(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180345
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20231214BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093568
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 毅晟
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB02
5E223AC04
5E223AC50
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB24
5E223CD01
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223DB38
(57)【要約】
【課題】ハウジングからのペグの張り出しを抑えつつ、回路基板との固着力を確保することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング11と、ハウジング11における回路基板90に対向する対向面18Cに取り付けられ、ハウジング11を回路基板90に取り付ける第2固定部材14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングにおける回路基板に対向する対向面に取り付けられ、前記ハウジングを前記回路基板に取り付ける固定部材と、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記固定部材の前端面は、前記ハウジングの前方に臨んでいる、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記対向面と、前記回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記固定部材と前記対向面との間にクリアランスが確保されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記固定部材と前記対向面との間にクリアランスが確保されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記対向面は、前記固定部材を圧入する圧入部を有し、該コネクタを前記回路基板に取り付けた状態で、前記圧入部と前記回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記対向面は、前記固定部材を圧入する圧入部を有し、該コネクタを前記回路基板に取り付けた状態で、前記圧入部と前記回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記対向面は、前記固定部材を圧入する圧入部を有し、該コネクタを前記回路基板に取り付けた状態で、前記圧入部と前記回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記対向面は、前記固定部材を圧入する圧入部を有し、該コネクタを前記回路基板に取り付けた状態で、前記圧入部と前記回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されている請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングの左右両側の各々に設けられたペグによって基板に固定されるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタの小型化に伴い、ハウジングからのペグの張り出し寸法を抑えようとした場合、基板上におけるペグの実装面積を小さくすることが考えられる。しかし、このようにすると、ペグと基板との固着力が小さくなる懸念がある。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジングからのペグの張り出しを抑えつつ、回路基板との固着力を確保することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
ハウジングと、
前記ハウジングにおける回路基板に対向する対向面に取り付けられ、前記ハウジングを前記回路基板に取り付ける固定部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、外形寸法を抑えつつ、回路基板との固着力を確保したコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、回路基板に取り付けられたコネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、回路基板に取り付けられたコネクタを示す正面図である。
【
図4】
図4は、回路基板に取り付けられたコネクタを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)ハウジングと、ハウジングにおける回路基板に対向する対向面に取り付けられ、ハウジングを回路基板に取り付ける固定部材と、を備える。この構成によれば、対向面と回路基板との間に固定部材が配置されるので、ハウジングから回路基板の実装面に沿う方向に固定部材が突出しないようにすることができ、回路基板上における実装面積を抑えつつ、回路基板との固着力を確保することができる。
【0010】
(2)固定部材の前端面は、ハウジングの前方に臨んでいることが好ましい。この構成によれば、固定部材と回路基板との固着状態を目視で確認し易い。
【0011】
(3)対向面と、回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されていることが好ましい。この構成によれば、リフロー炉を用いて固定部材と回路基板とを半田付けする場合、熱が固定部材の周囲に行き渡り易くでき、これによって、固定部材と回路基板との半田付けを良好にすることができる。
【0012】
(4)固定部材と対向面との間にクリアランスが確保されていることが好ましい。この構成によれば、リフロー炉を用いて固定部材と回路基板とを半田付けする場合、固定部材から対向面に熱が伝わり難くすることができ、対向面への熱の影響を抑え易い。
【0013】
(5)対向面は、固定部材を圧入する圧入部を有し、コネクタを回路基板に取り付けた状態で、圧入部と回路基板の実装面との間にクリアランスが確保されていることが好ましい。この構成によれば、固定部材と回路基板とが接触することを妨げないようにすることができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
回路基板90に設置されるコネクタ10を、
図1から
図4を参照して説明する。図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される本実施形態1では、左右方向は、幅方向に相当する。
【0015】
本実施形態1に係るコネクタ10は、
図1に示すように、ハウジング11、第1固定部材12、固定部材である第2固定部材14、及び複数の端子金具13を備えている。コネクタ10は、回路基板90の実装面90Aに設けられたパッド90Bに対して半田付けによって固定(所謂、表面実装)される。
【0016】
[コネクタの構成]
ハウジング11は、合成樹脂製である。ハウジング11は、左右方向に長く延び、板厚方向を前後方向に向けて配置される壁部15(
図2参照)と、壁部15の外縁から角筒状に前向きに突出するフード部16と、を有している。フード部16は、図示しない相手側コネクタを内側に嵌合可能である。フード部16は、上下で対をなして配置される上壁17及び下壁18と、左右で対をなして配置される側壁19と、を有している。壁部15は、板厚方向(前後方向)に貫通する複数の貫通孔26を有している(
図2参照)。各貫通孔26には、端子金具13が後方からの圧入又はインサートによって装着される。
【0017】
各側壁19の左右方向外向きの面には、幅方向外向きに突出する第1圧入部27が設けられている。一つの側壁19において第1圧入部27は、前側と後側とに分かれて設けられている。一つの側壁19において前側及び後側の第1圧入部27の各々には、前後で互いに対向する内面に、スリット状に切り込まれた第1溝28が形成されている(
図4参照)。第1溝28には、上方から後述する第1固定部材12が圧入されて保持される。
【0018】
図2に示すように、下壁18の下面は、ハウジング11における回路基板90の実装面90Aに対向する対向面18Cである。対向面18Cには、下向きに突出する圧入部である第2圧入部18Aが設けられている。第2圧入部18Aは、コネクタ10を回路基板90に実装した際に、回路基板90の実装面90Aと、下壁18の対向面18Cと、に挟まれる。コネクタ10を回路基板90に取り付けた状態で、対向面18Cと、回路基板90の実装面90Aとの間には、クリアランスが確保されている。第2圧入部18Aは、下壁18において左側と右側とに分かれて設けられている。左側と右側の第2圧入部18Aの各々には、左右で互いに対向する内面に、スリット状に切り込まれた第2溝18Bが形成されている。第2圧入部18Aに形成された第2溝18Bの後端部は、板厚方向を前後方向に向けて下向きに突出する閉塞部18Eによって閉塞されている(
図3参照)。第2溝18Bには、前方から、後述する第2固定部材14が圧入されて保持される。
【0019】
第1固定部材12は、金属製の板材である。
図4に示すように、第1固定部材12は、ハウジング11の各第1溝28に取り付けられる。第1固定部材12は、板面を幅方向に向けて側壁19の左右方向外向きの面に沿って配置される第1ハウジング装着部33と、第1ハウジング装着部33の下端から左右方向外向きに屈曲して延びる第1基板固定部34と、を有している(
図1参照)。
【0020】
第1ハウジング装着部33の前端部及び後端部の各々は、第1圧入部27に形成された第1溝28に嵌合する。これによって、第1固定部材12は、ハウジング11のフード部16に保持される。第1基板固定部34は、回路基板90の実装面90Aに設けられたパッド90Bに対して半田付けすることによって固定される。
【0021】
第2固定部材14は、金属製の板材である。
図2に示すように、第2固定部材14は、第2圧入部18Aの第2溝18Bに取り付けられる。第2固定部材14は、第2基板固定部14Aと、第2ハウジング装着部14Bと、を有している。第2基板固定部14Aは、板面を上下方向に向けて下壁18の対向面18Cとの間にクリアランスを確保して配置される。第2ハウジング装着部14Bは、第2基板固定部14Aの左右方向両端部から上向きに屈曲して左右方向外向きに延びて形成されている。第2ハウジング装着部14Bは、第2基板固定部14Aと平行をなし、第2基板固定部14Aよりも上方に位置している。
【0022】
各第2ハウジング装着部14Bは、第2圧入部18Aに形成された第2溝18Bに嵌合する。これによって、第2固定部材14は、ハウジング11のフード部16に保持される。第2基板固定部14Aは、回路基板90の実装面90Aに設けられたパッド90Bに対して半田付けすることによって固定される。こうして、第1固定部材12、及び第2固定部材14は、ハウジング11を回路基板90の実装面90Aに固定して取り付ける。
【0023】
複数の端子金具13は、雄端子金具であり、導電性を有する金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工等して形成されている。各端子金具13は、各貫通孔26に後方から挿入され、各貫通孔26を貫通した状態で保持される。各端子金具13の先端部(前端部)には、タブ13Aが設けられている。各タブ13Aは、フード部16に収容されている。コネクタ10が相手側コネクタと嵌合した状態において、各タブ13Aは、相手側コネクタが備える図示しない相手側端子と接続される。各端子金具13の後端部は、回路基板90の実装面90Aに接触し、回路基板90の実装面90Aに設けられたパッド90Bに対して半田付けによって接続される。
【0024】
図4に示すように、コネクタ10が回路基板90に取り付けられた状態において、コネクタ10のフード部16の前端部は、回路基板90の前端縁に揃えられて配置される。第2圧入部18Aに取り付けられた第2固定部材14の前端面14Cも回路基板90の前端縁に沿って配置される。第2固定部材14の前端面14Cは、ハウジング11の前方に臨んでいる。第2固定部材14の前端面14Cは、第2圧入部18Aの前端よりも前方に突出している。
【0025】
図2に示すように、回路基板90の実装面90Aに対して取り付けられたコネクタ10は、対向面18Cを回路基板90の実装面90Aに対向させて回路基板90に取り付けられる。第2固定部材14の第2基板固定部14Aの下面は、第2圧入部18Aよりも下方に位置している。つまり、コネクタ10を回路基板90の実装面90Aに取り付けた状態では、第2圧入部18Aの下面と、回路基板90の実装面90Aとの間にクリアランスが確保されている。また、第2圧入部18Aに第2固定部材14を圧入した状態で、第2固定部材14の第2基板固定部14Aの上面と、ハウジング11の下壁18の対向面18Cとの間にはクリアランスが確保されている。
【0026】
図4に示すように、第1圧入部27に取り付けられた第1固定部材12の前端は、第2圧入部18Aに取り付けられた第2固定部材14の前端よりも後方に配置されている。第1圧入部27に取り付けられた第1固定部材12の後端は、第2圧入部18Aに取り付けられた第2固定部材14の後端よりも後方に配置されている。第1固定部材12が第1圧入部27に取り付けられた状態で、第1基板固定部34は、第2圧入部18Aに取り付けられた第2固定部材14よりも後方に配置されている。
【0027】
次に、実施形態1の作用を説明する。
コネクタ10は、ハウジング11と、ハウジング11における回路基板90に対向する対向面18Cに取り付けられ、ハウジング11を回路基板90に取り付ける第2固定部材14と、を備える。この構成によれば、対向面18Cと回路基板90との間に第2固定部材14が配置される。これによって、ハウジング11から回路基板90の実装面90Aに沿う方向に第2固定部材14が突出しないようにすることができ、回路基板90上における実装面積を抑えつつ、回路基板90との固着力を確保することができる。
【0028】
第2固定部材14の前端面14Cは、ハウジング11の前方に臨んでいる。この構成によれば、第2固定部材14と回路基板90との固着状態を目視で確認し易い。
【0029】
対向面18Cと、回路基板90の実装面90Aとの間にクリアランスが確保されている。この構成によれば、リフロー炉を用いて第2固定部材14と回路基板90とを半田付けする場合、熱が第2固定部材14の周囲に行き渡り易くでき、これによって、第2固定部材14と回路基板90との半田付けを良好にすることができる。
【0030】
第2固定部材14と対向面18Cとの間にクリアランスが確保されている。この構成によれば、リフロー炉を用いて第2固定部材14と回路基板90とを半田付けする場合、第2固定部材14から対向面18Cに熱が伝わり難くすることができ、対向面18Cへの熱の影響を抑え易い。
【0031】
対向面18Cは、第2固定部材14を圧入する第2圧入部18Aを有し、コネクタ10を回路基板90に取り付けた状態で、第2圧入部18Aと回路基板90の実装面90Aとの間にクリアランスが確保されている。この構成によれば、第2固定部材14と回路基板90とが接触することを妨げないようにすることができる。
【0032】
[本開示の他の実施形態]
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではない。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
(1)実施形態1とは異なり、第2固定部材を、左右方向に2つ以上並べてもよい。
(2)実施形態1とは異なり、第1固定部材、及び第2固定部材の前後方向の寸法をより大きくして、互いに前後方向の位置が重なるように配置してもよい。
(3)実施形態1とは異なり、対向面と、回路基板の実装面との間にクリアランスを確保しなくてもよい。
(4)実施形態1とは異なり、第2固定部材の第2基板固定部の上面と対向面との間にクリアランスを確保しなくてもよい。
(5)実施形態1とは異なり、コネクタを回路基板に取り付けた状態で、第2圧入部と回路基板の実装面との間にクリアランスを確保しなくてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…コネクタ
11…ハウジング
12…第1固定部材
13…端子金具
13A…タブ
14…第2固定部材(固定部材)
14A…第2基板固定部
14B…第2ハウジング装着部
14C…前端面
15…壁部
16…フード部
16A…フランジ部
16B…第2フランジ部
17…上壁
18…下壁
18A…第2圧入部(圧入部)
18B…第2溝
18C…対向面
18E…閉塞部
19…側壁
26…貫通孔
27…第1圧入部
28…第1溝
33…第1ハウジング装着部
34…第1基板固定部
90…回路基板
90A…実装面
90B…パッド