路30を安価かつ簡易に構成することができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態による発熱ユニット1は、第2部材20の構成が第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0025】
図5は、本実施形態による発熱ユニット1の概略正面図である。なお、第1部材10及び異常発熱検知回路30は、第1実施形態と同様の構成をしているので、ここでは説明を省略する。
【0026】
本実施形態による第2部材20は、温度に応じて抵抗値が変化する平板状のサーミスタ層25と、サーミスタ層25の表裏両面に全面的にそれぞれ配置された一対の平板状の電極層26A,26Bと、を備える。一対の電極層26A、26Bは、それぞれ異常発熱検知回路30と電気的に接続され、これにより、両極間に電圧を印加することができるようになっている。
【0027】
このように、一対の電極層26A,26Bをサーミスタ層25の表裏両面に全面的にそれぞれ配置することで、両極間に電圧を印加したときに、図6に示すように、サーミスタ層25の内部において抵抗が並列に接続されたような状態となり、一方の電極から他方の電極へ、電流が直線的に最短距離で流れるようになる。
【0028】
そのため、発熱部品11の1つが異常発熱してその発熱部品11と直接的又は間接的に接する第2部材20の一部の領域が局所的に周囲の温度よりも高温になると、その高温領域の抵抗が周囲の抵抗と比べて変化し、その変化がサーミスタ層25の全体の抵抗(合成抵抗)の変化として表れることになる。具体的にはサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が増加する電気的特性を有している場合には、高温領域が発生したときにはサーミスタ層25の全体の抵抗も増加する。逆にサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が低下する電気的特性を有している場合には、高温領域が発生したときにはサーミスタ層25の全体の抵抗は低下する。
【0029】
したがって、異常発熱検知回路30によって、第2部材20に検知電流Idを流して第2部材20の端子間電圧を監視し、第2部材20の端子間電圧を所定の異常判定閾値と比較することで、第2部材20と直接的に又は間接的に接している発熱部品11の1つが異常発熱していると判断することができる。具体的には、第2部材20のサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が増加する電気的特性を有している場合には、第2部材20の端子間電圧が異常判定閾値Vth以上となったときに発熱部品11の1つが異常発熱していると判断することができる。逆に第2部材20のサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が低下する電気的特性を有している場合には、第2部材20の端子間電圧が異常判定閾値Vth以下となったときに発熱部品11の1つが異常発熱していると判断することができる。
【0030】
以上説明した本実施形態によれば、第2部材20が、温度に応じて抵抗値が変化する平板状のサーミスタ層25と、サーミスタ層25の表裏両面にそれぞれ配置される一対の平板状の電極層26A,26Bと、を備える部材とされる。
【0031】
そして異常発熱検知回路30は、サーミスタ層25が温度上昇に応じて抵抗値が増加する電気的特性を有する場合には、第2部材20の端子間電圧が異常判定閾値Vth以上のときに、発熱部品11が異常発熱していると判断するように構成される。一方で異常発熱検知回路30は、サーミスタ層25が温度上昇に応じて抵抗値が低下する電気的特性を有する場合には、第2部材20の端子間電圧が異常判定閾値Vth以下のときに、発熱部品11が異常発熱していると判断するように構成される。
【0032】
第2部材20及び異常発熱検知回路30をこのような構成にしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態による発熱ユニット1は、第1部材全体の温度変化を検出することができるように構成される点で、上記の各実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0034】
図7は、本実施形態による発熱ユニット1の概略斜視図である。なお、第1部材10、第2部材20及び異常発熱検知回路30は、上記の各実施形態と同様の構成をしているので、ここでは説明を省略する。
【0035】
本実施形態による発熱ユニット1は、上記の各実施形態と同様に、第1部材10、第2部材20及び異常発熱検知回路30を備えると共に、第1部材全体の温度変化を検出することができるように構成される。
【0036】
具体的には本実施形態による発熱ユニット1は、図7に示すように、第2部材20の裏面に配置されて、第2部材20を介して第1部材10の熱が伝熱される平板状の第3部材40と、第3部材40の温度を検出する温度センサ41と、を備える。第3部材40としては、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダを用いることができる。
【0037】
このように本実施形態では、第1部材全体の温度変化を検出するために、第1部材全体の温度と相関関係のあるパラメータとして、第3部材40の温度を検出することができるようになっている。なお、第1部材全体の温度変化を検出するための構成は、このような構成に限られるものではなく、例えば第1部材自体の温度や第1部材10に用いられているポッティング材などの温度を検出して第1部材全体の温度を直接的に検出するようしてもよい。また図8に示すように、発熱ユニット1を筐体42の内部に格納し、第1部材全体の温度と相関関係のあるパラメータとして、筐体42の内部温度を温度センサ41によって検出するようにしてもよい。
【0038】
図9は、全ての発熱部品11に異常が無い場合における、発熱ユニット1が駆動されてからの第1部材全体の温度変化を示す図である。図9に示すように、発熱ユニット1が駆動されてからの第1部材全体の温度変化を考えると、第1部材全体の温度は、発熱部品11の発熱に伴って所定時間が経過するまでの過渡時において所定の定常温度まで上昇し、その後の定常時は定常温度に維持される。
【0039】
ここで、前述した上記の各実施形態では、第1部材全体の温度が定常温度に維持されているときの第2部材20の温度を、正常領域の温度として設定していた。すなわち前述した上記の各実施形態では、定常時を基準に、正常領域の温度T1と、局所的な高温領域が発生した場合のその高温領域の温度T2と、を設定し、定常時の正常領域の温度T1及び高温領域の温度T2を基準にして、第2部材の順方向電圧の温度特性に基づいて異常判定閾値Vthを設定していた。
【0040】
しかしながら、過渡時においては、第1部材全体の温度が定常温度よりも低いため第2部材20の正常領域の温度はT1よりも低温となり、また局所的な高温領域が発生した場合のその高温領域の温度もT2よりも低温となる。そのため、過渡時においては、局所的な高温領域が発生した場合であっても、検知電流Idを流したときの第2部材の端子間電圧は、定常時よりも高くなる。
【0041】
したがって、過渡時においては、局所的な高温領域が発生したとしても、第2部材20の端子間電圧が異常判定閾値Vth以下にならないおそれがある。その結果、異常発熱の検知が遅れて故障した発熱部品11の温度が非常に高温になったり、また異常発熱の状態が長く続くために発熱ユニット全体に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【0042】
そこで本実施形態では、第1部材全体の温度に応じて、異常判定閾値Vthの値を変更することとした。
【0043】
例えば第2部材20が、第1実施形態で説明した構成のものであれば、第1部材全体の温度が定常温度のときの第3部材40の温度を基準温度とすると、第3部材40の温度が基準温度よりも低いときは、異常判定閾値Vthの値を、第3部材40の温度が基準温度のときに設定される値よりも大きくすることができる。
【0044】
また、例えば第2部材20が、第2実施形態で説明した構成のものであり、そのサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が増加する電気的特性を有している場合であれば、第3部材40の温度が基準温度よりも低いときは、異常判定閾値Vthの値を、第3部材40の温度が基準温度のときに設定される値よりも小さくすることができる。逆に第2部材20のサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が低下する電気的特性を有している場合であれば、第3部材40の温度が基準温度よりも低いときは、異常判定閾値Vthの値を、第3部材40の温度が基準温度のときに設定される値よりも大きくすることができる。
【0045】
以上説明した本実施形態による発熱ユニット1は、第3部材40の温度(第1部材全体の温度を相関関係にあるパラメータの温度)を検出できるように構成された温度検出部(第3部材40及び温度センサ41)を備える。
【0046】
そして異常発熱検知回路30は、第2部材20の端子間電圧を異常判定閾値Vthと比較して、発熱部品11の異常発熱を検出するように構成されると共に、第3部材40の温度に基づいて、異常判定閾値Vthの大きさを変更するように構成される。
【0047】
具体的には、第2部材20が第1実施形態で説明した構成のものであれば、異常発熱検知回路30は、第3部材40の温度が基準温度(第1部材全体の温度が定常温度のときの第3部材40の温度)よりも低いときは、異常判定閾値Vthを、第3部材40の温度が基準温度のときに設定される値よりも小さくするように構成される。
【0048】
また第2部材20が、第2実施形態で説明した構成のものであり、そのサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が増加する電気的特性を有している場合であれば、第3部材40の温度が基準温度よりも低いときは、異常判定閾値Vthを、第3部材40の温度が基準温度のときに設定される値よりも小さくするように構成される。
【0049】
一方で第2部材20が、第2実施形態で説明した構成のものであり、そのサーミスタ層25が、温度上昇に応じて抵抗が低下する電気的特性を有している場合であれば、第3部材40の温度が基準温度よりも低いときは、異常判定閾値Vthを、第3部材40の温度が基準温度のときに設定される値よりも大きくするように構成される。
【0050】
これにより、発熱ユニット1が駆動されて第1部材全体の定常温度に上昇する前の過渡時においても、発熱部品の異常発熱を検知できるようになるので、発熱部品11の異常発熱を早期に検知することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0052】
1 発熱ユニット
10 第1部材
11 発熱部品
20 第2部材
21 P型層
22 N型層
30 異常発熱検知回路(異常発熱検出部)
40 第3部材(温度検出部)
41 温度センサ(温度検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9