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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180270
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電装品ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20231214BHJP
   B60G 17/08 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H05K5/02 E
B60G17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093403
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】竹内 智志
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 亮一
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 可南子
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 修
(72)【発明者】
【氏名】松前 太郎
【テーマコード(参考)】
3D301
4E360
【Fターム(参考)】
3D301AA01
3D301AA74
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DA38
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA24
4E360EB02
4E360EB10
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED12
4E360ED17
4E360ED19
4E360ED30
4E360EE02
4E360EE20
4E360GA07
4E360GA52
4E360GA53
4E360GB99
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】電装品と設置対象との距離を短縮できる電装品ユニットの提供を目的としている。
【解決手段】電装品ユニット1は、電装品2と、電装品2の設置対象としての緩衝器Dに取り付けられる座部11と、座部11から立ち上がって電装品2を保持する保持部12とを有するブラケット10とを備え、保持部12は、電装品2の少なくとも一部を収容する凹部15と、凹部15を挟んで対向する第1保持片13および第2保持片14とを有し、電装品2は、第1保持片13に固定される第1固定片4と第2保持片14に固定される第2固定片5とを有している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装品と、
前記電装品の設置対象に取り付けられる座部と、前記座部から立ち上がって前記電装品を保持する保持部とを有するブラケットとを備え、
前記保持部は、前記電装品の少なくとも一部を収容する凹部と、前記凹部を挟んで対向する第1保持片および第2保持片とを有し、
前記電装品は、前記第1保持片に固定される第1固定片と前記第2保持片に固定される第2固定片とを有する
ことを特徴とする電装品ユニット。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記第1保持片を上方にするとともに前記第2保持片を下方にして前記設置対象に取り付けられ、
前記第1固定片と前記第1保持片とを締結するボルトおよびナットとを備え、
前記第2保持片は、切欠を有し、
前記第2固定片は、前記切欠内に挿入されて前記第2保持片の座部側面に当接する中央爪と、前記中央爪の左右のそれぞれに設けられて前記第2保持片の反座部側面に当接して前記中央爪とともに前記第2保持片を挟持する一対の対向爪とを有し、
前記第2保持片における前記中央爪と前記対向爪とによって挟持される部分の肉厚の長さは、前記中央爪と前記対向爪との間の隙間の長さよりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載の電装品ユニット。
【請求項3】
前記第1保持片は、前記ボルトを固定的に保持しており、
前記第1固定片は、前記ボルトが挿通される孔を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の電装品ユニット。
【請求項4】
前記設置対象は、円筒状の取り付け部を有し、
前記座部は、取り付け部の周面に沿う一対の湾曲プレートとを有し、
前記保持部は、前記湾曲プレートに跨るU形に形成されており、前記第1保持片と前記第2保持片とが前記取り付け部の軸方向で前記凹部を挟んで対向している
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電装品ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装品ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電装品ユニットは、電装品と、電装品を設置する対象である設置対象に電装品を取り付けるためのブラケットとを備えて構成されている。設置対象が緩衝器である場合、電装品ユニットは、ブラケットを介して電装品としてセンサを緩衝器のアウターシェルに取り付ける構造を採用している(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-14196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように電装品ユニットにおけるブラケットは、円筒状のアウターシェルの外周に周方向に沿って湾曲して溶接によって緩衝器に固定される固定片と、固定片の周方向の一端から垂直に立ち上がる取り付け片とを備えており、電装品であるセンサが取り付け片に設けた孔に装着されるようになっている。
【0005】
このような電装品ユニットでは、設置対象から立ち上がる取り付け片の先端に電装品が装着される構造を採用しているため、電装品が設置対象から大きく離間した位置に固定され、電装品ユニットを含め設置対象である緩衝器が径方向で大型化してしまう。このことは、緩衝器に限られず、従来の電装品ユニットでは電装品が設置対象から大きく離間するために同様の問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、電装品と設置対象との距離を短縮できる電装品ユニットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の電装品ユニットは、電装品と、電装品の設置対象に取り付けられる座部と、座部から立ち上がって電装品を保持する保持部とを有するブラケットとを備え、保持部は、電装品の少なくとも一部を収容する凹部と、凹部を挟んで対向する第1保持片および第2保持片とを有し、電装品は、第1保持片に固定される第1固定片と第2保持片に固定される第2固定片とを有している。
【0008】
このように構成された電装品ユニットよれば、ブラケットの保持部の凹部内に電装品の一部が収容されて電装品の一部がブラケットの凹部内に埋没するので、電装品が凹部内に埋没する分だけ設置対象と電装品との間の距離を短縮できる。
【0009】
また、電装品ユニットは、ブラケットが第1保持片を上方にするとともに第2保持片を下方にして設置対象に取り付けられ、第1固定片と第1保持片とを締結するボルトおよびナットとを備え、第2保持片が切欠を有し、第2固定片が、切欠内に挿入されて第2保持片の座部側面に当接する中央爪と、中央爪の左右のそれぞれに設けられて第2保持片の反座部側面に当接して中央爪とともに第2保持片を挟持する一対の対向爪とを有し、第2保持片における中央爪と対向爪とによって挟持される部分の肉厚の長さを中央爪と対向爪との間の隙間の長さよりも長くして構成されてもよい。
【0010】
このように構成された電装品ユニットによれば、電装品における第2固定片の中央爪が第2保持片の切欠内に挿入されると、第2固定片が第2保持片に対して左右方向へ移動するのを規制する。また、第2保持片における中央爪と対向爪とによって挟持される部分の肉厚の長さが中央爪と対向爪との間の隙間の長さよりも長いので、第2保持片を中央爪と対向爪とが締め付けながら挟持するので、電装品の第2固定片に設けた中央爪および対向爪で第2保持片を挟持させれば第2固定片の第2保持片への固定が完了する。よって、電装品ユニットによれば、ナットをボルトに螺着する前であっても、第1固定片の孔内にボルトを挿通した状態の姿勢で電装品を仮固定できるので、電装品のブラケットへの組み付け作業が容易となる。
【0011】
また、このように構成された電装品ユニットによれば、第2保持片を中央爪と対向爪とが締め付けながら挟持するのでブラケットに対する電装品の振動が抑制されるとともに、中央爪が切欠内に挿入されて回転が防止されるので、ナットとボルトの弛みも防止できる。さらに、ブラケットが第1保持片を上方にするとともに第2保持片を下方にして設置対象に取り付けられているので、仮にナットが緩んでしまっても中央爪と対向爪とで第2保持片を締め付けて挟持するので直ちに電装品がブラケットから脱落することもない。
【0012】
加えて、中央爪と切欠とによって第2固定片が第2保持片に対して左右方向へ移動するのが規制されるため、ボルトにナットを螺合する作業中に、作業者が電装品を回らないように手でつかむ必要が無く、作業者の作業負担を軽減できる。
【0013】
さらに、第1保持片がボルトを固定的に保持しており、第1固定片がボルトが挿通される孔を有してもよい。このように構成された電装品ユニットによれば、ボルトがブラケットにおける第1固定片に保持されているので、ナットを設置対象とブラケットとの間に配置する場合に比較して、作業者によるナットの操作が容易となるだけでなく、電装品と設置対象との距離をより一層短縮できる。
【0014】
さらに、電装品ユニットが第1保持片を上方にして第2保持片を下方にして設置対象に取り付けられているので、万が一、ナットがボルトから脱落しても、ブラケットの第1保持片に取り付けられたボルトが第1固定片の孔内に挿通されており、電装品がボルトによって吊り下げられた状態となるので、電装品のブラケットからの脱落を防止できる。また、本実施の形態の電装品ユニットでは、中央爪および対向爪がブラケットにおける第2保持片を締め付けつつ挟持するので、ナットが脱落しても電装品の上方側がブラケットから離間する手前側への倒れ込みが防止されるので、ナットの脱落時における電装品のブラケットの脱落防止効果を向上できる。
【0015】
そして、設置対象が円筒状の取り付け部を有し、座部が取り付け部の周面に沿う一対の湾曲プレートとを有し、保持部が湾曲プレートに跨るU形に形成されており、第1保持片と第2保持片とが取り付け部の軸方向で凹部を挟んで対向していてもよい。このように構成された電装品ユニットによれば、座部が左右一対の湾曲プレートで構成され、保持部が湾曲プレートに跨るU形に形成されるので、一枚の金属板を打ち抜き加工および折り曲げ加工して、ブラケットを製造することができる。また、座部が取り付け部の周面に沿う一対の湾曲プレートを備えおり、円筒状の取り付け部の周面に湾曲プレートをガタなく載置できるので、ブラケットの取り付け部への溶接作業が容易となる。さらに、第1保持片と第2保持片とが取り付け部の軸方向で凹部を挟んで対向しているので、取り付け部の外径が小径であっても、取り付け部を側方から見て、ブラケットを取り付け部の幅に収めることができ、電装品ユニットを無理なく設置対象に取り付け得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電装品ユニットによれば、電装品と設置対象との距離を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施の形態における電装品ユニットが設置された緩衝器の斜視図である。
図2】一実施の形態の電装品ユニットにおける電装品の正面図である。
図3】一実施の形態の電装品ユニットにおける電装品の側面図である。
図4】一実施の形態の電装品ユニットにおけるブラケットの正面図である。
図5】一実施の形態の電装品ユニットにおける電装品が組み付けられたブラケットの縦断面図である。
図6】一実施の形態の電装品ユニットにおけるブラケットの斜視図である。
図7】電装品をブラケットに組み付ける手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図に示した実施の形態に基づき、電装品ユニット1の設置する設置対象を図示しない車両における車体と車輪との間に介装されて伸縮時に減衰力を発生する緩衝器Dとした場合を例に本発明の電装品ユニット1を説明する。一実施の形態における電装品ユニット1は、図1から図6に示すように、設置対象を緩衝器Dとして、電装品2と、電装品2を設置対象である緩衝器Dに取り付けるブラケット10とを備えて構成されている。
【0019】
まず、設置対象としての緩衝器Dについて説明する。緩衝器Dは、図1に示すように、円筒状の取り付け部としてのアウターシェル21と、アウターシェル21内に移動自在に挿入されるロッド22とを有して、ロッド22がアウターシェル21に対して軸方向に相対移動する伸縮作動時にロッド22のアウターシェル21に対する相対移動を妨げる減衰力を発生して、車両の車体と車輪の振動を減衰させる。
【0020】
緩衝器Dは、たとえば、下端が閉塞されるアウターシェル21と、アウターシェル21内に収容される図示しないシリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッド22と、ロッド22に連結されるとともにシリンダ内に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダとアウターシェル21との間に配置される中間筒と、中間筒とアウターシェル21との間の環状隙間で形成されるリザーバと、シリンダの下端に設けられて圧側室とリザーバとを仕切るバルブケースとを備えている。そして、伸側室と圧側室には、作動油等の液体が充填され、リザーバには、液体と気体とが充填されている。なお、緩衝器Dに使用される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体でもよい。
【0021】
また、ピストンには、圧側室から伸側室へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路が設けられ、リザーバと圧側室とを仕切るバルブケースには、リザーバから圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路が設けられている。さらに、伸側室は、シリンダと中間筒との間の環状隙間で形成される排出通路を介してリザーバに連通されており、排出通路には、伸側室からリザーバへ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、前記電装品2から供給される電流量の調整によって前記抵抗を調整可能なソレノイドバルブが設けられている。ソレノイドバルブは、アウターシェル21の下端の側方から突出する筒状のハウジング23内に収容されている。
【0022】
このように構成された緩衝器Dが収縮作動すると、シリンダに対するピストンの移動によって圧縮される圧側室からピストンの整流通路を介して拡大する伸側室へ液体が移動し、ロッド22がシリンダ内に侵入する体積分の液体が排出通路およびソレノイドバルブを介してリザーバへ排出される。そして、ソレノイドバルブが通過する液体の流れに抵抗を与えるので、シリンダ内の圧力が上昇して緩衝器Dは収縮作動を妨げる減衰力を発生する。また、ソレノイドバルブに与える電流量の調整によって前記液体の流れに与える抵抗を調整できるので、緩衝器Dは、収縮作動時の減衰力の調整が可能である。
【0023】
また、緩衝器Dが伸長作動すると、排出通路およびソレノイドバルブを介してピストンのシリンダに対する移動によって圧縮される伸側室から液体がリザーバへ排出される。また、緩衝器Dの伸長作動時には、ピストンのシリンダに対する移動によって拡大される圧側室には、吸込通路を介してリザーバから液体が供給される。そして、ソレノイドバルブが通過する液体の流れに抵抗を与えるので、伸側室内の圧力が上昇して緩衝器Dは伸長作動を妨げる減衰力を発生する。また、ソレノイドバルブに与える電流量の調整によって前記液体の流れに与える抵抗を調整できるので、緩衝器Dは、伸長作動時の減衰力の調整が可能である。このように、本実施の形態の電装品ユニット1が適用される設置対象としての緩衝器Dは、電装品2からの電流供給によって減衰力を変化させ得る。
【0024】
また、アウターシェル21の中間の外周には、図示しない懸架ばねの下端を支承する下方懸架ばね受24が装着されている。図外の懸架ばねは、ロッド22の先端に取り付けられる上方懸架ばね受と前記した下方懸架ばね受24との間に介装されており、緩衝器Dを車体と車輪との間に介装すると車体を弾性支持する。
【0025】
さらに、アウターシェル21の下端の外周には、車両における車輪を回転可能に保持するナックルに連結可能なナックルブラケット25が設けられている。ナックルブラケット25は、図1に示すように、アウターシェル21の外周に沿って湾曲してアウターシェル21を抱持して取り付けられており、周方向の両端が径方向へ向けて延びた取り付け部分がナックルから延びるアームを挟んで前記アームにボルトとナットとによって締結されている。なお、ナックルブラケット25には、ソレノイドバルブが収容されるハウジング23の挿通を許容する孔25aが設けられている。なお、前述した緩衝器Dの構成は、一例であって、設計変更可能である。
【0026】
つづいて、電装品ユニット1について詳細に説明する。電装品ユニット1は、電装品2と、電装品2の設置対象としての緩衝器Dに取り付けられる座部11と座部11から立ち上がって電装品2を保持する保持部12とを有するブラケット10とを備えて構成されている。
【0027】
電装品2は、電装品本体3と、図2中で電装品本体3の上下に設けた第1固定片4および第2固定片5とを備えている。
【0028】
電装品本体3は、本実施の形態では、緩衝器Dにおけるソレノイドバルブを制御するための電子部品が実装された図示しない基板を内包した直方体形状の部品であり、前記基板を樹脂モールド成型することによって形成されている。なお、本実施の形態の電装品ユニット1における電装品本体3は、緩衝器Dにおけるソレノイドバルブを制御するために、外部の図外のコントローラからの指令によってソレノイドバルブのソレノイドを駆動するためのドライバを実装した基板を備えている。また、電装品本体3は、図外の電源から電装品本体3内の基板へ電力を供給する電源コードと図外のコントローラから前記基板へ指令を送信する信号線とを一体にした入力ケーブル3aと、緩衝器Dの図外のソレノイドへ電力供給する出力ケーブル3bとを備えている。入力ケーブル3aは、一端が電装品本体3内の基板に接続されるとともに他端が図外の電源およびコントローラに接続される。出力ケーブル3bは、一端が電装品本体3内の基板に接続されるとともに他端が図外のソレノイドに接続される。
【0029】
また、第1固定片4および第2固定片5は、詳しくは図示しないが、前記基板が固定される図外の固定部分の上下からそれぞれ伸びており、固定部分とともに1つの金属の母材から形成されている。よって、第1固定片4および第2固定片5とは、前記基板が固定される固定部分によって連結されており、当該固定部分が基板とともに樹脂モールドされて電装品本体3に一体となっている。
【0030】
第1固定片4は、図2および図3に示すように、プレート状であって電装品本体3の図2中上端から上方側へ向けて突出しており、肉厚を貫く長孔4aを有している。また、第1固定片4は、図3に示すように、電装品本体3の厚さ方向の中央から電装品本体3の上方に向けて水平に延びている。
【0031】
第2固定片5は、図2および図3に示すように、電装品本体3の図2中下端から下方側へ向けて突出する矩形のプレート5aと、プレート5aの下端となる先端の中央から下方へ向けて突出する中央爪5bと、プレート5aの下端となる先端の中央爪5bを挟んで図2中で左右の両側から下方へ向けて突出する一対の対向爪5c,5dとを備えている。
【0032】
プレート5aは、図3に示すように、電装品本体3の厚さ方向の中央から電装品本体3の下方に向けて水平に延びている。中央爪5bは、プレート5aの中央から図3中で右方に向けて延びる水平部5b1と、水平部5b1の右端から屈曲してプレート5aに対して平行であってプレート5aから離間する下方側へ向けて延びる垂直部5b2とを備えている。対向爪5c,5dは、プレート5aの下端であって、中央に設けられた中央爪5bを挟んで中央爪5bと左右方向で所定の間隔を空けて図2の紙面を貫く方向から見る平面視で中央爪5bとそれぞれ重ならない位置から下方へ向けて水平に延びている。
【0033】
ブラケット10は、電装品2の設置対象としての緩衝器Dに取り付けられる座部11と、座部11から立ち上がって電装品2を保持する保持部12とを備えている。座部11は、本実施の形態では、図4および図5に示すように、緩衝器Dにおけるアウターシェル21の外周をブラケット10の取り付け部として、当該取り付け部の周面に沿って湾曲する一対の湾曲プレート11a,11bを備えている。各湾曲プレート11a,11bは、緩衝器Dの軸方向長さが周方向長さよりも長い湾曲したプレートで形成されており、アウターシェル21の外周であって当該外周の周方向で互いに離間した位置に溶接によってアウターシェル21に固定される。湾曲プレート11a,11bの内周面は、アウターシェル21の外周に沿って当接するように、アウターシェル21の外周面と略同じ曲率で湾曲している。よって、座部11は、アウターシェル21の外周にガタなく当接できるので、アウターシェル21の外周への座部11の溶接も容易である。
【0034】
保持部12は、図4から図6に示すように、座部11における各湾曲プレート11a,11bの上端同士を連結する第1保持片13と、座部11における各湾曲プレート11a,11bの下端同士を連結する第2保持片14と、第1保持片13と第2保持片14との間に形成される凹部15とを備えて、湾曲プレート11a,11bに跨るU形に形成されている。
【0035】
第1保持片13は、図6に示すように、一方の湾曲プレート11aの上端部であって他方の湾曲プレート11b側の周方向端部から屈曲して立ち上がる側片13aと、他方の湾曲プレート11bの上端部であって一方の湾曲プレート11a側の周方向端部から屈曲して立ち上がる側片13bと、側片13a,13b同士に架け渡される矩形の平板状のプレート13cと、プレート13cの中央に設けられて肉厚を貫く孔13dと、孔13dに挿通されるとともにプレート13cに固定されるボルト13eとを備えて構成されている。
【0036】
ボルト13eは、図5に示すように、外周に螺子溝が形成されて孔13dに挿通される螺子軸13e1と、螺子軸13e1の端部に設けられた円盤状の頭部13e2とを備えている。このように構成されたボルト13eは、プレート13cの孔13dに螺子軸13e1を座部11側から挿入した後、頭部13e2の端面をプレート13cの座部11側の端面に当接した状態で頭部13e2をプレート13cに溶接することによってプレート13cに固定される。よって、ボルト13eは、図5に示すように、プレート13cから座部11とは反対側の左方へ向けて突出している。
【0037】
第2保持片14は、図6に示すように、一方の湾曲プレート11aの下端部であって他方の湾曲プレート11b側の周方向端部から屈曲して立ち上がる側片14aと、他方の湾曲プレート11bの下端部であって一方の湾曲プレート11a側の周方向端部から屈曲して立ち上がる側片14bと、側片14a,14b同士に架け渡される矩形の平板状のプレート14cと、プレート14cの上端中央から下端側に向けて設けられた矩形の切欠14dとを備えて構成されている。切欠14dの左右方向の幅は、電装品2の第2固定片5の中央爪5bの左右方向幅と略等しく、中央爪5bの挿入を許容する。また、第2保持片14における中央爪5bと対向爪5c,5dとで挟持される部分であるプレート14cの図5中の左右方向となる肉厚方向の長さtは、第2固定片5を側方から見た図3中の左右方向で中央爪5bと対向爪5c,5dとの間の隙間の長さδよりも少し長い。
【0038】
このように、保持部12は、図6中で左方側の湾曲プレート11aと右方側の湾曲プレート11bとの上下が第1保持片13および第2保持片14によってそれぞれ連結されるU形に形成されており、第1保持片13と第2保持片14との間に凹部15が形成されている。このように、ブラケット10は、凹部15をアウターシェル(取り付け部)21の軸方向に沿う上下に挟んで対向する第1保持片13および第2保持片14とを備えている。
【0039】
そして、保持部12における左方側の側片13a,14aが座部11における左方の湾曲プレート11aに連なり、右方側の側片13b,14bが座部11における右方の湾曲プレート11bに連なっており、保持部12は、湾曲プレート11a,11bに跨るU形に形成されている。
【0040】
このように構成されたブラケット10では、前述のように座部11が左右一対の湾曲プレート11a,11bで構成され、保持部12が左右一対の湾曲プレート11a,11bの上下同士を連結する第1保持片13および第2保持片14と、第1保持片13と第2保持片14との間に形成される凹部15とを備えてU形に形成されているので、一枚の金属板を母材として、当該母材を打ち抜き加工および折り曲げ加工して、ブラケット10を製造することができる。
【0041】
そして、ブラケット10は、第1保持片13を上方にするとともに第2保持片14を下方にして、緩衝器Dにおけるアウターシェル21の外周に座部11の湾曲プレート11a,11bを当接させた状態で湾曲プレート11a,11bをアウターシェル21に溶接することで緩衝器Dに取り付けられる。
【0042】
湾曲プレート11a,11bは、アウターシェル21の周面に沿って湾曲しているので、アウターシェル21にガタつくことなく載置できるので、ブラケット10のアウターシェル21への溶接作業を容易にできる。
【0043】
電装品2をブラケット10に組み付けるには、以下のようにすればよい。まず、図7に示すように、ブラケット10から電装品2の上方を下方より大きく離間させてブラケット10に対して電装品2の上方を手前側に傾斜させた姿勢で、第1固定片4の長孔4a内にブラケット10の第1保持片13のボルト13eを挿入しつつ、電装品2の下方側の第2固定片5の中央爪5bを第2保持片14の切欠14d内に挿入してプレート14cの緩衝器D側(裏側)に突出させるとともに、対向爪5c,5dをプレート14cの反緩衝器側(表側)に当接させる。
【0044】
そして、電装品2をブラケット10に対して上方側を接近させつつ徐々に下方へ移動させ、中央爪5bと対向爪5c,5dとの間にプレート14cを挿入させるとともに、第1固定片4を第1保持片13のプレート13cに当接させる。すると、電装品2における電装品本体3の第1固定片4および第2固定片5よりもブラケット10側の部分は、保持部12における第1保持片13と第2保持片14との間に設けられた凹部15内に収容される。また、プレート13cの肉厚の長さtが中央爪5bと対向爪5c,5dとの隙間の長さδよりも長いので、中央爪5bと対向爪5c,5dとが互いに離間するように変形して第2保持片14を締め付けつつ挟持する。
【0045】
なお、第1固定片4に設けられた長孔4aは、上下方向に長いので電装品2をブラケット10に組み付ける初期の状態で電装品2がブラケット10に対して上方が手前に傾斜した姿勢となっていてもボルト13eが邪魔にならず、電装品2をブラケット10に組み付けできる。
【0046】
その後、第1固定片4の長孔4a内に挿通されたボルト13eにナット16を螺着して、ボルト13eが固定された第1保持片13のプレート13cとナット16とによって第1固定片4が締め付けられて第1固定片4が第1保持片13に固定される。
【0047】
このように、本実施の形態の電装品ユニット1では、電装品2の上方の第1固定片4がブラケット10の第1保持片13に固定され、電装品2の下方の第2固定片5がブラケット10の第2保持片14を挟持するので、ブラケット10に対して電装品2が固定的に装着される。このように電装品2がブラケット10に固定されると電装品2がブラケット10の凹部15内に一部収容されるので、電装品2と設置対象である緩衝器Dとの間の距離を短縮できる。また、本実施の形態の電装品ユニット1では、ブラケット10に電装品2を固定すると、電装品2と緩衝器Dとの間に隙間が生じるので、緩衝器Dが伸縮を繰り返して発熱しても電装品2に緩衝器Dの熱が伝達されにくく電装品2の温度上昇を抑制できる。
【0048】
また、電装品2における第2固定片5の中央爪5bと対向爪5c,5dとがブラケット10における第2保持片14を締め付けつつ挟持するので、電装品2は、ナット16をボルト13eに螺着する前であっても、第1固定片4の長孔4a内にボルト13eを挿通した状態の姿勢で仮固定でき、電装品2のブラケット10への組み付け作業が容易となる。
【0049】
さらに、電装品2における第2固定片5の中央爪5bと対向爪5c,5dとがブラケット10における第2保持片14を締め付けつつ挟持するので、緩衝器Dが振動して電装品ユニット1に振動が作用しても、電装品2のブラケット10に対する振動が抑制されるため、ナット16の弛みを防止できる。
【0050】
そしてさらに、電装品2における第2固定片5の中央爪5bは、第2保持片14の切欠14d内に挿入されると、中央爪5bにおける水平部5b1がプレート14cの切欠14dに臨んで互いの側面が対向する。よって、中央爪5bと切欠14dによって、第2固定片5の第2保持片14に対する左右方向へ移動するが規制される。このように、中央爪5bと切欠14dとによって第2固定片5が第2保持片14に対して左右方向へ移動するのが規制されるため、第1固定片4を第1保持片13に固定するべく、ボルト13eにナット16を螺合する作業中に、電装品2がブラケット10に対してボルト13eを中心として回転することがない。したがって、ナット16を螺合する作業者が電装品2を回らないように手でつかむ必要が無く、作業者の作業負担を軽減できる。また、中央爪5bと切欠14dとによって電装品2のブラケット10に対する回転が規制されるので、ナット16の弛みも抑制される。
【0051】
以上、本実施の形態の電装品ユニット1は、電装品2と、電装品2の設置対象としての緩衝器Dに取り付けられる座部11と、座部11から立ち上がって電装品2を保持する保持部12とを有するブラケット10とを備え、保持部12は、電装品2の少なくとも一部を収容する凹部15と、凹部15を挟んで対向する第1保持片13および第2保持片14とを有し、電装品2は、第1保持片13に固定される第1固定片4と第2保持片14に固定される第2固定片5とを有している。
【0052】
このように構成された電装品ユニット1よれば、ブラケット10の保持部12の凹部15内に電装品2の一部が収容されて電装品2の一部がブラケット10の凹部15内に埋没するので、電装品2が凹部15内に埋没する分だけ設置対象としての緩衝器Dと電装品2との間の距離を短縮できる。そして、本実施の形態の電装品ユニット1によれば、電装品2の反緩衝器側の端面から緩衝器Dまでの高さを低くできるので、電装品ユニット1を含めた緩衝器Dの全体の径方向の大きさを小型にすることができ、緩衝器Dの車両への搭載性を向上させ得る。
【0053】
また、本実施の形態の電装品ユニット1では、第1保持片13と第1固定片4とを締結するボルト13eおよびナット16とを備え、第2固定片5は、第2保持片14を締め付けつつ挟持する中央爪5bおよび対向爪5c,5dを備えている。
【0054】
このように構成された電装品ユニット1では、電装品2の第2固定片5に設けた中央爪5bおよび対向爪5c,5dが第2保持片14を挟持すると第2固定片5の第2保持片14への固定が完了するので、作業者が工具を用いるのは、ナット16の締め付け作業のみとなる。このように、本実施の形態の電装品ユニット1によれば、作業者による電装品2のブラケット10への組み付け作業が非常に簡単になる。また、このように構成された電装品ユニット1では、中央爪5bおよび対向爪5c,5d(複数の爪)が第2保持片14を締め付けつつ挟持するので、ブラケット10に対する電装品2の振動を抑制でき、ナット16の弛みを防止できる。
【0055】
また、電装品2における、中央爪5bおよび対向爪5c,5dがブラケット10における第2保持片14を締め付けつつ挟持するので、電装品2は、ナット16をボルト13eに螺着する前であっても、第1固定片4の長孔4a内にボルト13eを挿通した状態の姿勢で仮固定でき、電装品2のブラケット10への組み付け作業が容易となる。
【0056】
また、本実施の形態の電装品ユニット1では、中央爪5bおよび対向爪5c,5dの3つの爪で第2保持片14を挟持しているが、爪で第2保持片14を挟持できればよいので、爪の設置数は2つ以上の複数であればよく、4つ以上設けられてもよい。さらに、本実施の形態の電装品ユニット1では、中央爪5bおよび対向爪5c,5dは、電装品2の第2固定片5に設けられているが、第2固定片5ではなくブラケット10の第2保持片14に設けられてもよい。この場合、ブラケット10の第2保持片14に設けた爪に電装品2の第2固定片5を挟持させればよい。
【0057】
なお、本実施の形態の電装品ユニット1では、第2固定片5或いは第2保持片14の一方に複数の爪を設けて、これらの爪で第2固定片5或いは第2保持片14の他方を挟持させることで、電装品2のブラケット10への組み付けが容易となりナット16の弛みを防止できるが、複数の爪を設ける代わりに、第2固定片5と第2保持片14とに孔を設けてボルトとナットとによって第2固定片5と第2保持片14と固定することも可能である。
【0058】
また、本実施の形態の電装品ユニット1では、ブラケット10が第1保持片13を上方にするとともに第2保持片14を下方にして緩衝器(設置対象)Dに取り付けられ、第1固定片4と第1保持片13とを締結するボルト13eおよびナット16とを備え、第2保持片14は、切欠14dを有し、第2固定片5は、切欠14d内に挿入されて第2保持片14の座部側面に当接する中央爪5bと、中央爪5bの左右のそれぞれに設けられて第2保持片14の反座部側面に当接して中央爪5bとともに第2保持片14を挟持する一対の対向爪5c,5dとを備え、第2保持片14における中央爪5bと対向爪5c,5dとによって挟持されるプレート(部分)14aの肉厚の長さtを中央爪5bと対向爪5c,5dとの間の隙間の長さδよりも長くしている。
【0059】
このように構成された電装品ユニット1によれば、電装品2における第2固定片5の中央爪5dが第2保持片14の切欠14d内に挿入されると、第2固定片5が第2保持片14に対して左右方向へ移動するのを規制する。また、第2保持片14における中央爪5bと対向爪5c,5dとによって挟持されるプレート(部分)14aの肉厚の長さtが中央爪5bと対向爪5c,5dとの間の隙間の長さδよりも長く、第2保持片14を中央爪5bと対向爪5c,5dとが締め付けながら挟持するので、電装品2の第2固定片5に設けた中央爪5bおよび対向爪5c,5dで第2保持片14を挟持させれば第2固定片14の第2保持片5への固定が完了する。よって、電装品ユニット1によれば、ナット16をボルト13eに螺着する前であっても、第1固定片4の孔4a内にボルト13eを挿通した状態の姿勢で電装品2を仮固定できるので、電装品2のブラケット10への組み付け作業が容易となる。
【0060】
また、このように構成された電装品ユニット1によれば、第2保持片14を中央爪5bと対向爪5c,5dとが締め付けながら挟持するのでブラケット10に対する電装品2の振動が抑制されるとともに、中央爪5bが切欠14d内に挿入されて回転が防止されるので、ナット16とボルト13eの弛みも防止できる。さらに、ブラケット10が第1保持片13を上方にするとともに第2保持片14を下方にして緩衝器(設置対象)Dに取り付けられているので、仮にナット16が緩んでしまっても中央爪5bと対向爪5c,5dとで第2保持片14を締め付けて挟持するので直ちに電装品2がブラケット10から脱落することもない。
【0061】
さらに、中央爪5bと切欠14dとによって第2固定片5が第2保持片14に対して左右方向へ移動するのが規制されるため、ボルト13eにナット16を螺合する作業中に、作業者が電装品2を回らないように手でつかむ必要が無く、作業者の作業負担を軽減できる。また、中央爪5bと切欠14dとによって電装品2のブラケット10に対する回転が規制されるので、ナット16の弛みも抑制される。なお、切欠14dは、第2保持片14におけるプレート14cの凹部15側の端部から開口して凹部15に通じているが、中央爪5bの挿入が可能であれば凹部15に通じない孔によって形成されてもよい。本実施の形態の電装品ユニット1では、切欠14dの左右方向の幅を電装品2の第2固定片5の中央爪5bの左右方向幅と略等しくしているので、中央爪5bが切欠14d内で左右方向のがたつきも防止されるが、電装品2の左右方向への大きな移動を制限できる限りにおいて中央爪5bの幅と切欠14dの幅とが切欠14d内で中央爪5bが多少左右方向へ遊ぶような長さに設定されてもよい。
【0062】
また、このように構成された電装品ユニット1では、電装品2の第2固定片5に設けた中央爪5bおよび対向爪5c,5dで第2保持片14を挟持させれば第2固定片5の第2保持片14への固定が完了するので、作業者が工具を用いるのは、ナット16の締め付け作業のみとなる。このように、本実施の形態の電装品ユニット1によれば、作業者による電装品2のブラケット10への組み付け作業が非常に簡単になる。
【0063】
本実施の形態の電装品ユニット1では、第1保持片13は、ボルト13eを固定的に保持しており、第1固定片4は、ボルト13eが挿通される長孔(孔)4aを備えている。
【0064】
このように構成された電装品ユニット1によれば、ボルト13eがブラケット10における第1保持片13に保持されているので、ナット16を設置対象としての緩衝器Dとブラケット10との間に配置する場合に比較して、作業者によるナット16の操作が容易となるだけでなく、ボルト13eの頭部13e2を工具で把持する必要が無くなるので頭部13e2を薄くできる。よって、ブラケット10における側片13a,13b,14a,14bの高さ(図5中では紙面における左右方向の長さ)を低くして第1保持片13,第2保持片14と座部11との間の隙間を短くできる。よって、本実施の形態の電装品ユニット1によれば、電装品2と設置対象としての緩衝器Dとの距離をより一層短縮できる。
【0065】
さらに、電装品ユニット1が第1保持片13を上方にして第2保持片14を下方にして緩衝器(設置対象)Dに取り付けられる場合、万が一、ナット16がボルト13eから脱落しても、ブラケット10の第1保持片13に取り付けられたボルト13eが第1固定片4の長孔4a内に挿通されており、電装品2がボルト13eによって吊り下げられた状態となるので、電装品2のブラケット10からの脱落を防止できる。また、本実施の形態の電装品ユニット1では、中央爪5bおよび対向爪5c,5dがブラケット10における第2保持片14を締め付けつつ挟持するので、ナット16が脱落しても電装品2の上方側がブラケット10から離間する手前側へ倒れ込むことが防止されるので、ナット16の脱落時における電装品2のブラケット10の脱落防止効果を向上できる。なお、本実施の形態の電装品ユニット1では、第1固定片4に設けられた長孔4aが上下方向に長いので電装品2をブラケット10に組み付ける初期状態で電装品2がブラケット10に対して上方が手前に傾斜した姿勢となっていてもボルト13eが邪魔にならず、電装品2をブラケット10に容易に組み付けできる。
【0066】
ただし、本実施の形態の電装品ユニット1では、電装品2の一部がブラケット10における凹部15内に収容可能であればよいので、ボルト13eをブラケット10における第1保持片13に取り付ける代わりに、ナット16を第1保持片13のプレート13cの座部11側に配置して、ボルト13eを第1固定片4の長孔4a内に反ブラケット側から挿通し、ナット16を螺子軸13e1に螺合して第1固定片4を第1保持片13に固定してもよい。その場合、ナット16を第1保持片13のプレート13cの座部11側の端面に溶接して取り付けておいてもよい。なお、ボルト13eを第1保持片13に予め取り付けしない場合、第1固定片4に設けられるボルト13eが挿通される孔は、長孔4aではなく丸孔とされてもよい。
【0067】
また、本実施の形態の電装品ユニット1では、設置対象としての緩衝器Dは、円筒状のアウターシェル(取り付け部)21を有し、座部11は、アウターシェル(取り付け部)21の周面に沿う一対の湾曲プレート11a,11bとを有し、保持部12は、湾曲プレート11a,11bに跨るU形に形成されており、第1保持片13と第2保持片14とがアウターシェル(取り付け部)21の軸方向で凹部15を挟んで対向している。
【0068】
このように構成された電装品ユニット1によれば、座部11が左右一対の湾曲プレート11a,11bで構成され、保持部12が湾曲プレート11a,11bに跨るU形に形成されるので、一枚の金属板を打ち抜き加工および折り曲げ加工して、ブラケット10を製造することができる。また、座部11がアウターシェル(取り付け部)21の周面に沿う一対の湾曲プレート11a,11bを備えおり、円筒状のアウターシェル(取り付け部)21の周面に湾曲プレート11a,11bをガタなく載置できるので、ブラケット10のアウターシェル(取り付け部)21への溶接作業が容易となる。さらに、第1保持片13と第2保持片14とがアウターシェル(取り付け部)21の軸方向で凹部15を挟んで対向しているので、アウターシェル(取り付け部)21の外径が小径であっても、アウターシェル(取り付け部)21を側方から見て、ブラケット10をアウターシェル(取り付け部)21の幅に収めることができ、電装品ユニット1を無理なく緩衝器(設置対象)Dに取り付け得る。
【0069】
なお、前述したところでは、電装品2の設置対象を緩衝器Dとした例を用いて電装品ユニット1の各部について詳細に述べたが、設置対象は緩衝器Dに限られず、電装品2が使用される機器や機械等とされてもよい。また、ブラケット10の座部11が取り付けられる取り付け部が平坦である場合、座部11は湾曲プレート11a,11bではなく平板状のプレートによって形成されてもよい。
【0070】
また、電装品ユニット1は、第1保持片13を上方にし、第2保持片14を下方にして設置対象に固定されているが、設置対象における取り付け部の向きに応じて、第1保持片13を下方にし、第2保持片14を上方にしたり、第1保持片13と第2保持片14とを同じ高さに水平に配置したりしてもよく、凹部15の向きも取り付け部の向きに応じて任意に設定できる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・電装品ユニット、2・・・電装品、4・・・第1固定片、5・・・第2固定片、5b・・・中央爪、5c,5d・・・対向爪、10・・・ブラケット、11・・・座部、11a,11b・・・湾曲プレート、12・・・保持部、13・・・第1保持片、13e・・・ボルト、14・・・第2保持片、14a・・・プレート(第2の保持片の部分)、14d・・・切欠、16・・・ナット、21・・・アウターシェル(取り付け部)、D・・・緩衝器(設置対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7