(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180177
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】バーナー
(51)【国際特許分類】
F23D 17/00 20060101AFI20231213BHJP
F23Q 2/28 20060101ALI20231213BHJP
F23L 1/00 20060101ALI20231213BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20231213BHJP
F23L 13/06 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F23D17/00 A
F23Q2/28 121Z
F23L1/00 A
F23K5/00 301Z
F23L13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093352
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】519346631
【氏名又は名称】株式会社Robusto
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】福村 弘文
【テーマコード(参考)】
3K023
3K065
3K068
【Fターム(参考)】
3K023AA04
3K023AA09
3K023PA06
3K023PC02
3K023PF02
3K065QB05
3K068AA01
3K068BA03
3K068BB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異なる種類の燃料ガスの使用を可能とするバーナーを提供する。
【解決手段】バーナー本体3には、燃料ガスの供給方向の上流側に配置され、燃料ガス供給手段1へ連通された第1ガス貯留室Aと、この第1ガス貯留室Aの下流側に設けられた第2ガス貯留室Bと、この第2ガス貯留室Bの下流側に設けられ火炎筒2に連通された着火室Cと、第1ガス貯留室Aと第2ガス貯留室Bとを連通する第1ガス流路4と、第2ガス貯留室Bと着火室Cとを連通する第2ガス流路5、および、この第2ガス流路5よりも大きな流路面積を有する第3ガス流路6と、第1ガス流路4の開閉をなすメイン開閉弁7と、第2ガス流路5の開閉をなす種火開閉弁8と、第3ガス流路6の開度を調整する火力調整弁9を備え、着火室Cの近傍に着火手段10が設けられ、着火室Cと火炎筒2との間に、燃焼空気の供給量を調整する空気供給手段11が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に燃料ガス供給手段が装着され、他端部に火炎筒が設けられたバーナー本体を備え、このバーナー本体には、燃料ガスの供給方向の上流側に配置され、前記燃料ガス供給手段へ連通された第1ガス貯留室と、この第1ガス貯留室の下流側に設けられた第2ガス貯留室と、この第2ガス貯留室の下流側に設けられ前記火炎筒に連通された着火室と、前記第1ガス貯留室と前記第2ガス貯留室とを連通する第1ガス流路と、前記第2ガス貯留室と前記着火室とを連通する第2ガス流路、および、この第2ガス流路よりも大きな流路面積を有する第3ガス流路と、前記第1ガス流路の開閉をなすメイン開閉弁と、前記第2ガス流路の開閉をなす種火開閉弁と、前記第3ガス流路の開度を調整する火力調整弁を備え、前記着火室の近傍に着火手段が設けられ、前記着火室と前記火炎筒との間に、燃焼空気の供給量を調整する空気供給手段が設けられていることを特徴とするバーナー。
【請求項2】
前記空気供給手段が、外周壁に多数の空気供給孔が形成された筒状の基筒と、この基筒の外周に摺動可能に被嵌され、前記基筒の長さ方向の摺動により、前記空気供給孔の開口数を調整する調整リングとによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバーナー。
【請求項3】
前記着火手段が、放電用端子が前記着火室内に露出された圧電素子を用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナーに係わり、特に、異なる燃料ガスの使用を可能にするバーナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナーとして、たとえば、特許文献1に示される技術が提案されている。
【0003】
この技術は、バーナー本体の一端部に燃料ガス供給手段を連設し、他端部に火炎を噴き出す火炎筒を連設した構成を有し、燃料ガス供給手段から供給される燃料ガスに着火して、その火炎を火炎筒から噴出させて用いるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、燃料ガスの着火や安定した種火の維持、さらには、良好な火炎の維持のために、燃料ガスと燃焼用空気との混合比率、すなわち、空撚比を、燃料ガスの種類に応じて適切に保持するが求められる。
【0006】
したがって、従来のバーナーにおいては、その構造によって使用可能な燃料ガスが制限されてしまうといった改善すべき問題点が残されている。
【0007】
本発明は、このような従来の技術において残されている問題点に鑑みてなされたもので、異なる種類の燃料ガスの使用を可能とするバーナーを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバーナーは、前述した課題を解決するために、一端部に燃料ガス供給手段が装着され、他端部に火炎筒が設けられたバーナー本体を備え、このバーナー本体には、燃料ガスの供給方向の上流側に配置され、前記燃料ガス供給手段へ連通された第1ガス貯留室と、この第1ガス貯留室の下流側に設けられた第2ガス貯留室と、この第2ガス貯留室の下流側に設けられ前記火炎筒に連通された着火室と、前記第1ガス貯留室と前記第2ガス貯留室とを連通する第1ガス流路と、前記第2ガス貯留室と前記着火室とを連通する第2ガス流路、および、この第2ガス流路よりも大きな流路面積を有する第3ガス流路と、前記第1ガス流路の開閉をなすメイン開閉弁と、前記第2ガス流路の開閉をなす種火開閉弁と、前記第3ガス流路の開度を調整する火力調整弁を備え、前記着火室の近傍に着火手段が設けられ、前記着火室と前記火炎筒との間に、燃焼空気の供給量を調整する空気供給手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明のバーナーは、メイン開閉弁、種火開閉弁、火力調整弁の全ての弁を閉じた状態で、バーナー本体に燃料ガス供給手段を接続することによって使用可能な状態にセットされる。
【0010】
この状態から、メイン開閉弁を開操作して第1ガス流路を開放することにより、燃料ガスを第1ガス貯留室へ供給する。
【0011】
ついで、種火開閉弁を開放することにより、種火開閉弁を開操作して少量の燃料ガスを第1ガス貯留室から火炎筒へ向けて連続供給する。
【0012】
ここで、着火室や火炎筒内には、その内部の燃料ガスの流れによって空気供給手段から燃焼空気が吸い込まれており、これによって、着火室や火炎筒内において燃料ガスと燃焼空気との混合気体が生成される。
【0013】
この状態において、着火室若しくは火炎筒内の混合気体に点火することにより種火をおこす。
【0014】
これより、火力調整弁を開操作して第3ガス流路の開度を調整することにより、調整された量の燃料ガスを着火室および火炎筒内に供給すると、供給された燃料ガス量に応じた火炎が火炎筒の先端から噴出されて、使用状態となされる。
【0015】
そして、種火の着火性や噴出される火炎の状態が好ましい状態ではない場合、空気供給手段を操作して流入空気量を調整することにより、前述した不具合を解消することができる。
【0016】
前述したように空撚比を調整することができるので、使用する燃料ガスを変更した場合にあっても、それぞれの燃料ガスに適した空撚比に調整することができるので、多種類の燃料ガスの使用を可能にする。
【0017】
たとえば、プロパンガスを使用する際とカセットボンベガスを使用しなければならない状況下においても対応可能である。
【0018】
プロパンガスを使用する際とカセットボンベガスを使用する場合には、これらの燃料ガスに適した空撚比の領域が重なり合うことが知られており、この場合、空気供給手段を、前述した両燃料ガスに適した空撚比の領域が重なり合う位置に調整して保持しておくことにより、両燃料ガスの取り替え時における空気供給手段の調整を省略することができる。
【0019】
前記空気供給手段を、外周壁に多数の空気供給孔が形成された筒状の基筒と、この基筒の外周に摺動可能に被嵌され、前記基筒の長さ方向の摺動により、前記空気供給孔の開口数を調整する調整リングとによって構成することができる。
【0020】
このような構成とすることにより、調整リングを基筒に沿って摺動させるといった簡易な操作によって空気の供給量調整を行なうことができるとともに、空気供給のための構成を簡素化することができる。
【0021】
前記着火手段は、放電用端子が前記着火室内に露出された圧電素子を用いて構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明のバーナーによれば、使用できる燃料ガスの種類を多様化して、その汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態を示す一部縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示す一部縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示す一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図面に示す一実施形態に基づいて詳細に説明する。
これらの図において、符号Zは、本実施形態に係わるバーナーを示し、このバーナーZは、一端部に燃料ガス供給手段1が装着され、他端部に火炎筒2が設けられたバーナー本体3を備え、このバーナー本体3には、燃料ガスの供給方向の上流側に配置され、燃料ガス供給手段1へ連通された第1ガス貯留室Aと、この第1ガス貯留室Aの下流側に設けられた第2ガス貯留室Bと、この第2ガス貯留室Bの下流側に設けられ火炎筒2に連通された着火室Cと、第1ガス貯留室Aと第2ガス貯留室Bとを連通する第1ガス流路4と、第2ガス貯留室Bと着火室Cとを連通する第2ガス流路5、および、この第2ガス流路5よりも大きな流路面積を有する第3ガス流路6と、第1ガス流路4の開閉をなすメイン開閉弁7と、第2ガス流路5の開閉をなす種火開閉弁8と、第3ガス流路6の開度を調整する火力調整弁9を備え、着火室Cの近傍に着火手段10が設けられ、着火室Cと火炎筒2との間に、燃焼空気の供給量を調整する空気供給手段11が設けられている。
【0025】
メイン開閉弁7、種火開閉弁8、および、火力調整弁9は、それぞれニードル弁が用いられており、メイン開閉弁7、および、種火開閉弁8はバーナー本体3に螺着され、自身の正逆回転により開閉作用を行なうようになっている。
【0026】
火力調整弁9は、バーナー本体3に摺動可能に装着されているとともに、このバーナー本体3との間に介装されたリターンスプリング12によって、常時閉方向に付勢されている。
【0027】
また、火力調整弁9は、その一部がバーナー本体3の外部へ露出させられており、この露出させられた部位に、火力調整弁9をリターンスプリング12の付勢力に抗して開方向へ摺動させる火力調整レバー13が連結されている。
【0028】
空気供給手段11は、外周壁に多数の空気供給孔14aが形成された筒状の基筒14と、この基筒14の外周に摺動可能に被嵌され、基筒14の長さ方向の摺動により空気供給孔14aの開口数を調整する調整リング15とによって構成されている。
【0029】
さらに、本実施形態においては、着火手段10が、放電用端子(図示略)が着火室C内に露出された圧電素子(図示略)を用いて構成されており、バーナー本体3に装着され放電用端子および圧電素子が組み込まれた基体16と、圧電素子の操作をなす操作ボタン17を備えている。
【0030】
ついで、本発明のバーナーZの作用について説明する。
使用に当たって、メイン開閉弁7、種火開閉弁8、火力調整弁9の全てを閉じた状態で、バーナー本体3に燃料ガス供給手段1を接続する。
【0031】
この状態から、
図2に矢印イ・ロで示すように、メイン開閉弁7を開操作して第1ガス流路4を開放するとともに、種火開閉弁8を操作して第2ガス流路5を開放することにより、燃料ガスを第1ガス貯留室A、および、第2ガス貯留室Bを経て着火室Cへ連続供給する。
【0032】
ここで、着火室Cには、その内部の燃料ガスの流れによって空気供給手段11から燃焼空気が吸い込まれており、これによって、着火室Cにおいて燃料ガスと燃焼空気との混合気体が生成される。
【0033】
この状態において、着火手段10の操作ボタン17を押下して、着火室C内に位置させられている圧電素子の放電用端子に放電を生じさせて、着火室C内の混合気体に点火することにより種火をおこす。
【0034】
これより、火力調整レバー13を、
図3に矢印ハで示すように火力調整レバー13を開操作して火力調整弁9の開度(第3ガス流路6の開度)を調整することにより、調整された量の燃料ガスを着火室Cに供給する。
【0035】
この調整された燃料ガスが着火室Cに供給されると、この調整された燃料ガスが種火によって着火されて火炎が形成されるとともに、この火炎筒2の先端から噴出されて使用状態となされる。
【0036】
そして、種火の着火性や噴出される火炎が好ましい状態ではない場合、空気供給手段11を操作して燃焼空気量を調整することにより、前述した不具合を解消することができる。
【0037】
このような燃焼空気量の調整は、
図3に矢印ニで示すように、空気供給手段11の調整リング15を基筒14の長さ方向に摺動させて、空気供給孔14aの開放量を調整することによって行なうことができる。
【0038】
このように空撚比を調整することができるので、使用する燃料ガスを変更した場合にあっても、それぞれの燃料ガスに適した空撚比に調整することができるので、多種類の燃料ガスの使用を可能にする。
【0039】
たとえば、利用頻度の高いプロパンガスやカセットボンベガスの2種類の燃料ガスを使用しなければならない状況下においても対応可能である。
【0040】
プロパンガスとカセットボンベガスを選択して使用する場合には、これらの燃料ガスに適した空撚比の領域が重なり合うことが想定される。
【0041】
この場合、空気供給手段11を、前述した両燃料ガスに適した空撚比の領域が重なり合う位置に調整して保持しておくことにより、両燃料ガスの取り替え時における空気供給手段の11調整を省略することができる。
【0042】
なお、前述した実施形態は一例であって、使用する燃料ガスの組み合わせや設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 燃料ガス供給手段
2 火炎筒
3 バーナー本体
4 第1ガス流路
5 第2ガス流路
6 第3ガス流路
7 メイン開閉弁
8 種火開閉弁
9 火力調整弁
10 着火手段
11 空気供給手段
12 リターンスプリング
13 火力調整レバー
14 基筒
14a 空気供給孔
15 調整リング
16 基体
17 操作ボタン
A 第1ガス貯留室
B 第2ガス貯留室
C 着火室
Z バーナー