IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

特開2023-180271電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法
<>
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図1
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図2
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図3
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図4
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図5
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図6
  • 特開-電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180271
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20231214BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20231214BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
H05K5/00 B
H05K7/14 A
B60R16/02 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093404
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】竹内 智志
【テーマコード(参考)】
4E360
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AB31
4E360CA02
4E360EA03
4E360ED22
4E360EE03
4E360FA09
4E360FA17
4E360GA29
4E360GB97
4E360GC08
5E348AA13
5E348AA40
5E348CC07
(57)【要約】
【課題】防水性を向上できるとともに容易に製造できる電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法の提供を目的としている。
【解決手段】電子部品ユニット1は、電子部品3が搭載された基板2と、ベース11と一端がベース11に連なり他端で基板2を把持してベース11に対して基板2を離間させた位置に配置する2つ以上の把持片12とベース11の前後からそれぞれベース11の前方および後方へ突出する前側取付片13および後側取付片14とを有するブラケット10と、基板2、ベース11および把持片12をモールドによって内包する樹脂ケース17とを備え、前側取付片13および後側取付片14が樹脂ケース17の外に突出している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載された基板と、
ベースと、一端が前記ベースに連なり他端で前記基板を把持して前記ベースに対して前記基板を離間させた位置に配置する2つ以上の把持片と、前記ベースの前後からそれぞれ前記ベースの前方および後方へ突出する前側取付片および後側取付片とを有するブラケットと、
前記基板、前記ベースおよび前記把持片をモールドによって内包する樹脂ケースとを備え、
前記前側取付片および前記後側取付片が前記樹脂ケースの外に突出している
電子部品ユニット。
【請求項2】
前記把持片は、前記ベースの前方に配置される前側把持片と、前記ベースの後方に配置される後側把持片とを有し、
前記ブラケットは、
前記前側把持片と前記前側取付片との間であって前記ベースの前方から開口する前側切欠と、
前記後側把持片と前記後側取付片との間であって前記ベースの後方から開口する後側切欠とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品ユニット。
【請求項3】
前記ベースは、前記基板に対向する中央部と、前記中央部の前方に連なり前記中央部に対して屈曲する前側屈曲部と、前記中央部の後方に連なり前記中央部に対して屈曲する後側屈曲部とを有し、
前記前側取付片は、前記前側屈曲部の前端から突出し、
前記後側取付片は、前記後側屈曲部の後端から突出している
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品ユニット。
【請求項4】
前記前側把持片は、先端に前方へ向けて湾曲する湾曲部を有し、
前記後側把持片は、先端に後方へ向けて湾曲する湾曲部を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電子部品ユニット。
【請求項5】
ベースと前記ベースに連なる2つ以上の把持片とを有するブラケットにおける前記把持片に電子部品が搭載された基板を取り付けて前記ベースに対して前記基板を離間した位置に配置する組立工程と、
上型と下型とに分割された金型における前記上型と前記下型とで前記ブラケットの前後から突出する前側取付片および後側取付片を挟み込むとともに前記金型内に前記基板、前記ベースおよび前記把持片を収容する設置工程と、
前記金型内に樹脂を注入して、前記基板、前記ベースおよび前記把持片を内包する樹脂ケースをモールド成型する成型工程とを含む
ことを特徴とする電子部品ユニットの製造方法。
【請求項6】

前記成型工程時に前記ベースの前記基板に対向する中央部に設けられた複数の孔に前記樹脂を通過させる
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品ユニットは、たとえば、電子部品を搭載した基板と、矩形であって中央に凹部を有するとともに四隅に取り付け孔を有する金属ベースと、金属ベースの凹部に充填されて凹部における底部に貼付された基板を覆うエポキシ樹脂成型材とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の電子部品ユニットは、電子部品を搭載した基板と、矩形の枠体と枠端の四辺の中央に取り付け孔が穿たれた取付耳とを有する金属製の枠部材と、上端が開放された角錐台形であって内方に電子部品が載置されるとともに開口端に枠部材が接着により取り付けられる樹脂容器と、樹脂容器内に充填されて基板を覆う樹脂材とを備えている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
このように構成された電子部品ユニットは、車室内ではなく取り付け孔を利用して車両のエンジンに直接固定されて使用されるため、金属ベースの凹部内或いは樹脂容器内に収容した基板を樹脂によって封止して、防水性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-190725号公報
【特許文献2】特開2014-015080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電子部品ユニットでは、基板が樹脂によって覆われているが基板を覆う樹脂が金属ベースから剥離して、樹脂と金属ベースとの間に隙間が生じてしまうと、水が当該隙間に侵入すると、金属ベースを伝って金属ベースに貼付された基板に水が到達してしまう可能性がある。
【0007】
また、特許文献2に開示された電子部品ユニットでは、基板に搭載された電子部品に電気的に接続される接続ピンを基板にはんだ付けし、接続ピンで基板を支えるようにして樹脂容器内で基板を仮固定するか、或いは、基板に設けた孔に樹脂容器の内方に設けた柱状部を挿通してから柱状部に熱を与えて溶融させて基板を仮固定する工程と、金属製の枠部材を樹脂容器に接着する工程とを行ってから樹脂をモールド成型するようにしており、電子部品ユニットの製造工程が煩雑となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、防水性を向上できるとともに容易に製造可能な電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の電子部品ユニットは、電子部品が搭載された基板と、ベースと一端がベースに連なり他端で基板を把持してベースに対して基板を離間させた位置に配置する2つ以上の把持片とベースの前後からそれぞれベースの前方および後方へ突出する前側取付片および後側取付片とを有するブラケットと、基板、ベースおよび把持片をモールドによって内包する樹脂ケースとを備え、前側取付片および後側取付片が樹脂ケースの外に突出している。
【0010】
このように構成された電子部品ユニットでは、ブラケットがベースに対して基板を離間した位置で把持できるとともに、前側取付片および後側取付片を利用して、樹脂ケースを成型する金型内で基板とベースとを離間した位置に配置できるから樹脂ケース内でベースと基板とを離間した位置に配置できる。
【0011】
また、電子部品ユニットにおける把持片は、ベースの前方に配置される前側把持片と、ベースの後方に配置される後側把持片とを備え、ブラケットは、前側把持片と前側取付片との間であってベースの前方から開口する前側切欠と、後側把持片と後側取付片との間であってベースの後方から開口する後側切欠とを備えてもよい。
【0012】
このように電子部品ユニットが構成されると、ベースから樹脂ケースが剥離してしまいベースと樹脂ケースとの間に隙間ができても、水が基板に到達するまでの距離を長くできるとともに水の侵入経路が直線状にではなく曲がりくねった経路となり、より一層、基板に水が到達するのを抑制でき、より一層防水性を向上できる。
【0013】
さらに、電子部品ユニットにおけるベースは、基板に対向する中央部と、中央部の前方に連なり中央部に対して屈曲する前側屈曲部と、中央部の後方に連なり中央部に対して屈曲する後側屈曲部とを有し、前側取付片は、前側屈曲部の前端から突出し、後側取付片は、後側屈曲部の後端から突出してもよい。
【0014】
このように構成された電子部品ユニットによれば、樹脂ケース内に収容されているベースが平坦ではなく前後に前側屈曲部と後側屈曲部とを備えているので、樹脂ケースに対して前後左右方向にせん断力が作用してもせん断力を前側屈曲部と後側屈曲部とで受け止めて樹脂ケースのブラケットからの脱落を防止できる。
【0015】
さらに、電子部品ユニットにおける前側把持片が先端に前方へ向けて湾曲する湾曲部を有し、電子部品ユニットにおける後側把持片が先端に後方へ向けて湾曲する湾曲部を有してもよい。このように構成された電子部品ユニットでは、基板を前側把持片と後側把持片との間に挿入する際、基板が湾曲部の湾曲面状を滑って前側把持片と後側把持片とを撓ませるので、基板のブラケットへの装着作業が容易となる。
【0016】
また、電子部品ユニットの製造方法は、ベースとベースに連なる2つ以上の把持片とを有するブラケットにおける把持片に電子部品が搭載された基板を取り付けてベースに対して基板を離間した位置に配置する組立工程と、上型と下型とに分割された金型における上型と下型とでブラケットの前後から突出する前側取付片および後側取付片を挟み込むとともに金型内に基板、ベースおよび把持片を収容する設置工程と、金型内に樹脂を注入して、基板、ベースおよび把持片を内包する樹脂ケースをモールド成型する成型工程とを含んでいる。このように構成された電子部品ユニットの製造方法によれば、ブラケットの前側取付片および後側取付片を上型と下型とで挟み込むことで、基板を把持したブラケットを利用して金型内で基板を上型および下型から離間した位置に位置決めしつつ樹脂ケースをモールド成型できるので、電子部品ユニットの防水性を向上しつつも、容易に製造でき、金型内で基板を固定するためのピン等の固定部材も不要になる。
【0017】
また、電子部品ユニットの製造方法において、成型工程時にベースの基板に対向する中央部に設けられた複数の孔に樹脂を通過させるようにしてもよい。このように構成された電子部品ユニットの製造方法によれば、金型内に注入された樹脂は、ベースの中央部と基板および電子部品との間の狭い隙間にもスムーズに入り込むことができ、モールド成型時に金型の空隙内に樹脂を速やかに注入できるため、成型後の樹脂ケース内にボイドが形成されるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電子部品ユニットおよび電子部品ユニットの製造方法によれば、防水性を向上できるとともに容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施の形態における電子部品ユニットの正面図である。
図2】一実施の形態における電子部品ユニットの断面図である。
図3】(A)は、一実施の形態の電子部品ユニットにおける電子部品を搭載した基板の正面図である。(B)は、一実施の形態の電子部品ユニットにおける電子部品を搭載した基板の側面図である。
図4】(A)は、一実施の形態の電子部品ユニットにおけるブラケットの正面図である。(B)は、一実施の形態の電子部品ユニットにおけるブラケットの側面図である。
図5】一実施の形態の電子部品ユニットにおける電子部品を搭載した基板とブラケットの分解図である。
図6】一実施の形態の電子部品ユニットにおける電子部品を搭載した基板とブラケットを金型内に挿入した状態の側面図である。
図7】一実施の形態の電子部品ユニットが台座を介して取り付けられた緩衝器斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明の電子部品ユニット1を説明する。一実施の形態における電子部品ユニット1は、図1から図5に示すように、電子部品3が搭載された基板2と、基板2を把持する金属製のブラケット10と、モールド成型によって形成されて基板2とブラケット10の一部を内包する樹脂ケース17とを備えている。
【0021】
基板2は、図2および図3に示すように、矩形の基板本体2aと、基板本体2aの四隅に前後方向へ向けて突出する4つの突起2bとを備えている。基板本体2aは、銅箔で形成された図示しない配線を備えている。基板本体2aは、本実施の形態では、詳しくは図示しないが、絶縁材の表裏の一方または両方に、銅箔の配線パターンと、配線パターンを保護するレジストとを積層して構成されている。
【0022】
電子部品3は、能動素子、受動素子や集積回路等であって基板本体2a上に前記配線に接続されて搭載されている。本実施の形態の電子部品ユニット1は、図外の緩衝器における減衰力調整用のソレノイドバルブを制御するコントローラとされており、電子部品3は、ソレノイドに電流を供給するドライバと、ソレノイドに流れる電流を制御するための制御演算処理を行うMPUとを含む複数の素子や集積回路等の部品で構成されて、基板2における基板本体2aの表側と裏側に搭載されている。
【0023】
また、基板本体2aの図3(A)中の左側には、図外のソレノイドバルブへ電流供給を行うための2芯のケーブル4が接続されており、基板本体2aの図3(A)中の右側には、図外の外部電源から電力供給を受けるとともに上位の制御装置からの指令を受け取るための4芯のケーブル5が接続されている。
【0024】
よって、電子部品ユニット1は、ケーブル5を介して図外の外部電源から電力の供給を受けるとともに、図外の上位の制御装置からの指令を受け取って、ケーブル4を介して図外のソレノイドバルブへ電流供給を行って、ソレノイドバルブを制御する。なお、本実施の形態の電子部品ユニット1は、緩衝器におけるソレノイドバルブを制御する制御装置となっているが、他の機器のコントローラであってもよいし、何らかの情報を検知するセンサであってもよく、用途および機能に応じて処理に適した電子部品3を基板2に搭載すればよい。
【0025】
なお、本実施の形態では、電子部品3を基板本体2aの表裏に実装するため、基板本体2aは、絶縁材の表裏にそれぞれ配線パターンを備えているが、基板2の表裏のいずれか一方のみに電子部品3を実装する場合には基板本体2aの表側或いは裏側の一方にのみ配線パターンを備えていればよい。また、基板本体2aの構成および形状は、一例であって、電子部品3の搭載に適するように設計変更可能である。
【0026】
つづいて、ブラケット10は、図2および図4に示すように、ベース11と、一端がベース11に連なり他端で基板2を把持してベース11に対して基板2を離間させた位置に配置する4つの把持片12と、ベース11の前後からそれぞれベース11の前方および後方へ突出する前側取付片13および後側取付片14とを備えている。
【0027】
ベース11は、基板2に対向する中央部11aと、中央部11aの前方に連なり中央部11aに対して屈曲する前側屈曲部11bと、中央部11aの後方に連なり中央部11aに対して屈曲する後側屈曲部11cとを備えている。
【0028】
中央部11aは、本実施の形態では、矩形板であって、中央に設けた角孔11a1と、角孔11a1の前後に設けられた丸孔11a2,11a3とを備えている。前側屈曲部11bは、中央部11aと同じ幅で中央部11aの前方から垂直に上方へ向けて屈曲する矩形板となっている。後側屈曲部11cは、中央部11aと同じ幅で中央部11aの後方から垂直に上方へ向けて屈曲する矩形板となっている。前側屈曲部11bと後側屈曲部11cは、互いに前後方向で対向しており、前側屈曲部11bの高さと後側屈曲部11cの高さとは互いに同じになっている。
【0029】
把持片12は、図4および図5に示すように、ベース11における前方に配置される2つの前側把持片12a,12aと、ベース11の後方に配置される2つの後側把持片12b,12bとを備えている。各前側把持片12a,12aは、ベース11の中央部11aの前側の左右の側方から左右方向へ平行に延びる水平片12a1,12a1と、水平片12a1,12a1の前端から垂直に立ち上がる垂直片12a2,12a2と、垂直片12a2,12a2の先端から前方に湾曲する湾曲部12a3,12a3と、垂直片12a2,12a2の先端側であってベース11とは反対側の側部から開口する溝12a4,12a4とを備えている。
【0030】
水平片12a1,12a1は、台形状であって底片側をそれぞれ中央部11aに前方の左右の側部に連ねて中央部11aの左右の側方から水平方向へ延びている。また、水平片12a1,12a1とベース11の中央部11aとの境に前方から開口する前側切欠15,15が設けられている。
【0031】
垂直片12a2,12a2は、各水平片12a1,12a1の前方に連なって垂直に屈曲して上方へ向けて立ち上がる細長い矩形の板であって、互いに同じ高さを有して、幅方向を中央部11aの左右方向に、厚さ方向を中央部11aの前後方向へ向けている。
【0032】
湾曲部12a3,12a3は、垂直片12a2,12a2の先端となる上端から前方に向けて湾曲している。また、溝12a4,12a4は、垂直片12a2,12a2の先端側の湾曲部12a3,12a3の下端の至近であって、ベース11とは反対側の側部から開口している。つまり、溝12a4,12a4は、垂直片12a2,12a2の幅方向で中央部11a側を内側とすると垂直片12a2,12a2の外側の側部から開口している。
【0033】
後側把持片12b,12bは、ベース11の中央部11aの後側の左右の側方から左右方向へ平行に延びる水平片12b1,12b1と、水平片12b1,12b1の後端から垂直に立ち上がる垂直片12b2,12b2と、垂直片12b2,12b2の先端から後方に湾曲する湾曲部12b3,12b3と、垂直片12b2,12b2の先端側であってベース11とは反対側の側部から開口する溝12b4,12b4とを備えている。
【0034】
水平片12b1,12b1は、台形状であって底片側をそれぞれ中央部11aに後方の左右の側部に連ねて中央部11aの左右の側方から水平方向へ延びている。また、水平片12b1,12b1とベース11の中央部11aとの境に後方から開口する後側切欠16,16が設けられている。
【0035】
垂直片12b2,12b2は、各水平片12b1,12b1の後方に連なって垂直に屈曲して上方へ向けて立ち上がる細長い矩形の板であって、互いに同じ高さを有して、幅方向を中央部11aの左右方向に、厚さ方向を中央部11aの前後方向へ向けている。
【0036】
湾曲部12b3,12b3は、垂直片12b2,12b2の先端となる上端から後方に向けて湾曲している。また、溝12b4,12b4は、垂直片12b2,12b2の先端側の湾曲部12b3,12b3の下端の至近であって、ベース11とは反対側の側部から開口している。つまり、溝12b4,12b4は、垂直片12b2,12b2の幅方向で中央部11a側を内側とすると垂直片12b2,12b2の外側の側部から開口している。
【0037】
そして、中央部11aの左側に配置されている前側把持片12aと後側把持片12bとは、ベース11の前後方向で対向しており、前側把持片12aの高さと後側把持片12bの高さとは同じであり、溝12a4の高さ位置と溝12b4の高さ位置とが同じ位置に配置されている。また、中央部11aの右側に配置されている前側把持片12aと後側把持片12bとは、ベース11の前後方向で対向しており、前側把持片12aの高さと後側把持片12bの高さとは同じであり、溝12a4の高さ位置と溝12b4の高さ位置とが同じ位置に配置されている。溝12a4,12b4の高さ位置は、ベース11の中央部11aの上端よりも上方に位置している。また、溝12a4,12b4の下端とベース11の中央部11aの上端との間の上下方向の長さは、少なくとも基板2のベース11側に搭載される電子部品3がある場合、基板2のベース11側の電子部品3の上下方向長さ以上に設定される。
【0038】
なお、ブラケット10は、前述したところでは、2つの前側把持片12a,12aと、2つの後側把持片12b,12bとの4つの把持片12を備えているが、基板2を把持してベース11に対して離間した位置に配置出来ればよいので、少なくとも2つ以上の把持片12を備えていればよく、また、2つ以上の把持片12によって基板2aを前後方向で挟んで把持してもよいし、基板2aを左右方向で挟んで把持してもよい。
【0039】
前側取付片13は、矩形板であってベース11における前側屈曲部11bの前端から突出しており、肉厚を貫く長孔13aを有している。
【0040】
後側取付片14は、ベース11における後側屈曲部11cの後端から後方側へ向けて突出する矩形のプレート14aと、プレート14aの後端となる先端の中央から後方へ向けて突出する中央爪14bと、プレート14aの後端となる先端の中央爪14bを挟んで図4(A)中で左右の両側から後方へ向けて突出する一対の対向爪14c,14dとを備えている。
【0041】
中央爪14bは、プレート14aの左右の中央から図4(B)中で上方に向けて延びる垂直部14b1と、垂直部14b1の先端から屈曲してプレート14aに対して平行であってプレート14aから離間する後方へ向けて延びる水平部14b2とを備えている。対向爪14c,14dは、プレート14aの後端であって、中央に設けられた中央爪14bを挟んで中央爪14bと左右方向で所定の間隔を空けて図4(A)の紙面を貫く方向から見る平面視で中央爪14bとそれぞれ重ならない位置から後方へ向けて水平に延びている。
【0042】
前述のように構成されたブラケット10は、1枚の金属板を母材として、当該母材に対して打ち抜き加工および折り曲げ加工を行って成型されるが、複数の部品を組み立てることによって形成されてもよい。
【0043】
つづてい、ブラケット10に対して電子部品3を搭載した基板2を取り付ける組立工程について説明する。ブラケット10に対して電子部品3を搭載した基板2を取り付けるには、図5に示すように、基板2をブラケット10の上方からベース11側へ接近させて、左右で対向する前側把持片12aと後側把持片12bとの間に挿入する。基板本体2aの前後の長さは、前側把持片12aにおける垂直片12a2と後側把持片12bにおける垂直片12b2との間の距離にほぼ等しくなっており、基板2を前側把持片12aと後側把持片12bとに接近させていくと、基板2の前側の突起2bが前側把持片12aにおける湾曲部12a3に当接するとともに、基板2の前側の突起2bが後側把持片12bにおける湾曲部12b3に当接する。
【0044】
この状態から、さらに、基板2をベース11に接近させると突起2bに当接した前後左右の垂直片12a2,12b2が撓んで前後方向で対向する垂直片12a2,12b2間の距離が広がり、基板2が垂直片12a2,12b2間の距離を広げつつベース11へ接近していく。基板2の突起2bが前後左右の垂直片12a2,12b2の溝12a4,12b4内に挿入されると垂直片12a2,12b2が自身の弾発力によって元の位置まで復元して基板2の基板本体2aの前後を把持する。そして、溝12a4,12b4内に基板2の突起2bが嵌合されるため、基板2の上下左右方向への移動も拘束される。このように、組立工程が終了すると、ブラケット10における把持片12が基板2の前後を把持するとともに基板2の上下左右方向への移動を拘束するので、基板2がブラケット10に強固に固定される。
【0045】
また、基板2は、前側把持片12aと後側把持片12bとに対して溝12a4,12b4の高さ位置に固定されるので、ベース11に対して上下方向に離間した位置に固定され、ベース11との間に隙間が形成する。前述した通り、溝12a4,12b4の下端とベース11の中央部11aの上端との間の上下方向の長さは、基板2のベース11側の電子部品3の上下方向長さ以上に設定されているので、基板2のベース11側の電子部品3とベース11の中央部11aとの干渉が防止される。
【0046】
さらに、本実施の形態では、ベース11の前側屈曲部11bと後側屈曲部11cとの高さは、ベース11の中央部11aの上端と基板2の下端との間の上下方向の距離よりも低くなっており、電子部品ユニット1を側方から見て基板2が前側屈曲部11bおよび後側屈曲部11cよりも上方側に配置されている。
【0047】
前側把持片12aと後側把持片12bにそれぞれ湾曲部12a3,12b3が設けられているので、基板2を前側把持片12aと後側把持片12bとの間に挿入する際、突起2bが湾曲部12a3,12b3の湾曲面状を滑って垂直片12a2,12b2を撓ませるので、基板2のブラケット10への装着作業が容易となる。
【0048】
なお、基板2における基板本体2aの前後左右に前側把持片12aと後側把持片12bとの溝12a4,12b4が設けられる部分が嵌合する切欠を設けて、基板2のブラケット10に対する上下左右方向への移動を拘束してもよい。また、前側把持片12aの垂直片12a2と後側把持片12bの垂直片12b2とに基板2が嵌合する凹部を設けて基板2の上下方向への移動を拘束するようにしてもよい。
【0049】
このようにブラケット10に基板2を取り付ける組立工程が終了した後、図6に示すように、上型M1と下型M2とに上下に分割された金型M内にベース11、電子部品3を搭載した基板2を収容する設置工程の後、金型M内に図外のゲートから樹脂ケースとなる熱溶融した樹脂を注入して、樹脂ケース17をモールド成型する成型工程を行う。設置工程では、ブラケット10における前側取付片13および後側取付片14が上型M1と下型M2とで挟み込まれて金型Mにブラケット10が固定される。このように金型Mにブラケット10が固定されると、金型M内の樹脂が注入される空隙内においてベース11の中央部11aが下型M2から離間した位置に位置決められるとともに、把持片12によってベース11に固定される基板2も上型M1および下型M2から離間して位置に位置決められる。よって、設置工程の後の成型工程では、ベース11、電子部品3を搭載した基板2が金型M内に挿入された状態で前記空隙内に樹脂が注入されるので、モールド成型後に硬化した樹脂ケース17にベース11、電子部品3を搭載した基板2が内包される。また、ベース11は、金型Mの前記空隙内に収容されるので、樹脂ケース17に前側屈曲部11bおよび後側屈曲部11cが収容され、前側取付片13および後側取付片14のみが樹脂ケース17の前後から外方へ向けて突出する。
【0050】
ベース11の中央部11aに角孔11a1および丸孔11a2,11a3が設けられているので、成型工程時に金型M内に注入された樹脂は、ベース11の中央部11aと基板2および電子部品3との間の狭い隙間にもスムーズに入り込むことができ、また、前側屈曲部11bおよび後側屈曲部11cのベース11からの高さより基板2のベース11からの高さの方が高く、前側屈曲部11bおよび後側屈曲部11cと基板2との間に隙間が形成されているので、ベース11に前側屈曲部11bおよび後側屈曲部11cが設けられていても樹脂が前記隙間を通過できる。よって、モールド成型時に金型Mの空隙内に樹脂を速やかに注入できるため、成型後の樹脂ケース17内にボイドが形成されるのを抑制できる。
【0051】
このように構成された電子部品ユニット1は、たとえば、図7に示す台座20を介して設置対象へ取り付けられる。本実施の形態では、設置対象を緩衝器Dとしている。図7に示すように、円筒状の取り付け部としてのアウターシェル21と、アウターシェル21内に移動自在に挿入されるロッド22とを有して、ロッド22がアウターシェル21に対して軸方向に相対移動する伸縮作動時にロッド22のアウターシェル21に対する相対移動を妨げる減衰力を発生して、車両の車体と車輪の振動を減衰させる。台座20は、電子部品ユニット1の前後に配置されるプレート20a,20bと、前側のプレート20aに設けられたボルト20b11とを備えており、電子部品ユニット1の前側取付片13が台座20の前側のプレート20bに対してボルト20b11とナット18とによって固定され、電子部品ユニット1の後側取付片14が台座20の後側のプレート20aを挟持することで、台座20に対して電子部品ユニット1が固定的に装着される。
【0052】
緩衝器Dは、たとえば、下端が閉塞されるアウターシェル21と、アウターシェル21内に収容される図示しないシリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッド22と、ロッド22に連結されるとともにシリンダ内に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダとアウターシェル21との間に配置される中間筒と、中間筒とアウターシェル21との間の環状隙間で形成されるリザーバと、シリンダの下端に設けられて圧側室とリザーバとを仕切るバルブケースとを備えている。そして、伸側室と圧側室には、作動油等の液体が充填され、リザーバには、液体と気体とが充填されている。なお、緩衝器Dに使用される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体でもよい。
【0053】
また、ピストンには、圧側室から伸側室へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路が設けられ、リザーバと圧側室とを仕切るバルブケースには、リザーバから圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路が設けられている。さらに、伸側室は、シリンダと中間筒との間の環状隙間で形成される排出通路を介してリザーバに連通されており、排出通路には、伸側室からリザーバへ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、電子部品ユニット1から供給される電流量の調整によって前記抵抗を調整可能なソレノイドバルブが設けられている。ソレノイドバルブは、アウターシェル21の下端の側方から突出する筒状のハウジング23内に収容されている。
【0054】
このように構成された緩衝器Dが収縮作動すると、シリンダに対するピストンの移動によって圧縮される圧側室からピストンの整流通路を介して拡大する伸側室へ液体が移動し、ロッド22がシリンダ内に侵入する体積分の液体が排出通路およびソレノイドバルブを介してリザーバへ排出される。そして、ソレノイドバルブが通過する液体の流れに抵抗を与えるので、シリンダ内の圧力が上昇して緩衝器Dは収縮作動を妨げる減衰力を発生する。また、ソレノイドバルブに与える電流量の調整によって前記液体の流れに与える抵抗を調整できるので、緩衝器Dは、収縮作動時の減衰力の調整が可能である。
【0055】
また、緩衝器Dが伸長作動すると、排出通路およびソレノイドバルブを介してピストンのシリンダに対する移動によって圧縮される伸側室から液体がリザーバへ排出される。また、緩衝器Dの伸長作動時には、ピストンのシリンダに対する移動によって拡大される圧側室には、吸込通路を介してリザーバから液体が供給される。そして、ソレノイドバルブが通過する液体の流れに抵抗を与えるので、伸側室内の圧力が上昇して緩衝器Dは伸長作動を妨げる減衰力を発生する。また、ソレノイドバルブに与える電流量の調整によって前記液体の流れに与える抵抗を調整できるので、緩衝器Dは、伸長作動時の減衰力の調整が可能である。このように、本実施の形態の電子部品ユニット1が適用される設置対象としての緩衝器Dは、電子部品ユニット1からの電流供給によって減衰力を変化させ得る。
【0056】
また、アウターシェル21の中間の外周には、図示しない懸架ばねの下端を支承する下方懸架ばね受24が装着されている。図外の懸架ばねは、ロッド22の先端に取り付けられる上方懸架ばね受と前記した下方懸架ばね受24との間に介装されており、緩衝器Dを車体と車輪との間に介装すると車体を弾性支持する。
【0057】
さらに、アウターシェル21の下端の外周には、車両における車輪を回転可能に保持するナックルに連結可能なナックルブラケット25が設けられている。ナックルブラケット25は、図1に示すように、アウターシェル21の外周に沿って湾曲してアウターシェル21を抱持して取り付けられており、周方向の両端が径方向へ向けて延びた取り付け部分がナックルから延びるアームを挟んで前記アームにボルトとナットとによって締結されている。なお、ナックルブラケット25には、ソレノイドバルブが収容されるハウジング23が挿通を許容する孔25aが設けられている。なお、前述した緩衝器Dの構成は、一例であって、設計変更可能である。
【0058】
以上、本実施の形態の電子部品ユニット1は、電子部品3が搭載された基板2と、ベース11と一端がベース11に連なり他端で基板2を把持してベース11に対して基板2を離間させた位置に配置する2つ以上の把持片12とベース11の前後からそれぞれベース11の前方および後方へ突出する前側取付片13および後側取付片14とを有するブラケット10と、基板2、ベース11および把持片12をモールドによって内包する樹脂ケース17とを備え、前側取付片13および後側取付片14が樹脂ケース17の外に突出している。
【0059】
このように構成された電子部品ユニット1では、ブラケット10がベース11に対して基板2を離間した位置で把持できるとともに、前側取付片13および後側取付片14を利用して、樹脂ケース17を成型する金型Mで基板2とベース11とを離間した位置に配置できる。
【0060】
よって、本実施の形態の電子部品ユニット1によれば、ブラケット10を介して基板2を金型M内で基板2とベース11とを離間した位置に配置できるので、樹脂ケース17の成型が容易となる。また、樹脂ケース17内でベース11と基板2とが離間した位置に配置されるため、ベース11から樹脂ケース17が剥離してしまい、ベース11と樹脂ケース17との間に水が侵入しても基板2に水が到達しにくくなる。以上、本実施の形態の電子部品ユニット1によれば、防水性を向上できるとともに容易に製造できる。
【0061】
また、本実施の形態の電子部品ユニット1では、把持片12は、ベース11の前方に配置される前側把持片12aと、ベース11の後方に配置される後側把持片12bとを備え、ブラケット10は、前側把持片12aと前側取付片13との間であってベース11の前方から開口する前側切欠15と、後側把持片12bと後側取付片14との間であってベース11の後方から開口する後側切欠16とを備えている。
【0062】
このように電子部品ユニット1が構成されると、ベース11から樹脂ケース17が剥離してしまいベース11と樹脂ケース17との間に隙間ができても、前側取付片13側から樹脂ケース17内に侵入した水は前側切欠15の周囲をUターンして前側把持片12aを伝っていかなければ基板2に到達できず、また、後側取付片14側から樹脂ケース17内に侵入した水は後側切欠16の周囲をUターンして後側把持片12bを伝っていかなければ基板2に到達できないので、水が基板2に到達するまでの距離を長くできるとともに水の侵入経路が直線状にではなく曲がりくねった経路となる。よって、このように構成された電子部品ユニット1によれば、より一層、基板2に水が到達するのを抑制できるので、より一層防水性を向上できる。
【0063】
さらに、本実施の形態の電子部品ユニット1では、ベース11は、基板2に対向する中央部11aと、中央部11aの前方に連なり中央部11aに対して屈曲する前側屈曲部11bと、中央部11aの後方に連なり中央部11aに対して屈曲する後側屈曲部11cとを有し、前側取付片13は、前側屈曲部11bの前端から突出し、後側取付片14は、後側屈曲部11cの後端から突出している。
【0064】
このように構成された電子部品ユニット1によれば、樹脂ケース17内に収容されているベース11が平坦ではなく前後に前側屈曲部11bと後側屈曲部11cとを備えているので、樹脂ケース17に対して前後左右方向にせん断力が作用してもせん断力を前側屈曲部11bと後側屈曲部11cとで受け止めて樹脂ケース17のブラケット10からの脱落を防止できる。
【0065】
なお、本実施の形態の電子部品ユニット1では、ベース11の中央部11aに対して前側屈曲部11bと後側屈曲部11cとが基板2を把持する前側把持片12aおよび後側把持片12bと同じ方向となる上方へ向けて立ち上がっているので、電子部品ユニット1の上下方向の高さを低くでき、電子部品ユニット1を小型化できる。
【0066】
さらに、本実施の形態の電子部品ユニット1では、前側把持片12aは、先端に前方へ向けて湾曲する湾曲部12a3を有し、後側把持片12bは、先端に後方へ向けて湾曲する湾曲部12b3を有している。このように構成された電子部品ユニット1では、基板2を前側把持片12aと後側把持片12bとの間に挿入する際、基板2が湾曲部12a3,12b3の湾曲面状を滑って前側把持片12aと後側把持片12bとを撓ませるので、基板2のブラケット10への装着作業が容易となる。
【0067】
また、本実施の形態の電子部品ユニット1におけるブラケット10は、図4(A)に示すように、左右線対称の形状となっているので、ケーブル4を左側に配置するとともにケーブル5を右側に配置して基板2を把持片12に装着することも、基板2を水平に180度回転させてケーブル4を右側に配置するとともにケーブル5を左側に配置して基板2を把持片12に装着することも可能である。よって、ブラケット10および基板2に対する設計変更を行わずとも、基板2の取付姿勢を変えるだけで、ソレノイドバルブへ電流供給を行うためのケーブル4と電力供給を受けるとともに上位の制御装置からの指令を受け取るためのケーブル5の配置の入れ替えが可能となる。
【0068】
なお、前側取付片13には長孔13aを設けており、後側取付片14には中央爪14b、対向爪14c,14dを設けているが、台座20への取り付け手段に応じて適宜設計変更可能である。よって、たとえば、台座20への前側取付片13と後側取付片14との取り付けをボルトとナットを利用するのであれば、前側取付片13と後側取付片14との双方にボルトが挿通される孔のみを設けておけばよい。
【0069】
また、ベース11とベース11に連なる2つ以上の把持片12とを有するブラケット10における把持片12に電子部品3が搭載された基板2を取り付けてベース11に対して基板2を離間した位置に配置する組立工程と、上型M1と下型M2とに分割された金型Mにおける上型M1と下型M2とでブラケット10の前後から突出する前側取付片13および後側取付片14を挟み込むとともに金型M内に基板2、ベース11および把持片12を収容する設置工程と、金型M内に樹脂を注入して、基板2、ベース11および把持片12を内包する樹脂ケース17をモールド成型する成型工程とを含んでいる。このように構成された電子部品ユニット1の製造方法によれば、ブラケット10の前側取付片13および後側取付片14を上型M1と下型M2とで挟み込むことで、基板2を把持したブラケット10を利用して金型M内で基板2を上型M1および下型M2から離間した位置に位置決めしつつ樹脂ケース17をモールド成型できるので、電子部品ユニット1の防水性を向上しつつも、容易に製造できる。また、ブラケット10の前側取付片13および後側取付片14を上型M1と下型M2とで挟み込むことで、基板2を把持したブラケット10を利用して金型M内で基板2を上型M1および下型M2から離間した位置に位置決めできるので、金型M内で基板2を固定するためのピン等の固定部材が不要になる。
【0070】
また、電子部品ユニット1の製造方法において、成型工程時にベース11の基板2に対向する中央部に設けられた角孔11a1および丸孔11a2,11a3(複数の孔)に前記樹脂を通過させるようにした。このように構成された電子部品ユニット1の製造方法によれば、金型M内に注入された樹脂は、ベース11の中央部11aと基板2および電子部品3との間の狭い隙間にもスムーズに入り込むことができ、モールド成型時に金型Mの空隙内に樹脂を速やかに注入できるため、成型後の樹脂ケース17内にボイドが形成されるのを抑制できる。
【0071】
なお、前述したところでは、電子部品ユニット1の設置対象を緩衝器Dとした例を用いて電子部品ユニット1の各部について詳細に述べたが、設置対象は緩衝器Dに限られず、電子部品ユニット1が使用される機器や機械等とされてもよい。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1・・・電子部品ユニット、2・・・基板、3・・・電子部品、10・・・ブラケット、11・・・ベース、11a・・・中央部、11b・・・前側屈曲部、11c・・・後側屈曲部、12・・・把持片、12a3,12b3・・・湾曲部、13・・・前側把持片、14・・・後側把持片、15・・・前側切欠、16・・・後側切欠、17・・・樹脂ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7