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特開2023-180129センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180129
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/87 20200101AFI20231213BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20231213BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20231213BHJP
【FI】
G01S17/87
G01S7/497
G01S17/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093261
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】前田 優
(72)【発明者】
【氏名】林内 政人
(72)【発明者】
【氏名】石丸 和寿
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 直輝
(72)【発明者】
【氏名】木村 禎祐
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA14
5J084AB07
5J084AB20
5J084AC02
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA48
5J084BB01
5J084BB28
5J084CA12
5J084CA31
5J084CA70
5J084DA07
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】利便性の向上が可能なセンサ制御装置等を提供する。
【解決手段】制御装置は、プロセッサを有し、検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する検出エリアからの反射光を検出する光学センサであって車両に搭載された複数の光学センサを、制御する。プロセッサは、光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得することを実行するように構成される。プロセッサは、検出エリアの少なくとも一部が重なる各光学センサについて、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、照射ビームを照射させることを実行するように構成される。プロセッサは、各光学センサにて検出された反射光に関するデータ同士について、時刻を同期することを実行するように構成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(102)を有し、検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する前記検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の前記光学センサを、制御するセンサ制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得することと、
前記検出エリアの少なくとも一部が重なる各前記光学センサについて、前記検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、前記照射ビームを照射させることと、
各前記光学センサにて検出された前記反射光に関するデータ同士について、時刻を同期することと、
を実行するように構成されるセンサ制御装置。
【請求項2】
前記照射ビームを照射させることは、
前記車両の走行中における周辺物標の検出シーンにおいて、前記検出エリアが前記車両の進行方向前方を指向する前記光学センサの前記照射タイミングを最も早くすることを含む請求項1に記載のセンサ制御装置。
【請求項3】
前記照射ビームを照射させることは、
前記車両における乗員の乗り降り検知シーンにおいて、前記検出エリアが大きい前記光学センサほど前記照射タイミングを早めることを含む請求項1又は請求項2に記載のセンサ制御装置。
【請求項4】
プロセッサ(102)を有し、検出エリア内においてスキャンされる照射ビームを照射して前記検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の前記光学センサを、制御するセンサ制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記反射光の検出における注目方位の成立有無に関する情報である注目情報を取得することと、
前記注目方位の不成立による通常スキャンモードと、前記注目方位の成立による注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることと、
を実行するように構成され、
前記スキャンモードを変更することは、
各前記光学センサの走査方向が統一された前記通常スキャンモードと、前記注目方位を前記検出エリアに包含可能な複数の前記光学センサについて、走査の開始タイミングを同期し、前記走査方向を、前記注目方位側から前記注目方位の反対側へと向かう方向とする前記注目スキャンモードと、の間で前記スキャンモードを変更することを含むセンサ制御装置。
【請求項5】
前記注目情報を取得することは、
特定の前記光学センサに関する故障情報を取得することを含み、
前記スキャンモードを変更することは、
故障した前記光学センサによる検出エリアに応じた前記注目方位に基づく前記走査方向を前記注目スキャンモードにおいて設定することを含む請求項4に記載のセンサ制御装置。
【請求項6】
前記注目情報を取得することは、
前記車両の進行方向に関する情報を取得することを含み、
前記スキャンモードを変更することは、
前記進行方向に応じた前記注目方位に基づく前記走査方向を前記注目スキャンモードにおいて設定することを含む請求項4に記載のセンサ制御装置。
【請求項7】
検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する前記検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の前記光学センサを制御するために、プロセッサ(102)により実行されるセンサ制御方法であって、
前記光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得することと、
前記検出エリアの少なくとも一部が重なる各前記光学センサについて、前記検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、前記照射ビームを照射させることと、
各前記光学センサにて検出された前記反射光に関するデータ同士について、時刻を同期することと、
を含むセンサ制御方法。
【請求項8】
検出エリア内においてスキャンされる照射ビームを照射して前記検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の前記光学センサを制御するために、プロセッサ(102)により実行されるセンサ制御方法であって、
前記反射光の検出における注目方位の成立有無に関する情報である注目情報を取得することと、
前記注目方位の不成立による通常スキャンモードと、前記注目方位の成立による注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることと、
を含み、
前記スキャンモードを変更することは、
各前記光学センサの走査方向が統一された前記通常スキャンモードと、前記注目方位を前記検出エリアに包含可能な複数の前記光学センサについて、走査の開始タイミングを同期し、前記走査方向を、前記注目方位側から前記注目方位の反対側へと向かう方向とする前記注目スキャンモードと、の間で前記スキャンモードを変更することを含むセンサ制御方法。
【請求項9】
検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する前記検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の前記光学センサを制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含むセンサ制御プログラムであって、
前記命令は、
前記光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得させることと、
前記検出エリアの少なくとも一部が重なる各前記光学センサについて、前記検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、前記照射ビームを照射させることと、
各前記光学センサにて検出された前記反射光に関するデータ同士について、時刻を同期させることと、
を含むセンサ制御プログラム。
【請求項10】
検出エリア内においてスキャンされる照射ビームを照射して前記検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の前記光学センサを制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含むセンサ制御プログラムであって、
前記命令は、
前記反射光の検出における注目方位の成立有無に関する情報である注目情報を取得させることと、
前記注目方位の不成立による通常スキャンモードと、前記注目方位の成立による注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることと、
を含み、
前記スキャンモードを変更することは、
各前記光学センサの走査方向が統一された前記通常スキャンモードと、前記注目方位を前記検出エリアに包含可能な複数の前記光学センサについて、走査の開始タイミングを同期させ、前記走査方向を、前記注目方位側から前記注目方位の反対側へと向かう方向とする前記注目スキャンモードと、の間で前記スキャンモードを変更させることを含むセンサ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に複数搭載された光学センサを制御するセンサ制御技術に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同期がとられた複数のLiDARから、それぞれ同時刻のデータを取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-47157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の光学センサにて検出を行う場合において、より利便性を向上させることが求められている。特許文献1には、利便性の向上に関して十分に開示されていない。
【0005】
本開示の課題は、利便性の向上が可能なセンサ制御装置を、提供することにある。本開示の別の課題は、利便性の向上が可能なセンサ制御方法を、提供することにある。本開示のまた別の課題は、利便性の向上が可能なセンサ制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、プロセッサ(102)を有し、検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の光学センサを、制御するセンサ制御装置であって、
プロセッサは、
光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得することと、
検出エリアの少なくとも一部が重なる各光学センサについて、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、照射ビームを照射させることと、
各光学センサにて検出された反射光に関するデータ同士について、時刻を同期することと、
を実行するように構成される。
【0008】
本開示の第二態様は、検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の光学センサを制御するために、プロセッサ(102)により実行されるセンサ制御方法であって、
光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得することと、
検出エリアの少なくとも一部が重なる各光学センサについて、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、照射ビームを照射させることと、
各光学センサにて検出された反射光に関するデータ同士について、時刻を同期することと、
を含む。
【0009】
本開示の第三態様は、検出エリアに対して拡散して照射した照射ビームに対する検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の光学センサを制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含むセンサ制御プログラムであって、
命令は、
光学センサにて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を取得させることと、
検出エリアの少なくとも一部が重なる各光学センサについて、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、照射ビームを照射させることと、
各光学センサにて検出された反射光に関するデータ同士について、時刻を同期させることと、
を含む。
【0010】
これら第一~第三態様によると、検出エリアの少なくとも一部が重なる各光学センサについて、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、照射ビームを照射させ、その反射光に関するデータについて、時刻が同期される。これによれば、検出シーンに応じた優先順位にて、照射タイミングを決定できる。したがって、照射タイミングのずれにより干渉を回避しつつ、その照射タイミングをより適したものとすることができる。
【0011】
本開示の第四態様は、プロセッサ(102)を有し、検出エリア内においてスキャンされる照射ビームを照射して検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の光学センサを、制御するセンサ制御装置であって、
プロセッサは、
反射光の検出における注目方位の成立有無に関する情報である注目情報を取得することと、
注目方位の不成立による通常スキャンモードと、注目方位の成立による注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることと、
を実行するように構成され、
スキャンモードを変更することは、
各光学センサの走査方向が統一された通常スキャンモードと、注目方位を検出エリアに包含可能な複数の光学センサについて、走査の開始タイミングを同期し、走査方向を、注目方位側から注目方位の反対側へと向かう方向とする注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更することを含む。
【0012】
本開示の第五態様は、検出エリア内においてスキャンされる照射ビームを照射して検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の光学センサを制御するために、プロセッサ(102)により実行されるセンサ制御方法であって、
反射光の検出における注目方位の成立有無に関する情報である注目情報を取得することと、
注目方位の不成立による通常スキャンモードと、注目方位の成立による注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることと、
を含み、
スキャンモードを変更することは、
各光学センサの走査方向が統一された通常スキャンモードと、注目方位を検出エリアに包含可能な複数の光学センサについて、走査の開始タイミングを同期し、走査方向を、注目方位側から注目方位の反対側へと向かう方向とする注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更することを含む。
【0013】
本開示の第六態様は、検出エリア内においてスキャンされる照射ビームを照射して検出エリアからの反射光を検出する光学センサ(10)であって車両(2)に搭載された複数の光学センサを制御するために、記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含むセンサ制御プログラムであって、
命令は、
反射光の検出における注目方位の成立有無に関する情報である注目情報を取得させることと、
注目方位の不成立による通常スキャンモードと、注目方位の成立による注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることと、
を含み、
スキャンモードを変更することは、
各光学センサの走査方向が統一された通常スキャンモードと、注目方位を検出エリアに包含可能な複数の光学センサについて、走査の開始タイミングを同期させ、走査方向を、注目方位側から注目方位の反対側へと向かう方向とする注目スキャンモードと、の間でスキャンモードを変更させることを含む。
【0014】
これら第四~第六態様によると、注目方位における各検出エリアにまたがって検出された物標について、検出されるタイミングの時間差を小さくすることができる。故に、この時間差が大きい場合よりも、時間差の補正の精度が向上され得る。したがって、照射タイミングのずれにより干渉を回避しつつ、その照射タイミングをより適したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図2】第一実施形態の適用される車両に対する光学センサの搭載例を示す模式図である。
図3】第一実施形態の適用される車両に対する光学センサの搭載例を示す模式図である。
図4】複数光学センサの検出エリアを示す模式図である。
図5】複数光学センサの検出エリアを示す模式図である。
図6】第一実施形態によるセンサ制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】第一実施形態によるセンサ制御フローを示すフローチャートである。
図8】第二実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図9】第二実施形態によるセンサ制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図10】複数光学センサの検出エリアを示す模式図である。
図11】複数光学センサの検出エリアを示す模式図である。
図12】第二実施形態によるセンサ制御フローを示すフローチャートである。
図13】複数光学センサの検出エリアを示す模式図である。
図14】第三実施形態によるセンサ制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき複数説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0017】
(第一実施形態)
図1に示すように光学センサ10及びセンサ制御装置100を含んで構成される一実施形態のセンサシステム1は、車両2に搭載される。
【0018】
車両2は、自動運転制御モードにおいて定常的、又は一時的に自動走行可能となっている。ここで自動運転制御モードは、条件付運転自動化、高度運転自動化、又は完全運転自動化といった、作動時のシステムが全ての運転タスクを実行する自律運転制御により、実現されてもよい。自動運転制御モードは、運転支援、又は部分運転自動化といった、乗員が一部又は全ての運転タスクを実行する高度運転支援制御において、実現されてもよい。自動運転制御モードは、それら自律運転制御と高度運転支援制御とのいずれか一方、組み合わせ、又は切り替えにより実現されてもよい。
【0019】
尚、以下の説明において前、後、左、右、上及び下は、水平面上の車両2に対して想定されている。また、本実施形態において車両2の走行方向を基準とする前、後、左、及び右は、走行方向の切り替えに拘らず固定されているものとする。
【0020】
光学センサ10は、車両2に複数搭載されている。光学センサ10は、車両2の上部を構成するルーフ、ルーフを支持するピラー、車両2の下部を構成するフロア等に配置される。本実施形態において、光学センサ10は、図2及び図3に示すように車両2のルーフ2a及びフロア2bに設置されているものとする。
【0021】
光学センサ10は、自動制御運転モードを含む車両2の運転に活用可能な外界データを取得する、所謂LiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)である。本実施形態における光学センサ10は、検出エリアに対して拡散された照射ビームを照射する、フラッシュ式のLiDARである。光学センサ10は、投光ユニット11、受光ユニット13、及び受光処理回路14を備えている。光学センサ10におけるこれらの構成は、金属、樹脂、又はそれらの組み合わせ等により箱状に形成されたケーシングに収容されている。
【0022】
投光ユニット11は例えば、赤外帯域の指向性レーザ光を投射可能なレーザダイオード等の半導体発光素子、及びレンズ等の投光光学系を主体に、構成されている。投光ユニット11は、検出エリア内への照射ビームとして、断続的なパルス状のレーザ光をセンサ制御装置100からの制御信号に従い、検出フレームごとに所定の照射タイミングにて発生させる。ここで検出フレームは、車両2の起動中において周期的に繰り返される。フラッシュ式のLiDARにおいて、投光ユニット11は、上下方向及び水平方向に拡散された拡散ビームとして照射ビームを成形する。
【0023】
これにより、光学センサ10の検出エリアAが、図4,5に示すように、検出軸Abを中心とした照射ビームの拡散角度として、定義される。検出軸Abは、照射ビームの射出点を通る仮想水平面上において、検出エリアAを実質二等分するように設定されている。
【0024】
受光ユニット13は例えば、赤外帯域のレーザ光に対して高感度なSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等の半導体受光素子、及びレンズ等の受光光学系を主体に、構成されている。受光ユニット13は、照射ビームに対して走査ミラーを介して受光した反射ビームを、検出する。これにより受光ユニット13は、検出エリアA内の物標をセンシングする。
【0025】
受光処理回路14は、例えば走査ドライバ及び信号処理チップ等の集積回路を主体に、構成されている。受光処理回路14は、受光ユニット13の受光素子を構成する複数画素を、センサ制御装置100からの制御信号に従って走査する。受光処理回路14は、検出エリアA内においてセンシングした物標の反射点距離に応じて、各画素毎に取得される距離値を三次元データ化することで、センシングデータとしての距離画像データを取得する。受光処理回路14は、検出エリアA内においてセンシングした物標の反射点強度に応じて、各画素毎に取得される強度値を二次元データ化することで、センシングデータとして距離画像データに対応した強度画像データも取得する。
【0026】
センサシステム1には、光学センサ10及びセンサ制御装置100以外の複数要素が含まれていてもよい。センサシステム1において光学センサ10及びセンサ制御装置100以外の要素は、車両2の外界データを取得する外界センサであってもよい。外界センサは、光学センサ10と同様に、車両2の外界に存在する物標をセンシングして外界データを取得する、物標センシングタイプであってもよい。物標センシングタイプの外界センサは、例えばレーダ、カメラ、及びソナー等のうち、少なくとも一種類である。
【0027】
センサシステム1において光学センサ10以外の要素は、車両2の内界データを取得する内界センサであってもよい。内界センサは、車両2の内界における特定の運動物理量をセンシングして内界データを取得する、物理量センシングタイプであってもよい。物理量センシングタイプの内界センサは、例えば走行速度センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサ等のうち、少なくとも一種類である。内界センサは、車両2の内界において乗員の特定状態又は特定操作をセンシングして内界データを取得する、乗員センシングタイプであってもよい。乗員センシングタイプの内界センサは、例えば始動センサ、ドアロックセンサ、ドア開閉センサ、操舵センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、方向指示センサ、着座センサ、ドライバステータスモニタ、及び車内機器センサ等のうち、少なくとも一種類である。
【0028】
センサ制御装置100は、例えばLAN(Local Area Network)回線、ワイヤハーネス、内部バス、及び無線通信回線等のうち、少なくとも一種類を介して光学センサ10、計時装置20及び車載機器30に接続されている。
【0029】
計時装置20は、センサシステム1にて利用可能な基準となる時刻(基準時刻)を、計時する。計時装置20は、外部から時刻情報を含む信号を受信し、当該時刻情報に基づいて基準時刻を逐次補正可能である。例えば、計時装置20は、人工衛星からの測位信号を受信し、当該測位信号に含まれる時刻情報を利用した補正に基づき基準時刻を計時するGNSS受信機である。尚、計時装置20は、外部からの時刻情報に基づく補正なしで時刻を計時する時計であってもよい。
【0030】
車載機器30は、車両2の現在の状態に関する情報をセンサ制御装置100に提供する機器である。車載機器30は、内界センサ、外界センサ、及びこれらセンサ等の検出情報に基づき車両2の走行環境を認識する車載ECU(Electronic Control Unit)等の少なくとも一種類である。
【0031】
センサ制御装置100は、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成されている。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、光学センサ10を制御することに特化した、センサECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の運転を制御する、運転制御ECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の走行経路をナビゲートする、ナビゲーションECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の自己状態量を推定する、ロケータECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の走行アクチュエータを制御する、アクチュエータECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2における情報提示を制御する、HCU(HMI(Human Machine Interface) Control Unit)であってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、例えば車両2との間で通信可能な外部センタ又はモバイル端末等を構築する、車両2以外のコンピュータであってもよい。
【0032】
センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の運転制御を統合する、統合ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の運転制御における運転タスクを判断する、判断ECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の運転制御を監視する、監視ECUであってもよい。センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、車両2の運転制御を評価する、評価ECUであってもよい。
【0033】
センサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、メモリ101とプロセッサ102とを、少なくとも一つずつ有している。メモリ101は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。ここで記憶とは、車両2の起動オフによってもデータが保持される蓄積であってもよいし、車両2の起動オフによりデータが消去される一時的な格納であってもよい。プロセッサ102は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU、DFP(Data Flow Processor)、及びGSP(Graph Streaming Processor)等のうち、少なくとも一種類をコアとして含んでいる。
【0034】
センサ制御装置100においてプロセッサ102は、車両2に搭載された複数の光学センサ10を制御するためにメモリ101に記憶された、センサ制御プログラムに含まれる複数の命令を実行する。これによりセンサ制御装置100は、車両2に搭載された複数の光学センサ10を制御するための機能ブロックを、複数構築する。センサ制御装置100において構築される複数の機能ブロックには、図6に示すようにシーン情報取得ブロック110、動作制御ブロック120及びデータ処理ブロック130が含まれている。
【0035】
ここまで説明したブロック110,120,130の共同により、センサ制御装置100が車両2に搭載された複数の光学センサ10を制御するセンサ制御方法は、図7に示すセンサ制御フローに従って実行される。本センサ制御フローは、車両2の起動中に繰り返し実行される。尚、本センサ制御フローにおける各「S」は、センサ制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
【0036】
まず、S100では、シーン情報取得ブロック110が、光学センサ10にて検出を行う検出シーンに関する情報であるシーン情報を車載機器30から取得する。ここで、検出シーンは、車両の状態及び検出対象の種別等の少なくとも一種類によって規定されるシーンである。例えば、検出シーンは、車両の走行中における周辺物標の検出シーン、車両に乗降する乗員の検出シーン等を含む。シーン情報取得ブロック110は、外界センサや内界センサによるセンサ情報や、他のECUからの情報、指令等を、シーン情報として取得すればよい。
【0037】
次に、S110では、動作制御ブロック120が、検出エリアAの少なくとも一部が重なる各光学センサについて、検出シーンに応じた光学センサ10の照射タイミングを設定する。このとき、動作制御ブロック120は、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングを、各光学センサ10に対して設定する。
【0038】
例えば、動作制御ブロック120は、車両2の移動中における周辺物標の検出シーンにおいて、進行方向における車両2の前方エリアを検出エリアAに含む光学センサ10の照射タイミングの優先順位を高くする。すなわち、動作制御ブロック120は、前方エリアを検出エリアに含む光学センサの照射タイミングを、前方エリアよりも後方を検出エリアとする光学センサの照射タイミングよりも早くする。
【0039】
例えば、動作制御ブロック120は、車両2において検出エリアAの検出軸Abが進行方向前方を指向する光学センサ10の照射タイミングを、最も早いタイミングに設定する。そして、動作制御ブロック120は、斜め前方を指向する光学センサ10、側方を指向する光学センサ10、斜め後方を指向する光学センサ10、後方を指向する光学センサ10の順に、照射タイミングを相互にずらして設定する。
【0040】
これにより、動作制御ブロック120は、検出エリアAがより前方を指向する光学センサが、より後方にある光学センサ10よりも早いタイミングにて照射ビームを照射させる。
【0041】
又は、動作制御ブロック120は、車両2に乗降する乗員の検出シーンにおいて、検出エリアが大きい光学センサ10ほど照射タイミングを早く設定する。乗員の検出シーンにおいては、車両2の側方を主な検出エリアAとする光学センサ10が利用される。本実施形態においては、車両2の左側方を主な検出エリアAとする光学センサ10が、車両2のルーフ2a及びフロア2bにそれぞれ1つずつ設けられている。同様に、本実施形態においては、車両2の右側方を主な検出エリアAとする光学センサ10が、車両2のルーフ及びフロアにそれぞれ1つずつ設けられている。以下においては、右側方を主な検出エリアAとする光学センサ10の組の制御について説明するが、左側方を主な検出エリアAとする光学センサ10の組についても、同様の説明を援用できる。
【0042】
図5に示すように、右側方を主な検出エリアAとする各光学センサ10について、各検出エリアAは、一部重複するように設定されている。ルーフ2aに設置された光学センサ10に対応する検出エリアAは、フロア2bに設置された光学センサ10に対応する検出エリアAよりも上下方向の角度範囲が大きくなるように設定されている。したがって、動作制御ブロック120は、ルーフ2aに設置された光学センサ10の照射タイミングを、フロア2bに設置された光学センサ10の照射タイミングよりも早く設定する。尚、図5では、簡単のために、右側方を主な検出エリアAとする光学センサ10以外の光学センサ10は、記載を省略している。
【0043】
動作制御ブロック120は、各光学センサ10の照射タイミングを一度揃えた後で、上述したような照射タイミングを、光学センサ10ごとに設定する。詳記すると、動作制御ブロック120は、各光学センサ10の内部時計にて計時された内部時刻と、計時装置20から取得した基準時刻との時差を算出する。動作制御ブロック120は、この時差を解消する時差解消値を光学センサ10ごとに出力する。次いで、動作制御ブロック120は、光学センサ10ごとの照射タイミングの差を与えるタイミング調整値を光学センサ10ごとに出力する。
【0044】
尚、動作制御ブロック120は、照射タイミングを、設定に対する誤差の大きさよりも十分大きい時間ずつずらして設定する。ここで、誤差の大きさは、例えばマイクロ秒オーダーであり、当該誤差よりも十分に大きい時間は、例えばミリ秒オーダーである。一例として、動作制御ブロック120は、最も早い光学センサ10の照射タイミングを0msとした場合、次の光学センサ10は33ms後、その次の光学センサ10は66ms後に照射タイミングを設定する。
【0045】
続くS120では、データ処理ブロック140が、設定された照射タイミングにて検出を実行した各光学センサ10にて取得された反射光データを取得する。
【0046】
続くS130では、データ処理ブロック130が、各反射光データの時刻を同期する。データ処理ブロック130は、S110にて各光学センサ10に対して設定した照射タイミングに基づいて、時刻同期を実行する。そして、S140では、データ処理ブロック130が、同期済みの反射光データを出力する。
【0047】
以上の第一実施形態によれば、検出エリアAの少なくとも一部が重なる各光学センサ10について、検出シーンに応じた優先順位にて互いにずれた照射タイミングで、照射ビームを照射させ、その反射光に関するデータについて、時刻が同期される。これによれば、検出シーンに応じた優先順位にて、照射タイミングを決定できる。すなわち、より優先順位の高い検出エリアAからの反射光の検出情報を、優先して取得できる。したがって、照射タイミングのずれにより干渉を回避しつつ、その照射タイミングをより適したものとすることができる。
【0048】
(第二実施形態)
図8~12に示すように第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0049】
第二実施形態の光学センサ10は、照射ビームを検出エリアA内において走査する、スキャン式のLiDARである。この場合、投光ユニット11は、スポット状に収束したスポットビームとして照射ビームを成形する。又は、投光ユニット11は、車両2の上下方向に拡散する、所謂ラインビームとして照射ビームを成形してもよい。さらに、本実施形態の光学センサ10は、第一実施形態の記載構成に加えて、走査ユニット12を備えている。
【0050】
走査ユニット12は、走査ミラー及び走査モータを含んで構成されている。走査ユニット12は、投光ユニット11からの照射ビームを、検出エリアA内にて走査する。走査ミラーは、例えば合成樹脂又はガラス等の基材に、アルミニウム、銀、又は金等の反射膜が積層されることで、形成されている。走査ミラーは、投光ユニット11からの照射ビームを検出エリアA内にて走査可能となるように、所定の範囲内で回転可能に構成されている。走査モータは、例えばステッピングモータ等の、電動モータである。走査モータの出力軸は、走査ミラーに対して一体回転可能に、連結されている。走査モータは、センサ制御装置100からの制御信号に従って、走査ミラーを回転駆動する。これにより、走査ユニット12は、照射ビームを機械的に走査する。又、走査ミラーを通じて照射ビームが検出エリアA内の物標へと照射されることで反射された反射ビームは、走査ミラーに入射することで今度は受光ユニットへと反射される。
【0051】
尚、走査ユニット12は、上述したような走査モータにより走査ミラーを機械的に回転する構成以外の構成により、照射ビームの走査を実現してもよい。例えば、走査ユニット12は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを電磁駆動する構成により、照射ビームの走査を実現してもよい。
【0052】
本実施形態のセンサ制御装置100において構築される複数の機能ブロックには、図9に示すように、シーン情報取得ブロック110の代わりに、注目情報取得ブロック115が含まれる。本実施形態においてセンサ制御装置100が車両2の光学センサ10を制御するセンサ制御方法は、図12に示すセンサ制御フローに従って実行される。本センサ制御フローは、車両2の起動中に繰り返し実行される。尚、本センサ制御フローにおける各「S」は、センサ制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
【0053】
まず、S200では、注目情報取得ブロック115が、反射光の検出における注目方位Bの成立有無に関する情報である注目情報を取得する。例えば、注目情報取得ブロック115は、現在の検出シーンについて、故障した光学センサ10が存在する状態において検出を実行する故障シーンであるか否かを判定する。注目情報取得ブロック115は、光学センサ10の故障情報を、各光学センサ10から取得すると、故障シーンであると判定する。注目情報取得ブロック115は、他の故障した光学センサ10からの情報に基づいて判定を実行してもよい。故障シーンでない、すなわち故障した光学センサ10がないと判定されると、本フローは後述のS230へと移行する。故障した光学センサ10が存在する状態において検出を実行する故障シーンであるか否かに関する情報は、「注目情報」の一例である。
【0054】
故障シーンである、すなわち故障した光学センサ10があると判定されると、S210にて、動作制御ブロック120が、故障した光学センサ10の検出エリアAに隣接する検出エリアAを設定された光学センサ10の組について、検出エリアAを拡張する。このとき、動作制御ブロック120は、図11に示すように、故障した光学センサ10の検出エリアAをカバーするように、検出エリアAを拡張する。このとき、動作制御ブロック120は、図11に示すように、検出エリアAと検出エリアAとの間が離隔しないように、互いの検出エリアAを拡張させる。
【0055】
続くS220では、動作制御ブロック120が、故障した光学センサ10における検出エリアAについて、進行方向における前方領域であるか否かを判定する。すなわち、動作制御ブロック120は、当該検出エリアAが進行方向前方を指向するか否かを判定する。例えば、動作制御ブロック120は、検出軸Abの指向方位が規定の前方範囲(方位角範囲)に含まれる場合に、検出エリアAが前方領域であると判定すればよい。検出エリアAが前方領域ではないと判定されると、本フローはS230へと進み、通常スキャンモードを設定する。
【0056】
通常スキャンモードでは、各光学センサ10の走査方向が統一される。例えば、通常スキャンモードでは、図10に示すように、上方から見た場合に走査中心の左回り方向に、走査方向が統一される。通常スキャンモードにおいて、走査の開始タイミングは、各光学センサ10の間で同期される。
【0057】
一方で、前方領域であると判定されると、本フローはS240へと進む。S240では、故障した光学センサ10の検出エリアAの検出軸Abを、注目方位Bに設定する。
【0058】
続くS250では、動作制御ブロック120が、注目方位Bを包含可能な光学センサ10の組について、スキャンモードを注目スキャンモードに変更する。注目スキャンモードでは、各光学センサ10の走査方向が、注目方位B側から注目方位Bの反対側へと向かう方向に設定される。
【0059】
例えば、図11に示すように、ルーフ2aの最前方の光学センサ10が故障した場合、注目スキャンモードでは、故障した光学センサ10の左側に位置する光学センサ10の走査方向が、上方から見た場合に走査中心の右回り方向に設定される。故障した光学センサ10の右側に位置する光学センサ10の走査方向は、通常スキャンモードと同様に左回り方向とされる。
【0060】
さらに、注目スキャンモードにおいて、動作制御ブロック120は、図11に示すように、注目方位Bを包含するように検出エリアAの方位範囲を拡張する。具体的には、動作制御ブロック120は、注目方位Bに沿う仮想ラインが、検出エリアA内に含まれるように、当該検出エリアAの方位範囲を拡張する。動作制御ブロック120は、故障した光学センサ10と検出エリアAが一部重複する、当該光学センサ10の両隣の光学センサ10の組について、検出エリアAの方位範囲を拡張する。又、注目スキャンモードにおいて、動作制御ブロック120は、通常スキャンモードと同様に、走査の開始タイミングを各光学センサ10の間で同期する。
【0061】
続くS260,S270は、S120,S140と実質同様の処理である。
【0062】
第二実施形態によれば、注目方位Bにおける各検出エリアAにまたがって検出された物標について、検出されるタイミングの時間差を小さくすることができる。故に、この時間差が大きい場合よりも、時間差の補正の精度が向上され得る。したがって、照射タイミングのずれにより干渉を回避しつつ、その照射タイミングをより適したものとすることができる。
【0063】
(第三実施形態)
図13,14に示すように第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。
【0064】
第三実施形態において、センサ制御装置100が光学センサ10を制御するセンサ制御方法は、図13,14に示すセンサ制御フローに従って実行される。本センサ制御フローは、車両2の起動中に繰り返し実行される。尚、本センサ制御フローにおける各「S」は、センサ制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
【0065】
まず、図14のS300では、注目情報取得ブロック115が、現在の検出シーンが、カーブ走行においてカーブ検出シーンであるか否かを判定する。カーブ検出シーンではないと判定されると、本フローがS310へと移行し、通常スキャンモードが設定される。本実施形態において、カーブ検出シーンであるか否かに関する情報は、「注目情報」の一例である。
【0066】
一方でカーブ検出シーンであると判定されると、S320にて、動作制御ブロック120が、カーブ路の形状に応じた注目方位Bを特定する。例えば、動作制御ブロック120は、曲率等、カーブ路の構造に応じた注目方位Bを特定する。尚、注目方位Bは、車両2の車体を中心とした方位であってよい。
【0067】
S330では、動作制御ブロック120が、注目方位Bの少なくとも一部を検出エリアに含む光学センサ10の組について、注目スキャンモードを設定する。動作制御ブロック120は、注目方位Bを検出エリアAに含まない光学センサ10については、通常スキャンモードを設定する。
【0068】
例えば、図13に示すように、右方に曲がるカーブを走行する場合、動作制御ブロック120は、注目スキャンモードにて右斜め前方を注目方位Bとする。動作制御ブロック120は、注目方位Bの左側に隣接する光学センサ10であって、前方を検出エリアAとする光学センサ10の走査方向を、上方から見た場合に走査中心の右回りに設定する。尚、図13では、簡単のため、一部の光学センサ10については、検出エリアAの表記を省略している。
【0069】
続くS340,S350は、S260,S270と実質同様の処理である。
【0070】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0071】
変形例においてセンサ制御装置100を構成する専用コンピュータは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして有していてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリを、有していてもよい。
【0072】
変形例においてセンサ制御装置100の適用される車両は、例えば自律走行又はリモート走行により荷物搬送若しくは情報収集等の可能な自律走行ロボットであってもよい。ここまでの説明形態の他に上述の実施形態及び変形例は、車両2に搭載可能に構成されてプロセッサ102及びメモリ101を少なくとも一つずつ有する制御装置として、処理回路(例えば処理ECU等)又は半導体装置(例えば半導体チップ等)の形態で実施されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:センサシステム、2:車両、10:光学センサ、100:センサ制御装置、101:メモリ(記憶媒体)、102:プロセッサ、A:検出エリア、B:注目方位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14