(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180243
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ブロックされたポリウレタンプレポリマーを含む一成分系
(51)【国際特許分類】
C08G 18/80 20060101AFI20231213BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20231213BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20231213BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20231213BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20231213BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20231213BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20231213BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20231213BHJP
D06N 3/14 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C08G18/80 093
C08G18/10
C08G18/48
C08G18/32 025
C08G18/73
C08G18/75
C08G18/76
C08G18/48 054
C08G18/32 006
C08G18/66 074
D06N3/14 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093764
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】22177717
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス プクロップ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ナッケ
(72)【発明者】
【氏名】ジルヴィア ヘルダ
(72)【発明者】
【氏名】エマヌイル スピロウ
(72)【発明者】
【氏名】グイド ストロイケンス
【テーマコード(参考)】
4F055
4J034
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055BA10
4F055FA16
4F055GA01
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4F055GA11
4J034BA06
4J034BA08
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4J034CC67
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4J034QA05
4J034QB14
4J034QC03
4J034RA05
4J034RA07
4J034RA09
(57)【要約】
【課題】一成分系、その製造方法、その使用及び人造皮革及び(人造)皮革コーティングを製造するためにそれを使用する方法を提供する。
【解決手段】一成分系は、a)少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールとをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、ここで、少なくとも1種のジオール又はポリオールが、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールであり、全ての未反応イソシアネート基が少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、及びb)少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミンを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一成分系であって、
a)少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールとをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、
ここで、少なくとも1種のジオール又はポリオールが、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールであり、全ての未反応イソシアネート基が、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、及び
b)少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミン
を含む、前記一成分系。
【請求項2】
前記プレポリマーが、ジイソシアネートをベースとしていることを特徴とする、請求項1に記載の一成分系。
【請求項3】
1種もしくは少なくとも1種のジイソシアネートが、(環状)脂肪族ジイソシアネートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の一成分系。
【請求項4】
1種もしくは少なくとも1種のジイソシアネートが、HDI、TMDI、H12MDI、IPDI、TMXDI、XDI、MDI及びTDIから選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の一成分系。
【請求項5】
1種もしくは少なくとも1種のジイソシアネートが、IPDIであることを特徴とする、請求項4に記載の一成分系。
【請求項6】
前記プレポリマーが、1種又は2種、好ましくは2種の、ジオールをベースとしていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の一成分系。
【請求項7】
前記プレポリマーは、80~100重量%が第1のジオールをベースとしており、かつ0~20重量%が第2のジオールをベースとしており、ここで、重量の記載は、ジオールの全質量を基準としていることを特徴とする、請求項6に記載の一成分系。
【請求項8】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の一成分系。
【請求項9】
前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が、950~1200g/molであることを特徴とする、請求項8に記載の一成分系。
【請求項10】
前記の第2のジオールが、炭素原子2~10個を有する炭化水素ジオールであることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の一成分系。
【請求項11】
前記炭化水素ジオールが、エチレングリコール、n-プロピレングリコール、イソプロパングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、n-ブチレングリコール、n-ペンチルグリコール、n-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリプロピレングリコール及び1,10-デカンジオールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の一成分系。
【請求項12】
前記の少なくとも1種のマロン酸エステルが、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジイソプロピルマロネート及びモノエチルマロネートから選択されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の一成分系。
【請求項13】
前記マロン酸エステルが、ジエチルマロネートであることを特徴とする、請求項12に記載の一成分系。
【請求項14】
前記ジアミン及び/又はポリアミンが、ジアミンであり、かつイソホロンジアミン、4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′-メチレンビス(2-メチルシクロヘキサンアミン)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの混合物、ヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びポリオキシプロピレンジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の一成分系。
【請求項15】
人造皮革又は(人造)皮革コーティングを製造するための、請求項1から14までのいずれか1項に記載の一成分系の使用。
【請求項16】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の一成分系を製造する方法であって、
900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコール及び任意にさらなるジオール及び/又はポリオールをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーであって、前記ポリウレタンプレポリマーの全ての未反応イソシアネート基が少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーと、
少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミンと
を互いに混合する、前記方法。
【請求項17】
人造皮革を製造する方法であって、請求項1から14までのいずれか1項に記載の一成分系を支持体に塗布し、かつ熱硬化させる、前記方法。
【請求項18】
(人造)皮革コーティングを製造する方法であって、請求項1から14までのいずれか1項に記載の一成分系を、1枚の人造皮革又は皮革に塗布し、かつ熱硬化させる、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人造皮革及び(人造)皮革コーティングの製造に使用することができる、一成分系、及びその製造方法に関する。本発明は、さらに、人造皮革又は(人造)皮革コーティングを製造するための該一成分系の使用及び人造皮革又は(人造)皮革コーティングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人造皮革は、プラスチックを使用して製造された繊維状の及び他の柔軟なシート状製品であり、使用目的に相応して部分的に皮革に似た特性及び/又は表面構造(例えば型押し)を有する被覆層を有していてよい。用語「人造皮革」は、その際に、殊に、少なくとも1つの支持体層(例えば紙、綿又はプラスチック、殊にポリエステルからなる)及び少なくとも1つの平面状に取り付けられた(例えば塗布された)プラスチックコーティングを含む皮革様材料であると理解される。
【0003】
それに対して、「(人造)皮革コーティング」は、人造皮革に典型的な特別な特性を達成するために、天然皮革又は人造皮革のいずれかに塗布することができるプラスチックコーティングである。
【0004】
最近、少なくとも二官能性のアルコール及び/又はアミンで架橋されるポリウレタンプレポリマーをベースとするプラスチックは、それから生じる人造皮革及び(人造)皮革コーティングの特に有利な特性をもたらすことが判明している。ポリウレタンプレポリマーは、その際に、不足量のポリオールと、過剰量のジイソシアネート又はポリイソシアネートとから製造できる、少なくとも1個のウレタン結合を有するオリゴマー又はポリマーのイソシアネート末端反応生成物であると理解すべきである。ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、ポリオール成分とから製造される純粋なポリウレタンプレポリマーは、上記の架橋剤とすでに室温で反応するかもしれないので、これらは、別個の容器中で貯蔵しなければならない。そのため、これに属する技術は、2成分技術と呼ばれる。
【0005】
特開2014-105250号公報(JP 2014-105250 A)には、水酸基末端ウレタンプレポリマー20~80質量%と、ウレタン基をもたないオリゴマー20~80質量%とから製造された、水酸基含有ウレタンプレポリマーを含有するウレタンプレポリマー組成物が開示されている。この組成物は、対応する架橋剤を有する2成分系の成分として、合成擬革に加工される。
【0006】
中国特許出願公開第102758359号明細書(CN 102758359 A)には、2成分系をベースとするポリウレタン発泡コーティングの製造方法が開示されており、最初に、下のフォーム層が、ポリウレタン成分A(ポリオール又はポリアミン)と、ポリウレタン成分B(ジイソシアネートベースのイソシアネートモノマー又はイソシアネートとポリオールとのプレポリマー)とから製造され、引き続き、その上が、水系ポリウレタンと架橋剤(脂肪族エポキシ樹脂又はポリイソシアネート)とを含有する水系ポリウレタン組成物でコーティングされる。このポリウレタン発泡コーティングは、合成皮革として使用することができる。
【0007】
特開2006-316127号公報(JP 2006-316127 A)には、活性水素原子を有する化合物とポリイソシアネートとを含有する無溶剤型硬化性ウレタン樹脂組成物が開示されており、該ポリイソシアネートは、グリコールとジイソシアネートとの付加物である。この組成物を用いて、合成皮革を製造することができる。
【0008】
欧州特許出願公開第3514189号明細書(EP 3 514 189 A1)には、人造皮革の製造に適している2成分系が開示されている。このポリオール成分は、ジイソシアネート及びイソシアヌレートと、ポリオール成分との反応生成物をベースとしている。
【0009】
2成分系は、迅速に反応する欠点を有するので、双方の成分は、別個に貯蔵しなければならない。さらに、装置中で部分的に望ましくない方法で硬化することがある。この理由から、ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基が化学的に可逆的にブロックされているため、すでに架橋剤の添加の際に室温での反応が回避される、一成分系が開発された。従来技術において慣用されるのは、そのイソシアネート基をオキシム又はラクタムでのブロックすることである。
【0010】
例えば、特開2006-070059号公報(JP 2006-070059 A)には、一成分系における使用に適した、ポリカーボネートジオールと有機ジイソシアネートとから製造されたポリウレタンプレポリマーが開示されており、そのイソシアネート基が引き続きブロックされている。好ましくは、該プレポリマーは、ケトオキシム又はラクタムでブロックされていた。
【0011】
しかしながら、ケトオキシム及びラクタムでブロックする欠点は、とりわけ、脱ブロックの際に有毒な副生物が脱離されることである。
【0012】
この問題を解決するために、従来技術は、代替的にプレポリマーをマロネートでブロックすることを教示する。
【0013】
独国特許出願公開第19622136号明細書(DE 196 22 136 A1)には、イソシアネート-ポリオールプレポリマーをマロネートでブロックする方法が開示されている。
【0014】
独国特許出願公開第112005001991号明細書(DE 11 2005 001 991 T5)には、TDI及びジオールをベースとしているプレポリマーが開示されており、該プレポリマーは、ジエチルマロネートでブロックされていた。
【0015】
米国特許第4240943号明細書(US 4,240,943 A)には、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリエステルジオールとをベースとするウレタンプレポリマーが開示されており、該ウレタンプレポリマーは、引き続きジエチルマロネートでブロックされていた。
【0016】
国際公開第2014/039306号(WO 2014/039306 A1)には、ジエチルマロネートでブロックされたH12MDI-ポリTHFプレポリマーの製造が開示されている。
【0017】
欧州特許出願公開第3712188号明細書(EP 3 712 188 A1)には、少なくとも1種のジイソシアネートと、数平均分子量が400以上5000以下であり、且つ水酸基平均数が3以上8以下であるポリオールとを含むポリイソシアネート組成物が開示されており、該ジイソシアネートは、マロネートであってよいブロック剤と反応されていてよい。
【0018】
米国特許第5863983号明細書(US 5,863,983)には、(とりわけスルホネートでブロックされたポリオールを)イソシアネートと反応させ、引き続き、マロネートでブロックする方法が開示されている。
【0019】
従来技術には、さらに、マロネートでブロックされたプレポリマーと、ジオールもしくはポリオールとの反応が教示されている。
【0020】
米国特許第4518522号明細書(US 4,518,522 A)には、例えば、異なる数平均分子量を有するポリアルキレングリコールと、異なるジイソシアネートとからとりわけ製造されるプレポリマーが開示されている。
【0021】
西独国特許出願公開第2550156号明細書(DE 25 50 156 A1)には、62乃至約300g/molの分子量を有するポリヒドロキシル化合物とイソシアネートとから、引き続き、例えばマロン酸ジエチルエステルでブロックすることから製造できる、ブロックトポリイソシアネート混合物が開示されている。この混合物は、焼付ラッカーにおいて使用され、その際に、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有し、かつ約400乃至約50000g/molの分子量を有する化合物と反応される。
【0022】
欧州特許出願公開第3689936号明細書(EP 3 689 936 A1)には、ブロックポリイソシアネートと、多価ヒドロキシ化合物とを有していてよい塗料組成物が開示されている。このブロックポリイソシアネートは、親水性化合物との反応により形成されたウレタン単位を有していてよい。該親水性化合物は、エチレンオキシドをベースとする、好ましくは30個以下のエチレンオキシド単位を有する、ポリエーテルポリオールであってよい。
【0023】
欧州特許出願公開第53766号明細書(EP 53 766 A1)には、イソシアネートとポリオールとのプレポリマーを含む組成物が開示されており、該イソシアネートは、マロネートでブロック化され、かつポリオールで硬化される。該明細書に記載された系を用いて、被覆物が製造される。アミンでの硬化は、該明細書には不利であるとして示されている。
【0024】
従来技術には、さらに、マロネートでブロックされたプレポリマーをアミンで硬化することが記載されている。アミンでの硬化は、その際に、より迅速に及び/又は触媒なしで実施できる利点を有する。さらに、硬化に適した通常のジオール及びポリオールは、吸湿性であるという欠点を有する。
【0025】
欧州特許出願公開第3348593号明細書(EP 3 348 593 A1)には、ジイソシアネートと、マロン酸ジエステルとのブロックポリイソシアネートが開示されている。このポリイソシアネートは、ジイソシアネートを、2~6価のアルコール(例えばトリメチロールプロパン)と 反応させることによって製造することができる。この明細書には、該ブロックポリイソシアネートの、ポリアミンを含んでいてもよい一液型組成物における使用が開示されている。
【0026】
米国特許第5071937号明細書(US 5,071,937 A)には、イソシアネートと400~10000g/molの分子量を有するポリオールとのマロネートでブロックされたイソシアネートプレポリマー並びに立体障害芳香族ポリアミンを有する、コーティング組成物が開示されている。さらに、多様な目的に使用することができるコーティング組成物を製造するための、それらの製造に使用されるポリオールと一緒の、それらの使用が開示されている。しかしながら、芳香族アミンの使用は、潜在的な健康リスクに関して並びに生じたコーティングのマイナス特性のために不利である。
【0027】
従来技術には、さらに、ポリエーテルとイソシアネートとをベースとする、マロネートでブロックされたプレポリマーを、アミンで硬化させることが開示されている。
【0028】
米国特許第4439593号明細書(US 4,439,593 A)及び米国特許第4677180号明細書(US 4,677,180 A)には、イソシアネートとポリオールとからの、マロネートでブロックされたプレポリマーを有する、コーティング組成物が開示されている。該ポリオールは、100~10000g/mol、好ましくは400~8000g/molもしくは800~8000g/molの数平均分子量を有する化合物である。好ましくは、該化合物はポリエーテルである。該コーティング組成物は、さらに、ジアミンを含有していてよく、かつ多様な目的に使用することができる。使用できるアミンは、とりわけイソホロンジアミン及び4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタンを含む。
【0029】
欧州特許出願公開第0034272号明細書(EP 0 034 272)には、ブロックされたNCOプレポリマーとポリアミンとを含むコーチングペーストが使用される、スエード様表面を有するシート製品の製造方法が開示されている。該NCOプレポリマーは、500ないし10000、好ましくは1000ないし6000g/molの分子量を有し、水酸基を有する化合物と、多様なジイソシアネートとから製造されていてよい。好ましいのは、1000ないし6000g/molの平均分子量を有するポリプロピレンオキサイドポリエーテルである。このブロッキングは、とりわけ、マロン酸エステルで行うことができるが、しかしながら好ましいのはブタノンオキシムである。
【0030】
国際公開第2017/107064号(WO 2017/107064 A1)には、少なくとも1つのブロックされたイソシアネート末端プレポリマー(ポリオール成分及びイソシアネート成分から調製される)と、少なくとも1つのポリアミンとを含む、とりわけ皮革品の製造又は被覆に適した組成物が開示されている。該ポリオール成分は好ましくは、数平均分子量が2000~8000g/mol、さらに好ましくは2500~7000g/mol及び非常に好ましくは3000~6500g/molである。この成分は、ポリエーテルポリオールであってよい。該イソシアネート成分は、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートであってよい。該プレポリマーは、とりわけ、マロネートでブロックされていてよい。
【0031】
しかしながら、従来技術に記載された一成分(1K)組成物では、十分に良好な特性を有する人造皮革及び(人造)皮革コーティングを製造することができない。殊に、これまで公知の1K組成物では、十分に良好な引張強さ及び伸び値を、良好な弾性率値との組合せで達成することができない。望ましいのは、17~23N/mm2の引張強さ、600~900重量%の伸び値及び100%で2~4.5MPa、200%で4~7MPa及び300%で5.5~10MPaの弾性率値である(全ての値はDIN EN ISO 527により測定)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2014-105250号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第102758359号明細書
【特許文献3】特開2006-316127号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第3514189号明細書
【特許文献5】特開2006-070059号公報
【特許文献6】独国特許出願公開第19622136号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第112005001991号明細書
【特許文献8】米国特許第4240943号明細書
【特許文献9】国際公開第2014/039306号
【特許文献10】欧州特許出願公開第3712188号明細書
【特許文献11】米国特許第5863983号明細書
【特許文献12】米国特許第4518522号明細書
【特許文献13】西独国特許出願公開第2550156号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第3689936号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第53766号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第3348593号明細書
【特許文献17】米国特許第5071937号明細書
【特許文献18】米国特許第4439593号明細書
【特許文献19】米国特許第4677180号明細書
【特許文献20】欧州特許出願公開第0034272号明細書
【特許文献21】国際公開第2017/107064号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
それに応じて、本発明の課題は、従来技術の欠点を回避することである。殊に、本発明の課題は、硬化の際に有毒な副生物を解離せず、かつ殊に上記のパラメーター、例えば引張強さ、伸び及び弾性率に関して、良好な特性を有する人造皮革及び(人造)皮革コーティングを製造することができる、一成分組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この課題は、以下のものを含む、本発明による一成分系によって解決される:
a)少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールとをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、ここで、少なくとも1種のジオール又はポリオールが、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールであり、該ポリウレタンプレポリマーの全ての未反応イソシアネート基が、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、及び
b)少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミン。
【0035】
a)ポリウレタンプレポリマー
少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールと「をベースとする(auf Basis)」ポリウレタンプレポリマーは、その際に、不足量の少なくとも1種のジオール及び/又は少なくとも1種のポリオールと、過剰量の少なくとも1種のジイソシアネート及び/又は少なくとも1種のポリイソシアネートとから製造できる、少なくとも2個のウレタン結合(前記の少なくとも1種のジオール又はポリオールのヒドロキシ基のそれぞれ1個と、該ジイソシアネート又はポリイソシアネートのイソシアネート基のそれぞれ1個との反応により形成される)を有するオリゴマー又はポリマーのイソシアネート末端反応生成物であると理解すべきであり、その未反応の末端イソシアネート基は、引き続きブロックされている。前記の(1個以上の)未反応イソシアネート基を前記の少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックすることは、該マロン酸エステルのα位のCH酸性炭素原子が前記の(1個以上の)イソシアネート基の求電子性炭素原子に結合することによって行われる。
【0036】
ジイソシアネート/ポリイソシアネート
原則的に、該プレポリマーは、1種以上のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートをベースとしている。しかしながら、特に良好な特性は、該プレポリマーが1種のジイソシアネート又はポリイソシアネートをベースとする場合に生じる。ポリイソシアネートは、その際に、少なくとも3個のイソシアネート基を有する化合物であると理解すべきである。
【0037】
原則的に、該プレポリマーは、少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートをベースとしていてよい。しかしながら、特に良好な特性は、少なくとも1種のジイソシアネート又は少なくとも1種のポリイソシアネートで達成される。さらに好ましくは、該プレポリマーは、1種のジイソシアネート又は1種のポリイソシアネートをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、該プレポリマーは、1種のジイソシアネートをベースとしている。
【0038】
好ましくは、該プレポリマーは、少なくとも1種の(環状)脂肪族ジイソシアネート、すなわち、環状基及び/又は脂肪族基に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のジイソシアネートをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、該プレポリマーは、1種の(環状)脂肪族ジイソシアネートをベースとしている。芳香族化合物(すなわち非(環状)脂肪族化合物)をベースとする系は、殊に黄変に関して、不利な特性をまねく。
【0039】
さらに好ましくは、前記の少なくとも1種のジイソシアネートは、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、TMDI(2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物)、H12MDI(4,4′-メチレン-ビス-(シクロヘキシルイソシアネート))、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、TMXDI(o-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物)、XDI(o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物)、MDI(ジフェニルメタン-2,2′-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4′-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート又はそれらの混合物)、TDI(トルエン-2,4-ジイソシアネート)から選択される。さらにいっそう好ましくは、前記の少なくとも1種のジイソシアネートは、HDI、TMDI、H12MDI及びIPDIから選択される。特に良好な結果は、前記の1種のジイソシアネートがHDI、TMDI、H12MDI、IPDI、TMXDI、XDI、MDI及びTDIから選択される場合に生じる。極めて特に良好な結果は、前記の1種のジイソシアネートがHDI、TMDI、H12MDI及びIPDI(イソホロンジイソシアネート)から選択される場合に生じる。最良の結果は、該ジイソシアネートがIPDIである場合に生じる。
【0040】
該プレポリマーは、少なくとも1種のポリイソシアネートをベースとしていてもよい。好ましいのは、さらに、該プレポリマーが、少なくとも1種の、好ましくは1種の、ジイソシアネートと、少なくとも1種の、さらに好ましくは1種の、ポリイソシアネートとをベースとしていることである。特に好ましくは、該ポリイソシアネートは、IPDI、HDI、H12MDI又はTDIに由来する1種のポリイソシアネートである。特に好ましいポリイソシアネートは、対応するイソシアヌレート、極めて特に好ましくはIPDI及びHDIのイソシアヌレートである。
【0041】
該プレポリマーは、ジイソシアネート及びポリイソシアネートの全質量を基準として、好ましくは0~40重量%、さらに好ましくは0~30重量%、さらにいっそう好ましくは0~20重量%がポリイソシアネートをベースとしている。
【0042】
ジオール/ポリオール
原則的に、該プレポリマーは、1種のジオール又は2種以上のジオール及び/又は1種のポリオール又は2種以上のポリオールをベースとしている。しかしながら、特に良好な特性は、該プレポリマーが1種のジオール又はポリオール又は全部で2種のジオール又はポリオールをベースとしている場合に生じる。ポリオールは、その際に、少なくとも3個のヒドロキシ基を有する化合物であると理解すべきである。特に良好な特性は、少なくとも1種のジオールで達成される。さらに好ましくは、該プレポリマーは、1種又は2種、さらに好ましくは2種の、ジオールをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、該プレポリマーは、80~100重量%が第1のジオールをベースとしており、かつ0~20重量%が第2のジオールをベースとしており、ここで、重量の記載は、ジオールの全質量を基準としている。極めて特に好ましくは、該プレポリマーは、2種のジオールをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、該プレポリマーは、80~99.9重量%、さらにいっそう好ましくは80~95重量%が第1のジオールをベースとしており、かつ0.1~20重量%、さらにいっそう好ましくは5~20重量%が第2のジオールをベースとしており、ここで、重量の記載は、ジオールの全質量を基準としている。
【0043】
本発明によれば、少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールは、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールであり、ここで、該数平均分子量は、DIN EN ISO 13885-1に従い、GPC及び溶離液としてTHFを用いて決定される。1種のみのジオール又はポリオールが使用される場合には、該プレポリマーは、もっぱら、ジオール/ポリオールとして900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールをベースとしている。
【0044】
1種を上回るジオール又はポリオールが使用される場合には、該ポリアルキレングリコールの割合は、該ポリウレタンプレポリマーの製造の際に存在している他のジオール及び/又はポリオールの全質量を基準として、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、さらにいっそう好ましくは少なくとも70重量%である。好ましくは、該ポリアルキレングリコールは、前記の第1のジオールである。
【0045】
特に良好な結果は、該ポリアルキレングリコールが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリTHF、PolyTHF)である場合に達成される。さらにいっそう好ましくは、前記の第1のジオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである。
【0046】
最良の結果は、該ポリテトラメチレンエーテルグリコールが、950~2100g/molの数平均分子量を有する場合に達成される。対応する好ましい市販製品は、polyTHF1000、polyTHF1800及びpolyTHF2000(BASF)である。極めて特に好ましくは、その数平均分子量は950~1200g/molである。対応する極めて特に好ましい市販製品は、polyTHF1000(BASF)である。
【0047】
該プレポリマーが、1種のみを上回るジオール/ポリオールをベースとする場合には、該プレポリマーの製造には、該ポリアルキレングリコールだけではなく、少なくとも1種のさらなるジオール又はポリオール、好ましくは1種の第2のジオール又はポリオールも使用される。好ましくは、該プレポリマーは、該ポリアルキレングリコールと、1種のさらなるジオール又はポリオールとをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、該プレポリマーは、該ポリアルキレングリコールと、1種の第2のジオールとをベースとしている。
【0048】
良好な特性を達成するために、前記のさらなる又は第2のジオールは、
- ヒドロキシル末端ポリエステルジオール、殊にアジペートジオール、スクシネートジオール及びフタレートジオール、好ましくは500~3000g/mol、特に好ましくは1000~2000g/molの数平均分子量を有する、
- ヒドロキシル末端ポリカーボネートジオール、好ましくは500~3000g/mol、さらに好ましくは1000~2000g/molの数平均分子量を有する、
- ヒドロキシル末端ポリカプロラクトンジオール、好ましくは500~3000g/mol、さらに好ましくは1000~2000g/molの数平均分子量を有する、及び
- 炭素原子2~10個を有する炭化水素ジオール
からなる群から選択される。
【0049】
極めて特に好ましくは、前記のさらなるもしくは第2のジオールは、炭素原子2~10個を有する炭化水素ジオールである。さらに好ましくは、該プレポリマーは、エチレングリコール、n-プロピレングリコール、イソプロパングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、n-ブチレングリコール及びn-ペンチルグリコール、n-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリプロピレングリコール及び1,10-デカンジオールから選択される炭化水素ジオールをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、該プレポリマーは、エチレングリコール、n-プロピレングリコール、イソプロパングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、n-ブチレングリコール及びn-ペンチルグリコール、n-ヘキサンジオールから選択される炭化水素ジオールをベースとしている。特に好ましくは、該プレポリマーは、n-ブチレングリコールをベースとしている。
【0050】
特に好ましくは、該プレポリマーは、950~1200g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコールと、n-ブチレングリコールとをベースとしている。
【0051】
マロン酸エステル
該ポリウレタンプレポリマーの製造の際にジオール又はポリオールが不足量で使用されるので、生じる中間生成物は、未反応イソシアネート基を有する。これらのイソシアネート基は、該ポリウレタンプレポリマーの製造の際に、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされた。その際に、以前に遊離型のイソシアネート残基は、モノアルキルマロネート並びにジアルキルマロネートでブロックされていてよい。好ましくは、1種のマロン酸エステルでブロックされる。さらにいっそう好ましくは、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジイソプロピルマロネート及びモノエチルマロネートから選択される1種のマロン酸エステルでブロックされる。極めて特に好ましくは、ジエチルマロネートでブロックされる。
【0052】
該プレポリマーの製造方法
以下に、前記の一成分系中に含まれるポリウレタンプレポリマーの製造が記載される。この製造の際に、a)少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールは、過剰量の少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと反応され、引き続き、b)未反応イソシアネート基は、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされる。
【0053】
原則的に、1種以上のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを使用することができる。しかしながら、特に良好な特性は、1種のジイソシアネート又はポリイソシアネートが使用される場合に生じる。ポリイソシアネートは、その際に、少なくとも3個のイソシアネート基を有する化合物であると理解すべきである。
【0054】
原則的に、少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを使用することができる。しかしながら、特に良好な特性は、少なくとも1種のジイソシアネート又は少なくとも1種のポリイソシアネートで達成される。よりいっそう好ましくは、1種のジイソシアネート又はポリイソシアネートが使用される。さらにいっそう好ましくは、1種のジイソシアネートが使用される。
【0055】
極めて特に好ましくは、少なくとも1種の(環状)脂肪族ジイソシアネート、すなわち、環状基及び/又は脂肪族基に結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のジイソシアネートが使用される。さらにいっそう好ましくは、1種の(環状)脂肪族ジイソシアネートが使用される。芳香族化合物をベースとするポリマーは、殊にその後の使用における黄変に関して、不利な特性を有する。
【0056】
さらに好ましくは、前記の少なくとも1種のジイソシアネートは、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、TMDI(2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物)、H12MDI(4,4′-メチレン-ビス-(シクロヘキシルイソシアネート))、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、TMXDI(o-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物)、XDI(o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物)、MDI(ジフェニルメタン-2,2′-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4′-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート又はそれらの混合物)、TDI(トルエン-2,4-ジイソシアネート)から選択される。さらにいっそう好ましくは、前記の少なくとも1種のジイソシアネートは、HDI、TMDI、H12MDI及びIPDIから選択される。特に良好な結果は、前記の1種のジイソシアネートが、HDI、TMDI、H12MDI、IPDI、TMXDI、XDI、MDI及びTDIから選択される場合に生じる。極めて特に良好な結果は、前記の1種のジイソシアネートが、HDI、TMDI、HMDI及びIPDIから選択される場合に生じる。最良の結果は、該ジイソシアネートがIPDIである場合に生じる。
【0057】
本方法の場合に、少なくとも1種のポリイソシアネートも使用することができる。好ましいのは、さらに、本発明による方法の際に、少なくとも1種、好ましくは1種の、ジイソシアネート及び少なくとも1種、さらに好ましくは1種の、ポリイソシアネートが使用されることである。特に好ましくは、IPDI、HDI、H12MDI又はTDIに由来するポリイソシアネートが使用される。特に好ましいポリイソシアネートは、対応するイソシアヌレート、極めて特に好ましくはIPDI及びHDIのイソシアヌレートである。
【0058】
本方法の場合に、ジイソシアネート及びポリイソシアネートの全質量を基準として、好ましくは0~40重量%、さらに好ましくは0~30重量%、さらにいっそう好ましくは0~20重量%のポリイソシアネートが使用される。
【0059】
本方法は、少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートに加えて、少なくとも1種以上のジオール及び/又は1種以上のポリオールを使用する。しかしながら、特に良好な特性は、1種のジオール又はポリオール又は全部で2種のジオールもしくはポリオール又は1種のジオールと1種のポリオールとの混合物が使用される場合に生じる。ポリオールは、その際に、少なくとも3個のヒドロキシ基を有する化合物であると理解すべきである。特に良好な特性は、少なくとも1種のジオールで達成される。さらに好ましくは、1~2種のジオールが使用される。極めて好ましくは、2種のジオールが使用される。さらにいっそう好ましくは、80~100重量%の第1のジオール及び0~20重量%の第2のジオールが使用され、ここで、重量の記載は、ジオールの全質量を基準としている。極めて特に好ましくは、該プレポリマーは、2種のジオールをベースとしている。さらにいっそう好ましくは、80~99.9重量%、さらにいっそう好ましくは80~95重量%の第1のジオール及び0.1~20重量%、さらにいっそう好ましくは5~20重量%の第2のジオールが使用され、ここで、重量の記載は、ジオールの全質量を基準としている。
【0060】
少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールは、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールであり、ここで、該数平均分子量は、DIN EN ISO 13885-1に従い、GPC及び溶離液としてTHFを用いて決定される。
【0061】
1種を上回るジオール又はポリオールが使用される場合には、該ポリアルキレングリコールの割合は、該ポリウレタンプレポリマーの製造の際に存在している他のジオール及び/又はポリオールの全質量を基準として、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、さらにいっそう好ましくは少なくとも70重量%である。
【0062】
特に良好な結果は、該ポリアルキレングリコールがポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリTHF、PolyTHF)である場合に達成される。さらにいっそう好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである。
【0063】
最良の結果は、該ポリテトラメチレンエーテルグリコールが、950~2100g/molの数平均分子量を有する場合に達成される。対応する好ましい市販製品は、polyTHF1000、polyTHF1800及びpolyTHF2000(BASF)である。極めて特に好ましくは、その数平均分子量は950~1200g/molである。対応する極めて特に好ましい市販製品は、polyTHF1000(BASF)である。
【0064】
1種のみを上回るジオール/ポリオールをベースとするプレポリマーの製造には、該ポリアルキレングリコールだけではなく、少なくとも1種のさらなる又は第2のジオール又はポリオール、好ましくは1種のさらなる又は第2のジオールも使用される。
【0065】
生じるプレポリマーの良好な特性の達成のために、前記のさらなる又は第2のジオールは、
- ヒドロキシル末端ポリエステルジオール、殊にアジペートジオール、スクシネートジオール及びフタレートジオール、好ましくは500~3000g/mol、特に好ましくは1000~2000g/molの数平均分子量を有する、
- ヒドロキシル末端ポリカーボネートジオール、好ましくは500~3000g/mol、さらに好ましくは1000~2000g/molの数平均分子量を有する、
- ヒドロキシル末端ポリカプロラクトンジオール、好ましくは500~3000g/mol、さらに好ましくは1000~2000g/molの数平均分子量を有する、及び
- 炭素原子2~10個を有する炭化水素ジオール
からなる群から選択される。
【0066】
特に好ましくは、本方法の際に、さらなるもしくは第2のジオールとして、炭素原子2~10個を有する炭化水素ジオールが使用される。
【0067】
さらに好ましくは、エチレングリコール、n-プロピレングリコール、イソプロパングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、n-ブチレングリコール及びn-ペンチルグリコール、n-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリプロピレングリコール及び1,10-デカンジオールから選択される炭化水素ジオールが使用される。さらにいっそう好ましくは、エチレングリコール、n-プロピレングリコール、イソプロパングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、n-ブチレングリコール及びn-ペンチルグリコール、n-ヘキサンジオールから選択される炭化水素ジオールが使用される。特に好ましくは、n-ブチレングリコールが使用される。
【0068】
極めて特に好ましくは、本方法の際に、2種のジオール、それも、800~1200g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール及びn-ブチレングリコールが使用される。
【0069】
反応工程a)は、好ましくは、溶剤の不在下で及び40~80℃、好ましくは50~70℃の温度で、実施することができる。さらに好ましくは、反応工程a)は触媒の存在下で実施される、それというのも、より速い反応時間及びより少ない粘度を達成することができるからである。好ましい触媒は、有機酸の、任意にアルキル置換された、スズ塩、亜鉛塩及びビスマス塩からなる群から選択されていてよい。極めて特に好ましい塩は、スズ、亜鉛及びビスマスの、任意にアルキル置換された、アセテート、ラウレート及びステアレートである。極めて特に好ましくは、本発明による方法の反応工程a)は、ジブチルスズジラウレート又は亜鉛オクトエートを用いて実施される。
【0070】
該ポリウレタンプレポリマーの製造の際に、ジイソシアネート又はポリイソシアネートは過剰量で使用される。それに応じて、生じる中間生成物は、未反応イソシアネート基を有する。これらのイソシアネート基はついで、反応工程b)において、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされる。その際に、以前に遊離型のイソシアネート残基は、モノアルキルマロネート並びにジアルキルマロネートでブロックされていてよい。好ましくは、1種のマロン酸エステルでブロックされる。さらにいっそう好ましくは、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジイソプロピルマロネート及びモノエチルマロネートから選択される1種のマロン酸エステルでブロックされる。極めて特に好ましくは、ジエチルマロネートでブロックされる。
【0071】
反応工程b)は、好ましくは溶剤の不在下で及び60~100℃、好ましくは70~90℃の温度で実施することができる。さらに好ましくは、反応工程b)は触媒の存在下で実施される。好ましい触媒は、有機酸の、任意にアルキル置換された、スズ塩、亜鉛塩及びビスマス塩からなる群から選択されていてよい。極めて特に好ましい塩は、スズ、亜鉛及びビスマスの、任意にアルキル置換された、アセテート、ラウレート、ステアレート、オクトエート、ネオデカノエート、アセトアセテート、オキサレート、アジペート及びグルコネートである。極めて特に好ましくは、本発明による方法の反応工程a)は、ジブチルスズジラウレート又は亜鉛オクトエートを用いて実施される。
【0072】
工程a)及びb)において使用される触媒は、同じか又は異なっていてよい。好ましくは、工程a)及びb)において同じ触媒が使用される。
【0073】
その触媒量は、全ての成分の全質量を基準として、好ましくは0.1~10重量%、好ましくは0.1~7重量%である。
【0074】
極めて特に好ましくは、工程a)における反応は、50~70℃の温度で1時間以内に行われる。極めて特に好ましくは、工程b)における反応は、該マロン酸エステルが70~90℃で1時間までの時間窓にわたって添加されるように行われる。典型的な反応時間は5~10hである。
【0075】
特に好ましくは、本発明による方法の際に、工程a)において、
5~50重量% IPDI、H12MDI、TMDI又はHDI、
0~30重量% IPDI、H12MDI、TMDI又はHDIのポリイソシアヌレート、
5~90重量% 1000、1800又は2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール(市販製品PolyTHF 1000、PolyTHF1800もしくはPolyTHF2000に相当)、
0~50重量% ブタンジオール及び
0.1~10重量% 亜鉛オクトエート
からなる混合物が反応される。パーセントの記載は、ここでは、その組成物の全質量を基準としている。引き続き、好ましくは
5~50重量% ジエチルマロネート(組成物及びジエチルマロネートの全質量を基準として)
が添加されてよく、かつ工程b)を実施することができる。
【0076】
極めて特に好ましくは、本発明による方法の際に、工程a)において、
10~30重量% IPDI、H12MDI、TMDI又はHDI、
0~5重量% IPDI、H12MDI、TMDI又はHDIのポリイソシアヌレート、
20~80重量% 1000、1800又は2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール、
0~20重量% ブタンジオール及び
0.1~7重量% 亜鉛オクトエート
からなる混合物が反応される。パーセントの記載は、ここでは、その組成物の全質量を基準としている。好ましくは、引き続き、
5~25重量% ジエチルマロネート(組成物及びジエチルマロネートの全質量を基準として)
が添加されてよく、かつ工程b)を実施することができる。
【0077】
さらにいっそう好ましくは、本発明による方法の際に、工程a)において、
10~30重量% IPDI、H12MDI、TMDI又はHDI、
1~5重量% IPDI、H12MDI、TMDI又はHDIのポリイソシアヌレート、
20~80重量% 1000、1800又は2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール、
0~20重量% ブタンジオール及び
0.1~7重量% 亜鉛オクトエート
からなる混合物が反応される。パーセントの記載は、ここでは、その組成物の全質量を基準としている。好ましくは、引き続き、
5~25重量% ジエチルマロネート(組成物及びジエチルマロネートの全質量を基準として)
が添加されてよく、かつ工程b)を実施することができる。
【0078】
本発明の対象は、それに応じて、前記の方法のうちの1つによって得ることができる前記の1種のプレポリマーを含む、キットでもある。
【0079】
b)ジアミン/ポリアミン
該一成分系は、少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミンを有する。ジアミンは2個のアミノ基を有する。ポリアミンは3個以上のアミノ基を有する。好ましくは、該一成分系は少なくとも1種のジアミンを有する。極めて特に好ましくは、該一成分系は1種のジアミンを有する。さらにいっそう好ましくは、該ジアミンは、1種の(環状)脂肪族アミン又は1種のポリエーテルアミンである。
【0080】
好ましくは、該ジアミンは、イソホロンジアミン(IPD)、4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、4,4′-メチレンビス(2-メチルシクロヘキサンアミン)(DMDC)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの混合物(TMD)、ヘキサンジアミン(HDA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)及びポリオキシプロピレンジアミンである。該ポリオキシプロピレンジアミンは、好ましくは、D-230と呼ばれるポリオキシプロピレンジアミンである。したがって、該ジアミンは、好ましくは、イソホロンジアミン(IPD)、4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、4,4′-メチレンビス(2-メチルシクロヘキサンアミン)(DMDC)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの混合物(TMD)、ヘキサンジアミン(HDA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)及びD-230と呼ばれるポリオキシプロピレンジアミンからなる群から選択されていてよい。
【0081】
本発明の対象は、さらに、該一成分系の製造方法であり、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコール及び任意にさらなるジオール及び/又はポリオールをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーであって、該ポリウレタンプレポリマーの全ての未反応イソシアネート基が、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーと、少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミンとを、互いに混合する。
【0082】
本発明の対象は、さらに、人造皮革又は(人造)皮革コーティングを製造するための、本発明によるポリウレタンプレポリマーの使用である。
【0083】
本発明の対象は、さらに、人造皮革又は(人造)皮革コーティングの製造方法であり、本発明による一成分系が使用される。特に好ましくは、本方法の際に、正確に1種のジアミン又はポリアミンを有する一成分系が使用される。極めて特に好ましくは、1種のジアミンを含有する系が使用される。極めて特に好ましくは、1種のポリウレタンプレポリマー及び1種のジアミンを含有する系が使用される。
【0084】
前記の人造皮革の製造方法は、好ましくは、該一成分系が、支持体に塗布され、かつ熱硬化されるように実施される。該熱硬化中又は熱硬化後に、さらに、表面構造のための型押し工程が設けられていてよい。該支持体は、好ましくは、繊維状支持体、好ましくは天然繊維又は人工繊維を含む支持体である。さらに好ましくは、該支持体は、紙、綿又はポリエステルである。
【0085】
前記の(人造)皮革コーティングの製造方法は、好ましくは、該一成分系が、1枚の人造皮革又は皮革に塗布され、かつ熱硬化されるように実施される。該熱硬化中又は熱硬化後に、さらに、表面構造のための型押し工程が設けられていてよい。
【0086】
該ポリウレタンプレポリマーが、室温で該一成分系中の前記の少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミンと反応しないので、該一成分系は貯蔵することができる。
【実施例0087】
1.該プレポリマーの製造
最初に、イソホロンジイソシアネートとPolyTHFとのプレポリマーを、第1表に示された秤量分で、DBTL 0.1重量%の存在下で、60℃で1時間かけて反応させることにより製造する。
【0088】
引き続き、該ジイソシアネートプレポリマーを、第1表に示された秤量分のジエチルマロネート(本発明による例)もしくはカプロラクタム/MEK-オキシム(比較例)と、亜鉛オクトエート2.0重量%の存在下で、80℃で8hかけて反応させることにより製造する。
【0089】
2.人造皮革製造
(人造)皮革コーティングの製造のために、得られたブロックされたプレポリマーを、ジアミン(PACMもしくはイソホロンジアミン)及びさらなる成分と、第1表による秤量分で、実験室用混合装置中で40℃の温度及び1200rpmの混合速度で混合する。
【0090】
この材料を、フィルムアプリケーターで剥離基材に塗布し、かつ120~150℃の温度で硬化させて(人造)皮革コーティングを得る。
【0091】
得られたコーティングの試験結果は、第2表にまとめられている。マロネートでブロックされたプレポリマーのみが、引張強さ、伸び及び弾性率の達成される値に関して最適なコーティングをもたらす。
【0092】
第1表
【表1】
*=本発明によらない比較例
IPDI:イソホロンジイソシアネート、Evonik Industries AG
PolyTHF 1000:PolyTHF(モル質量1000g/mol)、BASF
PolyTHF 650:PolyTHF(モル質量650g/mol)、BASF
PolyTHF 3000:PolyTHF(モル質量3000g/mol)、BASF
PACM:4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン、Evonik Industries AG
IPDA:イソホロンジアミン、Evonik Industries AG
ジエチルマロネート:Merck
MEK-オキシム及びアセチルアセトン:Merck
ε-カプロラクタム:BASF
TIB Kat 218:TIB Chemicals
Coscat 83:Erbsloeh
Borchikat 22及び0761:Borchers
Tegoglide B1484:Evonik Industries AG。
【0093】
第2表
【表2】
測定方法:
膜厚:DIN EN ISO 2360
引張強さ、伸び、弾性率100%、弾性率200%、弾性率300%:DIN EN ISO 527。
【0094】
本発明の態様は以下の通りである:
1. 一成分系であって、
a)少なくとも1種のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、少なくとも1種のジオール及び/又はポリオールとをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、
ここで、少なくとも1種のジオール又はポリオールが、900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールであり、全ての未反応イソシアネート基が、少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、及び
b)少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミン
を含む、前記一成分系。
【0095】
2. 前記プレポリマーが、ジイソシアネートをベースとしていることを特徴とする、態様1に記載の一成分系。
【0096】
3. 前記の1種もしくは少なくとも1種のジイソシアネートが、(環状)脂肪族ジイソシアネートであることを特徴とする、態様1又は2に記載の一成分系。
【0097】
4. 前記の1種もしくは少なくとも1種のジイソシアネートが、HDI、TMDI、H12MDI、IPDI、TMXDI、XDI、MDI及びTDIから選択されることを特徴とする、前記態様のいずれか1つに記載の一成分系。
【0098】
5. 前記の1種もしくは少なくとも1種のジイソシアネートが、IPDIであることを特徴とする、態様4に記載の一成分系。
【0099】
6. 前記プレポリマーが、1種又は2種、好ましくは2種の、ジオールをベースとしていることを特徴とする、前記態様のいずれか1つに記載の一成分系。
【0100】
7. 前記プレポリマーは、80~100重量%が第1のジオールをベースとしており、かつ0~20重量%が第2のジオールをベースとしており、ここで、重量の記載は、ジオールの全質量を基準としていることを特徴とする、態様6に記載の一成分系。
【0101】
8. 前記ポリアルキレングリコールが、ポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする、前記態様のいずれか1つに記載の一成分系。
【0102】
9. 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が、950~1200g/molであることを特徴とする、態様8に記載の一成分系。
【0103】
10. 前記の第2のジオールが、炭素原子2~10個を有する炭化水素ジオールであることを特徴とする、態様7~9のいずれか1つに記載の一成分系。
【0104】
11. 前記炭化水素ジオールが、エチレングリコール、n-プロピレングリコール、イソプロパングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、n-ブチレングリコール、n-ペンチルグリコール、n-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリプロピレングリコール及び1,10-デカンジオールからなる群から選択されることを特徴とする、態様10に記載の一成分系。
【0105】
12. 前記の少なくとも1種のマロン酸エステルが、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジイソプロピルマロネート及びモノエチルマロネートから選択されることを特徴とする、前記態様のいずれか1つに記載の一成分系。
【0106】
13. 前記マロン酸エステルが、ジエチルマロネートであることを特徴とする、態様12に記載の一成分系。
【0107】
14. 前記ジアミン及び/又はポリアミンが、ジアミンであり、かつイソホロンジアミン、4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′-メチレンビス(2-メチルシクロヘキサンアミン)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの混合物、ヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びポリオキシプロピレンジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、前記態様のいずれか1つに記載の一成分系。
【0108】
15. 人造皮革又は(人造)皮革コーティングを製造するための、前記態様のいずれか1つに記載の一成分系の使用。
【0109】
16. 態様1~14のいずれか1つに記載の一成分系を製造する方法であって、
900~2150g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコール及び任意にさらなるジオール及び/又はポリオールをベースとする少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーであって、前記ポリウレタンプレポリマーの全ての未反応イソシアネート基が少なくとも1種のマロン酸エステルでブロックされている、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーと、
少なくとも1種のジアミン及び/又はポリアミンと
を互いに混合する、前記方法。
【0110】
17.人造皮革を製造する方法であって、態様1~14のいずれか1つに記載の一成分系を支持体に塗布し、かつ熱硬化させる、前記方法。
【0111】
18.(人造)皮革コーティングを製造する方法であって、態様1~14のいずれか1つに記載の一成分系を、1枚の人造皮革又は皮革に塗布し、かつ熱硬化させる、前記方法。