(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180192
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】太陽電池及び光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0236 20060101AFI20231213BHJP
H01L 31/068 20120101ALI20231213BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109993
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202210646083.6
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】コンソン チェン
(72)【発明者】
【氏名】モンレイ シュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】キンユー ジャン
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA16
5F151CB20
5F151CB21
5F151CB30
5F151DA03
5F151DA10
5F151GA04
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5F251AA02
5F251AA16
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5F251CB21
5F251CB30
5F251DA03
5F251DA10
5F251GA04
5F251GA16
5F251HA03
5F251HA07
(57)【要約】
【課題】本願は、太陽電池及び光起電力モジュールを開示する。
【解決手段】太陽電池は、前面と前面に対向する裏面とを有する基板と、第1領域に形成された第1導電層と、第2領域に形成され、第1導電層とは導電タイプが逆である第2導電層とを備え、間隔領域に対応する裏面には、複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造が形成され、第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と隣接する間隔領域の側壁との間には、曲面境界領域を有する。従来技術に比べて、本願は、IBC電池の局所構造設計を最適化することにより、第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と隣接する間隔領域の側壁との間に曲面境界領域を形成し、基板の裏面の入射光反射を増加し、太陽電池の光線に対する吸収量を増加し、太陽電池の変換効率を向上させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
前面と前記前面に対向する裏面とを有する基板であって、前記裏面に第1方向に交互に間隔を隔てて配列された第1領域及び第2領域を有し、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に前記基板の内部に凹んだ間隔領域を有する基板と、
前記第1領域に形成された第1導電層と、
前記第2領域に形成され、前記第1導電層とは導電タイプが逆である第2導電層と、
前記第1導電層に電気的に接触する第1電極と、
前記第2導電層に電気的に接触する第2電極と、を備え、
前記間隔領域に対応する前記裏面には、複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造が形成され、前記第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と、隣接する間隔領域の側壁との間には、曲面境界領域を有する、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
裏面パッシベーション層をさらに備え、前記裏面パッシベーション層は、前記第1導電層、前記第2導電層及び前記間隔領域の表面に位置し、前記第1電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第1導電層に電気的に接触し、前記第2電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第2導電層に電気的に接触する、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記基板の前面には、正面パッシベーション層が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記基板は、N型基板であり、前記第1導電層は、P型ドープ層を含み、前記第2導電層は、N型ドープ層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1導電層及び前記第2導電層の少なくとも1つと前記基板の裏面との間には、誘電体層が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記誘電体層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記誘電体層の厚さは、0.5nm~3nmである、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記誘電体層は、前記間隔領域に対応する前記基板の裏面を被覆しない、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1ピラミッド状テクスチャ構造の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~5μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記曲面境界領域の前記第1方向における距離範囲は、3μm~15μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記曲面境界領域の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、2μm~5μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記間隔領域の前記第1方向における距離範囲は、50~200μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記間隔領域の前記基板の裏面の法線方向における距離範囲は、1~6μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記曲面境界領域の少なくとも一部の表面に複数の線状突起テクスチャ構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記間隔領域の面積と基板の裏面の面積との比は、10%~35%である、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項16】
光起電力モジュールであって、
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の太陽電池が接続されてなる電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を被覆するためのパッケージ層と、
前記パッケージ層の前記電池ストリングから離れる表面を被覆するための蓋板とを備える、ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及び光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
IBC(Interdigitated Back Contact)太陽電池とは、受光面に電極がなく、正負電極がフィンガ状で交差して電池の非受光面に配列されたものを指す。受光面が遮蔽される太陽電池に比べて、IBC電池は、より高い短絡電流及び光電変換効率を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
どのようにIBC電池の効率をさらに向上させるかは、解決すべき技術的課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、従来技術における技術的課題を解決するために、IBC電池の効率を向上させることが可能な太陽電池及び光起電力モジュールを提供することを目的とする。
【0005】
本願は、太陽電池を提供し、当該太陽電池は、
前面と前記前面に対向する裏面とを有する基板であって、前記裏面に第1方向に交互に間隔を隔てて配列された第1領域及び第2領域を有し、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に前記基板の内部に凹んだ間隔領域を有する基板と、
前記第1領域に形成された第1導電層と、
前記第2領域に形成され、前記第1導電層とは導電タイプが逆である第2導電層と、
前記第1導電層に電気的に接触する第1電極と、
前記第2導電層に電気的に接触する第2電極と、を備え、
前記間隔領域に対応する前記裏面には、複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造が形成され、前記第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と隣接する間隔領域の側壁との間には、曲面境界領域を有する。
【0006】
上記の太陽電池において、好ましくは、裏面パッシベーション層をさらに備え、前記裏面パッシベーション層は、前記第1導電層、前記第2導電層及び前記間隔領域の表面に位置し、前記第1電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第1導電層に電気的に接触し、前記第2電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第2導電層に電気的に接触する。
【0007】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記基板の前面には、正面パッシベーション層が形成されている。
【0008】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記基板は、N型基板であり、前記第1導電層は、P型ドープ層を含み、前記第2導電層は、N型ドープ層を含む。
【0009】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記第1導電層及び前記第2導電層の少なくとも1つと前記基板の裏面との間には、誘電体層が設けられている。
【0010】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記誘電体層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む。
【0011】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記誘電体層の厚さは、0.5nm~3nmである。
【0012】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記誘電体層は、前記間隔領域に対応する前記基板の裏面を被覆しない。
【0013】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記第1ピラミッド状テクスチャ構造の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~5μmである。
【0014】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記曲面境界領域の前記第1方向における距離範囲は、3μm~15μmである。
【0015】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記曲面境界領域の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、2μm~5μmである。
【0016】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記間隔領域の前記第1方向における距離範囲は、50~200μmである。
【0017】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記間隔領域の前記基板の裏面の法線方向における距離範囲は、1~6μmである。
【0018】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記曲面境界領域の少なくとも一部の表面に複数の線状突起テクスチャ構造を有する。
【0019】
上記の太陽電池において、好ましくは、前記間隔領域面積と基板の裏面の面積との比は、10%~35%である。
【0020】
本願は、さらに太陽電池の製造方法を提供し、当該方法は、以下のステップを含み、
基板を提供し、前記基板は、前面と前記前面に対向する裏面とを有し、前記裏面に第1方向に交互に間隔を隔てて配列された第1領域及び第2領域を有し、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に前記基板の内部に凹んだ間隔領域を有し、
前記基板の裏面に第1導電層を形成し、
基板の裏面にレーザによる膜切りを行い、前記第2領域及び前記間隔領域に位置する第1導電層を除去し、
前記基板の裏面に第2導電層を形成し、
前記第2導電層の表面の前記第2領域に対応する箇所に第1保護層を形成し、
前記第1保護層で被覆されていない第2導電層を除去し、
前記第1保護層を除去し、
テクスチャリングを行い、前記間隔領域に対応する前記裏面に複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造を形成し、前記第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と隣接する間隔領域の側壁との間に曲面境界領域を有し、
前記第1導電層に第1電極を形成し、前記第2導電層に第2電極を形成する。
【0021】
上記太陽電池の製造方法のように、好ましくは、前記第1保護層は、インクINK保護層である。
【0022】
本願は、さらに光起電力モジュールを提供し、当該光起電力モジュールは、
上記太陽電池が接続されてなる電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を被覆するために用いられるパッケージ層と、
前記パッケージ層の前記電池ストリングから離れる表面を被覆するために用いられる蓋板と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
従来技術に比べて、本願は、IBC電池の局所構造設計を最適化し、第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と隣接する間隔領域の側壁との間に曲面境界領域を形成することにより、基板の裏面の入射光反射を増加し、太陽電池の光線に対する吸収量を増加し、太陽電池の変換効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1-1】本願に係る1種目の構成の太陽電池の構造概略図である。
【
図1-2】本願に係る2種目の構成の太陽電池の構造概略図である。
【
図1-3】本願に係る3種目の構成の太陽電池の構造概略図である。
【
図2】本願に係る太陽電池の部分構造概略図である。
【
図3】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図1である。
【
図4】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図2である。
【
図5】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図3である。
【
図6】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図4である。
【
図7】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図5である。
【
図8】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図6である。
【
図9】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図7である。
【
図10】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図8である。
【
図11】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図9である。
【
図12】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図10である。
【
図13】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図11である。
【
図14】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図12である。
【
図15】本願に係る1種目の構成の太陽電池の製造過程における構造概略
図13である。
【
図16】本願に係る光起電力モジュールの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して説明した実施例は例示的なものであり、本願を説明するために用いられるだけであり、本願を限定するものと解釈することはできない。
【0026】
交差指型バックコンタクトは、IBC電池とも呼ばれ、IBC電池のピッチ(pitch)幅に対して厳しく要求され、広いpitchは、少数キャリアの伝送と収集に影響を与え、同じピッチ幅の条件で、エミッタとベースが
占める割合も電池効率に影響を与える。IBC電池の裏面の各ピッチ(pitch)幅のp+とn+が占める割合を変更することなく、IBC電池の効率を向上させるかは、解決すべき技術的課題である。
【0027】
上記技術的課題を解決するために、本願の実施例は、太陽電池を提供し、太陽電池は、IBC電池であり、
図1―1、
図1―2又は
図1―3に示すように、太陽電池は、少なくとも基板1、第1導電層5、第2導電層6、第1電極7及び第2電極8を備える。ただし、基板1は、前面2と、前面2に対向する裏面3とを有し、前面2は、太陽光の照射方向に面する受光面であり、裏面3は、前面2に対向する表面である。
【0028】
基板1、例えば、第1導電タイプドーパントを含む結晶性半導体(例えば、結晶シリコン)であってもよい。結晶性半導体は、単結晶シリコンであってもよく、また、第1導電タイプドーパントは、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などのV族元素を含むN型ドーパント、又はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのIII族元素を含むP型ドーパントであってもよい。
【0029】
裏面3には、第1方向D1に交互に間隔を隔てて配列された第1領域101及び第2領域102を有し、隣接する第1領域101と第2領域102との間に基板1の内部に凹んだ間隔領域4を有し、第1導電層5は、第1領域101に形成され、第2導電層6は、第2領域102に形成され、第2導電層6は、第1導電層5と導電タイプが逆であり、間隔領域4は、第1導電層5及び第2導電層6を物理的に隔離するために用いられ、それにより、第1導電層5は、第2導電層6と絶縁され、又は第1電極7は、第2電極8と絶縁され、電池の正負電極が短絡し、又は電池の漏電現象の発生を回避し、電池の信頼性を向上させる。
【0030】
第1電極7は、第1導電層5に電気的に接触し、第2電極8は、第2導電層6に電気的に接触し、いくつかの実施例では、第1電極7及び第2電極8の材料は、銀、アルミニウム、銅、ニッケルなどの少なくとも1種の導電金属材料を含む。
【0031】
間隔領域4に対応する裏面3には、複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造が形成され、第1ピラミッド状テクスチャ構造は、テクスチャリング(又はエッチング)プロセスにより、形成することができ、テクスチャリングプロセスの態様は、化学エッチング、レーザエッチング、機械的エッチング、プラズマエッチングなどであってもよく、第1ピラミッド状テクスチャ構造は、良好な光閉じ込め及び反射低減効果を有し、それにより、裏面3に入射された光線も利用されることが可能であり、光の有効接触面積を増加させ、光エネルギーの更なる利用を実現し、電池の発電効率を向上させる。
【0032】
いくつかの実施例では、第1領域101及び第2領域102にそれぞれ対応する裏面3には、複数の非第1ピラミッド状テクスチャ構造、例えば階段状の平坦テクスチャ構造又は四角錐台形テクスチャ構造が形成されている。
【0033】
第1導電層5及び/又は第2導電層6の側壁と、隣接する間隔領域4の側壁との間に曲面境界領域10を有する。
図2のみで例示すると、第2導電層6の側壁と、隣接する間隔領域4の側壁との間に曲面境界領域10を有する。当該曲面境界領域10は、滑らかな壁面接続が形成され、それにより、間隔領域4における第1ピラミッド状テクスチャ構造9の表面と異なる光閉じ込め構造を形成し、基板1の裏面3の入射光反射を増加し、太陽電池の光線に対する吸収量を増加するとともに、間隔領域4の領域のパッシベーションに影響を与えることなく、光線が電池により再利用されて、IBC電池の光電変換効率を向上させる。いくつかの実施例では、「滑ら」とは、曲面境界領域10の粗さが第1ピラミッド状テクスチャ構造9の粗さよりも小さく、又は、曲面境界領域10の粗さが設定された閾値よりも小さいことを指すことができる。いくつかの実施例では、
図2に示すような第2導電層6と隣接する間隔領域の構造が類似し、第1導電層5の側壁と隣接する間隔領域4の側壁との間にも曲面境界領域10を有してもよい。
【0034】
図1―1又は
図1―2に示すように、太陽電池は、N型電池であり、即ち、基板1は、N型結晶シリコン基板であり、第1導電層5は、P型ドープ層(即ちエミッタ)を含み、第2導電層6は、N型ドープ層(即ちベース)を含む。
【0035】
いくつかの実施例では、
図1―1に示すように、第1導電層5は、基板1の内部又は裏面3に形成されている。例えば、堆積、拡散又は印刷などの方法でP型ドーパントを用いて基板1の裏面3の所定の領域をドーピングすることにより、第1導電層5を形成する。この場合、P型ドーパントは、基板1とは逆の導電タイプの任意の不純物を有する。即ち、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Al)又はインジウム(In)などのIII族元素を用いることができる。第1導電層5の結晶構造は、基板1の結晶構造と同じであり、例えば、単結晶シリコンである。第2導電層6と基板1との間に誘電体層13が設けられ、本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層13は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの1つ又は複数を含む。第2導電層6は、N型ドーパントを用いてアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどをドーピングすることにより形成される。N型ドーパントは、基板1と同じ導電タイプを有する任意のドーパントであってもよい。即ち、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)又はアンチモン(Sb)などのV族元素を用いることができる。好ましくは、第2導電層6は、リンがドープされた多結晶シリコン層である。第2導電層6の結晶構造は、基板1の結晶構造と同じではない。
【0036】
いくつかの実施例では、
図1―2に示すように、第2導電層6は、
図1―1に示す第2導電層6と同じであり、ここで繰り返し述べない。異なることは、第1導電層5と基板1との間に同様に誘電体層13が設けられることである。本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層13は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの1つ又は複数を含み、第1導電層5は、P型ドーパントを用いてアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどをドーピングすることにより形成される。即ち、例えばホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのIII族元素のP型ドーパントを用いることができる。好ましくは、第1導電層5は、ホウ素がドープされた多結晶シリコン層である。第1導電層5の結晶構造は、基板1の結晶構造と異なる。
【0037】
いくつかの実施例では、
図1―3に示すように、太陽電池は、P型電池の構造であり、基板1は、P型結晶シリコン基板であり、第1導電層5は、P型ドープ層(即ち、ベース)を含み、第2導電層6は、N型ドープ層(即ち、エミッタ)を含む。
【0038】
P型ドープ層は、レーザ、又はドライエッチング、又はウェットエッチング、又は機械的なスクライブなどのプロセスにより基板1の上方に開口を形成し、P型結晶シリコン基板を露出させ、さらにP型結晶シリコン基板の裏面3に第1電極7を直接的に形成し、第1電極7を裏面3に接触させることにより、第1電極7内の金属原子が裏面3内に拡散し、ベース層を形成する。P型ドープ層は、金属電極と基板1で形成された合金層(例えば、Al―Si合金層)を含む。
【0039】
第2導電層6と基板1との間に誘電体層13が設けられ、本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層13は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの1つ又は複数を含む。第2導電層6は、N型ドーパントを用いてアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどをドーピングすることにより形成される。N型ドーパントは、基板1と同じ導電タイプを有する任意のドーパントであってもよい。即ち、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)又はアンチモン(Sb)のV族元素を用いることができる。
【0040】
本願の実施例では、基板1がN型結晶シリコン基板であることを例として本願のIBC電池の構造を説明する。
【0041】
図1―1、
図14及び
図15に示すように、太陽電池は、裏面パッシベーション層11をさらに備え、裏面パッシベーション層11は、電池の裏面をパッシベーションすることができ、第1導電層5、第2導電層6及び間隔領域4の領域におけるダングリングボンドに対して、裏面3のキャリア複合速度を低下させ、光電変換効率を向上させる。裏面パッシベーション層11は、第1導電層5、第2導電層6及び間隔領域4の表面に位置し、第1電極7は、裏面パッシベーション層11を通り抜けて第1導電層5に電気的に接触し、第2電極8は、裏面パッシベーション層11を通り抜けて第2導電層6に電気的に接触する。
【0042】
本願の選択可能な技術的手段として、裏面パッシベーション層11には、開口が設けられてもよく、それにより、第1電極7と第2電極8が通った後に、それぞれ第1導電層5と第2導電層6に電気的に接触することで、金属電極と第1導電層5及び第2導電層6との接触面積を減少させ、さらに接触抵抗を低減し、開路電圧を向上させる。
【0043】
好ましくは、裏面パッシベーション層11は、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、酸化アルミニウム層、酸窒化ケイ素層のうちの少なくとも1種の又は複数種の積層構造を含む。
【0044】
いくつかの実施例では、裏面パッシベーション層11の厚さの範囲は、10nm~120nmであり、具体的には、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm又は120nmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0045】
好ましくは、基板1の前面2には、正面パッシベーション層12が形成され、正面パッシベーション層12は、基板1の前面2をパッシベーションする作用を果たすことができ、界面でのキャリアの複合を低減し、キャリアの伝送効率を向上させ、さらにIBC電池の光電変換効率を向上させる。
【0046】
好ましくは、正面パッシベーション層12は、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、酸化アルミニウム層、酸窒化ケイ素層のうちの少なくとも1種の又は複数種の積層構造を含む。
【0047】
好ましくは、正面パッシベーション層12の表面には、さらに反射低減層20が設けられ、反射低減層20は、入射光線の反射を低減し、光線に対する屈折を向上させ、それにより、光線の利用率を向上させ、光電変換効率を向上させる。いくつかの実施例では、反射低減層20と類似し、正面パッシベーション層12は、入射光線に対して反射低減作用を果たすことができる。
【0048】
好ましくは、第1導電層5と第2導電層6の少なくとも1つと基板1の裏面3との間に超薄型の誘電体層13が設けられ、誘電体層13は、基板1の裏面3を界面パッシベーションし、界面でのキャリアの複合を低減し、キャリアの伝送効率を保証し、本実施例に関わる技術的手段では、
図8乃至
図15に示すように、誘電体層13は、第2導電層6と基板1の裏面3との間に設けられている。
【0049】
本願の選択可能な技術的手段として、誘電体層13は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの1つ又は複数を含む。
【0050】
いくつかの実施例では、誘電体層13の厚さは、0.5nm~3nmである。誘電体層13の厚さが大きすぎると、多くのキャリアのトンネル効果が影響を受け、キャリアは、伝送して誘電体層13を通過しにくく、さらに誘電体層13のトンネリング及びパッシベーション効果に影響を与え、電池の光電変換効率は、徐々に低下する。誘電体層13の厚さが小さすぎると、電極スラリーとの接触に不利である。好ましくは、誘電体層13の厚さは、0.5nm~3nmである。具体的には、誘電体層13の厚さは、0.5nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm、2.0nm、2.2nm、2.4nm、2.6nm、2.8nm、3nmなどであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0051】
いくつかの実施例では、誘電体層13は、間隔領域4に対応する基板1の裏面3を被覆しない。第1導電層5がP型ドープ層であり、第2導電層6がN型ドープ層である場合、誘電体層13は、トンネル酸化層として選択され、トンネル酸化層は、多数キャリアがトンネリングして第1導電層5及び第2導電層6に進入することを許可すると同時に、少数キャリアの通過を阻止し、さらに多数キャリアは、第1導電層5及び第2導電層6内に横方向に輸送されて第1電極7又は第2電極8により収集され、トンネル酸化層と第1導電層5及び第2導電層6は、トンネル酸化層のパッシベーション接触構造を構成し、優れた界面パッシベーション及びキャリアの選択的な収集を実現し、キャリアの複合を低減し、電池の光電変換効率を向上させる。なお、トンネル酸化層の実際の効果に完璧なトンネルバリアを備えなくてもよく、それは、例えばピンホールなどの欠陥を含んでもよく、それは、他の電荷キャリア伝送メカニズム(例えばドリフト、拡散)がトンネル効果に対して主導を占めることをもたらすことができるためである。
【0052】
いくつかの実施例では、第1ピラミッド状テクスチャ構造9の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~5μmであり、具体的には、距離は、1μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μmなどであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。第1ピラミッド状テクスチャ構造9の頂部表面と底部表面との間の距離が上記範囲に限定される場合、第1ピラミッド状テクスチャ構造9は、良好な光閉じ込め効果及び反射低減効果を有し、光電変換効率をさらに向上させる。
【0053】
いくつかの実施例では、曲面境界領域10の第1方向D1における距離範囲は、3μm~15μmであり、具体的には、距離は、3μm、5μm、7μm、9μm、11μm、13μm、15μmなどであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。この範囲内にあると、入射光の反射を増加し、電池の光線に対する吸収量を増加し、IBC電池の変換効率を向上させ、この範囲を超える場合、距離が小さすぎると、向上効果が顕著ではなく、距離が大きすぎると、裏面3の有効面積が無駄にされ、それによって、電池性能を低下させる。
【0054】
いくつかの実施例では、曲面境界領域10の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、2μm~5μmであり、具体的には、距離は、1μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μmなどであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。曲面境界領域10の頂部表面と底部表面との間の距離が上記範囲に限定される場合、曲面境界領域10は、入射光の反射を増加させることができ、光電変換効率をさらに向上させることができる。
【0055】
いくつかの実施例では、検証することにより、入射光の波長が900~1200nmの範囲内において、境界領域に当該曲面構造が追加されるため、入射光の電池裏面での反射率は、1%~5%向上することが可能であり、それにより、より多くの入射光が電池裏面に到達した後、反射されて再び基板1に入って吸収され、さらに光電変換効率を0.05%~0.1%向上させる。
【0056】
いくつかの実施例では、間隔領域4の第1方向D1における距離範囲は、50~200μmであり、具体的には、距離は、50μm、70μm、90μm、110μm、130μm、150μm、170μm、190μm、200μmなどであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。間隔領域4が広すぎると、裏面3の有効面積が無駄にされる可能性があり、有効キャリアも収集されにくく、電池性能を低下させる。間隔領域4が狭すぎると、良好な正負極の絶縁作用を果たすことができない。
【0057】
いくつかの実施例では、間隔領域4の基板の裏面3の法線方向における距離範囲は、1~6μmであり、具体的には、距離は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μmなどであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0058】
いくつかの実施例では、曲面境界領域10の少なくとも一部の表面は、複数の線状突起テクスチャ構造を有し、線状突起テクスチャ構造の形状は、帯状、菱形、方形、台形などの非ピラミッド状構造を含み、不規則な多角形平面構造であってもよい。
【0059】
いくつかの実施例では、間隔領域4の面積と基板1の裏面3の面積との比は、10%~35%であり、具体的には、比は、10%、15%、20%、25%、30%、35%などであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。間隔領域4の面積の占める割合が大きすぎると、裏面3の有効面積が無駄にされる可能性があり、有効キャリアも収集されにくく、電池性能を低下させ、間隔領域4の面積の占める割合が小さすぎると、良好な正負極の絶縁作用を果たすことができない。
【0060】
上記実施例に基づき、本願は、さらにN型太陽電池の製造方法を提供し、当該製造方法は、以下のステップを含み、即ち、
基板1を提供し、基板1が前面2と、前面2に対向する裏面3とを有し、裏面3に第1方向D1に交互に間隔を隔てて配列された第1領域101及び第2領域102を有し、隣接する第1領域101と第2領域102との間に間隔領域4をすることと、
基板1の裏面3に第1導電層5を形成することと、
基板1の裏面3に対してレーザによる膜切りを行い、第2領域102及び間隔領域4に位置する第1導電層5を除去することと、
基板1の裏面3に第2導電層6を形成することと、
第2導電層6の表面の第2領域102に対応する箇所に第1保護層16を形成することと、
第1保護層16に被覆されていない第2導電層6を除去することと、
第1保護層16を除去することと、
テクスチャリングであって、間隔領域4に対応する裏面3に複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造9を形成し、第1導電層5及び/又は第2導電層6の側壁と、隣接する間隔領域4の側壁との間に曲面境界領域10を有することと、
第1導電層5に第1電極7を形成し、第2導電層6に第2電極8を形成することとを含む。
【0061】
上記製造方法により製造された太陽電池は、IBC電池の局所構造設計を最適化し、第1導電層5及び/又は第2導電層6の側壁と、隣接する間隔領域4の側壁との間に曲面境界領域10を形成することにより、基板1の裏面3の入射光反射を増加し、太陽電池の光線に対する吸収量を増加し、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0062】
以下、本技術的手段を具体的に説明する。
S10ステップでは、
図3に示すように、基板1は、N型結晶シリコン基板であることが好ましく、前面2は、太陽光の照射方向に面する受光面であり、裏面3は、前面2に対向する表面であり、第1導電層5は、第1領域101に形成され、第2導電層6は、第2領域102に形成され、第2導電層6は、第1導電層5と、導電タイプが逆であり、間隔領域4は、第1導電層5及び第2導電層6を隔離するために用いられ、それにより、正負極の絶縁性能を向上させ、電池の漏電現象の発生を回避し、電池の信頼性を向上させる。
【0063】
S20ステップでは、
図4及び
図5に示すように、基板1にテクスチャリングを行い、基板1の裏面3に第1導電層5を形成し、本願実施例では、第1導電層5は、P型ドープ層(即ちエミッタ)を含み、拡散プロセスによりホウ素を基板1にドーピングし、N型シリコンウェハ基板1の裏面3に第1導電層5を形成し、シート抵抗は、70~120ohm/sqであり、ドープ層にさらに拡散して形成されたホウケイ酸ガラス(BSG)を有し、BSG層14は、隔離作用を果たし、第1導電層5をより良く保護し、理解できるように、ホウ素拡散プロセスの場合、基板1の前面2にもP型ドープ層及び部分的なBSG層14が形成され、この部分のホウケイ酸ガラスを除去する必要があり、好ましくは、濃度2%~15%の鎖状HF酸を用いて前面2に位置するBSG層14を除去する。
【0064】
S30ステップでは、
図6及び
図7に示すように、基板1の裏面3にレーザによる膜切りを行い、第2領域102及び間隔領域4に位置する第1導電層5を除去する。具体的には、まず、裏面3にレーザによる膜切りを行い、レーザによる膜切りパターンは、フォーク状を呈し、第2領域102及び間隔領域4の総和に対応し、対応する領域のBSG層14を除去した後、研磨してレーザによる損傷を除去し、具体的には、研磨温度は、50℃~65℃であり、研磨時間<800sであり、研磨液は、体積分率1%~3%のNaOH又は体積分率1%~3%のKOH、及び体積分率0.5%~2.5%の添加剤を含み、研磨深さは、2~5μmである。
【0065】
S40ステップでは、
図8に示すように、基板1の裏面3に第2導電層6を形成し、第2導電層6は、N型ドープ層(即ち、ベース)を含み、具体的には、まず熱酸化で誘電体層13(トンネル酸化層)を成長し、誘電体層13の厚さは、0.1~1nmであり、トンネル酸化層に低圧化学気相堆積法により真性多結晶シリコンを堆積し、多結晶シリコンの厚さは、100~200nmの範囲であり、拡散プロセスによりリンを真性多結晶シリコンにドーピングし、N型シリコンウェハ基板1の裏面にパッシベーション接触構造を形成し、パッシベーション接触構造は、誘電体層13と第2導電層6との積層であり、第2導電層6のシート抵抗は、25~45ohm/sqであり、N型多結晶シリコンに、さらに拡散して形成されたリンケイ酸ガラス(PSG)を有し、PSG層15は、1層のバリア層とすることができ、厚さは、10~40nmの範囲である。
【0066】
S50ステップでは、
図9に示すように、第2導電層6の表面の第2領域102に対応する箇所に第1保護層16が形成され、いくつかの実行可能な実施形態では、第1保護層16は、インクINK保護層であり、第2導電層6のPSG層15にスクリーン印刷又はインクジェット塗布の方式を採用し、1層のフォーク状のインクINK保護層を塗布し、当該インクINK保護層のパターンは、製造されるIBC電池のグリッド線パターンである。
【0067】
S60ステップでは、第1保護層16で被覆されていない第2導電層6を除去し、さらに第1保護層16を除去し、さらにテクスチャリングを行い、間隔領域4に対応する裏面3に複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造9が形成され、第1導電層5及び/又は第2導電層6の側壁と隣接する間隔領域4の側壁との間に、曲面境界領域10を有し、具体的には、
S601であって、
図10に示すように、体積分率2%~15%のHF酸を用いて第1保護層16で被覆されていないPSG層15を腐食し、腐食時間<60sである。
【0068】
S602であって、
図11に示すように第1保護層16で被覆されていないPSG層15を除去した後、アルカリ溶液で第1保護層16を洗浄して除去し、アルカリ溶液は、体積分率2%~5%のNaOH又は体積分率2%~5%のKOH、及び体積分率3%~7%の添加剤を含み、洗浄時間<350sである。
【0069】
S603であって、
図12に示すように、次にテクスチャリング液を用いて第1保護層16で被覆されていない領域にテクスチャリング処理を行い、当該テクスチャリング液は、BSG層14、PSG層15に反応せず、同時に第1保護層16で被覆されていない領域の第1導電層5及び誘電体層13を除去して基板1の前面2と裏面3の間隔領域4にテクスチャリングし、テクスチャリング温度は、70℃~80℃であり、テクスチャリング時間<450sであり、テクスチャリング液は、体積分率1%~2%のNaOH又は体積分率1%~2%のKOH、及び体積分率0.5%~1%の添加剤を含む。
【0070】
S604であって、
図13に示すように、テクスチャリング処理後の基板1にRCA洗浄を行い、そして1%~10%のHF溶液において洗浄し、基板1の表面を洗浄して清潔させ、基板1の表面の誘電体層13、BSG層14及びPSG層15を除去し、それにより、裏面3の異なる領域に異なる形態の構造を形成する。間隔領域4に第1ピラミッド状テクスチャ構造9を形成し、第1ピラミッド状テクスチャ構造9の頂部と底部との距離(又は高さ)の範囲は、2~5μmであり、間隔領域4と第2導電層6との境界に非ピラミッドテクスチャ状を有する曲面境界領域10を形成し、当該曲面境界領域10の幅範囲は、3~15μmであり、高さの範囲は、2~5μmである。
【0071】
S70ステップでは、
図14及び
図15に示すように、基板1の前面2と裏面3にそれぞれ正面パッシベーション層12と裏面パッシベーション層11を堆積し、正面パッシベーション層12は、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素、窒化ケイ素の積層であり、裏面パッシベーション層11は、酸化アルミニウム及び窒化ケイ素であり、基板1の裏面3に銀アルミニウムペースト及び銀ペーストを印刷し、銀アルミニウムペーストの印刷は、第1導電層5に合わせて第1電極7を形成し、銀ペーストは、第2導電層6に位置合わせて第2電極8を形成し、焼結して金属化を完了する。
【0072】
上記実施例に基づき、
図16に示すように、本願は、さらに光起電力モジュールを提供し、当該光起電力モジュールは、電池ストリング17とパッケージ層18と蓋板19とを含む。電池ストリング17は、上述した太陽電池が接続されてなり、隣接する電池ストリング17の間に例えば溶接ストリップなどの導電ストリップを介して接続される。パッケージ層18は、電池ストリング17の表面を被覆するために用いられる。蓋板19は、パッケージ層18の電池ストリング17から離れる表面を被覆するために用いられる。
【0073】
いくつかの実施例では、電池ストリング17の数は、少なくとも2つであり、電池ストリング17は、並列接続及び/又は直列接続の方式により電気的に接続される。
【0074】
いくつかの実施例では、パッケージ層18は、電池ストリング17の正面及び裏面に設けられたパッケージ層を含み、パッケージ層18の材料は、EVA、POE又はPETなどのゴム膜を含むが、それらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施例では、蓋板19は、電池ストリング17の正面及び裏面に設けられた蓋板19を含み、蓋板19は、良好な光透過能力を有する材料が選択され、ガラス、プラスチックなどを含むが、それらに限定されない。
【0076】
以上、図面に示す実施例に基づいて本願の構造、特徴及び作用効果を詳細に説明し、上述したのは本願の好ましい実施例に過ぎず、本出願は図面に示される実施範囲を限定せず、本願の構想に応じて行われる変更、又は同等変化の等価実施例に修正することは、依然として明細書及び図面に含まれる精神を超えない場合、いずれも本出願の保護範囲内にあるべきである。
【符号の説明】
【0077】
1―基板、101―第1領域、102―第2領域、2―前面、3―裏面、4―間隔領域、5―第1導電層、6―第2導電層、7―第1電極、8―第2電極、9―第1ピラミッド状テクスチャ構造、10―曲面境界領域、11―裏面パッシベーション層、12―正面パッシベーション層、13―誘電体層、14―BSG層、15―PSG層、16―第1保護層、17―電池ストリング、18―パッケージ層、19―蓋板、20―反射低減層、D1―第1方向。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
前面と前記前面に対向する裏面とを有する基板であって、前記裏面に第1方向に交互に間隔を隔てて配列された第1領域及び第2領域を有し、隣接する前記第1領域と前記第2領域との間に前記基板の内部に凹んだ間隔領域を有する基板と、
前記第1領域に形成された第1導電層と、
前記第2領域に形成され、前記第1導電層とは導電タイプが逆である第2導電層と、
前記第1導電層に電気的に接触する第1電極と、
前記第2導電層に電気的に接触する第2電極と、を備え、
前記間隔領域に対応する前記裏面には、複数の第1ピラミッド状テクスチャ構造が形成され、前記第1導電層及び/又は第2導電層の側壁と、隣接する間隔領域の側壁との間には、境界領域を有し、
前記境界領域の前記第1方向における距離範囲は、3μm~15μmである、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
裏面パッシベーション層をさらに備え、前記裏面パッシベーション層は、前記第1導電層、前記第2導電層及び前記間隔領域の表面に位置し、前記第1電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第1導電層に電気的に接触し、前記第2電極は、前記裏面パッシベーション層を通り抜けて前記第2導電層に電気的に接触する、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記基板の前面には、正面パッシベーション層が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記基板は、N型基板であり、前記第1導電層は、P型ドープ層を含み、前記第2導電層は、N型ドープ層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1導電層及び前記第2導電層の少なくとも1つと前記基板の裏面との間には、誘電体層が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記誘電体層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記誘電体層の厚さは、0.5nm~3nmである、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記誘電体層は、前記間隔領域に対応する前記基板の裏面を被覆しない、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1ピラミッド状テクスチャ構造の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、1μm~5μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記境界領域の頂部表面と底部表面との間の距離範囲は、2μm~5μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記間隔領域の前記第1方向における距離範囲は、50~200μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記間隔領域の前記基板の裏面の法線方向における距離範囲は、1~6μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記境界領域の少なくとも一部の表面に複数の線状突起テクスチャ構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記間隔領域の面積と基板の裏面の面積との比は、10%~35%である、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
光起電力モジュールであって、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の太陽電池が接続されてなる電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を被覆するためのパッケージ層と、
前記パッケージ層の前記電池ストリングから離れる表面を被覆するための蓋板とを備える、ことを特徴とする光起電力モジュール。