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特開2023-180199半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180199
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20231213BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H01L23/30 B
H01L21/56 T
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H01L23/50 F
H01L23/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147730
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2022092791
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保谷 昌志
【テーマコード(参考)】
4M109
5F061
5F067
5F136
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109BA02
4M109CA21
4M109EA02
4M109EB12
4M109EB13
4M109EE05
4M109GA05
5F061AA02
5F061BA02
5F061CA21
5F061DA06
5F061FA05
5F067AA03
5F067AB10
5F067CA05
5F067CA07
5F136BB11
5F136DA01
5F136DA27
5F136FA52
5F136FA56
5F136FA63
5F136FA66
5F136FA82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体モジュールの放熱性と低コスト化の両立する半導体モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体モジュールは、第1面F1及びその反対方向を向く第2面F2を有する第1ダイパッド31a、第1ダイパッドよりも第2面の向く方向に位置する第1アウターリード31b、第1ダイパッドと第1アウターリードを接続し、段差部31c1を有する第1インナーリード31c、第2面に接合される第1半導体チップ21及び第1ダイパッド及び第1半導体チップを封止する封止部材40を備える。封止部材は、第1面に接合され、第1樹脂組成物からなる第1封止部41及び第2面に接合され、第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物からなる第2封止部42を有する。第1封止部の露出面FEは封止部材の外表面の一部を構成し、第1接合面FS1は第1ダイパッドに接合し、第2接合面FS2は段差部の高さ方向に沿って段差部に接合する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面とは反対方向を向く第2面とを有する第1ダイパッドと、
前記第1ダイパッドよりも前記第2面の向く方向に位置する第1アウターリードと、
前記第1ダイパッドと前記第1アウターリードとを接続し、段差部を有する第1インナーリードと、
前記第2面に接合される第1半導体チップと、
前記第1ダイパッドおよび前記第1半導体チップを封止する封止部材と、を備え、
前記封止部材は、
前記第1面に接合され、第1樹脂組成物で構成される第1封止部と、
前記第2面に接合され、前記第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物で構成される第2封止部と、を有し、
前記第1封止部は、
前記封止部材の外表面の一部を構成する露出面と、
前記第1ダイパッドに接合される第1接合面と、
前記段差部の高さ方向に沿って前記段差部に接合される第2接合面と、を有する、
半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1接合面は、前記第1ダイパッドの側面と前記第1面とのそれぞれに接合される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第2面は、前記第1接合面に接合されない部分を有する、
請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第2接合面は、前記段差部の高さ方向での全域にわたり前記段差部に接合される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第2接合面は、前記段差部の周方向での全域にわたり前記段差部に接合される、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記第2接合面は、前記段差部の表面を全域にわたり覆う、
請求項5に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記第1封止部は、前記露出面とは反対方向を向く端面を有し、
前記端面は、前記第1ダイパッドの厚さ方向にみて前記段差部に重なり、かつ、前記第2面と平行な部分を有する、
請求項5に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記第1ダイパッドの厚さは、前記第1インナーリードの厚さよりも厚い、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記第1ダイパッドよりも前記第2面の向く方向に位置する第2ダイパッドと、
第2アウターリードと、
前記第2ダイパッドおよび前記第2アウターリードと一体で構成される第2インナーリードと、
前記第2ダイパッドに接合される第2半導体チップと、をさらに備え、
前記第1封止部は、前記第2ダイパッドおよび前記第2インナーリードのうちの一方または両方に接合される第3接合面をさらに有する、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記第1封止部は、前記露出面から前記第1面にわたる切欠き部を有し、
前記第2封止部は、前記切欠き部に充填される部分を有する、
請求項9に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
第1面と前記第1面とは反対方向を向く第2面とを有する第1ダイパッドと、
前記第1ダイパッドよりも前記第2面の向く方向に位置する第1アウターリードと、
前記第1ダイパッドと前記第1アウターリードとを接続し、段差部を有する第1インナーリードと、
前記第2面に接合される第1半導体チップと、
前記第1ダイパッドおよび前記第1半導体チップを封止する封止部材と、を備える半導体モジュールの製造方法であって、
前記第1ダイパッドと前記第1アウターリードと前記第1インナーリードとを含むリードフレームを準備する準備工程と、
第1樹脂組成物を用いて、前記第1面に接合される第1封止部を前記封止部材の一部として成形する第1成形工程と、
前記第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物を用いて、前記第2面に接合される第2封止部を前記封止部材の他の一部として成形する第2成形工程と、を含み、
前記第1封止部は、
前記封止部材の外表面の一部を構成する露出面と、
前記第1ダイパッドに接合される第1接合面と、
前記段差部の高さ方向に沿って前記段差部に接合される第2接合面と、を有する、
半導体モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記第1成形工程は、第1成形型を用いて前記第1封止部を成形し、
前記第2成形工程は、前記第1成形型とは異なる第2成形型を用いて前記第2封止部を成形する、
請求項11に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記第1成形型は、前記第1面に接触する突起を有し、
前記第1成形工程は、前記第1封止部に、前記突起により、前記露出面から前記第1面にわたる切欠き部を形成し、
前記第2成形工程は、前記第2封止部の一部により、前記切欠き部を充填する、
請求項12に記載の半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体モジュールに代表される半導体モジュールでは、例えば、特許文献1から6に開示されるように、リードフレームを用いて形成されたダイパッド上に搭載された電力用の半導体チップを封止樹脂によりモールド封止した構成を採用する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、リードフレームを用いたダイパッドに接合された電力用半導体素子を封止する封止樹脂が、第1の封止樹脂と、第1の封止樹脂よりも無機物粒子の含有濃度の低い第2の封止樹脂と、を有する。ここで、ダイパッドがアウターリードに比べて下側に配置されるように、リードフレームには、段差が設けられる。
【0004】
特許文献1には、第1の封止樹脂を電力用半導体素子の上面より上には設けずにダイパッドの上面まで設けることにより、ダイパッドの側面および下面に対して第1の封止樹脂をアンカー効果により機械的に固定することが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/138092号
【特許文献2】特開2021-145036号公報
【特許文献3】特開2000-138343号公報
【特許文献4】特開2018-29149号公報
【特許文献5】特開2021-302526号公報
【特許文献6】特開2000-14196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構成では、リードフレームに対する第1の封止樹脂の接触範囲がダイパッドの側面および下面に限定されるため、電力用半導体素子からの熱を第1の封止樹脂を介して外部に効率的に逃すことが難しいという課題がある。
【0007】
以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、半導体モジュールの低コストを図りつつ、放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る半導体モジュールは、第1面と前記第1面とは反対方向を向く第2面とを有する第1ダイパッドと、前記第1ダイパッドよりも前記第2面の向く方向に位置する第1アウターリードと、前記第1ダイパッドと前記第1アウターリードとを接続し、段差部を有する第1インナーリードと、前記第2面に接合される第1半導体チップと、前記第1ダイパッドおよび前記第1半導体チップを封止する封止部材と、を備え、前記封止部材は、前記第1面に接合され、第1樹脂組成物で構成される第1封止部と、前記第2面に接合され、前記第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物で構成される第2封止部と、を有し、前記第1封止部は、前記封止部材の外表面の一部を構成する露出面と、前記第1ダイパッドに接合される第1接合面と、前記段差部の高さ方向に沿って前記段差部に接合される第2接合面と、を有する。
【0009】
また、本開示の好適な態様に係る半導体モジュールの製造方法は、第1面と前記第1面とは反対方向を向く第2面とを有する第1ダイパッドと、前記第1ダイパッドよりも前記第2面の向く方向に位置する第1アウターリードと、前記第1ダイパッドと前記第1アウターリードとを接続し、段差部を有する第1インナーリードと、前記第2面に接合される第1半導体チップと、前記第1ダイパッドおよび前記第1半導体チップを封止する封止部材と、を備える半導体モジュールの製造方法であって、前記第1ダイパッドと前記第1アウターリードと前記第1インナーリードとを含むリードフレームを準備する準備工程と、第1樹脂組成物を用いて、前記第1面に接合される第1封止部を前記封止部材の一部として成形する第1成形工程と、前記第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物を用いて、前記第2面に接合される第2封止部を前記封止部材の他の一部として成形する第2成形工程と、を含み、前記第1封止部は、前記封止部材の外表面の一部を構成する露出面と、前記第1ダイパッドに接合される第1接合面と、前記段差部の高さ方向に沿って前記段差部に接合される第2接合面と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る半導体モジュールの断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体モジュールの平面図である。
図3】第1実施形態に係る半導体モジュールをモーターの駆動に適用した回路例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る半導体モジュールの拡大断面図である。
図5】第1封止部の平面視形状を説明するための図である。
図6】第1実施形態に係る半導体モジュールの上面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体モジュールの下面図である。
図8】第1実施形態に係る半導体モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図9】準備工程を示す図である。
図10】第1半導体チップ搭載工程を示す図である。
図11】第1成形工程を示す図である。
図12】第2半導体チップ搭載工程を示す図である。
図13】ワイヤーボンディング工程を示す図である。
図14】第2成形工程を示す図である。
図15】第2実施形態に係る半導体モジュールの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本開示にかかる実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施形態は、本開示の好適な具体例である。このため、以下の実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
1.第1実施形態
1-1.半導体モジュールの全体構成
図1は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の断面図である。図2は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の平面図である。半導体モジュール10は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール等のパワーモジュールである。図1および図2に示す例では、半導体モジュール10は、インバータブリッジ回路および制御回路を内蔵したIPM(Intelligent Power Module)であり、例えば、エアコンディショナー、鉄道車両、自動車または家庭用電気機械等の機器に搭載されるインバーターまたは整流器等の装置での電力制御に用いられる。
【0013】
図1および図2に示すように、半導体モジュール10は、複数の第1半導体チップ21と複数の第2半導体チップ22と複数の半導体チップ23とリード群30と封止部材40とを備える。なお、図2では、説明の便宜上、封止部材40については外縁のみが図示される。
【0014】
以下、まず、図1および図2に基づいて、半導体モジュール10の各部の概略を順次説明する。なお、以下の説明は、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。Z軸は、半導体モジュール10の厚さ方向に平行な軸である。以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向とは反対の方向がX2方向である。Y軸に沿う一方向がY1方向であり、Y1方向とは反対の方向がY2方向である。Z軸に沿う一方向がZ1方向であり、Z1方向とは反対の方向がZ2方向である。これらの方向と鉛直方向との関係は、特に限定されず、任意である。また、以下では、Z軸に沿う方向にみることを「平面視」という場合がある。
【0015】
第1半導体チップ21は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはパワーMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等のスイッチング素子を含む半導体素子である。図1および図2に示す例では、第1半導体チップ21は、RC(Reverse-Conducting)-IGBT等のスイッチング素子であり、FWD(Free Wheeling Diode)等のダイオードをさらに含む。
【0016】
第1半導体チップ21の裏面には、スイッチング素子の入力電極であるドレイン電極またはコレクタ電極が設けられるとともに、当該入力電極に電気的に接続されるように、ダイオードの出力電極であるカソード電極が設けられる。一方、第1半導体チップ21のおもて面には、スイッチング素子の出力電極であるソース電極またはエミッタ電極と制御電極であるゲート電極とが設けられるとともに、当該出力電極に電気的に接続されるように、ダイオードの入力電極であるアノード電極が設けられる。
【0017】
図1に示す例では、第1半導体チップ21の数が6個である。そして、6個の第1半導体チップ21は、U相、V相、W相の3個のハーフブリッジ回路を構成する。ここで、6個の第1半導体チップ21のうち、図2中の下側の3個の第1半導体チップ21が高電位側の素子であり、図2中の上側の3個の第1半導体チップ21が低電位側の素子である。
【0018】
なお、第1半導体チップ21の数は、図1に示す例に限定されず、任意である。また、FWD(Free Wheeling Diode)等のダイオードは、第1半導体チップ21とは別体として設けられてもよい。この場合、例えば、第1半導体チップ21の出力電極は、対となるダイオードの入力電極に対して、ボンディングワイヤーを介して電気的に接続される。
【0019】
複数の第2半導体チップ22のそれぞれは、第1半導体チップ21の駆動を制御するためのIC(Integrated Circuit)等の電子部品である。図2に示す例では、第2半導体チップ22の数が2個である。2個の第2半導体チップ22のうち、図2中の下側の第2半導体チップ22が高電位側の3個の第1半導体チップ21に対応し、図2中の上側の第2半導体チップ22が低電位側の3個の第1半導体チップ21に対応する。2個の第2半導体チップ22のそれぞれは、ボンディングワイヤー52を介して、対応する3個の第1半導体チップ21の制御電極に電気的に接続されており、当該対応する3個の第1半導体チップ21の駆動を制御する。
【0020】
複数の半導体チップ23のそれぞれは、BSD(Boot Strap Diode)等のダイオードである。図2に示す例では、半導体チップ23の数が3個であり、3個の半導体チップ23がボンディングワイヤー54を介して高電位側の第2半導体チップ22のおもて面に電気的に接続される。この接続の詳細については、後に図3に基づいて説明する。
【0021】
リード群30は、半導体モジュール10を実装するための図示しない基板に対して、複数の第1半導体チップ21、複数の第2半導体チップ22および複数の半導体チップ23のそれぞれを電気的に接続するための複数のリードの集合である。リード群30は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金または鉄合金等の金属で構成されており、リードフレームを加工することにより得られる。
【0022】
リード群30は、電力用の複数のリードで構成される第1リード群31と、制御用の複数のリードで構成される第2リード群32と、に区分される。第1リード群31および第2リード群32は、互いに間隔を隔てて配置される。
【0023】
第1リード群31は、複数の第1ダイパッド31aと複数の第1アウターリード31bと複数の第1インナーリード31cとを含む。
【0024】
複数の第1ダイパッド31aのそれぞれは、封止部材40の内側に配置され、少なくとも1個の第1半導体チップ21を搭載する。複数の第1ダイパッド31aは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて配列される。図2に示す例では、第1ダイパッド31aの数が4個である。そして、4個の第1ダイパッド31aのうち、1個の第1ダイパッド31aには、高電位側の3個の第1半導体チップ21の裏面が半田等の接合材61を介して接合される。残りの3個の第1ダイパッド31aのそれぞれには、低電位側の1個の第1半導体チップ21の裏面が半田等の接合材61を介して接合される。
【0025】
複数の第1アウターリード31bのそれぞれは、複数の第1ダイパッド31aよりもZ1方向の位置で、封止部材40の外側に配置される。図2に示す例では、第1アウターリード31bの数が7個であり、7個の第1アウターリード31bは、前述の3個のハーフブリッジ回路の出力端子U、V、W、正極直流端子Pおよび負極直流端子N(U)、N(V)、N(W)からなる7個の端子である。
【0026】
複数の第1インナーリード31cのそれぞれは、封止部材40の内側に配置される。複数の第1インナーリード31cは、複数の第1アウターリード31bに対応して設けられる。図2に示す例では、第1インナーリード31cの数が7個である。そして、7個の第1インナーリード31cのそれぞれは、対応する第1アウターリード31bと一体で構成される。また、7個の第1インナーリード31cのうち、出力端子U、V、Wおよび正極直流端子Pに対応する4個の第1インナーリード31cは、4個の第1ダイパッド31aに対応して設けられる。そして、当該4個の第1インナーリード31cのそれぞれは、対応する第1ダイパッド31aと一体で構成される。
【0027】
前述のように、複数の第1アウターリード31bが複数の第1ダイパッド31aよりもZ1方向の位置にある。このような複数の第1アウターリード31bと複数の第1ダイパッド31aとの配置を許容するように、複数の第1インナーリード31cのうち、4個の第1ダイパッド31aに対応する4個の第1インナーリード31cのそれぞれには、段差部31c1が設けられる。
【0028】
以上の複数の第1インナーリード31cは、複数のボンディングワイヤー51を介して複数の第1半導体チップ21のおもて面に適宜に接続される。この接続の詳細については、後に図3に基づいて説明する。
【0029】
第2リード群32は、複数の第2ダイパッド32aと複数の第2アウターリード32bと複数の第2インナーリード32cとを含む。
【0030】
複数の第2ダイパッド32aのそれぞれは、封止部材40の内側に配置され、第2半導体チップ22または半導体チップ23を搭載する。図2に示す例では、第2ダイパッド32aの数が5個である。そして、5個の第2ダイパッド32aのうち、2個の第2ダイパッド32aのそれぞれには、第2半導体チップ22の裏面が絶縁性または導電性の接着剤等の接合材62を介して接合される。残りの3個の第2ダイパッド32aのそれぞれには、半導体チップ23の裏面が導電性接着剤等の接合材63を介して接合される。ここで、当該2個の第2ダイパッド32aは、複数の第1ダイパッド31aに対してY1方向に隣り合う位置で、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて配列される。当該残りの3個の第2ダイパッド32aは、封止部材40の外縁に隣り合う位置で、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて配列される。
【0031】
複数の第2アウターリード32bのそれぞれは、複数の第2ダイパッド32aと同一平面上の位置で、封止部材40の外側に配置される。図2に示す例では、第2アウターリード32bの数が21個であり、21個の第2アウターリード32bは、ゲート電源端子VBU、VBV、VBW、基準電位端子VS2U、VS2V、VS2W、信号入力端子UINH、VINH、WINH、信号電源端子VCCH、2個の共通端子COM、信号入力端子UINL、VINL、WINL、信号電源端子VCCL、電流検出端子IS、2個のNC端子および2個のダミー端子からなる21個の端子である。なお、当該2個のダミー端子のうち、一方のダミー端子は信号電源端子VCCHに電気的に接続され、他方のダミー端子は共通端子COMに電気的に接続される。
【0032】
複数の第2インナーリード32cのそれぞれは、複数の第2ダイパッド32aと同一平面上の位置で、封止部材40の内側に配置される。複数の第2インナーリード32cは、複数の第2アウターリード32bに対応して設けられる。図2に示す例では、第2インナーリード32cの数が21個である。そして、21個の第2インナーリード32cのそれぞれは、対応する第2アウターリード32bと一体で構成される。また、21個の第2インナーリード32cのうち、2個の共通端子COMおよび1個のダミー端子に対応する3個の第2インナーリード32cは、第2半導体チップ22のための2個の第2ダイパッド32aと一体で構成される。さらに、21個の第2インナーリード32cのうち、ゲート電源端子VBU、VBV、VBWに対応する3個の第2インナーリード32cは、半導体チップ23のための3個の第2ダイパッド32aに対応して設けられ、対応する第2ダイパッド32aと一体で構成される。
【0033】
以上の複数の第2インナーリード32cは、ボンディングワイヤー53を介して複数の第2半導体チップ22および複数の半導体チップ23のおもて面に適宜に接続される。この接続の詳細については、後に図3に基づいて説明する。
【0034】
封止部材40は、複数の第1半導体チップ21と複数の第2半導体チップ22と複数の半導体チップ23とリード群30のアウターリード以外の部分とを封止する。図示しないが、封止部材40の裏面には、放熱フィン等の放熱部材がネジ留め等により接合される。当該放熱部材は、複数の第1半導体チップ21からの熱を外部に放出する。
【0035】
封止部材40は、第1封止部41と第2封止部42とを有する。図1に示す例では、第1封止部41が封止部材40の一部を構成し、第2封止部42が封止部材40の第1封止部41以外の部分を構成する。ここで、第1封止部41および第2封止部42のそれぞれは、樹脂組成物で構成される。ただし、第1封止部41を構成する樹脂組成物である第1樹脂組成物の熱伝導率は、第2封止部42を構成する樹脂組成物である第2樹脂組成物の熱伝導率よりも高い。そして、第1封止部41は、複数の第1半導体チップ21の近傍でリード群30に接合されるとともに、封止部材40の裏面とリード群30とにわたり設けられており、封止部材40の裏面の一部を構成する。このため、複数の第1半導体チップ21からの熱を封止部材40の裏面から効率的に放熱することができる。第1封止部41および第2封止部42の詳細については、後に図4から図7に基づいて説明する。
【0036】
1-2.半導体モジュールの適用例
図3は、第1実施形態に係る半導体モジュール10をモーターMの駆動に適用した回路例を示す図である。図3に示す例では、半導体モジュール10には、モーターMと直流電源VDCと電流検出用抵抗Rdetと電源用コンデンサCB(U)、CB(V)、CB(W)と信号用電源Vccとコントローラー90とが接続される。
【0037】
モーターMは、3相モーターであり、前述の3個のハーフブリッジ回路の出力端子U、V、Wに接続される。直流電源VDCの正極は、当該3個のハーフブリッジ回路の正極直流端子Pに接続される。一方、直流電源VDCの負極は、電流検出用抵抗Rdetを介して、当該3個のハーフブリッジ回路の負極直流端子N(U)、N(V)、N(W)のそれぞれに接続される。以上の接続により、半導体モジュール10は、正極直流端子Pおよび負極直流端子N(U)、N(V)、N(W)を介して直流電源VDCからの直流の電力を受けることにより、出力端子U、V、Wを介してモーターMに電力を供給する。
【0038】
電源用コンデンサCB(U)、CB(V)、CB(W)は、高電位側の3個の第1半導体チップ21のスイッチング素子のゲート駆動電源として用いられる。ここで、電源用コンデンサCB(U)の1対の端子のうち、一方の端子がゲート電源端子VBUに接続され、他方の端子が基準電位端子VS2Uに接続される。同様に、電源用コンデンサCB(V)の1対の端子のうち、一方の端子がゲート電源端子VBVに接続され、他方の端子が基準電位端子VS2Vに接続される。電源用コンデンサCB(W)の1対の端子のうち、一方の端子がゲート電源端子VBWに接続され、他方の端子が基準電位端子VS2Wに接続される。
【0039】
信号用電源Vccの正極は、信号電源端子VCCHおよび信号電源端子VCCLのそれぞれに接続される。一方、信号用電源Vccの負極は、共通端子COMおよびコントローラー90のグランド端子(GND)のそれぞれに接続される。ここで、信号電源端子VCCHとゲート電源端子VBU、VBV、VBWのそれぞれとは、信号電源端子VCCHにアノードが接続される向きで、BSDである半導体チップ23を介して接続される。これにより、信号用電源VCCからの電力により電源用コンデンサCB(U)、CB(V)、CB(W)のそれぞれが充電される。
【0040】
コントローラー90は、PWM(pulse width modulation)制御のための集積演算ユニット(MPU:Micro Processing Unit)である。コントローラー90は、信号入力端子UINH、VINH、WINH、共通端子COM、信号入力端子UINL、VINL、WINLおよび電流検出端子ISに接続される。
【0041】
コントローラー90は、信号入力端子UINH、VINH、WINHおよび信号入力端子UINL、VINL、WINLのそれぞれに入力されるPWM信号を出力する。信号入力端子UINH、VINH、WINHに入力されるPWM信号は、高電位側の第2半導体チップ22に入力される。信号入力端子UINL、VINL、WINLに入力されるPWM信号は、低電位側の第2半導体チップ22に入力される。第2半導体チップ22は、入力されたPWM信号に基づいて、対応する3個の第1半導体チップ21のスイッチング素子のゲート電位を変化させる信号を出力端子UOUT,VOUT,WOUTから出力する。これにより、コントローラー90からのPWM信号に基づいて、第1半導体チップ21のスイッチング素子のオンオフが切り替えられる。
【0042】
半導体モジュール10は、電流検出用抵抗Rdetの抵抗値に基づいて、3個のハーフブリッジ回路の各相を流れる電流を検出し、過電流発生時に半導体モジュール10を破損から保護する機能を有する。電流検出用抵抗Rdetの抵抗値変化に応じた電流レベル信号は、電流検出端子ISを介して低電位側の第2半導体チップ22に入力されるとともに、コントローラー90に入力される。低電位側の第2半導体チップ22は、当該電流レベル信号と基準値との比較結果に基づいて過電流の発生の有無を判定し、過電流が発生した場合、低電位側の第2半導体チップ22のスイッチング素子の電流遮断を行う。また、コントローラー90は、当該電流レベル信号と基準値との比較結果に基づいて過電流の発生の有無を判定し、過電流が発生した場合、高電位側の第2半導体チップ22のスイッチング素子の電流遮断を行う。
【0043】
1-3.封止部材
図4は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の拡大断面図である。図5は、第1封止部41の平面視形状を説明するための図である。図6は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の上面図である。図7は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の下面図である。なお、図5は、第2封止部42の図示を省略した半導体モジュール10の平面図である。図6は、半導体モジュール10をZ2方向にみた図である。これに対し、図7は、半導体モジュールをZ1方向にみた図である。
【0044】
封止部材40の説明に先立ち、まず、第1ダイパッド31a、第1アウターリード31b、第1インナーリード31c、第2ダイパッド32a、第2アウターリード32bおよび第2インナーリード32cについて説明する。
【0045】
第1ダイパッド31aは、第1面F1と、第1面F1とは反対方向を向く第2面F2と、を有する。図4に示す例では、第1ダイパッド31aがZ軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなしており、第1面F1がZ2方向を向く面であり、第2面F2がZ1方向を向く面である。第2面F2には、第1半導体チップ21が接合材61を介して接合される。
【0046】
第1アウターリード31bは、第1ダイパッド31aよりも第2面F2の向く方向に位置する。すなわち、第1アウターリード31bは、第1ダイパッド31aよりもZ1方向に位置する。ここで、第1アウターリード31bは、第1ダイパッド31aよりもY2方向に位置する。したがって、平面視で、第1ダイパッド31aおよび第1アウターリード31bは、互いに重ならない。
【0047】
第1インナーリード31cは、第1ダイパッド31aおよび第1アウターリード31bと一体で構成されており、第1ダイパッド31aと第1アウターリード31bとを接続する。ここで、前述のように、Z軸に沿う方向における第1ダイパッド31aおよび第1アウターリード31bの位置が互いに異なることから、これを許容するように、第1インナーリード31cは、段差部31c1を有する。図4に示す例では、段差部31c1は、X軸に沿う方向にみて、Z軸に対して傾斜する方向に延びる。また、第1インナーリード31cの厚さt2は、第1ダイパッド31aの厚さt1に等しい。なお、当該傾斜角度は、図4に示す例に限定されない。例えば、段差部31c1は、X軸に沿う方向にみて、Z軸に平行に延びてもよい。第1インナーリード31cの厚さt2は、第1ダイパッド31aの厚さt1と異なってもよい。
【0048】
第2ダイパッド32aは、第1ダイパッド31aよりも第2面F2の向く方向に位置する。図4に示す例では、第2ダイパッド32aがZ軸に沿う方向を厚さ方向とする板状をなす。第2ダイパッド32aのZ1方向を向く面には、第2半導体チップ22が接合材62を介して接合されるか、または、半導体チップ23が接合材63を介して接合される。
【0049】
第2アウターリード32bは、第2ダイパッド32aと同一平面上に位置する部分を有する。ここで、平面視で、第2ダイパッド32aおよび第2アウターリード32bは、互いに重ならない。
【0050】
第2インナーリード32cは、第2ダイパッド32aおよび第2アウターリード32bと一体で構成されており、第2ダイパッド32aと第2アウターリード32bとを接続する。ここで、第2インナーリード32cは、第2ダイパッド32aと同一平面上に位置する。
【0051】
以上のリード群30の要素のうち、第1ダイパッド31a、第1インナーリード31c、第2ダイパッド32aおよび第2インナーリード32cは、第1半導体チップ21、第2半導体チップ22および半導体チップ23とともに、封止部材40により封止される。前述のように、封止部材40は、第1封止部41と第2封止部42とを有する。
【0052】
第1封止部41は、第1ダイパッド31aと第1インナーリード31cと第2ダイパッド32aとのそれぞれの一部に接合される。
【0053】
第1封止部41は、封止部材40のZ2方向を向く面から第1ダイパッド31aと第1インナーリード31cと第2ダイパッド32aとのそれぞれに至る範囲にわたり設けられる。したがって、第1封止部41は、封止部材40の外表面の一部を構成する露出面FEと、第1ダイパッド31aに接合される第1接合面FS1と、段差部31c1の高さ方向に沿って段差部31c1に接合される第2接合面FS2と、第2ダイパッド32aに接合される第3接合面FS3と、を有する。
【0054】
露出面FEは、封止部材40の外表面の一部を構成する第1封止部41の面である。図4に示す例では、露出面FEは、第1封止部41のZ2方向を向く面であり、封止部材40のZ2方向を向く面と同一平面上に位置する。
【0055】
ここで、露出面FEは、第1ダイパッド31aよりもZ2方向に位置しており、第1封止部41は、露出面FEと第1面F1との間に介在する部分を有する。当該部分は、封止部材40のZ2方向を向く面に接合される放熱フィン等の放熱部材と第1ダイパッド31aとの間を電気的に絶縁する役割を担う。
【0056】
また、図4に示すように、第1封止部41は、露出面FEから第1面F1にわたる切欠き部41aを有する。切欠き部41aは、後述の第1成形工程S2で用いる第1成形型100の突起111aにより形成される。後述するように、突起111aは、第1成形工程S2で第1ダイパッド31aの高さ方向での位置決めを行う。
【0057】
図7に示すように、切欠き部41aは、第1封止部41の側面に開放する形状をなす。このため、後述の第2成形工程S5で切欠き部41aに第2封止部42の一部を充填することができる。このような切欠き部41aの形成に伴って、露出面FEは、島状の複数の部分FEaを有する。図7に示す例では、部分FEaの平面視形状が四角形である。なお、部分FEaの平面視形状は、図7に示す例に限定されず、例えば、円形または楕円形であってもよし、四角形以外の多角形であってもよい。また、部分FEaの数も、図7に示すに限定されず、任意である。
【0058】
第1接合面FS1は、第1ダイパッド31aに接合される第1封止部41の面である。図4に示す例では、第1接合面FS1は、第1ダイパッド31aの側面と第1面F1とのそれぞれに接合される。また、第1封止部41は、Z1方向に開放する凹部41dが設けられる。凹部41dの底部には、第2面F2が露出する。したがって、第2面F2は、第1接合面FS1に接合されない部分を有する。すなわち、第2面F2は、第1封止部41に接合されない部分を有する。なお、第1封止部41は、第2面F2に全域にわたり接合されなくてもよい。
【0059】
ここで、図5に示すように、第1封止部41は、凹部41dの壁面を構成する1対の壁部41b、41cを有する。壁部41bは、複数の段差部31c1よりもZ1方向に位置しており、複数の第1ダイパッド31aのY2方向での端と複数の段差部31c1とを覆うように、X軸に沿う方向に延びる。壁部41cは、複数の第1ダイパッド31aのY1方向での端を覆うように、X軸に沿う方向に延びる。
【0060】
第2接合面FS2は、段差部31c1の高さ方向に沿って段差部31c1に接合される第1封止部41の面である。図4に示す例では、第1封止部41のZ1方向での端面が段差部31c1のZ1方向での端と同一平面上に位置する。そして、第2接合面FS2は、段差部31c1の表面を全域にわたり覆う。したがって、第2接合面FS2は、段差部31c1の高さ方向での全域にわたり段差部31c1に接合される。また、第2接合面FS2は、段差部31c1の周方向での全域にわたり段差部31c1に接合される。なお、第1封止部41は、段差部31c1の周方向での一部に接合されなくてもよいし、段差部31c1の高さ方向での一部に接合されなくてもよい。
【0061】
ここで、第1封止部41のZ1方向での端面は、第1インナーリード31cのZ1方向を向く面と同一平面上に位置する。このため、第1封止部41は、第1インナーリード31cとの間に形成される段差または凹部を少なくすることができる。この結果、後述の第2成形工程S5の成形性を高めることができる。
【0062】
第3接合面FS3は、第2ダイパッド32aに接合される第1封止部41の面である。図4に示す例では、第3接合面FS3は、第2ダイパッド32aのZ2方向を向く面の一部と側面の一部とのそれぞれに接合される。また、第1封止部41のZ1方向での端面は、第2ダイパッド32aのZ1方向を向く面と同一平面上に位置する。このため、第1封止部41は、第2ダイパッド32aとの間に形成される段差または凹部を少なくすることができる。この結果、後述の第2成形工程S5の成形性を高めることができる。なお、第3接合面FS3は、第2インナーリード32cに接合されてもよい。
【0063】
第2封止部42は、第1封止部41の露出面FE以外の面を覆うように設けられる。このため、図4に示すように、第2封止部42は、前述の凹部41dの底部で第2面F2に接合される。また、第2封止部42は、切欠き部41aに充填される部分42aを有する。また、図4図6および図7に示すように、第2封止部42は、封止部材40の外表面の露出面FEを除く全域を構成する。
【0064】
以上のように配置される第1封止部41および第2封止部42は、互いに異なる樹脂組成物で構成される。具体的には、第1封止部41は、第1樹脂組成物で構成されるのに対し、第2封止部42は、第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物で構成される。
【0065】
第1樹脂組成物の熱伝導率は、第2樹脂組成物の熱伝導率よりも高ければよく、特に限定されないが、熱伝導性を高める観点から、具体的には、2[W/K・m]以上であることが好ましく、3[W/K・m]以上であることがより好ましい。
【0066】
第2樹脂組成物の熱伝導率は、第1樹脂組成物の熱伝導率よりも低ければよく、特に限定されないが、低コスト化および成形性の観点から、具体的には、1[W/K・m]以下であることが好ましい。
【0067】
第1樹脂組成物の熱伝導率と第2樹脂組成物の熱伝導率との差は、特に限定されないが、熱伝導性と低コスト化と成形性との両立の観点から、1[W/K・m]以上3[W/K・m]以下であることが好ましい。
【0068】
第1樹脂組成物および第2樹脂組成物のそれぞれは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の樹脂を含む組成物である。第1樹脂組成物に用いる樹脂の種類は、第2樹脂組成物に用いる樹脂の種類と同一であっても異なってもよい。
【0069】
第1樹脂組成物および第2樹脂組成物のそれぞれは、熱伝導性を高める観点から、無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、窒化ホウ素(BN)、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、窒化ケイ素(Si)および窒化アルミニウム等の絶縁性フィラーが挙げられる。これらの無機フィラーのうち、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、無機フィラーの表面には、必要に応じて、カップリング処理等の表面処理が施される。
【0070】
ここで、第1樹脂組成物中の無機フィラーの含有率は、第2樹脂組成物中の無機フィラーの含有率よりも高いことが好ましい。これにより、第1樹脂組成物の熱伝導率を第2樹脂組成物の熱伝導率よりも容易に高めることができる。
【0071】
第1樹脂組成物に用いる無機フィラーの種類は、第2樹脂組成物に用いる無機フィラーの種類と同一であっても異なってもよい。第1樹脂組成物に用いる無機フィラーの種類が第2樹脂組成物に用いる無機フィラーの種類と異なる場合、第1樹脂組成物に用いる無機フィラーの熱伝導率は、第2樹脂組成物に用いる無機フィラーの熱伝導率よりも高いことが好ましい。これにより、第1樹脂組成物中の無機フィラーの含有率と第2樹脂組成物中の無機フィラーの含有率との差を小さくしつつ、第1樹脂組成物の熱伝導率を第2樹脂組成物の熱伝導率よりも高めることができる。
【0072】
1-4.半導体モジュールの製造方法
図8は、第1実施形態に係る半導体モジュール10の製造方法を示すフローチャートである。半導体モジュール10の製造方法は、図8に示すように、準備工程S0と第1チップ搭載工程S1と第1成形工程S2と第2チップ搭載工程S3とワイヤーボンディング工程S4と第2成形工程S5とリード加工工程S6とをこの順で含む。以下、各工程を順に説明する。
【0073】
1-4-0.準備工程
図9は、準備工程S0を示す図である。準備工程S0では、図9に示すように、リード群30を含むリードフレーム300が用意される。リードフレーム300は、図示しないが、リード群30のほか、リード群30を囲む枠状部分と、リード群30と当該枠状部分とを接続するタイバーと、を有する。
【0074】
1-4-1.第1チップ搭載工程
図10は、第1チップ搭載工程S1を示す図である。第1チップ搭載工程S1では、図10に示すように、リード群30を含むリードフレーム300が用意され、複数の第1半導体チップ21が複数の第1ダイパッド31aの第2面F2に接合材61を介して接合される。これにより、ワークW1が得られる。
【0075】
1-4-2.第1成形工程
図11は、第1成形工程S2を示す図である。第1成形工程S2では、図11に示すように、第1封止部41が形成される。これにより、ワークW2が得られる。
【0076】
より具体的に説明すると、第1成形工程S2では、まず、第1成形型100が用意される。第1成形型100は、キャビティC1を形成する下型110および上型120を有する。下型110は、第1封止部41の裏面および側面を成形する成形面111を有する。ここで、成形面111には、複数の突起111aが設けられる。複数の突起111aのそれぞれは、切欠き部を形成するための凸部である。一方、上型120は、第1封止部41のおもて面を成形する成形面121を有する。
【0077】
次に、ワークW1が下型110の成形面111上に配置される。ここで、複数の突起111aのそれぞれは、第1ダイパッド31aの第1面F1に接触する。これにより、第1ダイパッド31aと成形面111との間には、突起111aの高さに応じた隙間が形成される。
【0078】
その後、下型110および上型120を閉じた状態でキャビティC1内に未硬化の第1樹脂組成物が充填される。当該第1樹脂組成物を硬化させることにより、第1封止部41が形成される。
【0079】
1-4-3.第2チップ搭載工程
図12は、第2チップ搭載工程S3を示す図である。第2チップ搭載工程S3では、ワークW2を第1成形型100から取り出した後、図12に示すように、複数の第2ダイパッド32aに対し、複数の第2半導体チップ22が接合材62を介して接合されるとともに、複数の半導体チップ23が接合材63を介して接合される。これにより、ワークW3が得られる。
【0080】
1-4-4.ワイヤーボンディング工程
図13は、ワイヤーボンディング工程S4を示す図である。ワイヤーボンディング工程S4では、図13に示すように、複数の第1半導体チップ21と複数の第2半導体チップ22と複数の半導体チップ23とリード群30とを適宜に接続するボンディングワイヤーが形成される。これにより、ワークW4が得られる。
【0081】
1-4-5.第2成形工程
図14は、第2成形工程S5を示す図である。第2成形工程S5では、図14に示すように、第2封止部42が形成される。これにより、ワークW5が得られる。
【0082】
より具体的に説明すると、第2成形工程S5では、まず、第2成形型200が用意される。第2成形型200は、キャビティC2を形成する下型210および上型220を有する。下型210は、第2封止部42の裏面と側面の一部とを成形する成形面211を有する。一方、上型220は、第2封止部42のおもて面と側面の残部とを成形する成形面221を有する。
【0083】
次に、ワークW4が下型210の成形面211上に配置される。その後、下型210および上型220を閉じた状態で、下型210と上型220との間に形成されるキャビティC2内に未硬化の第2樹脂組成物が充填される。当該第2樹脂組成物を硬化させることにより、第2封止部42が形成される。
【0084】
1-4-6.リード加工工程
リード加工工程S6では、ワークW5を第2成形型200から取り出した後、リードフレーム300のタイバーを切断することにより、リード群30をリードフレーム300から分離した後、第1アウターリード31bおよび第2アウターリード32bがフォーミングされる。以上の工程により、半導体モジュール10が得られる。
【0085】
以上のように、半導体モジュール10は、第1ダイパッド31aと第1アウターリード31bと第1インナーリード31cと第1半導体チップ21と封止部材40とを備える。第1ダイパッド31aは、第1面F1と、第1面F1とは反対方向を向く第2面F2と、を有する。第1アウターリード31bは、第1ダイパッド31aよりも第2面F2の向く方向に位置する。第1インナーリード31cは、第1ダイパッド31aと第1アウターリード31bとを接続し、段差部31c1を有する。第1半導体チップ21は、第2面F2に接合される。封止部材40は、第1ダイパッド31aおよび第1半導体チップ21を封止する。
【0086】
ここで、封止部材40は、第1封止部41と第2封止部42とを有する。第1封止部41は、第1面F1に接合され、第1樹脂組成物で構成される。第2封止部42は、第2面F2に接合され、第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物で構成される。
【0087】
そのうえで、第1封止部41は、封止部材40の外表面の一部を構成する露出面FEと、第1ダイパッド31aに接合される第1接合面FS1と、段差部31c1の高さ方向に沿って段差部31c1に接合される第2接合面FS2と、を有する。
【0088】
以上の半導体モジュール10では、第1封止部41が第1接合面FS1および第2接合面FS2を有するので、第1半導体チップ21からの熱を第1ダイパッド31aを介して第1封止部41に逃すだけでなく段差部31c1を介して第1封止部41に逃すことができる。そして、第1封止部41が露出面FEを有しており、第1樹脂組成物の熱伝導率が第2樹脂組成物の熱伝導率よりも高いので、第1半導体チップ21からの熱を露出面FEから効率的に放熱することができる。
【0089】
ここで、封止部材40が第1封止部41のほかに第2封止部42を有するので、第1樹脂組成物が高価な材料であっても、封止部材40を第1樹脂組成物のみで構成する場合に比べて、低コスト化を図ることができる。また、第1封止部41の成形と第2封止部42の成形とを別工程とすることにより、封止部材40中の第1ダイパッド31aの位置決め精度を高めやすいという利点もある。以上から、半導体モジュール10の低コストを図りつつ、放熱性を向上させることができる。
【0090】
前述のように、第1接合面FS1は、第1ダイパッド31aの側面と第1面F1とのそれぞれに接合される。このため、第1接合面FS1が第1ダイパッド31aの第1面F1および側面のうちの一方のみに接合される構成に比べて、第1半導体チップ21の熱を第1封止部41に効率的に逃すことができる。
【0091】
また、前述のように、第2面F2は、第1接合面FS1に接合されない部分を有する。このため、当該部分に第1半導体チップ21を搭載することができる。
【0092】
さらに、前述のように、第2接合面FS2は、段差部31c1の高さ方向での全域にわたり段差部31c1に接合される。このため、第2接合面FS2が段差部31c1に高さ方向での一部のみに接合される構成に比べて、第1半導体チップ21からの熱を段差部31c1を介して第1封止部41に効率的に逃すことができる。
【0093】
また、前述のように、第2接合面FS2は、段差部31c1の周方向での全域にわたり段差部31c1に接合される。このため、第2接合面FS2が段差部31c1に周方向での一部のみに接合される構成に比べて、第1半導体チップ21からの熱を段差部31c1を介して第1封止部41に効率的に逃すことができる。
【0094】
さらに、前述のように、第2接合面FS2は、段差部31c1の表面を全域にわたり覆う。このため、第2接合面FS2が段差部31c1の表面の一部のみを覆う構成に比べて、第1半導体チップ21からの熱を段差部31c1を介して第1封止部41に効率的に逃すことができる。
【0095】
また、前述のように、半導体モジュール10は、第2ダイパッド32aと第2アウターリード32bと第2インナーリード32cと第2半導体チップ22とをさらに備える。第2ダイパッド32aは、第1ダイパッド31aよりも第2面F2の向く方向に位置する。第2インナーリード32cは、第2ダイパッド32aおよび第2アウターリード32bと一体で構成される。第2半導体チップ22は、第2ダイパッド32aに接合される。そのうえで、第1封止部41は、第2ダイパッド32aおよび第2インナーリード32cのうちの一方または両方に接合される第3接合面FS3をさらに有する。このため、第1ダイパッド31aに対する第2ダイパッド32a、第2アウターリード32bおよび第2インナーリード32cの位置決めを第1封止部41により行うことができる。また、第1半導体チップ21からの熱を第1ダイパッド31a、第1封止部41、第2ダイパッド32aまたは第2インナーリード32c、第2アウターリード32bを介して外部に逃すこともできる。
【0096】
さらに、前述のように、第1封止部41は、露出面FEから第1面F1にわたる切欠き部41aを有する。そして、第2封止部42は、切欠き部41aに充填される部分42aを有する。このため、第1封止部41の成形時に用いる第1成形型100には、切欠き部41aを形成するための突起111aが設けられるので、突起111aにより第1ダイパッド31aの位置決めを行うことができる。また、第2封止部42が切欠き部41aに充填される部分42aを有するので、当該部分42aを有しない構成に比べて、封止部材40の機械的強度を高めたり、露出面FEと放熱フィンとの接触面積を大きくして放熱性を向上させたりすることができる。
【0097】
また、前述のように、半導体モジュール10の製造方法は、準備工程S0と第1成形工程S2と第2成形工程S5とを含む。準備工程S0は、第1ダイパッド31aと第1アウターリード31bと第1インナーリード31cとを含むリードフレーム300を準備する。第1成形工程S2は、第1樹脂組成物を用いて、第1面F1に接合される第1封止部41を封止部材40の一部として成形する。第2成形工程S5は、第1樹脂組成物よりも熱伝導率の低い第2樹脂組成物を用いて、第2面F2に接合される第2封止部42を封止部材40の他の一部として成形する。
【0098】
以上の製造方法では、露出面FEと第1接合面FS1と第2接合面FS2とを有する第1封止部41が得られる。したがって、低コストを図りつつ、放熱性を向上させることができる半導体モジュール10が得られる。
【0099】
さらに、前述のように、第1成形工程S2は、第1成形型100を用いて第1封止部41を成形する。第2成形工程S5は、第1成形型100とは異なる第2成形型200を用いて第2封止部42を成形する。このため、第1封止部41および第2封止部42の寸法精度を高めることができる。また、第1成形型100の切欠き部41aを形成する突起111aにより第1ダイパッド31aの位置決めを行うことができる。また、第2成形型200に位置決めピンを無くすことにより、リードのレイアウト自由度を高めることができる。
【0100】
具体的には、前述のように、第1成形型100は、第1面F1に接触する突起111aを有する。第1成形工程S2は、第1封止部41に、突起111aにより、露出面FEから第1面F1にわたる切欠き部41aを形成する。第2成形工程S5は、第2封止部42の一部により、切欠き部41aを充填する。このため、第1成形型100の突起111aにより第1ダイパッド31aの位置決めを行うことができる。また、第2成形型200が切欠き部41aに第2樹脂組成物を充填するための部分を有するので、当該部分を有しない構成に比べて、封止部材40の機械的強度を高めたり、露出面FEと放熱フィン等の放熱部材との接触面積を大きくして放熱性を向上させたりすることができる。
【0101】
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が前述の実施形態と同様である要素については、前述の実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0102】
図15は、第2実施形態に係る半導体モジュール10Aの拡大断面図である。半導体モジュール10Aは、第1実施形態の第1ダイパッド31a、第1インナーリード31c、段差部31c1および封止部材40に代えて、第1ダイパッド31d、第1インナーリード31e、段差部31e1および封止部材40Aを備えること以外は、第1実施形態の半導体モジュール10と同様に構成される。
【0103】
第1ダイパッド31dは、厚さが異なること以外は、第1実施形態の第1ダイパッド31aと同様に構成されており、第1面F1および第2面F2を有する板状をなす。第1ダイパッド31dには、第1インナーリード31eを介して第1アウターリード31bに接続される。
【0104】
ここで、第1ダイパッド31dの厚さt1は、第1インナーリード31eの厚さt2よりも厚い。そして、第1ダイパッド31dは、第1インナーリード31eに対して、露出面FEに向かう方向に突出する。具体的には、第1ダイパッド31dの第2面F2は、第1インナーリード31eの厚さ方向での両面のうち、露出面FEから遠いほうの面に連続した面である。これに対し、第1ダイパッド31dの第1面F1は、第1インナーリード31eの厚さ方向での両面のうち、露出面FEに近いほうの面に連続しない面であり、当該近いほうの面に対して第1ダイパッド31dの側面を介して接続される。
【0105】
このように、第1ダイパッド31dを第1インナーリード31eに対して突出させることにより、後述の段差部31e1の傾斜角度を抑えつつ、第1面F1を露出面FEに近づけることができる。この結果、第1半導体チップ21に対するボンディング性を向上させたり、第1半導体チップ21から露出面FEへの熱の伝達効率を高めたりする効果が得られる。
【0106】
第1ダイパッド31dの厚さt1は、第1封止部41Aの厚さt0よりも薄く、かつ、第1インナーリード31eの厚さt2よりも厚ければよいが、前述の効果を高める観点から、好ましくは、厚さt2に対して2倍以上であり、さらに半導体モジュール10Aの低背化との両立の観点から、より好ましくは、2倍以上5倍以下である。
【0107】
また、第1ダイパッド31dが露出面FEに近い位置となるように、Z軸に沿う方向における第1ダイパッド31dおよび第1アウターリード31bの位置が互いに異なる。このような第1ダイパッド31dおよび第1アウターリード31bの位置関係を許容するように、第1インナーリード31eは、段差部31e1を有する。
【0108】
封止部材40Aは、第1封止部41Aおよび第2封止部42Aを有する。第1封止部41Aは、形状が異なること以外は、第1実施形態の第1封止部41と同様に構成される。これに伴い、第2封止部42Aは、形状が異なること以外は、第1実施形態の第2封止部42と同様に構成される。
【0109】
第1封止部41Aは、封止部材40Aの外表面の一部を構成する露出面FEと、第1ダイパッド31dに接合される第1接合面FS1と、段差部31e1の高さ方向に沿って段差部31e1に接合される第2接合面FS2と、第2ダイパッド32aに接合される第3接合面FS3と、を有する。
【0110】
本実施形態の第1接合面FS1は、第1ダイパッド31dの側面と第1面F1とのそれぞれに接合される。また、第1封止部41Aは、Z1方向に開放する凹部41eが設けられる。凹部41eの底部には、第2面F2が露出する。
【0111】
本実施形態の第2接合面FS2は、段差部31e1の表面を全域にわたり覆う。ここで、第1封止部41Aの露出面FEと反対方向を向く端面、すなわち第1封止部41AのZ1方向での端面FS4は、段差部31e1のZ1方向での端と同一平面上に位置しており、第2封止部42Aに接合される。また、端面FS4は、第1ダイパッド31dの厚さ方向にみて段差部31e1に重なり、かつ、第2面F2と平行な部分を有する。さらに、端面FS4は、第1インナーリード31cのZ1方向を向く面と同一平面上に位置する。このため、第1封止部41Aの表面に形成される段差または凹部を少なくすることができる。この結果、第1封止部41Aの成形性を高めることができる。
【0112】
以上の第2実施形態によっても、半導体モジュール10Aの放熱性と低コスト化との両立を図ることができる。本実施形態では、前述のように、第1封止部41Aは、露出面FEとは反対方向を向く端面FS4を有する。端面FS4は、第1ダイパッド31dの厚さ方向にみて段差部31e1に重なり、かつ、第2面F2と平行な部分を有する。このため、第1封止部41Aの成形性を高めつつ、段差部31e1に対して第1封止部41Aに必要な機械的強度を確保することができる。
【0113】
また、前述のように、第1ダイパッド31dの厚さt1は、第1インナーリード31eの厚さt2よりも厚い。このため、第1実施形態のように厚さt1が厚さt2と等しい構成に比べて、第1ダイパッド31dでの熱の広がりを大きくすることができる。この結果、半導体モジュール10Aの放熱性を向上させることができる。また、第1実施形態のように厚さt1が厚さt2と等しい構成に比べて、第1ダイパッド31dの熱容量を大きくすることができる。この結果、第1半導体チップ21の温度変化が低減されるので、半導体モジュール10Aの過渡応答特性を向上させることができる。
【0114】
3.変形例
本開示は前述の各実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0115】
3-1.変形例1
前述の形態では、第1封止部41のZ1方向での端面が段差部31c1のZ1方向での端と第2インナーリード32cのZ1方向を向く面とのそれぞれと同一平面上に位置する構成が例示されるが、当該構成に限定されない。第1封止部41のZ1方向での端面は、段差部31c1のZ1方向での端に対してZ1方向またはZ2方向にずれて位置してもよいし、第2インナーリード32cのZ1方向を向く面に対してZ1方向またはZ2方向にずれて位置してもよい。
【0116】
3-2.変形例2
リード群30の平面視形状、構成するリードの数等の態様は、半導体モジュールに求められる特性に応じて適宜に変更可能であり、前述の態様に限定されない。
【0117】
3-3.変形例3
前述の形態では、第1封止部41の側面が全域にわたり第2封止部42により覆われる構成が例示されるが、当該構成に限定されず、第1封止部41の側面の少なくとも一部が第2封止部42により覆われずに封止部材40の外表面の一部を構成してもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…半導体モジュール、21…第1半導体チップ、22…第2半導体チップ、23…半導体チップ、30…リード群、31…第1リード群、31a…第1ダイパッド、31b…第1アウターリード、31c…第1インナーリード、31c1…段差部、31d…第1ダイパッド、31e…第1インナーリード、31e1…段差部、32…第2リード群、32a…第2ダイパッド、32b…第2アウターリード、32c…第2インナーリード、40…封止部材、40A…封止部材、41…第1封止部、41A…第1封止部、41a…切欠き部、41b…壁部、41c…壁部、41d…凹部、41e…凹部、42…第2封止部、42A…第2封止部、42a…部分、51…ボンディングワイヤー、52…ボンディングワイヤー、53…ボンディングワイヤー、54…ボンディングワイヤー、61…接合材、62…接合材、63…接合材、90…コントローラー、100…第1成形型、110…下型、111…成形面、111a…突起、120…上型、121…成形面、200…第2成形型、210…下型、211…成形面、220…上型、221…成形面、300…リードフレーム、C1…キャビティ、C2…キャビティ、CB…電源用コンデンサ、COM…共通端子、EFa…部分、F1…第1面、F2…第2面、FE…露出面、FEa…部分、FS1…第1接合面、FS2…第2接合面、FS3…第3接合面、FS4…端面、IS…電流検出端子、M…モーター、N…負極直流端子、P…正極直流端子、Rdet…電流検出用抵抗、S0…準備工程、S1…第1チップ搭載工程、S2…第1成形工程、S3…第2チップ搭載工程、S4…ワイヤーボンディング工程、S5…第2成形工程、S6…リード加工工程、U…出力端子、UINH…信号入力端子、UINL…信号入力端子、UOUT…出力端子、V…出力端子、VBU…ゲート電源端子、VBV…ゲート電源端子、VBW…ゲート電源端子、VCC…信号用電源、VCCH…信号電源端子、VCCL…信号電源端子、VDC…直流電源、VINH…信号入力端子、VINL…信号入力端子、VOUT…出力端子、VS2U…基準電位端子、VS2V…基準電位端子、VS2W…基準電位端子、Vcc…信号用電源、W…出力端子、W1…ワーク、W2…ワーク、W3…ワーク、W4…ワーク、W5…ワーク、WINH…信号入力端子、WINL…信号入力端子、WOUT…出力端子。
図1
図2
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