(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180237
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20231213BHJP
B60K 37/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60K37/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023093672
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】102022000012149
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ タンジ
(72)【発明者】
【氏名】エリック マソエーロ
(72)【発明者】
【氏名】パスクワーレ ヴィティエッロ
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA14
3D344AA26
3D344AA27
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヘッドアップディスプレイを備える自動車を提供する。
【解決手段】運転者のためのシートを画定する車室(3)と、車室内に配置され、自動車(1)の通常の前進状態を基準として前方で車室の境界を定め、シートの前方に配置されたダッシュボード(25)と、車室の境界を定め、ダッシュボードと連続するフロントガラス(5)と、自動車(1)の動作状態に関する情報項目を含む、少なくとも1つの虚像(29、51)を、フロントガラスの第1の領域(19)上に形成するように構成された、ヘッドアップディスプレイ(30)と、を備える自動車であって、ダッシュボードは、フロントガラスと連続する第2の領域(26)を備え、ヘッドアップディスプレイは、第2の領域に収容された、少なくとも1つの投影ユニットを備え、第1の領域は、ダッシュボードの側でフロントガラスの境界を定める。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
運転者用のシート(21)を画定する、車室(3)と、
前記車室(3)内に配置され、前記自動車(1)の通常の前進方向を基準として、前方で前記車室(3)の境界を定め、前記シート(21)の前方に配置される、ダッシュボード(25)と、
前記車室(3)の境界を定め、前記ダッシュボード(25)に隣接するフロントガラス(5)と、
前記自動車(1)の動作状態に関連する情報項目を含む、少なくとも第1の虚像(29、51)を、第1の領域(19)上に形成するように構成された、ヘッドアップディスプレイ(30)と、を備え、
前記ダッシュボード(25)が、前記フロントガラス(5)と連続する、第2の領域(26)を備え、
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記第2の領域(26)に収容された、少なくとも1つの投影ユニット(32)を備え、前記第1の領域(19)が、前記フロントガラス(5)によって画定され、前記ダッシュボード(25)の側で、前記フロントガラス(5)の境界を定めることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記第1の領域(19)が、前記フロントガラス(5)の残りの部分よりも濃い色で、少なくとも部分的に印刷されたスクリーンであることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記第1の領域(19)が、黒色印刷されたスクリーンであることを特徴とする、請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
前記車室(3)が、互いに離間した一対のピラー(14、15)を備え、前記ピラー間に前記フロントガラス(5)が延在し、前記第1の領域(19)が、前記ピラー(14、15)の間に延在し、前記第2の領域(26)と連続していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項5】
前記第1の領域(19)が、中央領域(42)と、互いに対向し、対応するピラー(14、15)のそれぞれのセグメント(45)によって境界を定められる、一対の対向する端部領域(41)を備え、
前記端部領域(41)が、前記中央領域(42)からよりも、前記第2の領域(26)から、より大きい距離で延在することを特徴とする、請求項4に記載の自動車。
【請求項6】
前記自動車(1)の前記通常の前進方向を基準として、前記フロントガラス(5)の後方及び/又は、一方の側方の位置における、前記自動車(1)の周囲を表す信号を検出するように構成された、検出手段(50)を備え、
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記検出手段(50)に動作可能に接続され、前記第1の領域(19)の前記端部領域(41)の、少なくとも一方の前記端部領域(41)に、前記信号に関連する、更なる虚像(51)を形成するように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記フロントガラス(5)の前記第1の領域(19)上に、それぞれの虚像(29)を形成するように構成され、かつ、前記ダッシュボード(25)の前記第2の領域(26)上に並んで配置された、複数のプロジェクタ(40)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項8】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、都市及び郊外で使用する場合に、前記投影ユニット(32)に、前記自動車(1)のエンジン(4)の動作状態に関連する前記情報項目、及び/又は、前記自動車(1)の運転支援システム(60)の、前記虚像(29)を形成させるようにプログラムされた、処理ユニット(31)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項9】
前記処理ユニット(31)が、走路でのレースに使用する場合に、前記自動車(1)の優先的な挙動、及び/又は、競技の走路に関連する更なる情報項目を有する、更なる虚像(29)を、前記投影ユニット(32)に形成させるようにプログラムされることを特徴とする、請求項8に記載の自動車。
【請求項10】
前記第2の領域(26)が湾曲していることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項11】
前記第1の領域(19)が、前記自動車(1)の外側に面し、使用時に前記ダッシュボード(25)の上方に配置されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2022年6月8日に出願されたイタリア特許出願第102022000012149号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
車室を画定する本体、及びエンジンを備える自動車が知られている。
【0004】
更に、この車室は、少なくとも一対の前部シートを備え、自動車の通常の前進方向を基準にした前部において、ダッシュボード及び前部シートの前に配置されたフロントガラスによって、境界を定められる。
【0005】
公知の方法では、前部シートの1つは、運転者のためのコックピットを画定する。
【0006】
このダッシュボードは、公知の方法で、運転者に見える位置に配置され、例えば自動車の瞬間速度を示す速度計、及びエンジンの駆動シャフトの回転数を示す回転計などの、複数の計器を備える制御パネルがそこに収容される。
【0007】
この制御パネルは、いくつかの製造ソリューションにおいて、燃料残量の表示、エンジン冷却液温度の表示、時計、及び走行距離計を更に含む。
【0008】
自動車は、公知の方法で、制御パネルに加えて、ヘッドアップディスプレイを備える。
【0009】
このヘッドアップディスプレイは、フロントガラス上の、運転者が前方の道路から目を逸らすことなく見える位置に、自動車の状態の特徴量を表す、付加的な仮想情報を表示するように設計される。
【0010】
より正確には、幾何光学は、物体を表す実像又は虚像を形成することができる、例えば人間の目などの、光学系について教示してきた。
【0011】
より具体的には、物体は、光ビームを全方向に放射又は拡散する。
【0012】
光学系は、物体の一点から到来する光ビームの光線を、実像又は虚像の一点に偏向させることができる、複数の反射面及び屈折面からなる。
【0013】
そうすることによって、光学系は、物体の各点と、実像又は虚像の対応する点との間の関連を決定する。
【0014】
特に、物体の各点は、物体の点自体から発散する、発散光ビームを放射する。
【0015】
光学系は、物体の点から発散する発散光ビームを、収束又は発散することができる、別の光ビームに変更する。
【0016】
光学系から発生し、物体の各点に関連付けられた出射光線が、画像の対応する点で実際に互いに交差するとき、光学系は物体の実像をもたらす。
【0017】
一方、光学系から発生し、物体の各点に関連付けられた出射光線の延長部が画像の点で互いに交差するとき、光学系は物体の虚像をもたらす。
【0018】
更に、公知のヘッドアップディスプレイは、
- 処理ユニット、
- 処理ユニットによって制御され、光ビームを生成するように設計された、投影ユニット、及び
- 光ビームをフロントガラス上に反射するように配置された、複数のミラー
を備える。
【0019】
フロントガラスは、光ビームを偏向する。
【0020】
ミラー及びフロントガラスは、公知の方策では、フロントガラスの外側に、フロントガラスから0以外の距離に虚像を形成するように構成された、光学系を形成する。
【0021】
自動車産業では、制御パネルを削減、又は更には排除し、同時に、運転に必要な情報を運転者が利用できるようにする必要があると考えられている。
【0022】
更に、前述した情報は、安全運転のために実際に必要とされるときにのみ、運転者にとって利用可能にならなければならない。
【0023】
加えて、前述した情報は、運転者の注意散漫のリスクを回避して、特に運転者が視線の向きを絶えず変えなければならないことを防止して、運転者に利用可能でなければならない。
【0024】
最後に、前述した情報は、同時に、自動車の空気力学的抵抗を低減して、利用可能でなければならない。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、上述した必要性のうち、少なくとも1つを満たすことができる、自動車を提供することである。
【0026】
前述した目的は、請求項1に記載の自動車に関するものとして、本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な実施例として提供される、2つの好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を検討することによって、最もよく理解されるであろう。
【0028】
【
図2】より明瞭にするために一部を取り除いた、
図1の自動車の車室前部である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照すると、番号1は、車室3を画定する本体2、及び(
図2に概略的にのみ示す)エンジン4を備える、自動車を示す。
【0030】
自動車1は、従来の都市/郊外での使用、及びレーシングトラックでの使用の、両方のために設計された、最高級の自動車である。
【0031】
以下、「上部で」、「下部で」、「前部で」、「後部で」、及びそれらに類似するような表現は、自動車1の通常の前進状態を基準として使用される。
【0032】
自動車1は更に、
- 前部で車室3の境界を定める、フロントガラス5、
- 後部で車室3の境界を定める、背もたれ(図示せず)、
- 上部で車室3の境界を定める、ルーフ7、及び
- 本体2にヒンジ止めされ、車室3の横方向の境界を定め、車室3への人の出入りを防止する閉位置と、車室3への人の出入りを可能にする開位置との間で、可動自在な一対のドア8
を備える。
【0033】
更に、以下のものを定義することができる。
- 使用時に水平であり、自動車1の通常の前進方向に平行である、自動車1の一部を成す長手方向軸線X、
- 使用時に水平であり、軸線Xに直交する、自動車1の一部を成す横方向軸線Y、及び
- 使用時に、軸線X、Yに垂直、かつ直交する、自動車1の一部を成す軸線Z。
【0034】
より詳細には、フロントガラス5は更に、
- 開口部12を画定する、フレーム10及びリム11、及び
- 開口部12と係合し、リム11によって支持され、方向Xに平行な通常の前進方向に対して前方に配置された、フロントガラスの前部16
を備える。
【0035】
より詳細には、リム11は、四すみに角がある形状を有し、
- 互いに対向する、一対の上下のクロスメンバ13a、13b、及び
- 互いに対向し、クロスメンバ13a、13bのそれぞれの端部間で交差して延在する、一対のサイドピラー14、15
を備える。
【0036】
クロスメンバ13a、13bは、軸線Yに平行な主要延在部を有する。
【0037】
クロスメンバ13aは、クロスメンバ13bの後方に配置される。
【0038】
自動車1は更に、
- 車室3内に収容された、一対の前部シート21、22、及び
- フロントガラス5の下で、シート21、22の前に配置された、ダッシュボード25
を備える。
【0039】
特に、シート21は、運転者のためのコックピットを画定し、自動車1は、ダッシュボード25からシート21に向かって突出する、ステアリングホイール24を備える。
【0040】
ダッシュボード25は、フロントガラスの前部16と連続し、自動車産業において「バランスパネル」として知られている、端部領域26を備える。
【0041】
本明細書に示される特定の事例では、領域26は湾曲している。
【0042】
自動車1は、自動車1の動作状態に関連する複数の虚像29、51を、領域19上に形成するように構成された、ヘッドアップディスプレイ30を更に備える。
【0043】
図2を参照すると、ヘッドアップディスプレイ30は、基本的に
- 処理ユニット31、及び
- 処理ユニット31によって制御され、フロントガラス5に光ビームを投射するように設計された。投影ユニット32
を備える。
【0044】
投影ユニット32及びフロントガラス5は、虚像29、51を形成するように構成された、光学系を形成する。
【0045】
「虚像」という用語は、ヘッドアップディスプレイ30によって生成された光線の延長部の交点に、その点が対応する画像と同一のものである。
【0046】
有利には、投影ユニット32は、ダッシュボード25の領域26に収容された、複数のプロジェクタ40を備え、領域19は、ダッシュボード25の側で、フロントガラス5の境界を定める。
【0047】
言い換えれば、ヘッドアップディスプレイ30は、画像29、51をフロントガラス5の領域19上に形成し、したがって、画像29、51はフロントガラス5からゼロ距離にある。
【0048】
本明細書に示される特定の事例において、領域19は、自動車1の外側に面し、使用時に、ダッシュボード25の上方に配置される。
【0049】
プロジェクタ40は、好ましくは、ダッシュボード25の領域26に沿って順に配置された、小型のマイクロプロジェクタである。
【0050】
より詳細には、領域19は、ピラー14、15の間に延在し、下部ではクロスメンバ13bによって、上部では縁部20によって境界を定められる。
【0051】
縁部20は更に、
- ピラー14、15から離間し、クロスメンバ13bに実質的に平行な、中央セグメント28、及び
- 一対の端部セグメント27
を備える。
【0052】
各セグメント27は、関連するピラー14、15と、セグメント28のそれぞれの端部との間に介在する。
【0053】
より正確には、各セグメント27は、互いに対向する一対の端部33、34を含む。各セグメント27の端部33は、それぞれのピラー14、15の領域に配置され、端部34は、セグメント28の領域に配置される。
【0054】
領域19は、
- 一対の側部領域41、及び
- 領域41の間に介在する、中央領域42
を画定する。
【0055】
各領域41は四すみに角があり、以下のものによって境界を定められる。
- ピラー14、15のそれぞれの、セグメント45、
- 縁部20の、それぞれのセグメント27、
- それぞれのセグメント27の端部34と、クロスメンバ13bとの間に延在する、それぞれのセグメント46、及び
- クロスメンバ13bの、それぞれのセグメント47。
【0056】
領域42も四すみに角があり、以下のものによって境界を定められる。
- それぞれの領域41の、対向するセグメント46、及び
- 縁部20及びクロスメンバ13bによってそれぞれ画定される、各セグメント46の間に延在する、対向するセグメント48、49。
【0057】
ダッシュボード25には、好ましくは制御パネルが存在しない。
【0058】
限定するものではなく実施例として、処理ユニット31は、自動車1の都市/郊外での使用中に、自動車1の速度及びエンジン4の回転数などの基本的な運転情報、並びに、自動車1の運転支援システム60のメッセージを表す画像29を、投影ユニット32に形成させるようにプログラムされる。
【0059】
処理ユニット31は、自動車1の走路上での使用中に、周回時間を最小限に抑え、かつ/又は、全体的な運転性能を高めるために、走路に沿って自動車1によって想定されるべき、理想的な位置も表す更なる画像29を、投影ユニット32に形成させるように、更にプログラムされる。
【0060】
加えて、画像29は、走路上の更なる自動車1の位置、及び標識、周回時間、順位といった付属情報を表すインジケータである。
【0061】
好ましい実施形態では、自動車1は、(
図2に概略的にのみ示される)一対のビデオカメラ50を備え、これらは、自動車1を取り巻く状況を表す画像を、側方及び後方で取得するように設計される。
【0062】
処理ユニット31は、取得した画像を表す信号をビデオカメラ50から受信し、投影ユニット32に、それぞれの領域41に虚像51を形成させるようにプログラムされる。
【0063】
好ましい実施形態では、自動車1は後方ミラーを備えない。
【0064】
まず、都市/郊外での使用に関して、自動車1の動作を説明する。
【0065】
ヘッドアップディスプレイ30は、フロントガラス5の領域19に、画像29を形成する。
【0066】
画像29は、本明細書に示される特定の事例では、自動車1の速度及びエンジン4の回転数といった自動車1の基本的な運転情報、並びに、自動車1の運転支援システム60のメッセージを表すものである。
【0067】
運転者は、フロントガラス5から目を逸らすことなく、また運転者の周辺視野を用いて、画像29を視覚的に読み取る。
【0068】
好ましい実施形態では、ヘッドアップディスプレイ30は、領域19の領域41に、ビデオカメラ50が取得した、側方及び後方の自動車1を取り巻く状況を表す、画像51を形成する。
【0069】
言い換えれば、領域41は、自動車1の後方ミラーに置き換わるものである。
【0070】
自動車1の走路での使用に関して、画像29は、限定するものではないが一例として、前述した基本的な運転情報を表し、加えて、周回時間を最小限に抑え、かつ/又は、全体的な運転性能を高めるために、走路に沿って自動車1によって想定されるべき、理想的な位置も表す。
【0071】
加えて、画像29は、走路上の更なる自動車1の位置、及び標識、周回時間、順位といった付属情報を表すインジケータである。
【0072】
上記した開示は、本発明によって得ることができる、明らかな利点を示す。
【0073】
より詳細には、プロジェクタ40はダッシュボード25の領域26内に収容され、画像29、51は、フロントガラス5の領域19内に形成される。
【0074】
これにより、ダッシュボード25の制御パネルが削減される、又は完全に排除され、一方、フロントガラス5の領域19上に形成された画像29、51によって、自動車1の状態に関する情報が運転者にもたらされる。
【0075】
そうすることによって、設計者は、運転の安全性を損なうことなく、ダッシュボード25の形状及び寸法を、より自由に考案することができる。
【0076】
加えて、前述した自動車1の状態の情報は、自動車1の走行中にのみ、すなわち安全運転のために実際に必要なときにのみ、運転者に利用可能となる。
【0077】
画像29、51がダッシュボード25の領域26と連続する、フロントガラス5の領域19上に形成されることから、運転者は基本的に、フロントガラス5から目を逸らすことなく、事故を引き起こすおそれのある注意散漫のリスクを制限して、情報を取得することができる。
【0078】
より正確には、視差効果なしに、自動車1の任意の点から焦点が合っているとき、画像29、51が知覚される。
【0079】
領域19は、フロントガラス5上の画像29、51の視認性を高めるために、暗い色、特に黒色で印刷されたスクリーンである。
【0080】
処理ユニット31は、ビデオカメラ50から、自動車1を取り巻く、側方/後方に関連する画像51を表す信号を受信し、フロントガラス5の領域19の、それぞれの周辺領域41に、投影ユニット32に画像51を形成させるように、プログラムされる。
【0081】
そうすることによって、後方ミラーを自動車1から取り除くことができるため、自動車1の空気力学的抵抗が低減される。
【0082】
好ましい実施形態では、自動車1は後方ミラーを備えない。
【0083】
自動車1が走路上で使用される場合、限定するものではなく一例として、処理ユニット31は、前述した基本運転情報、更には、周回時間を最小化するために走路に沿って自動車1によって想定されるべき理想位置も表す、画像29を形成する。
【0084】
最後に、本発明による自動車1には、添付の特許請求の範囲に記載された保護の範囲を超えることなく、変更又は変形を施すことができる。
【0085】
特に、プロジェクタ40は、その焦点に配置された、LEDディスプレイ又は液晶ディスプレイとすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
運転者用のシート(21)を画定する、車室(3)と、
前記車室(3)内に配置され、前記自動車(1)の通常の前進方向を基準として、前方で前記車室(3)の境界を定め、前記シート(21)の前方に配置される、ダッシュボード(25)と、
前記車室(3)の境界を定め、前記ダッシュボード(25)に隣接するフロントガラス(5)と、
前記自動車(1)の動作状態に関連する情報項目を含む、少なくとも第1の虚像(29、51)を、第1の領域(19)上に形成するように構成された、ヘッドアップディスプレイ(30)と、を備え、
前記ダッシュボード(25)が、前記フロントガラス(5)と連続する、第2の領域(26)を備え、
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記第2の領域(26)に収容された、少なくとも1つのプロジェクタ(32)を備え、前記第1の領域(19)が、前記フロントガラス(5)によって画定され、前記ダッシュボード(25)の側で、前記フロントガラス(5)の境界を定めることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記第1の領域(19)が、前記フロントガラス(5)の残りの部分よりも濃い色で、少なくとも部分的に印刷されたスクリーンであることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記第1の領域(19)が、黒色印刷されたスクリーンであることを特徴とする、請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
前記車室(3)が、互いに離間した一対のピラー(14、15)を備え、前記ピラー間に前記フロントガラス(5)が延在し、前記第1の領域(19)が、前記ピラー(14、15)の間に延在し、前記第2の領域(26)と連続していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項5】
前記第1の領域(19)が、中央領域(42)と、互いに対向し、対応するピラー(14、15)のそれぞれのセグメント(45)によって境界を定められる、一対の対向する端部領域(41)を備え、
前記端部領域(41)が、前記中央領域(42)からよりも、前記第2の領域(26)から、より大きい距離で延在することを特徴とする、請求項4に記載の自動車。
【請求項6】
前記自動車(1)の前記通常の前進方向を基準として、前記フロントガラス(5)の後方及び/又は、一方の側方の位置における、前記自動車(1)の周囲を表す信号を検出するように構成された、検出手段(50)を備え、
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記検出手段(50)に動作可能に接続され、前記第1の領域(19)の前記端部領域(41)の、少なくとも一方の前記端部領域(41)に、前記信号に関連する、更なる虚像(51)を形成するように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記フロントガラス(5)の前記第1の領域(19)上に、それぞれの虚像(29)を形成するように構成され、かつ、前記ダッシュボード(25)の前記第2の領域(26)上に並んで配置された、複数のプロジェクタ(40)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項8】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、都市及び郊外で使用する場合に、前記プロジェクタ(32)に、前記自動車(1)のエンジン(4)の動作状態に関連する前記情報項目、及び/又は、前記自動車(1)の運転支援システム(60)の、前記虚像(29)を形成させるようにプログラムされた、処理ユニット(31)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項9】
前記処理ユニット(31)が、走路でのレースに使用する場合に、前記自動車(1)の優先的な挙動、及び/又は、競技の走路に関連する更なる情報項目を有する、更なる虚像(29)を、前記プロジェクタ(32)に形成させるようにプログラムされることを特徴とする、請求項8に記載の自動車。
【請求項10】
前記第2の領域(26)が湾曲していることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項11】
前記第1の領域(19)が、前記自動車(1)の外側に面し、使用時に前記ダッシュボード(25)の上方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【外国語明細書】