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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180212
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】切断装置用治具
(51)【国際特許分類】
   B23D 23/00 20060101AFI20231213BHJP
   B23D 15/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B23D23/00 B
B23D15/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061850
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2022092881
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518191094
【氏名又は名称】株式会社オカゾエ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000163419
【氏名又は名称】株式会社きんでん
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】岡添 啓
(72)【発明者】
【氏名】水野 慶蔵
(72)【発明者】
【氏名】大石 和幸
【テーマコード(参考)】
3C039
【Fターム(参考)】
3C039AA02
3C039AA25
3C039DA05
(57)【要約】
【課題】被切断物を切断装置に容易に供給することが可能で、被切断物の精度の良い切断を可能とする切断装置用治具を提供する。
【解決手段】第一構成部2Aと、第一構成部2Aに対して交差する第二構成部2Bとを有する被切断物2を軸線方向と交差する方向に切断可能な切断装置10を保持する切断装置用治具1であって、切断装置10は、被切断物2の切断進行方向に対して第一構成部2Aが軸線周りに傾斜角度θ1で傾斜した姿勢で被切断物2を切断可能であり、切断装置10を保持する保持部20は、設置面4に対して水平に載置可能な設置部25と、設置面4に対し傾斜角度θ1で配置され、切断装置10を設置角度θ2で傾斜させて保持する傾斜部30とを備え、第一構成部2Aと設置面4とがなす角度が、傾斜角度θ1よりも緩やかな角度となる状態で被切断物2を切断可能なように切断装置10を保持可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線方向に延びるように形成された第一構成部と、前記第一構成部に対して交差する第二構成部とが一連となるように生成された被切断物を前記軸線方向と交差する方向に切断可能な切断装置を保持するための切断装置用治具であって、
前記切断装置は、前記被切断物に対する切断進行方向に対して前記被切断物の前記第一構成部が前記軸線周りに所定の傾斜角度で傾斜した姿勢において、前記被切断物を切断可能なものであり、
前記切断装置を保持する保持部を備え、
前記保持部は、
設置面に対して水平に載置可能な設置部と、
前記設置面に対して前記所定の傾斜角度で傾斜配置され、前記切断装置を前記所定の設置角度で傾斜させた状態で保持可能な傾斜部と、
を備え、
前記傾斜部に前記切断装置を配することにより、前記被切断物の第一構成部と前記設置面とがなす角度が、前記傾斜角度よりも緩やかな角度となる状態で前記被切断物を切断可能なように、前記切断装置を保持可能であること、を特徴とする切断装置用治具。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記被切断物の第一構成部が、前記設置面に対して水平となる状態で前記被切断物を切断可能なように、前記切断装置を保持可能であること、を特徴とする請求項1に記載の切断装置用治具。
【請求項3】
前記切断装置と係合可能な治具側係合部を備えること、を特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置用治具。
【請求項4】
前記傾斜部の傾斜下端側に配され、前記設置部から上方に延びるように形成された切断装置支持部を有しており、
前記切断装置支持部は、前記切断装置に対して切断対象として供給される前記被切断物の供給方向への前記切断装置の位置決めを行う切断装置位置決め部が形成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置用治具。
【請求項5】
前記切断装置位置決め部が、前記切断装置を上方側から嵌め込み可能な溝部を有すること、を特徴とする請求項4に記載の切断装置用治具。
【請求項6】
前記設置部から前記傾斜部の傾斜下端側方向に向けて水平方向に延びるように形成された転倒抑制部を有すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置用治具。
【請求項7】
前記転倒抑制部は、把持部を有していることを特徴とする請求項6に記載の切断装置用治具。
【請求項8】
前記被切断物と間隔を空けて前記被切断物に沿う方向に延びるように形成された切断位置ガイド部材が配されており、
前記切断位置ガイド部材は、前記切断装置の切断位置を基準として前記被切断物の供給方向下流側に向けて前記被切断物の切断予定長さ以上の長さとなるように形成されると共に、前記被切断物が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、前記被切断物を直接的又は間接的に支持可能なものであり、
前記保持部は、前記切断位置に対応する基準位置に前記切断位置ガイド部材の一端側を位置付けて固定するためのガイド部材固定部を有していること、を特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置用治具。
【請求項9】
前記ガイド部材固定部は、
前記切断位置ガイド部材の一端側を前記基準位置に位置決めするガイド位置決め部と、
前記切断位置ガイド部材を前記ガイド位置決め部に固定する固定部材と、
を備えること、を特徴とする請求項8に記載の切断装置用治具。
【請求項10】
前記ガイド位置決め部は、
前記切断位置ガイド部材の一端側と当接することにより前記切断位置ガイド部材の一端側を前記基準位置に位置付ける軸線方向規制部と、
前記切断位置ガイド部材を前記被切断物の軸線方向に平行となるように位置付ける幅方向規制部と、
スケールの基端側を前記切断位置ガイド部材の一端側に一致させた状態で当該スケールを係止可能なスケール係止部と、
を備えること、を特徴とする請求項9に記載の切断装置用治具。
【請求項11】
前記切断位置ガイド部材は、前記被切断物の端材として形成されていること、を特徴とする請求項8に記載の切断装置用治具。
【請求項12】
前記切断位置ガイド部材は、他端側に留め具を有し、
前記留め具は、前記被切断物の一端と当接可能であること、
を特徴とする請求項8に記載の切断装置用治具。
【請求項13】
前記留め具は、
前記被切断物の一端に当接した状態の当接位置と、
前記被切断物の一端から離間した状態の非当接位置と、
を切り替え可能な当接状態切替機構を備えること、を特徴とする請求項12に記載の切断装置用治具。
【請求項14】
前記切断装置に代え、当該切断装置と異なる第二設置角度で設置される第二切断装置を保持するものであり、
前記傾斜部及び前記第二切断装置の間に角度補正部材を有し、
前記角度補正部材は、前記傾斜部の傾斜角度と異なる第二傾斜角度を形成すると共に、前記第二切断装置を前記第二設置角度で傾斜させた状態で保持するものであること、を特徴とする請求項1に記載の切断装置用治具。
【請求項15】
前記角度補正部材は、前記保持部に対して着脱可能に設けられていること、を特徴とする請求項14に記載の切断装置用治具。
【請求項16】
前記角度補正部材は、前記第二切断装置と係合可能な角度補正部材側係合部を有すること、を特徴とする請求項14又は15に記載の切断装置用治具。
【請求項17】
前記被切断物と間隔を空けて前記被切断物に沿う方向に延びるように形成された切断位置ガイド部材が配されており、
前記切断位置ガイド部材は、前記切断装置及び前記第二切断装置のいずれかの切断位置を基準として前記被切断物の供給方向下流側に向けて前記被切断物の切断予定長さ以上の長さとなるように形成されると共に、前記被切断物が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、前記被切断物を直接的又は間接的に支持可能なものであり、
前記保持部は、前記切断装置及び前記第二切断装置のそれぞれの前記切断位置に対応する基準位置に前記切断位置ガイド部材の一端側を位置付けて固定するための一対の固定部材を有しており、
それぞれの前記固定部材は、前記角度補正部材を介して両側に配されており、
前記切断位置ガイド部材は、一端側が、一対の前記固定部材のいずれか一方によって固定されるものであること、を特徴とする請求項14又は15に記載の切断装置用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクターチャンネル、レースウェイ、アングル材等の被切断物を切断する切断装置に利用される切断装置用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具等の配線等を収容したり懸架したりするためのダクターチャンネルやレースウェイ(以下、総称してダクターチャンネル等と称する)が知られている。前記ダクターチャンネル等は、長尺に形成されており、使用にあたり適宜の長さに切断されている。前記ダクターチャンネル等の切断装置として、例えば、特許文献1に記載の型材切断工具が知られている。特許文献1に記載の型材切断工具は、固定刃と可動刃が前後に重なり合うように配置されており、固定刃と可動刃の双方に被切断物の端面形状と一致する貫通孔が穿設されている。また、特許文献1に記載の型材切断工具は、被切断物を両貫通孔に貫通させた状態で可動刃を降下させ、固定刃と可動刃のせん断作用よって被切断物を切断するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-41458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したダクターチャンネル等の被切断物は、例えば、断面視において略コの字状等に屈曲形成されている。そのため、被切断物を構成する平坦面に対して平行に切断刃を進行させると、当該被切断物が切断刃によるせん断力に負けて、変形したり、切断面が荒れたりする懸念があった。そこで、特許文献1に記載の型材切断工具においては、切断進行方向に対して、前記被切断物が、形成方向の軸線周りに所定の傾斜角度で傾斜配置されるよう、固定刃の貫通孔と可動刃の貫通孔が所定の傾斜角度で配置されている。これにより、切断時の被切断物の変形が抑制されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の型材切断工具は、上述のように被切断物を傾斜配置する関係上、切断ごとに前記貫通孔に合わせて被切断物を挿入する必要があった。そのため、手動で被切断物を所定の方向に傾斜させる必要があり、切断装置への被切断物の配置に時間を要する問題があった。特に、被切断物を傾斜させた際に、当該被切断物の屈曲部分が底部に位置するため、当該被切断物を安定に支持することが困難となる問題があった。その一方で、被切断物を構成する平坦面が底面となるように貫通孔を形成した場合は、上述のように切断刃が当該平坦面と平行に進行するため、被切断物が変形したり、切断面が荒れたりする問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、被切断物を切断装置に容易に供給することが可能で、当該被切断物を前記切断装置で精度良く切断することを可能とする切断装置用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の切断装置用治具は、所定の軸線方向に延びるように形成された第一構成部と、前記第一構成部に対して交差する第二構成部とが一連となるように生成された被切断物を前記軸線方向と交差する方向に切断可能な切断装置を保持するための切断装置用治具であって、前記切断装置は、前記被切断物に対する切断進行方向に対して前記被切断物の前記第一構成部が前記軸線周りに所定の傾斜角度で傾斜した姿勢において、前記被切断物を切断可能なものであり、前記切断装置を保持する保持部を備え、前記保持部は、設置面に対して水平に載置可能な設置部と、前記設置面に対して前記所定の傾斜角度で傾斜配置され、前記切断装置を前記所定の設置角度で傾斜させた状態で保持可能な傾斜部と、を備え、前記傾斜部に前記切断装置を配することにより、前記被切断物の第一構成部と前記設置面とがなす角度が、前記傾斜角度よりも緩やかな角度となる状態で前記被切断物を切断可能なように、前記切断装置を保持可能であること、を特徴とするものである。
【0008】
上述した切断装置用治具は、設置面に対して所定の傾斜角度で傾斜配置され、切断装置を所定の設置角度で傾斜させた状態で保持可能な傾斜部を備えており、当該傾斜部に切断装置を配することにより、切断装置を所定の設置角度で傾斜させた状態で保持することができる。従って、上述した切断装置用治具は、被切断物の第一構成部と設置面とがなす角度が、設置面に対する傾斜角度よりも穏やかな角度となる状態で被切断物を切断装置に供することができる。そのため、上述した切断装置用治具によれば、作業者が被切断物の傾斜方向を意識することなく、容易に被切断物を切断装置に供することができる。これにより、作業者による作業時間の短縮が期待できる。
【0009】
また、上述した切断装置用治具は、傾斜部に切断装置が保持されているので、切断装置の操作部等の位置を下げることができる。これにより、上述した切断装置用治具は、作業者による作業の負担を軽減できる。また、上述した切断装置用治具は、被切断物に対する切断進行方向(切断刃の進行方向)に対して、前記被切断物の第一構成部が軸線周りに所定の傾斜角度で傾斜した姿勢において、前記被切断物を切断可能なように切断装置を保持するものとされている。従って、上述した切断装置用治具に保持された前記切断装置は、切断進行方向に対して、第一構成部を前記所定の傾斜角度で傾斜させた状態で被切断物を切断することができる。これにより、上述した切断装置用治具は、切断装置による被切断物の切断において、被切断物が変形したり、切断面が荒れたりすることを抑制することができる。ここで、第一構成部は、平坦面として形成されているとよい。これにより、上述した切断装置用治具は、より一層安定に被切断物を切断装置に供することができる
【0010】
(2)上述した本発明の切断装置用治具において、前記傾斜部は、前記被切断物の第一構成部が、前記設置面に対して水平となる状態で前記被切断物を切断可能なように、前記切断装置を保持可能であること、を特徴とするとよい。
【0011】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、被切断物における第一構成部が、設置面に対して水平となる状態で当該被切断物を切断装置に供することができる。そのため、上述した切断装置用治具によれば、作業者が被切断物の傾斜方向を意識することなく、設置面に対して第一構成部を水平となる状態で位置付けることにより、容易に被切断物を切断装置に供することができる。これにより、作業者による作業時間の短縮が期待できる。また、上述した切断装置用治具は、より一層安定に被切断物を切断装置に供給できる
【0012】
(3)上述した本発明の切断装置用治具は、前記切断装置と係合可能な治具側係合部を備えること、を特徴とするとよい。
【0013】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断装置を治具側係合部に係合させて支持することができる。これにより、上述した切断装置用治具は、容易かつ安定に切断装置を支持できる。ここで、治具側係合部は、例えば、切断装置に設けられた切断装置側係合部と係合するようにするとよい。これにより、上述した切断装置用治具は、切断装置を、より一層容易に取り付けることができる
【0014】
(4)上述した本発明の切断装置用治具は、前記傾斜部の傾斜下端側に配され、前記設置部から上方に延びるように形成された切断装置支持部を有しており、前記切断装置支持部は、前記切断装置に対して切断対象として供給される前記被切断物の供給方向への前記切断装置の位置決めを行う切断装置位置決め部が形成されているとよい。
【0015】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断装置支持部によって傾斜配置された切断装置を下方側から支持することができるので、切断装置を安定に支持できる。また、上述した切断装置用治具は、切断装置位置決め部によって、被切断物の供給方向への切断装置の位置決めを行うことができるので、被切断物を精度良く切断することができる
【0016】
(5)上述した本発明の切断装置用治具は、前記切断装置位置決め部が、前記切断装置を上方側から嵌め込み可能な溝部を有すること、を特徴とするとよい。
【0017】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断装置を溝部に案内しながら位置決めすることができる。これにより、作業者が切断装置用治具に対して容易に切断装置を位置決めできるので、作業時間の短縮が期待できる。また、上述した切断装置用治具を用いることで、作業者が切断装置用治具に対して確実に精度良く切断装置を位置決めできるので、精度の良い切断が期待できる
【0018】
(6)上述した本発明の切断装置用治具は、前記設置面から前記傾斜部の傾斜下端側方向に向けて水平方向に延びるように形成された転倒抑制部を有すること、を特徴とするとよい。
【0019】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、傾斜して配置された切断装置の荷重を、転倒抑制部によって面として受け止めることができる。そのため、上述した切断装置用治具は、切断装置の重みによって当該切断装置用治具及び切断装置が転倒することを抑制できる。これにより、上述した切断装置用治具は、切断装置による切断加工を安定に精度良く行うことができる
【0020】
(7)上述した本発明の切断装置用治具は、前記転倒抑制部が、把持部を有していることを特徴とするとよい。
【0021】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、作業者が把持部を掴んで搬送できるので、作業者の作業性の向上が期待できる。また、上述した切断装置用治具は、転倒抑制部と把持部とを共用できるので、当該切断装置用治具を小型化できる。ここで、把持部は、例えば、転倒抑制部を構成する板状部材をくり抜くなどして形成するとよい。これにより、上述した切断装置用治具のより一層の軽量化が期待できるので、作業者の負担の軽減が期待できる
【0022】
(8)上述した本発明の切断装置用治具は、前記被切断物と間隔を空けて前記被切断物に沿う方向に延びるように形成された切断位置ガイド部材が配されており、前記切断位置ガイド部材は、前記切断装置の切断位置を基準として前記被切断物の供給方向下流側に向けて前記被切断物の切断予定長さ以上の長さとなるように形成されると共に、前記被切断物が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、前記被切断物を直接的又は間接的に支持可能なものであり、前記保持部は、前記切断位置に対応する基準位置に前記切断位置ガイド部材の一端側を位置付けて固定するためのガイド部材固定部を有していること、を特徴とするとよい。
【0023】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、被切断物に沿う方向に延びるように切断位置ガイド部材を配することができる。また、上述した切断装置用治具は、切断位置に対応する基準位置に前記切断位置ガイド部材の一端側を位置付けて固定するためのガイド部材固定部を有しているので、切断位置を基準として切断位置ガイド部材を配することができる。ここで、切断位置ガイド部材は、被切断物が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、当該被切断物を直接的又は間接的に支持可能なものとされている。これにより、上述した切断装置用治具は、被切断物の供給方向下流側で、被切断物を支持することができるので、被切断物を支持しながら切断することができる。これにより、上述した切断装置用治具は、切断装置における被切断物の切断精度を向上させることができる。また、切断位置ガイド部材は、切断装置用治具1に対して着脱可能とされているため、搬送時に、切断位置ガイド部材を取り外すことにより、切断装置用治具の搬送が容易である
【0024】
(9)上述した本発明の切断装置用治具において、前記ガイド部材固定部は、前記切断位置ガイド部材の一端側を前記基準位置に位置決めするガイド位置決め部と、前記切断位置ガイド部材を前記ガイド位置決め部に固定する固定部材と、を備えること、を特徴とするとよい。
【0025】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断位置ガイド部材の一端側を正確に切断位置に対応する基準位置に位置決めできる。これにより、上述した切断装置用治具は、例えば、切断装置における被切断物の切断位置が、切断装置の内部方向にオフセットして位置しているような場合であっても、オフセット量を意識せずに被切断物を切断予定長さで切断できる
【0026】
(10)上述した本発明の切断装置用治具において、前記ガイド位置決め部は、前記切断位置ガイド部材の一端側と当接することにより前記切断位置ガイド部材の一端側を前記基準位置に位置付ける軸線方向規制部と、前記切断位置ガイド部材を前記被切断物の軸線方向に平行となるように位置付ける幅方向規制部と、スケールの基端側を前記切断位置ガイド部材の一端側に一致させた状態で当該スケールを係止可能なスケール係止部と、を備えること、を特徴とするとよい。
【0027】
上述した切断装置用治具は、ガイド位置決め部における軸線方向規制部により、切断位置ガイド部材の一端側を基準位置に位置付けることができる。また、上述した切断装置用治具は、ガイド位置決め部における幅方向規制部により、切断位置ガイド部材を被切断物の軸線方向に平行となるように位置付けることができる。これにより、上述した切断装置用治具は、被切断物に沿って切断位置ガイド部材を正確に配することができる。また、上述した切断装置用治具は、スケールの基端側をスケール係止部に係止することにより、被切断物の切断位置を基準とした被切断物の切断予定長さを当該スケールによって測定できる。従って、上述した切断装置用治具は、例えば、切断装置における被切断物の切断位置が、切断装置の内部方向にオフセットして位置しているような場合であっても、オフセット量を意識せずに被切断物の切断予定長さを測定できる。これにより、上述した切断装置用治具は、作業者が誤って被切断物の切断予定長さを設定することを抑制できるので、被切断物における長さ不良の発生を抑制できる
【0028】
(11)上述した本発明の切断装置用治具は、前記切断位置ガイド部材が、前記被切断物の端材として形成されていること、を特徴とするとよい。
【0029】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、作業時に切断位置ガイド部材を作業場所に搬送する手間を軽減できる。また、上述した切断装置用治具は、複数種類の長さに被切断物を切断するような場合において、切断位置ガイド部材を複数用意することなく、切断予定の被切断物を用いて、切断位置ガイド部材をその場で形成できる。従って、上述した切断装置用治具によれば、作業者における負担の軽減、及び切断装置用治具自体の汎用性向上が期待できる
【0030】
(12)上述した本発明の切断装置用治具において、前記切断位置ガイド部材は、他端側に留め具を有し、前記留め具は、前記被切断物の一端と当接可能であること、を特徴とするとよい。
【0031】
上述した切断装置用治具は、留め具が被切断物の一端と当接することにより、被切断物の切断予定位置を正確に切断装置における切断位置に位置付けることができる。また、上述した切断装置用治具は、被切断物を切断位置に位置付けた状態で確実に支持できるので、被切断物を精度良く切断することができる
【0032】
(13)上述した本発明の切断装置用治具は、前記留め具が、前記被切断物の一端に当接した状態の当接位置と、前記被切断物の一端から離間した状態の非当接位置と、を切り替え可能な当接状態切替機構を備えること、を特徴とするとよい。
【0033】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断後の被切断物を容易に取り外すことができる。ここで、当接状態切替機構は、例えば、留め具が当接位置と非当接位置との間でスライドして移動するものや、回動して移動するものなど、各種の形態のものが利用できる。
【0034】
ところで、上述した切断装置用治具においては、上記切断装置に代えて、上記切断装置とは異なる第二の切断装置(第二切断装置とも称する)を利用したい場合がある。しかしながら、第二切断装置における被切断物の軸線方向と交差する傾斜角度が、上記切断装置と異なる場合、前記切断装置用治具に第二切断装置を搭載すると切断角度が予定したものと異なってしまう懸念があった
【0035】
(14)そこで、かかる課題を解決すべく、上述した本発明の切断装置用治具は、前記切断装置に代え、当該切断装置と異なる第二設置角度で設置される第二切断装置を保持するものであり、前記傾斜部及び前記第二切断装置の間に角度補正部材を有し、前記角度補正部材は、前記傾斜部の傾斜角度と異なる第二傾斜角度を形成すると共に、前記第二切断装置を前記第二設置角度で傾斜させた状態で保持するものであること、を特徴とするとよい。
【0036】
上述した切断装置用治具は、傾斜部及び第二切断装置の間に第二傾斜角度を形成する角度補正部材を有しているので、第二切断装置を第二設置角度で傾斜させた状態で保持できる。ここで、第二切断装置は、第二設置角度で配置されることにより、被切断物を所望の傾斜角度(第二傾斜角度)で傾斜させた状態で切断できるものとされている。言い換えれば、上述した角度補正部材は、スペーサ的な役割を果たすものとされている。したがって、上述した切断装置用治具は、単一の切断装置だけではなく、異なる傾斜角度(第二傾斜角度)で保持が必要な第二切断装置であっても、適切に保持することができる。これにより、上述した切断装置用治具は、第二切断装置を用いて、被切断物を適切な傾斜角度で切断できる。なお、複数種類の傾斜角度を有する角度補正部材をそれぞれ準備するようにすれば、1つの切断装置用治具で複数種類の切断装置に対応できるので、作業者の切断装置用治具の搬送による負担を軽減できる効果が期待できる
【0037】
(15)上述した本発明の切断装置用治具は、前記角度補正部材が、前記保持部に対して着脱可能に設けられていること、を特徴とするとよい。
【0038】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断装置及び第二切断装置の切り替えを容易に行うことができる。すなわち、上述した切断装置用治具は、前記切断装置を保持する際は、角度補正部材を取り外し、前記第二切断装置を保持する際は、角度補正部材を取り付けるとよい
【0039】
(16)上述した本発明の切断装置用治具は、前記角度補正部材が、前記第二切断装置と係合可能な角度補正部材側係合部を有すること、を特徴とするとよい。
【0040】
上述した切断装置用治具は、第二切断装置を角度補正部材側係合部と係合させることができるので、確実に第二切断装置を保持できる。これにより、上述した切断装置用治具は、保持した第二切断装置により安定に被切断物を切断することができる。
【0041】
(17)上述した本発明の切断装置用治具は、前記被切断物と間隔を空けて前記被切断物に沿う方向に延びるように形成された切断位置ガイド部材が配されており、前記切断位置ガイド部材は、前記切断装置及び前記第二切断装置のいずれかの切断位置を基準として前記被切断物の供給方向下流側に向けて前記被切断物の切断予定長さ以上の長さとなるように形成されると共に、前記被切断物が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、前記被切断物を直接的又は間接的に支持可能なものであり、前記保持部は、前記切断装置及び前記第二切断装置のそれぞれの前記切断位置に対応する基準位置に前記切断位置ガイド部材の一端側を位置付けて固定するための一対の固定部材を有しており、それぞれの前記固定部材は、前記角度補正部材を介して両側に配されており、前記切断位置ガイド部材は、一端側が、一対の前記固定部材のいずれか一方によって固定されるものであること、を特徴とするとよい。
【0042】
上述した切断装置用治具は、かかる構成とすることにより、切断装置及び第二切断装置のそれぞれの切断位置が異なる場合であっても、切断装置及び第二切断装置の互いの切断位置に対応して被切断物の一端を基準位置に合わせた状態で、当該被切断物を正確に支持することができる。そのため、上述した切断装置用治具は、切断装置と第二切断装置とを入れ替えた場合であっても、容易に被切断物を基準位置に合わせた状態で、支持することができるので、汎用性が向上する。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、被切断物を切断装置に容易に供給することが可能で、当該被切断物を前記切断装置で精度良く切断することを可能とする切断装置用治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態に係る切断装置用治具の平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る切断装置用治具に切断装置を搭載した状態を表す左側面図である。
図3図2において切断装置を取り外した状態を表す左側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る切断装置用治具の正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る切断装置用治具において被切断物の位置決めを説明する説明図である。
図6】本発明の変形例1に係る切断装置用治具を構成する留め具の説明図である。
図7】本発明の変形例2に係る切断装置用治具を構成する留め具の説明図である。
図8】本発明の切断装置用治具を利用して切断される被切断部の断面図である。
図9】本発明の変形例3に係る切断装置用治具に第二切断装置を搭載した状態を表す側面図である。
図10】本発明の変形例3に係る切断装置用治具の平面図である。
図11】本発明の変形例3に係る切断装置用治具において用いられる角度補正部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の一実施形態に係る切断装置用治具1について、図1図5及び図8を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の切断装置用治具1に、ダクターチャンネルやレースウェイ等の被切断物2を切断するための切断装置10が保持(搭載)される場合について説明する。
【0046】
まず、切断装置10によって切断される被切断物2について以下に説明する。なお、以下の説明では、被切断物2の軸線方向に沿う方向を長手方向と称し、被切断物2の軸線方向に対して交差する短手方向を幅方向と称することがある。
【0047】
図1及び図4に示すように、被切断物2は、所定の軸線方向に延びるように形成されており、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等を素材として形成されている。被切断物2は、図8に示すように、断面視において、第一構成部2Aと、第二構成部2Bと、第三構成部2Cと、を有している。本実施形態では、第二構成部2Bと、第三構成部2Cとが第一構成部2Aを介して対称となるように形成されている。
【0048】
第一構成部2Aは、平坦状に形成されており、所定の軸線方向に延びるように形成されている。また、第一構成部2Aは、幅方向両端側が第一構成部2Aに対して交差するように(本実施形態では、略直交するように)屈曲されることにより、第二構成部2B及び第三構成部2Cが第一構成部2Aと一連となるように形成されている。
【0049】
第二構成部2Bは、第一構成部2Aと屈曲して連なるように平坦状に形成されている。第二構成部2Bは、先端側が、内側に向けて屈曲された返し部6を備えている。
【0050】
第三構成部2Cは、第一構成部2Aと屈曲して連なるように平坦状に形成されている。第三構成部2Cは、第二構成部2Bと同様に先端側が、内側に向けて屈曲された返し部6を備えている。ここで、第一構成部2A、第二構成部2B、及び第三構成部2Cは、断面視において略コの字状の形状をなすようにそれぞれ配されている。従って、被切断物2は、断面視において略コの字状の形状をなすように形成されており、軸線方向に延びる支柱を形成している。これにより、被切断物2は、第一構成部2A、第二構成部2B、及び第三構成部2Cで形成される空間内に配線等を収容することができる。
【0051】
以上が、本発明の切断装置用治具1を用いて切断される被切断物2の構成であり、次に本発明の切断装置用治具1に搭載される切断装置10について説明する。
【0052】
図2及び図3に示すように、切断装置10は、支持枠11と、支持枠11の内部に配された切断刃12と、支持枠11の上端側に接続される加圧部15と、受部16等を備えている。
【0053】
支持枠11は、上下方向(図示傾斜方向)に延びるように形成されており、略矩形状の筐体として形成されている。支持枠11は、上端側に後述する加圧部15が固定されている。また、支持枠11には、加圧部15の下方側に切断刃12が配されている。支持枠11には、切断刃12の幅方向両側において上下方向に沿うようにスライドガイド(図示せず)が設けられている。また、支持枠11は、下端側における幅方向両側に、下方に向けて延びる一対の装置側係合部17,17が形成されている。装置側係合部17,17は、後述する治具側係合部33Aに係合可能なものとされている。
【0054】
切断刃12は、上下に重なりあった刃によって被切断物2を切断するもの等、いかなる構成のものとされても良いが、例えば図4に示すようなものとすることができる。具体的には、図4に示す切断刃12は、固定側の固定刃12Aと、固定刃12Aと対向して配される可動刃12Bと、を備えている。固定刃12Aは、矩形状に形成されており、支持枠11に固定されている。また、固定刃12Aは、図2及び図3に示すように、上下方向に沿う面内に被切断物2の断面形状を有する貫通孔13が形成されている。
【0055】
貫通孔13は、被切断物2を挿し通すことが可能なものとされている。また、貫通孔13は、挿し通される被切断物2における第一構成部2Aが軸線周りに所定の傾斜角度θ1で傾斜するように形成されている。
【0056】
可動刃12Bは、固定刃12Aと略同形状に形成されており、固定刃12Aと向き合うように配されている。可動刃12Bは、固定刃12Aと同様に上下方向に沿う面内に被切断物2の断面形状を有する貫通孔13が形成されている。貫通孔13は、被切断物2を挿し通すことができる。また、可動刃12Bは、支持枠11のスライドガイドを介して上下方向に摺動可能に支持されている。
【0057】
従って、固定刃12A及び可動刃12Bの貫通孔13,13に挿し通された被切断物2は、可動刃12Bの固定刃12Aに対する上下方向の相対移動によりせん断力を受けて切断される。これにより、固定刃12A及び可動刃12Bの境界を基準位置P0(図4参照)として、被切断物2が軸線方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に切断される。ここで、固定刃12A及び可動刃12Bのそれぞれの貫通孔13,13は、上述したように所定の傾斜角度θ1で形成されているので、切断装置10は、被切断物2に対する切断進行方向に対して被切断物2の第一構成部2Aが軸線周りに所定の傾斜角度θ1で傾斜した姿勢において、被切断物2を切断可能である。
【0058】
加圧部15は、可動刃12Bの上端側に接続されている。加圧部15は、例えば、加圧シリンダとして構成されており、可動刃12Bを上方側から下方側に向けて加圧することができる。従って、作業者が加圧部15を操作することにより、可動刃12Bが下降する。また、可動刃12Bの下端側には、受部16が設けられており、可動刃12Bが下降した際に可動刃12Bを下方側から支持することができる。
【0059】
以上が、本発明の切断装置用治具1に保持される切断装置10の構成であり、次に本発明の切断装置用治具1の詳細について説明する。
【0060】
図1図4に示すように、切断装置用治具1は、切断装置10を保持する保持部20を備えている。切断装置用治具1は、前記の他、切断装置10を下方から支持する切断装置支持部40と、転倒抑制部45と、を備えている。
【0061】
図2及び図3に示すように、保持部20は、例えば、金属、繊維強化樹脂等を素材とした支持枠として形成されている。また、保持部20は、設置面4に設置するための設置部25と、切断装置10を傾斜させて保持する傾斜部30と、切断位置ガイド部材50を固定するガイド部材固定部55等を備えている。
【0062】
設置部25は、設置面4に対して水平に載置可能なものとされている。設置部25は、平面視において矩形状に形成されている。また、設置部25は、本実施形態では、設置面4と接する底面が平坦に形成されている。
【0063】
傾斜部30は、設置部25の上方側に配されており、設置部25から連なるように形成されている。傾斜部30は、設置面4に対して所定の傾斜角度θ1で傾斜配置され、切断装置10を所定の設置角度θ2で傾斜させた状態で保持可能なものとされている。また、傾斜部30は、所定の傾斜角度θ1で配された傾斜面31と、傾斜面31に開口された矩形状の開口部32(図1参照)と、開口部32の開口縁から傾斜面31と直交する方向に沿って立設された開口壁33等を備えている。
【0064】
開口部32は、矩形状に開口されており、本実施形態では、切断装置用治具1を軽量化するために開口されている。開口部32は、周囲が開口壁33に取り囲まれることにより、筒状に形成されている。なお、開口部32は、切断装置用治具1の少なくとも一部を収容できるものとしてもよい。
【0065】
開口壁33は、開口部32の開口縁に連なるように矩形の筒状に形成されている。また、上方側における開口壁33、及び下方側における開口壁33には、それぞれ装置側係合部17,17と係合可能な治具側係合部33A,33Aが形成されている。ここで、開口壁33は、傾斜面31に対して直交する方向に沿って立設されている。従って、治具側係合部33A,33Aに装置側係合部17,17を係合させることにより、切断装置10が設置角度θ2で傾斜した状態で傾斜部30に保持される。
【0066】
このように、上述した切断装置用治具1は、切断装置10を治具側係合部33A,33Aに係合させて支持することができる。これにより、上述した切断装置用治具1は、容易かつ安定に切断装置10を支持できる。また、本実施形態では、治具側係合部33A,33Aが、切断装置10に設けられた装置側係合部17,17と係合するものとされている。従って、上述した切断装置用治具1は、切断装置10を、より一層容易に取り付けることができる。
【0067】
ここで、傾斜部30の傾斜角度θ1は、傾斜部30に切断装置10を配した際に、被切断物2の第一構成部2Aと設置面4とがなす角度が、傾斜角度θ1よりも緩やかな角度となるように設定するとよい。言い換えると、傾斜部30に切断装置10を配することにより、被切断物2の第一構成部2Aと設置面4とがなす角度が、傾斜角度θ1よりも緩やかな角度となる状態で被切断物2を切断可能なように、切断装置10が傾斜部30に保持されるとよい。なお、本実施形態では、設置角度θ2が傾斜部30の傾斜角度θ1と同一に設定されている。そのため、傾斜部30は、被切断物2の第一構成部2Aが、設置面4に対して水平となる状態で被切断物2を切断可能なように、切断装置10を保持可能とされている。
【0068】
このように、上述した切断装置用治具1は、傾斜部30に切断装置10を配することにより、切断装置10を所定の設置角度θ2(本実施形態ではθ1と同一角度)で傾斜させた状態で保持することができる。従って、上述した切断装置用治具1は、被切断物2の第一構成部2Aと設置面4とがなす角度が、設置面4に対する傾斜角度θ1よりも穏やかな角度となる状態で被切断物2を切断装置10に供することができる。そのため、上述した切断装置用治具1によれば、作業者が被切断物2の傾斜方向を意識することなく、容易に被切断物2を切断装置10に供することができる。これにより、作業者による作業時間の短縮が期待できる。
【0069】
また、上述した切断装置用治具1は、傾斜部30に切断装置10が保持されているので、切断装置10の操作部等の位置を下げることができる。これにより、上述した切断装置用治具1は、作業者による作業の負担を軽減できる。
【0070】
また、上述した切断装置用治具1は、被切断物2に対する切断進行方向(切断刃12の進行方向)に対して、被切断物2の第一構成部2Aが軸線周りに所定の傾斜角度θ1で傾斜した姿勢において、被切断物2を切断可能なように切断装置10を保持するものとされている。従って、上述した切断装置用治具1に保持された切断装置10は、切断進行方向に対して、第一構成部2Aを所定の傾斜角度θ1で傾斜させた状態で被切断物2を切断することができる。これにより、上述した切断装置用治具1は、切断装置10による被切断物2の切断において、被切断物2が変形したり、切断面が荒れたりすることを抑制することができる。ここで、第一構成部2Aは、本実施形態のように平坦面として形成されているとよい。これにより、上述した切断装置用治具1は、より一層安定に被切断物2を切断装置10に供することができる。
【0071】
また、上述した切断装置用治具1は、被切断物2の第一構成部2Aが、設置面4に対して水平となる状態で被切断物2を切断可能なように、切断装置10が傾斜部30に保持されている。従って、被切断物2における第一構成部2Aが、設置面4に対して水平となる状態で被切断物2を切断装置10に供給できる。そのため、上述した切断装置用治具1によれば、作業者が被切断物2の傾斜方向を意識することなく、設置面4に対して第一構成部2Aを水平となる状態で位置付けることにより、容易に被切断物2を切断装置10に供することができる。これにより、作業者による作業時間の短縮が期待できる。また、上述した切断装置用治具1は、より一層安定に被切断物2を切断装置10に供給できる。
【0072】
切断装置支持部40は、傾斜部30の傾斜下端側に配され、設置部25から上方に延びるように形成されている。切断装置支持部40は、傾斜部30に保持された切断装置10を傾斜下方側から支持するものとされている。このように、上述した切断装置用治具1は、傾斜配置された切断装置10を切断装置支持部40により下方側から支持することができるので、切断装置10を安定に支持できる。
【0073】
図1及び図5に示すように、切断装置支持部40の上端側には、切断装置10に対して切断対象として供給される被切断物2の供給方向への切断装置10の位置決めを行う切断装置位置決め部41が形成されている。
【0074】
切断装置位置決め部41は、上端側に溝部42が形成されている。溝部42は、切断装置10の奥行き方向の長さに合わせて切欠き形成されており、切断装置10を上方側から嵌め込み可能である。従って、上述した切断装置用治具1は、切断装置10を溝部42に案内しながら位置決めすることができる。これにより、作業者が切断装置用治具1に対して容易に切断装置10を位置決めできるので、作業時間の短縮が期待できる。また、上述した切断装置用治具1を用いることで、作業者が切断装置用治具1に対して確実に精度良く切断装置10を位置決めできるので、精度の良い切断が可能である。
【0075】
図1に示すように、転倒抑制部45は、傾斜部30に切断装置10を傾斜状態で保持した際に、切断装置10の荷重により、切断装置用治具1が転倒することを抑制するものである。転倒抑制部45は、設置部25から傾斜部30の傾斜下端側方向(図2及び図3の左側)に向けて水平方向に延びるように形成されている。すなわち、転倒抑制部45は、設置面4と平行となるように形成されている。
【0076】
従って、上述した切断装置用治具1は、傾斜して配置された切断装置10の荷重を、転倒抑制部45によって面として受け止めることができる。そのため、上述した切断装置用治具1は、切断装置10の重みによって切断装置用治具1及び切断装置10が転倒することを抑制できる。これにより、上述した切断装置用治具1は、切断装置10による切断加工を安定に精度良く行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、転倒抑制部45が、把持部46を有するものとされている。把持部46には、矩形状の開口47が形成されている。すなわち、開口47は、転倒抑制部45を構成する板状部材等をくり抜くことにより形成されている。従って、作業者は、開口47に手を掛けることで、把持部46を掴んで保持できる。また、作業者は、把持部46を掴んで切断装置用治具1を搬送できる。
【0078】
このように、上述した切断装置用治具1は、作業者が把持部46を掴んで搬送できるので、作業者の作業性の向上が期待できる。また、上述した切断装置用治具1は、転倒抑制部45と把持部46とを共用できるので、切断装置用治具1を小型化できる。ここで、把持部46は、例えば、転倒抑制部45を構成する板状部材をくり抜くなどして形成するとよい。これにより、上述した切断装置用治具1のより一層の軽量化が期待できるので、作業者の負担の軽減が期待できる。
【0079】
以上が、切断装置用治具1における切断装置10の保持に関する構造及び作用効果であり、次に、切断装置用治具1で切断される被切断物2の支持や切断長さの規定についての詳細を説明する。
【0080】
切断装置用治具1は、上述した構成の他、図4及び図5に示すように、切断位置ガイド部材50と、切断位置ガイド部材50を固定するガイド部材固定部55と、を備えている。なお、以下の説明においては、図4における図示右側を被切断物2の供給方向上流側とし、図示左側を被切断物2の供給方向下流側として説明する。
【0081】
切断位置ガイド部材50は、図4に示すように、被切断物2と間隔を空けて被切断物2に沿う方向に延びるように形成されている。本実施形態では、切断位置ガイド部材50が、被切断物2の下方側に間隔を空けて配されている。また、切断位置ガイド部材50は、切断刃12による切断位置に対応する基準位置P0から被切断物2の供給方向下流側(図示左側)に向けて被切断物2の切断予定長さ以上の長さとなるように形成されている。また、切断位置ガイド部材50は、被切断物2が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、被切断物2を直接的又は間接的に支持可能なものとされている。また、本実施形態では、切断位置ガイド部材50は、被切断物2を切断した際の端材が用いられている。また、切断位置ガイド部材50は、他端側に留め具51を備え、当該留め具51を用いて被切断物2を保持するものとされている。
【0082】
留め具51は、切断位置ガイド部材50に立設されており、被切断物2の一端と当接可能である。詳細は後述するが、留め具51は、被切断物2の一端と当接することにより、被切断物2の切断予定位置を正確に切断装置10における切断位置に位置付けることができる。これにより、上述した切断装置用治具1は、被切断物2を切断位置に位置付けた状態で確実に支持できるので、被切断物2を精度良く切断することができる。
【0083】
図5に示すように、ガイド部材固定部55は、保持部20に設けられており、基準位置P0に切断位置ガイド部材50の一端側を位置付けて固定することができる。また、ガイド部材固定部55は、切断位置ガイド部材50のガイド位置決め部56と、切断位置ガイド部材50を固定する固定部材61と、を備えている。
【0084】
ガイド位置決め部56は、切断位置ガイド部材50の一端側を基準位置P0に位置決めするものとされている。ガイド位置決め部56は、軸線方向規制部57と、幅方向規制部58と、スケール係止部60(図4参照)と、を備えている。
【0085】
軸線方向規制部57は、切断位置ガイド部材50の一端側と当接することにより切断位置ガイド部材50の一端側を基準位置P0に位置付けることができる。すなわち、軸線方向規制部57は、被切断物2の切断予定長さの基点となる基準位置P0を規定するものとされている。
【0086】
幅方向規制部58は、切断位置ガイド部材50を被切断物2の軸線方向に平行となるように位置付けることができる。すなわち、軸線方向規制部57、幅方向規制部58及び留め具51により、被切断物2の切断予定位置が、正確に基準位置P0に位置付けられる。
【0087】
スケール係止部60は、被切断物2の切断予定長さを測定(設定)するためのスケール5の基端側を係止することができる。スケール係止部60は、スケール5の基端側を切断位置ガイド部材50の一端側に一致させた状態でスケール5を係止することができる。ここで、被切断物2の切断予定長さは、スケール係止部60を基点として、計測することができる。被切断物2の切断予定長さが計測されると、切断予定長さに相当する位置に、留め具51が位置付けられて固定される。
【0088】
固定部材61は、切断位置ガイド部材50をガイド位置決め部56に固定するものとされている。固定部材61は、切断位置ガイド部材50を保持する押え部材61Aを有し、押え部材61Aをボルト等の締結部材61Bで固定することで、切断位置ガイド部材50をガイド位置決め部56に固定することができる。なお、固定部材61は、切断位置ガイド部材50を固定できる各種の手段を利用することができる。
【0089】
このように、上述した切断装置用治具1は、切断位置に対応する基準位置P0に切断位置ガイド部材50の一端側を位置付けて固定するためのガイド部材固定部55を有しているので、切断位置を基準として切断位置ガイド部材50を配することができる。また、切断位置ガイド部材50は、被切断物2が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、当該被切断物2を直接的又は間接的に支持可能なものとされている。従って、上述した切断装置用治具1は、被切断物2の供給方向下流側で、被切断物2を支持することができるので、被切断物2を支持しながら切断することができる。これにより、上述した切断装置用治具1は、切断装置10における被切断物2の切断精度を向上させることができる。また、切断位置ガイド部材50は、切断装置用治具1に対して着脱可能とされているため、搬送時に、切断位置ガイド部材50を取り外すことにより、切断装置用治具1の搬送が容易である。
【0090】
また、上述した切断装置用治具1は、ガイド位置決め部56が、軸線方向規制部57や幅方向規制部58を有しているので、被切断物2に沿って切断位置ガイド部材50を正確に配することができる。また、上述した切断装置用治具1は、スケール5の基端側をスケール係止部60に係止することにより、被切断物2の切断位置を基準とした被切断物2の切断予定長さを当該スケール5によって測定できる。従って、上述した切断装置用治具1は、例えば、切断装置10における被切断物2の切断位置が、切断装置10の内部方向にオフセットして位置しているような場合であっても、オフセット量を意識せずに被切断物2の切断予定長さを測定できる。これにより、上述した切断装置用治具1は、作業者が誤って被切断物2の切断予定長さを設定することを抑制できるので、被切断物2における長さ不良の発生を抑制できる。
【0091】
また、上述した切断装置用治具1は、切断位置ガイド部材50として、被切断物2の端材を用いることにより、作業時に切断位置ガイド部材50を作業場所に搬送する手間を軽減できる。また、上述した切断装置用治具1は、複数種類の長さに被切断物2を切断するような場合において、切断位置ガイド部材50を複数用意することなく、切断予定の被切断物2を用いて、切断位置ガイド部材50をその場で形成できる。従って、上述した切断装置用治具1によれば、作業者における負担の軽減、及び切断装置用治具1自体の汎用性向上が期待できる。
【0092】
以上が、本発明の切断装置用治具1の構成及び作用効果であり、次に本発明の切断装置用治具1を用いた被切断物2の切断について、以下に説明する。
【0093】
図4及び図5に示すように、まず、供給方向上流側(図示右側)から被切断物2を供給し、切断刃12における貫通孔13(図2参照)に被切断物2が挿し通される。このとき、切断装置10が、設置角度θ2で傾斜配置されているので、被切断物2における第一構成部2Aが水平な状態で、貫通孔13に向けて供することができる。また、このとき、適宜、被切断物2の供給方向上流側に、貫通孔13の高さに合わせた台が設置されるとよい。これにより、被切断物2が、切断装置10に向けて安定に供給される。
【0094】
また、被切断物2は、切断刃12の貫通孔13に挿し通された後、一端側が留め具51に当接される。これにより、被切断物2の切断予定位置が切断刃12による切断位置に位置付けられる。この状態で、切断装置10の加圧部15を作動させることにより、可動刃12Bが押し下げられて、被切断物2が切断予定位置で切断される。また、切断された被切断物2は、留め具51との当接を解除することにより、取り外される。これらにより、被切断物2が、所定の長さに切断される。
【0095】
以上が、本発明の切断装置用治具1を用いた被切断物2の切断に関する詳細であり、次に、本発明の変形例1、及び変形例2に係る切断装置用治具1並びに変形例3に係る切断装置用治具1Aについて、以下に説明する。なお、変形例1及び変形例2に係る切断装置用治具1は、切断位置ガイド部材50に設けられる留め具51の形態が異なる以外は、上述した実施形態に係る切断装置用治具1と同様の構成であるので、上述した実施形態と同様の部分の説明は省略する。また、変形例3に係る切断装置用治具1Aは、切断装置10に代えて、切断装置10と異なる第二設置角度θ4(第二傾斜角度θ3に相当)で設置される第二切断装置300を保持するものとされている点と、傾斜部30及び第二切断装置300の間に角度補正部材310を有する点と、が異なる以外は、上述した実施形態に係る切断装置用治具1とほぼ同様の構成であるので、上述した実施形態と同様の部分の説明は省略する。
≪変形例1≫
図6は、変形例1に係る切断装置用治具1を構成する留め具100の正面図である。留め具100は、固定側支持枠101と、移動側支持枠110と、当接状態切替機構120と、を備えている。
【0096】
固定側支持枠101は、上方側に向けて延びるように形成され、移動側支持枠110を案内する案内部102と、案内部102の下端側を水平方向に屈曲することにより形成された固定部105と、を備えている。
【0097】
案内部102は、板状に形成されており、幅方向の中間に上下方向に沿った長穴103が形成されている。長穴103は、当接状態切替機構120の一部を構成するものとされている。
【0098】
固定部105は、蝶ネジ等の締結部材106を締め込むことにより、固定側支持枠101を切断位置ガイド部材50の上面側に固定することができる。
【0099】
移動側支持枠110は、板状部材で構成され、幅方向両端側に案内部102と係合可能な屈曲部112が形成されている。移動側支持枠110は、案内部102と対向するように配されている。また、移動側支持枠110は、案内部102に沿って屈曲部112が案内されることで上下動が可能である。また、移動側支持枠110は、中央に当接状態切替機構120の一部を構成するネジ111が設けられている。
【0100】
上述したように当接状態切替機構120は、長穴103と、ネジ111等を備えている。長穴103は、ネジ111の上下方向への移動を許容するものとされている。ネジ111は、案内部102の長穴103を貫通して、ナット(図示せず)等に螺合されている。従って、ネジ111を緩めることにより、移動側支持枠110の案内部102に沿った上下動が許容される。また、ネジ111を締め付けることにより、移動側支持枠110が、案内部102に対して固定される。
【0101】
ここで、移動側支持枠110は、案内部102に対して、上端側に位置する際に、被切断物2の一端に当接可能なものであり、案内部102に対して、下端側に位置する際に、被切断物2の一端から離間するものとされている。すなわち、当接状態切替機構120は、移動側支持枠110(留め具100)が、被切断物2の一端に当接した状態の当接位置(図示実線位置)と、被切断物2の端部から離間した状態の非当接位置(図示二点鎖線位置)と、を切り替え可能なものとされている。従って、上述した切断装置用治具1は、移動側支持枠110(留め具100)を非当接位置に位置付けることで、切断後の被切断物2を容易に取り外すことができる。
【0102】
以上が、本発明の変形例1に係る切断装置用治具1の構成及び作用効果であり、次に本発明の変形例2に係る切断装置用治具1を構成する留め具200についての詳細を説明する。
≪変形例2≫
図7は、変形例2に係る切断装置用治具1を構成する留め具200の正面図である。留め具200は、固定側支持枠201と、移動側支持枠210と、当接状態切替機構220と、を備えている。
【0103】
固定側支持枠201は、上方側に向けて延びるように形成され、下端側に切断位置ガイド部材50の上面に沿うように屈曲形成された固定部205を備えている。固定側支持枠201は、板状に形成されており、上端側寄りの幅方向中央に孔(図示せず)が形成されている。前記孔は、当接状態切替機構220の一部を構成するものとされている。
【0104】
固定部205は、蝶ネジ等の締結部材206を締め込むことにより、固定側支持枠201を切断位置ガイド部材50の上面側に固定することができる。
【0105】
移動側支持枠210は、板状部材で構成され、幅方向両端側に固定側支持枠201と係合可能な屈曲部212が形成されている。移動側支持枠210は、固定側支持枠201と対向するように配されている。移動側支持枠210は、下端側寄りの幅方向中央にネジ221が挿通されている。ネジ221は、当接状態切替機構220の一部を構成するものとされている。
【0106】
上述したように当接状態切替機構220は、ネジ221を備えている。ネジ221は、移動側支持枠210を貫通し、固定側支持枠201の孔(図示せず)に挿通されている。ネジ221は、固定側支持枠201の孔を貫通して、ナット(図示せず)等に螺合されている。従って、ネジ221を緩めることにより、移動側支持枠210のネジ221を中心とした回転が許容される。また、ネジ221を締め付けることにより、移動側支持枠210の、固定側支持枠201に対する回転が制限される。また、移動側支持枠210は、回転に伴って屈曲部212の下端側が、固定側支持枠201の側面に当接することにより、90°回転した位置で、それ以上の回転が制限される。
【0107】
ここで、移動側支持枠210は、上方に向けて立設された非回転状態において、被切断物2の一端に当接可能なものであり、回転状態において、被切断物2の一端から離間するものとされている。すなわち、当接状態切替機構220は、移動側支持枠210(留め具200)が、被切断物2の一端に当接した状態の当接位置(図示実線位置)と、被切断物2の端部から離間した状態の非当接位置(図示二点鎖線位置)と、を切り替え可能なものとされている。従って、上述した切断装置用治具1は、移動側支持枠210を、被切断物2との非当接位置に位置付けることで、被切断物2を容易に取り外すことができる。
【0108】
以上が、本発明の変形例2に係る切断装置用治具1の構成及び作用効果であり、次に本発明の変形例3に係る切断装置用治具1Aについての詳細を説明する。以下の変形例3は、上述した実施形態における切断装置10に代えて、切断装置10とは異なる第二の切断装置(第二切断装置300とも称する)を利用する場合に用いられるものとされている。なお、切断装置用治具1Aの保持部20の構成は、固定部材61に加えて第二の固定部材320が設けられている点を除いて、同様の構成であるので、同様部分の説明は省略する。
≪変形例3≫
まず、本発明の変形例3において用いられる第二切断装置300について説明する。図9に示すように、第二切断装置300の基本構成は切断装置10と同様であり、切断刃12に対する被切断物2の軸線周り方向が、切断装置10と略180度反転している点が異なっている。すなわち、第二切断装置300では、切断刃12における貫通孔13が、切断装置10に対して、略180度反転して配置されている。すなわち、第二切断装置300では、被切断物2における第一構成部2Aが、切断進行方向の上方側に位置するように配置される。
【0109】
第二切断装置300における貫通孔13は、挿し通される被切断物2における第一構成部2Aが軸線周りに第二傾斜角度θ3で傾斜するように形成されている。また、上述した切断装置10と同様に、第二切断装置300における固定刃12A及び可動刃12Bには、第二傾斜角度θ3で傾斜した貫通孔13が設けられている。そのため、第二切断装置300は、被切断物2に対する切断進行方向に対して被切断物2の第一構成部2Aが軸線周りに第二傾斜角度θ3で傾斜した姿勢(以下、単に「第二傾斜角度θ3で傾斜させた状態」とも称する)において、被切断物2を切断可能である。
【0110】
したがって、第二切断装置300は、第二傾斜角度θ3と同一角度である第二設置角度θ4で傾斜させた状態で切断装置用治具1Aに保持することにより、被切断物2の第一構成部2Aを略水平に保った状態で、被切断物2を切断することができる。
【0111】
また、第二切断装置300は、自立させるための切断装置側係合部330と、ハンドル部331等を備えている。
【0112】
切断装置側係合部330は、第二切断装置300における支持枠11の先端側(本実施形態では図示下端側)に設けられている。切断装置側係合部330は、支持枠11の下端側における外周の4箇所(図10参照)に配置されている。切断装置側係合部330は、図示下方側に向けて折り返し形成されており、後述する補正枠312の外縁に係合させることができる。
【0113】
ハンドル部331は、支持枠11の下端側から第二切断装置300の本体に沿って上方に延びるように設けられている。ハンドル部331は、第二切断装置300を手持ちで操作する場合に、操作者が握って第二切断装置300を固定する場合に利用することができる。
【0114】
ここで、第二切断装置300を切断装置用治具1Aに第二設置角度θ4(図9参照)で傾斜させた状態で保持させるには、傾斜部30における傾斜角度θ1を第二傾斜角度θ3に補正する必要がある。そこで、本発明の変形例3では、傾斜部30及び第二切断装置300の間に角度補正部材310が設けられている。
【0115】
角度補正部材310は、図9に示すように、傾斜部30の上面に配置されており、傾斜部30の傾斜角度θ1と異なる第二傾斜角度θ3を形成するものとされている。角度補正部材310は、図11に示すように、補正枠312と、補正枠固定部314と、支持脚316と、角度補正部材側係合部318等を備えている。
【0116】
補正枠312は、矩形状の板状部材で形成され、長辺に沿う両端側が上方側に向けて折り曲げ形成されている。補正枠312は、後述する支持脚316が傾斜部30の傾斜面31と当接することにより、第二傾斜角度θ3を形成するものとされている。また、補正枠312は、上面側で第二切断装置300を保持することができる。したがって、補正枠312は、第二切断装置300を第二傾斜角度θ3で傾斜させた状態で保持することができる。
【0117】
補正枠固定部314は、補正枠312における傾斜上端側を下方側に向けて所定の角度で折り曲げることにより形成されている。補正枠固定部314は、傾斜部30の傾斜上端側における外縁に係合させることができる。補正枠固定部314は、傾斜部30に係合させた状態で、例えば、蝶ネジ315により固定することができる。すなわち、本実施形態では、角度補正部材310が、保持部20に対して着脱可能に設けられている。補正枠固定部314を傾斜部30に固定することにより、補正枠312が、第二傾斜角度θ3を形成するものとされている。
【0118】
支持脚316は、下端側が傾斜部30における傾斜面31に当接するものとされている。したがって、支持脚316が傾斜面31に当接することにより、補正枠312が、第二傾斜角度θ3を保った状態で、傾斜部30に支持される。
【0119】
角度補正部材側係合部318は、図9及び図11に示すように、補正枠312における傾斜上端側に設けられている。角度補正部材側係合部318は、本実施形態では、補正枠312の幅方向(短辺方向)における一端側に設けられている。角度補正部材側係合部318は、ネジ319を中心として回動が許容されており、ネジ319を締め込むことにより、補正枠312に対して所定の角度で固定することができる。また、角度補正部材側係合部318は、逆L字形状に形成されており、切断装置側係合部330を補正枠312の間に挟み込んで位置決め固定することができる。これにより、角度補正部材310は、第二切断装置300を、第二設置角度θ4(第二傾斜角度θ3に相当)で傾斜させた状態で保持することができる。
【0120】
変形例3に係る切断装置用治具1Aにおいては、切断装置10と異なる第二切断装置300を保持する関係上、切断装置10の基準位置P0と、第二切断装置300の基準位置P1と、が異なる場合がある。かかる場合は、基準位置P1に対応して、切断位置ガイド部材50を固定する必要がある。そこで、切断装置用治具1Aでは、切断装置10における基準位置P0に対応する固定部材61と、第二切断装置300における基準位置P1に対応する固定部材320と、の双方が、それぞれ干渉しないように設けられている。なお、固定部材320は、上述した固定部材61と同様の構成であるので、同様部分の説明は省略する。
【0121】
図10に示すように、固定部材320は、角度補正部材310を介して幅方向の両側に配されている。すなわち、切断装置用治具1Aでは、切断位置ガイド部材50が、上述した実施形態における場合とは、幅方向の反対側に設けられている。なお、切断装置用治具1Aでは、切断装置10及び第二切断装置300に対するガイド部材固定部55のうち、ガイド位置決め部56、軸線方向規制部57、及び幅方向規制部58が、共通化されている。
【0122】
ここで、変形例3においては、切断位置ガイド部材50が、切断装置用治具1Aの幅方向左側に向けて延びるように配置されている。したがって、切断位置ガイド部材50は、一端側(本変形例3では右側)が、固定部材320によって固定される。すなわち、変形例3に係る切断位置ガイド部材50は、切断装置10又は第二切断装置300に応じて、固定部材61及び固定部材320のいずれか一方によって固定できる。
【0123】
以上が、本発明の変形例3に係る切断装置用治具1Aの構成であり、次に変形例3に係る切断装置用治具1Aの作用効果について以下に説明する。
【0124】
切断装置用治具1Aは、傾斜部30及び第二切断装置300の間に第二傾斜角度θ3を形成する角度補正部材310を有しているので、第二切断装置300を第二設置角度θ4(第二傾斜角度θ3に相当)で傾斜させた状態で保持できる。ここで、第二切断装置300は、第二設置角度θ4で配置されることにより、被切断物2を所望の傾斜角度(第二傾斜角度θ3)で傾斜させた状態で切断できるものとされている。言い換えれば、上述した角度補正部材310は、スペーサ的な役割を果たすものとされている。したがって、切断装置用治具1Aは、単一の切断装置10だけではなく、異なる傾斜角度(第二傾斜角度θ3)で保持が必要な第二切断装置300であっても、適切に保持することができる。これにより、上述した切断装置用治具1Aは、第二切断装置300を用いて、被切断物2を適切な傾斜角度(第二傾斜角度θ3)で切断できる。なお、複数種類の傾斜角度を有する角度補正部材310をそれぞれ準備するようにすれば、1つの切断装置用治具1Aで複数種類の切断装置に対応できるので、作業者の切断装置用治具1Aの搬送による負担が軽減される。
【0125】
また、上述した切断装置用治具1Aは、角度補正部材310が、保持部20に対して着脱可能に設けられている。したがって、上述した切断装置用治具1Aは、切断装置10及び第二切断装置300の切り替えを容易に行うことができる。すなわち、上述した切断装置用治具1Aは、切断装置10を保持する際は、角度補正部材310を取り外し、第二切断装置300を保持する際は、角度補正部材310を取り付けるとよい。
【0126】
また、上述した切断装置用治具1Aは、角度補正部材310が、第二切断装置300と係合可能な角度補正部材側係合部318を有している。したがって、上述した切断装置用治具1Aは、第二切断装置300を角度補正部材側係合部318と係合させることができるので、確実に第二切断装置300を保持できる。これにより、上述した切断装置用治具1Aは、保持した第二切断装置300により安定に被切断物2を切断することができる。
【0127】
また、上述した切断装置用治具1Aは、被切断物2と間隔を空けて被切断物2に沿う方向に延びるように形成された切断位置ガイド部材50が配されており、切断位置ガイド部材50は、切断装置10及び第二切断装置300のいずれかの切断位置を基準として被切断物2の供給方向下流側に向けて被切断物2の切断予定長さ以上の長さとなるように形成されると共に、被切断物2が切断予定長さとなる状態で切断可能なように、被切断物2を直接的又は間接的に支持可能なものであり、保持部20は、切断装置10及び第二切断装置300のそれぞれの切断位置に対応する基準位置P0,P1に切断位置ガイド部材50の一端側を位置付けて固定するための一対の固定部材61,320を有しており、それぞれの固定部材61,320は、角度補正部材310を介して両側に配されており、切断位置ガイド部材50は、一端側が、一対の固定部材61,320のいずれか一方によって固定される構成とされている。
【0128】
したがって、上述した切断装置用治具1Aは、切断装置10及び第二切断装置300のそれぞれの切断位置が異なる場合であっても、切断装置10及び第二切断装置300の互いの切断位置に対応して被切断物2の一端を基準位置P0,P1に合わせた状態で、被切断物2を正確に支持することができる。そのため、上述した切断装置用治具1Aは、切断装置10と第二切断装置300とを入れ替えた場合であっても、容易に被切断物2を基準位置P0,P1に合わせた状態で、支持することができるので、汎用性が向上する。
【0129】
以上が、本発明の切断装置用治具1の実施形態及び変形例であるが、本発明の切断装置用治具1は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0130】
本実施形態では、被切断物2が、第一構成部2Aと、第二構成部2Bと、第三構成部2Cとを有するものを例示したが、被切断物2の形状は、切断装置10の形態に応じて適宜変更することができる。また、被切断物2は、例えば、第一構成部2Aと第二構成部2Bの2つの構成部で形成されているものや、4つ以上の構成部を有するものなど、構成部の構成は、適宜変更することができる。例えば、切断装置用治具1は、被切断物2における第一構成部2Aと、第二構成部2Bとが、L字状に形成されたアングル材などの切断にも利用できる。また、被切断物2の第一構成部2Aを軸線周りに傾斜させる傾斜角度は、被切断物2の形状等に応じて各種の角度に設定できる。また、切断装置10は、上述した実施形態のものだけではなく、被切断物2を設置面4に対して傾斜させて切断する各種の形態の切断装置を用いることができる。また、保持部20、設置部25、及び傾斜部30は、上述した実施形態のものに限定されず、各種の形状や大きさのものが利用できる。また、傾斜部30に保持される切断装置10の設置角度θ2は、切断装置10の形状等に応じて、適宜変更が可能である。
【0131】
本実施形態では、切断装置用治具1が、切断装置10と係合可能な治具側係合部33Aを備えるものとしたが、治具側係合部33Aには、切断装置10を保持可能な各種の手段を利用することができる。また、本実施形態では、切断装置10に装置側係合部17,17を設ける構成を例示したが、装置側係合部17,17は、必要に応じて設ければよく、装置側係合部17,17が設けられていない構成とすることもできる。かかる場合は、例えば、切断装置10本体(支持枠11)を開口部32に嵌め込んで支持すればよい。
【0132】
本実施形態では、切断装置用治具1が、切断装置支持部40を有するものを例示したが、切断装置支持部40は、必要に応じて設ければよく、切断装置支持部40を有しない構成とすることも可能である。また、切断装置支持部40の形状や大きさ等は適宜変更することが可能である。また、本実施形態では、切断装置支持部40が切断装置位置決め部41を有するものを例示したが、切断装置位置決め部41を有しない構成とすることもできる。また、切断装置位置決め部41は溝部42だけではなく、各種の形態のものが採用できる。
【0133】
本実施形態では、切断装置用治具1が、転倒抑制部45を有するものを例示したが、転倒抑制部45は、必要に応じて設ければよく、転倒抑制部45を有しない構成とすることも可能である。また、転倒抑制部45は、各種の形状や大きさのものを採用できる。また、本実施形態では、転倒抑制部45が、把持部46を有するものを例示したが、把持部46は必要に応じて設ければよく、把持部46を有しない構成とすることも可能である。また、把持部46は、各種の形状や大きさのものを採用できる。
【0134】
本実施形態では、切断位置ガイド部材50として被切断物2の端材が利用されているが、切断位置ガイド部材50は、端材だけではなく、別途に用意されたものでもよい。また、切断位置ガイド部材50は、被切断物2に沿って配されるものであれば、各種の位置に配することができる。また、本実施形態では、切断位置ガイド部材50が留め具51を介して、被切断物2を間接的に支持するものとしたが、留め具51を排して、切断位置ガイド部材50が被切断物2を直接的に支持するようにしてもよい。また、切断位置ガイド部材50の切断装置用治具1への固定方法も、上述した実施形態のものに限定されず、各種の固定方法を用いて固定することができる。
【0135】
また、本実施形態では、スケール5により被切断物2の切断予定長さを測定(決定)するようにしているが、予め切断位置ガイド部材50にマーキング等を施して、被切断物2の切断予定長さを決定することもできる。また、被切断物2の切断予定長さが決定している場合は、留め具51が、切断位置ガイド部材50に固定されていてもよい。
【0136】
留め具51は、実施形態や変形例に係るものに限定されず、各種の形態の留め具51を採用することができる。また、留め具51は、切断位置ガイド部材50に着脱可能に搭載されるものだけではなく、切断位置ガイド部材50と一体的に形成されたものでもよい。
【0137】
また、変形例1及び変形例2では、当接状態切替機構120,220が、上下方向へのスライドや回転により、被切断物2との当接位置及び非当接位置を切り替えるものとしたが、これらには限定されず、当接状態の切り替えは、各種の手段で行うことができる。
【0138】
また、変形例3で用いられる第二切断装置300は、各種の切断装置を利用することができる。また、第二傾斜角度θ3や第二設置角度θ4は、第二切断装置300の仕様に合わせて、各種の角度に設定できる。また、変形例3では、第二傾斜角度θ3が、傾斜部30の傾斜角度θ1よりも大きな角度となる場合について例示したが、本発明は、これには限定されない。例えば、第二傾斜角度θ3が傾斜部30よりも小さい角度となる場合は、補正枠固定部314側を下げるか、支持脚316側を上げるようにすればよい。また、変形例3では、固定部材61,320が、保持部20に固定されているが、固定部材61,320や、ガイド部材固定部55は、着脱可能に設けられていてもよい。また、角度補正部材側係合部318は、第二切断装置300の切断装置側係合部330等の形状や大きさ等に合わせて、各種の形状・大きさ・数量のものが利用できる。また、角度補正部材310は、傾斜角度に応じて複数設けるようにすれば、複数種類の切断装置に対応することができる。また、角度補正部材310を、例えば、幅方向、高さ方向、長さ方向に調整可能に構成すれば、複数の角度補正部材310を設けなくとも、単一の角度補正部材310で傾斜角度の調整が可能となる。
【0139】
以上が、本発明に係る切断装置用治具1,1Aの各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の切断装置用治具は、ダクターチャンネル、レースウェイ、アングル材等の各種の被切断物を切断する切断装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1 :切断装置用治具
2 :被切断物
2A:第一構成部
2B:第二構成部
2C:第三構成部
4 :設置面
5 :スケール
10 :切断装置
12 :切断刃
33 :開口壁
33A:治具側係合部
20 :保持部
25 :設置部
30 :傾斜部
40 :切断装置支持部
41 :切断装置位置決め部
42 :溝部
45 :転倒抑制部
46 :把持部
50 :切断位置ガイド部材
51 :留め具
55 :ガイド部材固定部
56 :ガイド位置決め部
57 :軸線方向規制部
58 :幅方向規制部
60 :スケール係止部
61 :固定部材
100 :留め具
200 :留め具
300 :第二切断装置
310 :角度補正部材
320 :固定部材
P0 :基準位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11