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特開2023-180238自動車用強化シャシー骨格及び関連する製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180238
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】自動車用強化シャシー骨格及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20231213BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023093673
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】102022000012167
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ テスタ
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA07
3D203BB12
3D203CA08
3D203CA55
3D203CA79
3D203CA83
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、特にスポーツタイプの自動車用の、シャシー骨格又はボディ骨格に関する。
【解決手段】自動車(1)用のシャシー骨格(2)は、自動車(1)用の車室を画定し、炭素繊維を含む少なくとも1つのシェル(10)、並びに、空洞をその間に画定するように互いに対向する、少なくとも2つの第1の壁(11、12)を備え、配置に従って空洞の内側に整列され、それぞれが第1の壁(11、12)にそれぞれシームレスに接続された2つの第1の端部の間で、第1の壁(11、12)に対して横方向に延在する、炭素繊維を含む1つ又はそれ以上の隔壁を、更に備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用のシャシー骨格(2)であって、前記自動車(1)用の車室を画定し、
炭素繊維、並びに、空洞(13)をその間に画定するように互いに向かい合う少なくとも2つの第1の壁(11、12)を含む、少なくとも1つのシェル(10)を備え、
配置に従って前記空洞(13)の内部に整列され、それぞれが前記第1の壁(11、12)にそれぞれシームレスに接続された2つの第1の端部間で、前記第1の壁(11、12)に対して横方向に延在する、1つ又はそれ以上の炭素繊維を含む隔壁(24)を更に備えることを特徴とする、シャシー骨格(2)。
【請求項2】
前記隔壁(24)が、前記空洞(13)を複数の別個の区画(32)に分割するように配置されている、
請求項1に記載のシャシー骨格。
【請求項3】
前記区画(32)の内部にそれぞれ配置された、複数のバッグ(60)を更に備える、
請求項2に記載のシャシー骨格。
【請求項4】
前記シャシー骨格(2)の側部端面(7)の一部である梁を備え、
前記側部端面(7)が、前記車室内に人が入ることを可能にし、閉位置において前記自動車(1)のサイドドア(4)によって占有され得る開口部を有し、この閉位置では、前記サイドドア(4)によって、前記人が前記開口部を通って前記車室内に入ることが防止され、
前記梁が、前記第1の壁(11、12)及び前記隔壁(24)を備え、直線方向(A)を横切るそれぞれのピラー(8)によって画定される2つの梁端部の間で、前記直線方向(A)に沿って延在し、前記梁が、前記ピラー(8)の間で前記直線方向に沿ってドア枠(9)を更に備え、前記ドア枠(9)が、前記ピラー(8)と単一の部品を形成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシャシー骨格。
【請求項5】
前記梁が、前記直線方向(A)に従って前記ピラー(8)の1つの境界を定め、前記第1の壁(11、12)の間において前記第1の壁(11、12)に対して横方向に延在する2つの第2の壁(15、16)を備え、
前記隔壁(24)が、前記第2の壁(15、16)にそれぞれシームレスに接続された第2の端部の間で、前記ピラー(8)の内側に更に延在する、
請求項4に記載のシャシー骨格。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシャシー骨格(2)の製造方法であって、
a.前記空洞(13)を画定するように構成された金型内壁(43、44)を有する、金型(40)を提供するステップと、
b.前記空洞(13)の内側及び前記金型内壁(43、44)の第1の金型内壁(43)に、前記配置に従って、予め硬化させた前記隔壁(24)を前記金型(40)に固定するステップと、
c.前記金型内壁(43、44)の第2の金型内壁(44)上の、前記第1の壁(11、12)の少なくとも一方を形成するように適合された位置に、複数の原料炭素繊維シート(58)を配置するステップと、
d.前記金型(40)の内部に配置された前記原料炭素繊維シート(58)を、前記隔壁(24)と共に、オートクレーブ内で焼成するステップと、を含む方法。
【請求項7】
前記隔壁(24)が前記金型(40)の内側に配置され、前記空洞(13)を複数の別個の区画(32)に分割する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記金型(40)が、前記区画(32)と前記金型(40)の外側との間の接続をそれぞれ確立する複数の貫通開口部(61)を有し、
前記方法が、前記バッグ(60)が前記貫通開口部(61)を介して前記金型(40)の外側にそれぞれの空気入口(63)を有するように、前記金型(40)の前記区画(32)の内側に、前記バッグ(60)のそれぞれを配置するステップを更に含み、
前記空気入口(63)が、前記バッグ(60)に加圧空気が流入できるように適合され、前記金型(40)が、前記ステップdの間に前記区画(32)の内側にバッグ(60)を収容し、その結果、焼成中にオートクレーブの加圧空気によって前記バッグ(60)が膨張し、それによって、焼成中に、前記第2の金型内壁(44)に前記原料炭素繊維シート(58)が押し付けられる、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金型(40)が、ステップdの間に、金型(40)の外側で前記バッグ(60)のそれぞれに液密な方法で接続された第1の真空バッグ(71)の内部に真空下で封入され、前記空気入口(63)が前記第1の真空バッグ(71)の外に出ており、その結果、前記第1の真空バッグ(71)が金型(40)を外側から圧縮するが、オートクレーブの加圧空気によって、金型(40)の内側から前記バッグ(60)が膨張する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金型(40)が、前記第1及び前記第2の金型内壁(43、44)をそれぞれ備える、第1及び第2の部分(41、42)を備え、
e.前記第1の壁(11、12)の他方を形成するように適合された位置で、前記第1の金型内壁(43)に、更なる原料炭素繊維シート(46)を配置するステップと、
f.前記第1の金型内壁(43)上に配置された、前記更なる原料炭素繊維シート(46)を、前記隔壁(24)と共に、更なるオートクレーブ、又は前記オートクレーブ内で焼成するステップと、を更に含み、
前記ステップc.及び前記ステップd.が、ステップfの後に実施される、
請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金型(40)が、前記第1及び前記第2の金型内壁(43、44)をそれぞれ備える第1及び第2の部分(41、42)を備え、
e.前記第1の壁(11、12)の他方を形成するように適合された位置で、前記第1の金型内壁(43)に、更なる原料炭素繊維シート(46)を配置するステップと、
f.真空下で、前記第1の金型内壁(43)に前記隔壁(24)及び前記更なる原料炭素繊維シート(46)がある状態で、前記第1の部分(41)を第2の真空バッグ(55)内に封入するステップと、
g.更なるオートクレーブ又は前記オートクレーブ内で、前記隔壁(24)と共に前記第2の真空バッグ(55)に真空下で封入された、前記更なる原料炭素繊維シート(46)を焼成するステップと、
h.ステップgの後に、前記第2の真空バッグ(55)を除去するステップと、を更に含み、
前記ステップc.及び前記ステップd.が、前記ステップhの後に実施される、
請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年6月8日に出願されたイタリア特許出願第102022000012167号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、特にスポーツタイプの自動車用の、シャシー骨格又はボディ骨格に関する。
【0003】
本発明は更に、シャシー骨格又はボディ骨格を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
知られているように、自動車は、自動車の骨格を画定する支持構造又はシャシーを含む本体を備える。支持構造又はシャシーは、自動車の様々な構成要素を支持する機能を有する。
【0005】
さらに、本体はまた、車体、すなわち、例えばボンネット、ドア、ルーフ、フェンダ、バンパーなどの本体又はパネルのアセンブリを含み、これらはシャシーによって支持され、自動車の表面及び外側輪郭を画定する。
【0006】
このシャシーは、自動車の乗員及び運転者が収容される自動車の車室を画定する、シャシー骨格又はボディ骨格を備える。
【0007】
このシャシー骨格は、車室の境界を定める機能を有するが、特に収容された人員を適切に保護することを確実にする機能を有する。したがって、シャシー骨格は、衝突が発生した場合にも車室内の人員がかなり安全であるように、とりわけ頑丈で剛性が高いものでなければならない。
【0008】
一般に、自動車製造業者は、自動車の全重量が抑えられたままにするように、シャシー骨格も可能な限り軽量であることが望ましいと考える。
【0009】
したがって、シャシー骨格は通常、相互接続された、1つ又はそれ以上の、内部が中空のシェルで構成される。
【0010】
このシェルの製造に特に適した材料は、その軽く頑丈な特性から、炭素繊維である。
【0011】
したがって、一部のスポーツカーでは、シェルに炭素繊維が含まれる。
【0012】
通常、炭素繊維を含むシェルは、シェルの中空部分を補強する機能を有する、構造発泡体及び/又はハニカム構造体によって、その内部で更に補強又は強化される。
【0013】
シェルの材料とは異なる材料を含む構造発泡体又はハニカム構造体を、シェルのそれぞれに導入することができるようにするために、別々に焼成又は重合された2つのハーフシェルを接着することが典型的な方法である。そのため、ハーフシェルを最終的に接着する前に、発泡体又はハニカム構造体をハーフシェルの間に介在させることができ、したがって、その中に構造発泡体及び/又はハニカム構造体を有する、完全な閉じたシェルが形成される。
【0014】
一般に、頑丈さを維持し、又は実際には増加させつつ、特にその重量を制限するか、あるいは、単にその頑丈さのみを増加させて、公知のシャシー骨格を改善する必要があると考えられている。
【0015】
更に、公知の方法、又は改良された方法の代替であり、例えば、より単純で、より費用効果が高く、かつ/又はより信頼性が高い、シャシー骨格の製造方法を実現する必要があるとも考えられている。
【0016】
特に、その方法は監視可能、かつ/又は管理可能である必要があるとも考えられている。言い換えれば、シャシー骨格の最終的な品質を決定又は実現することができる方法、あるいは、例えば、その方法の状態若しくは中間製品を評価するため、又はシャシー骨格の最終的な品質を改善するのに有用な調整を行うために、実行中にもオペレータが介入できる方法が必要であると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、上述した必要性の、少なくとも1つを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、各独立請求項に定義される、自動車用のシャシー骨格、及び関連する製造方法によって達成される。
【0019】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を定義するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下に、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をより良く理解するための説明を行う。
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるシャシー骨格を備える自動車の斜視図である。
図2】本発明の更なる実施形態によるシャシー骨格の製造方法のある段階を示す斜視図である。
図3】この製造方法の更なる段階を示す断面図である。
図4】本製造方法の間に閉じられる金型の分解図である。
図5】開放構成における図4の金型を示す斜視図である。
図6図3の段階に対する、製造方法の後続の段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、参照番号1は、全体として自動車を示すために使用される。
【0023】
あらゆる自動車と同様に、自動車1は、通常の前進方向を有し、運転者、及び場合によって1人又はそれ以上の乗員を収容するための車室を備える。
【0024】
自動車1は、車室を画定する又は形成する、シャシー骨格又はボディ骨格2を備える。例えば、シャシー骨格2は一体構造にすることができる。
【0025】
シャシー骨格2は、より一般的には、自動車1のシャシーの一部であり、シャシーは、複数の構成要素を支持し、そのうちのいくつかは、例えば自動車1の外面、すなわち、車室外の人から見える表面を画定する。
【0026】
シャシーによって支持される構成要素には、具体的には、フェンダ3、サイドドア4、ルーフ5、及び自動車1の前進方向を基準としたリアバンパ6の、少なくとも1つが含まれる。
【0027】
図1は、具体的には、シャシー骨格2の側部端面7を概略的に示す。側部という用語は、シャシー骨格2が自動車1に照らして配置される向きを基準とし、かつ、自動車1の前進方向を基準とするものであると理解されるべきである。あるいは、側部という用語は、車室の向きを基準として理解することもできる。
【0028】
側部端面7は、車室に向かって開いており、すなわち、人が車室に入ることのできる開口部を有する。
【0029】
特に、側部端面7の開口部は、図1のように、サイドドア4で塞ぐことができ、サイドドア4は、閉位置、すなわち、開口部を介して人が車室に入ることがサイドドア4によって防止される位置で示されている。
【0030】
言い換えれば、閉位置におけるサイドドア4は、自動車1の外側の視点に従って、開口部及び側部端面7を覆う、又は隠すものである。
【0031】
側部端面7は、特に箱型の梁を備える。この梁は、直線方向又は軸線Aに沿って、特に前進方向に平行に、又はいずれにせよ長手方向に、すなわち閉位置におけるサイドドア4に隣接するように向けられて延在する。
【0032】
この梁は、軸線Aに従って凹状の輪郭を有する。自動車1に照らして、この梁の輪郭は上方に凹状のものである。言い換えれば、この梁の輪郭は、側部端面7の開口部に向かって凹状のものである。
【0033】
この梁は、具体的には単一部品であり、軸線Aによる梁のそれぞれの端部を画定する、2つのピラー8を備える。更に、この梁は、ピラー8の間で軸線Aに沿って延在する、長手方向支柱又はドア枠9を備える。
【0034】
ドア枠9は、ピラー8にシームレスに接続されており、すなわちピラー8と単一の本体を形成する。
【0035】
以下では、「シームレスに」という表現は、一体型の、首尾一貫した、区別できないような、といった表現のうちのある意味で、すなわち、例えば、一体型の、首尾一貫した、区別できないような、といった、前述した表現の任意の組み合わせを意味するものとして理解することができる。
【0036】
ピラー8は、軸線Aに対して横方向に延在する。
【0037】
したがって、ピラー8は、梁の輪郭の凹面を形成するものである。
【0038】
側部端面7に加えて、シャシー骨格2はまた、車室の車台又は床面を画定する、図示されていない底部を備える。
【0039】
より具体的には、シャシー骨格2は、特に水平方向、かつ前進方向に直交する方向に従って、側部端面7の反対側にあり、側部端面7と同一の、もう1つの側部端面を備える。
【0040】
この床面は、側部端面7と他方の側部端面との間に延在する。
【0041】
この床面は、好ましくは、側部端面7にシームレスに接続され、すなわち、この床面は、側部端面7、及び場合によっては他方の側部端面と、単一の本体を形成する。
【0042】
一般に、シャシー骨格2は、炭素繊維で構成された、少なくとも1つのシェル10を備える。
【0043】
シャシー骨格2は、単一のシェル10として、あるいは、シェル10間の接続の種類にかかわらず、互いに相互接続された複数のシェル10として、理解することができる。例えば、シェル10は、シームレスに、すなわち炭素繊維を含む単一の本体、すなわち一体構造を形成するように、互いに接続することができる。
【0044】
この場合、側部端面7の梁がシェル10を構成し、床面もシェル10を構成することが好ましい。
【0045】
以下の説明では、簡潔にするために、ただ1つのシェル10、すなわち特に側部端面7の梁を手短に参照する。
【0046】
しかしながら、詳細に説明するシェル10について与えられた教示は、シャシー骨格2の他のシェル10に、又は単一のシェルと見なされるシャシー骨格2全体にも、直接当てはめることができる。言い換えれば、本明細書で詳細に記載される、シェル10について説明した各特性は、本質的に、シャシー骨格2のその他すべてのシェル10、又は単一のシェルと見なされるシャシー骨格2全体にも、当てはめることができる。
【0047】
シェル10は、互いに対向する少なくとも2つの壁11、12を有し、壁11、12の間に、空洞13を少なくとも部分的に画定する、又は境界付ける。
【0048】
具体的には、壁11、12は、軸線Aに対して横方向である軸線Bを横切って、車室の側面を通過するものである。言い換えれば、軸線Bは、閉位置においてサイドドア4に対して横方向であるか、又は側部端面7の開口部を通過するものである。
【0049】
側部端面7の梁、又はシェル10はまた、壁11、12に加えて、又はその代わりに、空洞13を少なくとも部分的に境界付ける又は画定する他の壁を有することができる。
【0050】
例えば、ピラー8のそれぞれ、又はその一方のみは、軸線Aに対して横方向の2つの壁15、16によって、軸線Aに従って境界を定められる。より正確には、壁15、16は、壁11、12の間で、壁11、12に対して横方向に延在する。
【0051】
特に、壁15、16は互いに向き合っている。
【0052】
さらに、ピラー8のそれぞれ、又は一方のみが、壁11、12のそれぞれの壁部17、18によって、境界を定められる。
【0053】
したがって、壁部17、18及び壁15、16は、ピラー8の1つ、又はそれぞれを形成するものである。
【0054】
壁部17、18又は壁15、16は、空洞13の一部である空洞14を、少なくとも部分的に画定する、又は境界付けるように、互いに向き合っている。空洞14は、壁15、16及び壁部17、18によって、完全に画定される、又は境界付けられる。ピラー8のそれぞれは、例えば壁15、16又は壁部17、18によって、対応する空洞14を画定することができる。
【0055】
同様の概念は、ドア枠9にも当てはめることができ、ドア枠9は、例えば、壁11、12のそれぞれの壁部19、20によって境界を定められる。
【0056】
さらに、ドア枠9は、軸線Cに対して横方向の2つの壁21、22によって、軸線Cに従って境界を定められる。ここで、軸線Cは、軸線A及び軸線Bの両方に対して横方向のものである。より正確には、壁21、22は、壁11、12の間で、壁11、12に対して横方向に延在する。
【0057】
さらに、壁21は、2つのピラー8の壁15の間において、壁15に対して横方向に延在し、一方で、壁22は、壁16の間において、壁16に対して横方向に延在する。
【0058】
特に、壁21、22は互いに向き合っている。
【0059】
シェル10は、炭素繊維で構成される、複数の隔壁24を更に含む。
【0060】
隔壁24のそれぞれは、特に平坦なプレートを備えるか、又はプレートによって画定することができる。
【0061】
隔壁24のそれぞれは、壁11、12にそれぞれシームレスに接続された端部の間で、壁11、12に対して横方向に延在し、すなわち壁11、12と単一の本体を形成する。
【0062】
特に、以下で明らかになるように、隔壁24の各端部は、壁11、12に融着される、すなわち、融着によって接続されるか、又は場合によっては溶接されるが、固定装置によっては接着又は固定されない。
【0063】
その代わりに、又は加えて、隔壁24の第1のグループのそれぞれは、壁15、16にそれぞれシームレスに接続された端部間で、一方又は他方のピラー8の壁15、16に対して横方向に延在し、すなわち壁11、12と単一の本体を形成する。
【0064】
その代わりに又は加えて、隔壁24の第2のグループのそれぞれは、壁21、22にそれぞれシームレスに接続された端部間で、ドア枠9の壁21、22に対して横方向に延在し、すなわち壁21、22と単一の本体を形成する。具体的には、隔壁24の第2のグループは、隔壁24のうちの1つで構成される。
【0065】
好ましくは、隔壁24間の一部は、場合によっては複雑な幾何学的形状を形成するために、互いにグループ化することができる。
【0066】
例えば、隔壁24のうちの2つのものは、特に壁11、12に対して横方向のそれぞれの表面25、26を有し、これらの表面は、図4においてよりよく見られるように、隔壁24のうちのそれら2つのものが、V字形構造又は鰐口構造を形成するように、鋭角に従って、それぞれの入射面上に延在する。
【0067】
さらに、隔壁24のうち3つのものは、特に壁11、12に対して横方向のそれぞれの表面27、28、29を有し、その表面27、29は互いに向かい合って、両方とも表面28に対して横方向であり、したがって、隔壁24のそれら3つのものは、図4に見られるように、C字形構造、又はオメガ形構造、又はU字形構造を形成する。
【0068】
図4では、隔壁24の表面30が見えており、表面30は、特に直接的に、すなわち壁11と接触して接続されたものである。
【0069】
一般に、衝突に対するシェル10の頑丈さを最大化し、かつ/又は、シェル10の全重量に対する頑丈さの比率を最適化することを目的として、隔壁24の形状及び/又は配置は、例えば、特に完成した要素での計算に基づいて設計を支援するコンピュータプログラムを利用して最適化される。
【0070】
図2によりよく見られるように、隔壁24は、空洞13を複数の別個の区画32に分割するように配置される。
【0071】
さらに、隔壁24の少なくとも大部分は、ピラー8に、すなわちピラー8の空洞14の内側に配置される。
【0072】
特定の実施形態によれば、シャシー骨格2は、区画32の内側にそれぞれ配置された、複数のバッグ60を更に備える。
【0073】
場合によっては、バッグ60の数は、区画32に対して少なくてもよい。したがって、シャシー骨格2は、対応する区画32内に、1つのバッグ60のみを備えることもできる。
【0074】
以下、シャシー骨格2の製造方法について説明を行う。
【0075】
より正確には、内部に隔壁24を有する、上述したシェル10の製造方法を詳細に説明するが、他のシェル10の製造方法は、説明されたものと実質的に同様であるため、詳細な説明は行わない。
【0076】
言い換えれば、説明する方法の特徴のそれぞれを、シェル10のそれぞれの製造方法、又は単一のシェルと見なされるシャシー骨格2全体に、個別に直接当てはめることができる。
【0077】
この方法には、空洞13を画定するように構成又は適合された内壁を有する、金型40を提供することが含まれる。言い換えれば、明確に密閉金型として理解される金型40の内壁は、空洞13と同一の空洞を囲むものである。更に言い換えれば、金型40の内壁は、空洞13を含む空洞を境界付けるものである。
【0078】
これを考慮して、空洞13という用語は、本明細書では、本方法が終了したときのシェル10の実際の空洞13と、密閉金型40の内側の空洞13との両方を特定するために使用される。
【0079】
金型40は、特に、少なくとも2つの部分41、42を備える。より具体的には、金型40は、空洞13を囲むように2つの部分41、42が互いに結合されるとき、閉じられる。
【0080】
したがって、金型40の内壁は、部分41の第1の内壁43、及び部分42の第2の内壁44を含む。
【0081】
金型40の部分41を示す図2に見られるように、本方法は、前もって硬化され、したがって完成品の状態にある隔壁24を、金型40に固定することを含む。これらの隔壁は、空洞13内及び内壁43における、実際の配置に従って固定される。
【0082】
したがって、隔壁24は金型40の内部に配置され、空洞13を区画32に分割する。
【0083】
したがって、より正確には、隔壁24は金型40の部分41に固定される。
【0084】
例えば、隔壁24は、ボルトなどのねじ部材31によって固定され、すなわちそれらの配置において保持される。あるいは、隔壁24は、例えば構造発泡体又は接着材料などの他の固定手段によって、固定することができる。
【0085】
したがって、本方法には、少なくとも壁12を形成するように適合された位置で、内壁43上に複数の原料炭素繊維の箔又はシート46を配置することを、更に含めることができる。
【0086】
したがって、内壁43は、少なくとも壁12を形成するように構成される。
【0087】
実際には、具体的には、図2に示すように、原料炭素繊維シート46は、ピラー8のそれぞれの壁15、16も形成し、同様に、ドア枠9の壁21、22を形成するために、内壁43上に配置される。
【0088】
したがって、内壁43は、壁15、16及び壁21、22も形成するように、更に構成される。
【0089】
更なる炭素繊維シート46を、特にそれらの表面のそれぞれとは独立して、隔壁24上に配置することもできる。
【0090】
さらに、好ましくは、隔壁24は、焼成中の炭素繊維シート46と隔壁24との間の接合を容易にするために、オートクレーブ内での焼成中に溶解又は少なくとも軟化するように構成された接着フィルムによって、原料炭素繊維シート46に接続される。
【0091】
炭素繊維シート46には、特に樹脂、より具体的には熱硬化性の樹脂に含浸された炭素繊維生地で構成される。
【0092】
図2及び図3に見られるように、部分41は、実質的に空洞13を含む、その内側空洞を画定する。
【0093】
部分41は、金型閉鎖方向Hに従って、金型40の閉鎖中に部分42に面するように構成された外側輪郭47を含む。
【0094】
さらに、部分42もまた、金型40が閉じられたときに外側輪郭47と一致するように構成された輪郭を有する。
【0095】
図4及び図5に見られるように、部分42は、内壁44を含み、部分42の輪郭が輪郭47と一致するとき、すなわち金型40が閉じられるやいなや、空洞13を閉じるように構成されたプレート50を含む。
【0096】
必要に応じ、本方法は、内壁43上に配置された原料炭素繊維シート46を、オートクレーブ内で最初に焼成することを含む。第1の焼成において、原料炭素繊維シート46は、内壁43で部分41に固定された隔壁24と共に焼成される。
【0097】
したがって、第1の焼成は、オートクレーブ内で、原料炭素繊維シート46を伴う部分41及び隔壁24を、部分42を伴わずに配置して行われる。
【0098】
より具体的には、原料炭素繊維シート46及び隔壁24を伴う部分41を、オートクレーブ内に配置する前に、原料炭素繊維シート46及び隔壁24を伴う部分41は、真空下で真空バッグ55の内部に封入される(図3)。
【0099】
例えば、真空バッグ55は、ポリアミド繊維、特に脂肪族化合物、又はシリコーンで構成することができる。
【0100】
真空バッグ55は、真空バッグ55を真空ポンプ57に接続するように構成された、少なくとも1つのバルブ装置56を備える。
【0101】
真空ポンプ57は、バルブ装置56によって真空バッグ55に接続される。したがって、真空ポンプ57は、原料炭素繊維シート46及び隔壁24を伴う部分41を収容した、真空バッグ55内の空気を吸引するために使用される。このようにして、原料炭素繊維シート46及び隔壁24を伴う部分41が、真空封止される。
【0102】
この時点で、原料炭素繊維シート46及び隔壁24を伴う部分41を含む真空バッグ55をオートクレーブ内に配置して、最初の焼成が行われる。
【0103】
明らかに、オートクレーブを運転することによって、最初の焼成が行われる。
【0104】
第1の焼成の後に、例えば、バルブ装置56によって真空バッグ55内に空気を再導入してから、破壊する又は単にそれを取り出すことによって、真空バッグ55は除去される。
【0105】
この時点で、本方法には、少なくとも壁11を形成するように適合された位置で、内壁44上に複数の原料炭素繊維シート58を配置することが含まれる。
【0106】
原料炭素繊維シート58は、好ましくは、原料炭素繊維シート46と同じタイプのものである。
【0107】
例えば、オートクレーブ内での焼成中に溶解又は少なくとも軟化するように構成された接着フィルムによって、原料炭素繊維シート58及び/又は原料炭素繊維シート46を、それらの位置に保持することができる。
【0108】
したがって、金型40は、原料炭素繊維シート58、隔壁24、及び場合によっては第1の焼成によって焼成された炭素繊維シートを、その内側に閉じることができる。
【0109】
本方法には、金型40の内部、より正確には内壁44上に配置された原料炭素繊維シート58に、隔壁24、及び、特に第1の焼成で焼成された炭素繊維シートと共に、オートクレーブ内で第2の焼成を行うことが更に含まれる。
【0110】
より具体的には、本方法には、第2の焼成の前に、バッグ60を金型40内の区画32の内側に、それぞれ配置することが含まれる。
【0111】
金型40は、特にそれが閉じているとき、区画32のそれぞれに対して、少なくとも1つの対応する開口部61を有し、開口部61はそれぞれ、区画32と金型40の外側との間の接続を確立する。
【0112】
言い換えれば、金型40は、区画32と金型40の外側との間の接続をそれぞれ確立するための開口部61を画定するように構成される、又は画定する。
【0113】
明らかに、開口部61は貫通開口部であり、特に、内壁43又は内壁44を貫通する。
【0114】
バッグ60は、バッグ60を加圧空気で膨張させることができる、それぞれの空気入口63を有する。空気入口63は、バッグ60内部に加圧空気の入口をもたらすのに適したものである。
【0115】
バッグ60は、図6のように開口部61を介して閉じられているときにも、金型40の外側に空気入口63がある状態で、区画32の内側に配置される。
【0116】
したがって、空気入口63は、金型40が閉じられているときにも、開口部61によって金型の外に出ている。
【0117】
このようにして、第2の焼成中に、金型40はバッグ60を収容し、バッグ60はオートクレーブの加圧空気によって膨張する。実際には、開口部61を介して金型40の外に出ている空気入口63によって、バッグ60に加圧空気が流入する。
【0118】
この膨張により、2回目の焼成中に、バッグ60は原料炭素繊維シート58を内壁44に押し付ける。
【0119】
したがって、バッグ60の寸法により、区画32内の加圧空気の圧力下でバッグ60が膨張することで、区画32の容積に等しい容積を占めることが可能となる。
【0120】
バッグ60は、例えば、ヒートシール可能であるように、ポリアミド繊維、特に脂肪族化合物又はシリコーン、すなわち特に熱可塑性タイプのプラスチック樹脂で構成することができる。
【0121】
金型40、より具体的には部分41は、2回目の焼成後に金型40からバッグ60を取り出せるようにするための開口部65を有することができる。
【0122】
開口部65は、内壁43を貫通する貫通開口である。
【0123】
バッグ60は、特に更なる焼成のために、再使用可能であると考えることができる。
【0124】
あるいは、バッグ60は区画32の内部に残すことができ、それによりシェル10又はシャシー骨格2の区画32にとどまることになる。この場合、開口部65は、特にサイズを小さくすることができ、又は無くすことさえできる。
【0125】
2回目の焼成の成果物は、具体的にはシェル10である。
【0126】
好ましくは、図5に見られるように、表面30及び場合によって外側輪郭47は、金型40の閉鎖時、この場合は2回目の焼成の前に、内壁44上の原料炭素繊維シート58を隔壁24に接着できるようにするために、接着フィルム70で覆われる。
【0127】
特に、図5は、区画32、より具体的には部分41の内側に導入されたバッグ60を示す。
【0128】
好都合には、図6に見られるように、金型40は、真空バッグ71の内部での2回目の焼成中に、真空下で封入される。
【0129】
したがって、原料炭素繊維シート58及び隔壁24を伴う金型40をオートクレーブ内に配置する前に、金型40は、真空下で真空バッグ71の内部に封入される。
【0130】
例えば、真空バッグ71は、ポリアミド繊維、特に脂肪族化合物、又はシリコーンで構成することができる。
【0131】
真空バッグ71は、真空バッグ71を真空ポンプ73に接続するように構成された、少なくとも1つのバルブ装置72を備える。
【0132】
真空バッグ71、バルブ装置72、及び真空ポンプ73の使用は、真空バッグ55、バルブ装置56、及び真空ポンプ57の使用とそれぞれ同様であるため、これ以上詳細な説明は行わない。
【0133】
真空バッグ71は、金型40の外側で、バッグ60のそれぞれに液密に接続される。
【0134】
バッグ60の空気入口63は、それらの機能を実行することができるように、真空バッグ71の外に出ている。
【0135】
したがって、空気入口63は、オートクレーブにおける加圧空気の入口をバッグ60内にもたらし続け、その結果、バッグ60が膨張する。
【0136】
同時に、真空バッグ71はバッグ60に液密に接続されるため、加圧空気が真空バッグ71内に流入せず、真空バッグ71内の真空を維持することができる。
【0137】
真空バッグ71は、特にその中に生成された真空のために、金型40を外側から圧縮するが、オートクレーブの加圧空気によって、金型40の内側からバッグ60が膨張することが可能となる。
【0138】
好ましくは、バッグ60と真空バッグ71との間の液密接続は、封止接着剤75、より具体的にはゴム接着剤によって行われる。
【0139】
2回目の焼成の終了時に、真空バッグ71は、例えば破壊することによって、又はいずれにせよ、真空バッグ55を取り除く方法と同様の方法で、取り除くことができる。
【0140】
真空バッグ71が取り除かれると、シェル10、又は場合によっては、シャシー骨格2が製造される。
【0141】
第1の焼成は任意のものであり、したがって省略することができる。この場合、2回目の焼成が、密閉金型40内で隔壁24を伴う、すべての炭素繊維シート46、58の唯一の焼成となる。
【0142】
単一の焼成についても、2回目の焼成について説明したすべての特性を当てはめることができる。したがって、前述した説明に従って、バッグ60及び真空バッグ71を利用することができる。
【0143】
単一の焼成を行う場合、原料炭素繊維シート46及び原料炭素繊維シート58は、少なくとも壁11、12を形成するために、内壁43、44にそれぞれ配置される。
【0144】
金型40は、原料炭素繊維シート46及び原料炭素繊維シート58が、隔壁24と共に空洞13の内部にある状態で閉じられる。
【0145】
上記のことに基づいて、シャシー骨格2及び本発明による方法の利点は明らかである。
【0146】
隔壁24は炭素繊維を含み、したがって、それらは軽量であり、同時に耐性がある。このように、強度を損なうことなく、シャシー骨格2を軽量化することができる。
【0147】
さらに、隔壁24がシェル10にシームレスに接合されているということにより、隔壁24が単に接着されている、又は構造発泡体によって所定の位置に保持されている有り得る事例と比較して、シャシー骨格2の頑丈さが更に高まる。
【0148】
この製造方法は非常に効果的であり、かつ汎用性がある。実際に、単一の焼成を実施することで、単純化されることになる。一方で、2回の焼成による方法を実施することで、金型40内の圧力をより良好に制御することが可能となる。
【0149】
また、第1の焼成後に、部分41が完全に見えているため、製造上の不具合を確認することができる。このようにして、第1の焼成の結果を考慮しつつ、第2の焼成を実行することができる。すなわち、第1の焼成の中間生成物が廃棄物である、つまり許容できない品質を有する場合には、第2の焼成を実行しない、ということが可能となる。
【0150】
バッグ60を使用することで、第2の焼成中に、区画32のそれぞれの内部圧力を制御することが確実に改善される。
【0151】
バッグ60を使用することは、それらが再利用される場合に、更に有利なものとなる。
【0152】
最後に、本発明によるシャシー骨格2及び方法には、修正及び変形を加えることができ、これらはいずれにせよ、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から、逸脱するものではないことは明らかである。
【0153】
特に、記載され図示された構成要素の数及び形状は異なっていてもよく、特に大きな自由度をもって変更することができる。
【0154】
さらに、第1及び第2などの数字の形容詞は、説明の明瞭さを高めるために利用されるが、厳密に限定するものとして理解してはならない。実際に、第1及び第2の焼成は、単一の焼成と一致するものであり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】