(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180099
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】室外機およびヒートポンプサイクル装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/58 20110101AFI20231213BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F24F1/58
F25B1/00 396A
F25B1/00 396G
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093222
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 潤
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 耕
(72)【発明者】
【氏名】山岡 由樹
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊二
(72)【発明者】
【氏名】青山 繁男
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和人
(72)【発明者】
【氏名】長井 雅章
(72)【発明者】
【氏名】松波 陽平
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA01
3L054BB01
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】本開示は、漏電を回避しながら安全性を向上させることができる冷媒を使用した室外機を提供する。
【解決手段】筐体10の内部に、圧縮機22、利用側熱交換器23、膨張手段24および熱源側熱交換器20を収容し、これらを環状に接続し可燃性冷媒を用いた冷媒回路と、熱源側熱交換器20に空気を流通させる送風装置21と、電装箱30と、を備え、熱源側熱交換器20の端部から利用側熱交換器23の水回路と冷媒回路との間を覆うカバー部材50を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に、圧縮機、利用側熱交換器、膨張手段および熱源側熱交換器を収容し、これらを環状に接続し可燃性冷媒を用いた冷媒回路と、前記熱源側熱交換器に空気を流通させる送風装置と、電装箱と、を備え、
前記熱源側熱交換器の端部から前記利用側熱交換器の冷媒接続ポートと水接続ポートとの間を覆うカバー部材を設けた
室外機。
【請求項2】
前記カバー部材の上端と前記筐体の天板との間に、通気が可能な空間を設けた
請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記カバー部材の下方に、排水が可能な空間を設けた
請求項1に記載の室外機。
【請求項4】
前記可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の室外機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の室外機を備えたヒートポンプサイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機およびヒートポンプサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ファンを内部に収容する送風室と、圧縮機を内部に収容する第1機械室と、制御部を内部に収容する第2機械室と、圧縮機と制御部とを接続する配線部を内部に収容する第3機械室とを備え、第1機械室および第2機械室は、送風室を挟むように配置されており、第3機械室は、ファンの回転軸に直交する第1方向において第1機械室と第2機械室との間に配置され、かつ回転軸および第1方向の各々に直交する第2方向において、ファンと並んで配置された技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、漏電を回避しながら安全性を向上させることができる冷媒を使用した室外機およびヒートポンプサイクル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示におけるヒートポンプサイクル装置は、筐体の内部に、圧縮機、利用側熱交換器、膨張手段および熱源側熱交換器を収容し、これらを環状に接続し可燃性冷媒を用いた冷媒回路と、前記熱源側熱交換器に空気を流通させる送風装置と、電装箱と、を備え、前記熱源側熱交換器の端部から前記利用側熱交換器の水の出入口と冷媒の出入口との間を覆うカバー部材を設けた。
【発明の効果】
【0006】
本開示におけるヒートポンプサイクル装置は、カバー部材により、利用側熱交換器から漏洩した水が機械室の圧縮機や四方弁の接点にかかることを防止することができる。そのため、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1のヒートポンプサイクル装置の室外機を示す斜視図
【
図2】実施の形態1に係る室外機の圧縮機などの機械を省略した正面図
【
図3】実施の形態1に係る室外機の圧縮機などの機械を省略した前側から見た斜視図
【
図4】実施の形態1に係る室外機の周囲のパネルを取り外した状態を示す後方から見た斜視図
【
図5】実施の形態1に係る室外機の概略構造を示す正面図
【
図6】実施の形態1に係る室外機の概略構造を示す平面図
【
図8】実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置の冷媒回路を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、漏電を回避しながら安全性を向上させることができる冷媒を使用した室外機およびヒートポンプサイクル装置を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.ヒートポンプサイクル装置の構成]
図1は、実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置の室外機の斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る室外機の圧縮機などの機械を省略した正面図である。
図3は、実施の形態1に係る室外機の圧縮機などの機械を省略した前側から見た斜視図である。
図4は、実施の形態1に係る室外機の周囲のパネルを取り外した状態を示す後方から見た斜視図である。
図5は、実施の形態1に係る室外機の概略構造を示す正面図である。
図6は、実施の形態1に係る室外機の概略構造を示す平面図である。
図1に示すように、ヒートポンプサイクル装置1の室外機2は、箱状の筐体10を備えている。本実施の形態では、筐体10の各部は、いずれも鋼板によって形成される。
【0011】
図2、
図3および
図5に示すように、筐体10の内部には、上下方向に延在する仕切板11が設けられている。仕切板11によって、筐体10の内部空間は、送風室12と、機械室13とに仕切られている。
筐体10は、筐体10の底面を形成する底板14と、筐体10の機械室13を前後から覆う右側前パネル15aおよび右側後パネル15bと、送風室12の前面を覆う前面パネル16と、筐体10の上面を覆う天板17と、を備えている。
前面パネル16には、メッシュ状に形成され空気が通る通風部18が設けられている。
【0012】
送風室12には、熱源側熱交換器20と、送風装置21とが設けられている。
本実施形態の熱源側熱交換器20は、筐体10の高さ方向に沿って延在し、筐体10の側面と、背面とに対向するように、筐体10の平面視で略L字状に形成されている。
熱源側熱交換器20は、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。
送風装置21は、例えば、プロペラ状の羽根車を備える軸流ファンが用いられる。送風装置21は、軸流方向が通風部18に向かうように配置される。
【0013】
機械室13の内部には、圧縮機22、利用側熱交換器23、膨張手段24(
図8参照)等の冷媒回路を形成する各種の機器や、これらを互いに接続する冷媒配管25(
図8参照)が収容されている。
利用側熱交換器23は、例えば、プレート熱交換器が用いられる。
仕切板11の上部は、電装箱30を設置できるように切り欠かれている。仕切板11の上部の切欠かれた箇所には、電装箱30が設置されている。電装箱30は、機械室13および前記送風室12に跨がって配置されている。
【0014】
図7は、利用側熱交換器23を示す斜視図である。利用側熱交換器23としてプレート熱交換器を示している。本実施の形態では、熱媒体として冷媒と水が用いられる。
利用側熱交換器23の上部と下部には、冷媒用の接続ポート40、41と、水用の接続ポート42、43が左右に並んで設けられている。
例えば、ヒートポンプサイクル装置1から温水を供給する場合、冷媒接続ポート40が冷媒入口、冷媒接続ポート41が冷媒出口として機能し、水接続ポート43が水入口、水接続ポート42が水出口として機能する。
【0015】
また、
図2から
図4および
図6に示すように、本実施の形態においては、筐体10は、カバー部材50を備えている。カバー部材50は、その一端が熱源側熱交換器20の端部に接し、筐体10の左右方向に延在し、その他端が、利用側熱交換器23の冷媒接続ポート40、41と水接続ポート42、43との間に接するように設置されている。
すなわち、カバー部材50の前面側に、利用側熱交換器23の冷媒接続ポート40、41が位置し、カバー部材50の後面側に、水接続ポート42、43が位置する。
【0016】
カバー部材50の上端は、
図2に示すように、熱源側熱交換器20の上端よりわずかに低く形成されている。これにより、カバー部材50の上端と天板17の下面との間に通気可能な空間が形成される。
また、カバー部材50の下端は、筐体10の底板14との間に排水が可能な空間が形成されている。
【0017】
[1-1-2.冷媒回路の構成]
図8実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置1の冷媒回路を示す回路図である。
図8に示すように、ヒートポンプサイクル装置1は、圧縮機22、四方弁27、利用側熱交換器23、膨張手段24および熱源側熱交換器20が所定の冷媒配管25を介して環状に接続され、冷媒回路を構成している。
利用側熱交換器23には、所定の給水配管28が接続されており、利用側熱交換器23において、冷媒回路を循環する冷媒と水との間で熱交換が行われる。
ここで、本実施の形態においては、冷媒として可燃性冷媒が用いられる。可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である。
なお、冷媒として可燃性冷媒ではなく、不燃性冷媒を用いてもよい。
【0018】
[1-2.動作]
次に、以上のように構成されたヒートポンプサイクル装置1について、その動作を説明する。
ヒートポンプサイクル装置1を駆動すると、圧縮機22、送風装置21が動作される。
これにより、温水を利用する場合には、圧縮機22で圧縮されて高温高圧となった冷媒は、
図8に実線矢印で示すように流れ、利用側熱交換器23に送られ、給水配管28を流れる水と熱交換して冷却され、水は、冷媒の熱を受けて温水となって所定の箇所に供給される。
利用側熱交換器23から排出された冷媒は、膨張手段24で減圧されて熱源側熱交換器20で熱交換され、ガス冷媒となって再び圧縮機22に戻される。
【0019】
また、冷水を利用する場合には、四方弁27を切り替えることにより、
図8に破線矢印で示すように冷媒が流れ、熱源側熱交換器20で外気と熱交換し、膨張手段24で減圧された後、利用側熱交換器23に送られ、給水配管28を流れる水を冷却した後、再び圧縮機22に戻される。
【0020】
ここで、利用側熱交換器23として用いられるプレート熱交換器は、水と圧縮された冷媒と熱交換して温水または冷水を作るものであり、Oリングなどにより水とのシールを行っている。
しかしながら、シールの経年劣化等のため、水漏れが発生する場合がある。可燃性冷媒を使用するヒートポンプサイクル装置では、漏れた水が、万一機械室13内の圧縮機22や四方弁27などの電子部品の接点にかかると、スパークが発生し、爆発する可能性が高くなる。
【0021】
本実施の形態においては、熱源側熱交換器20の端部から利用側熱交換器23の水回路までを仕切るカバー部材50を設けているので、利用側熱交換器23から漏洩した水が機械室13の圧縮機22や四方弁27の接点にかかることを防止することができる。これにより、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができる。
【0022】
また、カバー部材50の上端と天板17の下面との間に空間が形成されているので、機械室13との間で通気性を確保することができる。
また、カバー部材50の下端と筐体10の底板14との間に排水が可能な空間が形成されているので、利用側熱交換器23で漏洩した水を機械室13で発生した結露水とともに、排水することが可能となる。
また、カバー部材50の上部と下部に空間を設けることで、冷媒漏洩時に機械室13内部の可燃性ガス濃度が局部的に上昇するのを防止できる。
【0023】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、室外機2は、筐体10の内部に、圧縮機22、利用側熱交換器23、膨張手段24および熱源側熱交換器20を収容し、これらを冷媒配管25を介して環状に接続し、可燃性冷媒を用いた冷媒回路と、熱源側熱交換器20に空気を流通させる送風装置21と、電装箱30と、を備え、熱源側熱交換器20の端部から利用側熱交換器23の冷媒接続ポート40、41と水接続ポート42、43との間を覆うカバー部材50を設けている。
これにより、カバー部材50により、利用側熱交換器23から漏洩した水が機械室13の圧縮機22や四方弁27の接点にかかることを防止することができる。そのため、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、室外機2は、カバー部材50の上端と筐体10の天板17との間に、通気が可能な空間を設けている。
これにより、機械室13との間で通気性を確保することができる。
【0025】
また、本実施の形態においては、室外機2は、カバー部材50の下方に、排水が可能な空間を設けている。
これにより、利用側熱交換器23で漏洩した水を機械室13で発生した結露水とともに、排水することが可能となる。
【0026】
また、本実施の形態においては、室外機2に用いられる可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である。
これにより、特に燃焼しやすい可燃性冷媒を用いた場合でも、カバー部材50により、利用側熱交換器23から漏洩した水が機械室13の圧縮機22や四方弁27の接点にかかることを防止することができ、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができる。
【0027】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【0028】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0029】
(構成1)
筐体の内部に、圧縮機、利用側熱交換器、膨張手段および熱源側熱交換器を収容し、これらを環状に接続し可燃性冷媒を用いた冷媒回路と、前記熱源側熱交換器に空気を流通させる送風装置と、電装箱と、を備え、前記熱源側熱交換器の端部から前記利用側熱交換器の冷媒接続ポートと水接続ポートとの間を覆うカバー部材を設けた室外機。
この構成によれば、カバー部材により、利用側熱交換器から漏洩した水が機械室の圧縮機や四方弁の接点にかかることを防止することができる。そのため、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができる。
【0030】
(構成2)
前記カバー部材の上端と前記筐体の天板との間に、通気が可能な空間を設けた構成1に記載の室外機。
この構成によれば、機械室との間で通気性を確保することができる。
【0031】
(構成3)
前記カバー部材の下方に、排水が可能な空間を設けた構成1または構成2に記載の室外機。
この構成によれば、利用側熱交換器で漏洩した水を機械室で発生した結露水とともに、排水することが可能となる。
【0032】
(構成4)
前記可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である構成1から構成3のいずれか一項に記載の室外機。
この構成によれば、特に燃焼しやすい可燃性冷媒を用いた場合でも、カバー部材により、利用側熱交換器から漏洩した水が機械室の圧縮機や四方弁の接点にかかることを防止することができ、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができる。
【0033】
(構成5)
構成1から構成4のいずれか一項に記載の室外機を備えたヒートポンプサイクル装置。
この構成によれば、ヒートポンプサイクル装置がその室外機を備えることにより、カバー部材により、利用側熱交換器から漏洩した水が機械室の圧縮機や四方弁の接点にかかることを防止することができ、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができるヒートポンプサイクル装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本開示は、利用側熱交換器から漏洩した水が機械室の圧縮機や四方弁の接点にかかることを防止することができ、爆発の可能性を低減し、安全性を高めることができるヒートポンプサイクル装置に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ヒートポンプサイクル装置
10 筐体
11 仕切板
12 送風室
13 機械室
14 底板
15a 右側前パネル
15b 右側後パネル
16 前面パネル
17 天板
18 通風部
20 熱源側熱交換器
21 送風装置
22 圧縮機
23 利用側熱交換器
24 膨張手段
25 冷媒配管
27 四方弁
28 給水配管
30 電装箱
40、41 冷媒接続ポート
42、43 水接続ポート
50 カバー部材