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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180197
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】骨盤ベルト
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
A61F5/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122712
(22)【出願日】2022-08-01
(62)【分割の表示】P 2022092932の分割
【原出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】515272224
【氏名又は名称】コア・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】横井 隆直
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB05
4C098BB08
4C098BC03
4C098BC13
(57)【要約】
【課題】骨盤を安定した状態で支持することができる骨盤ベルトを提供する。
【解決手段】骨盤ベルト10は、ユーザの腰部に巻き付けられ、ユーザの骨盤を締め付ける本体ベルト11と、本体ベルト11の表面側に設けられ、本体ベルト11による骨盤の締め付けを補助する補助ベルト12とを備える。本体ベルト11は、ユーザの背部に配置される第1部分14と、本体ベルト11の長手方向における第1部分14を挟んだ両側に設けられた一対の第2部分15とを有している。第1部分14のベルト長手方向の両端部には、骨盤の腸骨稜点と大腿骨の転子点とを含む上下方向範囲を覆う覆い部31がそれぞれ形成されている。第1部分14は、ベルト長手方向の伸縮性が第2部分15よりも小さくなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの腰部に巻き付けられ、ユーザの骨盤を締め付ける本体ベルトと、
前記本体ベルトの表面側に設けられ、前記本体ベルトによる前記締め付けを補助する補助ベルトと、を備え、
前記本体ベルトは、ユーザの背部に配置される第1部分と、前記本体ベルトの長手方向における前記第1部分を挟んだ両側に設けられた一対の第2部分と、を有し、
前記第1部分は、前記長手方向の伸縮性が前記第2部分よりも小さくなっている、骨盤ベルト。
【請求項2】
前記第1部分及び前記一対の第2部分は、第1生地と、前記第1生地の表面側に重ねられた第2生地とを用いて形成され、
前記第1生地及び前記第2生地は、前記長手方向への伸縮性を有しており、
前記第1生地及び前記第2生地が重ねられた重ね部分における前記長手方向の中間部には、前記第1生地及び前記第2生地よりも前記長手方向への伸縮性の小さい第3生地がさらに重ねられており、
前記第3生地が前記重ね部分に接合されることにより、前記第1生地と前記第2生地と前記第3生地とが重ねられた部分が前記第1部分となっている、請求項1に記載の骨盤ベルト。
【請求項3】
前記本体ベルトは、前記長手方向における前記各第2部分を挟んだ両側に設けられた一対の第3部分を有しており、
前記第1生地は、前記第2生地に対して前記長手方向の両側にそれぞれ延出する一対の延出部を有しており、
前記各延出部が前記一対の第3部分となっており、
前記各第3部分には、前記本体ベルトを前記腰部に巻き付ける際に用いる面ファスナが設けられ、
前記面ファスナは、前記第3部分の前記長手方向の略全域に亘って配置されている、請求項2に記載の骨盤ベルト。
【請求項4】
前記第1生地と前記第2生地とは、互いの上縁部が接合され、かつ互いの下縁部が接合されており、
前記補助ベルトは、前記第1生地と前記第2生地との間を通じて前記長手方向に延びている、請求項3に記載の骨盤ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤ベルトには、ユーザの腰部に巻かれユーザの骨盤を締め付ける本体ベルトと、本体ベルトの表面側に設けられた補助ベルトと、を備えるものがある(例えば特許文献1参照)。かかる骨盤ベルトでは、本体ベルトによる骨盤の締め付けを補助ベルトにより補助することで、骨盤をしっかりと締め付けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5777557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、補助ベルトにより本体ベルトの締め付けを補助するだけでは、骨盤を安定して支持することができない場合があると考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、骨盤を安定した状態で支持することができる骨盤ベルトを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の骨盤ベルトは、
ユーザの腰部に巻き付けられ、ユーザの骨盤を締め付ける本体ベルトと、
前記本体ベルトの表面側に設けられ、前記本体ベルトによる前記締め付けを補助する補助ベルトと、を備え、
前記本体ベルトは、ユーザの背部に配置される第1部分と、前記本体ベルトの長手方向における前記第1部分を挟んだ両側に設けられた一対の第2部分と、を有し、
前記第1部分の前記長手方向の両端部には、骨盤の腸骨稜点と大腿骨の転子点とを含む上下方向範囲を覆う覆い部がそれぞれ形成されており、
前記第1部分は、前記長手方向の伸縮性が前記第2部分よりも小さくなっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明者は、ユーザの骨盤を安定した状態で支持するためには、骨盤の左右両側においてそれぞれ上下に並ぶ骨盤の腸骨稜点と大腿骨の転子点とを含む上下方向範囲を支持することが有効である点を見出した。そこで、本発明では、この点に着目し、上述の構成を採用した。
【0008】
本発明の骨盤ベルトによれば、本体ベルトが、ユーザの背部に配置される第1部分と、本体ベルトの長手方向(以下、ベルト長手方向という)における第1部分を挟んだ両側に設けられた一対の第2部分とを有している。第1部分のベルト長手方向の両端部には、骨盤の腸骨稜点と大腿骨の転子点とを含む上下方向範囲を覆う覆い部がそれぞれ形成されている。これにより、骨盤の左右両側においてそれぞれ腸骨稜点から転子点までの上下方向範囲を支持することが可能となる。
【0009】
また、第1部分は、ベルト長手方向の伸縮性が第2部分よりも小さくなっているため、各覆い部のベルト長手方向の位置(換言すると間隔)を安定させることができる。これにより、骨盤の左右両側において腸骨稜点から転子点までの上下方向範囲を確実に支持することが可能となる。よって、以上より、ユーザの骨盤を安定した状態で支持することができる。
【0010】
なお、「前記第1部分は、前記長手方向の伸縮性が前記第2部分よりも小さくなっている」とは、「前記第1部分が前記長手方向への伸縮性を有しない」場合をも含む意味である。また、これと同様に、請求項6中の「前記第1生地及び前記第2生地よりも前記長手方向への伸縮性の小さい第3生地」とは、「前記長手方向への伸縮性を有しない第3生地」を含む意味である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は骨盤ベルトの正面図であり、(b)は背面図である。
図2】第2生地を取り外した状態で骨盤ベルトの長手方向の中間部を示す正面図である。
図3】(a)は骨盤の腸骨稜点と大腿骨の転子点との各位置を説明するための正面図であり、(b)はユーザが骨盤ベルトを装着した状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1(a)及び(b)に示すように、骨盤ベルト10は、本体ベルト11と、本体ベルト11の表面側に設けられた補助ベルト12とを備える。本体ベルト11と補助ベルト12とはいずれも同じ方向に延びる帯状に形成されている。本体ベルト11は、ユーザの腰部に巻かれ、ユーザの骨盤を締め付けるものである。また、補助ベルト12は、本体ベルト11による骨盤の締め付けを補助するものである。なお、本実施形態では、骨盤ベルト10が、スポーツを行う際に装着されるスポーツ用の骨盤ベルトとなっている。
【0014】
本体ベルト11は、長手方向の中間部(詳しくは中央部)に設けられた第1部分14と、長手方向における第1部分14を挟んだ両側に設けられた一対の第2部分15と、長手方向(以下、ベルト長手方向ともいう)における一対の第2部分15を挟んだ両側に設けられた一対の第3部分16とを有する。第1部分14は、ユーザの背部に配置される部分である。各第2部分15は、第1部分14とベルト長手方向に隣接している。また、各第3部分16は、各第2部分15とベルト長手方向に隣接している。
【0015】
なお、本体ベルト11は、ベルト長手方向に対称な構成を有している。また、本体ベルト11の縁部、つまり第1部分14、第2部分15及び第3部分16の各縁部は、バインダテープ19によりバインダ始末が施されている。
【0016】
図1(a),(b)及び図2に示すように、本体ベルト11は、複数の生地21~23を用いて形成されている。複数の生地21~23には、第1生地21と、第2生地22と、第3生地23とが含まれている。第1生地21と第2生地22とはいずれも、伸縮性の大きいソフトストレッチ生地であり、少なくともベルト長手方向への伸縮性を有している。また、第1生地21と第2生地22とはいずれもベルト長手方向に延びている。第1生地21は、ベルト長手方向の長さが本体ベルト11と同じ長さとなっており、本体ベルト11の長手方向全域に亘って配置されている。
【0017】
第2生地22は、ベルト長手方向の長さが第1生地21よりも短くなっており、第1生地21の表面側に重ねられている。第2生地22は、第1生地21のベルト長手方向の中間部(詳しくは中央部)に配置され、第1生地21に縫製により接合されている。第1生地21と第2生地22とは、互いの上縁部が縫製により接合され、かつ互いの下縁部が縫製により接合されている。
【0018】
なお、図2では、第2生地22及びバインダテープ19を取り外した状態で、骨盤ベルト10の長手方向の中間部を正面側(表面側)から見ている。また、図2では便宜上、第3生地23にドットハッチを付して示している。
【0019】
第3生地23は、第1生地21及び第2生地22よりもベルト長手方向の伸縮性が小さい生地であり、詳しくはベルト長手方向への伸縮性を有しない非伸縮性の生地である。第3生地23は、ベルト長手方向の長さが第2生地22よりも短くなっている。第3生地23は、第1生地21と第2生地22とが重ねられた重ね部25におけるベルト長手方向の中間部(詳しくは中央部)に重ねられている。第3生地23は、重ね部25において第1生地21と第2生地22との間に配置され、その配置状態で重ね部25に接合されている。また、第3生地23は、その周縁部が第1生地21に縫製により接合されている。詳しくは、第3生地23は、第1生地21にのみ接合され、第2生地22に対しては接合されていない。
【0020】
第1生地21と第2生地22とが重ねられた重ね部25を用いて、第1部分14と一対の第2部分15とが形成されている。また、重ね部25と第3生地23とが重ねられた部分、つまり第1生地21、第2生地22及び第3生地23が重ねられた部分が第1部分14となっている。この場合、第1部分14は、伸縮性の大きい第1生地21及び第2生地22に加え、非伸縮性の第3生地23を用いて形成されている。そのため、第1部分14はベルト長手方向への伸縮性が小さくなっており、詳しくはベルト長手方向への伸縮性を有していない。
【0021】
重ね部25のうち、第3生地23が重ねられていない部分は第2部分15となっている。第2部分15は、ベルト長手方向における第3生地23を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。この場合、各第2部分15は、第1生地21と第2生地22とを用いて形成され、詳しくは第1生地21及び第2生地22のみを用いて形成されている。そのため、各第2部分15は、ベルト長手方向の伸縮性が第1部分14よりも大きくなっている。
【0022】
第1生地21は、第2生地22に対してベルト長手方向の両側にそれぞれ延出した一対の延出部26を有する。これら一対の延出部26はそれぞれ第3部分16となっている。各第3部分16の表面側には、面ファスナ28が設けられている。面ファスナ28はループ面を有し、第3部分16のベルト長手方向の略全域に亘って配置されている。面ファスナ28は、非伸縮性の素材により形成され、第3部分16に縫製等により取り付けられている。この場合、面ファスナ28が設けられた第3部分16の全域では、ベルト長手方向への伸縮性が第2部分15よりも小さくなっている。詳しくは、第3部分16は、その全域においてベルト長手方向への伸縮性を有していない。なお、面ファスナ28が、特許請求の範囲に記載の「面ファスナ」に相当する。
【0023】
各第3部分16のうち一方の第3部分16には、裏面側に面ファスナ29が設けられている。面ファスナ29は、第3部分16における第2部分15側とは反対側の端部に配置され、換言すると本体ベルト11の長手方向の一端部に配置されている。面ファスナ29はフック面を有し、面ファスナ28と着脱可能に接合されるようになっている。本体ベルト11がユーザの腰部に巻かれた状態で、面ファスナ29が面ファスナ28に接合されることにより、本体ベルト11がユーザの腰部に装着されるようになっている。
【0024】
ところで、本実施形態の骨盤ベルト10には、ユーザの骨盤を安定した状態で支持すべく、本体ベルト11に特徴的な構成が設けられている。そこで、以下では、その特徴的な構成について説明する。
【0025】
本体ベルト11の第1部分14は、その上下寸法(換言すると幅寸法)がベルト長手方向における中央部から両端部に向けて徐々に大きくなっている。第1部分14のベルト長手方向の両端部には、骨盤の腸骨稜点P1と大腿骨の転子点P2とを含む上下方向範囲を覆う覆い部31がそれぞれ形成されている(図3(b)も参照)。ここで、覆い部31の説明を行う前に、まず腸骨稜点P1と転子点P2とについて図3(a)を用いながら説明する。
【0026】
図3(a)に示すように、腸骨稜点P1とは、骨盤Kの腸骨稜(骨盤Kの上縁に沿って延びている骨の高まり)のうち、最も外側に突き出している点である。また、転子点P2とは、大腿骨Dの大転子(大腿骨Dの上方外側にある大きな突起)のうち、最も高い位置にある点である。腸骨稜点P1と転子点P2とは、上下方向に並んでいる。腸骨稜点P1と転子点P2との上下方向の距離Hは、成人男性(20~79歳)においては平均92mmとなっており、成人女性(20~79歳)においては平均90mmとなっている。
【0027】
上述した腸骨稜点P1と転子点P2との距離H(成人男性:平均92mm、成人女性:平均90mm)は、「日本人の人体寸法データブック2004-2006」(以下、人体寸法データブックと略す)の人体測定データに基づき算出されたものである。人体寸法データブックには、成人男性の起立状態における床面から腸骨稜点P1までの距離(平均値)と、床面から転子点P2までの距離(平均値)とがそれぞれ人体測定データとして記載されており、これら各距離に基づき、成人男性における腸骨稜点P1と転子点P2との距離Hが平均92mmとして算出されている。同様に、人体寸法データブックには、成人女性の起立状態における床面から腸骨稜点P1までの距離(平均値)と、床面から転子点P2までの距離(平均値)とがそれぞれ人体測定データとして記載され、これら各距離に基づき、成人女性における腸骨稜点P1と転子点P2との距離Hが平均90mmとして算出されている。
【0028】
図1(a)に示すように、各覆い部31の上下寸法L(上下方向の長さ寸法)はいずれも97mmとなっている。この上下寸法L(97mm)は、上述した成人男性における腸骨稜点P1と転子点P2との距離H(平均92mm)と、成人女性における腸骨稜点P1と転子点P2との距離H(平均90mm)とのうち、大きい側の成人男性の距離H(平均92mm)に基づき定められている。具体的には、覆い部31の上下寸法Lは、成人男性の上記距離Hに余裕分(5mm)を加味することで97mmとされている。
【0029】
なお、覆い部31の上下寸法Lは必ずしも97mmである必要はない。ただ、腸骨稜点P1と転子点P2とを含む上下方向範囲を確実に覆う上では、覆い部31の上下寸法Lは93mm以上であるのが望ましく、95mm以上であるのがより望ましい。また、ベルト着用時の違和感軽減を図る上では、覆い部31の上下寸法Lは105mm以下であるのが望ましく、100mm以下であるのがより望ましい。
【0030】
各覆い部31の上下寸法Lが97mmに設定されていることにより、図3(b)に示すように本体ベルト11がユーザの腰部に巻き付けられた状態では、左右両側における腸骨稜点P1と転子点P2とを含む上下方向範囲がそれぞれ各覆い部31により覆われた状態となる。これにより、各覆い部31により、腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲を支持することが可能となる。なお、図3(b)では、本体ベルト11がユーザの腰部に巻き付けられた状態をユーザの背側から見ている。また、図3(b)では便宜上、本体ベルト11について外縁のみ示している。
【0031】
第2部分15は、その上下寸法がベルト長手方向における第1部分14側の端部から第3部分16側に向けて徐々に小さくなっている。この場合、第2部分15の上下寸法は、第1部分14の覆い部31の上下寸法から徐々に小さくなっている。また、第3部分16は、その上下寸法がベルト長手方向の全域に亘って略一定とされている。この場合、第3部分16の上下寸法は、第2部分15の第3部分16側の端部における上下寸法と同じとなっている。以上より、本体ベルト11は、第1部分14の各覆い部31において上下寸法Lが最大となっており、各覆い部31以外の部分では上下寸法が覆い部31の上下寸法Lよりも小さくなっている。
【0032】
図1(b)及び図2に示すように、各覆い部31には、上下方向に延びるボーン33がそれぞれ設けられている。ボーン33は硬質樹脂により形成され、その長さが例えば60~70mmとされている。ボーン33は、第3生地23と第2生地22との間に配置され、上下に延びる綾テープ35を用いて第3生地23に取り付けられている。綾テープ35は、ボーン33を覆った状態で第3生地23に縫製され、それによりボーン33が第3生地23に取り付けられている。
【0033】
各覆い部31には、滑り止め部37が設けられている。滑り止め部37は、覆い部31の裏面側に取り付けられ、ユーザの背部に当接する部分となっている。滑り止め部37は、滑り止め効果を有する生地からなり、上下方向に延びる帯状に形成されている。滑り止め部37は、本体ベルト11の厚み方向においてボーン33と重なっており、詳しくはボーン33の全体と重なっている。
【0034】
続いて、補助ベルト12について説明する。補助ベルト12は、伸縮性の大きいパワーネット生地を用いて形成され、詳しくは二重に重ねられた二枚のパワーネット生地を用いて形成されている。補助ベルト12の長さは、本体ベルト11の長さよりも短くなっている。また、補助ベルト12の上下寸法(幅寸法)は、本体ベルト11の上下寸法(幅寸法)よりも小さくなっている。
【0035】
補助ベルト12は、上述したように、本体ベルト11の表面側に配置され、より詳しくは本体ベルト11の第1生地21の表面側に配置されている。補助ベルト12は、本体ベルト11における第1生地21及び第3生地23と第2生地22との間に挿通され、その挿通されている部分が綾テープ43を介して本体ベルト11に取り付けられている。なお、補助ベルト12の縁部は、バインダテープ39によりバインダ始末が施されている。
【0036】
補助ベルト12の長手方向の両端部には、表面側に面ファスナ45が設けられ、裏面側に面ファスナ46が設けられている。各面ファスナ45はループ面を有し、各面ファスナ46はフック面を有している。面ファスナ45と面ファスナ46とは着脱可能に接合されるようになっている。補助ベルト12は、本体ベルト11がユーザの腰部に巻き付けられた状態で長手方向に引っ張られ、その状態で各面ファスナ45,46が互いに接合される、これにより、本体ベルト11による骨盤の締め付けが補助ベルト12により補助されるようになっている。
【0037】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0038】
本体ベルト11は、ユーザの背部に配置される第1部分14と、ベルト長手方向における第1部分14を挟んだ両側に設けられた一対の第2部分15とを有している。第1部分14のベルト長手方向の両端部には、骨盤の腸骨稜点P1と大腿骨の転子点P2とを含む上下方向範囲を覆う覆い部31がそれぞれ形成されている。これにより、骨盤の左右両側においてそれぞれ腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲を支持することが可能となる。
【0039】
また、第1部分14は、ベルト長手方向の伸縮性が第2部分15よりも小さくなっているため、各覆い部31のベルト長手方向の位置(換言すると間隔)を安定させることができる。これにより、骨盤の左右両側において腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲を確実に支持することが可能となる。よって、以上より、ユーザの骨盤を安定した状態で支持することが可能となる。
【0040】
本体ベルト11は、覆い部31において上下寸法が最大となっており、覆い部31以外の部分においては上下寸法が覆い部31の上下寸法よりも小さくなっている。これにより、ベルト装着時における違和感を抑制しながら、腸骨稜点P1と転子点P2とを含む上下方向範囲を支持することが可能となる。
【0041】
腸骨稜点P1と転子点P2との距離は、成人男性においては平均92mm、成人女性においては90mmとなっている。それに対して、覆い部31の上下寸法Lは93mm以上となっており、詳しくは95mm以上となっており、より詳しくは97mmとなっている。これにより、腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲を確実に支持することができる。
【0042】
各覆い部31には、上下方向に延びるボーン33が設けられているため、ボーン33を腸骨稜点P1と転子点P2との間に押し当てることができる。これにより、腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲をしっかりと支えることができ、骨盤をより安定した状態で支持することができる。
【0043】
各覆い部31には、上下方向に延びる滑り止め部37が設けられ、滑り止め部37は本体ベルト11の厚み方向においてボーン33と重なっている。この場合、ボーン33により滑り止め部37がユーザの背部に押し付けられることにより、滑り止め部37による滑り止め効果を高めることができる。そのため、覆い部31が背部に対して位置ずれするのを抑制することができ、その結果、より確実に腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲を支持することが可能となる。
【0044】
本体ベルト11の第1部分14及び一対の第2部分15は、第1生地21と、第1生地21の表面側に重ねられた第2生地22とを用いて形成されている。これら各生地21,22はいずれもベルト長手方向への伸縮性を有しているため、この場合、ベルト長手方向の伸縮力(弾性力)を高めることができる。そのため、腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲をしっかり支持することが可能となる。
【0045】
また、第1生地21と第2生地22とが重ねられた重ね部25におけるベルト長手方向の中間部には、それら各生地21,22よりもベルト長手方向への伸縮性の小さい第3生地23がさらに重ねられている。そして、第3生地23が重ね部25に接合されることにより、第1生地21と第2生地22と第3生地23とが重ねられた部分が、伸縮性の小さい第1部分14となっている。この場合、第1部分14及び一対の第2部分15を伸縮性の大きい2つの生地21,22を用いて形成した構成にあって、伸縮性の小さい第3生地23をさらに接合するといった簡単な手法で第1部分14を形成することが可能となる。
【0046】
本体ベルト11の各第3部分16の表面側には、第3部分16のベルト長手方向の略全域に亘って面ファスナ28が設けられている。この場合、第3部分16が伸縮性の大きい第1生地21の延出部26により構成されているにもかかわらず、第3部分16全体のベルト長手方向への伸縮性を小さくすることができる。かかる構成では、本体ベルト11においてベルト長手方向に伸縮する部分を概ね第2部分15のみとすることができ、詳しくは第1生地21と第2生地22とが重ねられることで伸縮力が高くなっている第2部分15のみとすることができる。これにより、第2部分15の高い伸縮力を好適に発揮させることができるため、腸骨稜点P1から転子点P2までの上下方向範囲をしっかり支持するという上述の効果を得やすくすることができる。
【0047】
本体ベルト11の第1部分14及び各第2部分15が第1生地21と第2生地22とを用いて形成されている構成にあって、補助ベルト12が第1生地21と第2生地22との間を通じてベルト長手方向に延びているため、補助ベルト12による本体ベルト11の締め付け補助を好適に行うことが可能となる。また、補助ベルト12により各ボーン33を腸骨稜点P1と転子点P2との間にしっかり押し当てることもできる。
【0048】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、本体ベルト11の上下寸法を覆い部31において最大とし、覆い部31以外の部分では覆い部31の上下寸法Lよりも小さくしたが、これを変更してもよい。例えば、第1部分14のベルト長さ方向の全域に亘って、本体ベルト11の上下寸法を略一定としてもよい。この場合にあっても、本体ベルト11の上下寸法を例えば97mmに設定すれば、各覆い部31の上下寸法が97mmとなるため、各覆い部31により腸骨稜点P1と転子点P2とを含む上下方向範囲を覆うことが可能となる。
【0050】
・上記実施形態では、第3生地23を重ね部25において第1生地21に接合したが、第2生地22に接合してもよい。また、第3生地23を重ね部25において第1生地21の裏面側に接合したり、第2生地22の表面側に接合したりしてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、第1生地21と第2生地22と第3生地23とを重ね合わせることで、第1部分14と一対の第2部分15とを形成したが、これを変更してもよい。例えば、ベルト長手方向への伸縮性の小さい第4生地を設けるとともに、ベルト長手方向における第4生地を挟んだ両側にベルト長手方向への伸縮性の大きい第5生地をそれぞれ設け、それら各第5生地を第4生地に接合する構成が考えられる。この構成では、第4生地により第1部分14が形成され、各第5生地により一対の第2部分15が形成されることになる。
【0052】
・上記実施形態では、スポーツ用の骨盤ベルト10に本発明を適用したが、骨盤矯正用や姿勢矯正用等、スポーツ用以外の骨盤ベルトに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…骨盤ベルト、11…本体ベルト、12…補助ベルト、14…第1部分、15…第2部分、16…第3部分、21…第1生地、22…第2生地、23…第3生地、25…重ね部、26…延出部、28…面ファスナ、31…覆い部、33…ボーン、37…滑り止め部。
図1
図2
図3