(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180297
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自動倉庫機能を有する生産システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093459
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齋田 洋二
(72)【発明者】
【氏名】▲塚▼田 乙
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
3F022MM11
3F022MM15
(57)【要約】
【課題】倉庫や生産区画に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備の生産効率を高め、レイアウト変更に柔軟に対応可能な自動倉庫機能を有する生産システムを提供する。
【解決手段】自動倉庫機能を有する生産システム1は、生産設備30が複数設けられた生産区画3と、生産区画3の近傍に設けられ、生産設備30へ供給されて生産に使用される供給物と、供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部4と、第1倉庫部4から離間して、生産区画3の上方に設けられ、生産関係物が保管される第2倉庫部5と、生産設備30の各々の上方の位置P1と、第1倉庫部4、及び第2倉庫部5を連結するように設けられた走行路6と、第1倉庫部4と第2倉庫部5の任意の場所に対する生産関係物の格納と取り出し、及び走行路6上の走行が可能となるように設けられた搬送装置7と、上方の位置P1と生産設備30の各々との間で生産関係物を上下に搬送させる昇降部8と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動倉庫機能を有する生産システムであって、
生産設備が複数設けられた生産区画と、
前記生産区画の近傍に設けられ、前記生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に前記生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部と、
前記第1倉庫部から離間して、前記生産区画の上方に設けられ、前記生産関係物が保管される第2倉庫部と、
前記生産設備の各々の上方の位置と、前記第1倉庫部、及び前記第2倉庫部を連結するように設けられた走行路と、
前記第1倉庫部と前記第2倉庫部の任意の場所に対する前記生産関係物の格納と取り出し、及び前記走行路上の走行が可能となるように設けられた、前記生産関係物を搬送する搬送装置と、
前記上方の位置と前記生産設備の各々との間で前記生産関係物を上下に搬送させる昇降部と、
を備えることを特徴とする自動倉庫機能を有する生産システム。
【請求項2】
前記第2倉庫部は、建物の、前記生産区画と同一階に設けられることを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫機能を有する生産システム。
【請求項3】
前記第2倉庫部は、水平方向に間隔をあけて複数個所に設けられ、隣接する前記第2倉庫部同士の間には設備機器が設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動倉庫機能を有する生産システム。
【請求項4】
自動倉庫機能を有する生産システムであって、
生産設備が複数設けられた生産区画と、
前記生産区画の近傍に設けられ、前記生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に前記生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部と、
前記第1倉庫部から離間して、前記生産区画の上階に設けられ、前記生産関係物が保管される第2倉庫部と、
前記上階における、前記生産設備の各々の上方の位置と、前記第1倉庫部、及び前記第2倉庫部を連結するように設けられた走行路と、
前記第1倉庫部と前記第2倉庫部の任意の場所に対する前記生産関係物の格納と取り出し、及び前記走行路上の走行が可能となるように設けられた、前記生産関係物を搬送する搬送装置と、
前記上方の位置と前記生産設備の各々との間で、階を跨いで、前記生産関係物を上下に搬送させる昇降部と、
を備えることを特徴とする自動倉庫機能を有する生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫機能を有する生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を生産する生産システムにおいては、生産のために使用される原材料や、生産された製品を保管する必要がある。
また、生産システムが、複数の工程に対応する複数の生産設備を有する場合には、前工程の生産設備の生産物を後工程の生産設備へと順次供給することで、最終的な製品が生産される。このような複数の生産設備を有した生産システムにおいては、複数の工程の生産設備間で、処理能力に差異があることが多い。この場合には、前工程の生産設備と、後工程の生産設備との間で、前工程で生産された生産物を、後工程での生産が開始するまでの間、一時的に仕掛品として保管する必要がある。
このような場合に、例えば、次に説明する特許文献1~3に記載されたような自動倉庫システムを、例えば生産設備が設けられる生産区画の隣に併設して、原材料、仕掛品、製品等の、生産に関連する物を保管することが考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、3次元グリッドと、複数のコンテナ荷役車両とを備える自動倉庫システムの構成が開示されている。この構成において、3次元グリッドは、コンテナが、垂直スタック状に相互の上に保管され得る、複数の保管カラムを備える。各コンテナ荷役車両は、保管カラムからコンテナを回収し、その中にコンテナを保管する。コンテナ荷役車両は、3次元グリッドの最上位におけるレール上で動作し、グリッドを横断してコンテナを水平に輸送する。
また、特許文献2には、スタッカクレーンと、ラックと、スタッカクレーンによってラックに配置され、ラック内において荷物の搬送及び移載を行うシャトルと、を備える自動倉庫システムの構成が開示されている。この構成において、ラックは、上下方向に並べられた複数段の載置棚を有する。各段の載置棚は、スタッカクレーンの通路の延在方向に交差する奥行方向に複数の荷物を並べて載置可能である。
また、特許文献3には、水平面内で第1の方向、及び第1の方向に直交する第2の方向に、複数のグリッド開口部が隣接して形成されたトラックシステムと、グリッド開口部の垂直方向の下方に配置された保管コンテナの複数のスタックと、スタックの中にスタックされている保管コンテナをリフトする保管コンテナリフティングデバイスと、トラックシステムに沿って移動する車両と、を備える自動倉庫システムの構成が開示されている。
【0004】
このように、生産区画の隣に自動倉庫システムや、自動倉庫システムと無人搬送システム(AGV)あるいは、天井走行式無人搬送システム(OHT)を組合せて設ける場合には、人や物の動線確保や機器構成上の制約から、倉庫や生産区画のスペース効率が悪くなるため、余分なスペースが必要となり、その分の敷地面積が必要となる。レイアウト変更には、固定設備の大掛かりな変更を伴う。
また、生産に関連する物を生産区画と倉庫間で横持ち搬送する際に、無人搬送システムを用いて自動で搬送する場合は、無人搬送システムの搬送時間以外に自動倉庫システムとの乗り継ぎ時間や、人手で搬送する場合は、搬送時間以外に授受のための歩行時間や荷役等の余分なリードタイムが発生する。
また、生産区画内の倉庫側に位置する生産設備と、倉庫とは反対側に位置する生産設備とでは、生産設備と倉庫との間の距離が一定とはならない。このため、一部の生産設備においては、特に長い搬送時間を要し、例えば原材料の供給が遅れる等の要因により、他の生産設備よりも生産効率が低くなってしまう可能性がある。すると、例えば当該生産設備による生産物を他の生産設備が使用するような状況においては、他の生産設備の生産効率も低下する。このようにして、特に一部の生産設備の生産効率の低下により、生産システム全体の生産効率が低下することもある。
更に、生産区画の倉庫近傍においては、生産区画に含まれる全ての生産設備に関係する物の、搬送経路が集中する。このため、倉庫近傍で物の搬送が混雑、滞留し、生産システムの生産効率が低減することがある。
倉庫や生産区画に要する敷地面積を低減して生産システムのスペース効率を高めつつ、工程間のリードタイムを最少化することにより、生産設備の生産効率を高めることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2021-500283号公報
【特許文献2】特開2022-35540号公報
【特許文献3】特表2021-504265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、倉庫や生産区画に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備の生産効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な自動倉庫機能を有する生産システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、自動倉庫機能を有する生産システムとして、生産設備が設けられる生産区画と、同一階に、生産に使用される供給物と、生産される生産物とを含む生産関係物が保管される第1倉庫部を設け、生産区画の上方に前記生産関係物の一部を第2倉庫部に保管し、各倉庫部内の前記生産関係物を搬送装置で搬送し、生産区画には昇降部で上下に搬送させることで、生産関係物の保管効率と搬送効率を高めることができ、かつ倉庫や生産区画に要する敷地面積の低減が可能である点に着眼して、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の自動倉庫機能を有する生産システムは、生産設備が複数設けられた生産区画と、前記生産区画の近傍に設けられ、前記生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に前記生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部と、前記第1倉庫部から離間して、前記生産区画の上方に設けられ、前記生産関係物が保管される第2倉庫部と、前記生産設備の各々の上方の位置と、前記第1倉庫部、及び前記第2倉庫部を連結するように設けられた走行路と、前記第1倉庫部と前記第2倉庫部の任意の場所に対する前記生産関係物の格納と取り出し、及び前記走行路上の走行が可能となるように設けられた、前記生産関係物を搬送する搬送装置と、前記上方の位置と前記生産設備の各々との間で前記生産関係物を上下に搬送させる昇降部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物は、搬送装置によって搬送される。この搬送装置は、生産区画の近傍に設けられる第1倉庫部と、第1倉庫部から離間して、生産区画の上方に設けられる第2倉庫部と、生産設備の各々の上方の位置とを連結するように設けられた走行路上を走行する。ここで、生産設備の上方の位置と生産設備の各々との間には、生産関係物を上下に搬送させる昇降部が設けられている。このため、搬送装置が、第1倉庫部、第2倉庫部、及び生産設備の各々の上方の位置との間で、生産関係物を搬送することで、第1倉庫部、第2倉庫部、及び生産設備の各々の間で、生産関係物は搬送される。
このようにすれば、第2倉庫部に、生産関係物の一部を保管し、その分だけ、第1倉庫部を小さくすることができる。この第2倉庫部は、生産区画の上方に設けられているため、第2倉庫部を設けるための敷地面積を必要としない。これにより、倉庫全体に要する敷地面積を低減することができる。
また、第2倉庫部は生産区画の上方に設けられているため、第1倉庫部に比べると、各生産設備との間の距離が、全体的に近くなり、かつ距離のばらつきが少なくなる。このため、各生産設備と第2倉庫部との間の、生産関係物の搬送時間が、全体的に短くなり、そのばらつきも少なくなる。したがって、例えば喫緊で使用される供給物を事前に第1倉庫部から第2倉庫部へと搬送しておく、等のように運用することで、全体的な搬送効率を高めつつ、特に一部の生産設備への供給物の供給が遅れて生産効率が低下し、これに起因して生産システム全体の生産効率が低下する、といった状況を抑制することができる。
また、生産関係物の一部を第2倉庫部に保管することができるので、保管効率を高めつつ、第1倉庫部近傍に搬送の動線が集中することが抑制される。したがって、搬送装置の混雑、滞留を抑制可能である。
上記のような効果は、特に、例えば前工程に対応する生産設備の生産物を、後工程に対応する他の生産設備へ供給物として供給する場合に、前工程に対応する生産設備の生産物を第2倉庫部に仮置きするように運用すれば、顕著に奏することができる。すなわち、このように運用する場合には、生産物を第1倉庫部まで搬送し、かつ第1倉庫部から生産区画へと再度搬送する必要がなくなるため、全体の搬送距離が短くなるとともに、第1倉庫部近傍への搬送の動線の集中を効率的に回避することができる。
このようにして、生産関係物の搬送効率を向上し、生産設備の生産効率を高めることができる。
また、例えば生産区画において生産設備をレイアウト変更する際には、生産システムでは、生産設備の変更にあわせて第2倉庫部と走行路を増設し、昇降部の配置を変更することで、これに対応する必要がある。ここで、第2倉庫部と走行路は、生産設備の上方に設けられるため、生産設備に影響されずに施工可能であるから、施工性が良く、かつ、昇降部の配置変更も容易である。したがって、生産設備のレイアウト変更に柔軟に対応可能である。
更に、搬送装置の台数の増減で搬送能力を繁忙度に応じて調整できる。
その結果、倉庫や生産区画に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備の生産効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記第2倉庫部は、建物の、前記生産区画と同一階に設けられる。
このような構成によれば、生産区画と第2倉庫部を異なる階に設ける場合に比べて、生産区画と第2倉庫部の距離を短くできる。したがって、生産設備と第2倉庫部との間の搬送時間を短縮し、搬送効率を向上することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記第2倉庫部は、水平方向に間隔をあけて複数個所に設けられ、隣接する前記第2倉庫部同士の間には設備機器が設置される。
このような構成によれば、第2倉庫部が、水平方向に間隔をあけて複数個所に設けられることで、複数の生産設備の各々と第2倉庫部との距離を短くすることができる。また、隣接する第2倉庫部同士の間には設備機器が設置されることで、生産システムが設置される建物内のスペースを有効利用することができる。
【0010】
本発明の自動倉庫機能を有する生産システムは、生産設備が複数設けられた生産区画と、前記生産区画の近傍に設けられ、前記生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に前記生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部と、前記第1倉庫部から離間して、前記生産区画の上階に設けられ、前記生産関係物が保管される第2倉庫部と、前記上階における、前記生産設備の各々の上方の位置と、前記第1倉庫部、及び前記第2倉庫部を連結するように設けられた走行路と、前記第1倉庫部と前記第2倉庫部の任意の場所に対する前記生産関係物の格納と取り出し、及び前記走行路上の走行が可能となるように設けられた、前記生産関係物を搬送する搬送装置と、前記上方の位置と前記生産設備の各々との間で、階を跨いで、前記生産関係物を上下に搬送させる昇降部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、生産設備へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に生産設備により生産される生産物とを含む、生産関係物は、搬送装置によって搬送される。この搬送装置は、生産区画の近傍に設けられる第1倉庫部と、第1倉庫部から離間して、生産区画の上階に設けられる第2倉庫部と、第2倉庫部が設けられた上階における、生産設備の各々の上方の位置とを連結するように設けられた走行路上を走行する。ここで、生産設備の上方の位置と生産設備の各々との間には、階を跨いで、生産関係物を上下に搬送させる昇降部が設けられている。このため、搬送装置が、第1倉庫部、第2倉庫部、及び生産設備の各々の上方の位置との間で、生産関係物を搬送することで、第1倉庫部、第2倉庫部、及び生産設備の各々の間で、生産関係物は搬送される。
このようにすれば、第2倉庫部に、生産関係物の一部を保管し、その分だけ、第1倉庫部を小さくすることができる。この第2倉庫部は、生産区画の上階に設けられているため、第2倉庫部を設けるための敷地面積を必要としない。これにより、倉庫全体に要する敷地面積を低減することができる。
また、第2倉庫部は生産区画の上階に設けられているため、第1倉庫部に比べると、各生産設備との間の距離が、全体的に近くなり、かつ距離のばらつきが少なくなる。このため、各生産設備と第2倉庫部との間の、生産関係物の搬送時間が、全体的に短くなり、そのばらつきも少なくなる。したがって、例えば喫緊で使用される供給物を事前に第1倉庫部から第2倉庫部へと搬送しておく、等のように運用することで、全体的な搬送効率を高めつつ、特に一部の生産設備への供給物の供給が遅れて生産効率が低下し、これに起因して生産システム全体の生産効率が低下する、といった状況を抑制することができる。
また、生産関係物の一部を第2倉庫部に保管することができるので、保管効率を高めつつ、第1倉庫部近傍に搬送の動線が集中することが抑制される。したがって、搬送装置の混雑、滞留を抑制可能である。
上記のような効果は、特に、例えば前工程に対応する生産設備の生産物を、後工程に対応する他の生産設備へ供給物として供給する場合に、前工程に対応する生産設備の生産物を第2倉庫部に仮置きするように運用すれば、顕著に奏することができる。すなわち、このように運用する場合には、生産物を第1倉庫部まで搬送し、かつ第1倉庫部から生産区画へと再度搬送する必要がなくなるため、全体の搬送距離が短くなるとともに、第1倉庫部近傍への搬送の動線の集中を効率的に回避することができる。
このようにして、生産関係物の搬送効率を向上し、生産設備の生産効率を高めることができる。
また、例えば生産区画において生産設備をレイアウト変更する際には、生産システムでは、生産設備の変更にあわせて第2倉庫部と走行路を増設し、昇降部の配置を変更することで、これに対応する必要がある。ここで、第2倉庫部と走行路は、生産設備の上階に設けられるため、生産設備に影響されずに施工可能であるから、施工性が良く、かつ、昇降部の配置変更も容易である。したがって、生産設備のレイアウト変更に柔軟に対応可能である。
更に、搬送装置の台数の増減で搬送能力を繁忙度に応じて調整できる。
その結果、倉庫や生産区画に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備の生産効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、倉庫や生産区画に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備の生産効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自動倉庫機能を有する生産システムの構成を示す模式断面図である。
【
図2】
図1の自動倉庫機能を有する生産システムの平面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る自動倉庫機能を有する生産システムの構成を示す模式断面図である。
【
図4】上記第2実施形態の自動倉庫機能を有する生産システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、自動倉庫機能を有する生産システムとして、生産設備が設けられた生産区画の近傍に、生産に使用される供給物と、生産される生産物とを含む生産関係物が保管される第1倉庫部と、前記第1倉庫部から離れた、前記生産区画の上方に第2倉庫部とを備え、前記第1倉庫部、及び前記第2倉庫部に保管された生産関係物は、走行路上を走行する搬送装置で移送され、生産区画には昇降部によって上下に搬送される。第1実施形態は、第2倉庫部が生産区画と同一階に設けられる(
図1、
図2)。第2実施形態は、第2倉庫部が生産区画の上階に設けられる(
図3、
図4)。
以下、添付図面を参照して、本発明による自動倉庫機能を有する生産システムを実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る自動倉庫機能を有する生産システムの構成を示す模式断面図を
図1に示す。
図2は、
図1の自動倉庫機能を有する生産システムの平面図である。
図1、
図2に示されるように、自動倉庫機能を有する生産システム1は、建物2内に設けられている。建物2は、例えば平屋建てで、床21と、床21の上方に配置された屋根22と、床21の外周部に設けられた外壁25(
図2参照)と、を備えている。床21の上方、かつ屋根22の下方には、天井23が設けられている。ここで、建物2の具体的な構造、構成については、何ら限定するものではない。建物2は、平屋建てではなく、2階建て以上の複数階層を有した構成であってもよい。この場合、屋根22に代えて、上階の床24(床スラブ)が設けられていてもよい。
自動倉庫機能を有する生産システム1は、生産区画3と、第1倉庫部4と、第2倉庫部5と、走行路6と、搬送装置7と、昇降部8と、を主に備えている。
【0014】
生産区画3は、床21上に配置されている。生産区画3は、複数の生産設備30を備えている。生産区画3は、複数の生産設備30が配置された生産室である。生産区画3は、床21と、天井23との間に形成されている。
複数の生産設備30においては、製品が製造される。本実施形態では、複数の生産設備30として、例えば、第1工程の生産設備30Aと、第2工程の生産設備30Bと、第3工程の生産設備30Cと、が設けられている。本実施形態において、第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30Cは、第1方向D1に沿って順次配列されている。製品は、例えば、第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30Cを、この順で順次経ることで生産される。なお、
図1において、第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30Cが、第1方向D1に沿って順次配列されているが、複数の生産設備30の配列(配置)は、これに限るものではなく、適宜変更可能である。
なお、製品を製造するために経る生産設備30の数(工程数)は、ここで示した3つに限らず、2つ、または4つ以上であってもよい。また、生産区画3内に、製品を製造するための一連の生産設備30(第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30C)を、複数組備えていてもよい。本実施形態においては、複数の生産設備30は、水平面内で第1方向D1に直交する第2方向D2に間隔をあけて、複数列が配置されている。
【0015】
複数の生産設備30(第1工程の生産設備30A、第2工程の生産設備30B、第3工程の生産設備30C)の各々には、製品を生産する基となり、生産に使用される供給物が供給される。複数の生産設備30の各々は、供給された供給物を基に、所定の加工、組立等を行い、その生産設備30における生産物を生産する。複数の生産設備30においては、製品の原料材を基に、複数の生産設備30の各々で、所定の加工、組立等の工程を順次経ることで、製品を製造する。
複数の生産設備30の各々における供給物としては、製品の原料材、前工程の生産設備30で生産された中間製品等がある。複数の生産設備30の各々における生産物では、中間製品、完成品としての製品等がある。
このような、生産設備30へ供給される供給物と、生産設備30により生産された生産物とを含む、製品の原料材、中間製品、完成品としての製品等の、各生産設備30における生産の過程で生産設備30に投入され、生産設備30から排出される物を、総じて生産関係物と呼称する。
【0016】
第1倉庫部4は、平面視したときに、生産区画3の近傍に設けられている。特に本実施形態においては、第1倉庫部4は、生産区画3に隣接して設けられている。第1倉庫部4は、生産区画3に対し、第1方向D1の一方側に隣接して設けられている。本実施形態においては、第1倉庫部4は、建物2の第2方向D2の全体にわたって設けられている。第1倉庫部4は、建物2内に配置されている。第1倉庫部4には、生産関係物が保管される。本実施形態において、生産関係物は、箱状の搬送容器100に収容されて保管される。搬送容器100は、全体として、立方体状、または直方体状の中空箱状で、例えば、上方に、生産関係物を出し入れするための開口を有している。搬送容器100内は、生産関係物が格納、保管される保管領域とされている。
本実施形態において、第1倉庫部4は、第1ラック40を備えている。第1ラック40は、床21上で、生産区画3に対して第1方向D1の一方側で隣接した位置に配置されている。
【0017】
第1ラック40は、当該第1ラック40の最上部を構成するように設けられ、水平面内で第1方向D1に延びる複数の第1上部フレーム41と、第1ラック40の最上部を構成するように設けられ、水平面内で第1方向D1に直交する第2方向D2に延びる複数の第2上部フレーム42と、上下方向Dvに延びる複数の支柱43と、内部フレーム44と、を備えている。
図2に示されるように、複数の第1上部フレーム41は、第1ラック40の最上部に、第2方向D2に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。複数の第2上部フレーム42は、第1ラック40の最上部に、第1方向D1に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。複数の第1上部フレーム41、及び複数の第2上部フレーム42は、上方から見て格子状に形成されている。複数の支柱43の各々は、上方から見て、第1上部フレーム41と第2上部フレーム42との交差部分と重なる位置に、交差部分から下方へと延伸するように配置されている。第1方向D1、及び第2方向D2で隣り合う支柱43同士は、上下方向Dvに間隔をあけて配置された複数の内部フレーム44によって連結されている。
図2に示されるように、第2方向D2で隣り合う第1上部フレーム41同士、及び第1方向D1で隣り合う第2上部フレーム42同士の間には、上方に向けて開口する矩形の開口45が形成されている。開口45は、第1方向D1、及び第2方向D2に沿ってそれぞれ複数形成されている。各開口45の下方には、上下方向Dvに延びる角柱状の保管空間46が形成されている。各保管空間46には、搬送容器100が上下方向Dvに複数積層されて保管される。これにより、第1倉庫部4は、生産関係物が格納、保管される保管領域(搬送容器100)を3次元のグリッド状に集積させて形成されている。
本実施形態において、第1倉庫部4の第1ラック40は、建物2内の床21から、天井23を貫通して上方に突出して設けられている。
【0018】
図1に示されるように、第2倉庫部5は、建物2内で、第1倉庫部4から水平方向(例えば、第1方向D1)に離間して設けられている。第2倉庫部5は、生産区画3の上方に設けられている。第2倉庫部5は、天井23の上方の、いわゆる天井裏スペースに配置されている。後に説明する搬送装置7を用いた搬送経路上で、第2倉庫部5は、第1倉庫部4よりも、生産設備30に近い位置に設けられている。
第2倉庫部5は、第1倉庫部4よりも小型に形成されている。第2倉庫部5は、建物2の躯体に緊結されて設けられている。本実施形態において、第2倉庫部5は、建物2の躯体の一部に支持された吊り棚28に設けられている。吊り棚28は、屋根22を下方から支持する屋根梁26に吊下されている。吊り棚28は、屋根梁26から下方に延びる複数本の束材28aと、複数本の束材28aに支持され、水平面に沿って設けられた棚材28bと、を備える。
第2倉庫部5には、第1倉庫部4と同様に、生産設備30へ供給される供給物と、生産設備30により生産された生産物とを含む、生産関係物が保管される。本実施形態において、生産関係物は、箱状の搬送容器100に収容されて保管される。
第2倉庫部5は、第2ラック50を備えている。
【0019】
第2ラック50は、当該第2ラック50の最上部を構成するように設けられ、水平面内で第1方向D1に延びる複数の第1上部フレーム51と、第2ラック50の最上部を構成するように設けられ、水平面内で第1方向D1に直交する第2方向D2に延びる複数の第2上部フレーム52と、上下方向Dvに延びる複数の支柱53と、内部フレーム54と、を備えている。
図2に示されるように、複数の第1上部フレーム51は、第2ラック50の最上部に、第2方向D2に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。複数の第2上部フレーム52は、第2ラック50の最上部に、第1方向D1に等間隔をあけて互いに平行に配置されている。複数の第1上部フレーム51、及び複数の第2上部フレーム52は、上方から見て格子状に形成されている。複数の支柱53の各々は、上方から見て、第1上部フレーム51と第2上部フレーム52との交差部分と重なる位置に、交差部分から下方へと延伸するように配置されている。第1方向D1、及び第2方向D2で隣り合う支柱53同士は、上下方向Dvに間隔をあけて配置された複数の内部フレーム54によって連結されている。
図2に示されるように、第2方向D2で隣り合う第1上部フレーム51同士、及び第1方向D1で隣り合う第2上部フレーム52同士の間には、上方に向けて開口する矩形の開口55が形成されている。開口55は、第1方向D1、及び第2方向D2に沿ってそれぞれ複数形成されている。各開口55の下方には、上下方向Dvに延びる角柱状の保管空間56が形成されている。各保管空間56には、搬送容器100が上下方向Dvに複数積層されて保管される。これにより、第2倉庫部5は、生産関係物が格納、保管される保管領域(搬送容器100)を3次元のグリッド状に集積させて形成されている。
【0020】
本実施形態において、第2倉庫部5は、吊り棚28の棚材28b上に載置されている。第2ラック50の上面は、第1倉庫部4の第1ラック40の上面と、上下方向Dvで同じ高さに配置されている。第2倉庫部5は、生産設備30と同一階に設けられている。
第2倉庫部5は、複数個所に設けられている。本実施形態において、第2倉庫部5は、水平方向(第1方向D1)に間隔をあけて複数配置されている。第2倉庫部5は、例えば生産区画3の上の中央の、1か所のみに、1つが設けられても構わない。
上下方向Dvにおいて、吊り棚28の棚材28b上で、水平方向に間隔をあけて配置された複数の第2倉庫部5同士の間には、設備機器9が設置されている。設備機器9としては、配管、ダクト、空調設備等が挙げられる。設備機器9は、複数の第2倉庫部5同士の間のみならず、走行路6や第2倉庫部5が設けられていない、吊り棚28上の任意の空きスペースに設けられてよい。
【0021】
昇降部8は、生産設備30の上方の位置P1と生産設備30の各々との間で生産関係物を上下に搬送させる。
昇降部8は、例えば、生産設備30に対する供給物の供給部、生産設備30からの生産物の搬出部の各々に、隣接して配置されている。生産設備30の供給部が複数ある場合には、この各々に対応して、昇降部8が設けられてもよい。また、生産設備30の搬出部が複数ある場合には、この各々に対応して、昇降部8が設けられてもよい。
生産設備30に対する供給物の供給部と生産物の搬出部とが共通、あるいは近接している場合、昇降部8は、共通の供給部及び搬出部に隣接して配置される。この場合には、共通の供給部及び搬出部に対応して、1つの昇降部8が設けられてもよいし、供給部への供給物の供給用と、搬出部からの生産物の搬出用に、それぞれ異なる昇降部8を設けてもよい。
昇降部8は、上下方向Dvに延びている。昇降部8は、例えば、上下方向Dvに昇降可能な昇降台(図示無し)を備えている。昇降部8の上端部は、後述する走行路6に臨む位置に、上方に向けて開口する上部開口81を有している。昇降部8の下端部には、生産設備30に対し、供給物の供給、生産物の搬出を行うための入出庫口82が設けられている。入出庫口82には、生産設備30の供給部、搬出部との間で生産関係物を搬送するコンベアや無人搬送台車等を備えていてもよい。また、入出庫口82における供給物の取り出し、生産物の投入は、作業者によって人手で行うようにしてもよいし、ロボット等を用いて自動で行うようにしてもよい。
このように、昇降部8は、生産設備30の供給部、搬出部に隣接して配置される。このため、厳密には、昇降部8は、生産設備30の、特に供給部と搬出部の各々の上方の位置P1と、生産設備30の各々の供給部と搬出部との間で、生産関係物を上下に搬送させる。
【0022】
走行路6は、生産設備30の各々の上方の位置P1に配置された昇降部8の上端部と、第1倉庫部4、及び第2倉庫部5を連結するように設けられている。走行路6は、例えば、第1倉庫部4の第1ラック40の上面と、第2倉庫部5の第2ラック50の上面を含む水平面に沿って延びている。
図2に示されるように、走行路6は、例えば、後述する搬送装置7が走行可能なレール61を備えている。レール61は、2本が1対となるように設けられている。レール61は、第1方向D1に沿って延びている。本実施形態において、レール61は、第2方向D2に間隔をあけて複数組が配置され、第2方向D2に配置された複数列の生産設備30の各々の上方に配置されている。
また、走行路6は、レール61に交差して第2方向D2に延びる交差レール62を備えている。交差レール62も、2本が1対となるように設けられている。本実施形態において、交差レール62は、例えば、レール61の延伸方向の中間部と、レール61において、第1方向D1で第1倉庫部4から最も離れた側の端部とに配置されている。
【0023】
走行路6は、第1倉庫部4、及び第2倉庫部5の上にも設けられている。より具体的には、倉庫部レール63が、第1倉庫部4の第1上部フレーム41、第2上部フレーム42、第2倉庫部5の第1上部フレーム51、第2上部フレーム52の各々の上に、第1上部フレーム41、51、第2上部フレーム42、52に沿って、設けられている。
本実施形態においては、第1上部フレーム41、51、第2上部フレーム42、52の幅は、既に説明したレール61、交差レール62と同等の間隔をあけて設けられている。
また、第1倉庫部4の第1上部フレーム41上の倉庫部レール63が、第1倉庫部4の外方へと連続して延伸するように、レール61が設けられている。同様に、第2倉庫部5の第1上部フレーム51上の倉庫部レール63が、第2倉庫部5の外方へと連続して延伸するように、レール61が設けられている。レール61に加えて、交差レール62も、倉庫部レール63が第1倉庫部4の外方へと連続して延伸するように、設けられても構わない。
このような構造により、次に説明する搬送装置7が、第1倉庫部4の上方と第2倉庫部5の上方を含む、走行路6上の任意の位置を走行自在となるように、走行路6は設けられている。
倉庫部レール63は、第1倉庫部4の第1上部フレーム41、第2上部フレーム42、第2倉庫部5の第1上部フレーム51、第2上部フレーム52の上に設けられるのではなく、これら第1上部フレーム41、51、第2上部フレーム42、52自体が、倉庫部レール63としての役割を果たすように設けられていてもよい。
【0024】
搬送装置7は、走行路6上で走行可能に設けられている。搬送装置7は、走行路6上で、予め設定されたプログラムに基づいて、自走可能に構成されている。搬送装置7は、進行方向に直交する方向に離間するように対として設けられた車輪を有し、当該車輪を一対のレール61、交差レール62、倉庫部レール63上に位置づけることで、走行路6上を走行する。搬送装置7は、コントローラ(図示無し)からの指令に基づき、生産関係物を、自動倉庫機能を有する生産システム1内で搬送するため、走行路6上を自走する。搬送装置7は、走行路6上に複数台備えられている。複数台の搬送装置7は、コントローラからの指令に基づき、走行路6を構成するレール61、交差レール62、倉庫部レール63から、走行する経路を選択することで、走行路6上で交錯しないように制御されている。
【0025】
各搬送装置7は、生産関係物が収容される搬送容器100を吊り下げるリフタ71を備えている。リフタ71は、下方に向けて伸縮するケーブル、ベルト等(図示無し)を有し、その下端部で搬送容器100を保持可能に構成されている。リフタ71は、ケーブル、ベルト等の下端部で搬送容器100を保持した状態で、ケーブル、ベルト等を伸縮させることによって、搬送容器100を上下方向Dvに昇降させる。
各搬送装置7は、第1倉庫部4と第2倉庫部5の任意の場所に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。各搬送装置7は、第1倉庫部4、第2倉庫部5の、倉庫部レール63上の任意の位置を走行し、任意の位置に停止して、当該位置に設けられた開口45、55の上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、開口45、55の下方の保管空間46、56内の生産関係物の格納と取り出しを行う。
また、各搬送装置7は、昇降部8の上部開口81に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。また、搬送装置7は、第2倉庫部5の保管空間56から昇降部8を経由して生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。各搬送装置7は、昇降部8の上部開口81の上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、上部開口81の下方の昇降台(図示無し)に対し、生産関係物の格納と取り出しを行う。
このような搬送装置7が生産区画3の上方に集中した場合においても、渋滞回避が可能なように、走行路6は設けられている。より具体的には、走行路6は、搬送経路上において搬送装置7が特に集中して渋滞しやすいと考えられる箇所においては、複線や、対面通行とする等により、追い越しや迂回、周回による渋滞回避が可能となるように設けられている。特にこのように、渋滞を容易に回避できるような構成とすることで、搬送装置7が走行する際の経路選択の自由度が向上して、搬送効率が向上する。
【0026】
このような自動倉庫機能を有する生産システム1では、複数の生産設備30を順次経ることで、製品が製造される。より具体的には、まず、第1工程の生産設備30Aへ供給物(原料材)を供給し、供給物に対して生産設備30Aにおいて所定の加工、組立等を行って生産物を生産し、生産設備30Aから生産物を搬出する。次いで、第1工程の生産設備30Aにおける生産物を、第2工程の生産設備30Bへ供給物として供給し、これに対して生産設備30Bにおいて所定の加工、組立等を行って生産物を生産し、生産設備30Bから生産物を搬出する。更に、第2工程の生産設備30Bにおける生産物を、第3工程の生産設備30Cへ供給物として供給し、これに対して生産設備30Cにおいて所定の加工、組立等を行って生産物を生産し、生産設備30Cから生産物(製品)を搬出する。
【0027】
第1工程の生産設備30Aに生産関係物(供給物、この場合には原料材)を供給する際には、まず、生産設備30Aにおける生産に先立って、搬送装置7が第1倉庫部4の倉庫部レール63上の、当該生産関係物が保管されている保管空間46の上方に移動し、生産関係物を取り出す。搬送装置7は、第1倉庫部4の倉庫部レール63から、第1倉庫部4と第2倉庫部5とを連結するレール61へと移動し、生産関係物を搬送する。
搬送装置7は、レール61から第2倉庫部5の倉庫部レール63へと移動して、第2倉庫部5へと搬送した生産関係物を保管する。その後、生産設備30Aに生産関係物を供給するタイミングで、搬送装置7が第2倉庫部5の倉庫部レール63上の、当該生産関係物が保管されている位置の上方に移動し、生産関係物を取り出す。搬送装置7は、第2倉庫部5の倉庫部レール63から、レール61上を、生産設備30Aに生産関係物を供給する昇降部8の上部開口81へと移動する。搬送装置7は、昇降部8の昇降台に生産関係物を載置する。昇降部8は昇降台を下降させ、生産関係物を生産設備30Aの供給部へと搬送する。
なお、搬送装置7は、第2倉庫部5に生産関係物を保管することなく、生産設備30Aに生産関係物を供給するタイミングで、第1倉庫部4から生産設備30Aの供給部に対応する昇降部8へと、直接、生産関係物を搬送してもよい。
【0028】
生産設備30Aにおいて生産物(中間製品)が生産されると、これは生産関係物として、第2倉庫部5へと搬送される。
具体的には、生産設備30Aにおいて生産された生産関係物を昇降部8の昇降台に載置すると、昇降部8は昇降台を上昇させる。搬送装置7は、上昇された生産関係物を保持し、レール61から第2倉庫部5の倉庫部レール63へと移動して、第2倉庫部5へと搬送した生産関係物を保管する。
その後、生産設備30Bに当該生産関係物を供給するタイミングで、搬送装置7が第2倉庫部5の倉庫部レール63上の、当該生産関係物が保管されている位置の上方に移動し、生産関係物を取り出す。搬送装置7は、第2倉庫部5の倉庫部レール63から、レール61上を、生産設備30Bに生産関係物を供給する昇降部8の上部開口81へと移動する。搬送装置7は、昇降部8の昇降台に生産関係物を載置する。昇降部8は昇降台を下降させ、生産関係物を生産設備30Bの供給部へと搬送する。
生産設備30Bにおいて生産物(中間製品)が生産されると、これは生産関係物として、上記と同様な手順で、第2倉庫部5へと搬送される。そして、生産設備30Cに当該生産関係物を供給するタイミングで、上記と同様な手順で、生産設備30Cの供給部へと搬送される。
生産設備30A、30Bにおいて生産された生産物(中間製品)は、第2倉庫部5の空き状況を考慮して、第1倉庫部4へと搬送されるようにしてもよい。
【0029】
生産設備30Cにおいて生産物(最終製品)が生産されると、これは生産関係物として、第1倉庫部4へと搬送される。
具体的には、生産設備30Cにおいて生産された生産関係物を昇降部8の昇降台に載置すると、昇降部8は昇降台を上昇させる。搬送装置7は、上昇された生産関係物を保持し、レール61から第1倉庫部4の倉庫部レール63へと移動する。搬送装置7は、当該生産関係物が保管されるべき保管空間46の上方に移動し、生産関係物を保管する。
第1倉庫部4に保管された生産関係物(最終製品)は、適切なタイミングで、自動倉庫機能を有する生産システム1から出庫される。
生産設備30Cにおいて生産された生産物(最終製品)は、一時的に第2倉庫部5に保管され、適切なタイミングで第1倉庫部4へと搬送されるようにしてもよい。
【0030】
上述したような自動倉庫機能を有する生産システム1は、生産設備30が複数設けられた生産区画3と、生産区画3の近傍に設けられ、生産設備30へ供給されて製品に使用される供給物と、供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部4と、第1倉庫部4から離間して、生産区画3の上方に設けられ、生産関係物が保管される第2倉庫部5と、生産設備30の各々の上方の位置P1と、第1倉庫部4、及び第2倉庫部5を連結するように設けられた走行路6と、第1倉庫部4と第2倉庫部5の任意の場所に対する生産関係物の格納と取り出し、及び走行路6上の走行が可能となるように設けられた、生産関係物を搬送する搬送装置7と、上方の位置P1と生産設備30の各々との間で生産関係物を上下に搬送させる昇降部8と、を備える。
このような構成によれば、生産設備30へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物は、搬送装置7によって搬送される。この搬送装置7は、生産区画3に隣接して設けられる第1倉庫部4と、第1倉庫部4から離間して、生産区画3の近傍に設けられる第2倉庫部5と、生産設備30の各々の上方の位置P1とを連結するように設けられた走行路6上を走行する。ここで、生産設備30の上方の位置P1と生産設備30の各々との間には、生産関係物を上下に搬送させる昇降部8が設けられている。このため、搬送装置7が、第1倉庫部4、第2倉庫部5、及び生産設備30の各々の上方の位置P1との間で、生産関係物を搬送することで、第1倉庫部4、第2倉庫部5、及び生産設備30の各々の間で、生産関係物は搬送される。
このようにすれば、第2倉庫部5に、生産関係物の一部を保管し、その分だけ、第1倉庫部4を小さくすることができる。この第2倉庫部5は、生産区画3の上方に設けられているため、第2倉庫部5を設けるための敷地面積を必要としない。これにより、倉庫全体に要する敷地面積を低減することができる。
また、第2倉庫部5は生産区画3の上方に設けられているため、第1倉庫部4に比べると、各生産設備30との間の距離が、全体的に近くなり、かつ距離のばらつきが少なくなる。このため、各生産設備30と第2倉庫部5との間の、生産関係物の搬送時間が、全体的に短くなり、そのばらつきも少なくなる。したがって、例えば喫緊で使用される供給物を事前に第1倉庫部4から第2倉庫部5へと搬送しておく、等のように運用することで、全体的な搬送効率を高めつつ、特に一部の生産設備30への供給物の供給が遅れて生産効率が低下し、これに起因して生産システム1全体の生産効率が低下する、といった状況を抑制することができる。
また、生産関係物の一部を第2倉庫部5に保管することができるので、保管効率を高めつつ、第1倉庫部4近傍に搬送の動線が集中することが抑制される。したがって、搬送装置7の混雑、滞留を抑制可能である。
上記のような効果は、特に、例えば前工程に対応する生産設備30の生産物を、後工程に対応する他の生産設備30へ供給物として供給する場合に、前工程に対応する生産設備30の生産物を第2倉庫部5に仮置きするように運用すれば、顕著に奏することができる。すなわち、このように運用する場合には、生産物を第1倉庫部4まで搬送し、かつ第1倉庫部4から生産区画3へと再度搬送する必要がなくなるため、全体の搬送距離が短くなるとともに、第1倉庫部4近傍への搬送の動線の集中を効率的に回避することができる。
このようにして、生産関係物の搬送時間を短縮し、生産設備30の生産効率を高めることができる。
また、例えば生産区画3において生産設備30をレイアウト変更する際には、生産システム1では、生産設備30の変更にあわせて第2倉庫部5と走行路6を増設し、昇降部8の配置を変更することで、これに対応する必要がある。ここで、第2倉庫部5と走行路6は、生産設備30の上方に設けられるため、生産設備30に影響されずに施工可能であるから、施工性が良く、かつ、昇降部8の配置変更も容易である。したがって、生産設備30のレイアウト変更に柔軟に対応可能である。
更に、搬送装置7の台数の増減で搬送能力を繁忙度に応じて調整できる。
その結果、倉庫に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備30の生産効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システム1を提供することが可能となる。
【0031】
特に、本実施形態においては、上記のように、第2倉庫部5には、複数の生産設備30の中の一の生産設備30の生産物であり、他の生産設備30への供給物となるものが、生産関係物として保管される。
このような構成によれば、上記のように、生産物を第1倉庫部4まで搬送し、かつ第1倉庫部4から生産区画3へと再度搬送する必要がなくなるため、全体の搬送距離が短くなるとともに、第1倉庫部4近傍への搬送の動線の集中を効率的に回避することができる。
このようにして、生産関係物の搬送時間を短縮し、生産設備30の生産効率を高めることができる。
【0032】
また、第2倉庫部5は、建物2の、生産区画3と同一階に設けられる。
このような構成によれば、生産区画3と第2倉庫部5を異なる階に設ける場合に比べて、生産区画3と第2倉庫部5の距離を短くできる。したがって、生産設備30と第2倉庫部5との間の生産関係物の搬送時間を短縮し、搬送効率を向上することができる。
【0033】
また、第2倉庫部5は、水平方向に間隔をあけて複数個所に設けられ、隣接する第2倉庫部5同士の間には設備機器9が設置される。
このような構成によれば、第2倉庫部5が、水平方向に間隔をあけて複数個所に設けられることで、複数の生産設備30の各々と第2倉庫部5との距離を短くすることができる。また、隣接する第2倉庫部5同士の間には設備機器9が設置されることで、生産システム1が設置される建物2内のスペースを有効利用することができる。
【0034】
また、第1倉庫部4と第2倉庫部5は、生産関係物が格納、保管される保管領域を3次元のグリッド状に集積させて形成され、走行路6は、第1倉庫部4と第2倉庫部5の上部にも設けられ、搬送装置7は、第1倉庫部4と第2倉庫部5の上部の任意の位置を走行、停止して、当該位置の下方の保管領域に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように設けられている。
上記のような構成によれば、第1倉庫部4と第2倉庫部5を適切に実現することができる。
【0035】
(第1実施形態の変形例)
上記実施形態では、自動倉庫機能を有する生産システム1を、平屋建ての建物2に備える構成としたが、建物2が複数の階層を有する場合、上記したような自動倉庫機能を有する生産システム1を、1階以外の他の階層に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、第2倉庫部と走行路6は、天井23の上方の天井裏スペースに建物2の躯体の一部に支持された吊り棚28に配置されているが、生産区画に設置した鉄骨架台上に配置してもよい。また、次に説明する第2実施形態と同様な要領で、生産区画の上方に設備機械スペース(ISS:Interstitial Space System)を設け、生産区画と同一階に設置した第1倉庫部4の設置高さをISSに設置した第2倉庫部5の上面まで延長して、ISS内に第2倉庫部5と走行路6を設置してもよい。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る自動倉庫機能を有する生産システムの構成を示す模式断面図を、
図3に示す。
図4は、本実施形態の自動倉庫機能を有する生産システムの斜視図である。
図3に示されるように、本実施形態における自動倉庫機能を有する生産システム1Bは、建物2B内に設けられている。建物2Bは、例えば2階建てで、各階の床21A、21Bと、2階UFの床21Bの上方に配置された屋根22と、外壁(図示無し)と、を備えている。
自動倉庫機能を有する生産システム1Bは、生産区画3と、第1倉庫部4Bと、第2倉庫部5Bと、走行路6Bと、搬送装置7と、昇降部8Bと、を主に備えている。本第2実施形態において、第1実施形態と同様な構成を有する部分については、説明を省略する。
【0037】
生産区画3は、1階DFの床21A上に配置されている。第1倉庫部4Bは、第1方向D1の一方側に設けられるとともに、第2方向D2においても、その一方側に設けられている。生産区画3は、複数の生産設備30を備えている。生産区画3は、複数の生産設備30が配置された生産室である。生産区画3は、1階DFの床21Aと、2階UFの床21Bとの間に形成されている。複数の生産設備30においては、製品が製造される。本実施形態では、複数の生産設備30として、例えば、第1工程の生産設備30Aと、第2工程の生産設備30Bと、第3工程の生産設備30Cと、が設けられている。
第1倉庫部4Bは、平面視したときに、生産区画3の近傍に設けられている。特に本実施形態においては、第1倉庫部4Bは、生産区画3に隣接して設けられている。第1倉庫部4Bは、1階DFの床21A上に設けられている。第1倉庫部4Bは、2階UFの床21Bを上方へと貫通するように設けられている。このようにして、第1倉庫部4Bは、1階DFの床21Aと屋根22との間に設けられている。
第1倉庫部4Bは、上記第1実施形態における第1倉庫部4と同様な構成の、第1ラック40を備えている。第1ラック40には、上下方向Dvに延びる角柱状の保管空間46が形成されている。各保管空間46には、搬送容器100が上下方向Dvに複数積層されて保管される。これにより、第1倉庫部4Bは、生産関係物が格納、保管される保管領域(搬送容器100)を3次元のグリッド状に集積させて形成されている。
【0038】
第2倉庫部5Bは、本実施形態においても、生産区画3の上方に設けられている。本実施形態においては、第2倉庫部5Bは特に、生産区画3の上階UFに、すなわち2階UFに設けられている。これにより、搬送装置7を用いた搬送経路上で、第2倉庫部5Bは、第1倉庫部4Bよりも、生産設備30に近い位置に設けられている。
本実施形態においては、
図4に示されるように、第2倉庫部5Bは、2階UFの、1階DFに位置する各生産設備30の直上の位置に設けられ、各生産設備30の上方で、第1方向D1と第2方向D2の各々で各生産設備30を、特に生産設備30の上方の位置P1を接続するように、格子状に設けられている。これにより、第2倉庫部5Bは、全体が連結されて設けられている。
第2倉庫部5Bは、第1方向D1と第2方向D2の各々の一方端において、第1倉庫部4Bに連結して設けられている。このようにして、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bは、一体となるように設けられている。
第2倉庫部5Bには、第1倉庫部4Bと同様に、生産設備30へ供給される供給物と、生産設備30により生産された生産物とを含む、生産関係物が保管される。
第2倉庫部5Bは、第1実施形態と同様に、第2ラック50を備えている。第2ラック50の各保管空間56には、搬送容器100が上下方向Dvに複数積層されて保管される。これにより、第2倉庫部5Bは、生産関係物が格納、保管される保管領域(搬送容器100)を3次元のグリッド状に集積させて形成されている。第2ラック50の上面は、第1倉庫部4Bの第1ラック40の上面と、上下方向Dvで同じ高さに配置されている。
第2倉庫部5Bが設置される2階UFの床21Bは、
図3においては鉄筋コンクリートで製造されるように図示されているが、これに限られないのは言うまでもない。例えば、第2倉庫部5Bが設置される部分などは、網目状、メッシュ状の金属板により構成されても構わない。
【0039】
昇降部8Bは、上階UF、すなわち2階UFにおける、生産設備30の上方の位置P1と、生産設備30の各々との間で、厳密には、生産設備30の、特に供給部と搬出部の各々の上方の位置P1と、生産設備30の各々の供給部と搬出部との間で、生産関係物を上下に搬送させる。
特に本実施形態においては、昇降部8Bは、2階UFに位置する、生産設備30の上方の位置P1と、1階DFに位置する生産設備30の各々との間で、階を跨いで、生産関係物を上下に搬送させる。このため、昇降部8Bは、2階UFの床21Bを上下方向Dvに貫通するように設けられている。
【0040】
走行路6Bは、生産設備30の各々の上方の位置P1に配置された昇降部8Bの上端部と、第1倉庫部4B、及び第2倉庫部5Bを連結するように設けられている。走行路6Bは、例えば、第1倉庫部4の第1ラック40の上面と、第2倉庫部5の第2ラック50の上面を含む水平面に沿って延びている。
走行路6Bは、例えば、搬送装置7が走行可能なレール61Bを備えている。上記のように、本実施形態においては、第2倉庫部5Bは生産設備30の上方の位置P1を接続するように設けられ、かつ第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bは、一体となるように設けられている。このため、レール61Bは、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bの上面の全体に、搬送装置7が第1方向D1と第2方向D2の双方に移動自在となるように、設けられている。
【0041】
搬送装置7は、走行路6B上で走行可能に設けられている。搬送装置7は、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bの任意の場所に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。各搬送装置7は、第1倉庫部4B、第2倉庫部5Bの上に設けられたレール61B上の任意の位置を走行し、任意の位置に停止して、当該位置に設けられた開口45、55の上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、開口45、55の下方の保管空間46、56内の生産関係物の格納と取り出しを行う。
搬送装置7は、昇降部8Bの上部開口81に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。また、搬送装置7は、第2倉庫部5Bの保管空間56から昇降部8Bを経由して生産関係物の格納と取り出しが可能となるように構成されている。各搬送装置7は、昇降部8Bの上部開口81の上方にリフタ71を位置させた状態で、リフタ71を作動させることにより、上部開口81の下方の昇降台(図示無し)に対し、生産関係物の格納と取り出しを行う。
第1実施形態と同様に、このような搬送装置7が生産区画3の上方に集中した場合においても、渋滞回避が可能なように、走行路6は設けられている。より具体的には、走行路6は、搬送経路上において搬送装置7が特に集中して渋滞しやすいと考えられる箇所においては、複線や、対面通行とする等により、追い越しや迂回、周回による渋滞回避が可能となるように設けられている。特にこのように、渋滞を容易に回避できるような構成とすることで、搬送装置7が走行する際の経路選択の自由度が向上して、搬送効率が向上する。
【0042】
このような自動倉庫機能を有する生産システム1Bにおいても、第1実施形態の生産システム1と同様に、生産関係物の保管、搬送が行われる。
【0043】
上述したような自動倉庫機能を有する生産システム1Bは、生産設備30が複数設けられた生産区画3と、生産区画3の近傍に設けられ、生産設備30へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物が保管される第1倉庫部4Bと、第1倉庫部4Bから離間して、生産区画3の上階UFに設けられ、生産関係物が保管される第2倉庫部5Bと、上階UFにおける、生産設備30の各々の上方の位置P1と、第1倉庫部4B、及び第2倉庫部5Bを連結するように設けられた走行路6Bと、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bの任意の場所に対する生産関係物の格納と取り出し、及び走行路6B上の走行が可能となるように設けられた、生産関係物を搬送する搬送装置7と、上方の位置P1と生産設備30の各々との間で、階を跨いで、生産関係物を上下に搬送させる昇降部8Bと、を備える。
このような構成によれば、生産設備30へ供給されて生産に使用される供給物と、当該供給物を基に生産設備30により生産される生産物とを含む、生産関係物は、搬送装置7によって搬送される。この搬送装置7は、生産区画3の近傍に設けられる第1倉庫部4Bと、第1倉庫部4Bから離間して、生産区画3の上階UFに設けられる第2倉庫部5Bと、第2倉庫部5Bが設けられた上階UFにおける、生産設備30の各々の上方の位置P1とを連結するように設けられた走行路6B上を走行する。ここで、生産設備30の上方の位置P1と生産設備30の各々との間には、階を跨いで、生産関係物を上下に搬送させる昇降部8Bが設けられている。このため、搬送装置7が、第1倉庫部4B、第2倉庫部5B、及び生産設備30の各々の上方の位置P1との間で、生産関係物を搬送することで、第1倉庫部4B、第2倉庫部5B、及び生産設備30の各々の間で、生産関係物は搬送される。
このようにすれば、第2倉庫部5Bに、生産関係物の一部を保管し、その分だけ、第1倉庫部4Bを小さくすることができる。この第2倉庫部5Bは、生産区画3の上階UFに設けられているため、第2倉庫部5Bを設けるための敷地面積を必要としない。これにより、倉庫全体に要する敷地面積を低減することができる。
また、第2倉庫部5Bは生産区画3の上階UFに設けられているため、第1倉庫部4Bに比べると、各生産設備30との間の距離が、全体的に近くなり、かつ距離のばらつきが少なくなる。このため、各生産設備30と第2倉庫部5Bとの間の、生産関係物の搬送時間が、全体的に短くなり、そのばらつきも少なくなる。したがって、例えば喫緊で使用される供給物を事前に第1倉庫部4Bから第2倉庫部5Bへと搬送しておく、等のように運用することで、全体的な搬送効率を高めつつ、特に一部の生産設備30への供給物の供給が遅れて生産効率が低下し、これに起因して生産システム全体の生産効率が低下する、といった状況を抑制することができる。
また、生産関係物の一部を第2倉庫部5Bに保管することができるので、保管効率を高めつつ、第1倉庫部4B近傍に搬送の動線が集中することが抑制される。したがって、搬送装置7の混雑、滞留を抑制可能である。
上記のような効果は、特に、例えば前工程に対応する生産設備30の生産物を、後工程に対応する他の生産設備30へ供給物として供給する場合に、前工程に対応する生産設備30の生産物を第2倉庫部5Bに仮置きするように運用すれば、顕著に奏することができる。すなわち、このように運用する場合には、生産物を第1倉庫部4Bまで搬送し、かつ第1倉庫部4Bから生産区画3へと再度搬送する必要がなくなるため、全体の搬送距離が短くなるとともに、第1倉庫部4B近傍への搬送の動線の集中を効率的に回避することができる。
このようにして、生産関係物の搬送効率を向上し、生産設備30の生産効率を高めることができる。
また、例えば生産区画3において生産設備30をレイアウト変更する際には、生産システム1Bでは、生産設備30の変更にあわせて第2倉庫部5Bと走行路6Bを増設し、昇降部8Bの配置を変更することで、これに対応する必要がある。ここで、第2倉庫部5Bと走行路6Bは、生産設備30の上方に設けられるため、生産設備30に影響されずに施工可能であるから、施工性が良く、かつ、昇降部8Bの配置変更も容易である。したがって、生産設備30のレイアウト変更に柔軟に対応可能である。
更に、搬送装置7の台数の増減で搬送能力を繁忙度に応じて調整できる。
その結果、倉庫や生産区画3に要する敷地面積を低減しつつ、生産設備30の生産効率を高めることができる、レイアウト変更に柔軟に対応可能な生産システムを提供することが可能となる。
【0044】
特に、本実施形態においては、第1実施形態同様に、第2倉庫部5Bには、複数の生産設備30の中の一の生産設備30の生産物であり、他の生産設備30への供給物となるものが、生産関係物として保管される。
このような構成によれば、上記のように、生産物を第1倉庫部4Bまで搬送し、かつ第1倉庫部4Bから生産区画3へと再度搬送する必要がなくなるため、全体の搬送距離が短くなるとともに、第1倉庫部4B近傍への搬送の動線の集中を効率的に回避することができる。
このようにして、生産関係物の搬送時間を短縮し、生産設備30の生産効率を高めることができる。
【0045】
また、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bは、生産関係物が格納、保管される保管領域を3次元のグリッド状に集積させて形成され、走行路6Bは、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bの上部にも設けられ、搬送装置7は、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bの上部の任意の位置を走行、停止して、当該位置の下方の保管領域に対する生産関係物の格納と取り出しが可能となるように設けられている。
上記のような構成によれば、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bを適切に実現することができる。
【0046】
(第2実施形態の変形例)
上記の第2形態においては、第2倉庫部5Bは、2階UFの、1階DFに位置する各生産設備30の直上の位置に設けられ、各生産設備30の上方で、第1方向D1と第2方向D2の各々で各生産設備30を、特に生産設備30の上方の位置P1を接続するように、格子状に設けられていたが、これに限られない。例えば、第2倉庫部5Bが、2階UFの、平面視したときに各生産設備30とは異なる位置に設けられているような場合であっても、走行路6Bが、各生産設備30の上方の位置P1と、第1倉庫部4B、及び第2倉庫部5Bを連結するように設けられていれば、第2実施形態と同様な効果を奏するのは言うまでもない。
また、上記実施形態においては、第1倉庫部4Bは、2階UFの床21Bを上方へと貫通するように設けられていたが、これに限られず、第1倉庫部4Bと第2倉庫部5Bとの間で適切に走行路6Bを設けることができるのであれば、第1倉庫部4Bは1階DFのみに設けられていてもよい。
【0047】
(第1実施形態、第2実施形態の他の変形例)
また、上記第1実施形態では、第2倉庫部5を、天井23の上方の天井裏スペースの一部に配置するようにしたが、第2倉庫部5を、天井裏スペースに、第2実施形態のように全体にわたって設けるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、水平方向に間隔をあけて配置された第2倉庫部5の間に、設備機器9を配置するようにしたが、設備機器9を配置しない構成としてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1、1B 生産システム 7 搬送装置
2、2B 建物 8、8B 昇降部
3 生産区画 9 設備機器
4、4B 第1倉庫部 30、30A~30C 生産設備
5、5B 第2倉庫部 P1 上方の位置
6、6B 走行路 UF 上階