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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180279
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20231214BHJP
   D06F 37/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
D06F39/08 331
D06F37/12 H
D06F39/08 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093417
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】住吉 宏介
(72)【発明者】
【氏名】市原 拓哉
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA15
3B165AE02
3B165AE07
3B165BA74
3B165CA02
3B165CA11
3B165CB02
3B165CB36
3B165CB53
3B165CB59
3B165CB64
3B165CE01
3B165DW02
3B165DW03
3B165DW04
3B165DW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA22
3B165GA27
3B165GH02
3B166AA15
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA74
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB02
3B166CB11
3B166DB03
3B166DB13
3B166DB17
3B166DC03
3B166DC13
3B166DC23
3B166DC27
3B166DC40
3B166DC43
3B166DC47
3B166DD01
3B166DD02
3B166DD03
3B166DD06
3B166DE02
3B166DE06
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA27
3B166GA42
3B166HA11
3B166HA31
3B166HA54
(57)【要約】
【課題】外槽内面を常時洗浄することが可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】外槽6と、外槽6内に回転自在に収容された洗濯兼脱水槽3と、洗濯兼脱水槽3の内底部に回動自在に支持された攪拌翼と、攪拌翼の下面に設けられた裏羽根と、攪拌翼と洗濯兼脱水槽3を回転駆動する駆動モータと、洗濯兼脱水槽3の内面に設けられ、裏羽根が回転することで当該洗濯兼脱水槽3の内底部の洗濯水を上昇させて当該洗濯兼脱水槽3内に戻す循環流路部材26と、を備え、洗濯兼脱水槽3には、循環流路部材26の裏側に、裏羽根の回転時に外槽6の内壁面6aに向けて洗濯水を吐出させる吐出孔31sが形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽と、
前記外槽内に回転自在に収容された洗濯兼脱水槽と、
前記洗濯兼脱水槽の内底部に回動自在に支持された攪拌翼と、
前記攪拌翼の下面に設けられた羽根部と、
前記攪拌翼と前記洗濯兼脱水槽を回転駆動する駆動手段と、
前記洗濯兼脱水槽の内面に設けられ、前記羽根部が回転することで当該洗濯兼脱水槽の内底部の洗濯水を上昇させて当該洗濯兼脱水槽内に戻す循環流路部材と、を備え、
前記洗濯兼脱水槽には、前記循環流路部材の裏側に、前記羽根部の回転時に前記外槽の内壁面に向けて洗濯水を吐出させる吐出孔が形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記吐出孔は、前記洗濯兼脱水槽の周方向に沿って複数個並んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記吐出孔は、前記洗濯兼脱水槽の底板から流体バランサの下面までの高さの半分よりも高い位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記循環流路部材は、前記洗濯兼脱水槽内に複数設けられ、
それぞれの前記循環流路部材が位置する前記洗濯兼脱水槽に前記吐出孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記洗濯兼脱水槽には、前記循環流路部材から外れた位置に、脱水運転時に前記外槽に向けて洗濯水を排出する脱水孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスケットを内包する洗濯槽(外槽)の内側の洗浄方法として、専用ノズルと洗浄用の工程を設けて、洗濯槽の内壁面に洗浄水を散布する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-105832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機では、洗浄用水を供給するための装置が別途必要であり、またユーザ任意の選択によってコースを設定する必要があった。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、外槽内面を常時洗浄することが可能な洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外槽と、前記外槽内に回転自在に収容された洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽の内底部に回動自在に支持された攪拌翼と、前記攪拌翼の下面に設けられた羽根部と、前記攪拌翼と前記洗濯兼脱水槽を回転駆動する駆動手段と、前記洗濯兼脱水槽の内面に設けられ、前記羽根部が回転することで当該洗濯兼脱水槽の内底部の洗濯水を上昇させて当該洗濯兼脱水槽内に戻す循環流路部材と、を備え、前記洗濯兼脱水槽には、前記循環流路部材の裏側に、前記羽根部の回転時に前記外槽の内壁面に向けて洗濯水を吐出させる吐出孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外槽内面を常時洗浄することが可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の洗濯機の内部構成図である。
図2】洗濯兼脱水槽の斜視断面図である。
図3】攪拌翼の裏側を示す斜視図である。
図4】循環水路部材の裏面図である。
図5】洗濯兼脱水槽の吐出孔の位置を示す模式図である。
図6】循環水の流れを示す模式図である。
図7図6のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、洗濯、すすぎ、脱水を行うことができる洗濯機(いわゆる、全自動洗濯機)を例に挙げて説明するが、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥を行うことができる洗濯機(いわゆる、縦型の洗濯乾燥機)に適用することもできる。
【0010】
図1は、本実施形態の洗濯機の内部構成図である。
図1に示すように、洗濯機1は、略箱形の鋼板製の外枠5内に、防振装置4によって、洗濯兼脱水槽3を回転自在に内置した合成樹脂製の外槽6を吊架した構成となっている。外枠5の上部には、制御手段であるコントロールユニット7、給水手段である電磁給水弁16(給水手段)を備えた合成樹脂製の上面カバー9が設けられ、外枠5の下部には、合成樹脂製のベース部材10を有する。
【0011】
上面カバー9の中央部には洗濯物12等を出し入れする洗濯物投入口9aを有しており、この洗濯物投入口9aを開閉するための蓋体9bが設けられている。また、上面カバー9には、蓋体9bの手前に、電源スイッチ13、洗濯等の各工程などを操作する入力スイッチ部14、各工程の進行状況を表示する進行表示部14aなどが設けられている。また、上面カバー9の後部外側には、水道の蛇口に接続された給水ホース17が設けられ、その他端は電磁給水弁16に接続されている。
【0012】
外枠5の枠体内には、洗濯水を溜める有底略円筒状の外槽6を有している。外槽6は合成樹脂で形成されている。洗い工程等を行う際、コントロールユニット7の指令により、電磁給水弁16を開き、外槽6内に洗濯水が給水される。所定の水位となったことが水位センサ15により検知され、コントロールユニット7の指令により電磁給水弁16を閉め、給水を停止する。
【0013】
外槽6の底部外側には排水装置である排水弁18および排水ホース11が設けられ、外槽6底部に有する外槽排水口6cと排水弁18を介して排水ホース11と接続されている。洗い運転やすすぎ運転後に脱水工程等を行う際、コントロールユニット7の指令により排水弁18が開かれ、外槽6内の洗濯水は、排水ホース11の他端から洗濯機1の機外へ排水する。
【0014】
また、外槽6内周と洗濯兼脱水槽3外周との間には隙間があり、この隙間に洗濯物等が入らなくするとともに、外槽6全体の剛性を保つために、外槽6の上面には洗濯兼脱水槽3に設けた流体バランサ32の上面を覆うようなリング状に形成された槽カバー20を備えている。
【0015】
また、外槽6の底部外側には、鋼板製の取付けベース21を介して、駆動用モータ22、および駆動用モータ22を減速する減速機構24が取り付けられている。駆動用モータ22には誘導電動機または、同期電動機が用いられる。駆動機構は、駆動用モータ22でVベルト(図示せず)および減速機構24を介して攪拌翼2を駆動するものであってもよく、また駆動用モータ22の駆動軸が減速機構24と同一軸上に構成されたものであってもよい。
【0016】
減速機構24の内部には、洗濯動作と脱水動作の切替えを行う電動操作クラッチ機構24aと遊星歯車減速機構24bを備えている。電動操作クラッチ機構24aにより、洗濯兼脱水槽3を静止させた状態で攪拌翼2を左右に回転させたり(攪拌モード)、洗濯兼脱水槽3と攪拌翼2を一体的に同一方向に回転させたり(脱水モード)を選択できる。
【0017】
図2は、洗濯兼脱水槽の斜視断面図である。
洗濯兼脱水槽3は、胴板部31と、流体バランサ32と、底板33と、を含んで構成されている。
【0018】
胴板部31は、ステンレス鋼板で略円筒状に形成され、周壁に洗濯物12(図1参照)に含まれている洗濯水を遠心力にて洗濯物12と分離し排出するための脱水孔31a(図1参照)を複数個有している。
【0019】
流体バランサ32は、洗濯物12の偏りと反対方向にバランス用の流体が移動して、洗濯物12の偏りによる外槽6(図1参照)の振動を抑制する機能を有し、胴板部31の上縁部に設けられている。また、流体バランサ32は、内径側の周面が胴板部31の周壁よりも径方向内側に突出するように配置されている。
【0020】
底板33は、円盤形状の底部33aと、底部33aの周縁部から上方に立ち上がる側部33bと、を有し、胴板部31の下端部に止着されている。また、底部33aから側部33bに至る境界の内壁部33cは、R形状(湾曲形状)を有している。また、底部33aには、外槽6に通じる吸水口33a1を複数個備えている。
【0021】
また、洗濯兼脱水槽3の内面3aには、合成樹脂製の循環流路部材26が設けられている。この循環流路部材26は、略板状に形成され、底板33から胴板部31の上端まで延びて形成されている。また、循環流路部材26の上端には、洗濯水が吐出する開口部26aが形成されている。また、洗濯兼脱水槽3の内面3aには、循環流路部材26と対向する位置に、同様の循環流路部材26が設けられている(図1参照)。
【0022】
また、洗濯兼脱水槽3の内面3aには、糸くずなどを捕集するためのフィルタ部材28bを備えた流路部材28が設けられている。流路部材28には、開口部28aが形成され、この開口部28aから洗濯水が吐出して洗濯兼脱水槽3内に戻るようになっている。また、洗濯兼脱水槽3の内面3aには、流路部材28と対向する位置に同様の流路部材28が設けられている。
【0023】
洗濯兼脱水槽3の内底部(底板33の内周側)には、回転自在な攪拌翼2が設けられている。この攪拌翼2は、底板33の大部分を覆う大径であって、周縁部が迫り上がるように上向きに湾曲し、皿状に形成されており、洗濯物12(図1参照)を受け支える状態で回転するような構成となっている。
【0024】
攪拌翼2は、回転中心Oの部分が盛り上がり、回転中心Oを挟んで対向する位置において凸形状となる凸状部2a(図3参照)と、凸状部2aと凸状部2aとの間の周方向において凹み形状となる凹み部2b,2b(図3参照)と、を有し、周方向において凹凸形状が繰り返されるように構成されている。また、攪拌翼2には、表面と裏面を連通する孔2c(図3参照)が複数個所に形成されている。
【0025】
図3は、回転翼の裏側を示す斜視図である。
図3に示すように、攪拌翼2の裏面(下面)には、回転中心Oから放射状に延びる裏羽根2s(羽根部)が形成されている。この裏羽根2sは、周方向に等角度(本実施形態では、30度毎)に配置されている。また、凸状部2aの最も高い位置の裏羽根2sは、外周側の上下方向の高さHが最も高く形成されている。また、凸状部2aの最も高い位置の裏羽根2sから周方向に離れるにつれて、高さが低くなるように形成されている。また、攪拌翼2の裏面には、複数の補強板2tが回転中心Oを基準として同心円状または略同心円状に設けられている。
【0026】
また、攪拌翼2は、駆動用モータ22(図1参照)の回転が減速機構24(図1参照)に設けられた遊星歯車減速機構24b(図1参照)により減速され、攪拌翼2の回転速度が、例えば、毎分90~150回転で回転される。また、攪拌翼2は、コントロールユニット7(図1参照)の指令により正転/逆転を繰り返し、洗濯兼脱水槽3に投入された洗濯物12を上下動に攪拌することにより、洗濯、すすぎ等を行う。
【0027】
このように、攪拌翼2の表面の形状を左右対称形状とすることにより、攪拌翼2の裏羽根2sの形状も左右対称形状とすることができるので、後記する循環流路部材26の開口部26aからの洗濯水の散水量を攪拌翼2が右回転と左回転のどちらであっても均等にできる。また、流路部材28についても同様に、開口部28aからの洗濯水の散水量を均等にできる。
【0028】
図4は、循環流路部材の裏面図である。
図4に示すように、循環流路部材26は、合成樹脂で形成され、その裏面に樹脂で一体に形成された導水路26cを有しており、洗濯兼脱水槽3との間に独立した循環水路26dを形成している。循環水路26dは、一対のリブ26c1,26c1を左右両側に配置することで構成されている。また、リブ26c1は、下部から上部に向けて上方に直線状に延び、さらに上端部において徐々に流路幅が拡大するように上下方向に対して外側に傾斜する傾斜リブ26c2を有している。
【0029】
また、循環流路部材26の下部には、洗濯水を循環水路26dに流入させるための流入口26eが設けられている。また、循環流路部材26の上部には、循環水路26dの出口としてシャワーを散水するための開口部26aが設けられている。
【0030】
また、循環流路部材26の裏面には、循環流路部材26を胴板部31に固定するための固定部26f,26g,26gが導水路26cの幅方向の中央部に設けられている。また、循環流路部材26の裏面には、リブ26c1の幅方向の外側に、循環流路部材26を胴板部31に掛止させるための掛止爪26hが複数個所に形成されている。
【0031】
前記したリブ26c1,26c1(傾斜リブ26c2を含む)にパッキンを装着し、循環流路部材26を洗濯兼脱水槽3に固定部26f,26g,26gを介して固着することにより、流入口26eから流入した洗濯水が途中で液漏れすることなく、開口部26aから流出できるように構成されている。
【0032】
このような循環流路部材26を設けた洗濯機1では、底板33の内周側(内底部)と、攪拌翼2の裏面に設けられた裏羽根2sの外周側とで形成されたポンプ室R(図1参照)に、循環水路26dが連通して設けられている。そして、洗濯水が攪拌翼2の裏側に設けた裏羽根2sの回転により発生する力で外側に押し出されることによって、循環水路26dを経由して洗濯水が上昇し、循環流路部材26の上部に設けた開口部26aから洗濯水が間欠的に洗濯兼脱水槽3内に戻るようにして散水される。
【0033】
図5は、洗濯兼脱水槽の吐出孔の位置を示す模式図である。
図5に示すように、洗濯兼脱水槽3には、循環流路部材26の裏側(循環水路26dに対向する位置)に、胴板部31を外槽6に向けて貫通する吐出孔31sが複数形成されている。この吐出孔31sは、例えば丸孔形状である。また、吐出孔31sは、4か所に形成され、周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0034】
また、吐出孔31sの高さは、洗濯兼脱水槽3の底板33(底面の水平な面)から流体バランサ32の下面までの高さhの1/2(半分)よりも高い位置に形成されている。これにより、外槽6の内壁面6aの高い位置に洗濯水を吹き付けることができるので、内壁面6aの汚れが付着し易い領域の全体を洗浄することができる。
【0035】
なお、流路部材28の裏側に対向する洗濯兼脱水槽3には、前記したような吐出孔31sは設けられていない。これは、吐出孔31sを設けると、糸屑フィルタ(リントフィルタ)の性能が落ちるからである。
【0036】
図6は、循環水の流れを示す模式図である。図7は、図6のA部拡大図である。
図6に示すように、攪拌翼2の裏羽根2sが回転することで、洗濯兼脱水槽3の底側に溜まった洗濯水が径方向の外側に押圧される。そして、洗濯兼脱水槽3の底板33のR形状の面を通って洗濯水を上向きの流れに変え、循環流路部材26の循環水路26dを上昇する。そして、循環流路部材26の上端の開口部26aから洗濯兼脱水槽3の内側に向けて吐出される。
【0037】
また、図7に示すように、循環水路26dを上昇した洗濯水は、一部が開口部26aから吐出され、残りの一部が吐出孔31sから外槽6に向けて吐出される。吐出された洗濯水は、外槽6の内壁面6aに吹き付けられる。内壁面6aに吹き付けられた洗濯水は、内壁面6aを伝って落下し、内壁面6aに付着した汚れや異物などが洗濯水によって洗い流される。
【0038】
このように吐出孔31sを高い位置に設けることで、外槽6の内壁面6aの高い位置に洗濯水を吹き付けることができ、内壁面6aの広い領域を洗浄することが可能になる。なお、本実施形態では、4個の丸い形状の吐出孔31sを形成したが、外槽6の内壁面6aに洗濯水を吹き付けることができる構成であれば、孔の形状や孔の個数は本実施形態に限定されるものではない。
【0039】
次に、本実施形態の洗濯機1の洗い、すすぎ、脱水を行う一連の洗濯動作について説明する。まず、ユーザが洗濯物12を洗濯兼脱水槽3の中に投入し、電源スイッチ13をオンし、入力スイッチ部14に設けたスタートスイッチ(図示せず)をオンする。これによりコントロールユニット7の指令によって、電磁給水弁16を制御して所定水位まで給水し、洗い工程に入る。洗い工程に入ると、駆動用モータ22は洗濯水流に応じて右回転・休止・左回転・休止とコントロールユニット7によって制御されて回転する。この制御された駆動用モータ22の回転は、減速機構24を介して攪拌翼2に伝えられる。したがって、駆動用モータ22の回転に応じて攪拌翼2が回転し、洗濯兼脱水槽3の中の洗濯物12と洗濯水が撹拌され、洗濯物12が洗浄される。
【0040】
一方、攪拌翼2の裏羽根2sと循環流路部材26との間の洗濯水は、攪拌翼2の回転に応じて裏羽根2sの回転により遠心力で外側に押し出され、循環水路26dを通って洗濯兼脱水槽3に設けた吐出孔31sから外槽6の内壁面6aに向けて間欠的に吐出され、外槽6の内壁面6aが洗濯水によって洗浄される。また、押し出された洗濯水は、循環流路部材26の開口部26aまたは流路部材28のリントフィルター(不図示)から洗濯兼脱水槽3内に間欠的に注がれる。このように、本実施形態においては、洗い工程においても外槽6の内壁面6aの洗浄が行われる。なお、吐出孔31sは、洗濯兼脱水槽3の循環流路部材26が設けられている領域しか形成されていないが、洗濯兼脱水槽3が正逆両方向に回転することによって、外槽6の内壁面6aの周方向の全体に洗濯水を吹き付けることができる。
【0041】
なお、攪拌翼2の裏羽根2sによって洗濯水が循環水路26dに押し出されると、その後、攪拌翼2の裏羽根2sの下方にある底板33に設けた外槽6に通じる吸水口33a1から新しい洗濯水が供給される。すなわち、外槽6と洗濯兼脱水槽3との間の洗濯水が供給されることになり、外槽6と洗濯兼脱水槽3との間の液面は、洗濯水が循環流路部材26から吐出される瞬間は、洗濯兼脱水槽3内の洗濯水の水位のほうが一時的に低くなる。ただし、洗濯兼脱水槽3の脱水孔31aや吐出孔31sから、また洗濯兼脱水槽3と攪拌翼2との間の隙間から、洗濯水が外槽6に流れるので、液面の差はある値でバランスし、一定となる。
【0042】
そして、洗い動作が終了すると、排水弁18が開弁され、外槽6内の洗濯水が排水ホース11を介して洗濯機1の外部に排出される。そして、中間脱水が行われた後、1回目のすすぎ工程に移行する。中間脱水では、洗濯兼脱水槽3が高速で回転することで、洗濯物から分離した洗濯水が脱水孔31aから外槽6の内壁面6aに吐出され、外槽6の内壁面6aの洗浄が行われる。なお、後記する2回目のすすぎの中間脱水、最終脱水においても同様に内壁面6aの洗浄が行われる。
【0043】
そして、コントロールユニット7の指令により、電磁給水弁16を制御して所定水位まで給水される。1回目のすすぎ工程においても、駆動用モータ22は洗濯水流に応じて右回転・休止・左回転・休止とコントロールユニット7によって制御されて回転する。この制御された駆動用モータ22の回転は、減速機構24を介して攪拌翼2に伝えられる。したがって、駆動用モータ22の回転に応じて攪拌翼2が回転し、洗濯兼脱水槽3の中の洗濯物12と洗濯水が撹拌され、洗濯物12のすすぎが行われる。
【0044】
一方、攪拌翼2の裏羽根2sと循環流路部材26との間の洗濯水は、攪拌翼2の回転に応じて裏羽根2sの回転により遠心力で外側に押し出され、循環水路26dを通って洗濯兼脱水槽3に設けた吐出孔31sから外槽6の内壁面6aに向けて間欠的に吐出され、外槽6の内壁面6aがすすぎ工程の洗濯水によって洗浄される。また、押し出された洗濯水は、循環流路部材26の開口部26aまたは流路部材28のリントフィルター(不図示)から洗濯兼脱水槽3内に間欠的に注がれる。このように、本実施形態では、1回目のすすぎ工程においても、外槽6の内壁面6aの洗浄が行われる。なお、吐出孔31sは、洗濯兼脱水槽3の循環流路部材26が設けられている領域しか形成されていないが、洗濯兼脱水槽3が正逆両方向に回転することによって、外槽6の内壁面6aの周方向の全体に洗濯水を吹き付けることができる。
【0045】
そして、すすぎ動作が終了すると、排水弁18が開弁され、外槽6内の洗濯水が排水ホース11を介して洗濯機1の外部に排出される。そして、中間脱水が行われた後、2回目のすすぎ工程に移行する。そして、コントロールユニット7の指令により、電磁給水弁16を制御して所定水位まで給水される。この2回目のすすぎ工程の後、最終脱水に移行する。この2回目のすすぎ工程においても、1回目のすすぎ工程と同様に、吐出孔31sから外槽6の内壁面6aに向けて洗濯水が吐出され、外槽6の内壁面6aが2回目のすすぎ工程の洗濯水によって洗浄される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機1では、外槽6と、外槽6内に回転自在に収容された洗濯兼脱水槽3と、洗濯兼脱水槽3の内底部に回動自在に支持された攪拌翼2と、攪拌翼2の下面に設けられた裏羽根2sと、攪拌翼2と洗濯兼脱水槽3を回転駆動する駆動用モータ22と、洗濯兼脱水槽3の内面3aに設けられ、裏羽根2sが回転することで当該洗濯兼脱水槽3の内底部の洗濯水を上昇させて当該洗濯兼脱水槽3内に戻す循環流路部材26と、を備える。洗濯兼脱水槽3には、循環流路部材26の裏側に、裏羽根2sの回転時に外槽6の内壁面6aに向けて洗濯水を吐出させる吐出孔31sが形成されている。これによれば、洗い工程やすすぎ工程において外槽6の内壁面6aを洗浄することができる。その結果として、別途槽洗浄用の装置を設けることなく、またユーザに対して槽洗浄のコースの有無を設定させることなく、外槽6の内壁面6aを常に洗浄することができる。
【0047】
また、本実施形態では、吐出孔31sは、洗濯兼脱水槽3の周方向に沿って複数個並んで形成されている。これにより、一度に洗浄できる範囲を広げることができ、洗浄効率を高めることができる。
【0048】
また、本実施形態では、吐出孔31sは、洗濯兼脱水槽3の底板33の底面から流体バランサ32の下面までの高さHの半分よりも高い位置に形成されている。これにより、外槽6の内壁面6aの高い位置に洗濯水を吹き付けることができるので、洗浄範囲を広げることができる。
【0049】
また、本実施形態では、循環流路部材26は、洗濯兼脱水槽3内において複数設けられ、それぞれの前記循環流路部材26が位置する前記洗濯兼脱水槽3に前記吐出孔31sが形成されている。これにより、一度に洗浄できる範囲を広げることができ、洗浄効率を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、洗濯兼脱水槽3には、循環流路部材26から外れた位置に、脱水運転時に外槽6に向けて洗濯水を排出する脱水孔31aが形成されている。これにより、脱水運転時にも、洗濯水を脱水孔31aから外槽6の内壁面6aに向けて吐出させることができるので、吐出孔31aによる洗い工程時やすすぎ工程時の洗浄と合わせて、内壁面6aの洗浄効率を高めることができる。
【0051】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。前記した実施形態では、2つの循環流路部材26を設けた場合について説明したが、これに限らず、1つの循環流路部材26であってもよく、3つ以上の循環流路部材26を設けてもよい。
【0052】
また、吐出孔31sの個数は、4個に限定されるものではなく、3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。また、吐出孔31sは、外槽6に向けて径が小さくなるように絞り形状としてもよい。これにより、吐出孔31sから吐出される洗濯水の勢いを増すことができ、内壁面6aの洗浄性を高めることができる。また、吐出孔31sは、強度の点において、丸孔の形状とした方が長孔の形状とする場合よりも好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 洗濯機
2 攪拌翼
2s 裏羽根(羽根部)
3 洗濯兼脱水槽
3a 内面
6 外槽
6a 内壁面(内面)
16 電磁給水弁(給水手段)
22 駆動用モータ(駆動手段)
26 循環流路部材
26a 開口部
31 胴板部
31a 脱水孔
31s 吐出孔
32 流体バランサ
33 底板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7