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特開2023-180218乳酸菌を含むIL-10の産生促進のための剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180218
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】乳酸菌を含むIL-10の産生促進のための剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20231213BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20231213BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
C12N15/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076069
(22)【出願日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2022092866
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593061905
【氏名又は名称】株式会社 秋田今野商店
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188824
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】中田 善久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 知也
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 宗隆
(72)【発明者】
【氏名】今野 宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 冬彦
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AC20
4B065BD50
4B065CA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新規に乳酸菌を含むIL-10の産生促進のための剤、などを提供すること。
【解決手段】Leuconostoc citreum(受託番号:NITE P-03570)の死菌を有効成分として含む、IL-10の産生促進のための剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Leuconostoc citreum(受託番号:NITE P-03570)の死菌を有効成分として含む、IL-10の産生促進のための剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヒト等に用いるための乳酸菌を含むIL-10の産生促進のための剤に関し、より詳細には、乳酸菌(Leuconostoc citreum)の死菌を有効成分として含む、IL-10の産生促進のための剤、などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乳酸菌が免疫賦活作用など様々な機能を有することが明らかとなり、乳酸菌が注目を集めている。例えば、植物性乳酸菌であるラクトバチルス パラカゼイK71株の有する抗アレルギー作用(特許文献1)、アブラナ科植物のラクトバチルス カゼイの特定の菌株が有する抗酸化機能(特許文献2)、微細藻類又はその処理物を含有する培地中で、特定の乳酸菌を培養して得られる発酵物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤(特許文献3)などが報告されている。また、乳酸菌などのプロバイオティクスが例えば抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗感染症作用、免疫賦活作用などの免疫調節作用を有することが報告されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5150722号公報
【特許文献2】特開2015-156832号公報
【特許文献3】特開2015-117234号公報
【特許文献4】特開2020-63297号公報
【特許文献5】特開2013-10714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、新規に乳酸菌を含むIL-10の産生促進のための剤、などを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明者は、新規に乳酸菌(Leuconostoc citreum(受託番号:NITE P-03570))を見出した。更に、本発明者は、ヒト等の細胞に対して、当該見出した乳酸菌を添加することにより、当該細胞においてIL-10を産生することも見出した。これらを見出したことにより、本発明者は本発明を完成させた。
本発明は以下の実施形態を含む。
(1)乳酸菌(Leuconostoc citreum(受託番号:NITE P-03570))を有効成分として含む、IL-10の産生促進のための剤。
(2)当該乳酸菌が死菌である、(1)に記載の剤。
(3)(1)又は(2)を含有する、経口組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の剤などは、例えば、IL-10の産生促進のため、ブルーライト等の光の暴露に起因する視機能の障害を防止するため、用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】菌体(L006)を含有する懸濁液をqNANOで測定した結果(各粒子径における菌濃度を示した粒度分布)を示す。横軸が粒子の直径(Particle Diameter(nm))、縦軸が菌体の濃度(Concentration(particles/mL、個/mL))、を示す。写真は、懸濁液に含有する菌体の形態をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果である。
図2】菌体(L038)を含有する懸濁液をqNANOで測定した結果(各粒子径における菌濃度を示した粒度分布)を示す。横軸が粒子の直径(Particle Diameter(nm))、縦軸が菌体の濃度(Concentration(particles/mL、個/mL))、を示す。写真は、懸濁液に含有する菌体の形態をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果である。
図3】菌体(L058)を含有する懸濁液をqNANOで測定した結果(各粒子径における菌濃度を示した粒度分布)を示す。横軸が粒子の直径(Particle Diameter(nm))、縦軸が菌体の濃度(Concentration(particles/mL、個/mL))、を示す。写真は、懸濁液に含有する菌体の形態をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果である。
図4】菌体(L060)を含有する懸濁液をqNANOで測定した結果(各粒子径における菌濃度を示した粒度分布)を示す。横軸が粒子の直径(Particle Diameter(nm))、縦軸が菌体の濃度(Concentration(particles/mL、個/mL))、を示す。写真は、懸濁液に含有する菌体の形態をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0009】
(乳酸菌)
本発明に使用される乳酸菌は、味噌、醤油、漬物、糠、牧草、米、麦、麦芽など加工食品から分離され、糖質などを利用して乳酸を産生する乳酸菌である。例えば、米及び米加工品から分離され、抗変異原性を有する複数の乳酸菌が報告されている(日本食品科学工学会誌、第48巻、第9号、693~696頁、2001年)。本発明の有効成分として用いられる乳酸菌は、これらの中で、株(Leuconostoc citreum)又はその変異株が最も好ましい。なおここで「変異株」とは、特定の菌株に対し、当業者に周知の方法により当業者がその性質に変化を及ぼさない範囲で変異させたもの、あるいは、それと同等であると当業者が確認できるものを包含する意味である。
【0010】
なお、株(Leuconostoc citreum)は、2021年12月7日(原寄託日)付で独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(〒292-0818日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8、122号室)に寄託されている。受託番号は、NITE P-03570である(以下、本菌株を「L038株」と称する)。
【0011】
本発明の有効成分として用いられる乳酸菌の菌体は、生菌体及び死菌体のいずれでもよいが、例えば生菌体の増殖による異臭発生防止などを考慮すると好ましくは死菌体が用いられる。より好ましくは、上記乳酸菌を公知の加熱処理手段で殺菌して得られる加熱殺菌菌体が用いられる。加熱殺菌菌体は、上記乳酸菌を、所定の培地を用いて常法に従って培養して得られた培養物から、例えば、濾過、遠心分離等の方法により菌体を回収し、水洗後、水等に懸濁して120℃以下(好ましくは80~120℃)、30分以内(3秒~30分間)加熱処理した後、必要に応じて濃縮、乾燥することにより調製できる。また菌体を焼成、蒸煮(例えば170℃以下、60分以内)に付すことによって調製してもよい。
【0012】
(IL-10の産生促進のための剤)
IL-10の産生促進のための剤は、上記L038株の菌体を有効成分として含み、スキンケア作用を有する製剤又は組成物を意味する。好ましい実施形態において用いられる死菌体は、IL-10の産生促進の効果が期待できるだけでなく、生菌の場合、製品製造以降の配送時や陳列時に形態変化を起こす可能性があるのに対し、それ以上形態変化を起こさない死菌体は好適に使用できる。
【0013】
IL-10(interleukin-10)は、炎症及び自己免疫応答を抑制するサイトカインで、誘導性制御性T細胞(Treg)の抑制能の一端を担うサイトカインである。Type1 regulatory T (Tr1)細胞は、IL-10産生を特徴とするIL-10産生制御性T細胞の中でも代表的なものである(日本臨床免疫学会会誌、36 巻 (2013) 1 号、40~46ページ)。
【0014】
(眼疲労)
眼疲労は、眼が重い、物がぼやけるなどの一般的な眼の疲れであり、一定の休息を取
ることによって比較的短時間に回復する疲労である。眼疲労の蓄積により眼精疲労に発展
する。眼精疲労は、疲労状態が著しく病的な状態であり、休息を取っても回復しない。視
作業を続けることにより、眼部、鼻根部、前額部の不快感、圧迫、頭痛、視力減衰、めま
い、吐き気などを訴える(特許文献5)。眼疲労は、例えば、焦点調節機能に影響を及ぼす毛様体筋などの眼調節系の筋肉疲労と、認知機能に影響を及ぼす視覚情報処理の中枢性疲労、が挙げられる。眼調節系の筋疲労の原因の一つに、近くにあるものを長時間注視し続けることが挙げられる。PCディスプレイや本などの近距離にある物体を長時間注視すると眼の特定の筋肉の緊張状態が続き、筋肉疲労物質が蓄積して眼疲労として現れる。眼疲労の中でも、パーソナルコンピューター(PC)の普及に伴い急激に増加してきたVDT(Visual Display Terminal)作業による眼疲労が非常に多くなっている。当該眼疲労の解決が望まれている。
【0015】
(IL-10の産生促進のための剤を含有する組成物)
一実施形態としての組成物は、有効成分である菌体又はその培養物をそのまま用いることもできるが、製剤上許容される担体等を適宜配合して、例えば経口組成物等の形態に調製される。
【0016】
なお、好ましい実施形態の組成物は、乳酸菌を死菌体で含有させることができ、該組成物の製品を提供するに当たっては、加圧などの加熱以外の条件を適宜用いてもよい。
【0017】
本実施形態の組成物中へのL038株菌体の配合量は、一般には、組成物100g中に、菌数が10~1011個前後(生菌数である必要はない。但し、死菌体を含む場合は、殺菌前の生菌数として計数するものとする。以下、同じ)となる量から適宜選択することができる。生菌数の測定は、菌培養用の寒天培地に希釈した試料を塗布して37℃で培養を行い、生育したコロニー数を計測することにより算出する。この生菌数と濁度とは相関するため、予め生菌数と濁度との相関を求めておくと、生菌数の測定に代えて濁度を測定することによって上記生菌数を計数できる。以下に、各組成物の形態について具体的に説明する
【0018】
(経口組成物)
本発明に係る経口組成物は、例えば飲食品(機能性表示食品、特定保健用食品、サプリメントなども含む)、医薬品などである。
【0019】
例えば、当該経口組成物が飲食品の場合、当該飲食品の形態は、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料などの各種飲食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。種々の形態の食品は、本発明の有効成分を単独で、または他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
【0020】
例えば、当該経口組成物が医薬品の場合は、当該医薬品は一般的に苦痛の程度に従って調整することができる好都合の1日投薬レジメンを組み立てやすいが、当該医薬品の形態は、例えば固体の形態、液体の形態である。当該固体の形態は、例えば、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、トローチ剤、坐剤および分散性顆粒剤などが挙げられる。例えば、粉末剤では、担体は一般に、微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。例えば、錠剤では、活性成分は一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状および大きさに成形される。適切な担体は、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバター等を非限定的に含むこともある。当該医薬品は、所望の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤等の成分を含有することもできる。
【0021】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、本発明の剤などに含有される成分等の含有量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
【実施例0022】
以下、本発明の実施例について、説明する。
【0023】
[試験例1]表皮角化細胞を用いたL038株菌体の機能性評価試験(RT-PCR)
RT-PCR法を用いて、ランダムに選択した他の菌体と比べて、L038株菌体の機能性評価を行った。
【0024】
(試験方法の概要)
1.試験で用いる細胞の準備
表皮角化細胞(KK-4009、凍結NHEK(NB)新生児由来、KURABO)を準備した。表皮角化細胞を、抗生物質(Gibco(商標)Antibiotic-Antimycotic(100X))及びサプリメントS7を添加したEpiLife(Thermo Fisher Scientific)を用いて、所定の条件(5%CO、37℃)で培養して、この試験で使用の表皮角化細胞を準備した。
【0025】
J774.1細胞(JCRB細胞バンクから入手した単球・マクロファージ様細胞株)を準備した。J774.1細胞を、10%のFBSを含むRPMI-1640培地(富士フィルム和光純薬、189-02025)を用いて、所定の条件(5%CO、37℃)で培養して、この試験で使用のJ774.1細胞を準備した。
【0026】
2.L038株などの菌株の準備
L038株などこの試験で用いる菌株は、所定の培地を用いて37℃で24時間培養した後、4℃冷却下で生理食塩水を用いて遠心洗浄(3000rpm、10分)を4回繰り返した菌体の懸濁液を純水にて調製し、オートクレーブで滅菌したものを使用した。この試験で用いた菌株を以下に示す。
・L006:Limosilactobacillus fermentumの菌体(漬物由来、秋田今野様提供)
・L038:上述の通り(穀物発酵種由来、秋田今野様提供)
・L058:Lactiplantibacillus plantarum(漬物由来、秋田今野様提供)
・L060:Lactiplantibacillus plantarum(酒由来、秋田今野様提供)
【0027】
当該懸濁液をqNANOで粒度観察した。当該粒度結果を以下表1及び図1図4に示す。図1~4は、qNANOナノ粒子マルチアナライザー(IZON社製)で測定した当該懸濁液の粒径分布である。表1で記載の定義は以下意味する。
・懸濁液濃度(%):懸濁液中に含有する菌体の濃度(質量%)。
・平均粒子径(nm):当該懸濁液に含有された菌体の平均粒子径。
・測定粒子濃度(個/mL):当該懸濁液(1mLあたり)における菌体の個数(個)。
【0028】
【表1】
【0029】
3.RT-PCR
24穴プレートにて細胞密度がコンフルエントになるまで表皮角化細胞(NHEK細胞)を、COインキュベーターにて37℃で培養した。この培養後に、当該24穴プレートに最終濃度が1mMになるようにカルシウムを添加した。このカルシウムの添加後、COインキュベーターにて37℃で24時間の培養を行った。
【0030】
当該24時間培養後の細胞に対し、上述の懸濁液を、質量比でそれぞれ0.1%となるように添加し、以下の群を作製した。
(実験群)
・コントロール群:菌体を添加しなかった群
・L006添加群:菌体(L006)を含有する懸濁液を添加した群
・L038添加群:菌体(L038)を含有する懸濁液を添加した群
・L058添加群:菌体(L058)を含有する懸濁液を添加した群
・L060添加群:菌体(L060)を含有する懸濁液を添加した群
【0031】
当該群を作製後、さらにCOインキュベーターにて37℃で24時間培養した。この24時間培養後の細胞より、mRNAを精製した。mRNAの精製にはQIAGEN社より販売されているQIAshreder及びRNeasy Mini Kitを用いた。
【0032】
精製したmRNAを鋳型として、TaKaRaより販売されているPrimeScript RT master Mixを用いて逆転写反応を行い、cDNAを合成した。以下の表2に示した、それぞれの標的因子に対応するプライマー対を用いて、RT-PCRを行い、相対定量にて発現量変化を解析した。RT-PCRにはTaKaRaより販売されているTB Green Premix Ex Taqを用いた。また、相対量変化解析のリファレンスにはRPS18(ribosomal protein S18)の増幅結果を用いた。
【0033】
【表2】
【0034】
(試験の結果:RT-PCRの結果)
以下結果を示す。結果は、コントロール群の値(当該相対定量にて発現量変化)を1とした場合の値で示す。これらの値は、小数点第4位を四捨五入した値である。
・コントロール群:1
・L006添加群:0.543
・L038添加群:4.441(*)
・L058添加群:0.946
・L060添加群:1.759
【0035】
*印は、Dunnett検定において、コントロール群の値(1)との比較による有意差(p<0.01)、を示す。当該試験結果より、他の菌体と比べて、菌体(L038)の添加により、IL-10の産生量が高いことを確認した。
【0036】
4.RT-PCR
24穴プレートにて細胞密度が80%コンフルエントになるまでJ774.1細胞(JCRB細胞バンクから入手した単球・マクロファージ様細胞株)を、10%のFBSを含むRPMI-1640培地にてCOインキュベーターにて37℃で培養した。この培養後に、培地交換を行い、0.1%のFBSを含むRPMI-1640培地にてCOインキュベーターにて37℃で24時間培養した。
【0037】
当該24時間培養後の細胞に対し、以下の群を作製した。
(実験群)
・コントロール群:菌体を添加しなかった群
・L038添加群1:菌体(L038)を最終濃度8μg/mL含有する懸濁液を添加した群
・L038添加群2:菌体(L038)を最終濃度40μg/mL含有する懸濁液を添加した群
【0038】
当該群を作製後、さらにCOインキュベーターにて37℃で24時間培養した。この24時間培養後の細胞より、mRNAを精製した。mRNAの精製にはQIAGEN社より販売されているQIAshreder及びRNeasy Mini Kitを用いた。
【0039】
精製したmRNAを鋳型として、TaKaRaより販売されているPrimeScriptTM RT master Mix(TaKaRa、RR036A)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを合成した。以下の表3に示した、それぞれの標的因子に対応するプライマー対を用いて、RT-PCRを行い、相対定量にて発現量変化を解析した。RT-PCRにはTaKaRaより販売されているTB Green Premix Ex Taqを用いた。また、相対量変化解析のリファレンスにはRPS18(ribosomal protein S18、配列番号1及び配列番号2)の増幅結果を用いた。
【0040】
【表3】
【0041】
(試験の結果:RT-PCRの結果)
以下結果を示す。結果は、コントロール群の値(当該相対定量にて発現量変化)を1とした場合の値で示す。これらの値は、小数点第3位を四捨五入した値である。
・コントロール群:1
・L038添加群1:44.41
・L038添加群2:83.94
【0042】
5.ELISA
24穴プレートにて細胞密度が80%コンフルエントになるまでJ774.1細胞(JCRB細胞バンクから入手した単球・マクロファージ様細胞株)を、10%のFBSを含むRPMI-1640培地にてCOインキュベーターにて37℃で培養した。この培養後に、培地交換を行い、0.1%のFBSを含むRPMI-1640培地にてCOインキュベーターにて37℃で24時間培養した。
【0043】
当該24時間培養後の細胞に対し、以下の群を作製した。
(実験群)
・コントロール群:菌体を添加しなかった群
・L038添加群1:菌体(L038)を最終濃度8μg/mL含有する懸濁液を添加した群
・L038添加群2:菌体(L038)を最終濃度40μg/mL含有する懸濁液を添加した群
【0044】
当該群を作製後、さらにCOインキュベーターにて37℃で24時間培養した。この培養後、当該培養の培養液の上清を回収した。当該上清の中のIL-10の量を、Mouse IL-10 Quantikine ELISA Kit(R&D SYSTEMS、M1000B-1)を用いて評価した。IL-10産生量は、培養後にプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を添加した Passive Lysis Buffer(Promega)で均質化処理した細胞懸濁液を用い、BCA法により求めたタンパク質量で補正した。
【0045】
(試験の結果:ELISAの結果)
以下結果を示す。これらの値は、小数点第3位を四捨五入した値である。
・コントロール群:6.0
・L038添加群1:271.0
・L038添加群2:475.3
【0046】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023180218000001.xml