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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180240
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20231213BHJP
   B60K 37/02 20060101ALI20231213BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60K37/02
B60K37/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023093676
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】102022000012155
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ タンツィ
(72)【発明者】
【氏名】エリック マソエーロ
(72)【発明者】
【氏名】パスクァーレ ヴィティエッロ
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA14
3D344AA26
3D344AB01
3D344AC02
3D344AC13
3D344AC25
3D344AD13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】付属情報を自動車の乗員が利用できることを確実にしつつ、センターディスプレイを低減、又は更には排除する。
【解決手段】車室と、車室内に配置され、自動車(1)自体の通常の前進方向を基準として、前方で車室の境界を定めるダッシュボード(25)と、車室の境界を定め、ダッシュボード(25)と連続するフロントガラス(5)と、自動車(1)の運転に対して付属的な情報項目を含む、少なくとも第1の画像(29)をフロントガラス(5)の第1の領域(19)に投影するように構成された、ヘッドアップディスプレイと、を備え、ヘッドアップディスプレイは、ダッシュボード(25)の第2の領域(26)に収容された投影ユニット(32)を備え、第1の領域(19)は、フロントガラス(5)によって画定される、自動車(1)が記載される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
- 車室(3)と、
- 前記車室(3)内に配置され、前記自動車(1)の通常の前進方向を基準として、前方で前記車室(3)の境界を定めるダッシュボード(25)と、
- 前記車室(3)の境界を定め、前記ダッシュボード(25)に隣接するフロントガラス(5)と、
- 前記自動車(1)の運転に対して付属的な情報項目を含む、少なくとも1つの第1の虚像(29、51、52)を、第1の領域(19)上に形成するように構成されたヘッドアップディスプレイ(30)と、を備え、
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記ダッシュボード(25)の第2の領域(26)に収容された投影ユニット(32)を備え、前記第1の領域(19)が、前記フロントガラス(5)によって画定されることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記投影ユニット(32)に貼付された、偏光フィルム(60)を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記第2の領域(26)が、前記ダッシュボード(25)の区画(70)を画定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項4】
前記車室(3)が、互いに離間して配置された複数のピラー(14、15)を備え、前記ピラー間に前記フロントガラス(5)が延在し、
前記フロントガラス(5)が、
- 前記第1の領域(19)を画定し、かつ前記投影ユニット(32)に面することができる中央領域(42)と、
- 互いに反対側にあり、対応するピラー(14、15)のそれぞれのセグメントによって境界を定められる、第1及び第2の端部領域(41a、41b)を更に備え、
シート(21、22)のうちの一方(21)が、前記第1の端部領域(41a)の側に配置された運転者席を画定することを特徴とする、請求項3に記載の自動車。
【請求項5】
前記ダッシュボード(25)が、
- 前記区画(70)を覆う第1の位置と、
- 前記投影ユニット(32)を前記第2の領域(26)に面する位置に配置するように、前記区画(70)を開いたままにする、第2の位置との間で、選択的に可動自在なカバー要素(65)を備えることを特徴とする、請求項3又は4に記載の自動車。
【請求項6】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記投影ユニット(32)を制御するようにプログラムされた、処理ユニット(31)を更に備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項7】
前記自動車(1)を取り巻く状況を表す信号を取得するように構成される検出手段(50)を備え、
前記処理ユニット(31)が、前記検出手段(50)に動作可能に接続されていることを特徴とする、請求項6に記載の自動車。
【請求項8】
都市又は郊外での用途の場合に、前記投影ユニット(32)に、前記信号に関連付けられた第2の虚像(51)を前記第1の領域(19)上に形成させるように、前記処理ユニット(31)がプログラムされることを特徴とする、請求項7に記載の自動車。
【請求項9】
走路でのレース用途の場合に、前記投影ユニット(32)に、競技の経過に関連する更なる情報項目を伴う第3の虚像(52)を形成させ、かつ/又は、使用中に運転助手をシミュレートするように、前記処理ユニット(31)がプログラムされることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項10】
前記ヘッドアップディスプレイ(30)が、前記第1の領域(19)上に、前記第3の虚像(52)を形成するように、更に構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2022年6月8日に出願されたイタリア特許出願第102022000012155号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
車室を画定する本体、及び動力ユニットを備える自動車が知られている。
【0004】
車室は、更に少なくとも一対の前部シートを備え、自動車の通常の前進移動方向を基準にして、前部シートの前方に配置されたダッシュボード及びフロントガラスによって、前方で境界を定められる。
【0005】
公知の方法で、前部シートの1つは、運転者のシートを画定する。
【0006】
ダッシュボードは、公知の方法で運転席に対して正面位置に配置され、運転に必要な情報を運転者自身に提供することが想定された、インスツルメントパネルを備える。
【0007】
より詳細には、インスツルメントパネルは、例えば、自動車の瞬間速度を示す速度計、及び動力ユニットの駆動軸の回転数を示す回転速度計を備える。
【0008】
インスツルメントパネルには、いくつかの実施形態では、燃料残量の表示、動力ユニットの冷却液温度の表示、時計、及び走行距離計も含まれる。
【0009】
更に、ダッシュボードは、インスツルメントパネルとは異なるセンターディスプレイを収容し、例えば衛星ナビゲーションによって提供される情報、携帯電話の接続及び使用に関する情報、又は車室内の視聴覚コンテンツの再生に関する情報など、運転に必要ではない、付属情報を乗員に表示するように適合された、中央部分を備える。
【0010】
自動車は、公知の方法で、補助的なヘッドアップディスプレイを備える。
【0011】
公知のタイプのヘッドアップディスプレイは、自動車自体の状態の量的特性を表す、補助的な虚像を表示するように適合される。
【0012】
より正確には、幾何光学では、例えば、物体を表す実像又は虚像を形成することができる、人間の目などの光学系が知られている。
【0013】
より具体的には、物体は、全方向に光ビームを放射又は拡散する。
【0014】
光学系は、物体の一点から到来する光ビームの光線を、実像又は虚像の一点に偏向させることができる、複数の反射体及び反射面によって形成される。
【0015】
そうすることで、光学系は、物体の各点と実像又は虚像の対応する点との間の、関連付けを決定する。
【0016】
物体の各点は、特に、その点自体から発散光ビームを放射する。
【0017】
光学系は、物体の点からの発散光ビームを、収束又は発散する別のビームに変更する。
【0018】
物体の各点に関連付けられた光学系から発生する光線が、画像内の対応する点で実際に交差するとき、光学系は物体の実像をもたらす。
【0019】
そうでなく、物体の各点に関連付けられた光学系から発生する光線の、延長部が画像の点で交差するとき、光学系は物体の虚像をもたらす。
【0020】
更に、公知のタイプのヘッドアップディスプレイは、
- 処理ユニット、
- 処理ユニットによって制御され、光ビームを生成するように適合された、投影ユニット、及び
- 光ビームをフロントガラス上に反射するように配置された、複数のミラー
を備える。
【0021】
フロントガラスは、光ビームを偏向する。
【0022】
公知のタイプのソリューションでは、ミラー及びフロントガラスは、フロントガラスの外側に、フロントガラス自体から非ゼロの距離に虚像を形成するように構成された、光学系を形成する。
【0023】
前述した付属情報を自動車の乗員が利用できることを確実にしつつ、センターディスプレイを低減、又は更には排除する必要性があると、この分野では考えられている。
【0024】
更に、車室内のすべての箇所で、視差効果なしに、そのような付属情報を利用できるようにする必要性があると、この分野では考えられている。
【0025】
また、実際に必要なときにのみ、そのような付属情報を利用できるようにする必要性があると、この分野では考えられている。
【0026】
また、自動車の乗員が、表示される前述した情報を選択できるようにする必要性があると、この分野では考えられている。
【0027】
また、ダッシュボード中央部分の幾何学的形状の設計において、最大限の柔軟性を得る必要性があると、この分野では考えられている。
【0028】
特に、従来の都市/郊外での用途、及び走路でのレースでの用途の両方を目的とした高級自動車に関し、自動車自体の用途に応じて専用の付属情報を自動車の乗員が利用できるようにする必要性があると、この分野では更に考えられている。
【0029】
最後に、自動車の乗員が偏光眼鏡を着用している場合でも、この付属情報を自動車の乗員が利用できるようにする必要性があるとも、この分野では考えられている。
【発明の概要】
【0030】
本発明の目的は、前述した必要性のうちの少なくとも1つを満たすことがきできる、自動車を実現することである。
【0031】
上記の目的は、請求項1によって定義されるものによる自動車に関するように、本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明をよりよく理解するために、単に非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、以下に2つの好適な実施形態の説明を行う。
【0033】
図1】本発明の規定によって実現される、自動車の斜視図である。
図2】第1の動作位置にあり、明瞭にするために部品を取り除いた、図1の自動車の車室前部の図である。
図3】第2の動作位置にあり、明瞭にするために部品を取り除いた、図2の前部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、1は、車室3を画定する本体2、及び(図1に概略的にのみ示されている)動力ユニット4を備える、自動車を示す。
【0035】
自動車1は、従来の都市/郊外での用途、及び走路でのレース用途の両方を目的とした、高級自動車である。
【0036】
なお、本明細書の残りの部分では、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」などの表現は、自動車1の通常の前進方向である条件を基準として使用される。
【0037】
自動車1は、更に、
- 前部で車室3の境界を定める、フロントガラス5、
- 後部で車室3の境界を定める、背もたれ(図示せず)、
- 上方で車室3の境界を定める、ルーフ7、及び
- 本体2にヒンジ止めされ、車室3の横方向の境界を定め、車室3への出入りを防止する閉位置と、車室3への出入りを可能にする開位置との間で可動自在な、一対のドア8
を備える。
【0038】
また、以下のものを定義することもできる。
- 使用時に、自動車1の通常の前進方向に水平かつ平行に配置される、自動車1と一体の長手方向軸線X、
- 使用時に、水平に配置され、軸線Xに対して横方向であり、かつ直交し、自動車1と一体の横方向の軸線Y、及び
- 使用時に、軸線X、Yに垂直かつ直交するように配置された、自動車1と一体の軸線Z。
【0039】
より詳細には、フロントガラス5は、更に、
- 開口部12の境界を定めるフレーム11を備える、シャーシ10、及び
- 開口部12と係合し、フレーム11によって支持され、方向Xに平行な通常の前進方向を基準として、前方に配置されたフロントグレージング16
を備える。
【0040】
より詳細には、フレーム11は、形状が四角形であり、
- 互いに向かい合う、上下一対のクロスメンバ13a、13b、及び
- 互いに向かい合い、クロスメンバ13a、13bのそれぞれの端部間を横切って延在する、一対の側方ピラー14、15
を備える。
【0041】
クロスメンバ13a、13bは、軸線Yに平行に広く行き渡った、延在部を有する。
【0042】
クロスメンバ13aは、クロスメンバ13bに対して後方に配置される。
【0043】
自動車1は、更に、
- 車室3内に収容された、一対の前部シート21、22、及び
- フロントガラス5の下方で、シート21、22の前方に配置された、ダッシュボード25
を備える。
【0044】
特に、シート21は、運転者のシートを画定し、自動車1は、ダッシュボード25からシート21に向かって突出する、ステアリングホイール24を備える。
【0045】
ダッシュボード25は、グレージング16に隣接し、当技術分野では「バレンスパネル」として知られている、端部領域を含む。
【0046】
領域26は、図示の場合、湾曲している。
【0047】
自動車1は、領域19上に複数の虚像29、51、52を表示するように構成された、ヘッドアップディスプレイ30を更に備える。
【0048】
虚像とは、ヘッドアップディスプレイ30によって発生された光線の、延長部に対応する点を有する像のことである。
【0049】
有利には、ヘッドアップディスプレイ30は、ダッシュボード25の領域26に収容された投影ユニット32を備え、領域19はフロントガラス5によって画定される(図2及び図3)。
【0050】
言い換えれば、ヘッドアップディスプレイ30は、画像29、51、52をフロントガラス5自体の領域19上に形成し、したがって、画像29、51、52は、フロントガラス5自体からのゼロ距離に位置する。
【0051】
特に、画像29、51、52は、単に領域19から反射されるのではなく、領域19自体に形成される。すなわち、これらの画像は、フロントガラス5の領域19に正確に焦点を合される。
【0052】
投影ユニット32は、領域19に光学的に向いており、光ビームをフロントガラス5に投影するように適合される。
【0053】
領域19は透明なものである。
【0054】
図2及び図3を参照すると、ヘッドアップディスプレイ30は、更に、
- 投影ユニット32を制御するようにプログラムされた、処理ユニット31、及び
- 処理ユニット31と動作可能に接続され、投影ユニット32を作動/停止させるように選択的に動作可能な(概略的にのみ図示された)操作手段33、例えばノブ又は音声受信機
を備える。
【0055】
より詳細には、処理ユニット31は、自動車1の乗員の好みに基づいて、かつ自動車1の道路又は走路での用途に基づいて選択可能な特性を有する、画像29、51、52を投影ユニット32に形成させるようにプログラムされる。
【0056】
ヘッドアップディスプレイ30は、投影ユニット32上に貼付された、偏光フィルム60を更に備える。
【0057】
このフィルム60により、特に、偏光眼鏡を着用していても、画像29、51、52が表示されるようになる。
【0058】
ダッシュボード25は、ピラー14、15の間に延在する。
【0059】
好ましくは、領域26は、ピラー14、15から等距離にある、ダッシュボード25の中央領域に配置される。
【0060】
好ましい実施形態では、ダッシュボード25は、投影ユニット32を収容するための区画70を画定する。
【0061】
ダッシュボード25は、操作手段33の作動に従って、
- ダッシュボード25自体の座部61から引き出され、投影ユニット32とフロントガラス5の領域19との間に介在するように、区画70を完全に覆う第1の位置(図2)、及び
- ダッシュボード25自体の座部61内に収容され、投影ユニット32がフロントガラス5の領域19に面したままにするように、区画70を覆わないままにする、第2の位置(図3
の間で選択的に可動自在な、カバー要素65を更に備える。
【0062】
処理ユニット31は、操作手段33の作動に従って、前述した第1及び第2の位置の間で、カバー要素65を移動させるようにプログラムされる。
【0063】
特に、カバー要素65は、前述した第1及び第2の位置の間で摺動可能である。
【0064】
区画70は、領域26の下方に配置される。
【0065】
更に、グレージング16は、
- ピラー14、15に対してそれぞれ隣接する、一対の側方領域41a、41b、及び
- 領域41a、41bの間に介在し、領域26を画定する中央領域42
を備える。
【0066】
特に、領域41aはシート21の前方に配置され、領域41bはシート22の前方に配置される。
【0067】
画像29、51、52は、前述した情報とは異なる、運転に必要ではない付属情報に関するものである。
【0068】
例えば、画像29は、衛星ナビゲーションによって提供される情報、接続性及び携帯電話の使用についての情報、又は車室内の視聴覚コンテンツ再生ついての情報に関するものである。
【0069】
処理ユニット31は、自動車1の乗員による起動要求があった場合に、カバー要素65を第2の位置に配置し、画像29の投影を制御するようにプログラムされる。
【0070】
処理ユニット31は、自動車1の市街地/郊外での使用中、及び自動車1の走路上での使用中の両方において、自動車1の乗員による停止要求があった場合に、カバー要素65を第1の位置に配置し、投影ユニット32を停止させるようにプログラムされる。
【0071】
処理ユニット31はまた、道路上での自動車1の使用中に、投影ユニット32に、自動車1を取り巻く環境を表す複数の虚像51を、領域19上に形成させるようにプログラムされる。
【0072】
好ましい実施形態では、自動車1は、自動車1自体の側方及び後方を取り巻く状況を表す画像を取得するように適合された、(図2及び図3に概略的にのみ示される)一対のカメラ50を備える。
【0073】
そのような好ましい実施形態では、処理ユニット31は、カメラ50から自動車1を取り巻く状況を表す信号を受信し、投影ユニット32に、フロントガラス5の領域19上に画像51を形成させるようにプログラムされる。
【0074】
好ましくは、処理ユニット31は、自動車1の走路での使用中に、投影ユニット32に、フロントガラス5の領域19上に、更なる画像52を投影させるようにプログラムされる。
【0075】
非限定的に、画像52は、ピットボックスと交換される情報、及び/又はレース管理者と交換される情報、及び/又は自動車1から離れた位置に配置された運転助手と交換される情報に関連するものであり得る。
【0076】
画像52は、例えば、時間履歴、経路統計といった、走路に関する情報に更に関連するものであり得る。
【0077】
まず、都市/郊外での使用、及びカバー要素65が第1の位置にある状態(図2)を参照して、自動車1の動作の説明を行う。カバー要素65は、座部61から更に引き出され、投影ユニット32とフロントガラス5の領域19との間に介在するように、区画70を覆う。
【0078】
乗員は、操作手段33によってヘッドアップディスプレイ30を起動する。
【0079】
ヘッドアップディスプレイ30は、フロントガラス5の領域19に、画像29、51を形成する。
【0080】
操作手段33を使用して、自動車1の乗員の好みに基づいて、画像29、51によって表される情報の性質及び特性を選択することもできる。
【0081】
その結果、カバー要素65は、それがダッシュボード25自体の座部61内に収容される第2の位置(図3)に達するまで摺動し、ヘッドアップディスプレイ30の投影ユニット32を、フロントガラス5の領域19に面したままにするように、区画70を覆わないままにする。
【0082】
画像29は、例えば、衛星ナビゲーションによって提供される情報、接続性及び携帯電話の使用に関する情報、又は車室内の視聴覚コンテンツの再生に関する情報など、運転に必要ではない付属情報に関するものである。
【0083】
乗員、特に運転者は、フロントガラス5から目を逸らすことなく、これらの画像29に視覚的にアクセスすることができる。
【0084】
好ましい実施形態では、ヘッドアップディスプレイ30は、カメラ50によって取得された画像に対応する、自動車1自体の側方及び後方を取り巻く状況を表す画像51を、領域19に投影するように動作可能である。
【0085】
走路上での自動車1の用途に関しては、ヘッドアップディスプレイ30は、操作手段33の作動に従って、フロントガラス5の領域19上に更なる画像52を形成する。
【0086】
非限定的に、画像52は、ピットボックスと交換される情報、及び/又はレース管理者と交換される情報、及び/又は自動車1から離れた位置に配置された運転助手と交換される情報に関連するものであり得る。
【0087】
画像52は、例えば、時間履歴、経路統計といった、走路に関する情報に更に関連するものであり得る。
【0088】
乗員は、操作手段33によって、ヘッドアップディスプレイ30を無効化する。
【0089】
そのような無効化に従って、カバー要素65は、第2の位置(図3)から第1の位置(図2)に戻る。
【0090】
本発明の考察から、それによって得ることのできる利点は明らかである。
【0091】
より詳細には、投影ユニット32はダッシュボード25の領域26内に収容され、領域19はフロントガラス5によって画定される。
【0092】
このようにして、一方では、ダッシュボード25からセンターディスプレイを削減する、又は完全に無くすことさえ可能となり、他方では、フロントガラス5の領域19上に投影された画像29、51、52によって、運転に必要ではない付属情報が提供される。
【0093】
したがって、運転の快適性を損なうことなく、ダッシュボード25の形状及び寸法の構想における、設計者の自由度を高めることができる。
【0094】
更に、自動車1の状態に関する前述した情報は、操作手段33が作動することに従ってのみ、すなわち、安全運転のために実際に必要なときにのみ、乗員に利用可能となる。
【0095】
画像29、51がフロントガラス5の領域19上に形成されるということにより、運転者は、フロントガラス5自体から目を逸らすことなく、かつ事故を引き起こす可能性のある注意散漫のリスクを制限して、それぞれの情報を取得することができる。
【0096】
また、画像29、51、52は、フロントガラス5に形成される虚像である。したがって、画像29、51、52は、視差効果なしに、自動車1の任意の箇所から適切に知覚される。
【0097】
画像29、51、52によって表される情報の性質及び特性は、処理ユニット31を適切にプログラミングすることによって選択することができ、したがって、そのような情報を、自動車1の乗員の好みに基づいて、かつ自動車1の道路上又は走路上での用途に基づいて、パーソナライズすることができる。
【0098】
フィルム60により、自動車1の乗員が偏光眼鏡を着用している場合であっても、自動車1の乗員へ画像29、51、52を適切に表示することができる。
【0099】
最後に、本発明に従って製造された自動車1に、修正及び変形を加えることができることは明らかであるが、これらは特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から外れるものではない。
【0100】
特に、投影ユニット32は、その焦点に配置された、発光ダイオードディスプレイ、又は液晶ディスプレイを備えることができる。
【0101】
ダッシュボード25は、シート21の正面、かつステアリングホイール24の前方に配置された、インスツルメントパネルを備えることができる。
【0102】
インスツルメントパネルは、自動車の瞬間速度、及び動力ユニットの駆動シャフトの回転数を示す回転速度計など、運転に必要な情報を運転者に利用可能にすることが想定される。
【0103】
ダッシュボード25は、カバー要素65を備えないこともあり得る。
図1
図2
図3
【外国語明細書】