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特開2023-180356可溶化剤、可溶化製剤、及び現像液組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180356
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】可溶化剤、可溶化製剤、及び現像液組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/32 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G03F7/32
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093589
(22)【出願日】2022-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 博之
(72)【発明者】
【氏名】小林 峻久
【テーマコード(参考)】
2H196
【Fターム(参考)】
2H196AA30
2H196GA08
2H196GA10
(57)【要約】
【課題】
アルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤の溶解度を向上できる可溶化剤と、それを用いた可溶化製剤及び現像液組成物とを提供する。
【解決手段】
可溶化剤を、特定構造の有機リン酸モノエステル又はその塩からなる化合物(P1)と特定構造の有機リン酸ジエステル又はその塩からなる化合物(P2)との少なくとも一方を含有するものとする。可溶化製剤は、可溶化製剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有し、現像液組成物は、可溶化製剤とアルカリ剤と水とを含有する。可溶化剤は、化合物(P1)及び化合物(P2)を含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で示される化合物(P1)及び下記の一般式(2)で示される化合物(P2)の少なくとも一方を含有することを特徴とする可溶化剤。
【化1】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子又はアルカリ金属原子である。)
【化2】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子又はアルカリ金属原子である。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である請求項1に記載の可溶化剤。
【請求項3】
前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)を含有する請求項1に記載の可溶化剤。
【請求項4】
下記の式で示されるD/Mの値が0.1~4.0である請求項3に記載の可溶化剤。
D/M=(前記化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(前記化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする可溶化製剤。
【請求項6】
前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)と前記非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10である請求項5に記載の可溶化製剤。
【請求項7】
前記非イオン界面活性剤(B)がスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物を含む請求項5に記載の可溶化製剤。
【請求項8】
請求項5に記載の可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有することを特徴とする現像液組成物。
【請求項9】
前記化合物(P1)、前記化合物(P2)、前記非イオン界面活性剤(B)、及び前記アルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、前記アルカリ剤の含有量が1~50質量部である請求項8に記載の現像液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可溶化剤、並びにそれを含む可溶化製剤及び現像液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造方法としては従来から多数の方法が知られているが、近年では、ガラス基板上にカラーレジストを塗布し、露光・現像によるパターン形成を行う方法が多く用いられている。当該方法では、最初にガラス基板上にブラックマトリクスを形成し、その後にガラス基板上に塗布したカラーレジストにフォトマスクを介して所望のパターン形状にUVを照射して不溶化する。そして、現像液によりカラーレジストの不要部を除去する。このカラーレジストの塗布から除去の工程を赤・青・緑の三色について繰り返した後に、必要に応じて透明導電膜の形成等の表面処理が行われる。
【0003】
通常、カラーレジストを除去する際には、アルカリ溶液に界面活性剤を溶解した現像液が用いられる。現像液はコスト面等の観点から、濃縮状態で保管・運搬され、使用する際に希釈することが望まれる。しかし、現像液に一般に用いられるポリオキシアルキレンエーテル型非イオン界面活性剤は高濃度のアルカリ溶液に溶解しにくいため、現像液を高濃度化すると界面活性剤が現像液から析出してしまう問題がある。
【0004】
現像液の高濃度化を実現するため、可溶化剤を更に添加することが広く行われている。例えば特許文献1は、ポリオキシアルキレンエーテル型非イオン界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン界面活性剤、及びアルカリ剤を含有する現像液を開示している。特許文献2は、(A)アルカリ性化合物、(B)双極子イオン性有機化合物、(C)陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤が水に溶解したアルカリ性現像液を開示している。また、特許文献3は、現像液ではないものの、高濃度のアルカリ溶液に界面活性剤を溶解可能な可溶化剤として、スルホサリチル酸及びそのアルカリ、アンモニウム若しくは低級アミン塩類から選ばれた少なくとも1種を含有してなる可溶化剤を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-259537号公報
【特許文献2】特開平6-282080号公報
【特許文献3】特開平8-155286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2の現像液では高濃度化した際の濃縮率が十分ではなく、更なる改良が求められている。また、特許文献3の可溶化剤では、界面活性剤に対する可溶化能が十分ではなかった。そのため、本開示はアルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤の溶解度を向上できる可溶化剤を提供することを課題とする。また、それを用いた可溶化製剤及び現像液組成物も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのための手段として、本開示は以下の手段を採る。
[1]下記の一般式(1)で示される化合物(P1)及び下記の一般式(2)で示される化合物(P2)の少なくとも一方を含有することを特徴とする可溶化剤。
【化1】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子又はアルカリ金属原子である。)
【化2】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子又はアルカリ金属原子である。)
[2]前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である[1]に記載の可溶化剤。
[3]前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)を含有する[1]に記載の可溶化剤。
[4]下記の式で示されるD/Mの値が0.1~4.0である[3]に記載の可溶化剤。
D/M=(前記化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(前記化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
[5][1]~[4]のいずれかに記載の可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする可溶化製剤。
[6]前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)と前記非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10である[5]に記載の可溶化製剤。
[7]前記非イオン界面活性剤(B)がスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物を含む[5]に記載の可溶化製剤。
[8][5]に記載の可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有することを特徴とする現像液組成物。
[9]前記化合物(P1)、前記化合物(P2)、前記非イオン界面活性剤(B)、及び前記アルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、前記アルカリ剤の含有量が1~50質量部である[8]に記載の現像液組成物。
【0008】
なお、本明細書において「Y~Z」で示される数値範囲は、その上限及び下限を含む範囲を意味する。つまり、「Y~Z」は「Y以上、Z以下」を意味する。また、「アルキレンオキシド付加物」を示す際に、「POE(12)」及び「POP(2)」等の略称を用いて付加されたアルキレンオキシドの種類及びモル数を表す場合がある。例えば、付加されたアルキレンオキシドがエチレンオキシドの場合は「POE」、プロピレンオキシドの場合は「POP」と記載される。また、カッコ内の数字は付加されたアルキレンオキシドのモル数を意味する。具体例として、「オクチルアルコールのエチレンオキシド(4モル)付加物のリン酸モノエステル」の場合、「PОE(4)オクチルエーテルリン酸モノエステル」と記載される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪可溶化剤≫
本開示の可溶化剤は、特定構造を有する化合物(P1)及び化合物(P2)の少なくとも一方を含有する。可溶化剤は、高濃度のアルカリ溶液に難溶な非イオン界面活性剤の溶解度を向上することができる。また、可溶化剤を現像液に用いた場合、優れた現像性能を実現することができる。
【0010】
化合物(P1)は有機リン酸モノエステル又はその塩であり、下記一般式(1)で示される構造を有する。
【化3】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子又はアルカリ金属原子である。)
化合物(P1)としては、例えば、へキシルリン酸モノエステル、ヘプチルリン酸モノエステル、オクチルリン酸モノエステル、ノニルリン酸モノエステル、デシルリン酸モノエステル、ウンデシルリン酸モノエステル、トリデシルリン酸モノエステル、オレイルリン酸モノエステル、PОE(4)オクチルエーテルリン酸モノエステル、POE(5)オクチルエーテルリン酸モノエステル、POE(4)ラウリルエーテルリン酸モノエステル、POE(20)ラウリルエーテルリン酸モノエステル、POE(5)トリデシルエーテルリン酸モノエステル、POE(12)トリデシルエーテルリン酸モノエステル等や、これらのアルカリ金属塩が挙げられる。化合物(P1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
化合物(P2)は有機リン酸ジエステル又はその塩であり、下記一般式(2)で示される構造を有する。
【化4】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子又はアルカリ金属原子である。)
化合物(P2)としては、へキシルリン酸ジエステル、ヘプチルリン酸ジエステル、オクチルリン酸ジエステル、ノニルリン酸ジエステル、デシルリン酸ジエステル、ウンデシルリン酸ジエステル、トリデシルリン酸ジエステル、オレイルリン酸ジエステル、PОE(4)オクチルエーテルリン酸ジエステル、POE(5)オクチルエーテルリン酸ジエステル、POE(4)ラウリルエーテルリン酸ジエステル、POE(20)ラウリルエーテルリン酸ジエステル、POE(5)トリデシルエーテルリン酸ジエステル、POE(12)トリデシルエーテルリン酸ジエステル等や、これらのアルカリ金属塩が挙げられる。化合物(P2)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
一般式(1)中のR及び一般式(2)中のR,Rは、可溶化剤を現像液組成物に用いた場合の現像性能の観点から、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であることが好ましい。また、一般式(1)中のM,M及び一般式(2)中のMは、可溶化剤(A)を非イオン界面活性剤(B)と混合して可溶化製剤(詳しくは後述する)とした場合の製剤性、すなわち溶解性及び保存安定性の観点から、それぞれ水素原子であることが好ましい。また、一般式(1)中のM,M及び一般式(2)中のMは、アルカリ金属原子である場合、それぞれナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
【0013】
可溶化剤は、現像液組成物に用いた場合の現像性能の観点から、化合物(P1)及び化合物(P2)の両方を含むことが好ましい。また、その場合の化合物(P1)と化合物(P2)の含有割合は、現像性能の観点から、下記式(3)で示されるD/Mの値が0.1~4.0であることが好ましく、0.1~2.0が更に好ましい。
D/M=(化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)・・・(3)
【0014】
化合物(P1)及び化合物(P2)にそれぞれ帰属されるP核NMR積分値は、化合物(P1)及び化合物(P2)それぞれに過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、31P-NMR(VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometer System、300MHz)に供した時の測定値の積分値である。
【0015】
≪可溶化製剤≫
可溶化製剤は、可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有する。可溶化製剤は優れた製剤性、より詳しくは可溶化剤に対する非イオン界面活性剤(B)の溶解性及び溶解した状態での保存安定性を奏することが出来る。
【0016】
<非イオン界面活性剤(B)>
非イオン界面活性剤としては、特に限定されることなく従来公知のものが使用できるが、ポリオキシアルキレンエーテル型非イオン界面活性剤が好ましい。ポリオキシアルキレンエーテル型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、スチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等が挙げられる。スチレン化フェノールは、公知の製造方法により製造することができ、また商業的に入手も可能である。市販品としては、例えば、三光株式会社製の品番「SP」、品番「SP-F」、品番「SP-24」、品番「TSP」、四日市合成株式会社製の品番「DSP」などが挙げられる。スチレン化フェノールとしては、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール等があり、これらのうちの1つを単独で使用しても良いし、2つ以上を組合せて混合物として使用しても良い。非イオン界面活性剤(B)がポリオキシアルキレンエーテル型非イオン界面活性剤である場合、アルキレンオキシド付加物のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられ、これらは、単独でも、2種組み合わせて使用してもよい。2種を使用した場合、アルキレンオキシドの付加形態に特に制限はなく、例えば、ランダム付加、ブロック付加、ランダム付加とブロック付加を組み合わせた形態等が挙げられる。アルキレンオキシド付加物の合計付加モル数は、2~30が好ましく、12~18がより好ましい。また、ポリオキシアルキレンエーテル型非イオン界面活性剤の中でも特にスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物が好ましく、その場合、スチレンの付加モル数は特に限定されないが1~3モルであることが好ましい。スチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物の具体例としては、例えばジスチレン化フェノールのエチレンオキシド(12モル)付加物、モノスチレン化フェノールのエチレンオキシド(12モル)プロピレンオキシド(1モル)付加物(付加形態:ランダム)、トリスチレン化フェノールのエチレンオキシド(18モル)付加物、ジスチレン化フェノールのエチレンオキシド(1モル)プロピレンオキシド(2モル)エチレンオキシド(12モル)付加物(付加形態:ブロック)が挙げられる。なお、非イオン界面活性剤(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
<可溶化製剤の組成比>
可溶化製剤は、化合物(P1)及び化合物(P2)と非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10であることが好ましい。
【0018】
≪現像液組成物≫
現像液組成物は、可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有する。現像液組成物は、可溶化製剤に含まれる可溶化剤の作用により、優れた製剤性と現像性能とを奏することができる。
【0019】
<アルカリ剤>
アルカリ剤としては、無機アルカリ性化合物、有機アルカリ性化合物のいずれも用いることができる。無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。また有機アルカリ性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソピルアミン、ジイソピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどが好ましい。また、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
<添加剤>
現像液組成物には、必要に応じて更に消泡剤等の添加剤を含有させてもよい。消泡剤としては、従来公知のものが使用でき、例えばシリコーン系、高級アルコール系、エステル系等が挙げられる。
【0021】
<現像液組成物の組成比>
現像液組成物は、化合物(P1)、化合物(P2)、非イオン界面活性剤(B)、及びアルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、アルカリ剤の含有量が1~50質量部であることが好ましく、5~45質量部であることが更に好ましい。
【0022】
現像液組成物は濃縮状態において、化合物(P1)、化合物(P2)、非イオン界面活性剤(B)、アルカリ剤、及び水の合計を100質量部とした場合に、水の含有量は30~90質量部であることが好ましく、アルカリ剤の含有量は1~10質量部であることが好ましい。これにより、使用時における希釈状態に対して保管・運搬時における濃縮状態において高い濃縮率を実現できると共に、濃縮状態において優れた製剤性を奏することができる。
【0023】
本開示の可溶化剤は、化合物(P1)及び化合物(P2)の少なくとも一方を含有する。これにより、アルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤の溶解度を向上することができる。
【実施例0024】
以下、本開示の構成及び効果を具体的な実施例及び比較例を挙げて説明する。以下の実施例及び比較例において、部は質量部を意味する。
【0025】
<実施例1-1>
化合物(P1)としてオクチルリン酸モノエステル100部と、化合物(P2)としてオクチルリン酸ジエステル20部とを混合・攪拌することで、可溶化剤(A-1)を得た。可溶化剤(A-1)を下記NMR分析法により測定した結果、D/M値は0.2であった。
【0026】
<NMR分析法>
可溶化剤に過剰のKOHを添加してpHを12以上にした後に、重水溶媒下でMERCURYplus NMR Spectrometor System(300MHz VALIAN社製)を用いてスペクトルを測定した。化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値と化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値とから下記式を用いてD/M値を算出した。
D/M=(化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
【0027】
<実施例1-2~1-28>
下記表1の組成とした他は実施例1-1と同様にして、実施例1-2~1-28の可溶化剤を作成し、そのD/M値を測定した。
【0028】
<比較例1-1~1-5>
比較例1-1~1-5では、化合物(P1)及び化合物(P2)の代わりに表1に記載の各成分を用いたこと以外は、実施例1-1と同様にして可溶化剤を作成した。
【0029】
【表1】

POE:ポリオキシエチレンの略
【0030】
<実施例2-1>
可溶化剤(A-1)14.7部と、非イオン界面活性剤(B)としてジスチレン化フェノールのエチレンオキシド(12モル)付加物(B-1)58.8質量部とを混合・攪拌して、可溶化製剤を得た。得られた可溶化製剤の製剤性を下記方法で評価した。
【0031】
続いて、可溶化製剤73.5部に、アルカリ剤として水酸化カリウム26.5部と、水194部とを混合・攪拌して、現像液組成物を得た。得られた現像液組成物の製剤性と現像性能とを下記方法で評価した。
【0032】
<実施例2-2~2-38、比較例2-1~2-7>
下記表2及び表3の組成とした以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-2~2-38及び比較例2-1~2-7の可溶化製剤及び現像液組成物を作成した。得られた可溶化製剤及び現像液組成物の製剤性及び現像性能を下記方法で評価した。
【0033】
<製剤性>
可溶化製剤及び現像液組成物を25℃で1週間静置し、静置開始から24時間後と1週間後とに目視で観察して下記基準に基づき評価した。評価結果は下記表2及び表3に示す。
◎:24時間及び1週間後ともに均一液状
〇:24時間後には均一液状だが、1週間後には濁り又は分離
×:24時間後に濁り又は分離
【0034】
<現像性能>
2インチの液晶用無アルカリガラスウエハに対して、ブラックマトリクス(BM)用顔料分散レジストをスピンコート、ベークし、厚さ1μmのレジスト膜を形成した。次に、ライン及びスペースが刻まれたフォトマスクを介して、高圧水銀ランプにて150mJの光で露光した。現像液組成物を超純水にてアルカリ濃度が0.025質量%になるように希釈し、希釈現像液を得た。希釈現像液の入ったバットにレジスト膜を形成したガラスウエハを25℃にて60秒間浸漬し、現像処理を行った。現像処理後に、超純水の入ったバットでガラスウエハを速やかに洗浄し、リンス処理を行った。窒素エアーガンを用いてガラスウエハを乾燥した後、マイクロスコープにて7μmのパターンを観察し、形成された現像パターン及び基板上に付着・残存した付着物(現像残渣)を下記基準に基づき評価した。評価結果は下記表2及び表3に示す。
[現像パターン]
◎:剥がれや欠けが無く良好
〇:剥がれや欠けが僅かに見られる
×:剥がれや欠けが多数見られ、実用に適さない
[現像残渣]
◎◎◎:残渣が確認されない
◎◎ :ガラス基板の面積に対して10%未満の残渣が確認される
◎ :ガラス基板の面積に対して10%以上、30%未満の残渣が確認される
〇 :ガラス基板の面積に対して30%以上、50%未満の残渣が確認される
× :ガラス基板の面積に対して50%以上の残渣が確認される
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
表2及び表3中における各成分は以下の通りである。
[B成分]
B-1:ジスチレン化フェノールのエチレンオキシド(12モル)付加物
B-2:モノスチレン化フェノールのエチレンオキシド(12モル)プロピレンオキシド(1モル)付加物(付加形態:ランダム)
B-3:トリスチレン化フェノールのエチレンオキシド(18モル)付加物
B-4:ジスチレン化フェノールのエチレンオキシド(1モル)プロピレンオキシド(2モル)エチレンオキシド(12モル)付加物(付加形態:ブロック)
B-5:ポリオキシエチレン(20モル)ラウリルエーテル
B-6:ポリオキシエチレン(10モル)ノニルフェニルエーテル
[C成分]
C-1:水酸化カリウム
C-2:炭酸ナトリウム
【0038】
実施例2-1~2-38の可溶化製剤は優れた製剤性を有していた。また、実施例2-1~2-38の現像液組成物も、優れた製剤性、つまり、高濃度のアルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤(B)の溶解度の向上効果及び保存安定性、並びに優れた現像性能を有していた。一方、比較例2-2,2-3,2-5~2-7の可溶化製剤は、化合物(P1)及び化合物(P2)のいずれも含有しないため、製剤性が悪かった。また、比較例2-1~2-7の現像液組成物は、化合物(P1)及び化合物(P2)のいずれも含有しないため、高濃度のアルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤(B)の溶解度が低く、混合から24時間の時点で均一の液状ではなかった。また、比較例2-1~2-7の現像液組成物は、アルカリ濃度が0.025質量%になるよう希釈しても非イオン界面活性剤(B)が溶解しなかったため、現像性能の評価を行うことが出来なかった。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で示される化合物(P1)及び下記の一般式(2)で示される化合物(P2)含有する(但し、前記一般式(1)中のR 並びに前記一般式(2)中のR 及びR が全て炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である前記化合物(P1)と前記化合物(P2)の組合せを除く)ことを特徴とする可溶化剤。
【化1】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びM 水素原子ある。)
【化2】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子ある。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である請求項1に記載の可溶化剤。
【請求項3】
下記の式で示されるD/Mの値が0.1~4.0である請求項に記載の可溶化剤。
D/M=(前記化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(前記化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
【請求項4】
現像液組成物用である請求項1~3のいずれか一項に記載の可溶化剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする可溶化製剤。
【請求項6】
前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)と前記非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10である請求項5に記載の可溶化製剤。
【請求項7】
前記非イオン界面活性剤(B)がスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物を含む請求項5に記載の可溶化製剤。
【請求項8】
請求項5に記載の可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有することを特徴とする現像液組成物。
【請求項9】
前記化合物(P1)、前記化合物(P2)、前記非イオン界面活性剤(B)、及び前記アルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、前記アルカリ剤の含有量が1~50質量部である請求項8に記載の現像液組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
そのための手段として、本開示は以下の手段を採る。
[1]下記の一般式(1)で示される化合物(P1)及び下記の一般式(2)で示される化合物(P2)含有する(但し、前記一般式(1)中のR 並びに前記一般式(2)中のR 及びR が全て炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である前記化合物(P1)と前記化合物(P2)の組合せを除く)ことを特徴とする可溶化剤。
【化1】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びM 水素原子ある。)
【化2】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子ある。)
[2]前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である[1]に記載の可溶化剤。
[3]下記の式で示されるD/Mの値が0.1~4.0である[1]に記載の可溶化剤。
D/M=(前記化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(前記化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
[4]現像液組成物用である[1]~[3]のいずれかに記載の可溶化剤。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする可溶化製剤。
[6]前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)と前記非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10である[5]に記載の可溶化製剤。
[7]前記非イオン界面活性剤(B)がスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物を含む[5]に記載の可溶化製剤。
[8][5]に記載の可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有することを特徴とする現像液組成物。
[9]前記化合物(P1)、前記化合物(P2)、前記非イオン界面活性剤(B)、及び前記アルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、前記アルカリ剤の含有量が1~50質量部である[8]に記載の現像液組成物。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
≪可溶化剤≫
本開示の可溶化剤は、特定構造を有する化合物(P1)及び化合物(P2)の少なくとも一方を含有すればよいが、本発明の可溶化剤は化合物(P1)及び化合物(P2)を含有する。可溶化剤は、高濃度のアルカリ溶液に難溶な非イオン界面活性剤の溶解度を向上することができる。また、可溶化剤を現像液に用いた場合、優れた現像性能を実現することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
化合物(P1)は有機リン酸モノエステル又はその塩であり、下記一般式(1)で示される構造を有する。
【化3】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子又はアルカリ金属原子である。)本発明の化合物(P1)は、一般式(1)中のM 及びM が水素原子である。化合物(P1)としては、例えば、へキシルリン酸モノエステル、ヘプチルリン酸モノエステル、オクチルリン酸モノエステル、ノニルリン酸モノエステル、デシルリン酸モノエステル、ウンデシルリン酸モノエステル、トリデシルリン酸モノエステル、オレイルリン酸モノエステル、PОE(4)オクチルエーテルリン酸モノエステル、POE(5)オクチルエーテルリン酸モノエステル、POE(4)ラウリルエーテルリン酸モノエステル、POE(20)ラウリルエーテルリン酸モノエステル、POE(5)トリデシルエーテルリン酸モノエステル、POE(12)トリデシルエーテルリン酸モノエステル等や、これらのアルカリ金属塩が挙げられる。化合物(P1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
化合物(P2)は有機リン酸ジエステル又はその塩であり、下記一般式(2)で示される構造を有する。
【化4】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子又はアルカリ金属原子である。)本発明の化合物(P2)は、一般式(2)中のM が水素原子である。化合物(P2)としては、へキシルリン酸ジエステル、ヘプチルリン酸ジエステル、オクチルリン酸ジエステル、ノニルリン酸ジエステル、デシルリン酸ジエステル、ウンデシルリン酸ジエステル、トリデシルリン酸ジエステル、オレイルリン酸ジエステル、PОE(4)オクチルエーテルリン酸ジエステル、POE(5)オクチルエーテルリン酸ジエステル、POE(4)ラウリルエーテルリン酸ジエステル、POE(20)ラウリルエーテルリン酸ジエステル、POE(5)トリデシルエーテルリン酸ジエステル、POE(12)トリデシルエーテルリン酸ジエステル等や、これらのアルカリ金属塩が挙げられる。化合物(P2)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本発明の可溶化剤は化合物(P1)及び化合物(P2)を含有するが、一般式(1)中のR 並びに一般式(2)中のR 及びR が全て炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である化合物(P1)と化合物(P2)の組合せを除く。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
<実施例1-2~1-28>
下記表1の組成とした他は実施例1-1と同様にして、実施例1-2~1-28の可溶化剤を作成し、そのD/M値を測定した。なお、実施例1-2~1-28のうち、実施例1-3、1-7、1-11、1-12、1-17、1-19、1-21~1-28は参考例であるため、表1には参考例と記載する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
【表1】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
<実施例2-2~2-38、比較例2-1~2-7>
下記表2及び表3の組成とした以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-2~2-38及び比較例2-1~2-7の可溶化製剤及び現像液組成物を作成した。得られた可溶化製剤及び現像液組成物の製剤性及び現像性能を下記方法で評価した。なお、実施例2-2~2-38のうち、実施例2-3、2-10、2-14~2-16、2-20、2-21、2-26、2-28、2-30~2-38は参考例であるため、表2には参考例と記載する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
【表2】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
【表3】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施例及び参考例2-1~2-38の可溶化製剤は優れた製剤性を有していた。また、実施例及び参考例2-1~2-38の現像液組成物も、優れた製剤性、つまり、高濃度のアルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤(B)の溶解度の向上効果及び保存安定性、並びに優れた現像性能を有していた。一方、比較例2-2,2-3,2-5~2-7の可溶化製剤は、化合物(P1)及び化合物(P2)のいずれも含有しないため、製剤性が悪かった。また、比較例2-1~2-7の現像液組成物は、化合物(P1)及び化合物(P2)のいずれも含有しないため、高濃度のアルカリ溶液に対する非イオン界面活性剤(B)の溶解度が低く、混合から24時間の時点で均一の液状ではなかった。また、比較例2-1~2-7の現像液組成物は、アルカリ濃度が0.025質量%になるよう希釈しても非イオン界面活性剤(B)が溶解しなかったため、現像性能の評価を行うことが出来なかった。

【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で示される化合物(P1)及び下記の一般式(2)で示される化合物(P2)を含有する(但し、前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが全て炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である前記化合物(P1)と前記化合物(P2)の組合せを除く)ことを特徴とする現像液組成物用の可溶化剤。
【化1】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びMは水素原子である。)
【化2】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子である。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である請求項1に記載の可溶化剤。
【請求項3】
下記の式で示されるD/Mの値が0.1~4.0である請求項1に記載の可溶化剤。
D/M=(前記化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(前記化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする可溶化製剤。
【請求項5】
前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)と前記非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10である請求項に記載の可溶化製剤。
【請求項6】
前記非イオン界面活性剤(B)がスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物を含む請求項に記載の可溶化製剤。
【請求項7】
請求項に記載の可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有することを特徴とする現像液組成物。
【請求項8】
前記化合物(P1)、前記化合物(P2)、前記非イオン界面活性剤(B)、及び前記アルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、前記アルカリ剤の含有量が1~50質量部である請求項に記載の現像液組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
そのための手段として、本開示は以下の手段を採る。
[1]下記の一般式(1)で示される化合物(P1)及び下記の一般式(2)で示される化合物(P2)を含有する(但し、前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが全て炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である前記化合物(P1)と前記化合物(P2)の組合せを除く)ことを特徴とする現像液組成物用の可溶化剤。
【化1】

(一般式(1)において、Rは炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、M及びMは水素原子である。)
【化2】

(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数2~18の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数2~18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基であり、Mは水素原子である。)
[2]前記一般式(1)中のR並びに前記一般式(2)中のR及びRが、それぞれ独立に、炭素数6~12の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数6~12の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2~3のアルキレンオキシドを合計して1~30モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基である[1]に記載の可溶化剤。
[3]下記の式で示されるD/Mの値が0.1~4.0である[1]に記載の可溶化剤。
D/M=(前記化合物(P2)に帰属されるP核NMR積分値)/(前記化合物(P1)に帰属されるP核NMR積分値)
[4][1]~[]のいずれかに記載の可溶化剤と非イオン界面活性剤(B)とを含有することを特徴とする可溶化製剤。
]前記化合物(P1)及び前記化合物(P2)と前記非イオン界面活性剤(B)との質量比(B/(P1+P2))が0.5~10である[]に記載の可溶化製剤。
]前記非イオン界面活性剤(B)がスチレン化フェノールのアルキレンオキシド付加物を含む[]に記載の可溶化製剤。
][]に記載の可溶化製剤、アルカリ剤、及び水を含有することを特徴とする現像液組成物。
]前記化合物(P1)、前記化合物(P2)、前記非イオン界面活性剤(B)、及び前記アルカリ剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、前記アルカリ剤の含有量が1~50質量部である[]に記載の現像液組成物。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
≪可溶化剤≫
本開示の可溶化剤は、特定構造を有する化合物(P1)及び化合物(P2)の少なくとも一方を含有すればよいが、本発明の現像液組成物用の可溶化剤は化合物(P1)及び化合物(P2)を含有する。可溶化剤は、高濃度のアルカリ溶液に難溶な非イオン界面活性剤の溶解度を向上することができる。また、可溶化剤を現像液に用いた場合、優れた現像性能を実現することができる。