IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フロムハートの特許一覧

特開2023-180340避難支援システム、避難支援方法およびプログラム
<>
  • 特開-避難支援システム、避難支援方法およびプログラム 図1
  • 特開-避難支援システム、避難支援方法およびプログラム 図2
  • 特開-避難支援システム、避難支援方法およびプログラム 図3
  • 特開-避難支援システム、避難支援方法およびプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180340
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】避難支援システム、避難支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20231214BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20231214BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G08B27/00 A
G08B25/10 D
G08B21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093561
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】301046709
【氏名又は名称】株式会社フロムハート
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(72)【発明者】
【氏名】宮川 隆彦
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086AA22
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA25
5C087BB18
5C087BB73
5C087DD02
5C087EE05
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG12
5C087GG68
5C087GG82
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急情報がお知らせされた場合に、個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示する避難支援システム、避難支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】避難支援システム10は、緊急地震速報などの緊急情報が発せられた場合に、ユーザが所有する携帯情報端末30に対してその緊急情報を通知するとともに、携帯情報端末30にインストールされている避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動するアプリ自動起動部35と、ユーザが即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示する画面出力部36と、を備える。緊急時に個人が即座にとるべき命を守る行動を1秒でも早く始めることができ、時間的なロスをなくすことができるとともに、避難するまでの個人の不安も取り除くことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人が所有する携帯情報端末にインストールされた避難支援アプリケーションプログラムを起動することにより前記個人の緊急避難行動を支援する避難支援システムであって、
気象庁から災害に関する緊急情報を受信するとともに、各自治体や各企業が保有する情報サーバ内の情報から必要なデータを取得するサーバ情報受信部と、
前記個人が所有する携帯情報端末において前記避難支援アプリケーションプログラムがインストールされた際に入力される個人情報を受け付ける個人情報受付部と、
前記個人情報受付部が前記個人情報を受け付けると、前記携帯情報端末を所有する個人が前記情報サーバのうちのどの情報サーバに属する個人であるかを、前記個人情報受付部が受け付けた前記個人情報と前記サーバ情報受信部が前記情報サーバから取得した前記データとに基づいて特定し、前記個人が所有する携帯情報端末を該当する情報サーバと紐付けして登録するサーバ紐付け登録部と、
前記サーバ情報受信部が前記緊急情報を受信すると、前記サーバ情報受信部が前記情報サーバから取得した前記データに基づいて、前記各自治体や各企業に属する個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる緊急行動画面を生成する緊急行動情報生成部と、
前記緊急行動情報生成部が前記緊急行動画面を生成すると、前記サーバ紐付け登録部において前記情報サーバと紐付け登録された個人に対して、当該個人が所有する携帯情報端末にインストールされている前記避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させるアプリ自動起動部と、
前記アプリ自動起動部が前記避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させると、前記個人が所有する携帯情報端末に対して、前記緊急行動情報生成部が生成した緊急行動画面を出力して表示させる画面出力部と、
を備えることを特徴とする避難支援システム。
【請求項2】
個人が所有する携帯情報端末にインストールされた避難支援アプリケーションプログラムを起動することにより前記個人の緊急避難行動を支援する避難支援方法であって、
サーバ情報受信部が、気象庁から災害に関する緊急情報を受信するとともに、各自治体や各企業が保有する情報サーバ内の情報から必要なデータを取得するステップと、
個人情報受付部が、前記個人が所有する携帯情報端末において前記避難支援アプリケーションプログラムがインストールされた際に入力される個人情報を受け付けるステップと、
サーバ紐付け登録部が、前記個人情報受付部が前記個人情報を受け付けると、前記携帯情報端末を所有する個人が前記情報サーバのうちのどの情報サーバに属する個人であるかを、前記個人情報受付部が受け付けた前記個人情報と前記サーバ情報受信部が前記情報サーバから取得した前記データとに基づいて特定し、前記個人が所有する携帯情報端末を該当する情報サーバと紐付けして登録するステップと、
緊急行動情報生成部が、前記サーバ情報受信部が前記緊急情報を受信すると、前記サーバ情報受信部が前記情報サーバから取得した前記データに基づいて、前記各自治体や各企業に属する個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる緊急行動画面を生成するステップと、
アプリ自動起動部が、前記緊急行動情報生成部が前記緊急行動画面を生成すると、前記サーバ紐付け登録部において前記情報サーバと紐付け登録された個人に対して、当該個人が所有する携帯情報端末にインストールされている前記避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させるステップと、
画面出力部が、前記アプリ自動起動部が前記避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させると、前記個人が所有する携帯情報端末に対して、前記緊急行動情報生成部が生成した緊急行動画面を出力して表示させるステップと、
を備えることを特徴とする避難支援方法。
【請求項3】
請求項2に記載された避難支援方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする避難支援プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急情報(緊急速報に関連する情報)がお知らせされた場合に、個人のスマートフォンなどの携帯情報端末に、自動的に即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示することにより、個人の緊急避難行動を支援する避難支援システム、避難支援方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、気象庁から緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急速報がお知らせされた場合に、その緊急速報に関連する土地にいる個人のスマートフォンなどの携帯情報端末に、自動的に緊急地震速報や津波警報などのメールが送信され、それらの速報や警報が出されたことを、各自が瞬時に知ることができるシステムが導入されている。
【0003】
この場合、その個人のスマートフォンなどの携帯情報端末において、GPS機能がONにされていることが前提となるが、GPSで現在地がわかるため、そこから半径何キロ以内で起きた地震など、その緊急速報に関連する土地にいる個人のスマートフォンなどの携帯情報端末には、自動的に緊急速報メールが送信され、そのときその携帯情報端末でどのようなアプリケーションを使用していたとしても、画面上に緊急速報に関連する情報が表示されたり緊急音が通知されることにより、その個人は瞬時に緊急速報が出されたことを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-182564号公報
【特許文献2】特開2021-56946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急速報がお知らせされた場合に、そのお知らせ内容のほとんどが政府や自治体から提供される「情報」であるとともに、市区町村単位という“エリア”に対する「情報」であり、その“エリア”内に居る“個人”にとっては、提供された「情報」に基づいて個別的に、また具体的にどのような「行動」をとればよいのか、自分で判断するしかないため、結局のところ、各自がどのような行動をとるべきなのかを即座に認識することは難しく、緊急避難が必要な場合であっても、即座に避難行動をとることができないなど、命を守るための適切な「行動」をとるまでに時間がかかってしまう、という課題があった。
【0006】
また、従来の“エリア”に対する「情報」はほとんどが『文字』情報であり、理解するまでに時間がかかってしまう、という課題もあった。また、例えば緊急地震速報が出された場合、避難場所や避難所、および、そこまでの避難ルートなどについては、通常は総務省が避難場所や避難所として公開している場所がヒットするが、その個人が属している団体や会社などの特有の環境や事情に基づいた情報提供まではされておらず、最も適した場所をすぐに見つけることができるわけではない、という課題もあった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急情報(緊急速報に関連する情報)がお知らせされた場合に、個人のスマートフォンなどの携帯情報端末において自動的に避難支援アプリケーションが起動し、その個人の携帯情報端末の表示画面に、その個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示することにより、個人の緊急避難行動を支援する避難支援システム、避難支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明は、個人が所有する携帯情報端末にインストールされた避難支援アプリケーションプログラムを起動することにより前記個人の緊急避難行動を支援する避難支援システムであって、気象庁から災害に関する緊急情報を受信するとともに、各自治体や各企業が保有する情報サーバ内の情報から必要なデータを取得するサーバ情報受信部と、前記個人が所有する携帯情報端末において前記避難支援アプリケーションプログラムがインストールされた際に入力される個人情報を受け付ける個人情報受付部と、前記個人情報受付部が前記個人情報を受け付けると、前記携帯情報端末を所有する個人が前記情報サーバのうちのどの情報サーバに属する個人であるかを、前記個人情報受付部が受け付けた前記個人情報と前記サーバ情報受信部が前記情報サーバから取得した前記データとに基づいて特定し、前記個人が所有する携帯情報端末を該当する情報サーバと紐付けして登録するサーバ紐付け登録部と、前記サーバ情報受信部が前記緊急情報を受信すると、前記サーバ情報受信部が前記情報サーバから取得した前記データに基づいて、前記各自治体や各企業に属する個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる緊急行動画面を生成する緊急行動情報生成部と、前記緊急行動情報生成部が前記緊急行動画面を生成すると、前記サーバ紐付け登録部において前記情報サーバと紐付け登録された個人に対して、当該個人が所有する携帯情報端末にインストールされている前記避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させるアプリ自動起動部と、前記アプリ自動起動部が前記避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させると、前記個人が所有する携帯情報端末に対して、前記緊急行動情報生成部が生成した緊急行動画面を出力して表示させる画面出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の避難支援システム、避難支援方法およびプログラムによれば、緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急情報(緊急速報に関連する情報)がお知らせされた場合に、個人のスマートフォンなどの携帯情報端末に対してその緊急情報が通知されるとともに、その個人の携帯情報端末において、自動的に避難支援アプリケーションプログラムが起動し、その個人の携帯情報端末の表示画面に、その個人が即座にとるべき命を守る行動が視覚的に瞬時に理解できる状態で表示されるので、個人が即座にとるべき命を守る行動を1秒でも早く始めることができ、時間的なロスをなくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における避難支援システムの概略構成を示すシステム構成図である。
図2】実施の形態1における避難支援システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1における避難支援システムの機能動作を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1における避難支援アプリケーションプログラムがインストールされている個人の携帯情報端末において、現在位置から近い距離にある避難場所と、現在位置からそれぞれの避難場所までの避難ルートが色替えして表示されている状態を示す緊急行動画面の表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明は、緊急地震速報や津波警報などの災害に関する緊急情報(緊急速報に関連する情報)がお知らせされた場合に、個人のスマートフォンなどの携帯情報端末に、自動的に即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示することにより、個人の緊急避難行動を支援する避難支援システム、避難支援方法およびプログラムに関するものである。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における避難支援システム10の概略構成を示すシステム構成図である。この避難支援システム10は、情報サーバ20(20A,20B,20C,・・・)内にある避難場所や避難所のデータを、個人が所有する携帯情報端末30(30A-1,30A-2,30A-3,・・・,30B-1,30B-2,30B-3,・・・,30C-1,30C-2,30C-3,・・・)に中継して通知する機能をもったシステムである。
【0013】
より具体的には、避難支援システム10は、気象庁から、地震速報や津波警報などの災害に関する緊急情報(緊急速報に関連する情報)を受信して、例えば自治体Aの情報サーバA(20A)内,自治体Bの情報サーバB(20B)内、企業Cの情報サーバC(20C)内にあるデータを、同じく自治体Aの情報サーバ20A,自治体Bの情報サーバ20B、企業Cの情報サーバ20Cに紐付け登録されている個人(この例では、自治体Aに属する個人、自治体Bに属する個人、企業Cに属する個人など)が所有する携帯情報端末30(30A-1,30A-2,30A-3,・・・,30B-1,30B-2,30B-3,・・・,30C-1,30C-2,30C-3,・・・)に対してその緊急情報を通知するものであり、なおかつ、自動的に個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示することにより、地震や津波などの災害時に個人の緊急避難行動を支援するシステムである。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1における避難支援システム10の機能構成を示すブロック図である。この避難支援システム10は、サーバ情報受信部21と、個人情報受付部31、サーバ紐付け登録部32、緊急行動情報生成部34、アプリ自動起動部35、画面出力部36を備えている。
【0015】
サーバ情報受信部21は、気象庁から、地震速報や津波警報などの災害に関する緊急速報が発信された場合に、その緊急情報(緊急速報に関連する情報)を受信するとともに、各自治体や各企業が保有する情報サーバ20(20A,20B,20C,・・・)内の情報から必要なデータを取得する。この取得する必要なデータとは、具体的には、情報サーバ20内の情報のうち、各情報サーバ20(20A,20B,20C,・・・)においてあらかじめ設定されている所属コード番号と、地図データ(地図上に登録された避難場所や避難所などの情報を含む)のことである。
【0016】
個人情報受付部31は、個人が所有する携帯情報端末30(30A-1,30A-2,30A-3,・・・)において、この避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされた際に入力される個人情報を受け付ける受付部である。後述する緊急行動画面(図4参照)が、個人が所有する携帯情報端末30に画面表示されるためには、個人が所有する携帯情報端末30に、あらかじめ避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされている必要があり、その際に、利用規約等への同意や個人情報(氏名、住所など)の入力が行われるものである。また、個人情報の中に、その個人が属する各自治体や各企業の所属コード番号も含まれているものとする。
【0017】
サーバ紐付け登録部32は、個人情報受付部31が個人の携帯情報端末30(ここでは、30A-1とする)から入力された個人情報を受け付けると、その携帯情報端末30を所有する個人が情報サーバ20(20A,20B,20C,・・・)のうちのどの情報サーバ20に属する個人であるかを、個人情報受付部31が受け付けた個人情報と、サーバ情報受信部21が情報サーバ20から取得したデータとに基づいて特定し、その個人が所有する携帯情報端末30を該当する情報サーバ20と紐付けして登録する登録部である。
【0018】
ここでは、個人の携帯情報端末30A-1から入力された個人情報を受け付けた結果、その個人が情報サーバ20のうちのどの情報サーバに属する個人であるかを、個人が入力した個人情報に含まれている所属コード番号とサーバ情報受信部21が情報サーバ20から取得したデータに含まれている所属コード番号とに基づいて特定し、その特定された情報サーバ20(ここでは、自治体Aの情報サーバA(20A))と紐付けして登録される。また、情報サーバ20内の所属コード番号の中に、個人が入力した所属コード番号と一致するものがなかった場合(入力ミスがあった場合や未入力だった場合)は、情報サーバ20内の不特定登録申込者受入れ企業保有の情報サーバと紐付けして登録される。このようにして、すべての避難支援アプリケーションプログラム利用者が、情報サーバ20内のいずれかの情報サーバと紐付け登録できるようになっている。
【0019】
緊急行動情報生成部34は、サーバ情報受信部21が気象庁から緊急情報を受信すると、各自治体や各企業に属する個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる緊急行動画面を生成する生成部である。例えば、自治体Aの地域で大規模な地震が発生し、すぐに避難する必要がある場合には、自治体Aの情報サーバ20Aと紐付け登録されている携帯情報端末30A-1に対して、情報サーバ20Aからサーバ情報受信部21が取得したデータ(地図データ)に基づいて、その携帯情報端末30A-1の現在位置から近い距離にある複数(ここでは3つとする)の避難場所を表示するとともに、現在位置からそれぞれの避難場所までの避難ルートを、色替えして(例えば、緑色、オレンジ色、赤色で)表示することにより、どこかの避難場所へすぐに避難するという緊急行動をとる必要があることを示す緊急行動画面(図4参照)を生成する。
【0020】
アプリ自動起動部35は、サーバ情報受信部21が気象庁からの緊急速報を受信して、緊急行動情報生成部34が前述の緊急行動画面を生成すると、サーバ紐付け登録部32において情報サーバ20と紐付け登録された個人に対して、当該個人が所有する避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされている携帯情報端末30に対して、避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させる自動起動部、すなわち、個人が所有する携帯情報端末30にインストールされている避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させる自動起動部である。
【0021】
画面出力部36は、アプリ自動起動部35が避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させると、個人が所有する携帯情報端末30に対して、緊急行動情報生成部34が生成した緊急行動画面を出力(送信)して表示させる出力部である。これにより、例えば前述の例だと、携帯情報端末30A-1を所有する個人は、自身が所有する携帯情報端末30A-1の避難支援アプリケーションプログラムが自動的に起動されて、自動的に3ヶ所の避難場所への避難ルートが表示された緊急行動画面(図4参照)が表示されたことにより、即座に避難場所への避難を開始することができる。
【0022】
図3は、この発明の実施の形態1における避難支援システム10の機能動作を示すフローチャートであり、図3(a)は、個人が所有する携帯情報端末30から避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされ、個人情報が入力された場合の動作を示すフローチャート、図3(b)は、気象庁から地震速報や津波警報などの災害に関する緊急速報が発信された場合の動作を示すフローチャートである。
【0023】
まず初めに、個人が所有する携帯情報端末30から避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされ、個人情報が入力された場合の動作について、図3(a)を参照しながら説明する。個人が所有する携帯情報端末30(ここでは、30A-1とする)から、この発明の実施の形態1における避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされると、利用規約等の同意と個人情報の入力が行われるが、それによって避難支援システム10の個人情報受付部31がその個人情報を受け付けると(ステップST1)、サーバ紐付け登録部32が、その携帯情報端末30(30A-1)を所有する個人がどの情報サーバに属する個人であるかを特定する(ステップST2)。ここで、個人が所有する携帯情報端末30(30A-1)から入力される個人情報の中には、所属コード番号が含まれている。
【0024】
そして、ステップST2において、その個人がどの情報サーバに属する個人であるかを特定すると、すなわち、サーバ情報受信部21において各情報サーバ20から取得したデータの中の、各自治体や各企業が保有する情報サーバ20(20A,20B,20C,・・・)にあらかじめ設定された所属コード番号と、個人情報受付部31が受け付けた携帯情報端末30(30A-1)から入力された個人情報に含まれている所属コード番号とに基づいて情報サーバ20を特定すると、その個人が所有する携帯情報端末30(30A-1)を、対応する(特定された)情報サーバ20(この例では、サーバA(20A))と紐付けして登録する(ステップST3)。
【0025】
次に、気象庁から地震速報や津波警報などの災害に関する緊急速報が発信された場合の動作について、図3(b)を参照しながら説明する。
まず初めに、気象庁から、地震速報や津波警報などの災害に関する緊急速報が発信されて、サーバ情報受信部21がその緊急情報(緊急速報に関連する情報)を受信すると(ステップST11のYESの場合)、その受信した緊急情報(緊急速報に関連する情報)が、例えば震度4以上の緊急地震速報など、緊急避難が必要な情報だった場合に、サーバ情報受信部21が情報サーバ20内の情報から必要なデータ(より具体的には、地図データ)を取得して処理をする(ステップST12)とともに、緊急行動情報生成部34が、個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる緊急行動画面を生成する(ステップST13)。
【0026】
例えば、自治体Aの地域で大規模な地震が発生し、すぐに避難する必要がある場合には、自治体Aの情報サーバ20Aと紐付け登録されている携帯情報端末30A-1に対して、その携帯情報端末30A-1の現在位置から近い距離にある複数(ここでは3つとする)の避難場所を表示するとともに、現在位置からそれぞれの避難場所までの避難ルートを、色替えして(例えば、緑色、オレンジ色、赤色で)表示することにより、どこかの避難場所へすぐに避難するという行動をとる必要があることを示す緊急行動画面を生成する。
【0027】
その後、アプリ自動起動部35が、あらかじめこの避難支援アプリケーションプログラムがダウンロードされてインストールされている個人の携帯情報端末30(この例では、30A-1)に対して、避難支援アプリケーションプログラムを自動的に起動させる(ステップST14)。
【0028】
また、画面出力部36が、緊急行動情報生成部34が生成した緊急行動画面を、各個人の携帯情報端末30(この例では、30A-1)に送信する(ステップST15)。これにより、例えば前述の例だと、携帯情報端末30A-1を所有する個人は、自身が所有する携帯情報端末30A-1の避難支援アプリケーションプログラムが自動的に起動されて、自動的に3ヶ所の避難場所への避難ルートが表示された緊急行動画面が表示されたことにより、即座に避難場所への避難を開始することができる。
【0029】
図4は、実施の形態1における避難支援アプリケーションプログラムがインストールされている個人の携帯情報端末30(30A-1)において、現在位置から近い距離にある3つの避難場所と、現在位置からそれぞれの避難場所までの避難ルートが色替えして表示されている状態を示す緊急行動画面の表示画面例である。
【0030】
この図4に示す例では、現在位置から近い避難場所として「○○小学校」の位置に避難場所アイコン、「△△中学校」の位置に避難場所アイコンと避難所アイコン、「××公園」の位置に避難場所アイコンが表示され、現在位置から○○小学校までの避難ルート(図4では太い実線で示されている)が緑色で、現在位置から△△中学校までの避難ルート(図4では一点鎖線で示されている)がオレンジ色で、現在位置から××公園までの避難ルート(図4では破線で示されている)が赤色で表示されている。
【0031】
そして、それぞれの避難場所の種類についてはアイコンにより表示されており、例えば図4に示す「△△中学校」は、避難場所であるだけでなく、避難所でもあるということがわかるように、避難場所アイコンと避難所アイコンの2つのアイコンが並べて表示されている。また、それぞれのアイコンをタッチ等することにより、それぞれの避難場所・避難所の詳細情報が表示される。
【0032】
この結果、例えば、ある個人が自宅にいて緊急避難速報を受信して複数の避難場所と避難ルートが表示された場合、すぐに避難する必要があることを一目で理解することができるので、複数表示された避難場所のうちどの避難場所へ避難するかを決めて、表示された避難ルートにしたがって速やかに避難することができる。
【0033】
ここで、緊急情報が自治体や企業からそれらに属する個人に対して通知されることや、自らが避難場所やそこまでの避難ルートを調べて表示することなどは、既に知られている技術であるが、従来の技術では、すぐに避難が必要な緊急時であっても、個人による複数の動作、すなわち、アプリケーションを起動させる、文字を読んで理解する、調べてから表示させる、などの動作が必要であったため、これらの動作に要する時間がほんの数十秒や数分であったとしても、この数十秒や数分の行為の遅れが、命取りになることも多い。
【0034】
一方、この発明の実施の形態1の避難支援システム10によれば、個人への緊急情報の通知とともに、個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で自動的に表示してくれるものであり、このように、個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示することにより、個人が即座にとるべき命を守る行動を1秒でも早く始めることができ、時間的なロスをなくすことができることは、各個人の命と安全を確保するためには、非常に重要なことである。
【0035】
すなわち、従来は、市区町村単位という“エリア”単位で何が起こったのかという事実や、“エリア”に対する指示を「情報」として『文字』で通知する、というのが一般的であったが、この発明の実施の形態1の避難支援システム10では、“エリア”単位ではなく“個人”に対して、単なる「情報」ではなく個人が即座にとるべき命を守る「行動」を具体的に、読んで理解するのに時間がかかる『文字』ではなく『視覚』にうったえて(『視覚』的に)瞬時に理解できる状態で表示、という3つの特徴を備えていることにより、個人が即座にとるべき命を守る行動を1秒でも早く始めることができ、時間的なロスをなくすことができるのである。
【0036】
このように、この発明の避難支援システム10によれば、例えば緊急速報として震度4以上の緊急地震速報など緊急避難が必要な情報(緊急情報)が発せられた場合に、個人が、緊急情報を受け取ってまずは自分の身を守るために机の下に入る等の行動をとっている間にも、自身が所有する携帯情報端末30にインストールされている避難支援アプリケーションプログラムが自動的に起動してくれて、複数の避難場所と避難ルートを表示してくれるなど、自動的に個人が即座にとるべき命を守る行動を視覚的に瞬時に理解できる状態で表示してくれるので、個人が即座にとるべき命を守る行動を1秒でも早く始めることができ、時間的なロスをなくすことができるとともに、避難するまでの個人の不安も取り除いてくれる、という優れた効果を奏するものである。
【0037】
また、この発明の避難支援システム10は、個人の携帯情報端末30を各情報サーバ20と紐付け登録する際や、緊急行動画面を作成する際に、各自治体や各企業が保有する情報サーバ20内の情報から必要なデータを取得して処理しているので、避難支援システム10の内部に情報サーバ20が保有する情報やデータを記憶する必要がなく(記憶していないため)、各自治体や各企業が保有する情報サーバ20内の情報が更新されても、常にその最新の情報から必要なデータを取得して処理することができる、というメリットもある。
【0038】
以上のように、この実施の形態1における避難支援システム10によれば、例えば緊急速報として震度4以上の緊急地震速報など緊急避難が必要な情報(緊急情報)が発せられた場合に、自身が所有する携帯情報端末30に対してその緊急情報が通知されるとともに、自身が所有する携帯情報端末30にインストールされている避難支援アプリケーションプログラムが自動的に起動してくれて、複数の避難場所と避難ルートを表示してくれるなど、自動的に個人が即座にとるべき命を守る行動が視覚的に瞬時に理解できる状態で表示されるので、緊急時に個人がどのような行動を起こせばよいのかわからなかったり、避難場所を探す作業に手間取ったりすることがなく、個人が即座にとるべき命を守る行動を1秒でも早く始めることができ、時間的なロスをなくすことができるとともに、避難するまでの個人の不安も取り除くことができる。
【0039】
上記の実施の形態1の避難支援システム10には、大量の処理を短時間で行うことが可能なGPU(Graphics Processing Unit)が搭載されていることが望ましいが、通常のCPU(Central Processing Unit)が搭載されているパソコン等であっても実現可能である。また、個人が所有する携帯情報端末30は、一般的に個人が所有するスマートフォンを想定しているが、個人が携帯して使用することが可能なものであれば、タブレット端末などであってもよいことは言うまでもない。
【0040】
また、避難支援システム10の動作と同様の処理を、GPUやCPUにコンピュータプログラムを実行させることにより論理的に実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0041】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 避難支援システム
20,20A,20B,20C,・・・ 情報サーバ
21 サーバ情報受信部
30,30A-1,30A-2,30A-3,・・・ 携帯情報端末
31 個人情報受付部
32 サーバ紐付け登録部
34 緊急行動情報生成部
35 アプリ自動起動部
36 画面出力部


図1
図2
図3
図4