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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180328
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】回転電機と、ロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/278 20220101AFI20231214BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K15/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093531
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕治
(72)【発明者】
【氏名】多田 啓志
(72)【発明者】
【氏名】吉野 勉
(72)【発明者】
【氏名】中村 公昭
(72)【発明者】
【氏名】富岡 薫
(72)【発明者】
【氏名】大谷 友也
(72)【発明者】
【氏名】奥 浩一
【テーマコード(参考)】
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615SS44
5H615TT26
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622PP03
5H622PP17
5H622PP18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】風損を低減することによりエネルギ変換効率を向上した回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機10を構成するロータ12は、回転シャフト18と、永久磁石30とを有する。回転シャフト18には、永久磁石30の外表面を覆うスリーブ32が取り付けられる。スリーブ32の外周壁には、樹脂コーティング層40が設けられる。樹脂コーティング層40は、基部42と、基部42の外周壁に形成された複数個の突起44とを有する。複数個の突起44の間には、該複数個の突起44に対して相対的に凹んだリブレット46が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータとを備え、前記ロータは、回転シャフトと、前記回転シャフトに保持された永久磁石とを有し、且つ前記ステータは、前記永久磁石を取り囲む電磁コイルを有する回転電機であって、
前記ロータは、
前記回転シャフトにおいて前記永久磁石の外表面を覆い、且つ前記ステータから所定間隔で離間するスリーブと、
前記スリーブの外周壁に設けられた樹脂コーティング層と、
を備え、
前記スリーブは、炭素繊維強化樹脂からなり、
前記樹脂コーティング層は、前記スリーブの外周壁を被覆する基部と、前記基部の外周壁から突出する突起構造とを有し、
前記突起構造は、互いに平行に延在する複数個の突起を形成する1本又は複数本の凸部からなり、
前記複数個の突起の間に、該複数個の突起に対して相対的に凹んだリブレットが形成される、回転電機。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機において、前記複数個の突起の延在方向は、前記回転シャフトの軸線方向に対して45°~90°の角度で交差する方向である、回転電機。
【請求項3】
請求項1記載の回転電機において、前記複数個の突起の各々の高さをH、前記複数個の突起のうち互いに隣接する2個のピッチをSとするとき、Sは100μm以下であり、且つ下記の式が成り立つ回転電機。
H=0.5S
【請求項4】
請求項1記載の回転電機において、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面形状が三角形である回転電機。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機において、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面において前記回転シャフトの直径方向外方に向かって最も突出した頂部の角度が30°~90°である回転電機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の回転電機において、前記樹脂コーティング層の母材樹脂は、該母材樹脂と炭素繊維強化樹脂とを同一条件下で切削加工を施したとき、前記炭素繊維強化樹脂に比べて切削工具の摩耗量が少ない樹脂から形成される、回転電機。
【請求項7】
請求項6記載の回転電機において、前記母材樹脂は、エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂である回転電機。
【請求項8】
回転シャフトと、前記回転シャフトに保持された永久磁石とを有し、且つ回転電機においてステータに囲まれるロータの製造方法であって、
前記永久磁石の外表面を、炭素繊維強化樹脂からなるスリーブで覆うスリーブ取付工程と、
前記スリーブの外周壁を、樹脂コーティング層で被覆する樹脂被覆工程と、
前記樹脂コーティング層の外周壁の一部を加工によって除去することにより、前記樹脂コーティング層に、前記スリーブの外周壁を被覆する基部と、前記基部の外周壁から突出する突起構造とを形成する突起形成工程と、
を有し、
前記突起形成工程で、前記突起構造を、互いに平行に延在する複数個の突起を形成する1本又は複数本の凸部として設けることで、該複数個の突起に対して相対的に凹んだリブレットを形成する、ロータの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の製造方法において、前記突起形成工程で、前記複数個の突起を、前記回転シャフトの軸線方向に対して45°~90°の角度で交差する方向に延在するように形成する、ロータの製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の製造方法において、前記複数個の突起の各々の高さをH、前記複数個の突起のうち互いに隣接する2個のピッチをSとするとき、前記突起形成工程で、下記の式が成り立つように前記複数個の突起を形成する、ロータの製造方法。
H=0.5S
【請求項11】
請求項8記載の製造方法において、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面形状が三角形となるように、前記突起形成工程で前記複数個の突起を形成する、ロータの製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の製造方法において、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面において前記回転シャフトの直径方向外方に向かって最も突出した頂部の角度が30°~90°となるように、前記突起形成工程で前記複数個の突起を形成する、ロータの製造方法。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項に記載の製造方法において、前記突起形成工程で、前記樹脂コーティング層の外周壁の一部を切削加工によって除去するロータの製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の製造方法において、前記樹脂コーティング層の母材樹脂として、該母材樹脂と炭素繊維強化樹脂とを同一条件下で切削加工を施したとき、前記炭素繊維強化樹脂に比べて切削工具の摩耗量が少ない樹脂を用いて、前記樹脂被覆工程を行って前記樹脂コーティング層を形成する、ロータの製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の製造方法において、前記母材樹脂として、エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂を用いるロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータとステータとを備える回転電機に関する。また、本発明は、回転電機を構成するロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータと、該ロータの外周に配置されるステータとを備える回転電機が知られている。この場合、ロータは、回転シャフトの外周壁に設けられた永久磁石を有する。回転シャフトから永久磁石が脱落することを防止するため、回転シャフトにスリーブが取り付けられる。スリーブは、永久磁石の外表面を覆う。スリーブは、例えば、特許文献1に記載されるように炭素繊維強化樹脂から形成される。
【0003】
スリーブとステータとの間には、所定のクリアランスが形成される。従って、スリーブとステータとの間に空気層が介在する。この状態で回転シャフトが回転すると、スリーブの周囲に空気流が生じる。回転シャフトの回転速度が低速であるときには、空気流は層流である。これに対し、航空機等では、回転シャフトを高速回転させることが想定される。この場合、空気流は乱流となる。この状況下では、空気層に対するスリーブの摩擦抵抗が大きくなる。その結果、いわゆる風損が発生する。この風損に起因して永久磁石が帯熱すると、回転電機におけるエネルギ変換効率が低下する。
【0004】
風損を低減するため、スリーブの外周壁にリブレットを形成する場合がある。例えば、特許文献1記載の技術では、プリプレグを筒状に変形してスリーブを得た後、該スリーブの外周壁に転写フィルムを巻き付けている。転写フィルムには凸型模様が予め形成されており、凸型模様がスリーブの外周壁に転写されることで、該外周壁にリブレットが形成される。その後、スリーブが加熱硬化されて転写フィルムがスリーブから取り除かれる。
【0005】
特許文献2には、ロータの外周面に、非磁性体からなるアーマリングを取り付けることが記載されている。アーマリングの外周壁には、放熱を促進するための環状凸部が形成されている。環状凸部に対して相対的に陥没した環状凹部は、溝である。特許文献2の記載によれば、該溝によって風損の増加が抑制される、とのことである。なお、アーマリングの素材としては、チタンが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-175603号公報
【特許文献2】特開平11-150896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プリプレグに微細構造を寸法精度よく形成することは容易ではない。従って、転写フィルムに微細な凹凸を形成した場合であっても、プリプレグに微細な凹凸を転写することは容易ではない。このような理由から、炭素繊維強化樹脂からなり且つ微細な溝を有するスリーブを得ることは困難である。
【0008】
特許文献2には、外周壁に微細な凹凸が形成されたアーマリングを得るため、溶射又はコールドスプレー法によって微粒子を堆積及び固着させることが記載されている。しかしながら、このような手法に基づいて、永久磁石を保持可能な程度の剛性を有するアーマリングを得ることは容易ではない。チタン等の金属製の筒体をアーマリングとすると剛性は確保されるが、チタン等に切削加工等を施して微細な凹凸を形成することは容易ではない。また、この場合、アーマリングの重量が大であるので、ロータの重量が増加する。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、ロータとステータとを備え、前記ロータは、回転シャフトと、前記回転シャフトに保持された永久磁石とを有し、且つ前記ステータは、前記永久磁石を取り囲む電磁コイルを有する回転電機であって、前記ロータは、前記回転シャフトにおいて前記永久磁石の外表面を覆い、且つ前記ステータから所定間隔で離間するスリーブと、前記スリーブの外周壁に設けられた樹脂コーティング層と、を備え、前記スリーブは、炭素繊維強化樹脂からなり、前記樹脂コーティング層は、前記スリーブの外周壁を被覆する基部と、前記基部の外周壁から突出する突起構造とを有し、前記突起構造は、互いに平行に延在する複数個の突起を形成する1本又は複数本の凸部からなり、前記複数個の突起の間に、該複数個の突起に対して相対的に凹んだリブレットが形成される、回転電機が提供される。
【0011】
本発明の別の一実施形態によれば、回転シャフトと、前記回転シャフトに保持された永久磁石とを有し、且つ回転電機においてステータに囲まれるロータの製造方法であって、前記永久磁石の外表面を、炭素繊維強化樹脂からなるスリーブで覆うスリーブ取付工程と、前記スリーブの外周壁を、樹脂コーティング層で被覆する樹脂被覆工程と、前記樹脂コーティング層の外周壁の一部を加工によって除去することにより、前記樹脂コーティング層に、前記スリーブの外周壁を被覆する基部と、前記基部の外周壁から突出する突起構造とを形成する突起形成工程と、を有し、前記突起形成工程で、前記突起構造を、互いに平行に延在する複数個の突起を形成する1本又は複数本の凸部として設けることで、該複数個の突起に対して相対的に凹んだリブレットを形成する、ロータの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
炭素繊維強化樹脂からなるスリーブに加工を施すことは困難であるので、該スリーブの外周壁にリブレット(又は突起)を形成することは容易ではない。これに対し、本発明においては、スリーブの外周壁を被覆した樹脂コーティング層にリブレットを形成する。樹脂コーティング層はスリーブと別体であるので、スリーブに対して切削加工等の加工を施す必要がない。従って、スリーブに割れ等の破損が生じることが回避される。
【0013】
樹脂コーティング層に切削加工等の加工を施して突起を形成することにより、リブレットを容易に形成することができる。しかも、樹脂コーティング層は、金属等と比べて軽量な樹脂からなる。このため、ロータの重量が増加することが回避される。
【0014】
リブレットにより、ロータが高速で回転するときであっても、ロータの周囲に発生する乱流渦が低減する。これにより乱流摩擦粘性が低下し、且つティラー渦の発生が抑制される。以上のような理由から、風損を低減することができる。その結果、永久磁石が帯熱することが抑制される。従って、永久磁石の磁力が低下することが回避されるので、回転電機におけるエネルギ変換効率が十分に大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回転電機を軸線方向に沿って見たときの概略断面図である。
図2図2は、ロータを軸線方向から見たときの概略正面図である。
図3図3は、樹脂コーティング層において、ロータの回転シャフトを軸線方向に沿って見たときの要部拡大図の一例である。
図4図4は、樹脂コーティング層において、ロータの回転シャフトを軸線方向に沿って見たときの要部拡大図の別の一例である。
図5図5は、樹脂コーティング層において、ロータの回転シャフトを軸線方向に沿って見たときの要部拡大図のまた別の一例である。
図6図6は、樹脂コーティング層に形成された突起において、該突起の延在方向に直交する方向から見たときの断面図の一例である。
図7図7は、樹脂コーティング層に形成された突起において、該突起の延在方向に直交する方向から見たときの断面図の別の一例である。
図8図8は、樹脂コーティング層に形成された突起において、該突起の延在方向に直交する方向から見たときの断面図のまた別の一例である。
図9図9は、樹脂コーティング層に形成された突起において、該突起の延在方向に直交する方向から見たときの断面図のさらに別の一例である。
図10図10は、樹脂コーティング層に形成された突起において、該突起の延在方向に直交する方向から見たときの断面図のさらにまた別の一例である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るロータの製造方法の概略フローである。
図12図12は、スリーブの外周壁に樹脂コーティング層を形成した状態を示す要部断面図である。
図13図13は、樹脂コーティング層に突起を形成している状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図13においては、理解を容易にするため、一部の構成要素を誇張して示す場合がある。このため、図1図13は、各構成要素の実際の縮尺を表していない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る回転電機10を軸線方向(後述)に沿って見たときの概略断面図である。回転電機10は、ロータ12とステータ14とを備える。ロータ12の大部分及びステータ14は、ケーシング16に収容される。
【0018】
ロータ12は、回転シャフト18を有する。回転シャフト18は、第1小径部20と、大径部22と、第2小径部24とを有する円柱形状体である。第1小径部20及び第2小径部24の中心は、大径部22の中心と一致する。第1小径部20、大径部22及び第2小径部24が並ぶ方向は、回転シャフト18の延在方向である。以下、第1小径部20、大径部22及び第2小径部24におけるそれぞれの中心を通り、回転シャフト18の延在方向に沿って延びる線を軸線Lと呼び、軸線Lに平行な方向を軸線方向と呼ぶことがある。軸線方向は、図1中の矢印X方向である。第1小径部20、大径部22及び第2小径部24のそれぞれの直径は、軸線Lに直交する方向に延びる。以下、直径が延びる方向を直径方向と呼ぶことがある。直径方向は、図1中の矢印Y方向である。
【0019】
回転シャフト18は、第1ベアリング26及び第2ベアリング28を介してケーシング16に回転可能に支持される。回転シャフト18の第1小径部20及び第2小径部24の先端は、第1ベアリング26及び第2ベアリング28にそれぞれ通され、ケーシング16から露出する。ケーシング16から露出した先端には、例えば、不図示のプロペラ等が取り付けられる。
【0020】
図1及び図2に示すように、大径部22の外周部には、永久磁石30が配置される。回転シャフト18には、スリーブ32がさらに設けられる。スリーブ32は、永久磁石30の外表面を覆う。スリーブ32は炭素繊維強化樹脂(CFRP)から形成されており、ある程度の弾性を示す。なお、CFRPは、炭素繊維にマトリックス樹脂が含浸することで構成される。マトリックス樹脂の好適な例としては、エポキシ系樹脂が挙げられる。エポキシ系樹脂のガラス転移温度は、典型的には180℃前後である。
【0021】
回転シャフト18に通される前のスリーブ32には、外力が作用していない。この状態は、いわゆる自然状態である。自然状態のスリーブ32の内径は、大径部22の外径よりも若干小さい。このため、スリーブ32は、大径部22に通されるとき、若干拡径するように弾性変形する。その後、スリーブ32は、弾性復元力に基づいて若干縮径する。この弾性復元力により、スリーブ32は、回転シャフト18に向かって永久磁石30を押圧する。この押圧に基づき、回転シャフト18の外周部に永久磁石30がスリーブ32によって保持される。なお、スリーブ32の厚みT1(図12参照)は、典型的には0.5mm~5mm程度である。
【0022】
図1に示すように、ステータ14は、電磁コイル34を有する。電磁コイル34は、不図示のステータコアに設けられている。ステータ14がケーシング16に位置決め固定され、且つロータ12における永久磁石30が設けられた部分がケーシング16に収容されたとき、電磁コイル34は、スリーブ32を介して永久磁石30を取り囲む。永久磁石30と回転シャフト18とが一体的に回転するとき、永久磁石30と電磁コイル34との間に交番磁界が形成される。
【0023】
図1及び図2に示すように、スリーブ32の外周壁には、樹脂コーティング層40が設けられている。樹脂コーティング層40は、スリーブ32の外周壁を全体にわたって被覆している。図1から理解されるように、スリーブ32と電磁コイル34との間は所定間隔で離間している。このため、スリーブ32と電磁コイル34との間に空気層ALが介在する。
【0024】
樹脂コーティング層40の母材樹脂は、該母材樹脂とCFRPとを同一条件下で切削加工を施したとき、CFRPに比べて切削工具の摩耗量が少ない樹脂であることが好ましい。そのような樹脂の具体例としては、エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂が挙げられる。なお、樹脂コーティング層40には、炭素繊維等の強化繊維は含まれていない。
【0025】
図3は、回転シャフト18を軸線方向に沿って見たときの、樹脂コーティング層40の要部拡大図である。樹脂コーティング層40は、基部42と、基部42の外周壁に形成された突起構造とを有する。図3に示す態様では、突起構造は、回転シャフト18の直径方向外方に向かって環状に突出した複数本の凸部からなる。1個の凸部により、1個の突起44が形成される。このため、図3に示される突起構造は、複数本の凸部から形成される複数個の突起44を有する。複数本の凸部が互いに略等間隔で離間するように並ぶことで、複数個の突起44のうち互いに隣接する2個が、平行に延在する。互いに隣接する2個の突起44の間は、これら2個の突起44に対して相対的に陥没した溝である。すなわち、樹脂コーティング層40には、複数個の溝が形成されている。複数個の溝により、突起44に対して相対的に凹んだリブレット46が形成される。
【0026】
図3に示す態様では、個々の突起44は、回転シャフト18の軸線方向に対して直交している。すなわち、この場合、突起44の延在方向と、回転シャフト18の軸線方向との交差角度θは、90°である。従って、突起44は、回転シャフト18及びスリーブ32の直径方向外方に向かって突出している。ただし、交差角度θは45°以上であればよく、90°に限定されない。交差角度θは、例えば、図4に示すように75°であってもよいし、図5に示すように60°であってもよい。
【0027】
図4及び図5に示す態様では、1本の凸部を螺旋状に形成することで、螺旋状に延在する突起構造を形成することも可能である。この場合においても、回転シャフト18を軸線方向に沿って見たときには、樹脂コーティング層40に複数個の突起44が現れる。すなわち、この構成は、「1本の凸部から形成される複数個の突起」を表している。従って、この構成も、本明細書における「複数個の突起」に含まれる。
【0028】
図6は、突起44の延在方向に対して直交する方向に沿ってスリーブ32及び樹脂コーティング層40を切断したときの概略縦断面図である。なお、図6に示す態様では、突起44の延在方向は、回転シャフト18の直径方向に相当する。樹脂コーティング層40を構成する基部42は、スリーブ32の外周壁を覆う円筒形状体である。
【0029】
図6に示すように、この場合、突起44の突出方向に沿った断面が現れる。このときの突起44の断面形状は、典型的には二等辺三角形である。図6では、突起44において回転シャフト18の直径方向外方に向かって最も突出した頂部50の角度αが、30°である場合を例示している。しかしながら、αは30°に限定されない。図7に示すように、αは45°であってもよい。図8に示すように、αは90°であってもよい。
【0030】
図9に示すように、突起44の断面は、谷部分が丸みを帯びた波形状であってもよい。図10に示すように、突起44の断面は、柱形状(又は棒形状)であってもよい。図6図10を参照して理解されるように、リブレット46は、底部が平坦な凹溝(図6図7及び図10)、V字型溝(図8)、又は、底部が円弧状に湾曲した丸溝(図9)のいずれであってもよい。
【0031】
1個の突起44の頂部50と、該突起44に隣接する突起44の頂部50との離間距離Sは、ピッチとして定義される。回転シャフト18が高速回転するときに風損を十分に抑制するため、ピッチSは100μm以下であることが好ましい。なお、ピッチSが過度に小さいと、突起44を形成することが困難である。従って、ピッチSを20μm~60μmの範囲内とすることが好ましい。
【0032】
また、1個の突起44における基部42からの突出量Hは、突起44の高さとして定義される。リブレット46のアスペクト比を十分に大きくしながら風損を十分に小さくするため、高さHは50μm以下であることが好ましい。また、高さHとピッチSとの間に、以下の関係式が成り立つことが好ましい。
H=0.5S
ピッチSが20μm~60μmの範囲内である場合、高さHの好ましい範囲は、10μm~30μmである。
【0033】
上記したような構成の回転電機10は、例えば、飛行体に搭載され、モータとして用いられる。モータを駆動するときには、図1に示す電磁コイル34に通電がなされる。この通電に伴い、電磁コイル34の周囲に磁界が形成される。この磁界と、永久磁石30との間に反発力又は吸引力が作用することにより、回転シャフト18が軸線Lを中心として回転し始める。これにより、ステータ14と樹脂コーティング層40との間の空気層ALに流れが生じる。
【0034】
飛行体では、モータに高速回転が求められる場合がある。ここで、本実施形態では、スリーブ32の外周壁に設けられた樹脂コーティング層40に、リブレット46が形成されている。しかも、リブレット46を形成するための複数個の突起44のうち隣接する2個のピッチSが、好ましくは100μm以下である。従って、回転シャフト18が高速回転する場合であっても、ロータ12の周囲に発生する乱流渦が低減する。これにより乱流摩擦粘性が低下し、且つティラー渦の発生が抑制される。以上のような理由から、風損を低減することができる。
【0035】
すなわち、本実施形態によれば、風損が十分に抑制される。これにより、永久磁石30が帯熱することが抑制される。従って、永久磁石30の磁力が低下することが回避されるので、回転電機10におけるエネルギ変換効率が十分に大きくなる。すなわち、電磁コイル34に入力された電気エネルギが、回転シャフト18を回転する駆動力に効率よく変換される。
【0036】
回転電機10を発電機として用いる場合、回転シャフト18を回転する駆動力が、電磁コイル34から出力される電気エネルギに効率よく変換される。このように、本実施形態によれば、回転電機10の応答特性が良好となる。
【0037】
樹脂コーティング層40の母材樹脂がエポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂である場合、樹脂コーティング層40は優れた耐熱性を示す。エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂が耐熱性に優れるからである。従って、ロータ12が高速回転するときであっても、突起44の形状が維持される。しかも、この場合、炭素繊維強化樹脂からなるスリーブ32に対し、樹脂コーティング層40が強固に接合する。従って、ロータ12が高速回転するときであっても、樹脂コーティング層40がスリーブ32から脱落することが回避される。以上のような理由から、回転電機10を長時間にわたって連続運転する場合であっても、回転電機10の運転中に風損が増加することを回避することができる。
【0038】
次に、回転電機10を構成するロータ12の製造方法につき説明する。図11は、本実施形態に係る製造方法の概略フローである。ロータ12の製造方法は、スリーブ取付工程ST1と、樹脂被覆工程ST2と、突起形成工程ST3とを有する。
【0039】
ここで、炭素繊維強化樹脂からなるスリーブ32を得るには、プリプレグを円筒状に湾曲させ、この状態でプリプレグに熱を付与する。これによりプリプレグ中のマトリックス樹脂が硬化することで、スリーブ32が得られる。図12に示されるスリーブ32の厚みT1は、例えば、0.5mm~5mm程度である。
【0040】
先ず、スリーブ取付工程ST1において、永久磁石30の外表面を、上記のようにして得られたスリーブ32で覆う。すなわち、永久磁石30が設けられた大径部22にスリーブ32を通す。上記したように、このとき、スリーブ32は弾性変形に基づいて若干拡径した後、弾性復元力に基づいて若干縮径する。その結果、スリーブ32が回転シャフト18の中心に向かって永久磁石30を押圧する。これに伴い、永久磁石30がスリーブ32によって大径部22の外周部に保持される。
【0041】
次に、樹脂被覆工程ST2を行う。具体的には、例えば、CFRPと同一条件下で切削加工を施したとき、CFRPに比べて切削工具の摩耗量が少ない樹脂をスリーブ32の外周壁に塗布する。このような樹脂の具体例としては、上記したエポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂等が挙げられる。プリプレグにおけるマトリックス樹脂がエポキシ系樹脂である場合、これらの樹脂は、マトリックス樹脂のガラス転移温度(180℃前後)において、切削加工を施すことが容易である。
【0042】
次に、樹脂コーティング層40に対して熱等を付与する。これにより、樹脂コーティング層40が硬化する。樹脂コーティング層40の母材樹脂が紫外線硬化樹脂である場合には、樹脂コーティング層40に紫外線を照射する。以上により、図12に示すように、硬化した樹脂コーティング層40がスリーブ32の外周壁に形成される。この時点では、樹脂コーティング層40の厚みT2を、スリーブ32の厚みT1よりも大きくしてもよい。
【0043】
次に、突起形成工程ST3を行う。本実施形態では、図13に示すように、樹脂コーティング層40に対して切削加工を施す。このときに用いる切削工具60としては、超硬合金工具、立方晶窒化ホウ素(CBN)工具又は単結晶ダイヤモンド工具が挙げられるが、単結晶ダイヤモンド工具が特に好ましい。この場合、寸法精度が良好な突起44を切削加工で容易に得ることができ、しかも、切削加工を繰り返しても摩耗が比較的少ないからである。
【0044】
樹脂コーティング層40の母材樹脂がエポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂等である場合、上記したように樹脂コーティング層40に切削加工を施すことが容易である。樹脂コーティング層40の厚みT2が大きい場合も、樹脂コーティング層40に切削加工を施すことが容易である。しかも、切削加工によれば、他の加工法に比べて寸法精度が良好な突起44を低コストで得ることができる。
【0045】
切削加工は、樹脂コーティング層40が形成された回転シャフト18を、軸線L(図1参照)を中心として回転させながら実施される。この場合、突起44の延在方向と、回転シャフト18の軸線方向との交差角度θが45°未満であると、切削工具60が切削方向に沿って進行することが容易ではない。従って、交差角度θを45°以上とすることが好ましい。換言すれば、交差角度θを45°~90°とすることにより、切削加工によって突起44を容易に形成することができる。交差角度θは、例えば、図3に示す90°、図4に示す75°、図5に示す60°等の値を採り得る。
【0046】
また、頂部50の角度αが30°~90°である三角形状の断面(図6図8参照)が得られるように、突起44を形成することが好ましい。又は、図9に示すように、リブレット46が丸溝となるように、波形状の断面を有する突起44を形成することも可能である。このような断面形状を有する突起44は、切削加工等によって形成することが容易である。なお、図10に示すように、断面が柱形状(又は棒形状)である突起44を形成してもよい。
【0047】
さらに、隣接する2個の突起44間のピッチS(図6図10参照)が、好ましくは100μm以下、一層好ましくは60μmとなるように、切削加工を実施する。ただし、切削加工では、ピッチSを10μm未満とすることは容易ではない。従って、ピッチSを20μm~60μmの範囲内とすることが好ましい。
【0048】
さらにまた、突起44の高さHが50μm以下であり、且つ好ましくはピッチSの0.5倍となるように、切削加工を実施する。ピッチS及び高さHを上記したような値とすることにより、ロータ12を高速回転させたときであっても、風損を十分に抑制することができる。
【0049】
以上のようにして突起44を基部42の外周壁に形成することにより、リブレット46が形成される。リブレット46は、突起44に対して相対的に凹んだ形状をなす。
【0050】
代替的に、突起形成工程ST3でレーザ加工又は研磨加工等を行ってもよい。レーザ加工又は研磨加工等の場合、加工速度を比較的大きくすることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態は、ロータ(12)とステータ(14)とを備え、前記ロータは、回転シャフト(18)と、前記回転シャフトに保持された永久磁石(30)とを有し、且つ前記ステータは、前記永久磁石を取り囲む電磁コイル(34)を有する回転電機(10)であって、前記ロータは、前記回転シャフトにおいて前記永久磁石の外表面を覆い、且つ前記ステータから所定間隔で離間するスリーブ(32)と、前記スリーブの外周壁に設けられた樹脂コーティング層(40)と、を備え、前記スリーブは、炭素繊維強化樹脂からなり、前記樹脂コーティング層は、前記スリーブの外周壁を被覆する基部(42)と、前記基部の外周壁から突出する突起構造とを有し、前記突起構造は、互いに平行に延在する複数個の突起(44)を形成する1本又は複数本の凸部からなり、前記複数個の突起の間に、該複数個の突起に対して相対的に凹んだリブレット(46)が形成される、回転電機を開示する。
【0052】
互いに隣接する2個の突起の間には、リブレットが形成される。このリブレットにより、ロータが高速で回転するときであっても、ロータの周囲に発生する乱流渦が低減する。これにより乱流摩擦粘性が低下し、且つティラー渦の発生が抑制される。以上のような理由から、風損を低減することができる。
【0053】
その結果、永久磁石が帯熱することが抑制される。従って、永久磁石の磁力が低下することが回避されるので、回転電機におけるエネルギ変換効率が十分に大きくなる。
【0054】
本実施形態は、回転シャフト(18)と、前記回転シャフトに保持された永久磁石(30)とを有し、且つ回転電機(10)においてステータ(14)に囲まれるロータ(12)の製造方法であって、前記永久磁石の外表面を、炭素繊維強化樹脂からなるスリーブ(32)で覆うスリーブ取付工程(ST1)と、前記スリーブの外周壁を、樹脂コーティング層(40)で被覆する樹脂被覆工程(ST2)と、前記樹脂コーティング層の外周壁の一部を加工によって除去することにより、前記樹脂コーティング層に、前記スリーブの外周壁を被覆する基部(42)と、前記基部の外周壁から突出する突起構造とを形成する突起形成工程(ST3)と、を有し、前記突起形成工程で、前記突起構造を、互いに平行に延在する複数個の突起(44)を形成する1本又は複数本の凸部として設けることで、該複数個の突起に対して相対的に凹んだリブレット(46)を形成する、ロータの製造方法を開示する。
【0055】
本実施形態において、スリーブは炭素繊維強化樹脂からなる。また、スリーブは概して薄肉である。一般的に、薄肉の炭素繊維強化樹脂に切削加工等の加工を施すことは困難である。従って、スリーブの外周壁に突起を形成することは容易ではない。
【0056】
これに対し、本実施形態では、スリーブに樹脂コーティング層を被覆し、この樹脂コーティング層に突起を形成している。例えば、樹脂コーティング層を大きな厚みで形成することにより、該樹脂コーティング層に切削加工を施して突起を容易に形成することができる。また、スリーブに対して切削加工等の加工を施す必要がないので、スリーブに割れ等の破損が生じることが回避される。
【0057】
本実施形態は、前記複数個の突起の延在方向は、前記回転シャフトの軸線方向(X)に対して45°~90°の角度(θ)で交差する方向である、回転電機を開示する。
【0058】
本実施形態は、前記突起形成工程で、前記複数個の突起を、前記回転シャフトの軸線方向(X)に対して45°~90°の角度(θ)で交差する方向に延在するように形成する、ロータの製造方法を開示する。
【0059】
突起は、例えば、回転シャフトを回転させながら樹脂コーティング層に対して切削加工を施すことで形成される。このような切削加工において、上記した方向に延在する突起を形成することは容易である。すなわち、この場合、突起を容易に形成することができる。
【0060】
本実施形態は、前記複数個の突起の各々の高さをH、前記複数個の突起のうち互いに隣接する2個のピッチをSとするとき、Sは100μm以下であり、且つ下記の式が成り立つ回転電機を開示する。
H=0.5S
【0061】
本実施形態は、前記複数個の突起の各々の高さをH、前記複数個の突起のうち互いに隣接する2個のピッチをSとするとき、前記突起形成工程で、下記の式が成り立つように前記複数個の突起を形成する、ロータの製造方法を開示する。
H=0.5S
【0062】
ピッチSを100μm以下とすることにより、ロータが高速回転するときにおいても、風損を十分に低減することができる。また、高さHをピッチSの1/2倍とすることにより、リブレットのアスペクト比が十分に大きくなる。このことによっても、ロータが高速回転するときにおいて、風損を十分に低減することができる。
【0063】
本実施形態は、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面形状が三角形である回転電機を開示する。
【0064】
本実施形態は、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面形状が三角形となるように、前記突起形成工程で前記複数個の突起を形成する、ロータの製造方法を開示する。
【0065】
断面形状を三角形とすることにより、その他の断面形状の突起に比べて、突起を容易に形成することができる。
【0066】
本実施形態は、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面において前記回転シャフトの直径方向外方に向かって最も突出した頂部(50)の角度(α)が30°~90°である回転電機を開示する。
【0067】
本実施形態は、前記複数個の突起を、該複数個の突起の延在方向に直交する方向に沿って切断したとき、前記複数個の突起の断面において前記回転シャフトの直径方向外方に向かって最も突出した頂部(50)の角度(α)が30°~90°となるように、前記突起形成工程で前記複数個の突起を形成する、ロータの製造方法を開示する。
【0068】
頂部の角度をこのような範囲内とすることにより、頂部の角度が上記の範囲外である突起に比べて、突起を容易に形成することができる。
【0069】
本実施形態は、前記突起形成工程で、前記樹脂コーティング層の外周壁の一部を切削加工によって除去するロータの製造方法を開示する。
【0070】
切削加工によれば、寸法精度が良好な突起を低コストで容易に形成することが可能である。
【0071】
本実施形態は、前記樹脂コーティング層の母材樹脂は、該母材樹脂と炭素繊維強化樹脂とを同一条件下で切削加工を施したとき、前記炭素繊維強化樹脂に比べて切削工具の摩耗量が少ない樹脂から形成される、回転電機を開示する。
【0072】
本実施形態は、前記樹脂コーティング層の母材樹脂として、該母材樹脂と炭素繊維強化樹脂とを同一条件下で切削加工を施したとき、前記炭素繊維強化樹脂に比べて切削工具の摩耗量が少ない樹脂を用いて、前記樹脂被覆工程を行って前記樹脂コーティング層を形成する、ロータの製造方法を開示する。
【0073】
この場合、樹脂コーティング層に対して切削加工を施すことで、突起を容易に形成することができる。
【0074】
本実施形態は、前記母材樹脂は、エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂である回転電機を開示する。
【0075】
本実施形態は、前記母材樹脂として、エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂を用いるロータの製造方法を開示する。
【0076】
エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂は、易加工性樹脂である。このため、樹脂コーティング層に切削加工を施すことが容易であるので、所定のピッチ及び高さを有する規則的な突起を形成することが容易である。また、エポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂は耐熱性に優れる。このため、ロータが高速回転するときであっても、突起の形状が維持される。さらに、母材樹脂がエポキシ系樹脂又はパラキシレン系樹脂である場合、樹脂コーティング層が、炭素繊維強化樹脂からなるスリーブに対して強固に接合する。従って、ロータが高速回転するときであっても、樹脂コーティング層がスリーブから脱落することが回避される。
【0077】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0078】
10…回転電機 12…ロータ
14…ステータ 18…回転シャフト
30…永久磁石 32…スリーブ
34…電磁コイル 40…樹脂コーティング層
42…基部 44…突起
46…リブレット 50…頂部
60…切削工具 AL…空気層
L…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13