(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180306
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】エレベーター表示制御システム及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B66B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093481
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】納谷 英光
(72)【発明者】
【氏名】保立 尚史
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303DB11
3F303DB18
3F303DC23
3F303DC33
3F303DC34
(57)【要約】
【課題】かごの昇降動作に連動させてかご内の表示領域に対応した表示をできるようにする。
【解決手段】本発明の一態様に係るエレベーターシステム100は、かご1の昇降路内における高さ方向での絶対位置を示す絶対位置検出情報を取得する高さ位置検出部45と、高さ位置検出部45が検出したかご1の絶対位置検出情報と対応する高さ位置情報を有する画像群をかご1内の表示領域に表示させる描写部47と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかご内の表示領域に映像を表示するエレベーター表示制御システムであって、
前記かごの昇降路内における高さ方向での絶対位置を示すかご高さ位置情報を取得するかご高さ位置情報取得部と、
前記かご高さ位置情報取得部が取得した前記かご高さ位置情報と対応する高さ位置情報を有する画像群を前記かご内の表示領域に描写させる描写部と、を有する
エレベーター表示制御システム。
【請求項2】
前記かご高さ位置情報取得部は、取得した前記かご高さ位置情報を、前記エレベーターが設けられた建屋の高さの情報を用いて補正する
請求項1に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項3】
前記かご高さ位置情報取得部は、取得した前記かご高さ位置情報を、任意の高さの情報を用いて補正する
請求項1に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項4】
前記表示領域のサイズ及び位置の情報に基づいて、前記画像群から抽出する画像の解像度を設定する解像度設定部と、
前記解像度設定部によって決定された前記解像度が設定された前記画像群を記憶部から読みだして出力する画像群取得部と、をさらに備える
請求項2に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項5】
前記画像群取得部によって読みだされた前記画像群から抽出して前記表示領域に描写する範囲である描写範囲を、前記かご高さ位置情報取得部から出力された前記かご高さ位置情報と、前記解像度設定部によって設定された前記解像度の情報に基づいて決定する描写範囲決定部をさらに備える
請求項4に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項6】
前記描写部から出力された画像が前記かご内の前記表示領域に描写される場合における、描写画像のフレームレートは、前記エレベーターの定格速度に応じたレートに設定される
請求項5に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項7】
前記画像群は、撮影の高さ位置を異ならせながら前記建屋の外部を過去に撮影して得られた画像群である
請求項6に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項8】
前記画像群は、撮影の高さ位置を異ならせながら前記建屋とは異なる第2の建屋の外部を過去に撮影して得られた画像群である
請求項6に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項9】
映像の描写モードを判定する描写モード判定部と、
前記エレベーターが設けられた建屋の外部を撮影可能なカメラによる撮影映像を前記かご内の表示領域に表示させるカメラ映像出力部と、をさらに備え、
前記カメラ映像出力部は、前記描写モード判定部によって、前記描写モードは前記カメラによる撮影映像を描写するモードであると判定された場合に、前記カメラによる撮影映像を前記かご内の表示領域に表示させる
請求項6に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項10】
映像の描写モードを判定する描写モード判定部と、
前記昇降路内の装置を撮影可能な保守用カメラによる撮影映像を前記かご内の表示領域に表示させるカメラ映像出力部と、をさらに備え、
前記カメラ映像出力部は、前記描写モード判定部によって、前記描写モードは前記保守用カメラによる撮影映像を描写するモードであると判定された場合に、前記保守用カメラによる撮影映像を前記かご内の表示領域に表示させる
請求項6に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項11】
前記描写部は、前記エレベーターの利用者によって指定された高さ位置情報を有する前記画像群による映像を、前記かご内の表示領域に表示させる
請求項7又は9に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項12】
前記エレベーターが設けられた建屋の外部に存在する施設の情報を示す周辺情報のうち、前記表示領域の高さ位置と対応する高さ位置の情報を有する周辺情報を抽出して、前記描写部に出力する周辺情報出力部をさらに備える
請求項7又は8に記載のエレベーター表示制御システム。
【請求項13】
エレベーターのかご内の表示領域に映像を表示するエレベーター表示制御システムによる表示制御方法であって、
前記かごの昇降路内における高さ方向での絶対位置を示すかご高さ位置情報を取得する手順と、
取得した前記かご高さ位置情報と対応する高さ位置情報を有する画像群を前記かご内の表示領域に表示させる手順と、を有する
表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター表示制御システム及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターのかご内に設けられた表示装置に、エレベーターの外部の映像をかごの昇降動作と連動して表示させるシステムが知られている。例えば、特許文献1には、かご内の表示装置に、季節、日時又は天候の内の少なくとも一つに応じた外部映像を、かごの上昇下降と同期して表示させるエレベーター用映像情報システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1には、エレベーター走行時間に合致した各階エレベーター案内映像を記憶させておき、エレベータースタート信号と次停止階情報と次停止階までの予想待ち時間情報とに基づいて表示制御装置が次停止階案内映像を選択し、かご内の表示装置に表示させる技術が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に技術では、走行時間及び走行速度等によって規定される各走行パターンに応じたエレベーター案内映像(次停止階案内映像)を、それぞれ予め設けておく必要があり、記憶すべきデータ量が膨大になってしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、かごの昇降動作に連動させてかご内の表示領域に対応した表示をできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るエレベーター表示制御システムは、エレベーターのかご内の表示領域に映像を表示するエレベーター表示制御システムである。本発明の一態様に係るエレベーター表示制御システムは、かごの昇降路内における高さ方向での絶対位置を示すかご高さ位置情報を取得するかご高さ位置情報取得部と、かご高さ位置情報取得部が取得したかご高さ位置情報と対応する高さ位置情報を有する画像群をかご内の表示領域に表示させる描写部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の少なくとも一態様によれば、かごの昇降動作に連動させてかご内の表示領域に対応した表示をできるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムの概略構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るエレベーターシステムを構成する各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る建屋の外の風景の撮影方法及び該撮影によって得られる画像群の例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像群による映像が表示される対象のかご内表示器のサイズの情報を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る映像が表示される対象がかご内の壁面である場合における、かご内の2つの壁面のサイズの情報を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る映像が表示される対象がかご内表示器である場合における描写範囲決定処理の概要を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る映像が表示される対象がかごの壁面である場合における描写範囲決定処理の概要を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るかごの絶対位置と、建屋の高さ位置と、画像群が有する高さ位置との対応を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る描写モード設定部による描写モード設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る描写モード判定部による描写モード判定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る解像度設定部による解像度設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係るダウンロード部によるダウンロード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る高さ位置検出部による高さ位置検出処理、描写範囲決定部による描写範囲決定処理、及び、描写部による描写処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図14】変形例1に係るエレベーターシステムの概略構成例を示す図である。
【
図15】変形例1に係るエレベーターシステムの絶対位置算出部による絶対位置算出処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図16】変形例2に係るエレベーターシステムの概略構成例を示す図である。
【
図17】変形例2に係る周辺情報出力部による周辺情報出力処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図18】変形例2に係る周辺情報が重畳して表示された画像の例を示す図である。
【
図19】変形例3に係るエレベーターシステムの概略構成例を示す図である。
【
図20】変形例3に係る周辺情報出力部による周辺情報出力処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0011】
<エレベーターシステムの概略構成>
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るエレベーターシステム100の構成について説明する。
図1は、エレベーターシステム100の概略構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、エレベーターシステム100(エレベーター表示制御システムの一例)は、かご1と、エレベーター制御装置2と、アーカイバ3と、描写装置4と、を含む。かご1、エレベーター制御装置2、アーカイバ3及び描写装置4は、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続される。
【0013】
[かご]
かご1は、不図示の乗客又は荷物等を搭載して、不図示の昇降路内を昇降動作する。かご1は、スピーカー11と、かご内表示器12と、カメラ13と、位置検出器14と、を含む。
【0014】
スピーカー11は、エレベーター制御装置2による制御に基づいて所定のアナウンス等を放音する。
【0015】
かご内表示器12は、液晶パネル又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等で構成される表示装置であり、行先階や昇降方向を示す矢印などを表示する。また、かご内表示器12は、描写装置4から送信された画像群、建屋カメラ5による撮影映像、又は、保守用カメラ6による昇降路内の各種装置の撮影映像を表示する。
【0016】
カメラ13は、かご1内を撮影して映像信号を生成し、該映像信号をエレベーター制御装置2に送信する。
【0017】
位置検出器14は、かご1の外側面の上部や又は下部に設置され、昇降路内におけるかご1の絶対位置を検出する。位置検出器14は、例えば、昇降路内に設けられた不図示の磁気テープを読み取る磁気センサや、昇降路内に設けられた不図示の遮蔽板における穴の位置を検出する光電センサなどによって検出された絶対位置(例えば、昇降路の底面からの高さ)と、初期値の情報とにもとづいて、昇降路内における現在のかご1の高さ位置や停止中の階床などを検出する。位置検出器14は、検出したかご1の高さ位置情報(以下、絶対位置検出情報とも称する)を、エレベーター制御装置2に送信する。
【0018】
エレベーター制御装置2は、不図示のエレベーターの機械室や、昇降路内等に設けられ、かご1の動作を制御する。エレベーター制御装置2は、入出力情報受信部21と、データ出力部22と、を含む。
【0019】
入出力情報受信部21は、かご1から送信されたかご1の絶対位置検出情報を受信してデータ出力部22に出力したり、描写装置4から送信された画像群を受信してデータ出力部22に出力したりする。さらに、入出力情報受信部21は、建屋カメラ5による撮影映像や保守用カメラ6による昇降路内の各種装置の撮影映像などを受信して、データ出力部22に出力する。
【0020】
データ出力部22は、入出力情報受信部21から入力されたかご1の絶対位置検出情報を描写装置4に送信したり、入出力情報受信部21から入力された画像群又は各種撮影映像をかご1のかご内表示器12に送信する。なお、本実施形態では、エレベーター制御装置2における、かご1の動作の制御を行う各機能部の図示は省略してある。
【0021】
建屋カメラ5は、例えばかご1の外側等に建屋の外部を撮影できるように設置され、建屋の外の景色を撮影する。昇降路がガラス面に覆われた、或いは外部にむき出しの展望エレベーターに本発明が適用される場合には、かごに建屋カメラ5を直接設置する構成を想定する。
【0022】
もしくは、建屋カメラ5は、かご1とは独立して建屋の壁面等に設けられた、かご1の昇降動作に同期して昇降する昇降機構を有するものであってもよく、複数の高さ位置に設けられた複数のカメラ等によって構成されてもよい。
【0023】
保守用カメラ6は、例えばかご1の外側等に設けられ、かご1の昇降動作に連動して昇降しながら、昇降路内の各種装置の状態を撮影する。
【0024】
アーカイバ3(記憶部の一例)は、例えば、外部の設備やクラウド環境などに設けられた不図示のサーバー内に設けられ、様々なデータを格納する。アーカイバ3にはデータ管理部30が設けられ、データ管理部30内には、ID31、位置情報32、画像群33、高さ情報34等の情報が格納されている。
【0025】
ID31は、エレベーターが設置された建屋を識別するIDを示す。位置情報32は、建屋の位置情報を示し、例えば、GPS(Global Positioning System)による測位情報等で構成される。
【0026】
画像群33は、不図示のドローンやその他カメラなどによって過去に撮影された、建屋の外の風景の撮影映像や、観光地(他位置の一例)の風景の撮影映像などによって構成される。画像群33には、例えば、朝、昼、夜等の各時間帯に応じた撮影映像や、複数の異なる時限(期間、年代)における撮影映像などが含まれる。建屋の外の風景の撮影方法及び該撮影によって得られる画像群の例については、後述の
図3を参照して説明する。
高さ情報34は、建屋の物理的な高さを示す情報である。
【0027】
描写装置4は、例えば、外部の設備やクラウド環境などに設けられた不図示のサーバー内に設けられ、かご1の高さ方向における位置に応じた映像をアーカイバ3の画像群から読み出し、該映像を、エレベーター制御装置2を介してかご1に送信する。描写装置4は、描写モード設定部41、描写モード判定部42、解像度設定部43、ダウンロード部44、高さ位置検出部45、描写範囲決定部46及び描写部47を有する。
【0028】
描写モード設定部41は、建屋の管理者や保守管理者、保守作業者等によって不図示の携帯端末又は端末装置等から入力された各種コマンドや、不図示のスイッチ等のオン・オフ情報などに基づいて、各種描写モードのオン(有効)/オフ(無効)を設定する。具体的には、描写モード設定部41は、リアルタイム実写モード、メンテナンスモード、他位置表示モード、アーカイバ表示モードの各モードにおけるオンとオフとを切り替える。
【0029】
リアルタイム実写モードは、建屋カメラ5によってリアルタイムで撮影された建屋の外の風景の映像を、かご内表示器12に表示させるモードである。リアルタイム実写モードに基づいて、エレベーターが設けられた建屋の外の実際の撮影映像がかご1内に表示されることにより、エレベーターの利用者は、窓の無いかご1内に居ながらにして、窓の外に見える景色を眺めることができるようになるため、利用者はリフレッシュ効果を得ることができる。
【0030】
メンテナンスモードは、保守用カメラ6が撮影した昇降路内の各種装置の状態の映像をかご内表示器12に表示させるモードである。このモードは、保守作業者がメンテナンス作業を行う場合に設定される。メンテナンスモードにおいて、昇降路内の各種装置の状態をかご1内において確認することができるため、保守作業員は昇降路内に入ることなく、安全な状態で保守点検を行うことができる。
【0031】
他位置表示モードは、観光名所の建屋(第2の建屋の一例)に設けられた建屋カメラやドローンなどによって撮影された観光地の風景の映像等を、かご内表示器12に表示させるモードである。他位置表示モードに基づいて他位置の撮影映像がかご1内に表示されることにより、エレベーターの利用者は、かご1内に居ながらにして観光地を訪れているような疑似体験をすることができ、リフレッシュを図ることができる。
【0032】
アーカイバ表示モードは、アーカイバ3に格納された、エレベーターが設けられた建屋の外の風景の映像を、かご内表示器12に表示させるモードである。アーカイバ表示モードに基づいて、エレベーターが設けられた建屋の外の風景の映像がかご1内に表示されることにより、エレベーターの利用者は、窓の無いかご1内においても、窓の外に見える景色を眺めているような感覚を得ることができ、リフレッシュ効果を得ることができる。描写モード設定部41による描写モード設定処理の手順の例については、後述の
図9を参照して詳述する。
【0033】
描写モード判定部42は、上述した各種モードのそれぞれが有効であるか(ONに設定されているか)否かを判定する。描写モード判定部42による描写モード判定処理の手順の例については、後述の
図10を参照して詳述する。
【0034】
解像度設定部43は、かご内表示器12の表示領域のサイズ及び位置の情報に基づいて、アーカイバ3内の画像群から抽出してかご内表示器12に表示させる映像の解像度を設定する。なお、かご内表示器12ではなく、かご1内に設けられた不図示のプロジェクタ等を用いて映像がかご1の壁面に投影される場合には、解像度設定部43は、映像が投影(描写)される領域の表示領域(以下、描写範囲とも称する)のサイズ及び位置の情報に基づいて、該表示領域に表示させる映像の解像度を設定する。解像度設定部43による解像度設定処理の手順の例については、後述の
図4及び
図5を参照して詳述する。
【0035】
ダウンロード部44(画像群取得部の一例)は、描写モード設定部41によって設定されたモードに応じた映像をアーカイバ3から取得(ダウンロード)し、取得した映像を不図示の記憶領域等に記憶させる。ダウンロード部44による画像群取得処理の手順の例については、後述の
図12を参照して詳述する。
【0036】
高さ位置検出部45(かご高さ位置情報取得部の一例)は、エレベーター制御装置2のデータ出力部22から送信された、かご1の絶対位置検出情報、すなわち、昇降路内におけるかご1の高さ位置の絶対位置の情報を取得する。また、高さ位置検出部45は、取得されたかご1の絶対位置検出情報を、建屋の高さの情報で補填(補正)する。補正して得られる高さ位置情報は、描写範囲決定部46に出力される。
【0037】
描写範囲決定部46は、高さ位置検出部45で補正された高さ位置情報に基づいて、映像の描写範囲を決定する。高さ位置検出部45による高さ位置検出処理、及び、描写範囲決定部46による描写範囲決定処理の概要については後述の
図6及び
図7を参照して詳述し、各処理の手順の例については後述の
図13を参照して詳述する。
【0038】
描写部47は、ダウンロード部44によってダウンロードされた映像から、描写範囲決定部46によって決定された描写範囲の映像(画像群)を切り取って抽出し、抽出した画像群を、エレベーター制御装置2を介してかご1のかご内表示器12に送信する。描写部47による描写処理の手順の例については、後述の
図13を参照して詳述する。
【0039】
カメラ映像出力部48は、建屋カメラ5又は保守用カメラ6による撮影映像を取得して、該撮影映像を、エレベーター制御装置2を介してかご1に送信し、かご内表示器12又はかご1の壁面等に表示させる。
【0040】
<計算機のハードウェア構成例>
次に、
図1に示したエレベーターシステム100を構成する各装置の制御系の構成(ハードウェア構成)について、
図2を参照して説明する。
【0041】
図2は、エレベーターシステム100を構成する各装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示す計算機200は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。
【0042】
計算機200は、バスBにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、不揮発性ストレージ204及び通信I/F(Interface)205を備える。
【0043】
CPU201は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM202から読み出してRAM203に展開して実行する。もしくは、CPU201は、プログラムコードをROM202から直接読み出してそのまま実行する。なお、計算機200は、CPU201の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAM203には、CPU201による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0044】
描写装置4を構成する各部の各機能は、これらの各機能を実現するためのプログラムを、CPU201がROM202から読みだして実行することにより実現される。
【0045】
不揮発性ストレージ204としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージ204には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機200を機能させるためのプログラム等が記録される。アーカイバ3の機能は、不揮発性ストレージ204によって実現される。
【0046】
なお、プログラムは、ROM202に格納されてもよい。プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU201は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM202又は不揮発性ストレージ204は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0047】
通信I/F205は、他の装置との間で行われる通信の制御を行う通信デバイス等により構成される。通信I/F205が通信制御を行うネットワークには、例えば、RS-485のようなマルチドロップ形態のシリアル通信や、イーサネット(登録商標)のような複数のトポロジを提供する通信路がある。複数のトポロジを提供する通信路には、有線の通信路であるLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、無線の通信路であるRAN(Radio Area Network)等がある。
【0048】
また、例えば、通信I/F205が通信制御を行うネットワークには、Wi-Fi(登録商標)のような無線や、無線通信インフラにおける無線等がある。エレベーター制御装置2の入出力情報受信部21、データ出力部22の機能は、通信I/F205によって実現される。
【0049】
<建屋の外の風景の撮影方法及び該撮影によって得られる画像群の例>
次に、
図3を参照して、建屋の外の風景の撮影方法及び該撮影によって得られる画像群の例について説明する。
図3は、建屋の外の風景の撮影方法及び該撮影によって得られる画像群の例を示す図である。
【0050】
図3には、ドローン7が建屋の外の風景を撮影する様子が示されている。ドローン7は、建屋の外において、例えば、
図3中に上向きの矢印で示す方向に沿って下から上に移動しながら映像を撮影する。ドローン7の周囲にある、破線によって示された3つの縦長の長方形は、それぞれドローン7による撮影映像に基づいて生成された画像群101~画像群103を示す。
【0051】
画像群101~画像群103は、それぞれ建屋の3つの面に対応しており、各面の地表近くから建屋の最上部までの領域の風景をすべて含む縦長の画像群である。
図3において色付きで示される領域104~領域106は、ドローン7によって撮影が行われている領域であり、該撮影領域の撮影画像には、ドローン7の高さ位置の情報が対応付けられて記憶される。つまり、画像群101~画像群103のそれぞれは、高さ位置情報を有する画像群である。ドローン7が建屋の地上階から最上階までの範囲を、撮影高さを変えながら撮影した場合、画像群101~画像群103のそれぞれは、高さ位置情報として、建屋の地上階から最上階までの高さに対応する高さ位置(高さ方向における地上からの距離)の情報を有する。
【0052】
なお、
図3には、画像群が、建屋の高さに対応する長辺を有する縦長の形状である例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。画像群は、撮影領域104~撮影領域106等の、撮影領域に対応する複数枚の撮影画像によって、画像群が構成されてもよい。この場合、複数の各撮影画像に対して、それぞれ異なる高さ位置情報が対応付けられて記憶される。また、仮にかご1が垂直方向以外に移動する場合には、対象の移動方向に応じた画像群を設けても良い。この場合、画像群は縦長の形状ではなく、移動方向に長い画像となる。すなわち、本発明に係る画像群は、かご1が移動可能な範囲で、外部の映像を表示できるような構成によって構築された画像が対象となる。
【0053】
また、
図3には、かご1の3面に対応する3つの画像群101~画像群103が生成される例示したが、本発明はこれに限定されない。画像群は、映像が表示されるかご内表示器12が設けられた面に対応して設けられれば良く、その数は1つ、2つ又は4つであってもよい。
【0054】
<解像度設定部による解像度設定処理>
次に、
図4及び
図5を参照して、解像度設定部43(
図1参照)による解像度設定処理の概要について説明する。
【0055】
図4は、画像群による映像が表示される対象のかご内表示器12(図においては「対象設備」と表記)のサイズの情報を示す図であり、
図4には、かご内表示器12の横(X)方向のサイズは“X0”であり、縦(Y)方向のサイズは“Y0”であることが示されている。解像度設定部43は、かご内表示器12のサイズと対応する領域の画像を画像群から抽出する場合における、抽出範囲の解像度を設定(定義)する。解像度設定部43は、解像度として、X方向及びY方向の幅、及び、座標軸を設定する。
【0056】
図3に示した、例えば画像群102の全部の領域の画像を、かご内表示器12の大きさに縮めて表示してしまうと、かご内表示器12での表示画像におけるアスペクト比が変化してしまい、画像がゆがんでしまう。解像度設定部43は、このようなゆがみを発生させないために、かご内表示器12を窓に見立てた場合にそこから見える建屋の外の風景が有するアスペクト比や縮尺を、可能な限り忠実に再現可能な解像度を設定する。
【0057】
図5は、映像が表示される対象がかご1内の壁面である場合における、かご1内の2つの壁面のサイズの情報を示す図である。
図5には、プロジェクタ15aによって映像が投影される壁面16a(図においては「対象設備(1)」と表記)の横(X)方向のサイズは“X1”であり、縦(Y)方向のサイズは“Y1”であることが示されている。また、プロジェクタ15bによって映像が投影される壁面16b(図においては「対象設備(2)」と表記)の横(X)方向のサイズは“X2”であり、縦(Y)方向のサイズは“Y2”であることが示されている。
【0058】
解像度設定部43は、映像が表示される対象がかご1内の壁面である場合にも、映像の表示領域のサイズに基づいて、画像群から画像を抽出して対象設備に表示(描写)する場合における抽出(描写)範囲の解像度を、パラメータとして設定する。
【0059】
<描写範囲決定部による描写範囲決定処理>
次に、
図6及び
図7を参照して、描写範囲決定部46(
図1参照)による描写範囲決定処理の概要について説明する。
【0060】
図6は、映像が表示される対象がかご内表示器12である場合における描写範囲決定処理の概要を示す図であり、
図7は、映像が表示される対象がかご1の壁面である場合における描写範囲決定処理の概要を示す図である。
【0061】
図6の左側には、縦長の画像群101~画像群103を示し、
図6の右側には、ある高さ位置に存在するかご1を示す。描写範囲決定部46は、高さ位置検出部45がエレベーター制御装置2から受信したかご1の絶対位置検出情報に基づいて、画像群から抽出(対象設備に描写)すべき抽出(描写)範囲の、画像群における高さ位置H1を決定する。より詳細には、描写範囲決定部46は、絶対位置検出情報に示されるかご1の高さ位置に、建屋の高さ位置を補填(補正)した高さ位置に基づいて、画像群における描写範囲の高さ位置H1を決定する。高さ位置H1は、後述する描写範囲110の下辺から中心までの高さである。建屋高さ位置による高さ位置の補正の例については、後述の
図8を参照して詳述する。
【0062】
描写範囲決定部46は、該高さ位置と解像度設定部43によって設定された解像度の情報とに基づいて、かご内表示器12における画像の描写範囲110を決定する。そして、描写部47は、ダウンロード部44がダウンロードした画像群から、描写範囲決定部46によって決定された描写範囲110の画像を抽出する。その後、描写部47は、抽出した画像を、エレベーター制御装置2を介してかご1のかご内表示器12に送信して表示させる。描写範囲決定部46及びダウンロード部44によってこのような処理が行われることにより、アーカイバ3からダウンロードする画像群のデータ量を節減できる。
【0063】
図7には、映像の表示対象がかご1の壁面であり、かつ、表示面数が2面である場合における描写範囲の例を示す。この場合、描写範囲決定部46は、かご1の第1の面に対応する画像群101、及び、第2の面に対応する画像群102のそれぞれにおいて、かご1の絶対位置検出情報に対応する高さ位置H2に基づいて、画像の描写範囲111~描写範囲112を決定する。
【0064】
次に、
図8を参照して、高さ位置検出部45によるかご1の絶対位置の補正例について説明する。
図8は、かご1の絶対位置と、建屋の高さ位置と、画像群が有する高さ位置との対応を示す図である。
【0065】
図8には、建屋B内に、上層バンク用のエレベーター10aと、エレベーター10aの出発階まで乗客を運ぶシャトルエレベーター10bとが設けられた例を示す。シャトルエレベーター10bの昇降範囲は、地下1階からエレベーター10aの出発階までであり、該昇降範囲の高さは“210(m)”であるとする。この場合、シャトルエレベーター10bにおける絶対位置の下限値である“0”は、地下1階のフロアの高さ位置に対応し、絶対位置の上限値である“210”は、エレベーター10aの出発階(の天井位置)の高さ位置に対応する。
【0066】
エレベーター10aの昇降範囲は、出発階から建屋Bの最上階までであり、該昇降範囲の高さは“100(m)”であるとする。この場合、エレベーター10aにおける絶対位置の下限値である“0”は、エレベーター10aの出発階のフロアの高さ位置に対応し、絶対位置の上限値である“100”は、エレベーター10aの最上階(の天井位置)の高さ位置に対応する。
【0067】
一方、建屋Bが有する高さ位置における“0”は、地階にある建屋Bの底部の高さ位置に対応しており、高さ位置“300”は、最上階(の天井位置)に対応している。画像群101は、地上から建屋Bの最上階までの範囲の風景を撮影したものであるため、その高さ位置の下限値である“0”はグランドフロアの高さ位置に対応し、上限値の“280”は、建屋Bの最上階(の天井位置)の高さ位置に対応する。建屋Bの最上階の実際の高さ位置は“300”であるが、この値は、建屋Bの底部を起点とした場合の値であるため、グランドフロアを起点とした場合の“280”が、画像群101が有する高さ位置の上限値となる。
【0068】
例えば、映像の表示対象が、上層バンク用エレベーター10aが対象である場合を想定する。この場合、高さ位置検出部45は、エレベーター10aで検出された絶対位置の“0”を、建屋Bの高さ位置である“200”で補填する。そして、描写範囲決定部46は、補填後の“200”に紐づけられた画像群101における高さ位置“180”を、画像の描写範囲の高さ位置に設定する。
【0069】
高さ位置検出部45及び描写範囲決定部46がこのような処理を行うことにより、走行パターン等に応じた複数の映像を予め用意することなく、建屋B内のかご1の高さ位置に応じた建屋外の風景映像を、かご1内に表示させることが可能となる。また、どのような高さ位置に設けられたエレベーターであっても、かご1の高さ位置に応じた建屋外の風景映像をかご1内に表示させることが可能となる。
【0070】
なお、かご1の昇降範囲が有する高さ位置情報と、建屋Bが有する高さ位置情報とが対応しているエレベーターにおいては、描写範囲決定部46は、建屋Bの高さ位置による補正を行わずに、絶対位置検出情報に基づいて、画像の描写範囲画像群における高さ位置を決定してもよい。或いは、任意の補正位置を利用者が設定し、好きな位置をグランドフロアとしてもよい。
【0071】
<描写モード設定部による描写モード設定処理>
次に、
図9を参照して、描写モード設定部41による描写モード設定処理について説明する。
図9は、描写モード設定部41による描写モード設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0072】
まず、描写モード設定部41は、メンテナンスモード設定用の機器の設定は有効とされているか否かを判定する(ステップS1)。メンテナンスモード設定用の機器には、例えば、ボタンやスイッチなどがある。このような機器における有効(ON)/無効(OFF)の切り替えの代わりに、不図示の外部の装置からのコマンドや、スケジュールに基づいて入力されるトリガー等によって、メンテナンスモードの有効化が指示されてもよい。
【0073】
ステップS1で、メンテナンスモード設定用の機器の設定は有効であると判定された場合(ステップS1がYES判定の場合)、描写モード設定部41は、メンテナンスモードの設定を有効化する(ステップS2)。一方、ステップS1で、メンテナンスモード設定用の機器の設定は無効であると判定された場合(ステップS1がNO判定の場合)、描写モード設定部41は、リアルタイム実写モード設定用の機器の設定は有効とされているか否かを判定する(ステップS3)。
【0074】
リアルタイム実写モード設定用の機器も、メンテナンスモード設定用の機器と同様に、例えば、ボタンやスイッチなどで構成される。もしくは、外部の装置からのコマンドや、スケジュールに基づいて入力されるトリガー等によって、リアルタイム実写モードの有効化が指示されてもよい。
【0075】
ステップS3で、リアルタイム実写モード設定用の機器の設定は有効であると判定された場合(ステップS3がYES判定の場合)、描写モード設定部41は、リアルタイム実写モードの設定を有効化する(ステップS4)。一方、ステップS3で、リアルタイム実写モード設定用の機器の設定は無効であると判定された場合(ステップS3がNO判定の場合)、描写モード設定部41は、他位置表示サービスの利用は可能か否かを判定する(ステップS5)。
【0076】
他位置表示サービスの利用の可能/不可能は、ボタンやスイッチなどへの操作に基づいて切り替えられてもよく、コマンドやトリガーなどに基づいて切り替えられてもよい。ステップS5で、他位置表示サービスの利用は可能であると判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、描写モード設定部41は、他位置表示モードの設定を有効化する(ステップS6)。
【0077】
一方、ステップS5で、他位置表示サービスの利用は不可であると判定された場合(ステップS5がNO判定の場合)、描写モード設定部41は、アーカイバ3への接続は可能か否かを判定する(ステップS7)。ステップS7は、アーカイバ3によるサービスが提供されている場合であって、アーカイバ3との通信が可能である場合にはYES判定となる。一方、アーカイバ3によるサービスが提供されていない場合や、通信障害等によってアーカイバ3との通信が行えない状況などにおいては、ステップS7はNO判定となる。
【0078】
ステップS7がYES判定の場合、描写モード設定部41は、アーカイバ表示モードの設定を有効化する(ステップS8)。ステップS8の処理後、又は、ステップS7がNO判定である場合、描写モード設定部41による描写モード設定処理は終了する。
【0079】
<描写モード判定部による描写モード判定処理>
次に、
図10を参照して、描写モード判定部42による描写モード判定処理について説明する。
図10は、描写モード判定部42による描写モード判定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0080】
まず、描写モード判定部42は、メンテナンスモードの設定が有効となっているか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で、メンテナンスモードの設定は有効であると判定された場合(ステップS11がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、メンテナンスモードへの移行が行われたか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12で、メンテナンスモードに移行したと判定された場合(ステップS12がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、描写モードはメンテナンスモードであると判定する(ステップS13)。メンテナンスモードであると判定された場合、カメラ映像出力部48によって取得された、保守用カメラ6による撮影映像が、かご内表示器12又はかご1の壁面等に表示される。
【0081】
ステップS11がNO判定の場合、又は、ステップS12がNO判定の場合、描写モード判定部42は、リアルタイム実写モードの設定が有効となっているか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14で、リアルタイム実写モードの設定は有効であると判定された場合(ステップS14がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、リアルタイム実写モードへの移行が行われたか否かを判定する(ステップS15)。
【0082】
ステップS15で、リアルタイム実写モードに移行したと判定された場合(ステップS15がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、描写モードはリアルタイム実写モードであると判定する(ステップS16)。リアルタイム実写であると判定された場合、カメラ映像出力部48によって取得された、建屋カメラ5による撮影映像が、かご内表示器12又はかご1の壁面等に表示される。
【0083】
ステップS14がNO判定の場合、又は、ステップS15がNO判定の場合、描写モード判定部42は、他位置表示モードの設定が有効となっているか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17で、他位置表示モードの設定は有効であると判定された場合(ステップS17がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、他位置表示モードへの移行が行われたか否かを判定する(ステップS18)。
【0084】
ステップS18で、他位置表示モードに移行したと判定された場合(ステップS18がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、描写モードは他位置表示モードであると判定する(ステップS19)。他位置表示モードであると判定された場合、不図示のサーバー又はアーカイバ3等から取得された他位置の撮影映像が、かご内表示器12又はかご1の壁面等に表示される。
【0085】
ステップS17がNO判定の場合、又は、ステップS18がNO判定の場合、描写モード判定部42は、アーカイバ表示モードの設定が有効となっているか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20で、アーカイバ表示モードの設定は有効であると判定された場合(ステップS20がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、アーカイバ表示モードへの移行が行われたか否かを判定する(ステップS21)。
【0086】
ステップS21で、アーカイバ表示モードに移行したと判定された場合(ステップS21がYES判定の場合)、描写モード判定部42は、描写モードはアーカイバ表示モードであると判定する(ステップS22)。アーカイバ表示モードであると判定された場合、アーカイバ3等から取得された画像群33の映像が、かご内表示器12又はかご1の壁面等に表示される。
【0087】
ステップS20がNO判定の場合、又は、ステップS21がNO判定の場合、描写モード判定部42は、モードの設定がなく、かつ、アーカイバ3の使用が不可であると判定する(ステップS23)。ステップS13、ステップS16、ステップS19、ステップS22又はステップS23の処理後、描写モード判定部42による描写モード設定処理は終了する。
【0088】
<解像度設定部による解像度設定処理>
次に、
図11を参照して、解像度設定部43による解像度設定処理について説明する。
図11は、解像度設定部43による解像度設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0089】
まず、解像度設定部43は、かご1内における映像の表示面数は1面以外か否かを判定する(ステップS31)。ステップS31で、表示面数は1面以外、すなわち、2面以上であると判定された場合(ステップS31がYES判定の場合)、解像度設定部43は、表示面数の情報をパラメータとして設定する(ステップS32)。
【0090】
次いで、解像度設定部43は、各面数に対応する各対象設備のサイズを設定する(ステップS33)。対象設備には、例えば、かご内表示器12やかご1内の壁面における表示領域などがある。次いで、解像度設定部43は、画像を画像群から抽出して対象設備に表示する場合における、画像の各描写範囲の解像度を設定する(ステップS34)。
【0091】
一方、ステップS31で、かご1内における映像の表示面数は1面であると判定された場合(ステップS31がNO判定の場合)、解像度設定部43は、その面に存在する対象設備のサイズを設定する(ステップS35)。次いで、解像度設定部43は、画像の描写範囲の解像度を設定する(ステップS36)。ステップS34又はステップS36の処理後、解像度設定部43による解像度設定処理は終了する。
【0092】
<ダウンロード部によるダウンロード処理>
次に、
図12を参照して、ダウンロード部44によるダウンロード処理について説明する。
図12は、ダウンロード部44によるダウンロード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0093】
まず、ダウンロード部44は、設定されているモードが他位置表示モードであるか否かを判定する(ステップS41)。ステップS41で、他位置表示モードに設定されていると判定された場合(ステップS41がYES判定の場合)、ダウンロード部44は、現在時刻に対応する表示時刻の他位置の映像を、アーカイバ3から抽出する(ステップS42)。なお、現在時刻と表示時刻とは厳密に対応している必要はなく、ダウンロード部44は、現在時刻が朝方の時刻であれば朝の映像、昼頃の時刻であれば昼の映像等を抽出することができる。
【0094】
次いで、ダウンロード部44は、他位置を撮影した映像における、対象設備に表示すべき場所(地域や方位など)を決定する(ステップS43)。場所の決定は、予め定められた設定値等に基づいて行われてもよく、エレベーターの利用者等による操作入力の内容等に基づいて行われてもよい。次いで、ダウンロード部44は、表示位置に対応する画像群(データ)を、解像度設定部43によって設定された解像度でアーカイバ3からダウンロードする(ステップS44)。
【0095】
一方、ステップS41で、他位置表示モードではないと判定された場合(ステップS41がNO判定の場合)、ダウンロード部44は、モードはアーカイバ表示モードであるか否かを判定する(ステップS45)。ステップS45で、アーカイバ表示モードであると判定された場合(ステップS45がYES判定の場合)、ダウンロード部44は、現在時刻に対応する表示時刻における他位置の撮影映像を抽出する(ステップS46)。
【0096】
次いで、ダウンロード部44は、ダウンロードの対象となる時限(期間、時代等)の画像群(データ)を抽出する(ステップS47)。次いで、ダウンロード部44は、対象となる画像群(データ)を、解像度設定部43によって設定された解像度でアーカイバ3からダウンロードする(ステップS48)。
【0097】
一方、ステップS45で、アーカイバ表示モードでないと判定された場合(ステップS45がNO判定の場合)、ダウンロード部44は、ダウンロード済みのデータがある場合にはそれをクリアする(ステップS49)。その後、描写部47は、描写装置4内のROM202(
図2参照)等に記憶された映像を対象設備に表示(描写)させる制御を行う。ステップS44、ステップS48又はステップS49の処理後、ダウンロード部44によるダウンロード処理は終了する。
【0098】
<高さ位置検出部、描写範囲決定部及び描写部による処理>
次に、
図13を参照して、高さ位置検出部45、描写範囲決定部46及び描写部47による処理について説明する。
図13は、高さ位置検出部45による高さ位置検出処理、描写範囲決定部46による描写範囲決定処理、及び、描写部47による描写処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、高さ位置検出部45は、エレベーター制御装置2から送信されたかご1の絶対位置検出情報を受信する(ステップS51)。次いで、高さ位置検出部45は、建屋Bの高さに合わせてかご1の高さ位置の情報を補正する(ステップS52)。すなわち、高さ位置検出部45は、かご1の絶対位置検出情報に示されるかご1の高さ位置を、建屋Bの高さ位置で補填した高さ位置を、かご1の高さ位置とする。
【0100】
次いで、描写範囲決定部46は、ステップS52で補正されたかご1の高さ位置の情報に基づいて、描写範囲を決定する(ステップS53)。
【0101】
次いで、描写部47は、ダウンロード部44がダウンロード済みのダウンロードデータがあるか否かを判定する(ステップS54)。ステップS54で、ダウンロードデータはあると判定された場合(ステップS54がYES判定の場合)、描写部47は、ダウンロードデータより、描写範囲に対応する画像(データ)を抽出する(ステップS55)。次いで、描写部47は、抽出したデータを、エレベーター制御装置2を介してかご内表示器12(又はプロジェクタ等)に送信する(ステップS56)。
【0102】
一方、ステップS54で、ダウンロードデータはないと判定された場合(ステップS54がNO判定の場合)、ROM202(
図2参照)等に記憶されたデータより、描写範囲に対応する画像を抽出する(ステップS57)。次いで、描写部47は、ステップS56の処理を行う。すなわち、抽出した画像(データ)を、エレベーター制御装置2を介してかご内表示器12(又はプロジェクタ等)に送信する。ステップS56の処理後、描写部47による描写処理は終了する。
【0103】
なお、
図13に示した処理に基づいて画像群が読みだされる場合における、読み出し(描写)のフレームレートは、エレベーターの定格速度に応じたレートに設定されることが好ましい。エレベーターの定格速度が比較的高速である場合、該フレームレートが低くても、表示映像におけるコマ落ち等は発生しにくい。一方、定格速度が定速である場合には、フレームレートが低いと、対象設備にコマ送りの画像が表示されてしまう可能性がある。
【0104】
フレームレートの調整は、例えば、
図3に示した縦長の画像群101~画像群103が描写対象である場合には、画像群に対応付ける高さ位置情報の付与間隔(高さ方向における距離の間隔)を変えることにより行うことができる。また、画像群が、
図3に示した撮影領域104等に対応する画像の集合体で構成される場合には、高さ位置に対応付けられた画像の枚数(複数の画像間における、それぞれに対応付けられた高さ位置の距離間隔)を変えることにより、フレームレートを調整することができる。そして、映像の描写のフレームレートが、エレベーターの定格速度に応じた最適なレートに設定されることにより、かご1内の対象設備に描写される映像において、コマ落ち等が発生してしまうことを防ぐことができる。
【0105】
上述した実施形態に係るエレベーターシステム100は、エレベーターのかご1内の表示領域(対象設備)に、かご1の外部又はエレベーターが設けられた建屋Bの外部を映した映像を表示するエレベーターシステムである。そして、エレベーターシステム100は、かご1の昇降路内における高さ方向での絶対位置を示す絶対位置検出情報を取得する高さ位置検出部45と、高さ位置検出部45が取得したかごの絶対位置検出情報と対応する高さ位置情報を有する画像群をアーカイバ3から抽出してかご1内の表示領域に表示させる描写部47と、を有する。
【0106】
したがって、上述した実施形態によれば、走行パターン毎の映像を予め用意することなく、エレベーターが設けられた建屋Bの外部の映像を、かご1の昇降動作に連動させてかご1内の表示領域に表示できるようになる。これにより、エレベーターの利用者は、かご1に乗車しながら建屋Bの外の景色を見ることができるため、感染症への対策をとる必要があるような閉塞的な状況下においても、利用者をリフレッシュさせることが可能となる。
【0107】
<変形例1>
なお、上述した実施形態では、位置検出器14(
図1参照)がかご1の絶対位置を検出可能である例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。位置補正情報や、時間の経過情報等に基づいて推定した位置情報に基づいて、かご1の絶対位置(高さ位置)が算出されてもよい。
【0108】
図14は、変形例1に係るエレベーターシステム100Aの概略構成例を示す図である。
図14に示すエレベーターシステム100Aが、
図1に示したエレベーターシステム100と異なる点は、エレベーター制御装置2Aが絶対位置算出部23を備える点である。その他の構成については、エレベーターシステム100と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0109】
図15は、変形例1に係るエレベーターシステム100Aの絶対位置算出部23による絶対位置算出処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0110】
まず、絶対位置算出部23は、位置補正情報があるか否かを判定する(ステップS61)。位置補正情報は、位置検出器14Aによって検出されたかご1の位置と、実際のかご1の位置との差分の情報に基づいて算出された補正値等によって構成される。
【0111】
変形例1における位置検出器14Aは、例えば、グランドフロアからの出発時からの巻上機のモーター(図示略)の回転数等に基づいて、かご1の昇降路における位置を検出する。実際のかご1の高さ位置は、かご1の外側に設けられた不図示の光学センサによる、昇降路内の不図示の遮蔽板の穴の位置の検出結果等に基づいて取得されるものとする。
【0112】
ステップS61で、位置補正情報はあると判定された場合(ステップS61がYES判定の場合)、絶対位置算出部23は、位置補正情報を用いた位置補正(かご1の高さ位置の補正)を実行する(ステップS62)。次いで、絶対位置算出部23は、ステップS62で補正された位置の情報を、かご絶対位置情報として出力する(ステップS63)。
【0113】
一方、ステップS61で、位置補正情報はないと判定された場合(ステップS61がNO判定の場合)、絶対位置算出部23は、前回のかご1の停止位置における時刻、又は、かご1の走行パルスのクロック数を抽出する(ステップS64)。
【0114】
次いで、絶対位置算出部23は、ステップS64で抽出した前回の停止位置における時刻、又は、走行パルスのクロック数に基づいてかご1の移動距離を算出し、該移動距離に基づいてかご1の現在位置を推定する(ステップS65)。次いで、絶対位置算出部23は、ステップS63の処理を行う。すなわち、絶対位置算出部23は、ステップS65で推定したかご1の現在位置の情報を、かご1の絶対位置情報として出力する。ステップS63の処理後、絶対位置算出部23による絶対値算出処理は終了する。
【0115】
変形例1によれば、かご1の絶対位置を検出する装置がないエレベーターシステムにおいても、上述した実施形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0116】
<変形例2>
次に、
図16~
図18を参照して、本発明の変形例2に係るエレベーターシステム100B、及び、エレベーターシステム100Bによる表示制御方法について説明する。変形例2に係るエレベーターシステム100Bは、かご1の高さ位置に応じてアーカイバ3から読みだした映像(画像群)とともに、予め用意された建屋Bの周囲の情報も表示する。
【0117】
図16は、変形例2に係るエレベーターシステム100Bの概略構成例を示す図である。
図16に示すエレベーターシステム100Bが、
図1に示したエレベーターシステム100と異なる点は、アーカイバ3Aに周辺情報35が記憶される点と、描写装置4Aが周辺情報出力部49を備える点である。その他の構成については、エレベーターシステム100と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0118】
周辺情報35は、建屋Bの周囲にある観光地やレンストラン、店舗などの各種施設の座標位置情報と、各種施設の名称の情報と、イメージ外形(外観の枠)の情報と、を記憶した情報である。なお、周辺情報35には、これら以外の情報が含まれてもよい。
【0119】
周辺情報出力部49は、かご1の高さ位置に応じて定まる画像の描写範囲の情報に基づいて、対応する周辺情報35をアーカイバ3Aから読み出し、描写部47に出力する。そして、描写部47は、周辺情報出力部49から入力された周辺情報を、アーカイバ3Aから読みだした画像に重畳してかご1内に表示させる。
【0120】
図17は、周辺情報出力部49による周辺情報出力処理の手順の例を示すフローチャートである。まず、周辺情報出力部49は、アーカイバ3Aに周辺情報35が登録されているか否かを判定する(ステップS71)。ステップS71で、周辺情報35は登録されていると判定された場合(ステップS71がYES判定の場合)、周辺情報出力部49は、画像の描写位置(範囲)の情報、及び、表示可能な周辺情報35を取得する(ステップS72)。表示可能な周辺情報35は、予め設定値として定められた建屋Bからの距離範囲内にある周辺情報や、映像として視認可能な範囲内にある周辺情報などである。
【0121】
次いで、周辺情報出力部49は、描写範囲に対応する画像の周辺情報35における位置(座標)を特定する(ステップS73)。次いで、周辺情報出力部49は、ステップS73で特定した位置情報に基づいて、通常画像(アーカイバ3Aから読みだした画像)と周辺情報の画像(周辺画像)とを対応付けて、描写部47に出力する(ステップS74)。
【0122】
一方、ステップS71で、周辺情報は登録されていないと判定された場合(ステップS71がNO判定の場合)、周辺情報出力部49は、通常画像をアーカイバ3Aから読みだして描写部47に出力する(ステップS75)。ステップS74又はステップS75の処理後、周辺情報出力部49による周辺情報出力処理は終了する。
【0123】
図18は、周辺情報が重畳して表示された画像の例を示す図である。
図18には、建屋Bから見える範囲の景色の画像に、周辺情報が重畳して表示された様子が示されている。
図18に示す例では、建屋Bの周辺に「観光地A」や「テナントB,C」、「レストランB,C」などがあることが、吹き出し内のテキストによって分かりやすく示されている。
【0124】
変形例2によれば、エレベーターの利用者は、建屋Bの周辺の施設の名称や位置などの情報を、かご1に乗った状態で確認することができる。
【0125】
<変形例3>
次に、
図19及び
図20を参照して、本発明の変形例3に係るエレベーターシステム100C、及び、エレベーターシステム100Cによる表示制御方法について説明する。変形例3に係るエレベーターシステム100Cは、建屋カメラ5によって実際に撮影された映像に、建屋Bの周囲の情報(周辺情報35)を重ねて表示する。
【0126】
図19は、変形例3に係るエレベーターシステム100Cの概略構成例を示す図である。
図19に示すエレベーターシステム100Cが、
図16に示したエレベーターシステム100Bと異なる点は、アーカイバ3BがID31及び周辺情報35のみを備える点と、描写装置4Bが、描写範囲決定部46と、周辺情報出力部49Aと、描写部47のみを備える点である。その他の構成については、エレベーターシステム100Bと同様であるため、重複する説明は省略する。
【0127】
図20は、周辺情報出力部49Aによる周辺情報出力処理の手順の例を示すフローチャートである。
図20のステップS81及びステップS82は、それぞれ
図17のステップS71及びステップS72と同一であるため、これらについての説明は省略する。
【0128】
ステップS83では、周辺情報出力部49Aは、描写範囲の周辺情報の位置を特定する。変形例3においては、描写装置4Bは、アーカイバ3Bから読みだした画像はなく、建屋カメラ5によってリアルタイムで撮影されている映像に周辺情報35を重畳する。したがって、周辺情報出力部49Aは、建屋カメラ5による撮影映像と周辺情報とをパターンマッチングによりマッチングさせることにより、撮影映像と周辺情報との対応付けを行う。
【0129】
ステップS83の処理後、周辺情報出力部49Aは、映像に対応付けられた周辺情報の画像を描写部47に出力する(ステップS84)。ステップS84の処理後、周辺情報出力部49Aによる周辺情報出力処理は終了する。
【0130】
変形例3によれば、エレベーターの利用者は、建屋Bから見える実際の風景に重ねて表示された周辺情報を確認できるため、周辺情報の情報をより正確に取得することができる。
【0131】
<その他変形例>
また、上述した実施形態及び各種変形例では、かご1内の表示領域に、かご1の高さ位置と対応する高さ位置の情報を有する画像を表示する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示したシャトルエレベーター10bにおいて、上層バンク用エレベーター10aの高さ位置情報を有する画像群を表示してもよい。このような制御は、例えば、かご内表示器12や不図示の携帯端末等を介して、エレベーターの利用者より、見てみたい(かご1内に表示させたい)映像の高さ位置情報(又は、高さ位置情報と対応付けられた建屋や風景の情報等)の入力を受け付けること等によって実現可能である。このような制御が行われることにより、エレベーターの利用者は、好きな(見てみたい)高さ位置からの映像をかご1内から見ることができるようになる。例えば、低層用のエレベーターの乗車中に、高層用のエレベーターから見える景色を疑似的に鑑賞することが可能になり、利用者は高いリフレッシュ効果を得られるようになる。
【0132】
また、例えば、対象の移動方向に応じた画像をかご1が表示可能な構成に変更することは、容易に想定できる。この場合、移動方向に対して距離に応じた画像群を用意する必要がある。また、上述した実施形態及び各変形例においては、高さ位置の補正の記述があるが、かごの移動開始位置として、任意の位置を設定することにより、水平方向以外の方向に移動するかごに対しても本発明を適用することが可能である。
【0133】
また、上述した実施形態及び各変形例は、本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0134】
また、
図1、
図14、
図16、
図19において実線又は片矢印で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0135】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0136】
さらに、上述した本発明の一実施形態又は各変形例にかかるエレベーターシステムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…かご、2,2A…エレベーター制御装置、3,3A,3B…アーカイバ、4,4A,4B…描写装置、5…建屋カメラ、6…保守用カメラ、12…かご内表示器、14,14A…位置検出器、23…絶対位置算出部、33…画像群、35…周辺情報、41…描写モード設定部、42…描写モード判定部、43…解像度設定部、44…ダウンロード部、45…高さ位置検出部、46…描写範囲決定部、47…描写部、48…カメラ映像出力部、49,49A…周辺情報出力部、100,100A,100B,100C…エレベーターシステム