(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180226
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセンス材料及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20231213BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231213BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20231213BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20231213BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20231213BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20231213BHJP
H10K 101/20 20230101ALN20231213BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20231213BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20231213BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K59/10
H10K85/30
H10K85/60
C09K11/06 660
H10K101:10
H10K101:20
H10K101:30
H10K101:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090812
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/350286
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/321316
(32)【優先日】2023-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エー・マルグリーズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディム・アダモヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア・ジェイ・ブラウン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107CC31
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD64
3K107DD66
3K107DD67
3K107DD68
3K107FF11
3K107FF19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】最も低いEL過渡的時間をもたらし、OLEDの性能を向上させる。
【解決手段】アノード電極と;カソード電極と;アノード115とカソード160との間に配置され、HOMOエネルギーE
HHを有する第1のホスト材料とHOMOエネルギーE
HEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、を含むOLEDであって、有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され;但し、発光体材料は、Pt錯体ではなく;E
HHは-5.45eV以上であり;E
HEは-5.15eV以下であり;E
HEはE
HHより大きい、OLEDが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと;
カソードと;
前記アノードと前記カソードとの間に配置され、最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーEHHを有する第1のホスト材料とHOMOエネルギーEHEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、
を含む有機発光デバイス(OLED)であって、
前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;
前記発光体材料は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され;前記発光体材料は、Pt錯体ではなく;
EHHは-5.45eV以上であり;
EHEは-5.10eV以下であり;
EHEはEHHより大きいことを特徴とする有機発光デバイス(OLED)。
【請求項2】
EHE-EHH<0.30eV;及び/又は
前記OLEDは、定常状態電圧をオフに切り替えると、第1のエレクトロルミネセンス(EL)過渡的寿命を有する光を発し;前記第1のEL過渡的寿命は120μs以下である;及び/又は
前記デバイスが第1のリフレッシュレートで駆動され;前記第1のリフレッシュレートが60Hz超である、請求項1に記載のOLED。
【請求項3】
前記発光体材料が、M(L
1)
x(L
2)
y(L
3)
zの式を有する、請求項1に記載のOLED。
(式中、L
1、L
2、及びL
3は、同じでも異なっていてもよく;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは、金属Mの酸化状態であり;
L
1は、下記からなる群から選択され;
【化1】
【化2】
【化3】
L
2及びL
3は、それぞれ独立して、下記からなる群から選択され;
【化4】
【化5】
【化6】
式中、Tは、B、Al、Ga、及びInからなる群から選択され;
K
1は、直接結合である、又はNR
e、PR
e、O、S、及びSeからなる群から選択され;
Y
1~Y
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Y’は、BR
e、NR
e、PR
e、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CR
eR
f、SiR
eR
f、及びGeR
eR
fからなる群から選択され;
R
e及びR
fは、縮合又は結合して、環を形成することができ;
R
a、R
b、R
c、及びR
dは、それぞれ独立して、モノから最大可能数の置換を表す、又は無置換を表し;
R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fは、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;
R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
a、R
b、R
c、及びR
dの任意の2つの隣接する置換基は、縮合又は結合して、環を形成してもよい又は多座配位子を形成してもよい。)
【請求項4】
前記発光体材料が、Ir(LA)3、Ir(LA)(LB)2、Ir(LA)2(LB)、Ir(LA)2(LC)、及びIr(LA)(LB)(LC)からなる群から選択される式を有し、
LA、LB、及びLCは、Ir化合物において、互いに異なっている、請求項1に記載のOLED。
【請求項5】
前記発光体材料が、下記からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載のOLED。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
(式中、X
96~X
99は、それぞれ独立して、C又はNであり;
Y
100は、それぞれ独立して、NR’’、O、S、及びSeからなる群から選択され;
R
10a、R
20a、R
30a、R
40a、及びR
50aは、それぞれ独立して、モノ置換、最大置換まで、又は無置換を表し;
R、R’、R’’、R
10a、R
11a、R
12a、R
13a、R
20a、R
30a、R
40a、R
50a、R
60、R
70、R
97、R
98、及びR
99は、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、ボリル、セレニル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である。)
【請求項6】
前記発光体が、下記からなる群から選択される化学部分の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のOLED。
【化12】
(式中、Y
T、Y
U、Y
V、及びY
Wは、それぞれ独立して、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、BRR’、CRR’、SiRR’、及びGeRR’からなる群から選択され;
各R
Tは、同じでも異なってもよく、各R
Tは、それぞれ独立して、ドナー、アクセプター基、ドナーに結合される有機リンカー、アクセプター基に結合される有機リンカー、又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される末端基であり;
R及びR’は、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ボリル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、セレニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である。)
【請求項7】
前記発光体が、ニトリル、イソニトリル、ボラン、フルオライド、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アザ-カルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾセレノフェン、アザ-トリフェニレン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びオキサジアゾールからなる群から選択される化学部分の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のOLED。
【請求項8】
アノードと;
カソードと;
前記アノードと前記カソードとの間に配置され、最低空分子軌道(LUMO)エネルギーELHを有する第1のホスト材料とLUMOエネルギーELEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、
を含む有機発光デバイス(OLED)であって、
前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;
前記発光体材料は、リン光金属錯体、遅延蛍光発光体、及び蛍光発光体からなる群から選択され;但し、前記発光体材料は、Pt錯体ではなく;
ELHはELEよりも大きく;
ELH-ELEは0.30eV以下であることを特徴とする有機発光デバイス(OLED)。
【請求項9】
アノードと;
カソードと;
前記アノードと前記カソードとの間に配置され、第1のホスト材料と発光体材料とを含む有機発光層と、
を含む有機発光デバイス(OLED)であって、
前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;
前記OLEDは、定常状態電圧をオフに切り替えると、第1の過渡的寿命を有する光を発し;前記第1の過渡的寿命は120μs以下であり;
前記デバイスは、第1のリフレッシュレートを有し;前記第1のリフレッシュレートが60Hz超であることを特徴とする有機発光デバイス(OLED)。
【請求項10】
請求項1、8、及び9のいずれかに記載のOLEDを含むことを特徴とする消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条の下で、2022年6月8日出願の米国特許仮出願第63/350,286に対する優先権を主張し、出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に、OLEDデバイス及び消費者製品を含む関連する電子デバイスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、各種理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。
【0005】
燐光発光性分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルターを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単層の発光層(EML)デバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【発明の概要】
【0006】
1つの態様では、本開示は、OLEDを提供し、前記OLEDは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノードと前記カソードとの間に配置され、最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーEHHを有する第1のホスト材料とHOMOエネルギーEHEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、を含み、前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;前記発光体材料は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され;前記発光体材料は、Pt錯体ではなく;EHHは-5.45eV以上であり;EHEは-5.10eV以下であり;EHEはEHHより大きい。
【0007】
1つの態様では、本開示は、OLEDを提供し、前記OLEDは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノードと前記カソードとの間に配置され、最低空分子軌道(LUMO)エネルギーELHを有する第1のホスト材料とLUMOエネルギーELEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、を含み、前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;前記発光体材料は、リン光金属錯体、遅延蛍光発光体、及び蛍光発光体からなる群から選択され;但し、前記発光体材料は、Pt錯体ではなく;ELHはELEよりも大きく;ELH-ELEは0.30eV以下である。
【0008】
更なる別の態様では、本開示は、OLEDを提供し、前記OLEDは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノードと前記カソードとの間に配置され、第1のホスト材料と発光体材料とを含む有機発光層と、を含み、前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;前記OLEDは、定常状態電圧又は電流をオフに切り替えると、第1の過渡的寿命(transient lifetime)を有する光を発し;前記第1の過渡的寿命は120μs以下であり;前記デバイスは、第1のリフレッシュレートを有し;前記第1のリフレッシュレートが60Hz超である。
【0009】
更なる別の態様では、本開示は、本開示に記載されるOLEDを含む消費者製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【0011】
【
図2】
図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【0012】
【
図3】
図3は、オフ状態OLED発光減衰の一般原理を示す
【0013】
【
図4】
図4は、OLED ELT測定の一般原理を示す。
【0014】
【0015】
【
図6】
図6は、輝度減衰プロットからのELT減衰時間の決定を示し、L
0は定常状態EL強度を表し、EL下降時間(τ90%)はEL強度がL
0の90%減に達する時間を表す。
【0016】
【
図7】
図7は、様々な駆動電流におけるEL過渡的時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.用語
特段の断りがない限り、本明細書に使用される下記用語は、以下の通り定義される。
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び低分子有機材料を含む。「低分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「低分子」は実際にはかなり大型であってもよい。低分子は、幾つかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「低分子」クラスから分子を排除しない。低分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。低分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又は燐光性低分子発光体であってよい。デンドリマーは「低分子」であってもよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーは全て低分子であると考えられている。
【0019】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第1の層が第2の層「の上に配置されている」と記述される場合、第1の層のほうが基板から遠くに配置されている。第1の層が第2の層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第1の層と第2の層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0020】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送されることができ、且つ/又は該媒質から堆積されることができるという意味である。
【0021】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0022】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第1のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第2のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0023】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるように、第1の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第1の仕事関数は第2の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0024】
「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハライド」という用語は、相互交換可能に使用され、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0025】
「アシル」という用語は、置換されたカルボニル基(C(O)-Rs)を指す。
【0026】
「エステル」という用語は、置換されたオキシカルボニル(-O-C(O)-Rs又は-C(O)-O-Rs)基を指す。
【0027】
「エーテル」という用語は、-ORs基を指す。
【0028】
「スルファニル」又は「チオエーテル」という用語は、相互交換可能に使用され、-SRs基を指す。
【0029】
「セレニル」という用語は、-SeRs基を指す。
【0030】
「スルフィニル」という用語は、-S(O)-Rs基を指す。
【0031】
「スルホニル」という用語は、-SO2-Rs基を指す。
【0032】
「ホスフィノ」という用語は、-P(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
「シリル」という用語は、-Si(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
「ゲルミル」という用語は、-Ge(Rs)3基を指し、各Rsは、同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
「ボリル」という用語は、-B(Rs)2基、又はそのルイス(Lewis)付加物-B(Rs)3基を指し、Rsは同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
上記のそれぞれにおいて、Rsは、水素、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から選択される置換基であることができる。好ましいRsは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0037】
「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキル基の両方を指し、含む。好ましいアルキル基としては、1個から15個までの炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、及び2,2-ジメチルプロピル等が挙げられる。更に、前記アルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0038】
「シクロアルキル」という用語は、単環式、多環式、及びスピロアルキル基を指し、含む。好ましいシクロアルキル基は、3~12個の環炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[5.5]ウンデシル、アダマンチルなどが挙げられる。更に、前記シクロアルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0039】
「ヘテロアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それぞれ、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基又はシクロアルキル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。更に、前記ヘテロアルキル基又は前記ヘテロシクロアルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0040】
「アルケニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖のアルケン基の両方を指し、含む。アルケニル基は、本質的に、アルキル鎖中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基である。シクロアルケニル基は、本質的に、シクロアルキル環中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキル基である。本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルケニル基を指す。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。好ましいアルケニル、シクロアルケニル、又はヘテロアルケニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルケニル、前記シクロアルケニル、又は前記ヘテロアルケニル基は、任意に置換されていてもよい。
【0041】
「アルキニル」という用語は、直鎖及び分枝鎖アルキン基の両方を指し、含む。アルキニル基は、本質的に、アルキル鎖に少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含むアルキル基である。好ましいアルキニル基は、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルキニル基は、任意に置換されていてもよい。
【0042】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、相互交換可能に使用され、アリール基で置換されたアルキル基を指す。更に、前記アラルキル基は、任意に置換されていてもよい。
【0043】
「複素環式基(ヘテロ環基;heterocyclic group)」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族及び非芳香族の環式基を指し、含む。任意に、前記少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSe、好ましくはO、S、又はNから選択される。ヘテロ芳香族環式基は、ヘテロアリールと相互交換可能に使用され得る。好ましいヘテロ非芳香族環式基は、3~7個の環原子を含むものであって、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノなどの環式アミン、及び例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェンなどの環式エーテル/チオエーテルを含む。更に、前記複素環式基は、任意に置換されていてもよい。
【0044】
「アリール」という用語は、単環式芳香族ヒドロカルビル基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。多環とは、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)に2つの炭素が共有されている2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族ヒドロカルビル基であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。好ましいアリール基は、6~30個の炭素原子を含むものであり、6~20個の炭素原子を含むものが好ましく、6~12個の炭素原子を含むものが更に好ましい。6個の炭素を有するアリール基、10個の炭素を有するアリール基、又は12個の炭素を有するアリール基が特に好ましい。好適なアリール基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナンスレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等が挙げられ、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、フルオレン、及びナフタレンが好ましい。更に、前記アリール基は、任意に置換されていてもよい。
【0045】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む単環式芳香族基及び多環式芳香族環系の両方を指し、含む。ヘテロ原子としては、O、S、N、P、B、Si、及びSeが挙げられるが、これらに限定されない。多くの例においては、O、S、又はNが好ましいヘテロ原子である。ヘテロ単環式芳香族系は、好ましくは5個又は6個の環原子を有する単環であり、前記環は1~6個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロ多環式環系は、2つの原子が2つの隣接する環(前記環は「縮合している」)に共通している2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つはヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。複素多環式芳香族環系は、多環式芳香族環系の環当たり1~6個のヘテロ原子を有することができる。好ましいヘテロアリール基は、3~30個の炭素原子を含むものであり、3~20個の炭素原子を含むものが好ましく、3~12個の炭素原子を含むものがより好ましい。好適なヘテロアリール基としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジンが挙げられ、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボリン、1,3-アザボリン、1,4-アザボリン、ボラジン、及びこれらのアザ類似体が好ましい。更に、前記ヘテロアリール基は、任意に置換されていてもよい。
【0046】
上記にリストされる前記アリール及び前記ヘテロアリール基のうち、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、及びベンズイミダゾールの基、並びにそのそれぞれのアザ類似体が、特に興味深い。
【0047】
本明細書において使用される用語であるアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アラルキル、複素環基、アリール、及びヘテロアリールは、独立して無置換である、又は独立して1以上の一般的な置換基で置換される。
【0048】
多くの例において、前記一般的な置換基は、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、ボリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、セレニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、セレニル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0049】
幾つかの例において、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、ボリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0050】
幾つかの例においては、より好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ボリル、アリール、ヘテロアリール、スルファニル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0051】
更に他の例においては、最も好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0052】
「置換された」及び「置換」という用語は、関連する位置(例えば炭素又は窒素)に結合されているH以外の置換基を指す。例えば、R1がモノ置換を表す場合、1つのR1はH以外でなければならない(即ち、置換)。同様に、R1がジ置換を表す場合、R1の2つはH以外でなければならない。同様に、R1がゼロ又は無置換を表す場合、R1は、例えば、ベンゼンにおける炭素原子及びピロール中の窒素原子の場合のように、環原子の利用可能な原子価における水素であることができる、又は完全に満たされた原子価を有する環原子(例えば、ピリジン中の窒素)の場合には単に何も表さない。環構造において可能な置換の最大数は、環原子における利用可能な原子価の総数に依存する。
【0053】
本明細書中で使用される場合、「それらの組合せ」は、適用されるリストから当業者が想到することができる、知られた又は化学的に安定な配置を形成するために、適用されるリストの1以上のメンバーが組み合わされることを示す。例えば、アルキル及び重水素は、組み合わされて、部分的又は完全に重水素化されたアルキル基を形成することができる;ハロゲン及びアルキルは、組み合わされて、ハロゲン化アルキル置換基を形成することができる;ハロゲン、アルキル、及びアリールは、組み合わされて、ハロゲン化アリールアルキルを形成することができる。1つの例においては、置換という用語は、リストされた基の2~4個の組合せを含む。別の例においては、置換という用語は、2~3個の基の組合せを含む。更に別の例では、置換という用語は、2個の基の組合せを含む。置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素でない50個までの原子を含むもの、又は水素又は重水素ではない40個までの原子を含むもの、又は水素若しくは重水素ではない30個までの原子を含むものである。多くの例においては、置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素ではない20個までの原子を含む。
【0054】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各芳香族環中のC-H基の1以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素類似体を容易に想像することができ、このような類似体全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0055】
本明細書で使用される「重水素」は、水素の同位体を指す。重水素化化合物は、当該分野で公知の方法を用いて容易に調製されることができる。例えば、それらの内容の全体を参照によって援用する、米国特許第8,557,400号明細書、国際公開第WO2006/095951号、及び米国特許出願公開第2011/0037057号には、重水素で置換された有機金属錯体の作製が記載されている。更なる参照は、それらの内容の全体を参照によって組み込まれる、Tetrahedron 2015,71,1425~30(Ming Yanら)及びAngew.Chem.Int.Ed.(Reviews)2007,46,7744~65(Atzrodtら)によって為され、ベンジルアミン中のメチレン水素の重水素化及び芳香族環水素を重水素で置換する効率的な経路が、それぞれ記載されている。
【0056】
分子フラグメントが置換基であるとして記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0057】
ある例においては、対の隣接する置換基は、任意に結合又は縮合し、環を形成することができる。好ましい環は、5員環、6員環、又は7員環の炭素環又は複素環であり、対の置換基によって形成される環の部分が飽和されている例、及び対の置換基によって形成される環の部分が不飽和である例の両方を含む。本明細書中で使用される「隣接する」は、安定した縮合環系を形成することができる限り、関連する2つの置換基が、互いに隣り合って同じ環上にあることができる、又はビフェニルにおける2位と2’位、及びナフタレンにおける1位と8位など、2つの最も近い利用可能な置換可能位置を有する2つの隣どうしの環上にあることができることを意味する。
【0058】
B.本開示のOLED及びデバイス
1つの態様では、本開示は、OLEDを提供し、前記OLEDは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノードと前記カソードとの間に配置され、HOMOエネルギーEHHを有する第1のホスト材料とHOMOエネルギーEHEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、を含み、前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;前記発光体材料は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され;但し、前記発光体材料は、Pt錯体ではなく;EHHは-5.45eV以上であり;EHEは-5.10eV以下であり;EHEはEHHより大きい。
【0059】
EHE及びEHHは、既知の方法で得られることができることを理解すべきである。例えば、溶液サイクリックボルタンメトリーと示差パルスボルタンメトリーは、無水ジメチルホルムアミド溶媒とヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムを支持電解質として使用するCH Instruments model 6201Bポテンショスタットを使用して行うことができる。ガラス状炭素、白金線、及び銀線をそれぞれ作用電極、対電極、基準電極として使用した。示差パルスボルタンメトリーからピーク電位差を測定することにより、電気化学ポテンシャルを内部フェロセン-フェロセニウム酸化還元対(Fc+/Fc)に対して参照する。EHOMO=-[(Eox1対Fc+/Fc)+4.8]及びELUMO=-[(Ered1対Fc+/Fc)e+4.8](Eox1は、第1の酸化電位であり、Ered1は、第1の還元電位である。)
【0060】
幾つかの実施形態においては、発光体はリン光金属錯体である。
【0061】
幾つかの実施形態においては、発光体は遅延蛍光発光体である。
【0062】
リン光は、一般に、電子スピンの変化を伴う光子の発光を指す。即ち、発光の初期状態及び最終状態は、T1状態からS0状態等、異なる多重度を有する。OLEDで現在広く使用されているIr錯体及びPt錯体は、リン光材料に属する。幾つかの実施形態では、エキシプレックス形成が三重項発光体を伴う場合、そのようなエキシプレックスはリン光を発することもできる。一方で、蛍光発光体は、一般に、S1状態からS0状態等の電子スピンの変化を伴わない光子の発光を指す。蛍光発光体は、遅延蛍光発光体又は非遅延蛍光発光体であることができる。スピン状態に応じて、蛍光発光体は、一重項発光体又は二重項発光体、又はその他の多重項発光体であることができる。蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光によって25%スピン統計限界を超えることができると考えられている。P型遅延蛍光とE型遅延蛍光の2種類の遅延蛍光がある。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)から発生する。一方で、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突に依存せず、むしろ三重項状態と一重項励起状態との間の熱ポピュレーションに依存する。熱エネルギーは、三重項状態から一重項状態に戻る遷移を活性化することができる。このタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)としても知られている。E型遅延蛍光特性は、エキシプレックス系又は単一化合物に見られることができる。理論に縛られることなく、TADFは、300meV、250meV、200meV、150meV、100meV、又は50meV以下の小さな一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する化合物又はエキシプレックスを必要とすると考えられている。大きく2つのタイプのTADF発光体があり、一つはドナー-アクセプター型TADFと呼ばれ、もう一つは多重共鳴(MR)TADFと呼ばれる。多くの場合、ドナー-アクセプター単一化合物は、アミノ誘導体やカルバゾール誘導体等の電子ドナー部分と、N-含有6員環芳香族環等の電子アクセプター部分を接続することによって構築される。ドナー-アクセプターエキシプレックスは、正孔輸送化合物と電子輸送化合物との間に形成されることができる。MR-TADFの例としては、高度に共役したホウ素含有化合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、293Kでの遅延蛍光発光のT1からS1までの逆項間交差時間は10マイクロ秒以下である。幾つかの実施形態では、そのような時間は、10マイクロ秒より大きく、100マイクロ秒未満であることができる。
【0063】
幾つかの実施形態においては、OLEDは、蛍光材料、遅延蛍光材料、リン光材料、及びこれらの組合せからなる群から選択される追加の化合物を含むことができる。
【0064】
幾つかの実施形態においては,リン光材料は、OLED内で発光する発光体である。幾つかの実施形態においては、リン光材料は、OLED内で発光しない。幾つかの実施形態においては、リン光材料エネルギーは、OLED内でその励起状態を他の材料に移す。幾つかの実施形態においては、リン光材料は、OLED内で電荷輸送に関与する。幾つかの実施形態においては,リン光材料は増感剤であり、OLEDは、更にアクセプターを含む。
【0065】
幾つかの実施形態においては、蛍光材料又は遅延蛍光材料OLED内で発光する発光体である。幾つかの実施形態においては、蛍光材料又は遅延蛍光材料は、OLED内で発光しない。幾つかの実施形態においては、蛍光材料又は遅延蛍光材料エネルギーは、OLED内でその励起状態を他の材料に移す。幾つかの実施形態においては、蛍光材料又は遅延蛍光材料は、OLED内で電荷輸送に関与する。幾つかの実施形態においては、蛍光材料又は遅延蛍光材料は増感剤であり、OLEDは、更にアクセプターを含む。
【0066】
幾つかの実施形態においては、追加の化合物は、アクセプターであることができ、OLEDは、遅延蛍光材料、リン光材料、及びこれらの組合せからなる群から選択される増感剤を更に含むことができる。
【0067】
幾つかの実施形態においては、追加の化合物は、蛍光発光体、遅延蛍光材料、又は蛍光発光体又は遅延蛍光材料であるエキシプレックスの成分であることができる。
【0068】
幾つかの実施形態においては、追加の化合物はホストであり、OLEDは、発光体であるアクセプターと、遅延蛍光材料、リン光材料、及びこれらの組合せからなる群から選択される増感剤とを含み;増感剤は、エネルギーをアクセプターに輸送する。
【0069】
幾つかの実施形態においては、EHE-EHH<0.30eVである。幾つかの実施形態においては、EHE-EHH<0.25eVである。幾つかの実施形態においては、EHE-EHH<0.20eVである。幾つかの実施形態においては、EHE-EHH<0.15eVである。幾つかの実施形態においては、EHE-EHH<0.10eVである。
【0070】
幾つかの実施形態においては、EHHは-5.40eV以上である。幾つかの実施形態においては、EHHは-5.35eV以上である。
【0071】
幾つかの実施形態においては、EHEは-5.10eV以下である。幾つかの実施形態においては、EHEは-5.15eV以下である。幾つかの実施形態においては、EHEは-5.18eV以下である。幾つかの実施形態においては、EHEは-5.20eV以下である。
【0072】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、OLEDへの定常状態電圧又は電流をオフに切り替えると、第1のエレクトロルミネセンス(EL)過渡的寿命を有する光を発し;前記第1のEL過渡的寿命は120μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は115μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は110μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は105以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は100μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は95μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は90μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は85μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は80μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は75μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は70μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は65μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は60μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は55μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は50μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は45μs以下である。幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は40μs以下である。
【0073】
幾つかの実施形態においては、前記デバイスが第1のリフレッシュレートで駆動され;前記第1のリフレッシュレートが60Hz超である。
【0074】
幾つかの実施形態においては、デバイスは、低温多結晶酸化物(LTPO)バックプレーンを更に含む。
【0075】
幾つかの実施形態においては、第1のリフレッシュレートは、120、180、240、300、360、420、480、540、及び600Hzからなる群から選択される数以上である。
【0076】
過渡的寿命及びリフレッシュレートは、一般的に、
図3~7に記載されるように得られる。
【0077】
図3は、トラップされた電荷の再結合を示す赤い矢印によるこの遅延放出の概略図である。オフ状態のEL放出は、動作後にデバイスに蓄積された電荷の移動と再結合に起因する。オフ状態では、デバイスは放電し、その結果、遅延発光をもたらす。放電のタイムスケールは、デバイスに蓄積された電荷の量、トラップされた電荷の位置、その電荷のトラップのエネルギー論(深さ)、存在する電荷輸送又は電子結合の電子工学、及びデバイスの静電容量に関連する。
【0078】
EL過渡状態は、60Hzの周波数、10msのパルス幅、1.67%のデューティサイクルにおけるDCパルスモードで駆動OLEDにより測定した。減衰時間約100μs、1mA/cm
2の駆動電流密度で、この構成は、オフ状態の発光測定の前にデバイスを完全に充電するのに十分な時間を提供する。
図4及び
図5は、測定の概略図を示す。
【0079】
図6は、EL過渡的時間(ELT)がオフ状態モードでデバイスが初期輝度の90%下がるのにかかる時間であることを示す。
【0080】
図7は、ELTが、放電前にデバイスが駆動された電流に大きく依存することを示す。電流が大きいほど放電が速くなる。ELT測定を標準化するために、本開示では更に1mA/cm
2条件をELT決定の基準として使用する。
【0081】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、金属-炭素結合を有する金属配位錯体である。
【0082】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、金属-窒素結合を有する金属配位錯体である。
【0083】
幾つかの実施形態においては、金属は、Ir、Rh、Re、Ru、Os、Pd、Au、Ag、及びCuからなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、金属はIrである。
【0084】
幾つかの実施形態においては、発光体はM(L
1)
x(L
2)
y(L
3)
zの式を有し;
L
1、L
2、及びL
3は、同じでも異なっていてもよく;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは、金属Mの酸化状態であり;
L
1は、下記のリスト1における構造からなる群から選択され:
【化1】
【化2】
【化3】
L
2及びL
3は、独立して、下記のリスト2における構造からなる群から選択され;
【化4】
【化5】
【化6】
式中、Tは、B、Al、Ga、及びInからなる群から選択され;
K
1は、直接結合である、又はNR
e、PR
e、O、S、及びSeからなる群から選択され;
Y
1~Y
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Y’は、BR
e、NR
e、PR
e、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CR
eR
f、SiR
eR
f、及びGeR
eR
fからなる群から選択され;
R
e及びR
fは、縮合又は結合して、環を形成することができ;
R
a、R
b、R
c、及びR
dは、それぞれ独立して、モノから最大可能数の置換を表す、又は無置換を表し;
R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fは、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;
R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
a、R
b、R
c、及びR
dの任意の2つの隣接する置換基は、縮合又は結合して、環を形成してもよい又は多座配位子を形成してもよい。
【0085】
幾つかの実施形態においては、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfの少なくとも1つは、0超のハメット定数を有する化学基を含む。幾つかの実施形態においては、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfの少なくとも1つは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、及び1.1からなる群から選択される数以上のハメット定数を有する電子吸引基である。
【0086】
幾つかの実施形態においては、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfの少なくとも1つは、電子吸引基を含む。幾つかの実施形態においては、電子吸引基は、一般に、フッ素、酸素、硫黄、窒素、塩素、及び臭素を含むがこれらに限定されない、1以上の電気陰性度が高い元素を含む。
【0087】
幾つかの実施形態においては、電子吸引基は、以下のリストEWG1における構造からなる群から選択され、リストEWG1は、以下が挙げられる:F、CF
3、CN、COCH
3、CHO、COCF
3、COOMe、COOCF
3、NO
2、SF
3、SiF
3、PF
4、SF
5、OCF
3、SCF
3、SeCF
3、SOCF
3、SeOCF
3、SO
2F、SO
2CF
3、SeO
2CF
3、OSeO
2CF
3、OCN、SCN、SeCN、NC、
+N(R)
3、(R)
2CCN、(R)
2CCF
3、CNC(CF
3)
2、BRR’、置換又は非置換のジベンゾボロール、1-置換カルバゾール、1,9-置換カルバゾール、置換又は非置換のカルバゾール、置換又は非置換のピリジン、置換又は非置換のピリミジン、置換又は非置換のピラジン、置換又は非置換のピリドキシン、置換又は非置換のトリアジン、置換又は非置換のオキサゾール、置換又は非置換のベンゾキサゾール、置換又は非置換のチアゾール、置換又は非置換のベンゾチアゾール、置換又は非置換のイミダゾール、置換又は非置換のベンズイミダゾール、ケトン、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルフィニル、スルホニル、部分的及び完全にフッ素化されたアルキル、部分的及び完全にフッ素化されたアリール、部分的及び完全にフッ素化されたヘテロアリール、シアノ含有アルキル、シアノ含有アリール、シアノ含有ヘテロアリール、イソシアネート、及び下記のもの。
【化7】
式中、Rは、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり、
Y
Gは、BR
e、NR
e、PR
e、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CR
eR
f、SiR
eR
f、及びGeR
eR
f’からなる群から選択され;
R、R
e、及びR
fは、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基である。
【0088】
幾つかの実施形態においては、電子吸引基は、以下のリストEWG2における構造からなる群から選択される。
リストEWG2:
【化8】
【化9】
【化10】
【0089】
幾つかの実施形態においては、電子吸引基は、以下のリストEWG3における構造からなる群から選択される。
リストEWG3:
【化11】
【化12】
【0090】
幾つかの実施形態においては、電子吸引基は、以下のリストEWG4における構造からなる群から選択される。
リストEWG4:
【化13】
【化14】
【0091】
幾つかの実施形態においては、電子吸引基は、π電子欠損電子求引基である。幾つかの実施形態においては、π電子欠損電子求引基は、以下のリストPi-EWGにおける構造からなる群から選択され、リストPi-EWGは、以下が挙げられる:CN、COCH
3、CHO、COCF
3、COOMe、COOCF
3、NO
2、SF
3、SiF
3、PF
4、SF
5、OCF
3、SCF
3、SeCF
3、SOCF
3、SeOCF
3、SO
2F、SO
2CF
3、SeO
2CF
3、OSeO
2CF
3、OCN、SCN、SeCN、NC、
+N(R)
3、BRR’、置換又は非置換のジベンゾボロール、1-置換カルバゾール、1,9-置換カルバゾール、置換又は非置換のカルバゾール、置換又は非置換のピリジン、置換又は非置換のピリミジン、置換又は非置換のピラジン、置換又は非置換のピリダジン、置換又は非置換のトリアジン、置換又は非置換のオキサゾール、置換又は非置換のベンズオキサゾール、置換又は非置換のチアゾール、置換又は非置換のベンゾチアゾール、置換又は非置換のイミダゾール、置換又は非置換のベンズイミダゾール、ケトン、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルフィニル、スルホニル、部分的及び完全にフッ素化されたアリール、部分的及び完全にフッ素化されたヘテロアリール、シアノ含有アリール、シアノ含有ヘテロアリール、イソシアネート、及び下記のもの。
【化15】
【化16】
式中、R、R
e、及びR
fは、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;Y
Gは、BR
e、NR
e、PR
e、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CR
eR
f、SiR
eR
f、及びGeR
eR
f’からなる群から選択される。
【0092】
幾つかの実施形態においては、リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWGに上記で列挙された電子求引基置換基は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも30%に寄与する環上で置換されることができる。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基置換リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWGは、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも35%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも40%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも45%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも50%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも55%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも60%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも65%に寄与する環上にある。幾つかの実施形態においては、上記電子吸引基リストEWG1、リストEWG2、リストEWG3、リストEWG4、又はリストpi-EWG置換は、HOMO又は正孔NTO電子密度の少なくとも70%に寄与する環上にある。
【0093】
HOMOとLUMOの電子密度は、DFT計算によって得られることができることを理解すべきである。密度汎関数理論(DFT)を使用して、化合物のHOMO、LUMO、一重項(S1)エネルギー、及び三重項(T1)エネルギーを計算した。CEP-31G基底関数系を使用したB3LYP汎関数(B3LYP functional)を使用して計算を行った。ジオメトリー最適化は真空中で行われた。時間依存密度汎関数理論(TDDFT)を用いてこれらの最適化されたジオメトリーで励起エネルギーを得た。連続溶媒モデルをTDDFT計算に適用し、テトラヒドロフラン溶媒をシミュレートした。TDDFT出力から自然遷移軌道(NTO)を生成して励起状態遷移に関連する正孔と電子の局所性を決定した。励起状態遷移特性の決定は、上述のDFTとTDDFT計算の後処理工程として行われる。この解析により、励起状態を自然遷移軌道(NTO)正孔、すなわち励起の発生場所、及びNTO電子、すなわち励起状態の最終位置に分解することを可能にする。全ての計算はGaussianプログラムを用いて行った。
【0094】
上記で確認されたDFT汎関数と基底系で得られた計算は理論的なものである。本明細書で使用される6-31G基底系を有するGaussian等の計算複合プロトコルは、電子効果が加算的であるという仮定に依存しているため、より大きな基底系を使用して完全基底系(CBS)の限界を推定することができる。しかしながら、一連の構造的に関連した化合物で、HOMO、LUMO、S1、T1、励起状態局在などの変化を理解することを研究の目的とする場合、相加的効果は同様であると予想される。したがって、B3LYPを使用することによる絶対誤差は、他の計算方法と比較して重要であることがあり、B3LYPプロトコルで計算されたHOMO、LUMO、S1、及びT1の値の間の相対的な違いは、実験を非常によく再現することが期待される。例えば、Hong et al.,Chem.Mater.2016,28,5791-98,5792-93及び補足情報を参照(OLED材料の文脈におけるDFT計算の信頼性について説明)。
【0095】
上記構造の幾つかにおいては、2つの基が結合されて多環縮合環構造を形成する場合、多環縮合環構造は少なくとも4つの縮合環を含む。幾つかの実施形態においては、多環縮合環構造は、3つの6員環及び1つの5員環を含む。幾つかのそのような実施形態においては、5員環はIrに配位した環に縮合し、2番目の6員環は5員環に縮合し、3番目の6員環は2番目の6員環に縮合する。幾つかのそのような実施形態においては、3番目の6員環は、重水素、フッ素、ニトリル、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって、更に置換される。
【0096】
幾つかの実施形態においては、多環縮合環構造は少なくとも5つの縮合環を含む。幾つかの実施形態においては、多環縮合環構造は、4つの6員環と1つの5員環、又は3つの6員環と2つの5員環を含む。2つの5員環を含む幾つかの実施形態においては、5員環は互いに縮合される。2つの5員環を含む幾つかの実施形態においては、5員環は少なくとも1つの6員環によって分離される。1つの5員環を含む幾つかの実施形態においては、5員環はIrに配位した環に縮合し、2番目の6員環は5員環に縮合し、3番目の6員環は2番目の6員環に縮合し、4番目の6員環は3番目の6員環に縮合する。
【0097】
幾つかの実施形態においては、多環融合環構造は、上記のように、独立して縮合環のアザバージョンである。幾つかのそのような実施形態においては、多環構造は、独立して正確に1つのアザN原子を含む。幾つかのそのような実施形態においては、多環構造は、正確に2つのアザN原子を含み、これは1つの環にあることもできれば、2つの異なる環にあることもできる。幾つかのそのような実施形態においては、アザN原子を有する環は、少なくともIr原子から別の2つの環によって分離される。幾つかのそのような実施形態においては、アザN原子を有する環は、少なくともIr原子から別の3つの環によって分離される。幾つかのそのような実施形態においては、アザN原子のオルト位置のそれぞれが置換される。
【0098】
上記の多環縮合環構造に関連する記述は、本開示全体を通して形成される場合、任意の多環縮合環構造に等しく適用できることを理解すべきである。
【0099】
幾つかの実施形態においては、L
1は、下記リスト3おけるに構造からなる群から選択される。
リスト3:
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
式中、R
a’、R
b’、R
c’、R
d’、及びR
e’は、それぞれ独立して、ゼロ、モノ、又はその関連する環への最大可能置換を表し;
R
a’、R
b’、R
c’、R
d’、及びR
e’は、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基であり;
R
a’、R
b’、R
c’、R
d’、及びR
e’の2つの隣接する置換基は、縮合又は結合して、環又は他座配位子を形成することができる。
【0100】
幾つかの実施形態においては、発光体は、Ir(LA)3、Ir(LA)(LB)2、Ir(LA)2(LB)、Ir(LA)2(LC)、及びIr(LA)(LB)(LC)からなる群から選択される式を有し;
LA、LB、及びLCは、Ir化合物において、互いに異なっている。
【0101】
幾つかの実施形態においては、発光体は、以下のリスト4における構造からなる群から選択される式を有する。
リスト4:
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
X
96~X
99は、それぞれ独立して、C又はNであり;
Y
100は、それぞれ独立して、NR’’、O、S、及びSeからなる群から選択され;
R
10a、R
20a、R
30a、R
40a、及びR
50aは、それぞれ独立して、モノ置換、最大置換まで、又は無置換を表し;
R、R’、R’’、R
10a、R
11a、R
12a、R
13a、R
20a、R
30a、R
40a、R
50a、R
60、R
70、R
97、R
98、及びR
99は、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、ボリル、セレニル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である。
【0102】
幾つかの実施形態においては、発光体は、熱活性化遅延蛍光発光体である。
【0103】
幾つかの実施形態においては、発光体は、少なくとも1つのドナー基及び少なくとも1つのアクセプター基を含む。
【0104】
幾つかの実施形態においては、発光体は金属錯体である。
【0105】
幾つかの実施形態においては、発光体は非金属錯体である。
【0106】
幾つかの実施形態においては、発光体は、Cu、Ag、又はAu錯体である。
【0107】
幾つかの実施形態においては、発光体は、M(L
5)(L
6)の式を有し、式中MはCu、Ag、又はAuであり、L
5及びL
6は異なり、L
5及びL
6は、独立して、下記のリスト5における構造からなる群から選択される。
リスト5:
【化28】
【化29】
式中、A
1~A
9は、それぞれ独立して、C又はNから選択され;
R
P、R
P、R
U、R
SA、R
SB、R
RA、R
RB、R
RC、R
RD、R
RE、及びR
RFは、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、ボリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、セレニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である。
【0108】
OLEDの幾つかの実施形態においては、発光体材料は、下記のリスト6における構造からなる群から選択される。
リスト6:
【化30】
【化31】
【0109】
幾つかの実施形態においては、前記発光体材料は、下記からなる群から選択される化学部分の少なくとも1つを含む。
【化32】
【化33】
式中、Y
T、Y
U、Y
V、及びY
Wは、それぞれ独立して、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、BRR’、CRR’、SiRR’、及びGeRR’からなる群から選択され;
各R
Tは、同じでも異なってもよく、各R
Tは、それぞれ独立して、ドナー、アクセプター基、ドナーに結合される有機リンカー、アクセプター基に結合される有機リンカー、又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される末端基であり;
R及びR’は、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ボリル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、セレニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基である。
【0110】
上記実施形態の幾つかにおいては、上記の構造のいずれかの各フェニル環において、置換基とともに、最大全部で3個までの炭素環原子をNに置換することができる。
【0111】
幾つかの実施形態においては、TADF発光体は、ニトリル、イソニトリル、ボラン、フルオライド、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アザ-カルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾセレノフェン、アザ-トリフェニレン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びオキサジアゾールからなる群から選択される化学部分の少なくとも1つを含む。
【0112】
幾つかの実施形態においては、前記発光体材料は、下記からなる群から選択される化学部分の少なくとも1つを含む。
【化34】
【化35】
【化36】
式中、Y
F、Y
G、Y
H、及びY
Iは、それぞれ独立して、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、BRR’、CRR’、SiRR’、及びGeRR’からなる群から選択され;
X
F及びY
Gは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
R
F、R
G、R、及びR’は、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基である。
【0113】
上記の実施形態の幾つかは、上記の構造のいずれかの各フェニル環において、置換基とともに最大合計3個までの任意の炭素環原子をNに置換することができる。
【0114】
OLEDの幾つかの実施形態においては、発光体材料は、下記からなる群から選択される。
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
式中、Y
F1~Y
F4は、それぞれ独立して、O、S、及びNR
F1から選択され;
R
F1及びR
1S~R
9Sは、それぞれ独立して、モノから最大可能数の置換を表す、又は無置換を表し;
R
F1及びR
1S~R
9Sは、それぞれ独立して、水素である、又は本明細書で定義される一般的な置換基からなる群から選択される置換基である。
【0115】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、下記からなる群から選択されることができる。
【化41】
【化42】
【化43】
【0116】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、ニトリル、イソニトリル、ボラン、フルオライド、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アザ-カルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾセレノフェン、アザ-トリフェニレン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びオキサジアゾールからなる群から選択される化学部分の少なくとも1つを含む。
【0117】
幾つかの実施形態においては、有機発光層中の第1のホスト材料の濃は、20重量%~80重量%の範囲であり、有機発光層中の発光体材料の濃度は、0.5重量%~25重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、有機発光層中の第1のホスト材料の濃度は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%である。幾つかの実施形態においては、有機発光層中の発光体材料の濃度は、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%である。幾つかの実施形態においては、再結合領域の幅は、10nm、20nm、又は30nm以上である。
【0118】
幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは、100Å~600Åの範囲である。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは100Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは150Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは200Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは250Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは300Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは350Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは400Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは450Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは500Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは550Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは600Åである。
【0119】
幾つかの実施形態においては、有機発光層は、10-7cm2/Vs~10-1cm2/Vsの移動度を有する。幾つかの実施形態においては、移動度は、10-6、10-5、10-4、10-3、又は10-2cm2/Vsより大きい。
【0120】
他の態様では、本開示は、OLEDを提供し、前記OLEDは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノードと前記カソードとの間に配置され、最低空分子軌道(LUMO)エネルギーELHを有する第1のホスト材料とLUMOエネルギーELEを有する発光体材料とを含む有機発光層と、を含み、前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;前記発光体材料は、リン光金属錯体、遅延蛍光発光体、及び蛍光発光体からなる群から選択され;但し、前記発光体材料は、Pt錯体ではなく;ELHはELEよりも大きく;ELH-ELEは0.30eV以下である。
【0121】
幾つかの実施形態においては、発光体材料はリン光金属錯体である。
【0122】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は遅延蛍光発光体である。
【0123】
幾つかの実施形態においては、ELH-ELEは0.25eV以下である。幾つかの実施形態においては、ELH-ELEは0.20eV以下である。幾つかの実施形態においては、ELH-ELEは0.15eV以下である。幾つかの実施形態においては、ELH-ELEは0.10eV以下である。
【0124】
幾つかの実施形態においては、OLEDは、定常状態電圧をオフに切り替えると、第1のEL過渡的寿命を有する光を発し;前記第1のEL過渡的寿命は120μs以下である。
【0125】
幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、及び40μsからなる群から選択される数以下である。
【0126】
幾つかの実施形態においては、前記デバイスが第1のリフレッシュレートで駆動され;前記第1のリフレッシュレートが60Hz超である。
【0127】
幾つかの実施形態においては、デバイスは、LTPOバックプレーンを更に含む。
【0128】
幾つかの実施形態においては、第1のリフレッシュレートは、120、180、240、300、360、420、480、540、及び600Hzからなる群から選択される数以上である。
【0129】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、金属-炭素結合を有する金属配位錯体である。
【0130】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、金属-窒素結合を有する金属配位錯体である。
【0131】
幾つかの実施形態においては、金属は、Ir、Rh、Re、Ru、Os、Pd、Au、Ag、及びCuからなる群から選択される。
【0132】
幾つかの実施形態においては、金属は、Irである。
【0133】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、前に定義されているものと同じである、M(L1)x(L2)y(L3)zの式を有する。M(L1)x(L2)y(L3)zの式の全ての実施形態は、本明細書においても、開示全体にも等しく適用されることができる。
【0134】
また、発光体材料の全ての前の実施形態は、本明細書においても、開示全体にも等しく適用されることができることを理解すべきである。
【0135】
幾つかの実施形態においては、有機発光層中の第1のホスト材料の濃度は、20重量%~80重量%の範囲であり;有機発光層中の発光体材料の濃度は、0.5~25重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、有機発光層中の第1のホスト材料の濃度は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又は75%である。幾つかの実施形態においては、有機発光層中の発光体材料の濃度は、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%である。幾つかの実施形態においては、再結合領域の幅は、10、20、又は30nm以上である。
【0136】
幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは100~600Åの範囲である。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは100Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは150Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは200Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは250Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは300Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは350Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは400Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは450Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは500Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは550Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは600Åである。
【0137】
幾つかの実施形態においては、有機発光層は10-7~10-1cm2/Vsの移動度を有する。幾つかの実施形態においては、移動度は10-6、10-5、10-4、10-3、又は10-2cm2/Vsよりも大きい。
【0138】
更なる別の態様では、本開示は、OLEDを提供し、前記OLEDは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノードと前記カソードとの間に配置され、第1のホスト材料と発光体材料とを含む有機発光層と、を含み、前記有機発光層中の全ての材料は、共に混合され;前記OLEDは、定常状態電圧を印加した後に、OLEDの回路を開けると、第1の過渡的寿命を有する光を発し;前記第1の過渡的寿命は120μs以下であり;前記デバイスは、第1のリフレッシュレートを有し;前記第1のリフレッシュレートが60Hz超である。
【0139】
幾つかの実施形態においては、発光体材料はリン光金属錯体である。
【0140】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は遅延蛍光発光体である。
【0141】
幾つかの実施形態においては、第1のEL過渡的寿命は、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、及び40μsからなる群から選択される数以下である。
【0142】
幾つかの実施形態においては、デバイスは、LTPOバックプレーンを更に含む。
【0143】
幾つかの実施形態においては、第1のリフレッシュレートは、120、180、240、300、360、420、480、540、及び600Hzからなる群から選択される数以上である。
【0144】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、金属-炭素結合を有する金属配位錯体である。
【0145】
幾つかの実施形態においては、発光体材料は、金属-窒素結合を有する金属配位錯体である。
【0146】
幾つかの実施形態においては、金属は、Ir、Rh、Re、Ru、Os、Pd、Au、Ag、及びCuからなる群から選択される。
【0147】
幾つかの実施形態においては、金属はIrである。
【0148】
発光体材料は、前に定義されているものと同じである、M(L1)x(L2)y(L3)zの式を有する。M(L1)x(L2)y(L3)zの式の全ての前の実施形態は、本明細書の実施形態においても、開示全体にも等しく適用されることができる。
【0149】
また、発光体材料の全ての前の実施形態は、本明細書においても、開示全体にも等しく適用されることができることを理解すべきである。
【0150】
幾つかの実施形態においては、有機発光層中の第1のホスト材料の濃度は、20重量%~80重量%の範囲であり;有機発光層中の発光体材料の濃度は、0.5~25重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、有機発光層中の第1のホスト材料の濃度は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%である。幾つかの実施形態においては、有機発光層中の発光体材料の濃度は、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%である。幾つかの実施形態においては、再結合領域の幅は、10、20、又は30nm以上である。
【0151】
幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは、100Å~600Åの範囲である。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは100Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは150Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは200Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは250Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは300Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは350Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは400Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは450Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは500Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは550Åである。幾つかの実施形態においては、有機発光層の厚みは600Åである。
【0152】
幾つかの実施形態においては、有機発光層は、10-7cm2/Vs~10-1cm2/Vsの移動度を有する。幾つかの実施形態においては、移動度は、10-6、10-5、10-4、10-3、又は10-2cm2/Vsより大きい。
【0153】
幾つかの実施形態においては、発光層は、更に追加のホストを含むことができ、追加のホストはベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み;ホスト内の任意の置換基は、CnH2n+1、OCnH2n+1、OAr1、N(CnH2n+1)2、N(Ar1)(Ar2)、CH=CH-CnH2n+1、C≡CCnH2n+1、Ar1、Ar1-Ar2、CnH2n-Ar1からなる群から独立して選択される非縮合置換基である、又は無置換であり;nは1~10であり;Ar1及びAr2は、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ非芳香族類似体からなる群から独立して選択される。
【0154】
幾つかの実施形態においては、発光層は、追加のホストを含み、追加のホストは、トリフェニレン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ジベンゾチオフェン(dibenzothiphene)、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、5,9-ジオキサ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン、アザ-トリフェニレン、アザ-カルバゾール、アザ-インドロカルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾセレノフェン、及びアザ-(5,9-ジオキサ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセン)からなる群から選択される少なくとも1つの化学部分を含む。
【0155】
幾つかの実施形態においては、追加のホストは、下記からなるホスト基1から選択されることができる。
ホスト基1:
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
式中、X
1~X
24は、それぞれ独立して、C又はNであり;
L’は、直接結合又は有機リンカーであり;
Y
Aは、結合がない、O、S、Se、CRR’、SiRR’、GeRR’、NR、BR、BRR’からなる群から選択され;
R
A’、R
B’、R
C’、R
D’、R
E’、R
F’、及びR
G’は、それぞれ独立して、モノ、最大置換まで、又は無置換を表し;
R、R’、R
A’、R
B’、R
C’、R
D’、R
E’、R
F’、及びR
G’は、それぞれ独立して、水素である、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、ゲルミル、セレニル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、ボリル、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であり;
2つの隣接するR
A’、R
B’、R
C’、R
D’、R
E’、R
F’、及びR
G’は、任意に、結合又は縮合して、環を形成する。
【0156】
幾つかの実施形態においては、追加のホストは、下記からなるホスト基2及びそれらの組合せから選択されることができる。
ホスト基2:
【化52】
【化53】
【化54】
【0157】
幾つかの実施形態においては、発光層は、追加のホストを更に含むことができ、追加のホストは、金属錯体を含む。
【0158】
更なる別の態様では、本開示のOLEDは、本明細書に開示される化合物を含む発光領域も含むことができる。
【0159】
幾つかの実施形態においては、発光領域は、本明細書に記載される化合物を含むことができる。
【0160】
幾つかの実施形態においては、アノード、カソード、又は有機発光層の上に配置された新たな層の少なくとも1つが、エンハンスメント層として機能する。エンハンスメント層は、非放射的に発光体材料に結合し、発光体材料から励起状態エネルギーを非放射モードの表面プラズモンポラリトンに伝達する表面プラズモン共鳴を示すプラズモン材料を含む。エンハンスメント層は、有機発光層から閾値距離以内に設けられ、発光体材料は、エンハンスメント層の存在により総非放射性崩壊速度定数及び総放射性崩壊速度定数を有し、閾値距離では、総非放射性崩壊速度定数は、総放射性崩壊速度定数に等しい。幾つかの実施形態においては、OLEDは、更に、アウトカップリング層を含む。幾つかの実施形態においては、アウトカップリング層は、有機発光層の反対側のエンハンスメント層の上に配置される。幾つかの実施形態においては、アウトカップリング層は、エンハンスメント層から発光層の反対側に配置されるが、依然として、エンハンスメント層の表面プラズモンモードからエネルギーをアウトカップリングする。アウトカップリング層は、表面プラズモンポラリトンからのエネルギーを散乱させる。幾つかの実施形態においては、このエネルギーは、光子として自由空間に散乱される。他の実施形態においては、エネルギーは、表面プラズモンモードから、デバイスの他のモード、例えば、有機導波路モード、基板モード、又は別の導波モードなどに散乱されるがこれらに限定されない。エネルギーがOLEDの非自由空間モードに散乱される場合、他のアウトカップリングスキームを組み込んでそのエネルギーを自由空間に取り出すことができる。幾つかの実施形態においては、1以上の介在層を、エンハンスメント層とアウトカップリング層との間に配置することができる。介在層の例としては、有機、無機、ペロブスカイト、酸化物を含む誘電体材料であることができ、これらの材料の積層体及び/又は混合物を含むことができる。
【0161】
前記エンハンスメント層は、発光体材料が存在する媒体の有効特性を変更し、発光率の低下、発光ライン形状の変更、角度による発光強度の変化、発光体材料の安定性の変化、OLEDの効率の変化、及びOLEDデバイスの効率ロールオフの低下のいずれか又は全てをもたらす。カソード側、アノード側、又は両側にエンハンスメント層を配置すると、前記した効果のいずれかを利用するOLEDデバイスが得られる。本明細書に記載され、図示される様々なOLEDの例に示される特定の機能層に加えて、本開示に係るOLEDは、OLEDにしばしば見られる他の機能層のいずれかを含むことができる。
【0162】
前記エンハンスメント層は、プラズモン材料、光学活性メタ材料、又はハイパーボリックメタ材料で構成することがきる。本明細書で使用されるとき、プラズモン材料は、誘電率の実部が、電磁スペクトルの可視又は紫外領域でゼロを横切る材料である。幾つかの実施形態では、プラズモン材料は、少なくとも1つの金属を含む。そのような実施形態においては、金属は、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、Ca、これらの材料の合金又は混合物、及びこれらの材料の積層体の少なくとも1つを含むことができる。一般に、メタ材料は、異なる材料で構成される媒体であり、媒体が全体として、その各材料部分の合計とは異なる動作をする。特に、光学活性メタ材料は、負の誘電率と負の透磁率の両方を有する材料と定義される。一方、ハイパーボリックメタ材料は、誘電率又は透磁率が異なる空間方向に対して異なる符号を有する異方性媒体である。光学活性メタ材料とハイパーボリックメタ材料は、光の波長の長さスケールで伝搬方向に均一に見える媒体であるという点で、分布ブラッグ反射器(「DBR」)などの他の多くのフォトニック構造体と厳密に区別される。当業者が理解できる用語を使用すると、伝播方向におけるメタ材料の誘電率は、有効媒質近似で記述することができる。プラズモン材料とメタ材料は、光の伝搬を制御する方法を提供し、様々な方法でOLED性能を向上させることができる。
【0163】
幾つかの実施形態においては、前記エンハンスメント層は平坦層として設けられる。他の実施形態においては、エンハンスメント層は、周期的、準周期的、若しくはランダムに配置される波長サイズのフィーチャ、又は周期的、準周期的、若しくはランダムに配置されるサブ波長サイズのフィーチャを有する。幾つかの実施形態においては、波長サイズのフィーチャ及びサブ波長サイズのフィーチャは、シャープなエッジを有する。
【0164】
幾つかの実施形態においては、前記アウトカップリング層は、周期的、準周期的、若しくはランダムに配置される波長サイズのフィーチャ、又は周期的、準周期的、若しくはランダムに配置されるサブ波長サイズのフィーチャを有する。幾つかの実施形態においては、アウトカップリング層は、複数のナノ粒子から構成することができ、他の実施形態においては、アウトカップリング層は、材料の上に配置された複数のナノ粒子から構成される。これらの実施形態においては、アウトカップリングを、複数のナノ粒子のサイズを変えること、複数のナノ粒子の形状を変えること、複数のナノ粒子の材料を変えること、材料の厚みを調整すること、材料の屈折率又は複数のナノ粒子上に配置される更なる層の屈折率を変えること、エンハンスメント層の厚みを変えること、及び/又はエンハンスメント層の材料を変えることの少なくとも1つによって調節可能であり得る。デバイスの複数のナノ粒子は、金属、誘電体材料、半導体材料、金属の合金、誘電体材料の混合物、1以上の材料の積層体又は層、及び/又はあるタイプの材料のコアであって、別のタイプの材料のシェルでコーティングされたものの少なくとも1つから形成することができる。幾つかの実施形態においては、アウトカップリング層は、少なくとも金属ナノ粒子から構成され、前記金属は、Ag、Al、Au、Ir、Pt、Ni、Cu、W、Ta、Fe、Cr、Mg、Ga、Rh、Ti、Ru、Pd、In、Bi、Ca、これらの材料の合金又は混合物、及びこれらの材料の積層体からなる群から選択される。複数のナノ粒子は、それらの上に配置された更なる層を有することができる。幾つかの実施形態においては、発光の偏光を、アウトカップリング層を使用して調節することができる。アウトカップリング層の次元と周期性を変えることで、空気に優先的にアウトカップリングされる偏光のタイプを選択できる。幾つかの実施形態においては、アウトカップリング層は、デバイスの電極としても機能する。
【0165】
更なる別の態様では、本開示は、本明細書で記載されるOLEDを含む消費者製品も提供する。
【0166】
幾つかの実施形態においては、前記消費者製品は、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、対角で2インチ未満のマイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール、劇場又はスタジアムのスクリーン、光療法デバイス、及び看板の1つであることができる。
【0167】
幾つかの実施形態においては、本開示は、本明細書に記載されるOLEDも提供し、前記OLEDは、プラズモンPHOLEDである。
【0168】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。幾つかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0169】
幾つかのOLEDの材料及び構成が、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,844,363号明細書、米国特許第6,303,238号明細書、及び米国特許第5,707,745号明細書に記載されている。
【0170】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号明細書において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0171】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「燐光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、Nature、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green 有機発光デバイスs based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。燐光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0172】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第1の導電層162及び第2の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0173】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号明細書において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF4-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を有するMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0174】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることができる。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、幾つかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0175】
図1及び
図2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本開示の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び
図2に関して記述されている異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0176】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号明細書において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号明細書において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び
図2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号明細書において記述されているメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号明細書において記述されているくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0177】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号明細書及び同第6,087,196号明細書において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号明細書において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP、有機気相ジェット堆積(OVJD)とも称される)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号明細書及び同第6,468,819号明細書において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及び有機蒸気ジェット印刷(OVJP)等の堆積法の幾つかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、低分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける低分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0178】
本開示の実施形態にしたがって製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号明細書、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を含む前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。非ポリマー材料に対するポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作製され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0179】
本開示の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本開示の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1以上の光源及び/又は1以上のある種のビジュアルディスプレイを含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、曲がったディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、丸めることができるディスプレイ、折り畳むことができるディスプレイ、伸ばすことができるディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた多重ディスプレイを含むビデオウォール、劇場又はスタジアムのスクリーン、光療法デバイス、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本開示にしたがって製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20~25℃)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40℃~+80℃で用いることもできる。
【0180】
OLEDに関する更なる詳細、及び前記した定義は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,279,704号明細書にみることができる。
【0181】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0182】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折り畳むことができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0183】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配列又は白色及びカラーフィルター画素配列を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェアラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
C.他の材料を有する本開示のOLEDデバイス
【0184】
本開示の有機発光デバイスは、多種多様な他の材料と組み合わせて用いられることができる。例えば、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と組み合わせて用いられることができる。以下に記載又は参照されている材料は、本明細書に開示されているデバイスと組み合わせて有用であることができる材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用であることができる他の材料を特定するために容易に文献を参照することができる。
【0185】
a)伝導性(導電性)ドーパント:
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
【0186】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる伝導性ドーパントの非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP01617493、EP01968131、EP2020694、EP2684932、US20050139810、US20070160905、US20090167167、US2010288362、WO06081780、WO2009003455、WO2009008277、WO2009011327、WO2014009310、US2007252140、US2015060804、US20150123047、及びUS2012146012
【化55】
【0187】
b)HIL/HTL:
本開示において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを有するポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoOx等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0188】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化56】
【0189】
Ar1からAr9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各Arは、無置換であることができる、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びそれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0190】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化57】
(式中、kは1から20までの整数であり;X
101からX
108はC(CHを含む)又はNであり;Z
101はNAr
1、O、又はSであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。)からなる群から独立に選択される。
【0191】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれらに限定されない。
【化58】
式中、Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y
101-Y
102)は二座配位子であり、Y
101及びY
102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は補助配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k”は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0192】
一態様において、(Y101-Y102)は2-フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y101-Y102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0193】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるHIL材料及びHTL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN102702075、DE102012005215、EP01624500、EP01698613、EP01806334、EP01930964、EP01972613、EP01997799、EP02011790、EP02055700、EP02055701、EP1725079、EP2085382、EP2660300、EP650955、JP07-073529、JP2005112765、JP2007091719、JP2008021687、JP2014-009196、KR20110088898、KR20130077473、TW201139402、US06517957、US20020158242、US20030162053、US20050123751、US20060182993、US20060240279、US20070145888、US20070181874、US20070278938、US20080014464、US20080091025、US20080106190、US20080124572、US20080145707、US20080220265、US20080233434、US20080303417、US2008107919、US20090115320、US20090167161、US2009066235、US2011007385、US20110163302、US2011240968、US2011278551、US2012205642、US2013241401、US20140117329、US2014183517、US5061569、US5639914、WO05075451、WO07125714、WO08023550、WO08023759、WO2009145016、WO2010061824、WO2011075644、WO2012177006、WO2013018530、WO2013039073、WO2013087142、WO2013118812、WO2013120577、WO2013157367、WO2013175747、WO2014002873、WO2014015935、WO2014015937、WO2014030872、WO2014030921、WO2014034791、WO2014104514、WO2014157018
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【0194】
c)EBL:
電子ブロッキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。一態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして用いられる、同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0195】
d)ホスト:
本開示の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いたホスト材料を含むことができる。前記ホスト材料としては特に限定されず、前記ホストの三重項エネルギーがドーパントのものよりも大きければ、任意の金属錯体又は有機化合物が用いられることができる。いずれのホスト材料も、三重項の基準が満たされる限り、任意のドーパントと共に用いられることができる。
【0196】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化63】
式中、Metは金属であり;(Y
103-Y
104)は二座配位子であり、Y
103及びY
104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0197】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化64】
式中、(O-N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0198】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y103-Y104)はカルベン配位子である。
【0199】
1つの態様においては、前記ホスト化合物は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される群の少なくとも1つを含む。各基内の各オプションは、非置換であることができる、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0200】
一つの態様においては、前記ホスト化合物は、分子中に、下記基の少なくとも1つを含む。
【化65】
式中、R
101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したAr’のものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数である。X
101~X
108は、独立して、C(CHを含む)又はNから選択される。Z
101及びZ
102は、独立して、NR
101、O、又はSから選択される。
【0201】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるホスト材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP2034538、EP2034538A、EP2757608、JP2007254297、KR20100079458、KR20120088644、KR20120129733、KR20130115564、TW201329200、US20030175553、US20050238919、US20060280965、US20090017330、US20090030202、US20090167162、US20090302743、US20090309488、US20100012931、US20100084966、US20100187984、US2010187984、US2012075273、US2012126221、US2013009543、US2013105787、US2013175519、US2014001446、US20140183503、US20140225088、US2014034914、US7154114、WO2001039234、WO2004093207、WO2005014551、WO2005089025、WO2006072002、WO2006114966、WO2007063754、WO2008056746、WO2009003898、WO2009021126、WO2009063833、WO2009066778、WO2009066779、WO2009086028、WO2010056066、WO2010107244、WO2011081423、WO2011081431、WO2011086863、WO2012128298、WO2012133644、WO2012133649、WO2013024872、WO2013035275、WO2013081315、WO2013191404、WO2014142472、US20170263869、US20160163995、US9466803
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【0202】
e)追加の発光体:
1以上の追加の発光体ドーパントを本開示のOLEDに使用することができる。前記追加の発光体ドーパントの例としては、特に限定されず、前記化合物が典型的に発光体材料として用いられるものであれば、いずれの化合物も用いられることができる。好適な発光体材料の例としては、燐光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも言われる)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる発光体材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN103694277、CN1696137、EB01238981、EP01239526、EP01961743、EP1239526、EP1244155、EP1642951、EP1647554、EP1841834、EP1841834B、EP2062907、EP2730583、JP2012074444、JP2013110263、JP4478555、KR1020090133652、KR20120032054、KR20130043460、TW201332980、US06699599、US06916554、US20010019782、US20020034656、US20030068526、US20030072964、US20030138657、US20050123788、US20050244673、US2005123791、US2005260449、US20060008670、US20060065890、US20060127696、US20060134459、US20060134462、US20060202194、US20060251923、US20070034863、US20070087321、US20070103060、US20070111026、US20070190359、US20070231600、US2007034863、US2007104979、US2007104980、US2007138437、US2007224450、US2007278936、US20080020237、US20080233410、US20080261076、US20080297033、US200805851、US2008161567、US2008210930、US20090039776、US20090108737、US20090115322、US20090179555、US2009085476、US2009104472、US20100090591、US20100148663、US20100244004、US20100295032、US2010102716、US2010105902、US2010244004、US2010270916、US20110057559、US20110108822、US20110204333、US2011215710、US2011227049、US2011285275、US2012292601、US20130146848、US2013033172、US2013165653、US2013181190、US2013334521、US20140246656、US2014103305、US6303238、US6413656、US6653654、US6670645、US6687266、US6835469、US6921915、US7279704、US7332232、US7378162、US7534505、US7675228、US7728137、US7740957、US7759489、US7951947、US8067099、US8592586、US8871361、WO06081973、WO06121811、WO07018067、WO07108362、WO07115970、WO07115981、WO08035571、WO2002015645、WO2003040257、WO2005019373、WO2006056418、WO2008054584、WO2008078800、WO2008096609、WO2008101842、WO2009000673、WO2009050281、WO2009100991、WO2010028151、WO2010054731、WO2010086089、WO2010118029、WO2011044988、WO2011051404、WO2011107491、WO2012020327、WO2012163471、WO2013094620、WO2013107487、WO2013174471、WO2014007565、WO2014008982、WO2014023377、WO2014024131、WO2014031977、WO2014038456、WO2014112450
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【0204】
f)HBL:
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
【0205】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストに用いられる場合と同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0206】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含む。
【化75】
式中、kは1から20までの整数であり;L
101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
【0207】
g)ETL:
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0208】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化76】
式中、R
101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ及びそれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0209】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化77】
式中、(O-N)又は(N-N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0210】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるETL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。CN103508940、EP01602648、EP01734038、EP01956007、JP2004-022334、JP2005149918、JP2005-268199、KR0117693、KR20130108183、US20040036077、US20070104977、US2007018155、US20090101870、US20090115316、US20090140637、US20090179554、US2009218940、US2010108990、US2011156017、US2011210320、US2012193612、US2012214993、US2014014925、US2014014927、US20140284580、US6656612、US8415031、WO2003060956、WO2007111263、WO2009148269、WO2010067894、WO2010072300、WO2011074770、WO2011105373、WO2013079217、WO2013145667、WO2013180376、WO2014104499、WO2014104535
【化78】
【化79】
【化80】
【0211】
h)電荷発生層(CGL)
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0212】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、これらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンであることができる。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスも、これらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンであることができる。
【0213】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本開示は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【0214】
D.実験セクション
デバイス実施例はいずれも高真空下(<10-7Torr)における熱蒸着(VTE)で作製した。アノード電極は、750Åの酸化インジウムスズ(ITO)であった。カソードは、10ÅのLiF及び1000ÅのAlからなった。デバイスはいずれも、作製後直ちに、窒素グローブボックス(<lppmのH2O及びO2)中で、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージに入れた。
【0215】
デバイス実施例の有機積層体は、ITO表面から順に、正孔注入層(HIL)としての100ÅのHATCN、正孔輸送層(HTL)としての400Åの正孔輸送材料HTM、電子ブロッキング層(EBL)としての50ÅのEBL、発光層(EML)としての、400Åの、e-ホストEH1でドープしたh-ホスト及び発光体(組成については、表を参照)、ブロッキング層(BL)としての50Åのe-ホストEH1、及び電子輸送層(ETL)としての300ÅのLiq(8-キノリノラトリチウム)中35%ETMからなった。本明細書で使用されるように、HATCN、HTM、EBL、及びETMは、以下の構造を有する。
【化81】
【0216】
作製時に、デバイスのEL過渡状態を、60Hzの周波数、10msのパルス幅、1.67%のデューティサイクルにおけるDCパルスモードで駆動OLEDにより測定した。エレクトロルミネセンス(EL)減衰時間は、デバイスを1mA/cm
2の駆動電流密度で安定化させた後、開回路構成で測定した。この構成は、オフ状態の発光測定の前にデバイスを完全に充電するのに十分な時間を提供する。結果は以下の表にまとめられる。
【表1】
HH1、HH2、HH3、HH4、EH1、E1、E2、及びE3の構造は、以下のとおりである。
【化82】
【0217】
デバイスデータから明らかなように、発明の条件(実施例1及び2)に一致するHホストと発光体の選択は、最も低いEL過渡的時間をもたらす。
【外国語明細書】