(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180162
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】インパクト回転工具
(51)【国際特許分類】
B25B 21/02 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
B25B21/02 Z
B25B21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093316
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小沢 公孝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】本田 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】植田 尊大
(72)【発明者】
【氏名】草川 隆司
(57)【要約】
【課題】本開示は、インパクト回転工具のハウジングから発生する音を小さくすることを目的とする。
【解決手段】インパクト回転工具1は、ハンマ5と、アンビル6と、出力軸7と、ハウジング2と、軸受(第2軸受92)と、を備える。軸受(第2軸受92)は、出力軸7を回転可能に支持する。ハウジング2は、筒状の第1部位211aと、筒状の第2部位211bと、を有する。第1部位211aは、軸受(第2軸受92)を囲むように設けられ、軸受(第2軸受92)を保持する。第2部位211bは、第1部位211aの後側に配置されている。第1部位211aは、出力軸7から軸受(第2軸受92)を介して前向きの力が伝達されるように構成される。第1部位211aの厚さT1は、第2部位211bの厚さT2よりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータから動力を得て回転するハンマと、
前記ハンマから前記ハンマの回転方向の打撃力を受けて回転するアンビルと、
前記アンビルの前側に配置され、先端工具を保持するよう構成され、前記アンビルと共に回転する出力軸と、
前記ハンマと前記アンビルとを収容するハウジングと、
前記出力軸を回転可能に支持する軸受と、を備え、
前記ハウジングは、
前記軸受を囲むように設けられ、前記軸受を保持する筒状の第1部位と、
前記第1部位の後側に配置された筒状の第2部位と、を有し、
前記第1部位は、前記出力軸から前記軸受を介して前向きの力が伝達されるように構成され、
前記第1部位の厚さは、前記第2部位の厚さよりも大きい、
インパクト回転工具。
【請求項2】
前記出力軸は、
前後方向に沿った円柱状の柱部と、
前記柱部の後端につながった段部と、を有し、
前記軸受は、前記柱部を囲むように設けられ、
前記前側から見て、前記段部は、前記柱部の中心から離れる向きに突出しており、
前記第1部位は、前記段部から前記軸受を介して前記前向きの力が伝達されるように構成される、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項3】
前後方向において弾性変形する弾性部材を含む緩衝部材を更に備え、
前記出力軸は、前記アンビルと別体であり、前記アンビルから前記アンビルの回転方向の力を受けて前記アンビルと共に回転し、
前記緩衝部材は、前記アンビルと前記出力軸との間に挟まれている、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項4】
前記第2部位は、前記ハンマを囲むように設けられる、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項5】
前記第1部位は、前記第2部位と一体に形成されている、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項6】
前記第1部位の外径は、前記第2部位の外径よりも小さい、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項7】
前記第2部位は、前記第2部位の前端を含む前端部を有し、
前記前端部は、前記後側ほど外径が大きい円錐台状に形成されている、
請求項6に記載のインパクト回転工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にインパクト回転工具に関する。本開示は、より詳細には、出力軸を回転可能に支持する軸受をハウジングにより保持した、インパクト回転工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインパクト回転工具は、モータと、駆動軸と、ハンマと、スプリングと、アンビルと、出力軸と、軸受と、スラストリングと、本体(ハウジング)と、を有する。モータによって回転駆動される駆動軸は、その回転力をハンマに伝達する。ネジ・ボルト等の締付若しくは緩めの作業を行っている際に、負荷が大きくなってくると、モータからの回転エネルギーとスプリングとの反力とによって、ハンマは、アンビルを回転方向に沿う方向へ打撃する。この打撃による衝撃がドライバビットに加えられる。スプリングの反力による軸方向の衝撃は、軸受とアンビルとの間に設けられたスラストリングによって受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1に記載のインパクト回転工具では、軸方向の衝撃が、スラストリングによって受けられる。軸方向の衝撃は、スラストリングを介して、ハウジングに伝達し得る。これにより、ハウジングが振動して音が発生する可能性がある。特に、音が大きいと、騒音とみなされる可能性がある。
【0005】
本開示は、ハウジングから発生する音が小さいインパクト回転工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るインパクト回転工具は、ハンマと、アンビルと、出力軸と、ハウジングと、軸受と、を備える。前記ハンマは、モータから動力を得て回転する。前記アンビルは、前記ハンマから前記ハンマの回転方向の打撃力を受けて回転する。前記出力軸は、前記アンビルの前側に配置され、先端工具を保持するよう構成され、前記アンビルと共に回転する。前記ハウジングは、前記ハンマと前記アンビルとを収容する。前記軸受は、前記出力軸を回転可能に支持する。前記ハウジングは、筒状の第1部位と、筒状の第2部位と、を有する。前記第1部位は、前記軸受を囲むように設けられ、前記軸受を保持する。前記第2部位は、前記第1部位の後側に配置されている。前記第1部位は、前記出力軸から前記軸受を介して前向きの力が伝達されるように構成される。前記第1部位の厚さは、前記第2部位の厚さよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示のインパクト回転工具は、ハウジングから発生する音が小さいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るインパクト回転工具の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のインパクト回転工具の断面図である。
【
図3】
図3は、同上のインパクト回転工具の要部の正面図である。
【
図4】
図4は、同上のインパクト回転工具の要部の、前方から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のインパクト回転工具の要部の、後方から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6は、同上のインパクト回転工具のアンビル及び出力軸の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のインパクト回転工具のアンビル及び出力軸の断面斜視図である。
【
図8】
図8は、同上のインパクト回転工具のアンビル及び出力軸の断面斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係るインパクト回転工具の要部の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例2に係るインパクト回転工具の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、実施形態に係るインパクト回転工具1について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(概要)
図1、
図2に示すように、本実施形態のインパクト回転工具1は、ハンマ5と、アンビル6と、出力軸7と、ハウジング2と、軸受(第2軸受92)と、を備える。ハンマ5は、モータ3から動力を得て回転する。アンビル6は、ハンマ5からハンマ5の回転方向の打撃力を受けて回転する。出力軸7は、アンビル6の前側に配置され、先端工具を保持するよう構成され、アンビル6と共に回転する。ハウジング2は、ハンマ5とアンビル6とを収容する。軸受(第2軸受92)は、出力軸7を回転可能に支持する。ハウジング2は、筒状の第1部位211aと、筒状の第2部位211bと、を有する。第1部位211aは、軸受(第2軸受92)を囲むように設けられ、軸受(第2軸受92)を保持する。第2部位211bは、第1部位211aの後側に配置されている。第1部位211aは、出力軸7から軸受(第2軸受92)を介して前向きの力が伝達されるように構成される。例えば、ハンマ5からアンビル6を介して出力軸7に伝達される力により出力軸7が前後方向に振動し、このような出力軸7の振動による力のうち前向きの成分が、出力軸7から軸受(第2軸受92)を介して第1部位211aに伝達される。第1部位211aの厚さT1は、第2部位211bの厚さT2よりも大きい。
【0011】
上記の構成によれば、出力軸7から軸受(第2軸受92)を介して第1部位211aに、前向きの力が伝達される。これにより、第1部位211aが振動し得るが、第1部位211aは第2部位211bと比較して厚いので、第1部位211aの振動は、比較的低振幅(つまり、音が小さい)、かつ、比較的高周波数の振動となる。さらに、第1部位211aから第2部位211bに振動が伝達される場合には、第1部位211aと第2部位211bとの厚さの違いによる共振周波数の違いに起因して、振動が減衰する。よって、ハウジング2から発生する音を小さくすることができる。
【0012】
また、
図1、
図2に示すように、本実施形態のインパクト回転工具1は、ハンマ5と、アンビル6と、出力軸7と、ハウジング2と、軸受(第1軸受91)と、緩衝部材8と、を備える。ハンマ5は、モータ3から動力を得て回転する。アンビル6は、ハンマ5からハンマ5の回転方向の打撃力を受けて回転する。出力軸7は、先端工具を保持するよう構成され、アンビル6からアンビル6の回転方向の力を受けてアンビル6と共に回転する。ハウジング2は、ハンマ5とアンビル6とを収容する。軸受(第1軸受91)は、ハウジング2に保持され、出力軸7を回転可能に支持する。緩衝部材8は、出力軸7の回転軸に沿った方向であるスラスト方向において弾性変形する弾性部材81を含む。アンビル6は、出力軸7に対してスラスト方向において対向する第1対向領域F1(
図7参照)を有する。出力軸7は、第1対向領域F1に対してスラスト方向において対向する第2対向領域F2(
図7参照)を有する。緩衝部材8は、アンビル6と出力軸7との間に挟まれている。弾性部材81は、ハンマ5から伝達されるスラスト方向の荷重によりスラスト方向に圧縮される。弾性部材81に、ハンマ5から伝達される最大の荷重がかかっているとき、第2対向領域F2が第1対向領域F1に対してスラスト方向に隙間をあけて対向するように、緩衝部材8は第2対向領域F2と第1対向領域F1との間の距離を規制する。
【0013】
上記の構成によれば、アンビル6が出力軸7に衝突する可能性を低減できる。よって、衝突音の発生、及び、衝突による振動がハウジング2に伝達する可能性を低減できる。また、スラスト方向におけるアンビル6の振動は、緩衝部材8で低減されてから出力軸7に伝達されるので、出力軸7の振動を抑制できる。
【0014】
また、本実施形態のインパクト回転工具1は、ハンマ5と、アンビル6と、出力軸7と、ハウジング2と、軸受(第1軸受91)と、を備える。ハンマ5は、モータ3から動力を得て回転する。アンビル6は、ハンマ5からハンマ5の回転方向の打撃力を受けて回転する。出力軸7は、先端工具を保持するよう構成され、アンビル6からアンビル6の回転方向の力を受けてアンビル6と共に回転する。ハウジング2は、ハンマ5とアンビル6とを収容する。軸受(第1軸受91)は、ハウジング2に保持されている。アンビル6は、第1接触部63を含む。第1接触部63は、出力軸7に接触する。出力軸7は、第2接触部72を含む。第2接触部72は、第1接触部63に接触する。第2接触部72は、出力軸7を回転させる力を第1接触部63から受ける。軸受(第1軸受91)は、第1接触部63と第2接触部72とのうち少なくとも一方に接触しており、出力軸7とアンビル6とのうち少なくとも一方を回転可能に支持する。
【0015】
上記の構成によれば、第1接触部63及び第2接触部72のうち少なくとも一方は、軸受(第1軸受91)に接触することで機械的強度が補強されている。特に、第1接触部63及び第2接触部72のうち少なくとも一方は、出力軸7の径方向における振動に対する機械的強度が補強されている。これにより、アンビル6及び出力軸7のうち少なくとも一方の耐久性が向上する。
【0016】
(詳細)
(1)全体構成
以下、本実施形態のインパクト回転工具1について詳細に説明する。
【0017】
以下の説明では、アンビル6と出力軸7とが並んでいる方向を前後方向と規定し、アンビル6から見て出力軸7側を前と規定し、出力軸7から見てアンビル6側を後と規定する。また、以下の説明では、後述する収容部21とグリップ部22とが並んでいる方向を上下方向と規定し、グリップ部22から見て収容部21側を上と規定し、収容部21から見てグリップ部22側を下と規定する。また、前後方向及び上下方向と直交する方向を、左右方向と規定する。ただし、これらの規定は、インパクト回転工具1の使用方向を規定する趣旨ではない。また、
図2における前後及び上下を表す矢印はそれぞれ、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0018】
また、本開示で言うスラスト方向とは、出力軸7の回転軸に沿った方向を指す。スラスト方向は、前後方向に沿った方向である。
【0019】
本実施形態のインパクト回転工具1は、可搬型の電動工具である。
図1、
図2に示すように、インパクト回転工具1は、ハウジング2と、モータ3と、伝達機構4と、ハンマ5と、アンビル6と、出力軸7と、緩衝部材8と、第1軸受91と、第2軸受92と、第1ストッパ93と、第2ストッパ94と、駆動回路11と、制御回路12と、操作部13と、を備える。
【0020】
(2)ハウジング
ハウジング2は、モータ3、伝達機構4、ハンマ5、アンビル6、緩衝部材8、第1軸受91、第2軸受92、第1ストッパ93、第2ストッパ94、駆動回路11及び制御回路12を収容している。
図1に示すように、ハウジング2は、収容部21と、グリップ部22と、装着部23と、を有する。
【0021】
収容部21は、例えば、金属(アルミニウム等)を材料として形成されている。収容部21の形状は、中空の筒状である。収容部21は、第1収容部211と、第2収容部212と、を含む。第1収容部211は、第2収容部212の前方に設けられている。第1収容部211は、第2収容部212に連結されている。第1収容部211は、少なくともハンマ5と、アンビル6と、を収容している。第1収容部211には、第1軸受91と、第2軸受92と、が保持されている。第1収容部211は、出力軸7が通される貫通孔2110を有する。
【0022】
第1収容部211は、その内面に、凹部2111(
図2参照)を有している。貫通孔2110は、凹部2111の底面に設けられている。凹部2111には、第2軸受92が挿入されている。本実施形態では、第2軸受92は、凹部2111に圧入されることで第1収容部211に保持されている。
【0023】
図1、
図2に示すように、第1収容部211は、第1部位211aと、第2部位211bと、を有する。第1部位211aと第2部位211bとはそれぞれ、中空である。第1部位211aの形状は、円筒状である。第1部位211aの軸方向は、前後方向に沿っている。第2部位211bの形状は、円筒状である。第2部位211bの軸方向は、前後方向に沿っている。第2部位211bは、第1部位211aにつながっている。第2部位211bは、第1部位211aの後端から後方に突出している。
【0024】
第1部位211aは、第2部位211bと一体に形成されている。より詳細には、第1収容部211を構成する1つの部材が、第1部位211aと第2部位211bとを備えている。
【0025】
第2部位211bは、第2部位211bの前端を含む前端部211fと、前端部211fから後方に突出した本体部211rと、を有する。前端部211fは、後側ほど外径が大きい円錐台状に形成されている。本体部211rは、円筒状に形成されている。
【0026】
本体部211rの外径は、前後方向において略一定である。より詳細には、本体部211rの外径の、前後方向における変化率は、前端部211fの外径の、前後方向における変化率よりも小さい。
【0027】
つまり、第2部位211bは、前端部211fにおいては後側ほど外径が大きく形成されており、本体部211rにおいては前端部211fと比較して、前後方向の位置に応じた外径の違いが小さい。前後方向の位置に応じた外径の違いとは、言い換えると、前後方向の単位長さあたりの外径の変化率である。
【0028】
また、第1部位211aの外径は、前後方向において略一定である。より詳細には、第1部位211aの外径の、前後方向における変化率は、前端部211fの外径の、前後方向における変化率よりも小さい。
【0029】
第1部位211aの外径は、第2部位211bの外径よりも小さい。より詳細には、第1部位211aの外径は、第2部位211bの前端部211fの外径と、本体部211rの外径とのいずれよりも小さい。
【0030】
第1部位211aは、第1軸受91と、第2軸受92と、アンビル6の少なくとも一部(2つの第1接触部63)と、出力軸7の少なくとも一部(2つの第2接触部72)と、を囲むように設けられる。第1部位211aは、第1軸受91と、第2軸受92と、を保持している。第1部位211aは、上述の貫通孔2110を有する。
【0031】
第2部位211bは、ハンマ5を囲むように設けられる。さらに、第2部位211bは、後述の駆動軸42を囲むように設けられる。言い換えると、第2部位211bは、ハンマ5と駆動軸42とを収容する。
【0032】
第1部位211aの厚さT1は、第2部位211bの厚さT2よりも大きい。厚さT1と厚さT2との好ましい比率は、例えば、1.5~2.5の範囲である。本実施形態では、厚さT1は、第1部位211aの径方向に沿って計測される長さである。本実施形態では、厚さT2は、第2部位211bの径方向に沿って計測される長さである。
【0033】
なお、第1部位211aが厚さの異なる複数の部分を有している場合、第1部位211aの厚さT1は、例えば、第1部位211a全体の平均の厚さとして定義される。第2部位211bの厚さT2についても同様である。
【0034】
グリップ部22は、収容部21の外周面から収容部21の一径方向に沿った一方向に突出している。より詳細には、グリップ部22は、第2収容部212から突出している。上記一方向は、上下方向に沿っている。グリップ部22は、上記一方向に長い中空の筒形状に形成されている。作業者は、グリップ部22を掴んでねじ締め等の作業を行うことができる。また、グリップ部22には、作業者の操作を受け付ける操作部13が保持されている。
【0035】
グリップ部22の内部空間は、収容部21の内部空間とつながっている。グリップ部22の長手方向の一端には、収容部21がつながっており、他端には、装着部23がつながっている。
【0036】
装着部23には、電池パックが着脱可能に取り付けられる。インパクト回転工具1は、電池パックを電源として動作する。すなわち、電池パックは、モータ3を駆動する電流を供給する電源である。電池パックは、インパクト回転工具1の構成要素ではない。ただし、インパクト回転工具1は、電池パックを備えていてもよい。
【0037】
(3)モータ
図2に示すように、モータ3は、ハウジング2の収容部21に収容されている。モータ3は、例えばブラシレスモータである。モータ3は、回転軸311及び永久磁石を有する回転子31と、コイルを有する固定子32と、を含んでいる。永久磁石とコイルとの電磁的相互作用により、回転子31は、固定子32に対して回転する。
【0038】
また、モータ3は、サーボモータである。モータ3のトルク及び回転速度は、制御回路12(
図1参照)による制御に応じて変化する。制御回路12は、サーボドライバである。制御回路12は、モータ3のトルク及び回転速度を目標値に近づけるように制御するフィードバック制御によりモータ3の動作を制御する。
【0039】
作業者は、操作部13を操作する。具体的には、作業者は、操作部13を引き込む。制御回路12は、操作部13の引込み量に応じて、モータ3の回転速度の目標値を決定する。上記引込み量が大きいほど、制御回路12は、モータ3の回転速度の目標値を大きくする。
【0040】
駆動回路11(
図2参照)は、基板と、基板に実装された複数の電子部品と、を含む。複数の電子部品は、インバータ回路を構成する複数のパワー素子を含む。各パワー素子は、例えば、FET(Field Effect Transistor)素子である。
【0041】
制御回路12は、駆動回路11を介して、モータ3を制御する。すなわち、制御回路12は、複数のパワー素子(インバータ回路)を経由してモータ3に供給される電力を、駆動回路11の複数のパワー素子のオンオフを切り替えることで制御する。
【0042】
(4)伝達機構
図2に示すように、伝達機構4は、ハウジング2の収容部21に収容されている。伝達機構4は、モータ3の動力をハンマ5に伝達する。これにより、ハンマ5が回転する。
【0043】
伝達機構4は、遊星歯車機構41と、駆動軸42と、復帰ばね43と、2つの第1球状体44(鋼球)と、2つの第2球状体45(鋼球)と、リング46と、を含む。
【0044】
遊星歯車機構41は、モータ3の回転軸311の回転速度とトルクとを、所定の回転速度と所定のトルクとに変換する。遊星歯車機構41は、減速装置である。モータ3の回転軸311のトルクは、遊星歯車機構41を介して、駆動軸42に伝達される。駆動軸42のトルクは、ハンマ5に伝達される。これにより、ハンマ5が回転する。
【0045】
本実施形態の復帰ばね43は、円錐コイルばねである。復帰ばね43は、ハンマ5に対して、前方に押す力を加える。復帰ばね43とハンマ5との間には、リング46が配置されている。リング46とハンマ5との間には、2つの第2球状体45が挟まれている。これにより、ハンマ5は、復帰ばね43に対して回転可能である。
【0046】
(5)ハンマ、アンビル及び出力軸
本実施形態のインパクト回転工具1は、インパクト動作を行いながらねじ締めを行う、電動式のインパクトドライバである。インパクト動作においては、ハンマ5からアンビル6に打撃力が加えられ、その打撃力は出力軸7を介して先端工具に伝達される。
【0047】
図3~
図5に示すように、ハンマ5は、ハンマ本体51と、2つのハンマ爪52と、を含む。ハンマ本体51の形状は、円柱状である。2つのハンマ爪52は、ハンマ本体51から前方に突出している。ハンマ本体51は、駆動軸42が通される貫通孔510を有している。
【0048】
ハンマ本体51は、貫通孔510の内周面に、2つの溝部511を有している。
図2に示すように、駆動軸42は、その外周面に、2つの溝部421を有している。2つの溝部421は、つながっている。各溝部511と、対応する溝部421との間には、対応する第1球状体44が挟まれている。溝部511と溝部421と第1球状体44とは、カム機構を構成している。溝部511、413において第1球状体44が移動しながら、ハンマ5は、駆動軸42に対して、駆動軸42の軸方向(前後方向)に移動可能であり、かつ、駆動軸42に対して回転可能である。ハンマ5が駆動軸42の軸方向に沿って前又は後ろに移動するのに伴って、ハンマ5が駆動軸42に対して回転する。
【0049】
アンビル6は、前後方向においてハンマ本体51と対向している。
図3~
図5に示すように、アンビル6は、アンビル本体61と、2つのアンビル爪62と、2つの第1接触部63と、を含む。アンビル本体61の形状は、円柱状である。2つのアンビル爪62は、アンビル本体61からアンビル本体61の径方向に突出している。2つの第1接触部63は、アンビル本体61から前方に突出している。つまり、2つの第1接触部63は、アンビル本体61からスラスト方向に突出している。2つの第1接触部63は、アンビル6の回転方向に並んでいる。
【0050】
アンビル本体61は、後面に、駆動軸42の先端部が挿入される第1凹部611を有する。また、アンビル本体61は、前面に、緩衝部材8が挿入される第2凹部612を有する。
【0051】
ハンマ5が回転すると、2つのハンマ爪52が2つのアンビル爪62をハンマ5の回転方向に押して、アンビル6を回転させる。
【0052】
図4、
図7に示すように、アンビル6は、第1接触面C1と、第1対向領域F1と、を有する。
【0053】
第1接触面C1は、出力軸7の後述の第2接触面C2と接触する面である。第1接触面C1は、第2接触面C2に対してアンビル6の回転方向において対向し接触する。第1接触面C1は、2つの第1接触部63の面であって、前後方向に沿った面である。
【0054】
第1対向領域F1は、出力軸7の後述の第2対向領域F2と対向する領域である。第1対向領域F1の一部は、アンビル本体61の前面のうち、2つの第1接触部63が設けられた領域を除いた領域である。第1対向領域F1の別の一部は、2つの第1接触部63の各々の前面である。
【0055】
出力軸7は、出力軸本体71と、2つの第2接触部72と、を含む。出力軸本体71の形状は、円柱状である。出力軸本体71は、ハウジング2の貫通孔2110(
図1参照)に通されており、出力軸本体71の前端は、ハウジング2の外部へ露出している。出力軸本体71は、後面に、緩衝部材8が挿入される凹部711を有する。2つの第2接触部72は、出力軸本体71から後方に突出している。つまり、2つの第2接触部72は、出力軸本体71からスラスト方向に突出している。2つの第2接触部72は、出力軸7の回転方向に並んでいる。
【0056】
出力軸本体71は、柱部71aと、段部71bと、を有する。つまり、出力軸7は、柱部71aと、段部71bと、を有する。柱部71aは、前後方向に沿った円柱状に形成されている。段部71bは、柱部71aの後端につながっている。前側から見て、段部71bは、柱部71aの中心から離れる向きに突出している(
図4参照)。より詳細には、本実施形態の段部71bは、柱部71aよりも直径が大きい円柱状に形成されている。
【0057】
図5、
図7に示すように、出力軸7は、第2接触面C2と、第2対向領域F2と、を有する。
【0058】
第2接触面C2は、アンビル6の第1接触面C1と接触する面である。第2接触面C2は、第1接触面C1に対してアンビル6の回転方向において対向し接触する。出力軸7は、第2接触面C2においてアンビル6の回転力を受け取り回転する。第2接触面C2は、2つの第2接触部72の面であって、前後方向に沿った面である。
【0059】
第2対向領域F2は、アンビル6の第1対向領域F1と対向する領域である。第2対向領域F2の一部は、出力軸本体71の後面のうち、2つの第2接触部72が設けられた領域を除いた領域である。第2対向領域F2の別の一部は、2つの第2接触部72の各々の後面である。
【0060】
このように、出力軸7は、出力軸本体71と、2つの第2接触部72と、を含み、2つの第2接触部72は、出力軸本体71からスラスト方向に突出している。2つの第2接触部72は、2つの第1接触部63に接触する。2つの第2接触部72は、出力軸7を回転させる力を2つの第1接触部63から受ける。
【0061】
出力軸7は、先端工具を保持する。より詳細には、出力軸7には、先端工具が着脱可能である。本実施形態では、出力軸7には、チャックを介して先端工具が連結される。出力軸7は、モータ3からトルクを受けてチャック及び先端工具と共に回転する。
【0062】
アンビル6が回転すると、アンビル6の2つの第1接触部63が、出力軸7の2つの第2接触部72をアンビル6の回転方向に押して、出力軸7を回転させる。出力軸7は、アンビル6と同じ回転数で回転する。
【0063】
アンビル6の回転方向は、ハンマ5の回転方向と一致している。
図6に示すように、2つの第1接触部63からなる凹凸と、2つの第2接触部72からなる凹凸とが噛み合うように、アンビル6と出力軸7とが構成されている。
【0064】
チャック及び先端工具は、インパクト回転工具1の構成要素ではない。ただし、インパクト回転工具1は、チャック及び先端工具のうち少なくとも一方を備えていてもよい。また、出力軸7には、チャックを介さずに直接、先端工具が連結されてもよい。
【0065】
先端工具は、例えば、ドライバビットである。先端工具は、作業対象のねじ(ボルト又はビス等)と嵌合する。先端工具がねじと嵌合した状態で先端工具が回転することにより、ねじを締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。
【0066】
インパクト回転工具1がインパクト動作を行っていない場合には、ハンマ5の回転方向において2つのハンマ爪52と2つのアンビル爪62とが接触しながら、ハンマ5とアンビル6とが同じ回転数で回転する。そのため、このとき、駆動軸42と、ハンマ5と、アンビル6と、出力軸7と、が同じ回転数で回転する。
【0067】
インパクト回転工具1は、出力軸7に加えられるトルク(以下、負荷トルクと称す)の大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。インパクト動作は、ハンマ5からアンビル6に打撃力を加える動作である。本実施形態では、トルク条件は、負荷トルクが所定値以上となることである。すなわち、負荷トルクが大きくなってくると、ハンマ5とアンビル6との間で発生する力のうち、ハンマ5を後退させる向きの分力も大きくなってくる。負荷トルクが所定値以上となると、ハンマ5は、復帰ばね43を圧縮させながら後退する。そして、ハンマ5が後退することにより、ハンマ5の2つのハンマ爪52がアンビル6の2つのアンビル爪62を乗り越えつつ、ハンマ5が回転する。その後、ハンマ5が復帰ばね43からの復帰力を受けて前進する。そして、駆動軸42が略半回転すると、ハンマ5の2つのハンマ爪52がアンビル6の2つのアンビル爪62の側面620(
図3参照)に衝突する。駆動軸42が略半回転するごとにハンマ5の2つのハンマ爪52がアンビル6の2つのアンビル爪62に衝突する。つまり、駆動軸42が略半回転するごとにハンマ5がアンビル6に打撃力を加える。
【0068】
このように、インパクト回転工具1では、ハンマ5とアンビル6との衝突が繰り返し発生する。この衝突によるトルクにより、衝突が無い場合と比較して、ねじを強力に締め付けることができる。
【0069】
(6)緩衝部材
図4、
図7に示すように、緩衝部材8は、弾性部材81と、調整部材82と、を含む。弾性部材81及び調整部材82の形状は、例えば、円柱状である。
【0070】
弾性部材81は、ゴム等の弾性体である。弾性部材81は、スラスト方向(前後方向)において弾性変形する。
【0071】
調整部材82は、例えば、金属を材料として形成されている。調整部材82は、アンビル6及び出力軸7と別体に形成されている。
【0072】
スラスト方向における調整部材82の弾性率は、スラスト方向における弾性部材81の弾性率よりも大きい。弾性部材81と調整部材82とは、スラスト方向に並んでいる。
【0073】
緩衝部材8は、アンビル6と出力軸7との間に挟まれている。より詳細には、アンビル6の第2凹部612に、調整部材82が挿入されており、出力軸7の凹部711に、弾性部材81が挿入されている。弾性部材81は、調整部材82と出力軸7との間に挟まれている。調整部材82は、弾性部材81とアンビル6との間に挟まれている。
【0074】
緩衝部材8は、アンビル6と出力軸7との間に挟まれており、これにより、アンビル6と出力軸7との間の距離を規制する。つまり、緩衝部材8がアンビル6と出力軸7との間に挟まれているので、アンビル6と出力軸7との間の距離は、スラスト方向における緩衝部材8の長さによって決まる。
【0075】
緩衝部材8は、出力軸7の中心軸上に配置されている。そのため、アンビル6と出力軸7とにかかる応力は、出力軸7の中心軸を中心に等方的に分布する可能性が高い。つまり、アンビル6と出力軸7とにおける応力集中を抑制できる。
【0076】
ハンマ5からアンビル6に作用する力は、前向きの成分を含み得る。そのため、ハンマ5から受けた力によりアンビル6は、弾性部材81を圧縮させながら、出力軸7に近づくように前進する場合がある。
図7は、ハンマ5からアンビル6に対して前向きの力が作用していない状態でのアンビル6と出力軸7との位置関係を表す。
図8は、ハンマ5からアンビル6に対して前向きの力が作用した状態でのアンビル6と出力軸7との位置関係を表す。アンビル6が前進するのに伴い、弾性部材81の前後方向の長さが、長さL1から長さL11へと短くなる。また、アンビル6が前進することで、第1対向領域F1と第2対向領域F2との隙間の長さが、長さW1、W2から長さW11、W12へと短くなる。長さW1、W11は、アンビル本体61と2つの第2接触部72との隙間の長さであり、長さW2、W12は、出力軸本体71と2つの第1接触部63との隙間の長さである。
【0077】
(7)第1軸受及び第2軸受
図2に示すように、第1軸受91は、ハウジング2に保持されている。より詳細には、第1軸受91は、第1収容部211に保持されている。第1軸受91は、2つの第1接触部63と2つの第2接触部72とに接触しており、アンビル6と出力軸7とを回転可能に支持している。
【0078】
第1軸受91は、例えば、ニードル軸受である。第1軸受91をニードル軸受にすることで、アンビル6及び出力軸7のスラスト方向の振動が第1軸受91に直接伝達される可能性を低減させることができる。これにより、アンビル6及び出力軸7のうち第1軸受91との接触箇所付近にスラスト方向の荷重が集中する可能性を低減させることができ、アンビル6及び出力軸7の耐久性を向上させることができる。
【0079】
第1軸受91の外観形状は、円環状である(
図4参照)。第1軸受91は、アンビル6の2つの第1接触部63と、出力軸7の2つの第2接触部72と、を囲んでいる。より詳細には、第1軸受91は、2つの第1接触部63の前端から後端までを囲んでいる。また、第1軸受91は、2つの第2接触部72の前端から後端までを囲んでいる。
【0080】
第1軸受91は、アンビル6を回転可能に支持するために、アンビル6の2つの第1接触部63と、アンビル本体61と、に接触している。
【0081】
第1軸受91は、出力軸7を回転可能に支持するために、出力軸7の2つの第2接触部72と、出力軸本体71と、に接触している。
【0082】
第2軸受92は、第1軸受91よりも前方に配置されている。第2軸受92は、ハウジング2に保持されている。より詳細には、第2軸受92は、第1収容部211に保持されている。第2軸受92は、出力軸7の柱部71aを囲むように設けられている。第2軸受92の内面は、柱部71aの外面に接触している。第2軸受92は、出力軸7を回転可能に支持している。
【0083】
第2軸受92は、例えば、玉軸受である。第2軸受92の外観形状は、円環状である(
図4参照)。
【0084】
第2軸受92は、出力軸7を回転可能に支持するために、出力軸本体71に接触している。第2軸受92を設けたことにより、出力軸7の軸ぶれが生じる可能性を低減させることができる。
【0085】
また、第1軸受91及び第2軸受92の前後方向へのがたつきを抑制するために、第1ストッパ93及び第2ストッパ94が設けられている(
図2、
図4参照)。
【0086】
第1ストッパ93の形状は、円環状である。第1ストッパ93は、第1軸受91の後方に配置されている。第1ストッパ93は、第1軸受91に対向している。
【0087】
第2ストッパ94の形状は、円環状である。第2ストッパ94は、第1軸受91の前方に配置されている。より詳細には、第2ストッパ94は、第1軸受91と第2軸受92との間に配置されている。第2ストッパ94は、第1軸受91及び第2軸受92に対向している。
【0088】
第1軸受91が前後方向に移動しようとすると、第1ストッパ93又は第2ストッパ94に接触することで、第1軸受91の移動が規制される。また、第2軸受92が後方に移動しようとすると、第2ストッパ94に接触することで、第2軸受92の移動が規制される。また、出力軸7の段部71bの前面は、第2ストッパ94の後面に対向している。出力軸7が前方に移動しようとすると、段部71bが第2ストッパ94に接触することで、出力軸7の移動が規制される。第2ストッパ94は、段部71bと第2軸受92との間に配置されている。
【0089】
ハウジング2の第1部位211aには、出力軸7の段部71bから第2軸受92を介して、前向きの力が伝達される。すなわち、出力軸7が、アンビル6から伝達された力のうちスラスト方向(前向き)の成分によって前向きに押されると、第2ストッパ94を介して第2軸受92に前向きの力が伝達され、第2軸受92を介して第1部位211aに前向きの力が伝達される。より詳細には、第1部位211aの内面に設けられた凹部2111の底面(貫通孔2110の周縁部)に、第2軸受92から前向きの力が伝達される。
【0090】
(8)弾性体の圧縮量
上述の通り、ハンマ5からアンビル6に対して前向きの力が作用することで、
図8に示すように、アンビル6は弾性部材81を圧縮させながら出力軸7に近づくように前進する場合がある。ここで、アンビル6が出力軸7に衝突して振動が発生すると、アンビル6及び出力軸7から衝突音が発生したり、振動がハウジング2に伝達してハウジング2全体から音が発生したりして、好ましくない。また、ハウジング2が振動することで、ハウジング2を掴んでいる作業者に振動が伝わり、作業の快適性を阻害する可能性がある。そこで、本実施形態のインパクト回転工具1では、アンビル6が出力軸7に衝突する可能性を低減させるように、緩衝部材8のパラメータが設計されている。緩衝部材8のパラメータは、例えば、スラスト方向における弾性部材81及び調整部材82の各々の長さ、及び、スラスト方向における弾性部材81の弾性率等である。
【0091】
具体的には、弾性部材81に、ハンマ5から伝達される最大の荷重がかかっているとき、第2対向領域F2が第1対向領域F1に対してスラスト方向に隙間をあけて対向するように、緩衝部材8のパラメータが設計されている。ハンマ5から弾性部材81に伝達される最大の荷重の大きさは、復帰ばね43の形状及び弾性率、並びに、モータ3の回転速度等に応じた大きさである。
【0092】
弾性部材81に上記最大の荷重よりも小さい所定の大きさの荷重がかかっているときの、第1対向領域F1と第2対向領域F2との間のスラスト方向における距離(長さW1、W2)よりも、次に規定する圧縮量Pが小さければよい。圧縮量Pは、弾性部材81に上記所定の大きさの荷重がかかっているときの、スラスト方向における弾性部材81の長さL1(
図7参照)から、弾性部材81に上記最大の荷重がかかっているときの、スラスト方向における弾性部材81の長さL11(
図8参照)を引いた量である。これにより、弾性部材81に上記最大の荷重がかかったときにアンビル6と出力軸7とが衝突する可能性を低減できる。
【0093】
上記所定の大きさは、0であってもよい。つまり、弾性部材81に所定の大きさの荷重がかかっているときとは、弾性部材81の無負荷状態であってもよい。
【0094】
また、弾性部材81には、ハンマ5からだけではなく、出力軸7からも荷重がかかる場合がある。そのため、弾性部材81には、ハンマ5から弾性部材81に伝達される最大の荷重よりも更に大きい荷重がかかる可能性がある。このような場合にも、第1対向領域F1と第2対向領域F2とがスラスト方向に隙間をあけて対向することが好ましい。
【0095】
そこで、弾性部材81に、弾性部材81の弾性域の上限以下の荷重がかかっているとき、第2対向領域F2が第1対向領域F1に対してスラスト方向に隙間をあけて対向するように、緩衝部材8のパラメータが設計されていてもよい。また、例えば、弾性部材81に、弾性部材81の弾性域の上限の所定倍(所定倍は1倍未満で、例えば、0.9倍)以下の荷重がかかっているとき、第2対向領域F2が第1対向領域F1に対してスラスト方向に隙間をあけて対向するように、緩衝部材8のパラメータが設計されていてもよい。
【0096】
また、本実施形態の緩衝部材8は、弾性部材81に加えて、調整部材82を含んでいる。調整部材82は、弾性部材81よりも弾性率が大きい。より詳細には、調整部材82は、殆ど圧縮変形しない。
【0097】
弾性部材81と調整部材82とはスラスト方向に並んでいる。そのため、緩衝部材8が弾性部材81のみを含む場合と比較して、スラスト方向における弾性部材81の長さを、調整部材82の長さの分だけ短くできる。
【0098】
弾性部材81がスラスト方向に短い方が、弾性部材81が変形しにくい。言い換えると、弾性部材81がスラスト方向に短い方が、弾性部材81にスラスト方向の所定の大きさの力がかかったときの弾性部材81の圧縮量が小さくなる。よって、弾性部材81がスラスト方向に短い方が、弾性部材81にスラスト方向の力がかかることによる第1対向領域F1と第2対向領域F2との間の距離(隙間の長さW1、W2)の変化量が小さくなる。そのため、弾性部材81にスラスト方向の所定の大きさの力がかかっていないときの第1対向領域F1と第2対向領域F2との間の距離を、より短くすることができ、アンビル6の後端から出力軸7の前端までの長さを短くできる。よって、インパクト回転工具1の小型化を図ることができる。
【0099】
(9)第1軸受による補強
本実施形態の第1軸受91は、アンビル6の第1接触部63と出力軸7の第2接触部72とに接触しており、アンビル6と出力軸7とを回転可能に支持する。第1接触部63及び第2接触部72は、第1軸受91に接触することで機械的強度が補強されている。特に、第1接触部63及び第2接触部72は、出力軸7の径方向における振動に対する機械的強度が補強されている。これにより、アンビル6及び出力軸7の耐久性が向上する。
【0100】
また、アンビル6の構成の中で、第1接触部63はアンビル本体61よりも剛性が小さく、出力軸7の構成の中で、第2接触部72は出力軸本体71よりも剛性が小さい。このような第1接触部63及び第2接触部72を補強することで、アンビル6及び出力軸7の長寿命化を図ることができる。
【0101】
(10)音の抑制
出力軸7を前後方向に振動させる力等の、出力軸7を前向きに押す力が発生すると、第2ストッパ94と第2軸受92とを介して、ハウジング2の第1部位211aに前向きの力が伝達される。これにより、第1部位211aが振動し得る。また、第1部位211aから第2部位211bに振動が伝達し得る。
【0102】
第1部位211aの厚さT1は第2部位211bの厚さT2よりも大きいので、第1部位211aの振動は、比較的低振幅(つまり、音が小さい)、かつ、比較的高周波数の振動となる。
【0103】
また、第1部位211aの厚さT1と第2部位211bの厚さT2とが異なるために、第1部位211aの共振周波数と第2部位211bの共振周波数とが異なる。共振周波数の違いに起因して、第1部位211aから第2部位211bに振動が伝達されるときに、振動が減衰する。
【0104】
このように、厚さT1を厚さT2よりも大きくすることにより、ハウジング2から発生する音を小さくすることができる。
【0105】
また、インパクト回転工具1では、出力軸7の段部71bを、アンビル6の2つのアンビル爪62とは別に設けている。つまり、出力軸7の振動をハウジング2に逃がすための段部71bを、ハンマ5から打撃力を受ける2つのアンビル爪62とは別に設けている。そのため、2つのアンビル爪62から直接、振動をハウジング2に逃がす場合と比較して、ハウジング2の振動を抑制できる。ここで、弾性部材81に、ハンマ5から伝達される最大の荷重がかかっているときに、2つのアンビル爪62からハウジング2に、前向きの力が伝達されないことが好ましい。つまり、このときに2つのアンビル爪62がハウジング2に接触しておらず、また、2つのアンビル爪62がハウジング2との間に他の部材(第1ストッパ93等)を挟まないことが好ましい。これにより、ハウジング2の振動を抑制できる。また、弾性部材81に、弾性部材81の弾性域の上限以下の荷重がかかっているときに、2つのアンビル爪62からハウジング2に、前向きの力が伝達されないことも好ましい。
【0106】
(変形例1)
以下、変形例1に係るインパクト回転工具1について、
図9を参照して説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
本変形例1のインパクト回転工具1は、アンビル6、出力軸7及び緩衝部材8に代えて、アンビル6A、出力軸7A及び緩衝部材8Aを備える。
【0108】
アンビル6Aは、アンビル本体61と、2つのアンビル爪62と、第1接触部63と、を含む。アンビル本体61の形状は、円柱状である。2つのアンビル爪62は、アンビル本体61からアンビル本体61の径方向に突出している。第1接触部63の形状は、円柱状である。第1接触部63は、アンビル本体61から前方に突出している。
【0109】
第1接触部63は、前面に、出力軸7Aの第2接触部72及び緩衝部材8Aが挿入される凹部630を有する。また、第1接触部63の前面のうち、凹部630を除いた領域は、出力軸7Aと対向する第1対向領域F1である。
【0110】
出力軸7Aは、出力軸本体71と、第2接触部72と、を含む。出力軸本体71の形状は、円柱状である。第2接触部72の形状は、柱状である。第2接触部72は、出力軸本体71から後方に突出している。出力軸本体71の後面のうち、第2接触部72が設けられた領域を除いた領域は、第1対向領域F1と対向する第2対向領域F2である。前後方向において、第1対向領域F1と第2対向領域F2との間には、隙間が設けられる。
【0111】
第2接触部72の形状は、第1接触部63の凹部630の形状に沿っている。より詳細には、後方から見て、第2接触部72の形状は正方形状である。前方から見て、凹部630の形状は正方形状である。第2接触部72のうち前後方向に沿った外側面(第2接触面C2)は、凹部630のうち前後方向に沿った内側面(第1接触面C1)に接触する。これにより、アンビル6Aの回転が出力軸7Aに伝達される。
【0112】
緩衝部材8Aは、前後方向に並んだ弾性部材81及び調整部材82を含む。緩衝部材8Aは、第2接触部72と、凹部630の底面と、の間に挟まれる。
【0113】
また、第1軸受91(
図2参照)は、第1接触部63に接触しており、アンビル6Aを回転可能に支持する。出力軸7Aは、アンビル6Aを介して、第1軸受91に支持されている。
【0114】
本変形例1でも、緩衝部材8Aによりアンビル6Aの第1対向領域F1と出力軸7Aの第2対向領域F2との間の距離を規制することができる。また、本変形例1でも、第1軸受91によりアンビル6A及び出力軸7Aを補強することができる。
【0115】
ところで、本変形例1では、第1接触部63に設けられた凹部630に、第2接触部72が挿入される。これとは反対に、第2接触部72に設けられた凹部に、第1接触部63が挿入されてもよい。
【0116】
本変形例1の更なる変形例2として、
図10に示すように、第2接触部72をスプライン状に形成してもよい。つまり、第2接触部72の外周面に、複数の歯を設けてもよい。そして、第1接触部63の内面に、第2接触部72の複数の歯と噛み合う複数の歯を設けてもよい。
【0117】
なお、変形例1及び変形例2のアンビル6A及び出力軸7Aの形状は、実施形態のアンビル6及び出力軸7の形状と異なる。そのため、実施形態においてアンビル6から出力軸7へ伝達されるトルクと同等のトルクを、本変形例1のアンビル6Aから出力軸7Aへ伝達するためには、アンビル6A及び出力軸7Aの直径を実施形態と比較して大きくする必要がある。反対に、実施形態のように複数の第1接触部63がアンビル6の回転方向に並び、複数の第2接触部72が出力軸7の回転方向に並んだ構成により、アンビル6及び出力軸7の小型化を図ることができる。
【0118】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0119】
ハンマ爪52の個数、及び、アンビル爪62の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0120】
アンビル6の第1接触部63の個数、及び、出力軸7の第2接触部72の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0121】
第1対向領域F1及び第2対向領域F2はそれぞれ、平面に限定されず、曲面であってもよい。
【0122】
実施形態では、弾性部材81が調整部材82よりも前に位置する。これに対して、調整部材82が弾性部材81よりも前に位置していてもよい。
【0123】
緩衝部材8は、複数の弾性部材81を含んでいてもよい。
【0124】
緩衝部材8は、複数の調整部材82を含んでいてもよい。
【0125】
実施形態では、第1軸受91は、アンビル6の第1接触部63を囲んでいる。これに対して、第1軸受91は、第1接触部63の一部を囲んでいてもよい。
【0126】
実施形態では、第1軸受91は、出力軸7の第2接触部72を囲んでいる。これに対して、第1軸受91は、第2接触部72の一部を囲んでいてもよい。
【0127】
第1軸受91がアンビル本体61に接触していることは、必須ではない。
【0128】
第1軸受91が出力軸本体71に接触していることは、必須ではない。
【0129】
第1軸受91は、ニードル軸受に限定されない。第1軸受91は、例えば、ブッシュ、玉軸受、又は、複列アンギュラ玉軸受であってもよい。
【0130】
第2軸受92は、玉軸受に限定されない。第2軸受92は、例えば、ブッシュ、ニードル軸受、又は、複列アンギュラ玉軸受であってもよい。
【0131】
調整部材82は、アンビル6又は出力軸7と一体に形成されていてもよい。ただし、調整部材82がアンビル6と別体である方が、アンビル6における応力集中を抑制できるので好ましい。また、調整部材82が出力軸7と別体である方が、出力軸7における応力集中を抑制できるので好ましい。
【0132】
弾性部材81と調整部材82とが、接着等により互いに結合されていてもよい。
【0133】
ハンマ5から弾性部材81に伝達される最大の荷重の大きさは、復帰ばね43からハンマ5に作用する最大のばね力に等しい、として定義されてもよい。
【0134】
アンビル6と出力軸7とが、一体に形成されていてもよい。例えば、アンビル6と出力軸7とがシームレスにつながっている場合、アンビル6と出力軸7とが一体に形成されていると言える。あるいは、アンビル6と出力軸7とが、接着又は溶接等により互いに結合されていてもよい。アンビル6と出力軸7とが一体に形成されている又は互いに結合されている場合、インパクト回転工具1は緩衝部材8を備えていないことが好ましい。また、アンビル6と出力軸7とが一体に形成されている又は互いに結合されている場合、インパクト回転工具1が第1軸受91を備えていないことも好ましい。
【0135】
第1部位211aの形状は、円筒状に限定されない。第1部位211aの形状は、例えば、前側ほど外径が小さい、中空の円錐台状であってもよい。
【0136】
実施形態の第1部位211aは、第1収容部211のうち、第2軸受92が設けられた箇所だけではなく、第1軸受91が設けられた箇所も含んでいる。これに対して、第1部位211aは、少なくとも第2軸受92が設けられた箇所を含んでいればよい。第1収容部211のうち、第1軸受91が設けられた箇所は、第1部位211aではなく第2部位211bに含まれていてもよい。つまり、第1収容部211のうち、第1軸受91が設けられた箇所(第2部位211b)は、第2軸受92が設けられた箇所(第1部位211a)よりも厚さが小さくてもよい。
【0137】
第2ストッパ94は、インパクト回転工具1に必須の構成ではない。インパクト回転工具1が第2ストッパ94を備えていない場合、出力軸7と第2軸受92とが接触することで、出力軸7から第2軸受92に前向きの力が伝達されてもよい。
【0138】
第2軸受92は、実施形態のように第1部位211aの前端付近に設けられていなくてもよい。第2軸受92は、出力軸7を回転可能に支持し、かつ、出力軸7から前向きの力が伝達される位置に設けられていればよい。
【0139】
実施形態では、ハウジング2の第1収容部211と第2収容部212とは互いに連結されている。これに代えて、第1収容部211と第2収容部212とが一体に形成されていてもよい。例えば、第1収容部211と第2収容部212とがシームレスにつながっている場合、第1収容部211と第2収容部212とが一体に形成されていると言える。
【0140】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0141】
第1の態様に係るインパクト回転工具(1)は、ハンマ(5)と、アンビル(6、6A)と、出力軸(7、7A)と、ハウジング(2)と、軸受(第2軸受92)と、を備える。ハンマ(5)は、モータ(3)から動力を得て回転する。アンビル(6、6A)は、ハンマ(5)からハンマ(5)の回転方向の打撃力を受けて回転する。出力軸(7、7A)は、アンビル(6、6A)の前側に配置され、先端工具を保持するよう構成され、アンビル(6、6A)と共に回転する。ハウジング(2)は、ハンマ(5)とアンビル(6、6A)とを収容する。軸受(第2軸受92)は、出力軸(7、7A)を回転可能に支持する。ハウジング(2)は、筒状の第1部位(211a)と、筒状の第2部位(211b)と、を有する。第1部位(211a)は、軸受(第2軸受92)を囲むように設けられ、軸受(第2軸受92)を保持する。第2部位(211b)は、第1部位(211a)の後側に配置されている。第1部位(211a)は、出力軸(7、7A)から軸受(第2軸受92)を介して前向きの力が伝達されるように構成される。第1部位(211a)の厚さ(T1)は、第2部位(211b)の厚さ(T2)よりも大きい。
【0142】
上記の構成によれば、出力軸(7、7A)から軸受(第2軸受92)を介して第1部位(211a)に、前向きの力が伝達される。これにより、第1部位(211a)が振動し得るが、第1部位(211a)は第2部位(211b)と比較して厚いので、第1部位(211a)の振動は、比較的低振幅、かつ、比較的高周波数の振動となる。さらに、第1部位(211a)から第2部位(211b)に振動が伝達される場合には、第1部位(211a)と第2部位(211b)との厚さの違いによる共振周波数の違いに起因して、振動が減衰する。よって、ハウジング(2)から発生する音を小さくすることができる。
【0143】
また、第2の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1の態様において、出力軸(7、7A)は、柱部(71a)と、段部(71b)と、を有する。柱部(71a)は、前後方向に沿った円柱状に形成されている。段部(71b)は、柱部(71a)の後端につながっている。軸受(第2軸受92)は、柱部(71a)を囲むように設けられる。前側から見て、段部(71b)は、柱部(71a)の中心から離れる向きに突出している。第1部位(211a)は、段部(71b)から軸受(第2軸受92)を介して前向きの力が伝達されるように構成される。
【0144】
上記の構成によれば、出力軸(7、7A)に複雑な構造を設けなくても、出力軸(7、7A)から軸受(第2軸受92)を介して第1部位(211a)に前向きの力を伝達することができる。よって、出力軸(7、7A)の製造が容易となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0145】
また、第3の態様に係るインパクト回転工具(1)は、第1又は2の態様において、緩衝部材(8、8A)を更に備える。緩衝部材(8、8A)は、前後方向において弾性変形する弾性部材(81)を含む。出力軸(7、7A)は、アンビル(6、6A)と別体であり、アンビル(6、6A)からアンビル(6、6A)の回転方向の力を受けてアンビル(6、6A)と共に回転する。緩衝部材(8、8A)は、アンビル(6、6A)と出力軸(7、7A)との間に挟まれている。
【0146】
上記の構成によれば、アンビル(6、6A)が出力軸(7、7A)に衝突する可能性を低減できる。よって、衝突音の発生、及び、衝突による振動がハウジング(2)に伝達する可能性を低減できる。
【0147】
また、第4の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、第2部位(211b)は、ハンマ(5)を囲むように設けられる。
【0148】
上記の構成によれば、第1部位(211a)がハンマ(5)を囲む場合と比較して、第1部位(211a)の前後方向の長さを短くできる。厚さの大きい第1部位(211a)の前後方向の長さを短くすることで、インパクト回転工具(1)の重量の低減を図ることができる。
【0149】
また、第5の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、第1部位(211a)は、第2部位(211b)と一体に形成されている。
【0150】
上記の構成によれば、第1部位(211a)が第2部位(211b)と別体である場合と比較して、部材点数を削減できる。
【0151】
また、第6の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、第1部位(211a)の外径は、第2部位(211b)の外径よりも小さい。
【0152】
上記の構成によれば、第1部位(211a)が作業対象(ねじ等)に干渉する可能性を低減させることができる。よって、作業者がインパクト回転工具(1)を用いた作業を行いやすくなる。
【0153】
また、第7の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第6の態様において、第2部位(211b)は、第2部位(211b)の前端を含む前端部(211f)を有する。前端部(211f)は、後側ほど外径が大きい円錐台状に形成されている。
【0154】
上記の構成によれば、第2部位(211b)の外径を大きくできる。
【0155】
第1の態様以外の構成については、インパクト回転工具(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 インパクト回転工具
2 ハウジング
3 モータ
5 ハンマ
6、6A アンビル
7、7A 出力軸
8、8A 緩衝部材
71a 柱部
71b 段部
81 弾性部材
92 第2軸受(軸受)
211a 第1部位
211b 第2部位
211f 前端部
T1、T2 厚さ