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特開2023-180161電動工具、電動工具システム、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180161
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】電動工具、電動工具システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20231213BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20231213BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231213BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20231213BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25B23/14 640M
B25B23/14 630Z
G06Q50/04
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093314
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀規
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅道
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚武
【テーマコード(参考)】
3C038
3C064
5L049
【Fターム(参考)】
3C038CA06
3C038EA02
3C064AA01
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA25
3C064BB89
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA43
3C064CA53
3C064CA71
3C064CA75
3C064CA78
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB95
3C064DA02
3C064DA36
3C064DA78
3C064EA02
3C064EA06
5L049CC03
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】作業結果のばらつきを低減する。
【解決手段】電動工具2は、駆動部23と、情報取得部211と、駆動制御部213と、を備える。駆動部23は、作業対象に対する作業を行う先端工具を駆動させる。情報取得部211は、作業対象に対する作業の作業者に関する作業者情報を取得する。駆動制御部213は、情報取得部211が取得した作業者情報に応じた制御内容で駆動部23を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象に対する作業を行う先端工具を駆動させる駆動部と、
前記作業の作業者に関する作業者情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記作業者情報に応じた制御内容で前記駆動部を制御する駆動制御部と、を備える
電動工具。
【請求項2】
前記情報取得部は、管理システムと通信を行い、前記管理システムから送信される前記作業者情報を受信する
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記作業の実行中に、前記作業者情報に応じた回転数で前記先端工具が回転するように前記駆動部を制御する
請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記作業の実行中に、前記作業者情報に応じて設定される第1回転数以下で前記先端工具が回転するように前記駆動部を制御する
請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記駆動制御部は、
前記作業の実行中の第1期間において、前記先端工具の回転数が、前記第1回転数よりも小さい第2回転数となるように前記駆動部を制御し、
前記第1期間の終了後の第2期間において、前記先端工具の回転数が、前記第1回転数となるように前記駆動部を制御する
請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記駆動制御部は、前記第2期間の終了後の第3期間において、前記先端工具の回転数が、前記第1回転数よりも小さい第3回転数となるように前記駆動部を制御する
請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電動工具と、管理システムと、を備え、
前記情報取得部は、前記管理システムから前記作業者情報を取得する
電動工具システム。
【請求項8】
作業対象に対する作業を行う先端工具を駆動させる駆動部を備える電動工具の制御方法であって、
前記作業の作業者に関する作業者情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した前記作業者情報に応じた制御内容で前記駆動部を制御する駆動制御ステップと、を含む
制御方法。
【請求項9】
コンピュータシステムに、請求項8に記載の制御方法を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電動工具、電動工具システム、制御方法及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、作業対象に対する作業に使用される電動工具、電動工具システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工具による作業対象に対する作業を管理する作業管理装置が知られている(特許文献1参照)。この作業管理装置は、作業情報取得部と、位置情報取得部と、作業対象情報取得部と、情報管理部と、を備える。作業情報取得部は、作業対象に対して作業を行うために使用される工具から作業対象に行った作業の内容に関する作業情報を取得する。位置情報取得部は、工具を用いて作業対象に対する作業が行われた場所の位置情報を取得する。作業対象情報取得部は、作業対象から読み取った情報をもとに作業対象を特定する作業対象情報を取得する。情報管理部は、作業情報と位置情報と作業対象情報とを対応付けて記憶部に記憶させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-91316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業管理装置の管理対象である工具が複数の異なる作業者によって使用される場合に、作業中に工具から伝わる反力に抗って工具を保持する力が作業者によって異なるため、同一作業であっても、作業者によって作業結果にばらつきが生じる可能性があった。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、作業結果のばらつきを低減する電動工具、電動工具システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、駆動部と、情報取得部と、駆動制御部と、を備える。前記駆動部は、作業対象に対する作業を行う先端工具を駆動させる。前記情報取得部は、前記作業の作業者に関する作業者情報を取得する。前記駆動制御部は、前記情報取得部が取得した前記作業者情報に応じた制御内容で前記駆動部を制御する。
【0007】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、前記電動工具と、管理システムと、を備える。前記情報取得部は、前記管理システムから前記作業者情報を取得する。
【0008】
本開示の一態様に係る制御方法は、作業対象に対する作業を行う先端工具を駆動させる駆動部を備える電動工具の制御方法である。前記制御方法は、前記作業の作業者に関する作業者情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得した前記作業者情報に応じた制御内容で前記駆動部を制御する駆動制御ステップと、を含む。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、前記制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、作業結果のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る電動工具システムのブロック図である。
図2図2は、同上の電動工具システムに用いられる電動工具の一例を示す概略図である。
図3図3は、同上の電動工具システムの概略的なシステム構成図である。
図4図4は、同上の電動工具システムの動作を説明するシーケンス図である。
図5図5は、同上の電動工具システムに用いられる電動工具の第1制御内容を説明するためのグラフである。
図6図6は、同上の電動工具システムに用いられる電動工具の第2制御内容を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態に係る電動工具2について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0013】
(1)概要
まず、本実施形態に係る電動工具2の概要について図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
電動工具2は、図1に示すように、駆動部23と、情報取得部211と、駆動制御部213と、を備える。
【0015】
駆動部23は、作業対象に対する作業を行う先端工具7(図2参照)を駆動させる。
【0016】
情報取得部211は、作業対象に対する作業の作業者に関する作業者情報を取得する。
【0017】
駆動制御部213は、情報取得部211が取得した作業者情報に応じた制御内容で駆動部23を制御する。
【0018】
ここにおいて、電動工具2は作業者が携帯して使用する可搬型の工具である。電動工具2を使用して行われる「作業」とは、例えばねじ又はボルトなどの締付部材を、被取付部材に締結する作業であり、この場合の「作業対象」は締付部材又は締付部材を用いて締結される被取付部材となる。なお、電動工具2を使用する「作業」及びその「作業対象」は上記のものに限定されず、適宜変更が可能である。
【0019】
また、ここにおいて、「作業者情報」とは、電動工具2を用いて作業を行う作業者に関する情報であり、例えば、個人を特定する情報と、身体能力情報と、を含む。個人を特定する情報は、氏名及びID情報の少なくとも一つを含む。
【0020】
作業者は、電動工具2による締結部材の締結作業の実行中に、電動工具2から反力を受ける。この場合、締結部材を回転させる先端工具7の回転数が高くなるほど、作業者への反力は大きくなる。このとき、作業者は、反力に抗って、電動工具2が不安定にならないように電動工具2を保持する必要があるが、反力に抗って電動工具2を保持する力(保持力)は各作業者によって異なる。したがって、各作業者に対して同じ反力が働くように、駆動部23を制御した場合、保持力が弱い作業者は電動工具2を安定的に保持できず、締結作業を適切に実施できない可能性がある。
【0021】
本実施形態の電動工具2は、各作業者の作業者情報に応じて、電動工具2の駆動部23を各作業者に適した制御内容で制御することができる。一例として、電動工具2は、各作業者の作業者情報に応じて、先端工具7を各作業者に適した回転数で回転させるように駆動部23を制御することができる。具体的には、電動工具2は、保持力が弱い作業者に対しては、保持力が強い作業者と比較して低い回転数で先端工具7を回転させるように駆動部23を制御することができる。これにより、保持力が弱い作業者が電動工具2から受ける反力は、保持力が強い作業者が電動工具2から受ける反力と比較して小さくなる。したがって、本実施形態の電動工具2によれば、保持力が弱い作業者でも作業の実行中に電動工具2を安定的に保持することができ、作業を適切に行うことができるため、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0022】
(2)詳細
以下、実施形態に係る電動工具システム1の詳細について説明する。
【0023】
(2.1)構成
以下、電動工具システム1の構成について、図1図3を参照して説明する。
【0024】
本実施形態の電動工具システム1は、例えば、工場において製品の組立作業を行う組立ラインに用いられる。なお、電動工具システム1の使用用途は、工場の組立ラインに限らず、他の使用用途であってもよい。電動工具システム1は、例えば、建設工事等の施工現場において建築物を施工する作業に用いられてもよい。
【0025】
電動工具システム1は、図3に示すように、電動工具2と、管理システム3と、を備える。管理システム3は、受信機4と、上位装置5と、を備える。管理システム3は、受信機4を介して電動工具2に設定情報を送信する。ここで、「設定情報」は、電動工具2を使用して行う作業の作業内容に関する情報を含む。電動工具2を使用して行う作業が締付部材の締付作業である場合、設定情報は、締付トルクに関する情報を含むのが好ましい。締付トルクに関する情報は、締付トルクの設定値(トルク値)でもよいし、電動工具2がインパクト工具の場合は打撃回数でもよい。
【0026】
受信機4と、上位装置5とは、例えばEthernet(登録商標)等の有線ネットワーク6を介して接続されている。なお、図3では電動工具2の数が1つであるが、1つの受信機4が通信可能な電動工具2の数は1つに限定されず、2つ以上でもよく、適宜変更が可能である。また、図3では受信機4の数が1つであるが、1つの上位装置5に複数の受信機4が接続されてもよく、受信機4の数は適宜変更が可能である。
【0027】
次に、電動工具システム1を構成する各機器の詳細について図1を参照して説明する。
【0028】
(2.1.1)電動工具
電動工具2は、図1に示すように、制御部21と、操作部22と、駆動部23と、センサ部24と、第1通信部25と、電源部26と、記憶部27と、表示部28と、を備える。
【0029】
また、図2に示すように、電動工具2は、各部を収容又は保持するためのボディ200を備えている。ボディ200は、筒形状の胴体部201と、胴体部201の周面から径方向に突出する握り部202とを備える。胴体部201の軸方向における一端側からは出力軸231が突出している。出力軸231には、作業対象の締付部材に合わせた先端工具7(例えばドライバービットなど)が着脱自在に取り付けられるソケット232が設けられている。握り部202の一端(図2における下端)には、樹脂製のケース内に電源部26を収納した電池パック203が着脱自在に取り付けられている。
【0030】
制御部21は、駆動部23、センサ部24、第1通信部25等の動作を制御する。制御部21は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部21として機能する。プログラムは、ここでは制御部21のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部21は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。制御部21を構成するマイクロコントローラ(回路基板等)は、例えば握り部202の内部に収容されている。
【0031】
制御部21は、情報取得部211、制御内容設定部212及び駆動制御部213を有する。
【0032】
情報取得部211は、管理システム3から作業の作業者に関する作業者情報を取得する。詳細には、情報取得部211は、第1通信部25を介して、管理システム3と通信を行い、管理システム3から送信される作業者情報を受信する。
【0033】
制御内容設定部212は、駆動部23の複数の制御内容のなかから、情報取得部211が取得した作業者情報に応じた制御内容を設定する。なお、本実施形態では、制御内容には駆動部23が回転させる先端工具7の回転数が含まれる。ここでいう「回転数」とは、単位時間当たりに先端工具7が回転する回数を示す。
【0034】
駆動制御部213は、制御内容設定部212が設定した制御内容で駆動部23を制御する。換言すると、駆動制御部213は、情報取得部211が取得した作業者情報に応じた制御内容で駆動部23を制御する。具体的には、駆動制御部213は、作業の実行中に、作業者情報に応じた回転数で先端工具7が回転するように駆動部23を制御する。
【0035】
なお、情報取得部211、制御内容設定部212及び駆動制御部213は制御部21によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0036】
操作部22は、握り部202に設けられたトリガスイッチ221を備える。トリガスイッチ221は、駆動部23を動作させるための操作を受け付ける。詳細には、トリガスイッチ221が作業者等により操作されると、トリガスイッチ221の引き込み量(操作量)に比例した大きさの入力信号が、駆動制御部213に入力される。駆動制御部213は、駆動部23の動作状態を操作部22からの入力信号に基づいて制御する。具体的には、駆動制御部213は、操作部22からの入力信号に応じた回転数で回転するように、駆動部23を制御してモータ233の回転数(速度)を調整する。
【0037】
駆動部23は、モータ233に加えて、駆動回路(図示せず)と、インパクト機構234と、出力軸231と、を備えている。駆動部23は、例えばねじ又はボルトなどの締付部材である作業対象に対する作業を行う先端工具7を駆動させる。詳細には、駆動回路は、駆動制御部213から入力される制御信号に応じて、モータ233の回転を制御する。モータ233の回転は、インパクト機構234を介して出力軸231及び出力軸231にソケット232を介して取り付けられる先端工具7に伝達される。出力トルクが所定レベル以下であれば、インパクト機構234は、モータ233の出力軸の回転を減速して出力軸231及び先端工具7に伝達する。出力トルクが所定レベルを超えると、インパクト機構234は、出力軸231及び先端工具7に打撃力を加えて、作業対象の締結部材を回転させるように構成されている。図2に示すように、モータ233及びインパクト機構234は、胴体部201の内部に収容されている。なお、駆動部23がインパクト機構234を備えることは必須ではなく、駆動部23は、モータ233の出力軸の回転を減速して出力軸231及び先端工具7に伝達する減速機構(例えば遊星歯車機構)のみを有してもよい。つまり、電動工具2はインパクト工具に限定されず、スクリュードライバー及びドリルドライバー等の回転工具であってもよい。
【0038】
センサ部24は、駆動部23による締付トルクを測定する。センサ部24は、出力軸231に取り付けられた磁歪式のトルクセンサ241を備えている。磁歪式のトルクセンサ241は、モータ233の出力軸にトルクが加わることにより発生する歪みに応じた透磁率の変化を、非回転部分に設置したコイルで検出し、歪みに比例した電圧信号を出力する。これによりセンサ部24は、出力軸231に加わったトルクを測定する。つまり、センサ部24は、電動工具2が作業対象に与えるトルク(締付トルク)を測定する。センサ部24は、測定したトルク(締付トルク)を制御部21へ出力する。なお、センサ部24はトルクセンサ241を備えるものに限定されず、回転センサによって検出されたモータ233の出力軸の回転数の変化を締付トルク値に変換するものを含む。
【0039】
駆動制御部213は、締付トルクが設定情報に基づいて設定されるトルク設定値となるように駆動部23を制御する。駆動制御部213は、例えば、トルクセンサ241で測定された締付トルクが、トルク設定値に達すると、モータ233の回転を停止させる。なおトルク設定値は変更可能であり、受信機4から電動工具2に送信される設定情報に基づいて駆動制御部213によって変更される。
【0040】
第1通信部25は、例えばWi-Fi(登録商標)に準拠した近距離無線通信を行う通信モジュールである。第1通信部25は、この種の通信方式で、受信機4との間で無線通信を行う。なお、第1通信部25と受信機4との間の無線通信の方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信であってもよい。また、第1通信部25は、通信線を介して有線通信を行う通信モジュールであってもよい。この場合、第1通信部25は、受信機4と例えばEthernet等の有線ネットワークを介して有線通信を行う通信モジュールである。
【0041】
第1通信部25は、例えば、握り部202の内部に収容されており、第1通信部25のアンテナ251は、胴体部201の内部に収容されている。
【0042】
電源部26は、蓄電池を備えている。電源部26は、電池パック203内に収容されている。電池パック203は、樹脂製のケース内に電源部26を収容して構成されている。電池パック203を握り部202から取り外し、取り外した電池パック203を充電器に接続することによって、電源部26の蓄電池を充電することができる。電源部26は、蓄電池に充電された電力で、制御部21を含む電気回路とモータ233とに動作に必要な電力を供給する。
【0043】
記憶部27は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、不揮発性メモリを含む。不揮発性メモリには、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等がある。記憶部27は、制御部21が実行する制御プログラムを記憶する。具体的には、記憶部27は、駆動部23の複数の制御内容を記憶する。また記憶部27は、管理システム3から受信した設定情報、及び、設定情報に基づいて行った作業の実行を示す作業結果を記憶する。作業結果は、例えば、作業を実行したことを示す情報でもよいし、作業の実行結果に関する情報でもよい。作業が締付部材の締付作業である場合、作業の実行結果に関する情報は、例えば、センサ部24が測定した締付トルクの測定値等の情報を含むことが好ましい。また記憶部27は、個々の電動工具2に割り当てられた識別情報や、個々の電動工具2の品種(例えば製造メーカとその製造メーカで決められた品番とを含む情報)などの情報(工具種別の情報)を記憶する。ここで、識別情報は、例えば電動工具2に割り当てられるIPアドレスを含むことが好ましい。
【0044】
表示部28は、例えば、ボディ200の表面に露出して設けられた、2桁の7セグメントLED(Light Emitting Diode)を有する。また、表示部28は、ボディ200の表面に露出して設けられた、例えば青色発光ダイオードと赤色発光ダイオードとを有している。
【0045】
(2.1.2)受信機
受信機4は、図1に示すように、第2通信部41と、第3通信部42と、制御部43と、操作部44と、表示部45と、記憶部46と、を備えている。
【0046】
制御部43は、第2通信部41、第3通信部42、表示部45等の動作を制御する。制御部43は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部43として機能する。プログラムは、ここでは制御部43のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部43は、例えば、FPGA、又はASIC等で構成されてもよい。
【0047】
第2通信部41は、電動工具2の第1通信部25と同じ通信方式(例えばWi-Fi)で、近距離の無線通信を行う通信モジュールである。第2通信部41は、電動工具2の第1通信部25と無線通信を行う。
【0048】
第3通信部42は、通信線を介して有線通信を行う通信モジュールである。第3通信部42は、上位装置5の第4通信部51と例えばEthernet等の有線ネットワーク6を介して有線通信を行う。
【0049】
操作部44は、作業者の操作を受け付ける操作スイッチ等を含む。
【0050】
表示部45は、例えば複数の発光ダイオードを含み、複数の発光ダイオードの点灯、点滅、又は消灯により受信機4の動作状態等を表示する。なお表示部45は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置を含んでもよい。
【0051】
記憶部46は、例えば、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ(例えば、EEPROM又はフラッシュメモリ等)を含む。記憶部46は、電動工具2に設定する設定情報、電動工具2から受信した作業結果等を電動工具2の識別情報と対応付けて記憶する。これにより、記憶部46は、複数の電動工具2の各々について、電動工具2に送信する設定情報及び電動工具2から受信した作業結果を記憶することができる。また、記憶部46は、個々の受信機4に割り当てられた識別情報や、個々の受信機4の品種(例えば製造メーカとその製造メーカで決められた品番とを含む情報)などの情報を記憶する。ここで、識別情報は、例えば受信機4に割り当てられるIPアドレスを含む。なお、記憶部46は、駆動部23の複数の制御内容を記憶していてもよい。
【0052】
(2.1.3)上位装置
上位装置5は、例えばサーバである。上位装置5は、第4通信部51と、記憶部52と、制御部53と、を備えている。
【0053】
第4通信部51は、通信線を介して有線通信を行う通信モジュールである。第4通信部51は、受信機4の第3通信部42と例えばEthernet等の有線ネットワーク6を介して有線通信を行う。
【0054】
記憶部52は、例えば、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ(例えば、EEPROM又はフラッシュメモリ等)を含む。記憶部52は、複数の電動工具2の各々について、電動工具2を使用して行う作業の設定情報、及び電動工具2が行った作業の作業結果の履歴等を、電動工具2の識別情報と対応付けて記憶する。また記憶部52は、複数の作業者に各々対応する複数の作業者情報を記憶する。なお、記憶部52は、駆動部23の複数の制御内容を記憶していてもよい。
【0055】
制御部53は、第4通信部51等の動作を制御する。制御部53は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部53として機能する。プログラムは、ここでは制御部53のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部53は、例えば、FPGA、又はASIC等で構成されてもよい。
【0056】
制御部53は、電動工具2が行う作業の設定情報を第4通信部51から受信機4に対して送信させる。
【0057】
また制御部53は、第4通信部51が受信機4から受信した、電動工具2が行った作業の作業結果の履歴を記憶部52に記憶させる。
【0058】
(2.2)動作説明
次に、電動工具システム1の動作を、シーケンス図である図4等に基づいて説明する。
【0059】
(2.2.1)動作フロー
図4は、電動工具2を用いた1つの作業(所定作業)が実行されるまでの動作フローを説明するシーケンス図である。所定作業は、一例として、1つの締結部材(ねじ等)の締結作業であるとする。なお、所定作業は、複数の締結部材の締結作業を含んでもよい。また、図4に示すシーケンス図は、本実施形態に係る電動工具システム1の動作の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0060】
上位装置5の記憶部52には、所定作業の設定情報及び所定作業を行う作業者の作業者情報が記憶されているものとする。また、所定作業を開始する初期状態では、受信機4と電動工具2との間の無線通信が可能な状態であるものとして動作を説明する。
【0061】
上位装置5の制御部53は、所定作業を開始させるため、所定作業の設定情報及び作業者情報を記憶部52から読み出す。そして、制御部53は、設定情報及び作業者情報を第4通信部51から受信機4の第3通信部42に送信させる(ステップST1)。
【0062】
第3通信部42が設定情報及び作業者情報の受信を完了すると、受信機4の制御部43は、第2通信部41から電動工具2の第1通信部25に設定情報及び作業者情報を送信させる(ステップST2)。
【0063】
電動工具2の制御部21の情報取得部211は、第1通信部25を介して、設定情報及び作業者情報を受信する。設定情報及び作業者情報の受信を完了すると、情報取得部211は、第1通信部25から送信元の受信機4へ応答信号を送信させ(ステップST3)、設定情報及び作業者情報を記憶部27が有する不揮発性メモリに記憶する。
【0064】
設定情報及び作業者情報が記憶部27に記憶されると、制御部21の制御内容設定部212は、予め記憶部27に記憶されている駆動部23の複数の制御内容のなかから、作業者情報に応じた制御内容を設定する(ステップST4)。なお、ここでいう複数の制御内容は、所定作業を行う可能性のある複数の作業者に各々対応している。駆動部23の制御内容の設定については、「(2.2.2)制御内容の具体例」にて詳細に説明する。
【0065】
制御内容設定部212は、駆動部23の制御内容の設定が完了したことを表示部28にて表示してもよい。
【0066】
制御内容の設定完了後、作業者が電動工具2の操作部22を操作すると(ステップST5)、制御部21の駆動制御部213は、設定情報で規定された締付トルク及び作業者情報に応じた制御内容で締付部材(ねじ)の締付作業を行うように駆動部23を制御し、所定作業を行う(ステップST6)。
【0067】
(2.2.2)制御内容の具体例
以下に、駆動部23の制御内容の具体例について、図5及び図6を用いて詳細に説明する。
【0068】
以下の説明において、所定作業を行う可能性がある複数の作業者には、所定作業中に反力に抗って電動工具2を安定的に保持する保持力を十分に備えている第1作業者と、第1作業者と比べて保持力が不十分である第2作業者を含むとする。つまり、上位装置5の記憶部52に記憶されている複数の作業者情報は、第1作業者の第1作業者情報及び第2作業者の第2作業者情報を含む。また、電動工具2の記憶部27に記憶されている複数の制御内容は、第1作業者に対応する第1制御内容及び第2作業者に対応する第2制御内容を含む。
【0069】
したがって、所定作業が第1作業者によって行われる場合には、「(2.2.1)動作フロー」において示した動作フローのステップST1において、第1作業者情報が送信され、ステップST4において第1制御内容が設定される。また、所定作業が第2作業者によって行われる場合には、ステップST1において、第2作業者情報が送信され、ステップST4において第2制御内容が設定される。
【0070】
まず、第1制御内容について、図5を参照して説明する。なお、図5において、駆動部23が回転させる先端工具7の回転数の時間変化を実線で示し、所定作業の実行中に第1作業者が電動工具2から受ける反力の時間変化を破線で示す。
【0071】
制御内容設定部212によって駆動部23の制御内容が第1制御内容に設定された後の時点t0において、第1作業者が電動工具2の操作部22を操作すると、駆動制御部213は、駆動部23を制御し、先端工具7の回転数をゼロから増加させる。このとき、先端工具7の回転数の増加に伴って第1作業者が受ける反力も急激に増加するため、第1作業者は、反力に抗って電動工具2を保持する。具体的には、所定作業の開始後に反力は、反力F1に達する。このとき、先端工具7の回転数は、例えば最大回転数である第1回転数R2よりも小さい回転数R1である。
【0072】
反力が反力F1に達した後、反力は減少する。駆動制御部213は、時点t1以後も、第1作業者情報に応じて設定される第1回転数R2に達するまで先端工具7の回転数を増加させる。
【0073】
時点t2において先端工具7の回転数が最大回転数である第1回転数R2に達した後、駆動制御部213は、回転数を第1回転数R2に維持する。換言すると、駆動制御部213は、所定作業の実行中に、第1作業者情報に応じて設定される第1回転数R2以下で先端工具7が回転するように駆動部23を制御する。
【0074】
ここで、第1制御内容においては、駆動制御部213が、先端工具7の回転数を第1回転数R2まで一度に上昇させることで所定作業にかかる時間を短縮することができる。
【0075】
時点t3において、ねじ等の締結部材の頭部座面が被取付部材に着座すると、先端工具7は締結部材の頭部座面と被取付部材との間に発生する摩擦力に抗って回転するため、反力が再び増加を開始する。
【0076】
時点t4において、トルクセンサ241で測定された締付トルクが、インパクト機構234がインパクト動作を開始する所定レベルに達すると、インパクト機構234によって、一時的に先端工具7にモータ233の回転力が伝わらなくなる。このとき、先端工具7は、慣性によって回転を続けようとするため、反力は時点t4以後も上昇を続け、先端工具7の回転が完全に停止する時点t5までに反力F2に達する。
【0077】
時点t5で先端工具の回転が完全に停止すると、反力は反力F2からゼロに減少する。
【0078】
時点t5以後は、電動工具2の動作は、例えば駆動部23が備えるインパクト機構234が先端工具7に打撃力を加えるインパクト動作に移行する。インパクト動作は、締付トルクが設定情報に基づいて設定されているトルク設定値に達するまで継続される。なお、電動工具2がインパクト機構234を備えていない場合、時点t4において締付トルクが設定情報に基づいて設定されているトルク設定値に達した場合に、駆動制御部213がモータ233の回転を停止させ、先端工具7の回転が完全に停止する時点t5において所定作業は完了する。
【0079】
次に、第2制御内容について、図6を参照して説明する。図6において、駆動部23が回転させる先端工具7の回転数の時間変化を実線で示し、所定作業の実行中に第2作業者が電動工具2から受ける反力の時間変化を破線で示す。
【0080】
制御内容設定部212によって駆動部23の制御内容が第2制御内容に設定された後の時点t10において、第2作業者が電動工具2の操作部22を操作すると、駆動制御部213は、駆動部23を制御し、先端工具7の回転数を上昇させる。
【0081】
時点t11において先端工具7の回転数が回転数R11に達し、反力が反力F11に達した後、反力は時点t12までに反力F12まで減少する。駆動制御部231は、時点t11以後も、第2作業者情報に応じて設定される第2回転数R12に達するまで先端工具7の回転数を増加させる。
【0082】
時点t12において先端工具7の回転数が第2回転数R12に達すると、駆動制御部213は、時点t13までの間、回転数を第2回転数R12に維持する。ここで、第2回転数R12は、最大回転数である第1回転数R2よりも小さい回転数である。換言すると、駆動制御部213は、所定作業の実行中の時点t12から時点t13までの第1期間T1において、先端工具7の回転数が、第1回転数R2よりも小さい第2回転数R12となるように駆動部23を制御する。第1期間T1において、反力は反力F12で一定となっている。
【0083】
ここで、第2制御内容において、駆動制御部213が、先端工具7の回転数を第1回転数R2まで一度に上昇させずに、第1回転数R2よりも小さい第2回転数R12までの上昇に留めることで、反力の上昇が第1制御内容と比べて抑制される。具体的には、締結部材の着座前の反力のピーク値である反力F11は、第1制御内容における締結部材の着座前の反力のピーク値である反力F1よりも小さい値となる。これにより、第1作業者と比較して保持力が不十分な第2作業者でも、締結部材の着座前において電動工具2を安定的に保持することができる。
【0084】
時点t13において、駆動制御部213は、駆動部23を制御し、先端工具7の回転数を増加させる。時点t13から時点t14の間に、反力は反力F12から反力F13まで増加する。反力F13は、反力F12より大きく、反力F11よりも小さい値である。
【0085】
時点t14において先端工具7の回転数が第1回転数R2に達すると、駆動制御部213は、時点t15まで回転数を第1回転数R2に維持する。換言すると、駆動制御部213は、第1期間T1の終了後の第2期間T2(時点t14から時点t15までの期間)において、先端工具7の回転数が、第1回転数R2となるように駆動部23を制御する。第2期間T2において、反力は反力F13で一定となっている。
【0086】
時点t15において、駆動制御部213は、駆動部23を制御し、先端工具7の回転数を第1回転数R2から減少させる。時点t15から時点t16までの間に、反力は反力F13から反力F12まで減少する。
【0087】
時点t16において先端工具7の回転数が第3回転数R13に達すると、駆動制御部213は、締付トルクがトルク設定値に達する時点t18までの間、回転数を第3回転数R13に維持する。換言すると、駆動制御部213は、第2期間T2の終了後の第3期間T3(時点t16から時点t18までの期間)において、先端工具7の回転数が、第1回転数R2よりも小さい第3回転数R13となるように駆動部23を制御する。本実施形態では、第3回転数R13は、第2回転数R12と同じ回転数であるが、第3回転数R13は、第2回転数R12とは異なる回転数であってもよい。
【0088】
時点t16と時点t18との間の時点t17において、ねじ等の締結部材の頭部座面が被取付部材に着座すると、先端工具7は締結部材の頭部座面と被取付部材との間に発生する摩擦力に抗って回転するため、反力が反力F12から急激に増加を開始する。
【0089】
時点t18において、締付トルクがトルク設定値に達すると、駆動制御部213はモータ233の回転を停止させる。このとき、先端工具7は、慣性によって回転を続けようとするため、反力は時点t18以後も上昇を続け、先端工具7の回転が完全に停止する時点t19までに反力F14に達する。
【0090】
時点t19で先端工具の回転が完全に停止すると、反力は反力F14からゼロに減少する。
【0091】
ここで、第2制御内容において、駆動制御部213が、先端工具7の回転数を第1回転数R2からゼロまで一度に減少させずに、第1回転数R2より小さい第3回転数R13に維持する第3期間T3を設けることにより、締付部材の被取付部材への着座後の反力の上昇が第1制御内容と比べて抑制される。具体的には、締付部材の被取付部材への着座後の反力のピーク値である反力F12は、第1制御内容における締付部材の被取付部材への着座後の反力のピーク値である反力F2よりも小さい値となる。これにより、第1作業者と比較して保持力が不十分な第2作業者でも、締付部材の被取付部材への着座後において電動工具2を安定的に保持することができる。
【0092】
以上のように、本実施形態の電動工具システム1では、電動工具2による所定作業において、駆動部23を第1作業者及び第2作業者を含む複数の作業者の各々に適した制御内容で制御することができるため、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0093】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0094】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。また、電動工具システム1と同様の機能は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0095】
上記の実施形態に係る制御方法は、作業対象に対する作業を行う先端工具7を駆動させる駆動部23を備える電動工具2の制御方法である。制御方法は、作業の作業者に関する作業者情報を取得する情報取得ステップと、情報取得ステップで取得した作業者情報に応じた制御内容で駆動部23を制御する駆動制御ステップと、を含む。また、上記の実施形態に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、上述の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0096】
制御内容は、先端工具7の回転数の単位時間当たりの増加量を含んでもよい。つまり、駆動制御部213は、情報取得部211が取得した作業者情報に応じて、先端工具7の回転数の単位時間当たりの増加量を変化させることで、作業者が作業の実行中に電動工具2から受ける反力の大きさを制御してもよい。
【0097】
本開示における電動工具システム1又は制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電動工具システム1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0098】
上記の実施形態では、管理システム3の機能が、受信機4と上位装置5とに分散されていたが、受信機4及び上位装置5の機能が一つの筐体内に集約されてもよい。
【0099】
(4)まとめ
以上述べたように、第1の態様に係る電動工具(2)は、駆動部(23)と、情報取得部(211)と、駆動制御部(213)と、を備える。駆動部(23)は、作業対象に対する作業を行う先端工具(7)を駆動させる。情報取得部(211)は、作業対象に対する作業の作業者に関する作業者情報を取得する。駆動制御部(213)は、情報取得部(211)が取得した作業者情報に応じた制御内容で駆動部(23)を制御する。
【0100】
この態様によれば、複数の作業者の各々に最適な制御内容で駆動部(23)を制御することができ、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0101】
第2の態様に係る電動工具(2)では、第1の態様において、情報取得部(211)は、管理システム(3)と通信を行い、管理システム(3)から送信される作業者情報を受信する。
【0102】
この態様によれば、管理システム(3)に記憶された作業者情報を、電動工具(2)において必要なタイミングで利用することができる。
【0103】
第3の態様に係る電動工具(2)では、第1又は第2の態様において、駆動制御部(213)は、作業の実行中に、作業者情報に応じた回転数で先端工具(7)が回転するように駆動部(23)を制御する。
【0104】
この態様によれば、複数の作業者の各々に最適な回転数で先端工具(7)が回転するように駆動部(23)を制御することができ、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0105】
第4の態様に係る電動工具(2)では、第3の態様において、駆動制御部(213)は、作業の実行中に、作業者情報に応じて設定される第1回転数(R2)以下で先端工具(7)が回転するように駆動部(23)を制御する。
【0106】
この態様によれば、複数の作業者の各々に最適な第1回転数(R2)以下で先端工具(7)が回転するように駆動部(23)を制御することができ、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0107】
第5の態様に係る電動工具(2)では、第4の態様において、駆動制御部(213)は、作業の実行中の第1期間(T1)において、先端工具(7)の回転数が、第1回転数(R2)よりも小さい第2回転数(R12)となるように駆動部(23)を制御し、第1期間(T1)の終了後の第2期間(T2)において、先端工具(7)の回転数が、第1回転数(R2)となるように駆動部(23)を制御する。
【0108】
この態様によれば、先端工具(7)の回転数を段階的に増加させることで、電動工具(2)から作業者に伝わる反力を低減することができる。
【0109】
第6の態様に係る電動工具(2)では、第5の態様において、駆動制御部(213)は、第2期間(T2)の終了後の第3期間(T3)において、先端工具(7)の回転数が、第1回転数(R2)よりも小さい第3回転数(R13)となるように駆動部(23)を制御する。
【0110】
この態様によれば、先端工具(7)の回転数を段階的に減少させることで、電動工具(2)から作業者に伝わる反力を低減することができる。
【0111】
第7の態様に係る電動工具システム(1)は、第1~第6のいずれかの態様の電動工具(2)と、管理システム(3)と、を備える。情報取得部(211)は、管理システム(3)から作業者情報を取得する。
【0112】
この態様によれば、複数の作業者の各々に最適な制御内容で駆動部(23)を制御することができ、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0113】
第8の態様に係る制御方法は、作業対象に対する作業を行う先端工具(7)を駆動させる駆動部(23)を備える電動工具(2)の制御方法である。制御方法は、作業の作業者に関する作業者情報を取得する情報取得ステップと、情報取得ステップで取得した作業者情報に応じた制御内容で駆動部(23)を制御する駆動制御ステップと、を含む。
【0114】
この態様によれば、複数の作業者の各々に最適な制御内容で駆動部(23)を制御することができ、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0115】
第9の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、第8の態様の制御方法を実行させる。
【0116】
この態様によれば、複数の作業者の各々に最適な制御内容で駆動部(23)を制御することができ、作業者による作業結果のばらつきを低減することができる。
【0117】
第2~第6の態様に係る構成については、電動工具(2)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 電動工具システム
2 電動工具
3 管理システム
7 先端工具
23 駆動部
211 情報取得部
213 駆動制御部
R2 第1回転数
R12 第2回転数
R13 第3回転数
T1 第1期間
T2 第2期間
T3 第3期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6