(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180130
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】精米設備
(51)【国際特許分類】
B02B 7/02 20060101AFI20231213BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B02B7/02 101Z
H02J7/00 P
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093263
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】越智 輝久
【テーマコード(参考)】
4D043
5G503
【Fターム(参考)】
4D043AA03
4D043DA03
4D043JF07
4D043LA20
4D043MA30
4D043MB30
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】本発明は、全国に多数設置されている精米設備に電気自動車のバッテリーを充電する設備を並設することで電気自動車の普及に寄与することを課題とする。
【解決手段】給電設備50からの電力を電力管理装置34で管理する精米機9と充電ユニット16を備え、電力管理装置34に精米及び補充電を設定すると、精米機9を駆動する電力に余裕がある場合には精米機9の駆動と共に電気自動車Cのバッテリーに補充電し、精米機9の駆動電力が不足する場合は電気自動車Cのバッテリー側から精米機9側に補給電するよう電力供給を制御したことを特徴とする精米設備とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電設備(50)からの電力を電力管理装置(34)で管理する精米機(9)と充電ユニット(16)を備え、電力管理装置(34)に精米及び補充電を設定すると、精米機(9)を駆動する電力に余裕がある場合には精米機(9)の駆動と共に電気自動車(C)のバッテリーに補充電し、精米機(9)の駆動電力が不足する場合は電気自動車(C)のバッテリー側から精米機(9)側に補給電するよう電力供給を制御したことを特徴とする精米設備。
【請求項2】
充電ユニット(16)から電気自動車(C)のバッテリーに補充電を行うと充電量を料金に換算して精算処理をすることを特徴とする請求項1に記載の精米設備。
【請求項3】
電気自動車(C)のバッテリー側から精米機(9)に給電すると電力量を料金に換算して精算処理することを特徴とする請求項1に記載の精米設備。
【請求項4】
精米機(9)から米糠を排出する米糠排出路(38)に詰りセンサ(51)を設け、該詰りセンサ(51)が詰りを検出すると精米機(9)を停止することを特徴とする請求項1に記載の精米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持参した玄米を精米処理する無人の精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者が持参した玄米を精米処理する精米設備が開示されている。また、特許文献2には、電気自動車の充電を行うスタンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-105847号公開公報
【特許文献2】特開2020-21152号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、全国に多数設置されている精米設備に電気自動車のバッテリーを充電する設備を並設することで電気自動車の普及に寄与することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0006】
請求項1の発明は、給電設備50からの電力を電力管理装置34で管理する精米機9と充電ユニット16を備え、電力管理装置34に精米及び補充電を設定すると、精米機9を駆動する電力に余裕がある場合には精米機9の駆動と共に電気自動車Cのバッテリーに補充電し、精米機9の駆動電力が不足する場合は電気自動車Cのバッテリー側から精米機9側に補給電するよう電力供給を制御したことを特徴とする精米設備とする。
【0007】
請求項2の発明は、充電ユニット16から電気自動車Cのバッテリーに補充電を行うと充電量を料金に換算して精算処理をすることを特徴とする請求項1に記載の精米設備とする。
【0008】
請求項3の発明は、電気自動車Cのバッテリー側から精米機9に給電すると電力量を料金に換算して精算処理することを特徴とする請求項1に記載の精米設備とする。
【0009】
請求項4の発明は、精米機9から米糠を排出する米糠排出路38に詰りセンサ51を設け、該詰りセンサ51が詰りを検出すると精米機9を停止することを特徴とする請求項1に記載の精米設備とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、電気自動車Cで精米設備に来た利用者は精米機9で精米をする間に電気自動車Cのバッテリーに補充電できるので、精米処理の待ち時間を有効に利用できる。
【0011】
また、給電設備50からの電力で精米機9が充分に稼働出来ない場合には電力管理装置34に精米及び補充電を設定することで、電気自動車Cのバッテリーの電力を利用して精米を終わらせることが出来る。
【0012】
請求項2の発明で、精米処理の開始時に精米料金に電気自動車Cのバッテリーを補充電する料金を含めた設備利用料金を支払うことで精米処理料金と電気自動車Cのバッテリーへの補充電料も含めて精算処理できる。
【0013】
請求項3の発明で、電気自動車Cのバッテリー電力で精米機9の駆動電力を補うことがあるとその電力料金が精算処理で返金されるので、利用者が精米設備を合理的に利用できる。
【0014】
請求項4の発明で、精米機9の精米処理中に米糠排出路38から米糠が建屋1内に溢れるようになると精米機9の駆動を停止するので、建屋内が汚れたり米糠が発火したりする危険性が無くなる。充電、給電機構においては、大気中の塵埃は、発火を誘発する可能性が高く、本発明は有効的である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明における実施の形態の精米設備の平断面図である。
【
図2】本発明における実施の形態の精米設備の客室から精米設備内を見た正面図である。
【
図3】(A)、(B)本発明における実施の形態の精米設備の前方から見た斜視図である。
【
図4】本発明における実施の形態の精米設備の左側面図である。
【
図5】本発明における実施の形態の精米設備の(A)左側面図、(B)正面図である。
【
図6】本発明における実施の形態の精米設備の充電ユニットの配線を示す精米設備の左側面図である。
【
図7】本発明における実施の形態の精米設備の建屋内の斜視図である。
【
図8】本発明における実施の形態の精米設備の米糠回収部の斜視図である。
【
図9】本発明における実施の形態の精米設備の制御ブロック図である。
【
図10】本発明における実施の形態の精米設備のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0017】
まず、
図1から
図8に基づいて精米設備の構成を説明する。
【0018】
精米設備の建屋1内は、利用者が出入りする客室2と、精米機9等の精米処理のための装置各部を設置する機械室3とを仕切壁4で仕切る。そして、建屋1の側壁5の側方に電気自動車Cが駐車できる駐車スペースSを設ける。
【0019】
客室2側には利用者が持参した玄米を投入する玄米投入ホッパ6の投入口6aを設け、仕切壁4に沿って上下動する開閉扉12により開閉する構成である。また、客室2側には、精米機9で精米処理された精白米を貯留する白米タンク24を設ける。客室2の前側には利用者が出入りする客室用扉11を設ける。
【0020】
機械室3側には玄米投入ホッパ6に投入された玄米を揚穀する昇降機7と、玄米に混じる石等の異物を選別する石抜機8と、石抜機8で石抜処理された玄米を精米する精米機9を備える。機械室3の後部側には精米処理で発生した糠を収容する糠収容部10を設ける。糠収容部10の左右両側には、管理者が機械室3内に出入りするための機械室用扉13を設ける。
【0021】
客室2側の仕切壁4には料金を投入する料金投入口14と、精米運転を行うための精白度選択スイッチ21や後述する電気自動車Cへの充電を行うための充電スイッチ22を備える操作盤15を設ける。
【0022】
次に、電気自動車Cのバッテリーに繋いで電力を送受する設備について説明する。
【0023】
建屋1の左側の側壁5に電気自動車Cのバッテリーに繋ぐ充電ユニット16を設ける。
【0024】
充電ユニット16は客室2側の側壁5を貫通した空間Aに設置され、外側面から開閉蓋17で開閉する構成である。電気自動車Cのバッテリーと繋ぐための送受電ケーブルK用の差し込み口16aを建屋1の外側に向けた位置に設け、利用者が開閉蓋17を開けると差し込み口16aにバッテリーに繋いだ送受電ケーブルKを差し込むことができる構成である。
【0025】
充電ユニット16への電力の供給は、
図6に示すように充電ユニット16用のコード36を機械室3側から建屋1の天井18と屋根19との間のスペース40を経て、客室2内側の側壁5沿いに這わせて充電ユニット16に接続する。客室2内側の側壁5に這わせる部分を覆いカバー20で覆う構成である。
【0026】
側壁5を切り欠いた空間Aに充電ユニット16を設けることで充電ユニット16が建屋1外や客室2内へ突出する部分を少なくすることができ、利用者の充電や精米運転の作業をし易くすることができる。また、側壁5を利用して充電ユニット16を支持することができる。
【0027】
給電設備50はいわゆる三相200Vの交流電源を接続し、電極変換装置にて交流から直流電流へ変換され、自動車への充電を行うものである。
【0028】
また自動車からの給電を受ける場合は、この逆の方式を取り、バッテリーからの直流電流を交流電流に変換し、精米機の動力として利用するものである。
自動車からの給電においては、一時的に大容量のバッテリー電源に保管し、逐次電力変換の方式を取るも良い。
【0029】
図7は、米糠排出装置を示し、白米タンク24に通じる米糠パイプ37Aと昇降機7に通じる米糠パイプ37Bと精米機9に通じる米糠パイプ37Cを吸引サイクロン41に繋ぎ、
図8に示す糠収容部10の米糠樋43で二つの米糠袋45A、45Bに米糠を分配排出している。米糠樋43の側面には米糠の溜まりを検出する詰りセンサ51を設け、この詰りセンサ51が詰りを検出すると精米機9等の駆動を停止する。なお、米糠樋43を流れる空気の風速を検出するセンサを詰りセンサ51として、風速が一定以下になると詰り発生と判断するようにしても良い。
【0030】
なお、客室2内に米糠取出し容器を設け、詰りセンサ51が詰りを検出すると、この米糠取出し容器に米糠を導入して精米機9の累積運転時間が規定時間を超えるまでは、精米を可能にすることも出来る。また、米糠取出し容器に満タンセンサを設け、これが作動するまで精米機9を停止しないようにすることも出来る。
【0031】
図9は精米設備の制御ブロック図で、制御部23に料金を検出する料金投入検出センサ35の入力信号や、精白度を選択する精白度選択スイッチ21の入力信号や、充電スイッチ22の入力信号や、詰りセンサ51の入力信号や、電力管理装置34の入力信号が入力される。制御部23からは精米機9と開閉扉12と開閉蓋17に制御信号が出力される。
【0032】
さらに、電力管理装置34が充電ユニット16を管理して建屋1内の精米機9等の駆動電力に余裕があれば電気自動車Cのバッテリーに給電制御し、建屋1内の電力が不足するようであれば電気自動車Cのバッテリーから建屋1内の精米機9等に給電制御される。
【0033】
次に、精米設備の精米運転及び電力管理について
図10のフローチャート図に基づいて説明する。
【0034】
ステップS01~S10で、料金投入口14に料金を投入すると、開閉扉12が開き、利用者は玄米投入ホッパ6の投入口6aに玄米を投入する。次いで、精白度選択スイッチ21で所望の精白度を選択すると、機械室3内の装置各部が起動し、精米運転を開始する。玄米投入ホッパ6の玄米は昇降機7で石抜機8に供給され石抜き処理される。石抜き処理された玄米は昇降機7で精米機9に供給され精米処理される。
【0035】
ステップS02で充電スイッチがオンであれば、ステップS03の充電・精米運転が開始され、ステップS04の精米動力判定で給電設備50からの電力が充分であれば投入料金分だけ精米と電気自動車Cのバッテリーへの補充電が行われて終了される。
【0036】
ステップS04の精米動力判定で給電設備50からの電力が充分でなければ、精米運転に変更して投入料金分だけ精米されて終了する。
【0037】
ステップS02で充電スイッチがオンでなければ、ステップS11で給電スイッチがオンかを判断し、オンであればステップS12の給電・精米運転を開始し、ステップS13の判定で給電設備50からの電力が充分であれば投入料金分だけ精米と電気自動車Cのバッテリーへの補充電が行われて終了される。
【0038】
ステップS13の精米動力判定で給電設備50からの電力が充分でなければ、精米運転が停止される。
【0039】
ステップS11で給電スイッチがオフであれば、ステップS18の精米のみを開始し、ステップS19の判定で給電設備50からの電力が充分であれば投入料金分だけ精米運転が行われて終了するが、給電設備50からの電力が充分でなければ、精米運転が停止される。
【0040】
精米処理された精白米は白米タンク24に収容され、利用者が持参した袋に精白米を入れて持ち帰る。
【0041】
本実施の形態によると、精米運転と充電ユニット16による充電を共通の料金投入口14と操作盤15で利用できるので、簡易な構成にすることができる。
【0042】
なお、電気自動車Cのバッテリーへの充電は、投入した料金分は連続で運転し、途中で充電をやめても返金をしないようにしたり、料金を投入して一旦充電を始めると料金の追加投入はできないようにしたりしても良い。充電料金は管理者が任意に決定できるようにする。
【0043】
また、充電ユニット16と精米機9は、それぞれ別々に起動可能にし、充電ユニット16の起動中は、精米機9を停止するようにしても良い。
【0044】
また、この精米設備で使用する料金は現金だけでなく、キャッシュカードを使った電子マネーでも受け付けるようにすると良い。
【符号の説明】
【0045】
C 電気自動車
1 建屋
50 給電設備
9 精米機
34 電力管理装置
51 詰りセンサ
16 充電ユニット
38 米糠排出路