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特開2023-180266電圧供給装置、供給システム、ファン付き製品及び電圧供給回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180266
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電圧供給装置、供給システム、ファン付き製品及び電圧供給回路
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20231214BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20231214BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20231214BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20231214BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20231214BHJP
【FI】
F04D25/08 307E
A41D13/002 105
A41D13/005 103
F24F6/00 Z
F24F8/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093391
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 秀樹
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
3H130
3L055
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA69H
3H130DF00Z
3H130DF07Z
3H130DF08Z
3H130DF09Z
3H130EA01A
3H130EA01H
3H130EA02A
3H130EA02H
3L055AA10
3L055DA02
(57)【要約】
【課題】ファン付き製品について、単一の電源によって、ファンと、ファン以外の機器との両者を動作させることができるようにする。
【解決手段】電源装置5からの電圧が入力される入力端子321と、入力端子321に入力された電圧を出力する出力端子322及びイオン発生部用回路325と、を備え、出力端子322から、入力端子321に入力されたのと同一の電圧をファン2へと出力し、イオン発生部用回路325から、所定の電圧を、イオン発生部31へと出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部からの電圧が入力される入力部と、
前記入力部に入力された電圧を出力する第1出力部及び第2出力部と、
を備え、
前記第1出力部から、前記入力部に入力されたのと同一の電圧をファンへと出力し、
前記第2出力部から、所定の電圧をファン以外の機器へと出力することを特徴とする電圧供給装置。
【請求項2】
前記第2出力部は定電圧回路を有することを特徴とする請求項1に記載の電圧供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電圧供給装置と、前記第2出力部に接続された前記ファン以外の機器と、を備えることを特徴とする供給システム。
【請求項4】
前記ファン以外の機器は、有益物質を供給する有益物質供給機器であることを特徴とする請求項3に記載の供給システム。
【請求項5】
前記電圧供給装置と前記有益物質供給機器とが着脱不能に一体化されていることを特徴とする請求項4に記載の供給システム。
【請求項6】
前記有益物質供給機器は、イオン発生機であることを特徴とする請求項4に記載の供給システム。
【請求項7】
前記有益物質供給機器は、加湿器であることを特徴とする請求項4に記載の供給システム。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の供給システムと、
ファンと、
前記ファンによって空気が導入される本体部と、
前記入力部に電圧を供給する電源部と、
を備え、
前記第1出力部に前記ファンが接続されていることを特徴とするファン付き製品。
【請求項9】
前記供給システムを前記ファンに固定するための装着具を備え、
前記装着具は、前記ファンに前記装着具を取り付けるための第1取付部と、前記供給システムを前記装着具に取り付けるための第2取付部と、を備えることを特徴とする請求項8に記載のファン付き製品。
【請求項10】
電源部からの電圧が入力される入力部と、
前記入力部に入力された電圧と同一の電圧をファンへと出力する第1出力部と、
前記入力部に入力された電圧を定電圧回路を介してファン以外の機器へと出力する第2出力部と、
を備えることを特徴とする電圧供給回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧供給装置、供給システム、ファン付き製品及び電圧供給回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却するファン付きウェアが実用化され、急速に普及しつつある。ファン付きウェアは、通気性の低い素材で形成されたウェア本体に、ウェア本体内に空気を取り込むためのファンが取り付けられており、ファンを作動させると、大量の空気がファンからウェア本体内に取り込まれ、着用者の身体又はウェア本体の下に着用した下着の表面に沿って流通した後に、ウェア本体の襟部や袖部等から外部に排出される。
そして、ファンによってウェア本体内に取り込まれた空気が、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される。
【0003】
このようなファン付きウェアにおいては、ウェア本体内に取り込まれた空気に何らかの有益な物質を含ませることができれば、着用者に対し、身体の冷却のみならず、このような物質による有益な効果も与えることができる。例えば、ウェア本体内に取り込まれた空気に、霧や水蒸気を含ませて加湿すれば、着用者に対し、身体の冷却に加えて、保湿効果も与えることができる。
そこで、ウェア本体内に、加湿のための霧や水蒸気等の何らかの有益な物質を供給するための有益物質供給機器を備えたファン付きウェアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-113623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファン付きウェアに取り付けられるファンと、このような有益物質供給機器等のファン以外の機器とでは、通常、動作させるために要する電圧が異なり、またファンについては供給する電圧を切り換えることで風量を調整するのが一般的であるのに対し、このような有益物質供給機器等のファン以外の機器は一定の電圧のもとで動作するのが一般的である。
そこで、ファン付きウェアにこのような有益物質供給機器等のファン以外の機器を備える場合、特許文献1に記載の発明のように、ファン用の電源と、このような有益物質供給機器等のファン以外の機器用の電源と、を別に設けることを要するのが通常であったが、このように複数の電源を設けることは、ファン付きウェアの構造の複雑化や重量の増加を招き、好ましくなかった。
【0006】
なお、ファンによって空気を取り込むことで冷却効果を得ることを目的とする製品(以下、「ファン付き製品」という。)は、ファン付きウェア以外にも存在しており、例えば、リュック内にファンによって空気を導入することで、着用者の背中に溜まった熱や湿気を排出可能とし、着用者の背中に対する冷却効果を得ることを目的としたファン付きリュック等が存在している。
したがって、上記のファン付きウェアにおける課題は、このようなファン付きウェア以外のファン付き製品に、有益物質供給機器等のファン以外の機器を備える場合にも同様に生じるものであった。
【0007】
本発明の課題は、ファン付き製品について、単一の電源によって、ファンと、ファン以外の機器との両者を動作させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電圧供給装置であって、
電源部からの電圧が入力される入力部と、
前記入力部に入力された電圧を出力する第1出力部及び第2出力部と、
を備え、
前記第1出力部から、前記入力部に入力されたのと同一の電圧をファンへと出力し、
前記第2出力部から、所定の電圧をファン以外の機器へと出力することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電圧供給装置であって、
前記第2出力部は定電圧回路を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、供給システムであって、
請求項1に記載の電圧供給装置と、前記第2出力部に接続された前記ファン以外の機器と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の供給システムであって、
前記ファン以外の機器は、有益物質を供給する有益物質供給機器であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の供給システムであって、
前記電圧供給装置と前記有益物質供給機器とが着脱不能に一体化されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の供給システムであって、
前記有益物質供給機器は、イオン発生機であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の供給システムであって、
前記有益物質供給機器は、加湿器であることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、ファン付き製品であって、
請求項3から7のいずれか一項に記載の供給システムと、
ファンと、
前記ファンによって空気が導入される本体部と、
前記入力部に電圧を供給する電源部と、
を備え、
前記第1出力部に前記ファンが接続されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のファン付き製品であって、
前記供給システムを前記ファンに固定するための装着具を備え、
前記装着具は、前記装着具を前記ファンを取り付けるための第1取付部と、前記供給システムを前記装着具に取り付けるための第2取付部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、電圧供給回路であって、
電源部からの電圧が入力される入力部と、
前記入力部に入力された電圧と同一の電圧をファンへと出力する第1出力部と、
前記入力部に入力された電圧を定電圧回路を介してファン以外の機器へと出力する第2出力部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ファン付き製品について、単一の電源によって、ファンと、ファン以外の機器との両者を動作させることができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を開いた状態における正面図である。
図2】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を閉じた状態における背面図である。
図3】実施形態に係るファン付きウェアのファンの斜視図である。
図4】実施形態に係るファン付きウェアのイオン発生装置の斜視図である。
図5】実施形態に係るファン付きウェアの装着具の斜視図である。
図6】実施形態に係るファン付きウェアのファン、イオン発生装置及び装着具が一体化された状態の斜視図である。
図7】実施形態に係るファン付きウェアのファン、イオン発生装置及び装着具が一体化されてウェア本体に取り付けられた状態の側面図である。
図8】実施形態に係るファン付きウェアの回路構成を示すブロック図である。
図9】変形例に係るファン付きウェアの回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をファン付きウェアに適用した場合の実施の形態について、図1から図9に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
また、以下においては、着用者がファン付きウェア100を着用した状態を基準として、着用者の前方向を前、着用者の後方向を後、着用者の上方向を上、着用者の下方向を下、着用者の右手方向を右、着用者の左手方向を左と定めて説明する。
なお、ウェア本体1の開閉手段11を開いた状態においては、図1に示すように、ウェア本体1の内面側(着用時に着用者の身体に向く側)が向く方向を前、その反対方向を後と定めて説明する。
【0021】
[1 実施形態の構成]
本実施形態に係るファン付きウェア100は、図1に示すように、ウェア本体1と、ウェア本体1内(ウェア本体1と着用者の身体との間の空間内)に空気を導入するためのファン2と、ウェア本体1内にイオンを供給するためのイオン発生装置3と、ファン2及びイオン発生装置3をウェア本体1に取り付けるための装着具4と、ファン2及びイオン発生装置3に電圧を供給する電源装置5と、イオン発生装置3と電源装置5との間を接続する接続ケーブル6と、を備え、ファン2によってウェア本体1内に取り込まれた空気を、着用者の身体又はウェア本体1の下に着用した下着の表面に沿って流通させた後に、ウェア本体1の襟部又は袖部に形成される空気排出部14から排出することで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0022】
[(1) ウェア本体]
ウェア本体1は、ファン付きウェア100の内、ファン2、イオン発生装置3、装着具4、電源装置5及び接続ケーブル6を除いた衣服部分であり、図1及び図2に示すように、着用者の胴部及び腕部を覆うブルゾン型の上衣の形状に形成されている。
なお、ウェア本体1の形状は着用者の身体の少なくとも一部を覆うものであればよく、このような形状に限られない。例えば、着用者の胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。
なお、ウェア本体1の着用時において着用者に向く面を内面側、その反対側のウェア本体1の着用時において外部空間に向く面を外面側とする。
【0023】
ウェア本体1は、図1に示すように、前身頃に、線ファスナー等を備えて形成された着脱自在な分割部分である開閉手段11を備え、図1及び図2に示すように、裾部に、ゴム紐等の伸縮性のある部材を着用者の身体を周回するように備えることによって形成された、ウェア本体1内の空気がウェア本体1の裾部から外部に漏れることを防止するための手段である空気漏れ防止手段12を備える。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、着用者の首とウェア本体1の襟部の端部との間の開口部及び着用者の腕とウェア本体1の袖部の端部との間の開口部には、ファン2によってウェア本体1内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部である空気排出部14が形成されている。
【0025】
また、図2に示すように、ウェア本体1の内面側には、電源装置5をイオン発生装置3と接続ケーブル6を介して接続可能な位置において保持するため、電源装置5を収納可能なポケット状に形成された電源装置保持手段15と、接続ケーブル6をウェア本体1の内面側に保持するため、接続ケーブル6を挿通可能な開口部を有するリング状に形成されたケーブル保持手段16と、が備えられている。
【0026】
また、図1及び図2に示すように、ウェア本体1の後見頃の着用者の腰の左右に対応する位置には、ファン付きウェア100の着用時において、ウェア本体1内の空間と、ウェア本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部であるファン取付孔13が形成されている。
ファン取付孔13は、直径が後述のファン2の筒状部23の直径と略同一となるように形成され、筒状部23がファン取付孔13を挿通するようにして、ウェア本体1にファン2を取り付けることで、ファン取付孔13を介して、外部の空気をウェア本体1内の空間に取り込むことができる。
【0027】
[(2) ファン]
ファン2は、ファン取付孔13を通して、外部からウェア本体1内の空間に空気を導入するための手段であり、図1に示すように、電源装置5より、接続ケーブル6及びイオン発生装置3を介して動作に必要な電圧が供給される。
【0028】
ファン2の内部には、空気の流れを生じさせるプロペラ(不図示)が収納され、当該プロペラを、モータ(不図示)により、前後方向を回転軸として回転させることによって、後述の空気取込部21側から空気送出部22側へと向かう(後方から前方へと向かう)空気の流れを生じさせる。
【0029】
ファン2には、図2及び図3に示すように、後方側のウェア本体1の外面側に位置する部分に、内部のプロペラを回転させた際に空気が取り込まれる部分である空気取込部21が形成され、図1及び図3に示すように、ウェア本体1の内面側に位置する部分に、内部のプロペラを回転させた際に空気が送出される部分である空気送出部22が形成されている。
【0030】
また、ファン2は、図3に示すように、空気取込部21と空気送出部22との間に、空気取込部21と空気送出部22とを繋ぐ筒状の連結部である筒状部23を備え、筒状部23の空気取込部21側の端部には、筒状部23の側面と略垂直な方向に突出するフランジ24を備える。
【0031】
筒状部23は、プロペラの回転軸(前後方向)に垂直な平面で切った際の断面の外形が円形なる円筒状に形成され、その外径は、ファン取付孔13の直径と略同一となるように形成されている。また、筒状部23から突出するフランジ24を前後方向から見た際の形状も円形となる。
また、筒状部23の左右の外面の対向する2か所には、後述の装着具4の取付リング41の内面側に形成された凸部411と嵌合する凹部231が形成され、後述のように装着具4を筒状部23の外面側に固定できるように構成されている。
【0032】
ファン2の空気送出部22には、図3に示すように、上部に、前後方向に段差が生じるようにして段差部221が形成され、段差部221に、上方を向くようにして、後述のようにイオン発生装置3の出力端子322が接続される入力端子222が形成されている。
【0033】
[(3) イオン発生装置]
イオン発生装置3は、ウェア本体1内に有益なイオンを供給するための装置であり、図4に示すように、下方に突出部を有する略直方体状に形成され、イオン発生部31とアダプタ部32とを備える。
本実施形態においては、イオン発生部31が本発明における「有益物質供給機器」に該当し、アダプタ部32が本発明における「電圧供給装置」に該当し、これらが一体化されたイオン発生装置3が単独で本発明における「供給システム」に該当することとなる。
【0034】
[a イオン発生部]
イオン発生部31は、空気中の水分子や酸素分子から水素イオンや酸素イオンを作り出す部分であり、公知の一般的なイオン発生機と同様の構成を用いることができる。
【0035】
イオン発生部31は、図4に示すように、イオン発生装置3の下端部に近い位置に備えられている。これによって、図6に示すようにイオン発生装置3がファン2に取り付けられた状態で、ファン2の空気送出部22から送出された空気に、直接イオン発生部31によって作り出されたイオンを含ませることができる。
【0036】
[b アダプタ部]
アダプタ部32は、電源装置5から接続ケーブル6を介してイオン発生装置3に供給される電圧を、イオン発生部31に供給する電圧と、ファン2に供給する電圧と、に分岐する部分であり、図4に示すように、後面に入力端子321を備え、下方の突出部に出力端子322を備える。
【0037】
入力端子321は、接続ケーブル6が接続されて電源装置5からアダプタ部32へと電圧が供給される部分であり、接続ケーブル6を接続可能な端子であれば特に限定されない。
【0038】
出力端子322は、ファン2の入力端子222と接続され、電源装置5から接続ケーブル6を介してイオン発生装置3に供給された電圧を、ファン2へと出力するための端子である。出力端子322としては、ファン2の入力端子222と接続可能な端子であれば特に限定されない。
【0039】
アダプタ部32は、図8に示すように、内部に、入力端子321から繋がる入力回路323と、出力端子322へと繋がるファン用回路324と、イオン発生部31へと繋がるイオン発生部用回路325と、を備え、入力端子321に入力された電圧を、ファン用回路324と、イオン発生部用回路325と、に分岐できるように構成されている。
【0040】
これらのうち、入力回路323及びファン用回路324は、電圧に影響を及ぼさないスルーパス回路であるが、イオン発生部用回路325は、定電圧回路3251を含み、入力端子321に入力される電圧が変化しても、イオン発生部31の動作電圧である一定の電圧をイオン発生部31へと供給するように構成されている。
【0041】
したがって、アダプタ部32においては、出力端子322からは、入力端子321に入力されたのと同一の電圧をファン2へと出力し、イオン発生部用回路325からは、入力端子321に供給される電圧が何ボルトであっても、予め設定されたイオン発生部31の動作電圧である一定の電圧をイオン発生部31へと出力することとなる。
すなわち、ファン用回路324及び出力端子322が本発明における「第1出力部」に該当し、イオン発生部用回路325が本発明における「第2出力部」に該当することとなる。
また、入力端子321、出力端子322、入力回路323、ファン用回路324及びイオン発生部用回路325を合わせたものが、本発明における電圧供給回路に該当する。
【0042】
[(4) 装着具]
装着具4は、ファン2をウェア本体1に取り付けると共に、ファン2にイオン発生装置3を取り付けるための部分であり、図5に示すように、取付リング41と、イオン発生装置取付部42と、を備える。取付リング41とイオン発生装置取付部42とは、プラスチック等の可撓性を有する材料によって一体的に形成されている。
【0043】
[a 取付リング]
取付リング41は、図5に示すようにリング状に形成され、図7に示すようにファン2の筒状部23の外面を覆うように取り付けられ、取付リング41の一端部と、ファン2のフランジ24との間にウェア本体1のファン取付孔13の周囲の部分を挟み込むことによって、ファン2をウェア本体1に取り付けるために用いられる。
【0044】
取付リング41は、ファン2内のプロペラの回転軸方向(前後方向)から見た際の形状が楕円形状となるリング状に形成されている。また、取付リング41は、内周の長さがファン2の筒状部23の外周の長さよりも長く、内周の短径が筒状部23の外周の直径よりも小さいか又は筒状部23の外周の直径と同一となるように形成されている。この場合、取付リング41の内周の長径は筒状部23の外周の直径よりも大きくなる。
【0045】
また、取付リング41の短径方向内面側の2か所の対向する位置(図5においては左右2か所)には、ファン2の筒状部23の外面側に形成された凹部231と嵌合する凸部411が形成されている。
【0046】
上記のように取付リング41は可撓性を有する材料によって形成されていることから、長径方向の外面側からこれを押圧すると、短径方向が外側に膨らみ、取付リング41を真円形状に変形することができる。また、長径方向の外面側から押圧する力を解放すると、取付リング41は、元の楕円形状に戻ることになる。
これを利用して、楕円形状の取付リング41を長径方向の外面側から押圧し、これを撓ませて真円形状に変形させた上で、筒状部23の凹部231の位置と取付リング41の凸部411の位置とが重なるようにして、取付リング41を筒状部23に被せた上で、取付リング41に対する押圧を解除することで、取付リング41をファン2の筒状部23に取り付けることができる。
また、この際に、取付リング41の一端部と、ファン2のフランジ24との間に、ウェア本体1のファン取付孔13の周囲の部分を挟み込むことによって、図7に示すようにファン2をウェア本体1に取り付けることができる。
【0047】
なお、取付リング41の構成は、上記の例に限定されず、例えば、ファン2に対して取付リング41を螺合等の手段により着脱可能とするなどの構成を適宜採用することができる。
【0048】
[b イオン発生装置取付部]
イオン発生装置取付部42は、図5に示すように、取付リング41の上部に備えられた、イオン発生装置3を装着具4に取り付けるための部分であり、複数の爪部(第1爪部421、第2爪部422及び第3爪部423)を備え、これらの間に挟み込むようにして、図6に示すように、イオン発生装置3を、イオン発生装置3の出力端子322とファン2の入力端子222とが接続された状態でファン2に固定できるように構成されている。
【0049】
イオン発生装置取付部42の構成は、イオン発生装置3を、イオン発生装置3の出力端子322とファン2の入力端子222とが接続された状態でファン2に固定できるものであればよく、その具体的な形状は特に限定されない。
【0050】
[(5) 電源装置]
電源装置5は、ファン2及びイオン発生装置3に電圧を供給するための部材であり、図1に示すように、接続ケーブル6を介してイオン発生装置3と接続される。
【0051】
電源装置5には、例えば安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、複数段階の異なる電圧を出力できるように構成されている。
また、電源装置5は、ファン2に供給する電圧のオン/オフを切り替えると共に、ファンに供給する電圧を切り替えるスイッチ(不図示)を備える。これによって、ファン付きウェア100の着用者が、当該スイッチを用いて、ファン2が作動している状態とファン2が作動していない状態とを切り替えると共に、ファン2が作動している状態で、その風量を切り替えることができる。
【0052】
[(6) 接続ケーブル]
接続ケーブル6は、図1に示すように、電源装置5とイオン発生装置3とを接続するケーブルであり、一端部が電源装置5と接続されると共に、他端部が2つに分岐して2つのイオン発生装置3のアダプタ部32の入力端子321に接続される。これによって、電源装置5から接続ケーブル6を介して、イオン発生装置3及びイオン発生装置3と接続されたファン2に対して、これらを動作させるために必要な電圧を供給することができる。
接続ケーブル6は、電源装置5から接続ケーブル6を介して、イオン発生装置3及びイオン発生装置3と接続されたファン2に対して電圧を供給できるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0053】
[2 使用状態の説明]
ファン付きウェア100の使用状態においては、図6に示すように、イオン発生装置3は、装着具4のイオン発生装置取付部42に取り付けられる。
さらに、当該状態で装着具4の取付リング41がファン2に取り付けられることで、イオン発生装置3が、イオン発生装置3の出力端子322とファン2の入力端子222とが接続された状態でファン2に固定されることとなる。
【0054】
さらに、装着具4の取付リング41をファン2に取り付ける際に、ウェア本体1のファン取付孔13の周囲の部分を取付リング41の一端部とファン2のフランジ24との間に挟み込むことで、図7に示すように、ファン2、イオン発生装置3及び装着具4が一体化された状態で、これらがウェア本体1に固定されることとなる。
【0055】
そして、当該状態で、図7に示すようにイオン発生装置3の入力端子321に接続ケーブル6の一端部を接続することで、電源装置5からイオン発生装置3及びイオン発生装置3と接続されたファン2に対して、電圧を供給することが可能となる。
【0056】
[3 実施形態の効果]
本実施形態に係るファン付きウェア100によれば、イオン発生装置3が、イオン発生部31及びアダプタ部32を備え、アダプタ部32が、電源装置5からの電圧が入力される入力端子321及び入力回路323と、入力端子321に入力された電圧をファン2へと出力するための出力端子322及びファン用回路324と、入力端子321に入力された電圧をイオン発生部31へと出力するためのイオン発生部用回路325と、を備え、出力端子322及びファン用回路324は、入力端子321に入力されたのと同一の電圧をファン2へと出力し、定電圧回路3251を含むイオン発生部用回路325は、イオン発生部31へと予め定められた一定の電圧を出力する。
【0057】
これによって、ファン2には電源装置5から入力されたのと同一の電圧を供給し、イオン発生部31には、イオン発生部31の動作電圧と一致するように予め設定された一定の電圧を供給できることから、ファン付きウェア100について、単一の電源装置5によって、ファン2と、イオン発生装置3のイオン発生部31と、の両者を動作させることが可能となる。
【0058】
また、イオン発生装置3が、イオン発生部31とアダプタ部32とが着脱不能に一体化されて形成されていることによって、これらを一括してファン2に取り付けることができ、使用開始前の取り付け作業の手間を低減できる。
【0059】
また、イオン発生装置3は、イオン発生装置3の出力端子322とファン2の入力端子222とを接続するだけでもファン2に取り付けることができるが、取付リング41とイオン発生装置取付部42とを有する装着具4をさらに備えることで、より強固にイオン発生装置3をファン2に取り付けることが可能となる。
【0060】
[4 変形例]
続いて、上記実施形態の変形例について説明する。
【0061】
[(1) 変形例1:イオン発生装置の取り付け位置の変更]
上記構成の説明においては、イオン発生装置3が装着具4によってファン2に取り付けられる場合について説明したが、イオン発生装置3がファン2に取り付けられることなく、ファン2とは別途ウェア本体1に取り付けられるようにしてもよい。
【0062】
この場合、イオン発生装置3の出力端子322とファン2の入力端子222とがケーブルを介して接続されるようにした上で、イオン発生装置3は、ファン2によってウェア本体1内に導入された空気が空気排出部14へと流れる流路上の任意の位置において、ウェア本体1の内面側に固定されるようにすればよい。
【0063】
[(2) 変形例2:イオン発生装置とアダプタ装置との別体化]
上記構成の説明においては、イオン発生装置3が、イオン発生部31と、電源装置5から接続ケーブル6を介して入力された電圧をイオン発生部31とファン2とに分岐するためのアダプタ部32と、を備える場合について説明したが、図9に示すようにイオン発生装置3Aとアダプタ装置7とを別に設けるようにしてもよい。
【0064】
この場合、図9に示すように、イオン発生装置3Aは、入力端子321とイオン発生部31のみを備えるようにする。
また、アダプタ装置7は、イオン発生装置3におけるアダプタ部32の入力端子321、入力回路323、ファン用回路324及びイオン発生部用回路325と同様の入力端子71、入力回路73、ファン用回路74及びイオン発生装置用回路75を備えると共に、ファン用回路74と接続された第1出力端子72A及びイオン発生装置用回路75と接続された第2出力端子72Bを備えるようにする。
【0065】
そして、アダプタ装置7の第1出力端子72Aとファン2の入力端子222とを直接又はケーブル等を介して接続し、アダプタ装置7の第2出力端子72Bとイオン発生装置3Aの入力端子321とを直接又はケーブル等を介して接続すればよい。
【0066】
この場合、イオン発生装置3Aとアダプタ装置7とが別体となることから、イオン発生装置3Aとアダプタ装置7とを別々にウェア本体1に取り付ける必要性が生じ、取り付けの手間は増加するものの、取り付け位置等の柔軟性を向上することができる。
【0067】
本変形例においては、イオン発生装置3Aが本発明における「有益物質供給機器」に該当し、アダプタ装置7が本発明における「電圧供給装置」に該当し、これら2つの装置を合わせたものが、本発明における「供給システム」に該当することとなる。
すなわち、本発明における「供給システム」は、上記構成の説明において述べたように「電圧供給装置」と「有益物質供給機器」とが一体化され単一の装置とされた場合と、「電圧供給装置」と「有益物質供給機器」とが別体とされ複数の装置から構成された場合との両者を含む。
また、入力端子71、第1出力端子72A、第2出力端子72B、入力回路73、ファン用回路74及びイオン発生装置用回路75を合わせたものが、本発明における電圧供給回路に該当する。
【0068】
[(3) 変形例3:有益物質供給機器の変更]
上記構成の説明においては、ファン2と共に電源装置5から電圧が供給されて動作するウェア本体1内に有益物質を供給する機器が、イオン発生機(イオン発生装置3のイオン発生部31)である場合について説明したが、ウェア本体1内に有益物質を供給する機器は、イオン発生機には限られない。
【0069】
例えば、ウェア本体1内に霧又は水蒸気という加湿効果を有する有益物質を供給する加湿部をイオン発生部31の代わりに設けた加湿器を、イオン発生装置3に代えて用いるようにしてもよい。
この場合、水を貯蔵するタンクを加湿器とは別途設け、これをウェア本体1の内面側に備えた上で、このようなタンクから加湿器の加湿部にホースを介して水が供給されるようにすることが好ましい。
【0070】
[(4) 変形例4:ファン付き製品の変更]
上記構成の説明においては、ファン2及びイオン発生装置3が取り付けられるファン付き製品が、ファン付きウェア100である場合について説明したが、ファン2及びイオン発生装置3が取り付けられるファン付き製品は、ファン付きウェア100には限られない。
例えば、リュック内にファンによって空気を導入することで着用者の背中に対する冷却効果を得ることを目的としたファン付きリュックに、ファン2及びイオン発生装置3が取り付けられる場合において、イオン発生装置3がアダプタ部32を備えるようにすることで、単一の電源装置5によって、ファン2と、イオン発生装置3のイオン発生部31と、の両者を動作させることができるようにしてもよい。
また、この場合も、変形例3において述べたのと同様に、有益物質を供給する機器はイオン発生機(イオン発生装置3のイオン発生部31)に限られず、例えば、霧又は水蒸気という加湿効果を有する有益物質を供給する加湿部をイオン発生部31の代わりに設けた加湿器を、イオン発生装置3に代えて用いるようにしてもよい。
【0071】
[(5) 変形例5:空気の取込み方法の変更]
上記構成の説明においては、ファン付きウェア100について、ファン2によってウェア本体1内へとファン取付孔13を介して空気が取り込まれる場合について説明したが、これとは反対に、ファン2によってファン取付孔13から空気を排出することで、他の箇所の開口部からウェア本体1内へと空気が導入されるようにしてもよい。この場合も、ファンによってファン取付孔13以外の箇所の開口部から空気を取り込むことで冷却効果を得ることを目的とする点で、ファン付きウェアが本発明におけるファン付き製品に該当する点に変わるところはない。この点は、ファン付きウェア以外のファン付き製品の場合も同様である。
【符号の説明】
【0072】
100 ファン付きウェア(ファン付き製品)
1 ウェア本体(本体部)
2 ファン
3 イオン発生装置(供給システム)
3A イオン発生装置(有益物質供給機器、イオン発生機)
31 イオン発生部(有益物質供給機器、イオン発生機)
32 アダプタ部(電圧供給装置)
321 入力端子(入力部、電圧供給回路)
322 出力端子(第1出力部、電圧供給回路)
323 入力回路(入力部、電圧供給回路)
324 ファン用回路(第1出力部、電圧供給回路)
325 イオン発生部用回路(第2出力部、電圧供給回路)
3251 定電圧回路
4 装着具
41 取付リング(第1取付部)
42 イオン発生装置取付部(第2取付部)
5 電源装置(電源部)
6 接続ケーブル
7 アダプタ装置(電圧供給装置)
71 入力端子(入力部、電圧供給回路)
72A 第1出力端子(第1出力部、電圧供給回路)
72B 第2出力端子(第2出力部、電圧供給回路)
73 入力回路(入力部、電圧供給回路)
74 ファン用回路(第1出力部、電圧供給回路)
75 イオン発生装置用回路(第2出力部、電圧供給回路)
751 定電圧回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9