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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180316
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】コーナー継手
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
E04H17/16 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093499
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】川越 琢
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142DD04
2E142DD10
2E142DD13
2E142DD23
2E142HH03
2E142HH13
2E142KK01
2E142LL02
(57)【要約】
【課題】フェンスパネルのような2枚の仕切り部材がなす角度を変更可能であり意匠性に優れたコーナー継手を提供する。
【解決手段】2枚の仕切り部材を所定の角度に連結するコーナー継手であって、各々の前記仕切り部材の端部に上下方向に沿って取り付けられる2つの端部部材を有し、前記2つの端部部材のうちの一方の前記端部部材は、平面視において円弧の形状をなして突出する端部曲面を有し、他方の前記端部部材は、前記端部曲面と対向する対向部を有し、前記端部曲面の中心回りに回転して前記一方の端部部材との角度を変更して当該一方の端部部材に固定可能であり、前記対向部と前記端部曲面との間の隙間は直線状に貫通しない。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の仕切り部材を所定の角度に連結するコーナー継手であって、
各々の前記仕切り部材の端部に上下方向に沿って取り付けられる2つの端部部材を有し、
前記2つの端部部材のうちの一方の前記端部部材は、平面視において円弧の形状をなして突出する端部曲面を有し、
他方の前記端部部材は、前記端部曲面と対向する対向部を有し、前記端部曲面の中心回りに回転して前記一方の端部部材との角度を変更して当該一方の端部部材に固定可能であり、
前記対向部と前記端部曲面との間の隙間は直線状に貫通しないことを特徴とするコーナー継手。
【請求項2】
請求項1に記載のコーナー継手であって、
前記対向部は、前記一方の前記端部部材側に突出する突出部を有し、
前記突出部が、前記隙間に張り出して前記対向部と前記端部曲面との間を遮ることを特徴とするコーナー継手。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコーナー継手であって、
前記一方の前記端部部材は、上端及び下端に設けられる第1キャップと、上下の前記第1キャップの間に設けられ前記2枚の仕切り部材のうちの一方の前記仕切り部材が取り付けられる第1本体部と、を有し、
前記第1キャップは、前記一方の仕切り部材の面外方向に沿って配置される第1キャップ基部と、前記第1キャップ基部と繋がり屈曲して設けられ、先端が平面視において円弧状に突出する第1キャップ先端部とを有し、
前記第1本体部は、前記一方の仕切り部材の面外方向に沿って配置される第1本体基部と、前記第1本体基部の先端側に屈曲して設けられ前記端部曲面を備えた第1本体先端部とを有しており、
前記他方の前記端部部材は、上端及び下端に設けられる第2キャップと、上下の前記第2キャップの間に設けられ前記2枚の仕切り部材のうちの他方の前記仕切り部材が取り付けられる第2本体部と、を有し、
前記第2キャップは、前記他方の仕切り部材の面外方向に沿って配置される第2キャップ基部と、前記第2キャップ基部と繋がり屈曲して設けられ、先端が平面視において円弧状に突出する第2キャップ先端部とを有し、
前記第2本体部は、前記他方の仕切り部材の面外方向に沿って配置され、前記対向部を備えており、
前記第1キャップ先端部と前記第2キャップ先端部とが、各々の前記円弧の中心が前記端部曲面の中心に合わせて、上下方向に重ねて配置されていることを特徴とするコーナー継手。
【請求項4】
請求項3に記載のコーナー継手であって、
前記第1キャップ、前記第2キャップ、及び、前記第1本体部は、45度に屈曲していることを特徴とするコーナー継手。
【請求項5】
請求項4に記載のコーナー継手であって、
前記第2本体部は、前記所定の角度が90度のときに、前記第1本体先端部と同一平面を形成する平面形成部を有することを特徴とするコーナー継手。
【請求項6】
請求項5に記載のコーナー継手であって、
前記平面形成部は、前記隙間に張り出して前記対向部と前記端部曲面との間を遮ることを特徴とするコーナー継手。
【請求項7】
請求項1に記載のコーナー継手であって、
前記仕切り部材は、立設された支柱に固定され、前記仕切り部材の下端は、前記支柱が立設されている部位と間隔を空けて配置されており、
前記端部部材は、前記仕切り部材の下端よりも下方に延出されていることを特徴とするコーナー継手。
【請求項8】
請求項3に記載のコーナー継手であって、
前記仕切り部材は前記第1本体部または前記第2本体部に取り付けられ、
当該仕切り部材の面外方向における取り付け位置を変更可能であることを特徴とするコーナー継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り部材を所定の角度に連結するコーナー継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のフェンスパネルを、支柱を介して立設平面状もしくは屈曲状に連続させたコーナーフェンスは、知られている(例えば、特許文献1参照)。このコーナーフェンスは、2枚のフェンスパネルが互いの側縁で水平方向に回動自在になるよう連結されている。各フェンスパネルは、上枠材、下枠材及び左右の縦枠材より形成される枠内に多数の格子桟を納められており、上枠材及び下枠材を縦枠材よりも側方に延出させて連結片が設けられている。そして2枚のフェンスパネルの連結片の先端部分を、重合状に配置して連結ボルトにて連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-270268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コーナーフェンスは、2枚のフェンスパネルがなす角度を変更できるように、2枚のフェンスパネルを回動自在とすべく、縦枠材よりも側方に延出させた連結片の先端部分を、重合状に配置して連結ボルトにて連結している。このため、2つのフェンスパネルを連結した状態において、2つのフェンスパネルにて隣り合う縦枠材どうしの間隔が空いて隙間が生じ、枠から光が差し込む、或いは、隣り合う縦枠材どうしの間からフェンスパネルの反対側の景色が視認されてしまい、意匠性が悪いという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フェンスパネルのような2枚の仕切り部材がなす角度を変更可能としつつも意匠性に優れたコーナー継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、2枚の仕切り部材を所定の角度に連結するコーナー継手であって、各々の前記仕切り部材の端部に上下方向に沿って取り付けられる2つの端部部材を有し、前記2つの端部部材のうちの一方の前記端部部材は、平面視において円弧の形状をなして突出する端部曲面を有し、他方の前記端部部材は、前記端部曲面と対向する対向部を有し、前記端部曲面の中心回りに回転して前記一方の端部部材との角度を変更して当該一方の端部部材に固定可能であり、前記対向部と前記端部曲面との間の隙間は直線状に貫通しないことを特徴とするコーナー継手である。
本発明の他の特徴については、本明細書および添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2枚の仕切り部材がなす角度を変更可能としつつも意匠性に優れたコーナー継手を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る仕切りユニットを示す外観図である。
図2】本実施形態に係る仕切りユニットを示す縦断面図である。
図3】2枚の仕切り部材がコーナー継手により接合された状態を示す平面図である。
図4】仕切りユニットの構成を示す分解斜視図である。
図5】コーナー継手の構成を示す分解斜視図である。
図6】第1本体部と第2本体部とが90度をなすように配置した状態を示す平面図である。
図7】コーナー継手がなす角度を変更した状態を示す平面図である。
図8】面外方向の厚みが異なる仕切り部材を備えた例を示す図である。
図9】仕切り部材の下に閉塞部材を設けられている例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るコーナー継手について図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態のコーナー継手は、図1に示すように、横格子を備えた2枚の仕切り部材10を所定の角度をなすように連結するコーナー継手2であって、例えば、2枚の仕切り部材10が、90度をなすように連結された仕切りユニット1が、図2に示すように、地面Gから立設された支柱3aに支持され、建物側と道路側とを仕切る格子ユニット3を例に挙げて説明する。また本実施形態の格子ユニット3を構成する2枚の仕切り部材10は、図1図3に示すように、出隅をなすようにコーナー継手2により連結されている。
【0011】
本実施形態の格子ユニット3は、地面から立設される支柱3aと、支柱3aに取り付けられる仕切りユニット1と、を備えている。
支柱3aは、長手方向に貫通する中空部を有する角パイプ状の部材である。仕切りユニット1は、図2に示すように、支柱3aの外側(道路側)に臨む側面に当接され、支柱3aの下部に固定された支持部材4に下端が支持されると共に、上端が連結部材5により支柱3aに取り付けられている。
仕切りユニット1は、図4に示すように、2枚の仕切り部材10と、2枚の仕切り部材10を連結するコーナー継手2と、を備えている。
【0012】
各仕切り部材10は、上胴縁11及び下胴縁12と、上胴縁11と下胴縁12とを上下に繋ぐ3本の縦材13とで形成された枠体14と、枠体14の外側に設けられ、上下方向に互いに間隔を空けて配置された複数の横格子材15と、を有している。
【0013】
上胴縁11及び下胴縁12は、いずれも長手方向を押し出し方向として成形された押出成形材であり、断面形状が略矩形状をなし、長手方向に貫通する中空部11a、12a(図2)を有している。
【0014】
コーナー継手2は、図4図5に示すように、連結される2枚の仕切り部材10の各々の端部に上下方向に沿って取り付けられる2つの端部部材20、25を有している。2つの端部部材20、25はいずれも、上下方向を押し出し方向として押し出し成形された形材である。
【0015】
2つの端部部材20、25のうちの一方は、連結される2枚の仕切り部材10のうちの一方の仕切り部材(以下、第1仕切り部材という)10の端部に取り付けられ、2つの端部部材20、25のうちの他方は、連結される2枚の仕切り部材10のうちの他方の仕切り部材(以下、第2仕切り部材という)10の端部に取り付けられる。以下の説明では、第1部材に取り付けられる端部部材20を第1端部部材20とし、第2仕切り部材に取り付けられる端部部材25を第2端部部材25として説明する。
【0016】
第1端部部材20は、上端及び下端に設けられる第1キャップ21と、上下の第1キャップ21の間に設けられる第1本体部22と、第1本体部22に取り付けられて第1仕切り部材10が接続される接続部材23と、を有している。第1端部部材20の上端部側と下端部側の構成は、上下方向が反転した形状をなしているので、ここでは、第1端部部材20の上端部側を例に挙げて、第1端部部材20の構成を説明する。また、以下の第1端部部材20の説明においては、当該第1端部部材20が仕切り部材10に取り付けられた状態で、仕切り部材10の面内方向及び面外方向にて方向を特定して説明する。
【0017】
第1本体部22は、図5図6に示すように、第1仕切り部材10の面外方向に沿って配置され第1仕切り部材10の端部と対向する第1本体基部22aと、第1本体基部22aにおいて面外方向の一方の端から突出する先端側に、第1本体基部22aに対して屈曲させて設けられた第1本体先端部22bと、を備えている。第1本体部22は、先端が屈曲したほぼ板状をなしており、第1本体先端部22bは、面外方向において突出する先端側に向かって、第1仕切り部材10から離れる方向に屈曲し、その角度は面外方向に対して45度をなしている。
【0018】
また、第1本体先端部22bの先端部分は、平面視において第1本体先端部22bの厚みを直径とする半円弧状をなしている。このため、第1本体部22の先端部は、上下方向における全長に亘り、半円弧状の曲面(端部曲面)22cをなしている。また、第1本体先端部22bは、半円弧状の部位と第1本体基部22aとが、半円弧の直径の厚みをなして繋がっており、第1本体基部22aと45度の角度をなす第1先端内面22d及び第1先端外面22eとを有している。
【0019】
第1本体基部22aの両端部近傍には、上下方向に沿って第1キャップ21を固定するためのビス6が螺合されるビス螺合部22fが設けられており、第1本体先端部22bには、端部曲面の半円弧の中心にビス螺合部22gが設けられている。
【0020】
また、第1本体基部22aにおいて第1仕切り部材10と対向する側の面には、接続部材23を固定するためのビス7が螺合されるビス螺合孔22hが設けられている。ビス螺合孔22hは、第1本体基部22aの上端側と下端側とにそれぞれ設けられており、上端側に取り付けられた接続部材23には、第1仕切り部材10の上胴縁11が嵌入されて接続され、下端側に取り付けられた接続部材23には、第1仕切り部材10の下胴縁12が嵌入されて接続される。なお、ビス螺合孔22hは、接続部材23の面外方向における取り付け位置を互いに異なる2箇所に取り付けることができるように、面外方向における位置を異ならせて2箇所に設けられている。
【0021】
接続部材23は、第1本体基部22aに対面し当接されてビス止めされる板状の固定部23aと、固定部23aから突出して上胴縁11または下胴縁12に嵌入される突出嵌入部23bと、を有している。第1本体基部22aの上端側と下端側とに取り付けられる接続部材23は、同一の部材である。
【0022】
第1本体部22の上端に取り付けられる第1キャップ21は、平面視において第1本体部22と同一の形状をなしており、第1本体基部22aの上に配置される第1キャップ基部21aと、第1キャップ基部21aと繋がって第1本体先端部22bの上に配置される第1キャップ先端部21bと、を有している。
【0023】
第1キャップ基部21aは、同一の厚みをなし、面外方向における両端部に第1キャップ21を第1本体部22に固定するビス6が挿通されるビス挿通孔21cが設けられている。
【0024】
第1キャップ先端部21bは、第1キャップ基部21aと繋がる側が、第1キャップ基部21aと同一の厚みをなしており、先端側は、第1キャップ基部21a側よりも薄く形成された薄肉部21dを有している。薄肉部21dは、第1キャップ先端部21bの先端部分が、半円弧とほぼ同一の直径をなす円形状に窪む形で形成されており、下面は、第1キャップ基部21aから繋がる同一平面をなしている。また、薄肉部21dの中心に上下方向に貫通しビス6が挿通されるビス挿通孔21eが設けられている。
【0025】
第2端部部材25は、図5図6に示すように、上端及び下端に設けられる第2キャップ26と、上下の第2キャップ26の間に設けられる第2本体部27と、各第2キャップ26と第2本体部27との間にそれぞれ設けられる鉄製の補強部材28と、第2本体部27に取り付けられて第2仕切り部材10が接続される接続部材23と、を有している。
【0026】
第2端部部材25の上端部側と下端部側の構成は、上下方向が反転した形状をなしているので、ここでは、第2端部部材25の上端部側を例に挙げて、第2端部部材25の構成を説明する。また、以下の第2端部部材25の説明においては、当該第2端部部材25が仕切り部材10に取り付けられた状態で、仕切り部材10の面内方向及び面外方向にて方向を特定して説明する。なお、接続部材23は、第1端部部材20に取り付けられている接続部材23と同一である。
【0027】
第2本体部27は、第2仕切り部材10の面外方向に沿って配置され第2仕切り部材10の端部と対向する平板状をなしている。第2本体部27の上下方向の長さは、第1本体部22の上下方向の長さよりも、第1キャップ21が備える薄肉部21dの厚さ分、上下に長く形成されている。
【0028】
第2本体部27は、格子ユニット3として設置されて出隅を形成する状態で、第2仕切り部材10が取り付けられる内面27aの幅が外面27bの幅よりも広く形成されており、第1端部部材20と繋がる側の端は、いずれも先端に向かって厚みが漸次薄くなるように45度の角度に傾斜した内側先端傾斜部27c及び外側先端傾斜部27dが設けられている。
【0029】
内側先端傾斜部27cは、第2本体部27の厚みのほぼ半分まで繋がっており、その先には、内側先端傾斜部27cよりも第1本体部22側に張り出し、端部曲面22cと間隔を空けて対向する曲面対向面27eが設けられ、曲面対向面27eは、外側先端傾斜部27dと繋がっている。本実施形態においては、曲面対向面27eの内側先端傾斜部27c側に肉抜きが施されているため、曲面対向面27eは、外側先端傾斜部27d側のみに設けられている。本実施形態においては、端部曲面22cと対向している内側先端傾斜部27cから曲面対向面27eまでが端部曲面と対向する対向部に相当し、外側先端傾斜部27dが平面形成部に相当する。
【0030】
そして、曲面対向面27eは、外側先端傾斜部27dと繋がっており、曲面対向面27eと外側先端傾斜部27dとが繋がる先端部分は、端部曲面22cとの間、すなわち第1本体部22と第2本体部27との間を直線状に貫通する隙間Sよりも第1本体部22側に突出する突出部27fをなし、隙間Sに張り出して内側先端傾斜部27cと端部曲面22cとの間を遮っている。
【0031】
第2本体部27の両端部近傍には、上下方向に沿って第2キャップ26及び補強部材28を固定するためのビス6が螺合されるビス螺合部27gが設けられている。また、第2本体部27において第2仕切り部材10と対向する側の面には、接続部材23を固定するためのビス7が螺合されるビス螺合孔27hが設けられている。ビス螺合孔27hは、第1本体部22のビス螺合部22gと同様に、第2本体基部22aの上端側と下端側とにそれぞれ設けられており、かつ接続部材23の面外方向における取り付け位置を変更可能に、面外方向における位置を異ならせて2箇所に設けられている。
【0032】
第2本体部27の上端に取り付けられる第2キャップ26は、第2本体部27上に配置される第2キャップ基部26aと、第2キャップ基部26aと繋がって、第2本体部27の外側先端傾斜部27dに沿う方向に延出された第2キャップ先端部26bと、を有し、均一な厚みをなしている。すなわち、第2キャップ基部26aと第2キャップ先端部26bとは45度の角度をなして屈曲している。
第2キャップ基部26aの両端部には、第2本体部27に螺合されるビス6が挿通されるビス挿通孔26cが設けられている。
【0033】
第2キャップ先端部26bの先端部分は、平面視において第2キャップ先端部26bの厚みを直径とし、第1キャップ先端部21bの半円弧と同一直径の半円弧状をなしている。第2キャップ先端部26bには、先端部の半円弧の中心に上下方向に貫通しビス6が挿通されるビス挿通孔26dが設けられている。
【0034】
補強部材28は、平面視において第2キャップ26と同一の形状をなしており、その厚みは、第2キャップ26よりも薄く形成されている。補強部材28には、第2キャップ26と重ねた状態で、第2キャップ26と共に各ビス6が挿通されるビス挿通孔28aが設けられている。また、第2キャップ26と補強部材28とを上下に重ね合わせた厚みは、第1キャップ先端部21bに設けられている薄肉部21dの段差とほぼ同じになるように構成されている。
【0035】
コーナー継手2を用いて2枚の仕切りユニット1を接合する場合には、まず、接続部材23を取り付けた第1本体部22の上下の端に第1キャップ21をそれぞれビス6にて固定して第1端部部材20を形成し、接続部材23を取り付けた第2本体部27の上下の端に補強部材28とともに第2キャップ26をそれぞれビス6にて固定して第2端部部材25を形成する。なお、接続部材23は、仕切り部材10を接合する際に取り付けても構わない。
【0036】
次に、各第1キャップ21の薄肉部21dと、各補強部材28及び各第2キャップ26の先端部分とを、上下方向に重なるように配置し、第1キャップ21のビス挿通孔21e、第2キャップ26のビス挿通孔26d、及び補強部材28のビス挿通孔28aにビス6を挿通させ、第1本体部22のビス螺合部22gに螺合して、第1端部部材20と第2端部部材25とを接続する。このとき、ビス6は締め込まず、第1端部部材20と第2端部部材25とが回動可能な状態としておく。
【0037】
次に、第1本体部22及び第2本体部27に取り付けられている接続部材23を仕切り部材10の上胴縁11及び下胴縁12の中空部11a、12aに挿入する。そして、各仕切り部材10の端を、第1本体部22及び第2本体部27に当接させた状態で、仕切り部材10の建物側から進入するビス23cにより接続部材23に仕切り部材10を固定する。
【0038】
2枚の仕切り部材10は、施工現場に設けられている支柱3aに合わせて角度を調節し、各ビス挿通孔21e、26d、ビス挿通孔28aに挿通されているビス6を締め込んで所定の角度をなして固定される。
【0039】
本実施形態のコーナー継手2によれば、第1端部部材20が、平面視において半円弧の形状をなして突出する端部曲面22cを有し、第2端部部材25が、端部曲面22cと間隔を空けて対向する内側先端傾斜部27c及び曲面対向面27eを有しており、端部曲面22cがなす半円弧の中心を軸として回転した位置に配置されて固定されているので、第2端部部材25が取り付けられている第2仕切り部材10を、端部曲面22cの中心まわりに回転させることにより、第1端部部材20が取り付けられている第1仕切り部材10とのなす角度を変更することが可能である。
【0040】
また、第2端部部材25は、端部曲面22cと対向する部位に、端部曲面22cとの間を直線状に貫通する隙間Sよりも第1端部部材20側に突出する突出部27fを有している。このため、突出部27fが、隙間Sに張り出して内側先端傾斜部27cと端部曲面22cとの間を遮ることにより、隣り合う仕切り部材10の間からの視線を遮ることが可能となり、また、光が差し込むことを防止することが可能となる。このため、2枚の仕切り部材10がなす角度を変更可能としつつも意匠性に優れたコーナー継手2を提供することが可能となる。
【0041】
また、第1端部部材20と第2端部部材25とは、上端及び下端に設けられている第1キャップ21の半円弧状をなす先端部の中心と、第2キャップ26の半円弧状をなす先端部の中心とが、端部曲面22cの中心に合わせて、上下方向に重ねて配置されているので、第1キャップ21の先端部の中心と、第2キャップ26の先端部の中心とが、2枚の仕切り部材10がなす角度を変更するための回転中心となる。そして、各々の端部部材20、25は、第1仕切り部材10が取り付けられる第1本体部22が設けられている第1キャップ基部21aと第1キャップ先端部21bとが屈曲しているので、2枚の仕切り部材10の回動中心を、第1キャップ基部22aに沿う線上から交差する方向に外れた位置に配置することが可能となる。このため、2枚の仕切り部材10の角度を変更すべく回転させる際に、第1端部部材20と第2端部部材25が干渉しにくいので、例えば、図7に示すように、2枚の仕切り部材10が形成しうる角度の範囲をより大きく確保することが可能となる。
【0042】
また、第1キャップ21、第2キャップ26、及び、第1本体部22が、いずれも45度に屈曲しているので、第1仕切り部材10の端部に面外方向に沿って第1キャップ基部21aが取り付けられると、第1キャップ先端部21bと第1本体部22及び第1仕切り部材10とが45度の角度をなし、第2仕切り部材10の端部に面外方向に沿って第2キャップ基部26aが取り付けられると、図6に示すように、第2キャップ先端部26bと第2本体部27及び第2仕切り部材10とが45度の角度をなす。このため、第1仕切り部材10と、第2仕切り部材10とが90度をなすように配置すると、第1キャップ先端部21bと第2キャップ先端部26bとが直線状に位置するように配置することが可能となる。このため、より意匠性に優れている。
【0043】
また、第1仕切り部材10と、第2仕切り部材10とが90度をなすように配置されたときには、第1本体先端部22bと第2本体部27の突出部27fを形成する外側先端傾斜部27dにより同一平面が形成される。このため、第1端部部材20と、第2端部部材25との境界部分が平面に見えるので、より意匠性に優れている。
【0044】
また、第1仕切り部材10と、第2仕切り部材10とを90度をなすように配置したときに、第1本体先端部22bとともに平面を形成する第2本体部27の突出部27fの外側の面をなす外側先端傾斜部27dが、第1本体先端部22bと同一平面を形成するので、第1端部部材20と第2端部部材25との境界部分を平面に見せつつも、隣り合う仕切り部材10の間からの視線を遮ることが可能となり、また、光が差し込むことを防止することが可能となる。
【0045】
また、コーナー継手2は、第1本体部22または第2本体部27が各々、接続部材23を取り付けるためのビス螺合孔22hが、面外方向における互いに異なる2箇所に設けられているので、仕切り部材10の面外方向における取り付け位置を変更することが可能である。このため、施工現場において仕切るべき境界に合わせて仕切り部材10を取り付けることが可能となる。
【0046】
また、面外方向の厚みが互いに異なる仕切り部材10aであっても、取り付け位置を変更することにより、また、図8に示すように、例えばサイズが異なるブロック9が用いられる施工現場のように、ブロック9による境界と支柱との相対位置が異なる場合であっても、仕切り部材10aが境界からはみ出さないように取り付けることが可能となる。
【0047】
上記実施形態においては、2枚の仕切り部材10の下が開放されている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図9に示すように、端部部材20、25が仕切り部材10の下端よりも下方に延出された下延出部22i、27iを備えており、2枚の仕切り部材10の下に各々、地面Gと仕切り部材10の下端との間を塞ぐ閉塞部材8を設ける構成としてもよい。この場合には、仕切り部材10の下からの視線を遮ることが可能となり、また、仕切り部材10の下から光が差し込むことを防止することが可能となる。このため、さらに意匠性に優れている。
【0048】
上記実施形態においては、2枚の仕切り部材10をコーナー継手2により連結して出隅をなす格子ユニット3を例に挙げて説明したが、各仕切り部材10の表面と裏面とを裏返した状態で第1端部部材20及び第2端部部材25に各々取り付けることにより、入り隅とすることも可能となる。
【0049】
上記実施形態においては、第1本体先端部22bの先端部分、第1キャップ先端部21bの先端部分、第2キャップ先端部26bの先端部分及び補強部材28の先端部分が、平面視において半円弧状をなしている例について説明したが、これに限らず、コーナー継手によって連結される2枚の仕切り部材が所望の角度を形成可能な円弧状をなしていれば構わない。
また、上記実施形態においては、仕切り部材10として横格子を備えている例について説明したが、これに限らず、面材、フェンスなど、空間を仕切る部材であれば構わない。
【0050】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0051】
本実施形態には、少なくとも以下の態様の発明が含まれる。
態様1:2枚の仕切り部材を所定の角度に連結するコーナー継手であって、各々の前記仕切り部材の端部に上下方向に沿って取り付けられる2つの端部部材を有し、前記2つの端部部材のうちの一方の前記端部部材は、平面視において円弧の形状をなして突出する端部曲面を有し、他方の前記端部部材は、前記端部曲面と対向する対向部を有し、前記端部曲面の中心回りに回転して前記一方の端部部材との角度を変更して当該一方の端部部材に固定可能であり、前記対向部と前記端部曲面との間の隙間は直線状に貫通しないことを特徴とするコーナー継手である。
【0052】
態様1のコーナー継手によれば、各々の仕切り部材の端部に上下方向に沿って取り付けられる各端部部材は、一方の端部部材が、平面視において円弧の形状をなして突出する端部曲面を有し、他方の端部部材が、端部曲面の中心回りに回転して一方の端部部材との角度を変更して当該一方の端部部材に固定可能なので、他方の端部部材が取り付けられている仕切り部材を、端部曲面及び対向曲面の中心回りに回転させることにより、一方の端部部材が取り付けられている仕切り部材と他方の端部部材が取り付けられている仕切り部材とを所望の角度にて連結することが可能となる。
【0053】
また、対向部と前記端部曲面との間の隙間は直線状に貫通しないので、コーナー継手により連結された隣り合う仕切り部材の間からの視線を遮ることが可能となり、また、光が差し込むことを防止することが可能となる。このため、2枚の仕切り部材がなす角度を変更可能としつつも意匠性に優れたコーナー継手を提供することが可能となる。
【0054】
態様2:態様1に記載のコーナー継手であって、前記対向部は、前記一方の前記端部部材側に突出する突出部を有し、前記突出部が、前記隙間に張り出して前記対向部と前記端部曲面との間を遮ることを特徴とする。
【0055】
態様2のコーナー継手によれば、端部曲面と対向する対向部が有し、一方の端部部材側に突出する突出部が、隙間に張り出して対向部と端部曲面との間を遮るので、コーナー継手により連結された隣り合う仕切り部材の間からの視線をより確実に遮ることが可能となり、また、光が差し込むことをより確実に防止することが可能となる。
【0056】
態様3:態様1または態様2に記載のコーナー継手であって、前記一方の前記端部部材は、上端及び下端に設けられる第1キャップと、上下の前記第1キャップの間に設けられ前記2枚の仕切り部材のうちの一方の前記仕切り部材が取り付けられる第1本体部と、を有し、前記第1キャップは、前記一方の仕切り部材の面外方向に沿って配置される第1キャップ基部と、前記第1キャップ基部と繋がり屈曲して設けられ、先端が平面視において円弧状に突出する第1キャップ先端部とを有し、前記第1本体部は、前記一方の仕切り部材の面外方向に沿って配置される第1本体基部と、前記第1本体基部の先端側に屈曲して設けられ前記端部曲面を備えた第1本体先端部とを有しており、前記他方の前記端部部材は、上端及び下端に設けられる第2キャップと、上下の前記第2キャップの間に設けられ前記2枚の仕切り部材のうちの他方の前記仕切り部材が取り付けられる第2本体部と、を有し、前記第2キャップは、前記他方の仕切り部材の面外方向に沿って配置される第2キャップ基部と、前記第2キャップ基部と繋がり屈曲して設けられ、先端が平面視において円弧状に突出する第2キャップ先端部とを有し、前記第2本体部は、前記他方の仕切り部材の面外方向に沿って配置され、前記対向部を備えており、前記第1キャップ先端部と前記第2キャップ先端部とが、各々の前記円弧の中心が前記端部曲面の中心に合わせて、上下方向に重ねて配置されていることを特徴とする。
【0057】
態様3のコーナー継手によれば、一方の端部部材と他方の端部部材とは、上端及び下端に設けられている第1キャップの円弧状をなす先端部の中心と、第2キャップの円弧状をなす先端部の中心とが、端部曲面の中心に合わせて、上下方向に重ねて配置されているので、第1キャップの先端部の中心と、第2キャップの先端部の中心とが、2枚の仕切り部材がなす角度を変更するための回転中心となる。そして、各々の端部部材は、一方の仕切り部材が取り付けられる第1本体部が設けられている第1キャップ基部と先端部とが屈曲しているので、2枚の仕切り部材の回動中心を、第1キャップ基部に沿う線上から交差する方向に外れた位置に配置することが可能となる。このため、2枚の仕切り部材の角度を変更すべく回転させる際に、互いの端部部材が干渉しにくいので、2枚の仕切り部材が形成しうる角度の範囲をより大きく確保することが可能となる。
【0058】
態様4:態様3に記載のコーナー継手であって、前記第1キャップ、前記第2キャップ、及び、前記第1本体部は、45度に屈曲していることを特徴とする。
【0059】
態様4のコーナー継手によれば、第1キャップ、第2キャップ、及び、第1本体部が、いずれも45度に屈曲しているので、一方の仕切り部材の端部に面外方向に沿って第1キャップ基部が取り付けられると、第1キャップ先端部と第1本体部及び一方の仕切り部材とが45度の角度をなし、他方の仕切り部材の端部に面外方向に沿って第2キャップ基部が取り付けられると、第2キャップ先端部と第2本体部及び他方の仕切り部材とが45度の角度をなす。このため、一方の仕切り部材と、他方の仕切り部材とが90度をなすように配置すると、第1キャップ先端部と第2キャップ先端部とが直線状に位置するように配置することが可能となる。このため、より意匠性に優れている。
【0060】
態様5:態様4に記載のコーナー継手であって、前記第2本体部は、前記所定の角度が90度のときに、前記第1本体先端部と同一平面を形成する平面形成部を有することを特徴とする。
【0061】
態様5のコーナー継手によれば、一方の仕切り部材と、他方の仕切り部材とが90度をなすように配置すると、第1本体先端部と第2本体部の平面形成部により同一平面が形成される。このため、一方の端部部材と他方の端部部材との境界部分が平面に見えるので、より意匠性に優れている。
【0062】
態様6:態様5に記載のコーナー継手であって、前記隙間に張り出して前記対向部と前記端部曲面との間を遮ることを特徴とする。
【0063】
態様6のコーナー継手によれば、一方の仕切り部材と、他方の仕切り部材とを90度をなすように配置したときに、第1本体先端部とともに平面を形成する第2本体部の平面形成部が、隙間に張り出して前記対向部と前記端部曲面との間を遮るので、一方の端部部材と他方の端部部材との境界部分を平面に見せつつも、隣り合う仕切り部材の間からの視線を遮ることが可能となり、また、光が差し込むことを防止することが可能となる。
【0064】
態様7:態様1乃至態様6のいずれかに記載のコーナー継手であって、前記仕切り部材は、立設された支柱に固定され、前記仕切り部材の下端は、前記支柱が立設されている部位と間隔を空けて配置されており、前記端部部材は、前記仕切り部材の下端よりも下方に延出されていることを特徴とする。
【0065】
態様7のコーナー継手によれば、端部部材は仕切り部材の下端よりも下方に延出されているので、たとえば、仕切り部材の下端と、支柱が立設されている部位との間を塞ぐ閉塞部材を設ける場合であっても、各々の仕切り部材の下に設けられた閉塞部材の間からの視線を遮ることが可能となり、また、光が差し込むことを防止することが可能となる。このため、さらに意匠性に優れている。
【0066】
態様8:態様2乃至態様7のいずれかに記載のコーナー継手であって、前記仕切り部材は前記第1本体部または前記第2本体部に取り付けられ、当該仕切り部材の面外方向における取り付け位置を変更可能であることを特徴とする。
【0067】
態様8のコーナー継手によれば、第1本体部または第2本体部に取り付けられる仕切り部材は、仕切り部材の面外方向における取り付け位置を変更可能なので、施工現場における境界に合わせて仕切り部材を取り付けることが可能となる。また、面外方向の厚みが互いに異なる仕切り部材であっても、取り付け位置を変更して、仕切り部材が境界からはみ出さないように取り付けることが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1 仕切りユニット、2 コーナー継手、3a 支柱、
20 第1端部部材、21 第1キャップ、21a 第1キャップ基部、
21b 第1キャップ先端部、22 第1本体部、22a 第1本体基部、
22b 第1本体先端部、22c 端部曲面、22i 下延出部、
25 第2端部部材、26 第2キャップ、26a 第2キャップ基部、
26b 第2キャップ先端部、27 第2本体部、27c 内側先端傾斜部、
27e 先端曲面、
27f 突出部、27i 下延出部、
S 隙間、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9